(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038771
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】計量システム
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20230310BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G01G19/387 Z
B25J15/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145663
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】櫻木 嵩斗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 亮民
(72)【発明者】
【氏名】前田 修一
(72)【発明者】
【氏名】立川 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707DS02
3C707ES03
3C707ES04
3C707ET08
3C707HS27
3C707KS09
3C707KV06
3C707KW03
3C707KX07
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】物品が排出される重量値を精度よく設定可能な計量システムを提供する。
【解決手段】計量システムは、容器に収容される物品群のうち一部の第1物品を把持し、排出する第1把持手を有する第1把持部と、物品群のうち他の一部の第2物品を把持し、排出し、かつ、第1把持手とは異なる形状を有する第2把持手を有する第2把持部と、第1把持部にて把持された第1物品の重量値、及び、第1把持部から排出された第1物品の重量値の少なくとも一方を取得する取得部と、重量値に基づき、第2把持部からの第2物品の排出を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容される物品群のうち一部の第1物品を把持し、排出する第1把持手を有する第1把持部と、
前記物品群のうち他の一部の第2物品を把持し、排出し、かつ、前記第1把持手とは異なる形状を有する第2把持手を有する第2把持部と、
前記第1把持部にて把持された前記第1物品の重量値、及び、前記第1把持部から排出された前記第1物品の重量値の少なくとも一方を取得する取得部と、
前記重量値に基づき、前記第2把持部からの前記第2物品の排出を制御する制御部と、
を備える計量システム。
【請求項2】
第1容器に収容される第1物品群のうち一部の第1物品を把持し、排出する第1把持手を有する第1把持部と、
第2容器に収容される第2物品群のうち一部の第2物品を把持し、排出し、又は、前記第1把持部から排出された前記第1物品の一部を取り出し、かつ、前記第1把持手とは異なる形状を有する第2把持手を有する第2把持部と、
前記第1把持部にて把持された前記第1物品の重量値、及び前記第1把持部から排出された前記第1物品の重量値の少なくとも一方を取得する取得部と、
前記重量値に基づき、前記第2把持部による前記第2物品の排出、又は、前記第1物品の前記一部の排出を制御する制御部と、
を備え、
前記第2把持部は、前記第1把持部よりも後段に位置する、
計量システム。
【請求項3】
前記第1把持部は、前記第1把持手を複数有し、
前記取得部は、複数の前記第1把持手のそれぞれにて把持される前記第1物品の重量値を取得し、
前記制御部は、
前記取得部にて取得される前記重量値の組み合わせ計算を行い、
予め設定された目標重量値もしくは当該目標重量値の近傍となる前記第1把持手の組み合わせを選択し、
選択された前記第1把持手の把持を解除する制御を実施する、請求項1または2に記載の計量システム。
【請求項4】
前記第1把持手は、3つ以上の第1把持爪部を有し、
前記第2把持手は、2つの第2把持爪部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の計量システム。
【請求項5】
前記第2把持手の前記2つの第2把持爪部が閉じているとき、前記2つの第2把持爪部の間には、前記物品群に含まれる物品の径の0.5倍以上1.5倍以下の径を有する空間が設けられる、請求項4に記載の計量システム。
【請求項6】
前記第2把持手は、前記第2物品を把持したかどうかを検知する把持検知部を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
秤量して分配する装置として、例えば、下記特許文献1に、物品の一部分を把持して取り去る把持手段および、物品の一部分の重量を記録する秤量手段が各々に備えられている複数の採集ユニットを有する装置が開示されている。当該装置は、分配手段と、所定の合計重量のために予めプログラムされているコンピュータをさらに備え、把持手段により把持された物品の重量を秤量手段により計測し、所定場所に投入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載される上記装置では、所定場所に投入される物品の重量が、様々な要因にて予め設定される目標重量値の範囲外になってしまう問題がある。この場合、上記装置の後段にて、物品の重量調整が作業者の手作業にて実施されることとなり、コストアップの原因となる。
【0005】
本発明の一側面の目的は、物品が排出される重量値を精度よく設定可能な計量システムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る計量システムは、容器に収容される物品群のうち一部の第1物品を把持し、排出する第1把持手を有する第1把持部と、物品群のうち他の一部の第2物品を把持し、排出し、かつ、第1把持手とは異なる形状を有する第2把持手を有する第2把持部と、第1把持部にて把持された第1物品の重量値、及び、第1把持部から排出された第1物品の重量値の少なくとも一方を取得する取得部と、重量値に基づき、第2把持部からの第2物品の排出を制御する制御部と、を備える。
【0007】
この計量システムによれば、制御部は、取得部にて取得されると共に第1把持部に把持された第1物品の重量値に基づいて、第2把持部からの第2物品の排出を制御する。これにより、例えば重量値が目標重量値よりも少ない場合、第2把持部から第2物品が排出されることによって、計量システムから排出される物品の最終重量値を目標重量値の範囲内に精度よく設定できる。このように第1把持部及び第2把持部を用いることによって、計量システムから排出される物品の重量値を精度よく設定できる。
【0008】
本発明の他の一側面に係る計量システムは、第1容器に収容される第1物品群のうち一部の第1物品を把持し、排出する第1把持手を有する第1把持部と、第2容器に収容される第2物品群のうち一部の第2物品を把持し、排出し、又は、第1把持部から排出された第1物品の一部を取り出し、かつ、第1把持手とは異なる形状を有する第2把持手を有する第2把持部と、第1把持部にて把持された第1物品の重量値、及び第1把持部から排出された第1物品の重量値の少なくとも一方を取得する取得部と、重量値に基づき、第2把持部による第2物品の排出、又は、第1物品の一部の排出を制御する制御部と、を備え、第2把持部は、第1把持部よりも後段に位置する。
。
【0009】
この計量システムによれば、制御部は、取得部にて取得されると共に第1把持部に把持された第1物品の重量値に基づいて、第2把持部からの第2物品の排出、もしくは、第2把持部による第1物品の一部の排出を制御する。これにより、例えば上記重量値が目標重量値の範囲外である場合、第2把持部から第2物品が排出される、もしくは、第2把持部によって第1物品の一部が排出されることによって、計量システムから排出される物品の最終重量値を目標重量値に精度よく設定できる。このように第1把持部及び第2把持部を用いることによって、計量システムから排出される物品の重量値を精度よく設定できる。
【0010】
第1把持部は、第1把持手を複数有し、取得部は、複数の第1把持手のそれぞれにて把持される第1物品の重量値を取得し、制御部は、取得部にて取得される重量値の組み合わせ計算を行い、予め設定された目標重量値もしくは当該目標重量値の近傍となる第1把持手の組み合わせを選択し、選択された第1把持手の把持を解除する制御を実施してもよい。この場合、第1把持部が第1物品を一度把持した後、計量システムは、複数回の目標重量値の物品を排出可能になる。これにより、物品の生産効率を向上できる。
【0011】
第1把持手は、3つ以上の第1把持爪部を有し、第2把持手は、2つの第2把持爪部を有してもよい。この場合、第2把持手による第2物品の把持を少量に設定できるので、第2把持手による微細な重量調整を実施できる。
【0012】
第2把持手の2つの第2把持爪部が閉じているとき、2つの第2把持爪部の間には、物品群に含まれる物品の径の0.5倍以上1.5倍以下の径を有する空間が設けられてもよい。この場合、第2把持手による第2物品の把持をより少量に設定できる。
【0013】
第2把持手は、第2物品を把持したかどうかを検知する把持検知部を有してもよい。この場合、制御部は、第2把持部による重量調整の可否などを容易に判断できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば物品が排出される重量値を精度よく設定可能な計量システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る計量システムの正面図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は、把持器の把持爪を下方から見た底面図である。
【
図5】
図5(a)は、把持器を下方から見た底面図である。
図5(b),(c)は、把持器の要部拡大側面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る計量システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図7】
図7は、組み合わせ計量装置の正面図である。
【
図8】
図8は、搬送装置及び重量調整装置を示す概略図である。
【
図9】
図9は、把持機構の変形例を示す要部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一側面に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る計量システムの正面図である。
図1に示される計量システム110は、容器50(詳細は後述)に収容される物品群(第1物品群)のうち一部の物品を取り出し、当該物品を外部に排出する組み合わせ計量装置である。計量システム110は、物品群から、重量が目標重量範囲となるように一部の物品を取り出して排出する。計量システム110によって排出される物品は、例えば、計量システム110の後工程で袋に包装されたり、或いは、容器に収容されたりして、商品として出荷される。
【0018】
計量システム110は、ユニット駆動部10と、把持ユニット15と、容器50と、容器駆動部54と、排出シュート60と、制御部70とを備える。
【0019】
ユニット駆動部10には、把持ユニット15が取り付けられている。把持ユニット15は、1つ以上の第1把持モジュール20(第1把持部)と、1つ以上の第2把持モジュール21(第2把持部)とを有するロボットアームである。
【0020】
第1把持モジュール20は、容器50に収容される物品群のうち一部の物品(第1物品)を把持及び排出する把持器30(第1把持手)と、当該物品の重量値を計量する計量器40とを有する。各把持器30は、物品を実際に把持する把持爪30aを有する。また、把持器30には、把持爪30aを駆動する把持部材駆動機構30bが組み込まれている。計量器40は、把持器30が把持する物品の重量値を計量する。
【0021】
第2把持モジュール21は、容器50に収容される物品群のうち他の一部の物品(第2物品)を把持及び排出する把持器31(第2把持手)と、当該物品の重量値を計量する計量器41とを有する。各把持器31は、第1把持モジュール20の把持器30とは異なる形状を有する(詳細は後述)。また、把持器31には、把持部材駆動機構32が組み込まれている。計量器41は、把持器31が把持する物品の重量値を計量する。
【0022】
容器50は、物品群が収容される部材(第1容器)であり、例えば、容器駆動部54により第1位置と第2位置との間を移動可能である。容器50が第1位置に位置する場合、把持器30,31が容器50内の物品群から物品を把持可能である。容器50が第2位置に位置する場合、把持器30,31が容器50内の物品群から物品を把持不可能な位置である。排出シュート60は、把持器30,31が把持を解除した物品を受けて排出する。なお、物品は、例えば、スパゲティ等の麺類、糖類を多く含む食品等である。物品は、高い粘着性を有する食品でもよい。
【0023】
図2は、計量システムのブロック図である。
図2において、制御部70は、把持部材駆動機構30b,32、容器駆動部54などの計量システム110の各種構成の動作の制御を実施する。制御部70は、計量器40が計量した物品の重量値を利用した組合せ計算等を実施する。
【0024】
制御部70は、ユニット駆動部10および容器50を移動させ、把持器30,31と、容器50とを近づける。制御部70は、第1把持モジュール20の把持部材駆動機構30bを制御して、容器50に載置された物品群の物品の一部を、各把持器30の把持爪30aに把持させる。また、制御部70は、第2把持モジュール21の把持部材駆動機構32を制御して、容器50に載置された物品群の物品の別の一部を、各把持器31に把持させる。
【0025】
各計量器40は、その計量器40に対応する把持器30が把持する物品の重量値を計量する。各把持器30によって把持された物品の重量値は、例えば制御部70に含まれる取得部(不図示)によって取得される。制御部70は、各計量器40の計量した把持器30の把持する物品の重量値に基づいて組合せ計算を行う。
【0026】
組合せ計算は、把持器30それぞれが把持する物品の重量値を足し合わせた結果、その合計値が目標重量値となる重量値の組合せを見つける処理である。まず、制御部70は、各重量値を取得する。続いて、制御部70は、組合せ計算の結果に基づいて、目標重量値となる重量値の組合せに対応する把持器30の把持爪30aを選択し、選択した把持器30の把持を解除する制御を実施する。このとき、制御部70は、排出シュート60の上方で把持器30による物品の把持を解除することによって、排出シュート60から目標重量値の物品を排出させる。目標重量値となる重量値の組合わせが不可能である場合であって、目標重量値の近傍となる重量値の組合わせに対応する把持器30の把持爪30aを見つけた場合、制御部70は、当該組み合わせに対応する把持器30を選択し、選択した把持器30の把持を解除する制御を実施する。当該制御は、例えば、目標重量値となる重量値の組合せに対応する把持器30以外の把持器30の重量値を用いて実施される。
【0027】
第1実施形態では、目標重量値は、理想となる重量値(理想重量値)を含む一定の重量範囲であり、予め設定される。例えば、目標重量値の下限は理想重量値の90%、もしくは95%であり、目標重量値の上限は理想重量値の110%、もしくは105%である。また、目標重量値の近傍は、例えば、上記下限の90%以上100%未満、もしくは上記下限の95%以上100%未満でもよいし、上記上限の100%より大きく110%以下、もしくは上記上限の100%より大きく105%以下でもよい。
【0028】
(2)詳細構成
図3は、把持ユニットの概略斜視図である。
図4(a)~(c)は、把持器の把持爪を下方から見た底面図である。以下、
図1、
図3、
図4(a)~(c)を用いて、ユニット駆動部10および把持ユニット15を説明する。
【0029】
(2-1)ユニット駆動部10
図1に示されるように、計量システム110は、2つのユニット駆動部10を備えている。
図1の正面視左側のユニット駆動部10を第1ユニット駆動部10Aとし、
図1の正面視右側のユニット駆動部10を第2ユニット駆動部10Bとする。ただし、共通する構成および機能を説明するときは、単に、ユニット駆動部10という。
【0030】
ユニット駆動部10は、2本の平行に延びるフレーム12と、把持ユニット15をフレーム12に沿って水平移動させる前後移動機構11を有している。ユニット駆動部10は、前後移動機構11によって、把持ユニット15を保持するブロック111を正面視前方または正面視後方に移動させることができる。ユニット駆動部10は、例えば、ブロック111を移動させるサーボモータ、エアシリンダなどを有する。
【0031】
計量システム110では、第1把持ユニット15Aと第2把持ユニット15Bとが水平方向に配置される。また、第1把持ユニット15Aは第1ユニット駆動部10Aによって、第2把持ユニット15Bは第2ユニット駆動部10Bによって、前後方向に水平移動することができる。容器50内の物品群の位置と、把持ユニット15毎に設定される物品把持位置とを合わせることができる。
【0032】
(2-2)把持ユニット15
図1に示すように、計量システム110は、2つの把持ユニット15を備えている。
図1の正面視左側の把持ユニット15を第1把持ユニット15Aとし、
図1の正面視右側の把持ユニット15を第2把持ユニット15Bとする。但し、共通する構成および機能を説明するときは、単に、把持ユニット15という。
【0033】
把持ユニット15は、ユニット駆動部10のブロック111に連結される板状の連結部材16と、1つ以上の第1把持モジュール20と、1つ以上の第2把持モジュール21と、を含んでいる。
【0034】
(2-2-1)連結部材16
連結部材16は、例えば、ネジ止めによってユニット駆動部10のブロック111に連結される。
【0035】
(2-2-2)第1把持モジュール20
図3に示されるように、第1把持モジュール20は、把持器30と計量器40とが一体的に組み立てられた機器である。計量器40の天面は、取付金具400を介して連結部材16に固定されており、計量器40の底面には把持器30が固定されている。
【0036】
(2-2-2-1)把持器30
把持器30は、物品を把持する装置である。各把持器30は、把持爪30aと、把持爪30aを駆動する駆動機構としての把持部材駆動機構30bとを有している。把持部材駆動機構30bは、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持爪30aを駆動する。
【0037】
第1実施形態では、把持爪30aは、
図3に示す通り、棒状又は指状の部材の先端に、物品を引っ掛けることができるように内側へ屈曲させた爪を形成している。各把持器30は、複数(例えば、3つ以上)の把持爪30a(第1把持爪部)を有している。なお、
図3等に描画されている把持爪30aの数や形状は例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0038】
図4(a),(b)に示されるように、各把持器30を把持爪30a側(下側)から視たとき、複数の把持爪30aは周方向に並べて配置されている。また、各把持器30の把持爪30a側から視たとき、複数の把持爪30aは周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。さらに、各把持器30を把持爪30a側から視たとき、把持爪30aは径方向に移動可能である。把持器30は、互いに離れた状態にある把持爪30aを、把持部材駆動機構30bによって径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることによって、複数の把持爪30aの間に物品を挟み込んで物品を把持する。把持器30は、互いに近づいた状態にある把持爪30aを、把持部材駆動機構30bによって径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることによって、物品の把持を解除する。言い換えると、把持ユニット15の複数の把持爪30aは、少なくとも、第1状態と第2状態とのいずれかの状態に切り換えられる。第1状態は、把持爪30a同士の相対距離を第1距離まで縮めて物品を把持する状態である。第2状態は、把持爪30a同士の相対距離を第1距離より大きい第2距離まで広げて物品の把持を解除する状態である。第2状態は、例えば、把持器30の把持爪30aは、
図4(c)に示される仮想円C1の位置まで閉じた状態でもよい。第2状態は、把持爪30aの初期状態とみなしてもよい。
【0039】
但し、物品が把持爪30aによって潰されないように、または過負荷保護の目的で、把持力制限機能を設けている場合、把持爪30a同士の相対距離を第1距離まで縮める前に物品からの外力で停止する。それゆえ、第1状態は必ずしも「把持爪30a同士の相対距離を第1距離まで縮めた状態である必要はなく、第1状態は物品を把持することができる距離まで縮めた状態であってもよい。
【0040】
(2-2-2-2)計量器40
第1把持モジュール20では、各把持器30に対して、1個の計量器40が設けられている。計量器40は、対応する把持器30の把持爪30aが把持している物品の重量値を計量する。
【0041】
各計量器40は、センサ部40a(
図3を参照)と、図示しない内部制御部とを含んでいる。センサ部40aは、力センサと、加速度センサとを含む。力センサとして、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサは、例えば、歪みゲージ式ロードセルや、MEMS型の小型加速度センサが採用される。
【0042】
計量器40の内部制御部は、物品を把持した状態の把持器30がユニット駆動部10の移動に伴い移動させられるとき、センサ部40aで計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の把持している物品の質量を測定する。具体的には、計量器40の内部制御部は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持器30の把持している物品の質量を測定する。
【0043】
但し、計量器40は、把持器30の移動時に計測される力と加速度とに基づいて物品の質量を計量する方式に限定されるものではない。計量器40は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持器30が把持している物品の重量を計量するものであってもよい。
【0044】
(2-2-3)第2把持モジュール21
図3に示されるように、第2把持モジュール21は、把持器31と計量器41とが一体的に組み立てられた機器である。計量器41の天面は、取付金具400を介して連結部材16に固定されており、計量器41の底面には把持器31が固定されている。
【0045】
(2-2-3-1)把持器31
把持器31は、物品を把持する装置である。把持器31は、把持器30と比較して少量の物品を把持する。把持器31が把持する物品の一部もしくは全部が排出されることによって、計量システム110から排出される物品の重量値が調整される。
図3に示されるように、各把持器31は、把持部材駆動機構32と、複数の把持機構33と、円盤部34とを有する。把持部材駆動機構32は、例えば円柱形状を有する主部であり、例えば、筐体内に収容されるモータなどを駆動源として、把持機構33及び円盤部34を駆動する。
【0046】
図5(a)は、把持器を下方から見た底面図である。
図5(b),(c)は、把持器の要部拡大側面図である。
図5(a)に示されるように、把持器31を下側から視たとき、複数の把持機構33は、周方向に並べて配置されている。また、把持器31を下側から視たとき、複数の把持機構33は周方向に概ね等間隔に並べて配置されている。第1実施形態では、把持器31には4つの把持機構33が設けられるが、これに限られない。各把持機構33は、互いに同期して駆動してもよいし、互いに独立して駆動してもよい。複数の把持機構33のそれぞれは、筒部35と、第1爪部36及び第2爪部37(第2把持爪部)とを有する。
【0047】
筒部35は、側面視にて円錐台形状を有する部分であって、円盤部34に設けられる開口34a内に設けられる。筒部35の少なくとも一部は、円盤部34よりも下方に位置する。筒部33aの径は、下側に向かうほど小さくなる。
【0048】
第1爪部36及び第2爪部37は、把持器31において物品を実際に把持する部分である。第1実施形態では、第1爪部36は固定される一方で、第2爪部37は把持部材駆動機構32によって水平移動できる。
図5(b)、(c)に示されるように、第2爪部37が第1爪部36に近づくように水平移動(径方向内側に移動)することによって、第1爪部36と第2爪部37とが閉塞状態になる。また、第2爪部37が第1爪部36から遠ざかるように水平移動(径方向外側に移動)することによって、第1爪部36と第2爪部37とが開放状態になる。例えば、把持機構33が物品群に接する状態において、第1爪部36と第2爪部37とが閉塞状態になることによって、把持機構33は、物品を把持する。
【0049】
第1爪部36は、基部36aと、先端部36bと、溝部36cとを有する。基部36aは、筒部35に固定される棒状部分である。基部36aの一部は、筒部35の先端から下方に突出している。先端部36bは、基部36aの先端から下方に突出する部分である。先端部36bは、第2爪部37に対して離れるように延在する。先端部36bにおいて第2爪部37に対向する面は、曲面であるが、これに限られない。当該面は、傾斜面でもよい。先端部36bの長さは、例えば4mm程度である。先端部36bの先端は、円盤部34の開口34aよりも内側に位置する。
【0050】
溝部36cは、第1爪部36と第2爪部37とが閉塞状態において物品が入り込む部分であり、基部36aに設けられる窪みである。第1実施形態では、溝部36cは、基部36aにおいて第2爪部37に対向する面上に設けられており、第2爪部37から離れるように窪んでいる。第1爪部36と第2爪部37とが対向する方向ならびに上下方向に直交する方向において、溝部36cは、基部36aの一端から他端まで延在している。側面視にて、溝部36cは、例えば半円形状、半楕円形状などを有する。
【0051】
第2爪部37は、基部37aと、先端部37bと、溝部37cとを有する。基部37aは、筒部35に設けられる溝35a内を移動可能な棒状部分である。図示しないが、基部37aは、把持部材駆動機構32に接続される。基部37aの一部は、筒部35の先端から下方に突出している。先端部37bは、基部37aの先端から下方に突出する部分である。先端部37bは、第1爪部36の先端部36bと同様に、第1爪部36に対して離れるように延在する。先端部37bにおいて第1爪部36に対向する面は、曲面であるが、これに限られない。当該面は、傾斜面でもよい。先端部37bの長さは、例えば4mm程度である。第1爪部36と第2爪部37とが開放状態及び閉塞状態のいずれであっても、先端部37bの先端は、円盤部34の開口34aよりも内側に位置する。
【0052】
溝部37cは、第1爪部36と第2爪部37とが閉塞状態において物品が入り込む部分であり、基部37aに設けられる窪みである。第1実施形態では、溝部37cは、基部37aにおいて第1爪部36に対向する面上に設けられており、第1爪部36から離れるように窪んでいる。第1爪部36と第2爪部37とが対向する方向ならびに上下方向に直交する方向において、溝部37cは、基部37aの一端から他端まで延在している。側面視にて、溝部37cは、例えば半円形状、半楕円形状などを有する。
【0053】
第1爪部36と第2爪部37とが閉塞状態であるとき、基部36a,37aが互いに接する一方で、先端部36b,37bが互いに離間している。このため、閉塞状態においては、先端部36b,37bによる物品の把持が不可能または困難になっている。一方、第1爪部36と第2爪部37とが閉じているとき、溝部36c,37cが合わさることによって、第1爪部36と第2爪部37との間には、略円筒状の空間Sが設けられる。空間Sの径Dは、例えば物品群に含まれる物品の径の0.5倍以上1.5倍以下である。第1爪部36及び第2爪部37が以上の構成を有することによって、各把持機構33によって把持される物品を、空間S内に収容される物品のみに制限できる。
【0054】
円盤部34は、把持部材駆動機構32によって上下方向に移動可能な板部材である。円盤部34が下方向に移動することによって、把持機構33に付着する物品を落とすことができる。これにより、計量器41により計量される物品の重量値と、把持器31から排出される物品の重量値との間に差が発生しにくくなる。
【0055】
図示しないが、第1実施形態では、把持器31は、各把持機構33が物品を把持したかどうかを検知する把持検知部を有する。把持検知部は、例えば、空間S内に物品が存在するか否かを検知する部材である。把持検知部は、例えば、フォトセンサ、静電容量センサなどである。
【0056】
(2-2-3-2)計量器41
第2把持モジュール21では、各把持器31に対して、1個の計量器41が設けられている。計量器41は、対応する把持器31が把持している物品の重量値を計量する。第1実施形態では、各計量器41の構造は、第1把持モジュール20に含まれる計量器40の構造と同一であるが、これに限られない。
【0057】
(2-4)容器50
容器50には、物品群が収容されている。容器50は、水平移動および鉛直移動する載置面52に容器50が載置されている。第1実施形態では、容器50は、上方が開いた直方体状の容器である。容器50は、内部に収容される物品の量が減少すると、人又は機械が、内部の物品の量が減少した容器50を、新たな(物品が多く収容されている)容器50と交換可能に構成されている。なお、容器50は、容器が交換可能に構成される代わりに、容器50に物品を供給するための物品供給機構を有してもよい。容器50は、容器駆動部54により、第1位置と、第2位置との間を移動する。
【0058】
第1位置は、第1把持ユニット15Aの把持器30の直下の位置であり、且つ第1把持ユニット15Aの把持器30が容器50内の物品を把持することができる位置である。容器50が第1位置にある時には、第2把持ユニット15Bの把持器30,31は容器50内の物品を把持することができない。
【0059】
一方、容器50の第2位置は、第2把持ユニット15Bの把持器30の直下の位置であり、且つ第2把持ユニット15Bの把持器30が容器50内の物品を把持することができる位置である。容器50が第2位置にある時には、第1把持ユニット15Aの把持器30,31は容器50内の物品を把持することができない。
【0060】
(2-5)容器駆動部54
容器駆動部54は、モータ、流体圧を駆動源として、容器50を水平移動させることができる。容器駆動部54は、例えば、直方体形状の駆動体540を有している。
図1において、正面視手前を前方としたとき、2つの排出シュート60の前方にある駆動体を第1駆動体541、後方にある駆動体を第2駆動体(不図示)という。2つの排出シュート60の前方には2本の水平支柱が上下に平行に設けられ、後方にも2本の水平支柱が上下に平行に設けられている。正面視において、下側の水平支柱が第1水平支柱551であり、上側の水平支柱が第2水平支柱552である。
【0061】
容器駆動部54の第1駆動体541は、例えば左右移動機構56(
図2を参照)を有しており、第1水平支柱551および第2水平支柱552に沿って水平移動することができる。また図示しないが、容器駆動部54の第2駆動体も左右移動機構57(
図2を参照)を有しており、第1水平支柱551及び第2水平支柱552とは異なる水平支柱に沿って水平移動できる。第1駆動体541と第2駆動体とは同期して移動する。
【0062】
このように、計量システム110では、第1把持ユニット15Aと第2把持ユニット15Bとが水平方向に配置されており、容器50は左右移動機構によって左右方向に水平移動することができるので、容器50内の物品群の位置と、把持ユニット15毎に設定される物品把持位置とを合わせることができる。
【0063】
載置面52は、その下面の4隅から鉛直下方に延びる4本の鉛直支柱を有している。正面視において、左側の支柱を第1鉛直支柱521とし、右側の支柱を第2鉛直支柱522とする。また、図示しないが、第1鉛直支柱521の裏には第3鉛直支柱が設けられ、第2鉛直支柱522の裏には第4鉛直支柱が設けられる。
【0064】
第1駆動体541は、鉛直移動機構(不図示)を有しており、第1鉛直支柱521および第2鉛直支柱522を鉛直方向に移動させることができる。また、第2駆動体も同様の鉛直移動機構を有しており、第3鉛直支柱および第4鉛直支柱を鉛直方向に移動させることができる。第1駆動体541と第2駆動体とは、第1鉛直支柱521および第2鉛直支柱522と、第3鉛直支柱および第4鉛直支柱とを、同期して鉛直方向に移動させることができる。
【0065】
このように、計量システム110では、容器50は鉛直移動機構によって上下方向に移動することができるので、容器50が各把持ユニット15に対して鉛直方向に離れて配置されている場合でも、容器50内の物品群の位置と、把持ユニット15毎に設定される物品把持位置とを合わせることができる。また、計量システム110では、鉛直移動機構が左右移動機構を昇降させる必要はなく、容器50だけを昇降させればよいので、容器50を昇降させる際の負荷が軽減されている。さらに、計量システム110では、排出シュート60の入口よりも上方の空間に左右移動機構56が配置されていないので、排出シュート60への異物混入が回避される。同様に、排出シュート60の入口よりも上方の空間に鉛直移動機構が配置されていないので、排出シュート60への異物混入が回避される。
【0066】
(2-6)排出シュート60
図1に示されるように、計量システム110は、2つの排出シュート60を備えている。
図1の正面視左側の排出シュート60を第1排出シュート60Aとし、
図1の正面視右側の排出シュート60を第2排出シュート60Bとする。但し、共通する構成および機能を説明するときは、単に、排出シュート60という。
【0067】
排出シュート60は漏斗状の部材である。排出シュート60は、把持ユニット15の直下に配置される。具体的には、第1把持ユニット15Aの直下に第1排出シュート60Aが配置され、第2把持ユニット15Bの直下に第2排出シュート60Bが配置される。
【0068】
容器50は、第1把持ユニット15Aと第1排出シュート60Aとの間、または第2把持ユニット15Bと第2排出シュート60Bとの間に配置される。
【0069】
第1排出シュート60Aは、容器50が第2把持ユニット15Bと第2排出シュート60Bとの間に位置する時に、第1把持ユニット15Aの把持器30が把持を解除して落下させる物品を受けて計量システム110の外に排出する。
【0070】
同様に、第2排出シュート60Bは、容器50が第1把持ユニット15Aと第1排出シュート60Aとの間に位置する時に、第2把持ユニット15Bの把持器30が把持を解除して落下させる物品を受けて計量システム110の外に排出する。
【0071】
本実施形態では、2つの排出シュートを用いているが、これに限定されるものではなく、第1把持ユニット15Aおよび第2把持ユニット15Bが1つの排出シュートを共有することもある。また、排出シュートを使用せず、直接外部に排出することも可能である。
【0072】
(2-7)制御部70
制御部70は、図示を省略するCPUに加えて、ROM、RAM等のメモリを有する。
図2に示すように、制御部70は、ユニット駆動部10、把持部材駆動機構30b,32、計量器40,41、容器駆動部54と電気的に接続されている。制御部7には、理想重量値等が操作パネル101を介して入力される。
【0073】
制御部70は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、ユニット駆動部10、把持部材駆動機構30b,32、容器駆動部54等の計量システム110の各種構成の動作の制御や、計量器40,41の計量した物品の重量値を利用した組合せ計算等を行う。制御部70の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0074】
制御部70は、把持部材駆動機構30bを介して、把持爪30aを駆動し、把持爪30aに物品を把持させ、その後に物品の把持を解除させる。ここでは、「把持する」とは、
図4(a)に示すような互いに離れた位置にある複数の把持爪30aが、径方向内向きに動き、
図4(b)に示すような互いに近づいた位置に移動することであり、「把持を解除する」とは、把持した後に再び、
図4(a)に示すような互いに離れた位置に戻ること、という。
【0075】
制御部70は、把持部材駆動機構32を介して、把持器31の把持機構33を駆動する。これにより、第1爪部36及び第2爪部37に物品を把持させ、その後に物品の把持を解除させる。制御部70による把持部材駆動機構32の制御は、把持器30から取得される重量値に基づいて実施される。例えば、把持器30から取得される重量値が目標重量値である場合、把持器31による物品の把持は維持される。一方、把持器30から取得される重量値が目標重量値未満であって、当該目標重量値の近傍である場合、一部もしくは全部の把持器31による物品の把持が解除される。これにより制御部70は、把持器30,31の両方から排出された物品の合計重量値を、目標重量値に到達させる。ここでは、「把持する」とは、
図5(b)に示すような互いに離れた位置にある複数の把持爪30aが、径方向内向きに動き、
図5(c)に示すような互いに近づいた位置に移動することであり、「把持を解除する」とは、把持した後に再び、
図5(b)に示すような互いに離れた位置に戻ること、という。
【0076】
以上に説明した第1実施形態に係る計量システム110によれば、制御部70は、計量器40にて得られると共に把持器30によって把持される第1物品の重量値に基づいて、把持器31からの第2物品の排出を制御する。これにより、例えば重量値が目標重量値よりも少ない場合、第2把持モジュール21の把持器31から第2物品が排出されることによって、計量システム110から排出される物品の最終重量値を目標重量値の範囲内に精度よく設定できる。このように把持器30,31を用いることによって、計量システム110から排出される物品の重量値を精度よく設定できる。
【0077】
第1実施形態では、第1把持モジュール20は、把持器30を複数有し、取得部としても機能する制御部70は、複数の把持器30のそれぞれにて把持される第1物品の重量値を取得し、上記取得部にて取得される重量値の組み合わせ計算を行い、予め設定された目標重量値もしくは当該目標重量値の近傍となる把持器30の組み合わせを選択し、選択された把持器30の把持を解除する制御を実施する。このため、把持器30が容器50の物品群から一部の物品を一旦把持した後、計量システム110は、目標重量値の物品を複数回排出可能になる。これにより、計量システム110による物品の生産効率を向上できる。
【0078】
第1実施形態では、把持器30は、3つ以上の把持爪30aを有し、把持器31は、2つの爪部である第1爪部36及び第2爪部37を有する。このため、把持器30による物品の把持を少量に設定できるので、把持器30による微細な重量調整を実施できる。
【0079】
第1実施形態では、第1爪部36及び第2爪部37が閉じているとき、第1爪部36と第2爪部37との間には、物品群に含まれる物品の径の0.5倍以上1.5倍以下の径Dを有する空間Sが設けられる。このため、把持器31による物品の把持をより少量に設定できる。
【0080】
第1実施形態では、把持器31は、物品を把持したかどうかを検知する把持検知部を有する。このため、制御部70は、把持器31による重量調整の可否などを容易に判断できる。
【0081】
(第2実施形態)
以下では、第2実施形態に係る計量システムについて説明する。第2実施形態の説明において第1実施形態と重複する記載は省略し、第1実施形態と異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0082】
図6は、第2実施形態に係る計量システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図6に示されるように、第2実施形態に係る計量システム300は、組み合わせ計量装置110Aと、搬送装置310と、重量調整装置320とを有する。計量システム300においては、組み合わせ計量装置110Aが最も上流に位置する。このため、搬送装置310と、重量調整装置320とは、組み合わせ計量装置110Aよりも後段に位置する。
【0083】
図7は、組み合わせ計量装置の正面図である。
図7に示される組み合わせ計量装置110Aは、第2把持モジュール21を有さない点で、上記第1実施形態の計量システム110と異なる。換言すると、組み合わせ計量装置110Aは、把持ユニット15として、第2把持モジュール21を含まない把持ユニット15C,15Dを有する。このため、組み合わせ計量装置110Aに含まれる制御部は、複数の把持器30のそれぞれにて把持される物品の重量値の組み合わせ計算を実施する。その後、当該制御部は、予め設定された目標重量値もしくは当該目標重量値の近傍となる把持器30の組み合わせを選択し、選択された把持器30の把持を解除する制御を実施する。当該制御後、把持器30から排除された物品は、排出シュート60を通って組み合わせ計量装置110Aの外に排出される。当該物品は、例えば、排出シュート60の出口に予め準備される収納容器内に収容される。
【0084】
図8は、搬送装置及び重量調整装置を示す概略図である。
図8に示されるように、搬送装置310は、組み合わせ計量装置110Aから排出される物品G1を収容する収容容器SCを搬送する装置であり、例えばベルトコンベアである。搬送装置310は、収容容器SCの重量値を測定するための重量測定装置を有してもよい。例えば、収容容器SCに含まれる物品G1の重量値が目標重量値から外れる場合、搬送装置310は、一時停止してもよい。この場合、収容容器SCが重量調整装置320による重量調整が可能な位置まで搬送された後、搬送装置310が一時停止してもよい。重量調整装置320による重量調整が実施された後、搬送装置310による収容容器SCの搬送が再開されてもよい。
【0085】
重量調整装置320は、収容容器SC内の物品の重量を調整する装置(第2把持部)であり、例えばロボットアームである。重量調整装置320は、本体部321と、アーム322と、制御部323と、物品群G2(第2物品群)を収容する容器324(第2容器)とを有する。本体部321は、アーム322を支持する部分であって、工場の床などに固定される。本体部321は、ディスプレイ、タッチパネル、キーボードなどのユーザインターフェースを有してもよい。
【0086】
アーム322は、容器324に収容される物品群G2、もしくは、収容容器SC内の物品G1を把持または排出する部分である。アーム322の先端には、把持器31A(第2把持手)及び計量器41Aを有する把持モジュール21Aが装着される。重量調整装置320の把持モジュール21Aは、上記第1実施形態の第2把持モジュール21と同様の構造を有するため、組み合わせ計量装置110Aの第1把持モジュール20と異なる形状を有する。把持器31Aにおいては、上記第1実施形態の第2把持モジュール21と同様の動作が可能である。アーム322の動作によって、把持モジュール21Aは、搬送装置310の直上と、容器324の直上とに移動可能である。加えて、把持モジュール21Aは、搬送装置310の近傍と、容器324の近傍とに接近可能である。このため、把持モジュール21Aに含まれる把持器31Aは、搬送装置310上の収容容器SC内の物品G1の一部と、容器324に収容される物品群G2の一部とのそれぞれを把持可能である。加えて、把持器31Aは、把持した物品G1の一部もしくは全部を容器324に排出可能であり、かつ、把持した物品群G2の一部を収容容器SC内に排出可能である。把持モジュール21Aに含まれる計量器41Aは、把持器31Aが把持した物品G1もしくは物品群G2の一部を計量する。
【0087】
制御部323は、図示を省略するCPUに加えて、ROM、RAM等のメモリを有する。制御部323は、組み合わせ計量装置110A、及び搬送装置310と電気的に接続されている。制御部323は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、アーム322と把持モジュール21Aとの各種構成の動作の制御、計量器41Aが計量した重量値の取得、組み合わせ計量装置110A及び/または搬送装置310から送信される重量値の取得、把持モジュール21Aが把持もしくは排出すべき重量値の算出等を行う。制御部323の各種機能は、ソフトウェアで実現されなくてもよく、ハードウェアで実現されても、ハードウェアとソフトウェアとが協働することで実現されてもよい。
【0088】
制御部323は、アーム322の移動を制御することによって、容器324及び収容容器SCの一方の近傍に把持モジュール21Aを位置させる。このとき、把持器31Aは、物品G1もしくは物品群G2に接触する。続いて、制御部323は、上記第1実施形態の制御部70と同様に、把持器31Aに含まれる各部分を駆動させ、把持器31Aに物品を把持させる。続いて、制御部323は、アーム322の移動を制御することによって、容器324及び収容容器SCの他方の近傍に把持モジュール21Aを位置させる。そして、組み合わせ計量装置110A及び/または搬送装置310から得られる重量値に基づいて、把持モジュール21Aの把持を解除する制御を実施する。
【0089】
例えば、組み合わせ計量装置110Aから送信される物品G1の重量値が目標重量値である場合、重量調整装置320による重量調整はなされなくてもよいし、理想重量値になるように重量調整がなされてもよい。例えば、組み合わせ計量装置110Aから送信される物品G1の重量値が目標重量値未満であって、当該目標重量値の近傍である場合、把持器31Aは、容器324から物品群G2の一部を把持した後、当該一部を収容容器SC内に排出する。例えば、組み合わせ計量装置110Aから送信される物品G1の重量値が目標重量値よりも大きく、当該目標重量値の近傍である場合、把持器31Aは、収容容器SC内から物品G1の一部を把持した後、当該一部を容器324に排出する。以上の動作により、制御部323は、計量システム300から排出された物品の合計重量値を、目標重量値に到達させる。
【0090】
容器324は、物品群G2が収容される部材であり、所定位置に固定される。物品群G2は、収容容器SC内の物品G1と同一である。容器324は、搬送装置310を挟んで本体部321の反対側に位置するが、これに限られない。容器324内の物品群G2は、容器50と同様の手法にて補充可能である。
【0091】
以上に説明した第2実施形態に係る計量システム300においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、第2実施形態によれば、組み合わせ計量装置110Aから送信される物品G1の重量値が目標重量値よりも大きい場合であっても、計量システム300から排出される物品の重量値を目標重量値に調整できる。このため、組み合わせ計量装置110Aから物品が排出されやすくなるので、物品の生産効率をより向上できる。
【0092】
以上、本発明を上記実施形態及び変形例に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態及び上記変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲でさらなる変形が可能である。
【0093】
図9は、把持機構の変形例を示す要部拡大側面図である。
図9に示されるように、把持機構33Aは、筒部35と、第1爪部36Aと、第2爪部37Aとを有する態様でもよい。第1爪部36Aは、先端部36bを有さない代わりに、外周湾曲面36dを有する点で、上記第1実施形態の第1爪部36と異なる。外周湾曲面36dは、第2爪部37Aから離れるように基部36aの先端から延在する側面であり、下に向かって凸となっている。同様に、第2爪部37Aは、先端部37bを有さない代わりに、外周湾曲面37dを有する点で、上記第1実施形態の第2爪部37と異なる。外周湾曲面37dは、第1爪部36Aから離れるように基部37aの先端から延在する側面であり、下に向かって凸となっている。このような把持機構33Aが用いられる場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が発揮され得る。
【0094】
上記第1実施形態では、第1把持モジュールが計量した物品の重量値に基づいて、第2把持モジュールの把持の解除の要否が判断されるが、これに限られない。例えば、制御部は、第1把持モジュールが排出した物品の重量値に基づいて、第2把持モジュールに把持される物品の排除を制御してもよい。この場合、例えば、排出シュート等に設けられる計量器から、制御部は、第1把持モジュールが排出した物品の重量値を取得する。また、制御部は、第1把持モジュールが計量した物品の重量値と、第1把持モジュールが排出した物品の重量値との両方に基づいて、第2把持モジュールに把持される物品の排除を制御してもよい。この場合、制御部は、例えば上記重量値の差分なども利用できる。
【0095】
上記第2実施形態では、組み合わせ計量装置に含まれる第1把持モジュールが計量した物品の重量値に基づいて、制御部は、重量調整装置の把持器に把持される物品の排除、もしくは、収容容器内からの物品の回収を制御するが、これに限られない。例えば、制御部は、搬送装置等に含まれる重量測定装置が計量した物品の重量値に基づいて、重量調整装置による重量調整が実施されてもよい。また、組み合わせ計量装置に含まれる第1把持モジュールが計量した物品の重量値と、搬送装置等に含まれる重量測定装置が計量した物品の重量値との両方に基づいて、重量調整装置による重量調整が実施されてもよい。
【0096】
上記第2実施形態では、重量調整装置が収容容器から物品を把持した場合、当該物品の把持を容器上にて解除するが、これに限られない。例えば、把持した物品を廃棄するためのシュート上等にて解除してもよい。また、重量調整装置が収容容器から物品を把持した場合、収容容器の重量値に応じて当該物品の一部または全てを収容容器内に戻してもよい。
【符号の説明】
【0097】
10…ユニット駆動部、15…把持ユニット、20…第1把持モジュール(第1把持部)、21…第2把持モジュール(第2把持部)、21A…把持モジュール、30…把持器(第1把持手)、30a…把持爪(第1把持爪部)、30b,32…把持部材駆動機構、31,31A…把持器(第2把持手)、33,33A…把持機構、35…筒部、36,36A…第1爪部、36a,37a…基部、36b,37b…先端部、36c,37c…溝部、36d,37d…外周湾曲面、37,37A…第2爪部、40,41,41A…計量器、50…容器(第1容器)、70,323…制御部、110,300…計量システム、110A…組み合わせ計量装置、310…搬送装置、320…重量調整装置、324…容器(第2容器)、G1…物品、G2…物品群、S…空間。