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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038825
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】位置管理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230310BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230310BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G06Q50/30
G08G1/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145740
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】水谷 友哉
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 いずみ
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181FF03
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB04
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】位置確認用のデバイスが設けられたGSEだけでなく、位置確認用のデバイスが設けられていない地上支援装置についても位置情報を取得できる。
【解決手段】位置管理システム10は、画像を撮影可能な画像取得部42と、GSE4の現在位置情報を取得する位置情報取得部43と、制御部36と、を有する。制御部36は、画像取得部42によって撮影された画像に含まれるGSE4の現在位置情報を位置情報取得部43に取得させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港において地上支援作業を行う複数の地上支援装置の位置を管理する位置管理システムであって、
画像を撮影可能な画像取得部と、
前記地上支援装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記画像取得部によって撮影された前記画像に含まれる少なくとも1つの前記地上支援装置を前記現在位置情報の取得対象である取得対象装置と決定し、
前記取得対象装置の前記現在位置情報を、前記取得対象装置以外の前記地上支援装置又は前記空港の設備に設けられた前記位置情報取得部に取得させることを特徴とする位置管理システム。
【請求項2】
前記複数の地上支援装置の走行開始位置から作業位置までの走行経路を設定する経路設定部と、
作業者に報知を行う報知部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記現在位置情報が、前記取得対象装置が前記走行経路から外れていることを示すものである場合、前記報知部に異常を報知させることを特徴とする請求項1に記載の位置管理システム。
【請求項3】
前記複数の地上支援装置は、前記画像取得部及び前記位置情報取得部が設置された少なくとも1つの第1地上支援装置を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置管理システム。
【請求項4】
前記位置情報取得部は、レーザーを前記地上支援装置に照射させることによって前記現在位置情報を取得することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の位置管理システム。
【請求項5】
前記画像取得部は、前記地上支援装置を含む前記空港の俯瞰画像を撮影可能であることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の位置管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空港において、地上支援装置の位置情報を取得・管理するための位置管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空港には、航空機に対する地上支援作業を行うための地上支援装置が配備されている。地上支援装置はGSE(Ground Support Equipment)と呼ばれており、GSEにはボーディングブリッジ、ハイリフトローダ、ベルトローダ、トーイングトラクタ、給油車、空港電源車、パッセンジャーステップ、ドーリ等の様々な種類がある。ドーリは、トーイングトラクタによって牽引される動力機構を持たないGSEである。
【0003】
各GSEは、地上支援作業を行うにあたって空港内を移動する。このとき、各GSEの作業進捗や走行状況の把握のため、各GSEの位置情報の取得・管理を適切に行うことが求められる。従来、GSEの位置情報は、作業者の目視による位置確認や、無線機や電話等を用いた作業者同士の連絡によって行われていた。しかし、目視による位置確認ではズレが生じるおそれがあり、無線等を用いた作業者同士の連絡による位置確認では作業者の負担が大きい。
【0004】
また、GPS(Global Positioning System)を利用してGSEの位置情報を取得することも考えられる。例えば、特許文献1には、GPSを有する親機が設置された1台のドーリと、ドーリの識別情報を親機に送信する子機が設置された複数のドーリとを含む位置管理システムが開示されている。この位置管理システムでは、親機は、GPSで検出された位置情報と、複数のドーリについての識別情報とを管理サーバに送信する。これにより、管理サーバにおいて空港内における全てのドーリの位置が管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-134389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高コスト等の理由から、空港で作業するGSEの一部のみにしかGPSを有するデバイスを設置することができないのが現状である。そうすると、GPSで空港内の全てのGSEの位置情報を取得することはできない。
【0007】
また、動力機構を有するGSEの位置情報を取得する場合、GSEに設置された親機や子機などのいわゆる位置確認用のデバイスを動作させるための電力は、GSEに内蔵されたバッテリーなどから供給することができる。しかしながら、特許文献1に開示されているように、ドーリのような動力機構を持たないGSEに設置された位置確認用のデバイスに対しては、GSE側から電力を供給することができない。このため、親機や子機などの位置確認用のデバイスに電力を供給するための電池を、別途、GSEに搭載しなければならない。GSEに搭載した電池は定期的に交換をする必要があり、作業者にとって手間となる。特に、特許文献1のように、各ドーリに親機や子機が設置される場合、各ドーリの電池交換を行う必要があるため、大変な手間である。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、位置確認用のデバイスが設けられたGSEだけでなく、デバイスが設けられていない地上支援装置の位置情報も取得できる位置管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の位置管理システムは、空港において地上支援作業を行う複数の地上支援装置の位置を管理する位置管理システムであって、画像を撮影可能な画像取得部と、前記地上支援装置の現在位置情報を取得する位置情報取得部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記画像取得部によって撮影された前記画像に含まれる少なくとも1つの前記地上支援装置を前記現在位置情報の取得対象である取得対象装置と決定し、前記取得対象装置の前記現在位置情報を、前記取得対象装置以外の前記地上支援装置又は前記空港の設備に設けられた前記位置情報取得部に取得させることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、撮影された画像に含まれる地上支援装置である取得対象装置の現在位置情報を、取得対象装置以外の地上支援装置又は空港の設備に設けられた位置情報取得部によって取得する。このため、取得対象装置に位置管理用のデバイスが搭載されているか否にかかわらず、当該取得対象装置の現在位置情報を、位置情報取得部によって間接的に取得することができる。これにより、GPSを有する親機や親機と通信可能な子機などといった位置確認用のデバイスが設けられていない地上支援装置についても位置情報を取得することができる。
【0011】
本発明において、位置管理システムは、前記複数の地上支援装置の走行開始位置から作業位置までの走行経路を設定する経路設定部と、作業者に報知を行う報知部と、をさらに備え、前記制御部は、前記現在位置情報が、前記取得対象装置が前記走行経路から外れていることを示すものである場合、前記報知部に異常を報知させることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、位置確認用のデバイスが設けられていない地上支援装置について、走行経路に沿って適切に移動しているか否かを作業者が把握することができる。
【0013】
本発明の位置管理システムでは、複数の地上支援装置は、前記画像取得部及び前記位置情報取得部が設置された少なくとも1つの第1地上支援装置を含むことが好ましい。
【0014】
画像取得部及び位置情報取得部が任意の位置に固定されている場合、固定位置からの死角となる位置にある地上支援装置については現在位置情報を取得することができない。また、悪天候などが原因で空港内の視界が悪い場合、任意の位置に固定された画像取得部及び位置情報取得部と地上支援装置との間の距離が遠いと、当該地上支援装置の現在位置情報を正しく取得することができないおそれがある。本発明によれば、空港内を走行する第1地上支援装置に画像取得部及び位置情報取得部が設置されている。このため、第1地上支援装置を、地上支援装置が死角とならない位置に移動させることで、当該地上支援装置の現在位置情報を確実に取得することができる。また、空港内の視界が悪い場合は、第1地上支援装置を、現在位置情報を取得しようとする地上支援装置に接近させることによって、当該地上支援装置の現在位置情報を確実に取得することができる。
【0015】
本発明の位置管理システムでは、前記位置情報取得部は、レーザーを前記地上支援装置に照射させることによって前記現在位置情報を取得することが好ましい。
【0016】
レーザーは直進性が高い光であるため、夜間の暗さや昼間の強い日差しがある場合、大雨や濃霧などの悪天候の場合等においても、分散しにくい。このため、本発明によれば、通常の光や超音波などを用いて現在位置情報を取得する場合、又は、ステレオカメラ等によるカメラ画像から現在位置情報を算出する場合と比べて、地上支援装置の現在位置情報を精度よく検出することができる。
【0017】
本発明の位置管理システムでは、前記画像取得部は、前記地上支援装置を含む前記空港の俯瞰画像を撮影可能であることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、空港内を広範囲で撮影可能である。このため、俯瞰画像として、空港内にある複数の地上支援装置をまとめて撮影できる。これにより、空港内の複数の地上支援装置の位置管理をまとめて行うことができ、各地上支援装置に対して別々に位置管理を行う場合と比べて管理が容易となる。
【発明の効果】
【0019】
位置確認用のデバイスが設けられたGSEだけでなく、位置確認用のデバイスが設けられていない地上支援装置についても位置情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】空港の設備を簡易的に示す平面図である。
図2】本実施形態の位置管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】位置管理システムによる各GSEの位置管理を行う際の一連の処理を示すフローチャートである。
図4】(a)フライトスケジュールの一例を示す表、及び、(b)積載物のリストの一例を示す表である。
図5】地上支援スケジュールの一例を示す表である。
図6】GSEの走行経路の一例を示す平面図である。
図7】平面グリッド上における、第1GSE、及び、画像に含まれるGSEの位置を示した平面図である。
図8】変形例に係る位置管理システムの、平面グリッド上における、第1GSE、及び、画像に含まれるGSEの位置を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る位置管理システムの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
まず、本実施形態の位置管理システム10が運用される空港1の設備について以下に説明する。図1は、空港1の設備を簡易的に示す平面図である。図1に示すように、空港1にはターミナルビル2が設けられている。ターミナルビル2には、複数のゲート3が設けられており、着陸した航空機100は所定のゲート3まで移動して停止する。複数のゲート3には、ボーディングブリッジ4Eが接続されている。ボーディングブリッジ4Eは、ゲート3から航空機100に乗客及び乗員を乗降させるための設備である。ボーディングブリッジ4Eが利用できない場合には、後述のパッセンジャーステップ4Fを利用することもある。空港1において航空機100が駐機している間、乗客及び乗員の乗降、貨物及び手荷物の搬出入、燃料の補充、機内外の清掃、機体設備の点検、除氷作業、電源の供給等、各種作業(地上支援作業)が行われる。そして、地上支援作業が完了して準備が整うと、航空機100は空港1に設けられた滑走路(不図示)から離陸する。
【0023】
地上支援作業では、複数のGSE4が使用される。GSEとは、Ground Support Equipmentの略であり、地上支援装置を意味する。GSE4には様々な種類があるが、一例を挙げると、航空機100に給油するための給油車4A、乗客の手荷物を機内に搬出入するベルトローダ4B、航空機100や後述のドーリ4Gを牽引するトーイングトラクタ4C、貨物を機内に搬出入するハイリフトローダ4D、上述したボーディングブリッジ4E、乗員及び乗客を機内に直接乗降させるためのパッセンジャーステップ4F、コンテナやパレットを載せるためのドーリ4G等がある。トーイングトラクタ4Cは、例えば、航空機100の離陸時に作業エリア101(後述)において停止している航空機100を滑走路まで牽引する。また、トーイングトラクタ4Cは、一又は複数のドーリ4Gを牽引する。ドーリ4Gは、動力機構を持たないGSEである。給油車4A、ベルトローダ4B、トーイングトラクタ4C、ハイリフトローダ4D、パッセンジャーステップ4F、ドーリ4Gは、空港1内を走行する作業車両である。
【0024】
以下では、航空機100を含み、複数のGSE4による地上支援作業が行われるエリアを作業エリア101と呼ぶ。複数のGSE4は、所定の待機場所102で待機している。なお、各GSE4は、待機場所102ではなく不図示のメンテナンス場や駐機場で待機していてもよいし、他の作業エリアから直接作業エリア101に移動してもよい。
【0025】
ここで、複数のGSE4を用いて地上支援作業を行う際には、各GSE4の作業進捗や走行状況の把握のため、空港1内にある各GSE4の位置を適切に管理することが求められる。従来、各GSE4の位置管理は、作業者の目視による位置確認や、無線機や電話等を用いた作業者同士の連絡によって行われていた。しかし、作業者の目視による位置確認はズレが生じるおそれがあるし、無線等を用いた作業者同士の連絡による位置管理では作業者の負担が大きい。
【0026】
また、GPS(Global Positioning System)を利用したGSE4の位置管理システムを使用することも考えられる。しかしながら、高コスト等の理由から、空港1で作業するGSE4の一部のみにしかGPSを有するデバイスを設置することができない。さらに、ドーリ4Gのように動力機構を有していないGSE4に位置管理用のデバイスを搭載させる場合、ドーリ4Gに電池を別途搭載する必要がある。GSE4に搭載した電池は定期的に交換する必要があり、作業者にとって手間となる。
【0027】
そこで、本願発明者らは、上記のような問題を解決するため、位置管理用のデバイスが設けられていないGSE4の位置管理を行うことができる位置管理システムを考案した。以下、この位置管理システム10について、詳細に説明する。
【0028】
(位置管理システム10)
本実施形態の位置管理システム10を図2に示す。位置管理システム10は、航空管制21と、GSE管制22と、複数のGSE4と、作業者端末15と、を含む。航空管制21は、航空機100のフライトスケジュールを保有している。フライトスケジュールには、GSE4によって地上支援作業が行われる航空機100の機種情報等が含まれる。なお、フライトスケジュールの取得先はエアラインでもよく、必ずしも航空管制21から取得する必要はない。
【0029】
GSE管制22は、スケジュール作成部31、経路設定部32、画像処理部33、報知部34、通信部35、制御部36を有している。GSE管制22は、通信部35を介して航空管制21及び複数のGSE4と通信可能である。
【0030】
スケジュール作成部31は、航空管制21から提供されたフライトスケジュールに基づいて、複数のGSE4による作業スケジュールを作成する。作業スケジュールには、航空機100の離発着時間、離発着時の滑走路、地上支援作業を行うゲート番号、航空機100の機種情報、GSE4の作業位置、作業内容ごとの担当作業者当等が含まれる。
【0031】
経路設定部32は、スケジュール作成部31が作成した作業スケジュールに基づいて、各GSE4の走行開始位置から作業位置までの走行経路を設定する。GSE4の走行開始位置は、例えば、待機場所102、不図示のメンテナンス場や駐機場、何れかの作業エリア101等である。
【0032】
作成された作業スケジュール及び走行経路は、通信部35を介して各GSE4及び作業者端末15に送信される。各GSE4は、GSE管制22から送信された走行経路に沿って空港1内を移動し、作業位置に到達すると、停止中の航空機100に対して地上支援作業を行う。
【0033】
画像処理部33は、後述する画像取得部42によって撮影された画像について所定の処理を実行する。画像処理部33が実行する処理については、後で詳しく説明する。
【0034】
報知部34は、GSE4が走行経路から外れている場合に、異常を作業者に報知するものである。報知部34は、例えば、ディスプレイに表示することで、又は、音声を発することで報知を行う。なお、報知部34は、本来その場所にあるはずのない物体(例えばコンテナなど)がある場合に、異常を作業者に報知してもよい。また、報知部34は、GSE4が走行経路に沿って適切に走行している場合に、正常を作業者に報知してもよい。なお、作業者だけでなく作業の統括管理者やエアラインなどにもGSE4の運行状況を報知するようにしてもよい。
【0035】
通信部35は、航空管制21、GSE4の通信部45、作業者端末15と通信可能である。制御部36は、画像処理部33の処理に基づいて、報知部34の報知動作、後述の位置情報取得部43等を制御する。制御部36の制御は後で詳しく説明する。
【0036】
複数のGSE4は、第1GSE4aと第2GSE4bとに種別される。第1GSE4aは、現在位置受信部41と、画像取得部42と、位置情報取得部43と、走行制御部44と、通信部45とを含む。第2GSE4bは、走行制御部44と通信部45を有しているが、現在位置受信部41、画像取得部42及び位置情報取得部43を有していない。本実施形態において、複数のGSE4のうち一又は複数のGSE4が第1GSE4aに種別され、他のGSE4は第2GSE4bに種別される。なお、ドーリ4G、トーイングトラクタ4Cに牽引されるタイプのパッセンジャーステップ4Fなどのように動力機構を持たないGSE4の場合、当該GSE4は走行制御部44を有していない。
【0037】
現在位置受信部41は、例えば、GPS信号を受信して自車の位置情報を取得する。自車の位置情報は、GPS以外の測位方式(GNSSなど)を用いて取得してもよい。
【0038】
画像取得部42は、例えば、第1GSE4aに取り付けられたカメラであって、第1GSE4aの前方の画像を撮影可能である。位置情報取得部43は、自車以外の他のGSE4の現在位置情報を取得するものであって、具体的には画像取得部42によって撮影された画像に含まれるGSE4の現在位置情報を取得する。本実施形態において、第1GSE4aに取り付けられたステレオカメラが、画像取得部42及び位置情報取得部43に相当する。位置情報取得部43は、ステレオカメラによって撮影された画像に含まれるGSE4の、自車に対する相対位置を取得する。本実施形態において、第1GSE4aに設置された画像取得部42は、自車以外の第1GSE4a及び第2GSE4bを含む画像を撮影可能である。また、第1GSE4aに設置された位置情報取得部43は、撮影された画像に含まれる第1GSE4a及び第2GSE4bの現在位置情報を取得する。言い換えれば、画像取得部42及び位置情報取得部43は、現在位置情報の取得対象であるGSE4(本発明の取得対象装置)以外の第1GSE4aに設けられている。
【0039】
走行制御部44は、通信部45を介して経路設定部32から送られてきた走行経路及び現在位置受信部41で取得した自車の位置情報に基づいて、自車の走行制御を行う。
【0040】
作業者端末15は、航空機100の地上支援作業を行う作業者が携帯する端末である。本実施形態では、GPSで現在地を特定可能であり、GSE管制22と通信可能なスマートフォンを用いることとする。なお、作業者端末15は、作業者の現在地が確認可能であり、GSE管制22と通信可能であれば、どのような端末を用いてもよい(ガラパゴスケータイ、無線通信機、タブレット端末、スマートグラス、スマートウォッチなどのウェアラブル端末など)。作業者は、作業者端末15に自分が操作するGSE4のIDやGSE4によって運搬する貨物のIDや航空機100の機種などを入力することが可能である。また、GSE管制22から作業者自身のスケジュール等を受信してもよい。
【0041】
(GSEの位置管理の流れ)
続いて、位置管理システム10による各GSE4の位置管理の流れを、図3のフローチャートを参照しつつ以下に説明する。
【0042】
まず、GSE管制22は、航空管制21から事前(例えば前日)にフライトスケジュールを受信する(ステップS11)。図4(a)はフライトスケジュールに含まれるデータの一例を示す表であり、図4(b)は積載物のリストの一例を示す表である。なお、図4における積載物とは、コンテナに収容された貨物のことを指し、乗客の手荷物とは別の物である。航空管制21からGSE管制22に送信されるフライトスケジュールに含まれるデータの種類は、図4に示すものに限定されず適宜変更が可能である。
【0043】
GSE管制22のスケジュール作成部31は、フライトスケジュールを受信すると、フライトスケジュールに基づいて作業スケジュールを作成する(ステップS12)。図5は、作業スケジュールに含まれるデータの一例を示す表である。例えば、フライト番号1に関しては、作業者IDが001の作業者が、GSE IDがHL-01のハイリフトローダを使って、貨物搬出の作業を担当することを示している。なお、図5において、PSはパッセンジャーステップ、TTはトーイングトラクタ、BLはベルトローダを示す。GSE管制22が作成する作業スケジュールに含まれるデータの種類は、図5に示したものに限定されず、例えば作業開始時刻、作業終了時刻を追加する等、適宜変更が可能である。
【0044】
次に、経路設定部32は、作業スケジュールに基づいて、地上支援作業を行う各GSE4の走行開始位置から作業位置までの走行経路を設定する(ステップS13)。図6には、走行経路の一例として、給油車4Aの走行経路R1及びハイリフトローダ4Dの走行経路R2を図示している。なお、図6に示すように、作業エリア101の地図データ上には予め格子状の平面グリッドGが設定される。平面グリッドGの大きさやマスの細かさは、例えば航空機100の大きさに応じて変更するようにしてもよい。また、平面グリッドGは予め固定的に設定されていてもよい。走行経路R1、R2は、平面グリッドGの設定エリア内では、走行経路R1、R2はマス単位(図6のハッチング参照)で設定される。
【0045】
GSE管制22は、作成された作業スケジュール及び走行経路を第1GSE4a及び第2GSE4bを含む各GSE4と、作業者端末15とに送信する(ステップS14)。作業スケジュール及び走行経路を受信した各GSE4は、設定された走行経路に沿って走行を開始する(ステップS21)。このとき、各GSE4は、ステップS12において作成された作業スケジュールに含まれる各GSE4の運行スケジュールに従って、順に走行を開始する。なお、各GSE4は、自動運転を行うものでもよく、作業者によって手動で操作されるものでもよい。
【0046】
各GSE4のうち第1GSE4aに設けられた画像取得部42は、前方の画像を撮影し、撮影した画像のデータをGSE管制22に送信する(ステップS22)。なお、ステップS22及び後述のステップS23については、各GSE4のうち第1GSE4aのみが実行する動作である。画像取得部42は、画像を連続して撮影してもよく、一定の間隔ごとに画像を撮影してもよい。また、画像取得部42が画像の撮影を開始するタイミングは、第1GSE4aが走行を開始した直後でもよく、第1GSE4aが作業エリア101に到達してからでもよい。画像取得部42は、撮影した画像を随時、GSE管制22に送信する。
【0047】
GSE管制22の画像処理部33は、受信した画像に一又は複数のGSE4が含まれるか否かを物体検知アルゴリズムなどで判断する(ステップS15)。判断手法として、機械学習やディープラーニングなどの手法を用いてもよい。受信した画像にGSE4が含まれていないと判断された場合(S15:NO)、画像にGSE4が含まれると判断されるまで画像取得部42から送信される画像を引き続き受信する。
【0048】
受信した画像にGSE4が含まれていると判断された場合(S15:YES)、画像処理部33は、画像に含まれる一又は複数のGSE4を現在位置情報の取得対象である取得対象装置として決定し、当該取得対象装置であるGSE4の種類を検知する(ステップS16)。なお、取得対象装置であるGSE4には、第1GSE4aと第2GSE4bとが含まれる。そして、制御部36は、画像に含まれるGSE4の現在位置情報を取得させるための制御信号を、第1GSE4aに送信する(ステップS17)。
【0049】
第1GSE4aがGSE管制22からの制御信号を受信すると、位置情報取得部43は、取得対象装置であるGSE4の現在位置情報を取得し、GSE管制22に送信する(ステップS23)。位置情報取得部43が、取得対象装置であるGSE4の現在位置情報を取得する具体的な方法について以下に説明する。まず、第1GSE4aの自車の位置情報は現在位置受信部41によって取得され、平面グリッドG上の対応位置に設定される(図7参照)。続いて、ステレオカメラである第1GSE4aの位置情報取得部43は、取得対象装置であるGSE4の、自車の現在位置に対する相対位置を取得する。より詳細には、取得対象装置の相対位置は、画像処理部33での認識結果とステレオカメラの距離検知機能を用いて、自車から見たときの取得対象装置の方向(角度)と、取得対象装置までの距離によって算出される。そして、位置情報取得部43は、自車の現在の位置情報と、取得対象装置であるGSE4の自車に対する相対位置の情報とから、取得対象装置であるGSE4の平面グリッドG上における現在位置(図7のハッチング参照)を現在位置情報として取得する。なお、本実施形態において、位置情報取得部43は、第1GSE4aが停止した状態でGSE4の現在位置情報を取得してもよく、第1GSE4aの移動中にGSE4の現在位置情報を連続的に取得してもよい。
【0050】
なお、制御部36が、位置情報取得部43が設置された第1GSE4aの現在の位置情報と、取得対象装置であるGSE4の自車に対する相対位置の情報とから、取得対象装置であるGSE4の平面グリッドG上における現在位置を取得してもよい。この場合、位置情報取得部43は、取得対象装置であるGSE4の自車に対する相対位置の情報を取得した後、当該情報をGSE管制22に送信する。そして、この場合、取得対象装置であるGSE4の自車に対する相対位置の情報が、位置情報取得部43によって取得される本発明の現在位置情報に相当する。
【0051】
また、制御部36が、取得対象装置であるGSE4の相対位置を算出してもよい。この場合、位置情報取得部43は、ステレオカメラの距離検知機能によって自車から見たときの取得対象装置の方向(角度)に関する情報を取得した後、当該情報をGSE管制22に送信する。この場合、自車から見たときの取得対象装置の方向(角度)に関する情報が、位置情報取得部43によって取得される本発明の現在位置情報に相当する。
【0052】
すなわち、本発明の位置情報取得部43は、取得対象装置であるGSE4の現在位置を取得するための演算機能を内包する構成でもよく、取得対象装置であるGSE4の現在位置を取得するために用いられる情報としての現在位置情報のみを取得するものであってもよい。後者の場合、制御部36が、取得対象装置であるGSE4の現在位置を取得するための演算機能を内包する。
【0053】
続いて、GSE管制22の制御部36は、取得対象装置であるGSE4の現在位置情報と、当該GSE4の走行経路とを比較して、取得対象装置であるGSE4が走行経路に沿って移動しているか否かを判断する(ステップS18)。現在位置情報と走行経路との比較は、例えば、平面グリッドG上における位置の比較によって行われる。取得対象装置であるGSE4が走行経路に沿って移動していると判断された場合(S18:YES)、制御部36は、各GSE4による全ての地上支援作業が完了したか否かを判断する(ステップS20)。各GSE4による全ての地上支援作業が完了していないと判断された場合(S20:NO)、ステップS15に戻り、位置管理が継続される。各GSE4による全ての地上支援作業が完了したと判断された場合(S20:YES)、位置管理システム10による各GSE4の位置管理が終了する。
【0054】
取得対象装置であるGSE4が走行経路に沿って移動していないと判断された場合(S18:NO)、制御部36は、報知部34に異常を報知させる(ステップS19)。GSE4が走行経路に沿って移動していないと判断される状況は、例えば、本来その場所にあるはずのGSE4がその場所に存在していない場合、本来その場所に存在していないはずのGSE4がその場所に存在している場合、などが想定される。そして、ステップS20に進む。
【0055】
(効果)
以上のように、本実施形態の位置管理システム10では、画像取得部42によって撮影された画像に含まれる取得対象装置であるGSE4の現在位置情報が、取得対象装置以外のGSE4に設けられた位置情報取得部43によって取得される。このため、取得対象装置であるGSE4に位置管理用のデバイスが搭載されているか否にかかわらず、当該取得対象装置の現在位置情報を、位置情報取得部43によって間接的に取得することができる。これにより、GPSを有する親機や親機と通信可能な子機などといった位置確認用のデバイスが設けられていないGSE4についても位置情報を取得することができる。
【0056】
また、本実施形態では、画像に含まれるGSE4の現在位置情報が、取得対象装置であるGSE4が走行経路から外れていることを示すものである場合、報知部34が異常を報知する。これによれば、位置確認用のデバイスが設けられていないGSE4について、走行経路に沿って適切に移動しているか否かを作業者が把握することができる。
【0057】
また、本実施形態では、複数のGSE4は、画像取得部42及び位置情報取得部43が設置された少なくとも1つの第1GSE4aを含む。画像取得部42及び位置情報取得部43が任意の位置に固定されている場合、固定位置からの死角となる位置にあるGSE4については現在位置情報を取得することができない。また、悪天候などが原因で空港1内の視界が悪い場合、任意の位置に固定された画像取得部42及び位置情報取得部43とGSE4との間の距離が遠いと、当該GSE4の現在位置情報を正しく取得することができないおそれがある。本実施形態によれば、空港1内を走行する第1GSE4aに画像取得部42及び位置情報取得部43が設置されている。このため、第1GSE4aを、GSE4が死角とならない位置に移動させることで、当該GSE4の現在位置情報を確実に取得することができる。また、空港1内の視界が悪い場合は、第1GSE4aを、現在位置情報を取得しようとするGSE4に接近させることによって、当該GSE4の現在位置情報を確実に取得することができる。
【0058】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、これらの例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0059】
上記実施形態では、第1GSE4aに取り付けられたステレオカメラが画像取得部42及び位置情報取得部43として機能する。しかしながら、画像取得部42は通常のカメラであって、カメラとは別に位置情報取得部43が設けられていてもよい。この場合、位置情報取得部43は、画像取得部42に撮影された画像に含まれるGSE4にレーザーを照射することによって現在位置情報を取得するものであることが好ましい。レーザーは直進性が高い光であるため、夜間の暗さや昼間の強い日差しがある場合、大雨や濃霧などの悪天候の場合等においても、分散しにくい。このため、通常の光や超音波などを用いて現在位置情報を取得する場合、又は、ステレオカメラ等によるカメラ画像から現在位置情報を算出する場合と比べて、GSE4の現在位置情報を精度よく検出することができる。なお、位置情報取得部43は、可視光や超音波などを対象のGSE4に照射することで当該GSE4の現在位置情報を取得するものでもよい。
【0060】
本発明において、画像取得部42は、GSE4を含む空港1の俯瞰画像を撮影可能であってもよい。この場合、例えば、画像取得部42は、管制塔に取り付けられる。これによれば、空港1内を広範囲で撮影可能である。このため、俯瞰画像として、空港1内にある複数のGSE4をまとめて撮影できる。これにより、空港1内の複数のGSE4の位置管理をまとめて行うことができ、各GSE4に対して別々に位置管理を行う場合と比べて管理が容易となる。また、画像取得部42は、空港1内を飛行するドローンに設置されたものでもよい。また、画像取得部42は、第1GSE4aと、航空管制21又はGSE管制22との両方に取り付けられていてもよい。また、画像取得部42は、ターミナルビル2やゲート3に設置されていてもよい。
【0061】
本発明において、画像取得部42のみが管制塔やターミナルビル2、ゲート3等に設置され、位置情報取得部43のみが一又は複数のGSE4に設置されていてもよい。また、位置情報取得部43のみがGSE管制22に設置され、画像取得部42のみが一又は複数のGSE4に設置されていてもよい。さらに、画像取得部42が一又は複数のGSE4とGSE管制22との両方に設置され、且つ、及び位置情報取得部43が一又は複数のGSE4とGSE管制22との両方に設置されていてもよい。いずれにせよ、位置情報取得部43は、取得対象装置以外のGSE4又は空港1の設備に設けられている。
【0062】
本発明において、全てのGSE4がGPS信号を受信する現在位置受信部41を有していなくてもよい。この場合、管制塔やターミナルビル2、ゲート3などに設置された画像取得部42及び位置情報取得部43によって各GSE4の現在位置情報を取得することが好ましい。
【0063】
上記実施形態では、スケジュール作成部31、経路設定部32、画像処理部33、報知部34、通信部35、制御部36は、GSE管制22に設置されている。しかしながら、これらの機能部は、物理的にどこに設けられているかについての制限はなく、少なくとも一部がGSE管制22とは別の管制やGSE13に組み込まれていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、画像処理部33は、ステップS15において、撮影された画像にGSE4が含まれているか否かを判断している。しかしながら、画像処理部33は、撮影された画像にGSE4及びGSE4以外の物体(例えば、コンテナなど)が含まれているか否かを判断してもよい。この場合、報知部34は、画像に含まれる物体が誤った位置に存在しているときに、異常を報知する。
【0065】
本発明において、報知部34は、画像に含まれるGSE4が走行経路に沿って適切に移動している場合に、正常を報知するものでもよい。
【0066】
本発明において、各GSE4の走行制御部44は、報知部によって異常が報知されてから異常が解消されるまでの間、各GSE4の走行を停止させるように走行制御を行ってもよい。
【0067】
本発明において、報知部34は、各GSE4に設置されていてもよく、作業者端末15に内蔵されているものでもよい。
【0068】
本発明は、画像取得部42がボーディングブリッジ4Eに設置されている構成を含む。この場合、画像取得部42はボーディングブリッジ4Eから航空機100周辺をなるべく広く俯瞰できる位置に設置するとよい。例えば、ボーディングブリッジ4Eの航空機100とドッキングする先端部、ゲート3のターミナルビル2と接続されている接続部、乗客が航空機100に乗り降りするための橋部分などに設置するのが好ましい。また、ボーディングブリッジ4の上部だけではなく、側面や下部などに複数設置してもよい。例えば、図8に示すように、画像取得部42は、ボーディングブリッジ4Eの航空機100とドッキングする先端部に設置されていてもよい。このボーディングブリッジ4Eに設置された画像取得部42によって、飛行機100周辺を走行するGSE4を撮像し、ボーディングブリッジ4Eの現在位置とGSE4との相対位置を位置情報取得部43又は制御部36で演算することで、上記実施形態と同様にGSE4が指定された走行経路上を走行しているか、走行経路を逸脱していないかを検知することができる。
【0069】
なお、ボーディングブリッジ4EはGSE管制22と通信可能であり、フライトスケジュールやGSE4の走行経路、画像取得部42が撮影した画像、ボーディングブリッジ4Eの現在位置、稼働状況(航空機100とドッキングしている状態、またはターミナルビル側で待機している状態、ドッキング作業中など)をやりとりできるようにしてもよい。
【0070】
このとき、ボーディングブリッジ4Eの位置や大きさによっては、航空機100の死角となって、対応する作業エリア101の半分程度の範囲しか画像を撮影できないことがある。この場合、隣接する作業エリア101にボーディングブリッジ4Eが設置されているときは、当該ボーディングブリッジ4Eに設置された画像取得部42によって死角となる部分の画像を撮影してもよい。また、隣接する作業エリア101にボーディングブリッジ4Eが設置されていないときは、他のGSE4に搭載された画像取得部42によって死角となる部分の画像を撮影する。または、ターミナルビル2、管制塔、ゲート3などに設置された画像取得部42では死角となる部分の画像を撮影してもよい。
【0071】
また、本発明において、航空機100がプッシュバックする際に、周囲のGSE4に搭載された画像取得部42に撮影された画像から、当該航空機100が障害物と接触しないか否か、及び、規定通りのルートに沿って搬送されているか否かを確認してもよい。
【0072】
本発明において、画像取得部42が第1GSE4aに取り付けられている場合において、画像取得部42は、第1GSE4aの全方位を撮影可能であってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 空港
4 GSE
4a 第1GSE
10 位置管理システム
32 経路設定部
33 画像処理部
34 報知部
36 制御部
42 画像取得部
43 位置情報取得部
100 航空機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8