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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038828
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】装飾具及びその装飾方法
(51)【国際特許分類】
   B44C 1/26 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
B44C1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145747
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】521395182
【氏名又は名称】株式会社フルモデルス
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】古沢 北斗
(57)【要約】
【課題】装飾布を利用したデザイン性に優れ且つ生産性に優れた平板状の装飾具及びその製造方法を提供する。
【解決手段】平板状の本体板3と、本体板3に形成された開口部12に嵌め込まれた部品片4と、部品片4の表面を覆う装飾布5と、を有し、装飾布5の周縁部には、部品片4の周縁端面17と開口部12の内周面13との間に挟持される巻込代20が形成されている。装飾具1の装飾方法は、本体板3をカットして部品片4を分割し開口部12を形成する工程と、装飾布5を部品片4の表面15及び周縁端面17を覆う大きさに切断する工程と、部品片4の表面15を装飾布5で覆う工程と、装飾布5で覆われた部品片4を本体板3の裏面11側から開口部12に嵌め込む工程と、を具備する。これにより、多彩な意匠表現が可能でデザイン性に優れ、容易に加工でき生産性に優れた装飾具1が得られる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の本体板と、
前記本体板に形成された開口部に嵌め込まれた部品片と、
前記部品片の表面を覆う装飾布と、を有し、
前記装飾布の周縁部には、前記部品片の周縁端面と前記開口部の内周面との間に挟まれた巻込代が形成されていることを特徴とする装飾具。
【請求項2】
前記本体板及び前記部品片の裏面に接合された背面部材を有することを特徴とする請求項1に記載の装飾具。
【請求項3】
前記開口部には、複数に分割された前記部品片が設けられており、
隣接する前記部品片の周縁端部の間には、前記巻込代が挟まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾具。
【請求項4】
前記部品片の表面には、複数枚の前記装飾布が重ね合わされた重層部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の装飾具。
【請求項5】
本体板をカットして部品片を分割し開口部を形成する工程と、
装飾布を前記部品片の表面及び周縁端面を覆う大きさに切断する工程と、
前記部品片の表面を前記装飾布で覆う工程と、
前記装飾布で覆われた前記部品片を前記本体板の裏面側から前記開口部に嵌め込む工程と、を具備することを特徴とする装飾具の装飾方法。
【請求項6】
前記部品片が嵌め込まれた前記本体板の裏面に背面部材を接合する工程を具備する事を特徴とする請求項5に記載の装飾具の装飾方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾具及びその装飾方法に関し、特に、装飾布で装飾された部分を有する平板状の装飾具及びその装飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木質の平板を装飾する方法として、平板の表面に装飾布を木目込んで固定する木目込み装飾が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、平板上に予めスクリーン印刷によって現出模様の一部に色彩を施すと同時に木目込み線を印刷し、次いで、木目込み線に沿って木目込み溝を形成し、色彩以外の現出模様部分に木目込み溝を利用して布を木目込むことが開示されている。
【0004】
また例えば特許文献2には、木質材料の平板にレーザービーム加工により木目込み線を穿設することにより線溝の溝内面をレーザービームにより炭化し、この線溝に装飾布を木目込んで固着させる木目込み板の製作方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-116889号公報
【特許文献2】特開2000-43496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来技術は、木目込み溝に合わせた装飾布の切断、先鋭体による木目込み溝への押し込み等、熟練者による技術が必要であり、非熟練者には困難な技法であった。そのため、顧客の要望に応じた様々な意匠製品を、非熟練者であっても効率良く多数生産することができる装飾方法が求められていた。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装飾布を利用したデザイン性に優れ且つ生産性に優れた平板状の装飾具及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装飾具は、平板状の本体板と、前記本体板に形成された開口部に嵌め込まれた部品片と、前記部品片の表面を覆う装飾布と、を有し、前記装飾布の周縁部には、前記部品片の周縁端面と前記開口部の内周面との間に挟まれた巻込代が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の装飾具の装飾方法は、本体板をカットして部品片を分割し開口部を形成する工程と、装飾布を前記部品片の表面及び周縁端面を覆う大きさに切断する工程と、前記部品片の表面を前記装飾布で覆う工程と、前記装飾布で覆われた前記部品片を前記本体板の裏面側から前記開口部に嵌め込む工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の装飾具によれば、本体板と、本体板に形成された開口部に嵌め込まれた部品片と、部品片の表面を覆う装飾布と、を有し、装飾布の周縁部に形成された巻込代は、部品片の周縁端面と前記開口部の内周面との間に挟まれている。このような構成により、デザイン性に優れ、印刷等による彩色と装飾布とによって多彩な意匠表現が可能であると共に、熟練者の手作業を必要とせず容易に機械加工することができる生産性に優れた装飾具が得られる。
【0011】
また、本発明の装飾具によれば、前記本体板及び前記部品片の裏面に接合された背面部材を有しても良い。これにより、本体板、部品片、装飾布及び背面部材の多彩な組み合わせにより、各種の装飾具をその利用方法に応じた好適な形態に形成することができ、デザイン性及び利用性に優れた装飾具が得られる。
【0012】
また、本発明の装飾具によれば、前記開口部には、複数に分割された前記部品片が設けられており、隣接する前記部品片の周縁端部の間には、前記巻込代が挟まれていても良い。これにより、1つの開口部に意匠が異なる複数枚の装飾布を並べた多彩なデザイン表現が可能となる。
【0013】
また、本発明の装飾具によれば、前記部品片の表面には、複数枚の前記装飾布が重ね合わされた重層部が形成されても良い。これにより、例えば、着物の左右の身頃を重ねるような、または、帯を重ねるような、多彩な意匠の表現が可能となる。
【0014】
また、本発明の装飾具の装飾方法は、本体板をカットして部品片を分割し開口部を形成する工程と、装飾布を部品片の表面及び周縁端面を覆う大きさに切断する工程と、部品片の表面を装飾布で覆う工程と、装飾布で覆われた部品片を本体板の裏面側から開口部に嵌め込む工程と、を具備する。このような装飾方法により、非熟練者であっても、優れたデザインの装飾具を容易に効率良く装飾することができる。よって、装飾具の生産性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の装飾具の装飾方法によれば、前記部品片が嵌め込まれた前記本体板の裏面に背面部材を接合する工程を具備しても良い。これにより、デザイン性に優れた各種の装飾具を利用方法に応じた好適な形態に効率良く加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る装飾具の正面図である。
図2】本発明の実施形態に係る装飾具の斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る装飾具の分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る装飾具の断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る装飾具の本体板の部品片をカットした状態を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る装飾具の装飾布を切断した状態を示す正面図である。
図7】本発明の実施形態に係る装飾具の装飾布で部品片を覆う状態を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る装飾具の部品片を本体板に取り付ける状態を示す断面である。
図9】本発明の他の実施形態に係る装飾具の斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る装飾具の分解斜視図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る装飾具の分解斜視図である。
図12】本発明の他の実施形態に係る装飾具の分解斜視図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る装飾具の断面図である。
図14】本発明の他の実施形態に係る装飾具の斜視図である。
図15】本発明の他の実施形態に係る装飾具の断面図である。
図16】本発明の他の実施形態に係る装飾具の斜視図である。
図17】本発明の他の実施形態に係る装飾具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る装飾具を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る装飾具1の概略を示す正面図であり、図2は、装飾具1の前面に向かって右斜め上から見た透視図である。
【0018】
図1及び図2を参照して、装飾具1は、略平板状の形態を成す装飾品である。具体的には、装飾具1は、キーホルダ、ネームタグ、アクリルスタンド、ストラップ、壁掛その他室内装飾品、玩具等に利用される。また、装飾具1は、ブローチ、ネックレス、ブレスレット、イヤリング、指輪、アンクレット、チャーム、その他の装身具等を構成する装飾部材として利用されても良い。
【0019】
装飾具1は、略平板状の本体板3と、本体板3に設けられた装飾布5と、を有する。本体板3は、例えば、透明なアクリルボード、その他各種合成樹脂製の板材、木製の板材、金属製の板材等である。本体板3の厚みは、装飾具1の用途に応じて設定され特に制限されるものではないが、装飾布5の支持及び加工性の観点から3から5mm程度が望ましい。
【0020】
本体板3の表面10及び裏面11の少なくとも一方には、装飾のための模様14が印刷されても良い。模様14は、それぞれの装飾具1に応じてデザインされた各種の図形、色彩、文字等であり、例えば人物、動物、風景等である。模様14は、例えば、アニメーション等のキャラクタ等であっても良い。本体板3が透明である場合には、模様14は、本体板3の表面10側から視認できるよう裏面11に印刷されても良い。なお、本体板3に模様14が印刷されていない構成でも良い。
【0021】
装飾布5は、装飾具1の正面側、即ち本体板3の表面10側から視認可能な装飾用の布部材である。具体的には、装飾布5は、織物、編物、不織布、皮革、合成樹脂製のシート材または紙等であり、印刷その他方法により装飾のための種々の模様、色彩等が施されていても良い。
【0022】
図3は、装飾具1の概略構成を示す分解斜視図である。図3を参照して、装飾具1は、部品片4を有する。部品片4は、本体板3から切断分離され、再度嵌め込まれた略平板状の部材である。即ち、部品片4は、本体板3と同一の板材から形成されている。
本体板3には、部品片4を切り出すことによって開口部12が形成されている。正面視において、開口部12の形状と、部品片4の形状と、は略同一である。
【0023】
部品片4の表面15側には、装飾布5が設けられている。詳しくは、正面視において、装飾布5は、部品片4の形状と略同じであり、部品片4よりも一回り大きい形状に形成されている。そして、部品片4の表面15は、装飾布5で覆われている。
【0024】
図4は、装飾具1の断面図であり、図1に示すA-A線断面を示している。図3及び図4を参照して、上述のとおり、部品片4の表面15は、装飾布5で覆われており、このように装飾布5で覆われた部品片4は、本体板3の開口部12に嵌め込まれている。
【0025】
即ち、装飾具1は、本体板3に形成された開口部12に嵌め込まれた部品片4と、部品片4の表面15を覆う装飾布5と、を有する。そして、装飾布5の周縁部近傍は、巻込代20となり、部品片4の周縁の端面17と開口部12の内周面13との間に挟まれている。
【0026】
以上説明の構成により、装飾具1は、デザイン性に優れ、本体板3の印刷等による彩色と、装飾布5と、の組み合わせによって多彩な意匠表現が可能である。様々な素材の装飾布5が用いられることにより、合成樹脂のみでは得ることのできない質感や、キャラクタ性に合わせた意匠の衣服等、趣向性の高い表現が与えられる。装飾具1は、例えば、フィギュアを表現したアクリルスタンドのような卓上型観賞用人形玩具の他、キーホルダやストラップ等に取り付けられる人形玩具として利用可能である。
【0027】
なお、装飾布5の周縁部には、部品片4の周縁の端面17と開口部12の内周面13との間に挟まれない部分があっても良い。即ち、装飾布5の周縁部は、必ずしも全周ではなく少なくとも一部分が本体部3と部品片4に挟持されていれば良い。
【0028】
具体的には、装飾布5の周縁部には、巻込代20が形成されない部分、または、巻込代20が折り畳まれた部分があっても良い。これにより、装飾布5の周縁部の巻込代20が形成され折り畳まれていない部分のみが部品片4の周縁の端面17と開口部12の内周面13との間に挟まれる。
【0029】
例えば、装飾布5が着物等の被服を表現し、本体部3に人物等を表現する模様14が描かれている場合、装飾布5は、図示を省略するが、周縁部の襟部22、袖口部23、裾部24等に相当する部分が本体部3と部品片4との間に挟まれない態様でも良い。
【0030】
即ち、着物等の和服や、Tシャツその他各種洋服等の襟部22、袖口部23及び裾部24等を表現する装飾布5の周縁部分は、部品片4の周縁の端面17と開口部12の内周面13との間に巻き込まれない。襟部22、袖口部23及び裾部24等に相当する部分は、装飾布5の周縁部と本体部3の表面10との間に僅かな隙間が生じるよう表現される。このような形態により、装飾具1は、人物等が被服を着用しているような自然な美観を表現することができる。
【0031】
次に、図5ないし図8を参照して、装飾具1の装飾方法について更に詳細に説明する。
図5は、装飾具1の本体板3の部品片4をカットした状態を示す斜視図である。図5を参照して、先ず、必用に応じて、本体板3の表面10及び裏面11に模様14を印刷する工程が行われる。前述のとおり、模様14は、本体板3の表面10に印刷されても良いし、裏面11に印刷されても良い。模様14は、表面10及び裏面11の両面に印刷されても良い。また、模様14が必要ない構成でも良いので、その場合、印刷する工程は不要である。
【0032】
模様14の印刷方法は、例えば赤外線(UV)プリントである。具体的には、模様14は、紫外線硬化インク(UVインク)を使用したUVプリンタで、印刷しながら印刷面のUVインクに紫外線を照射して硬化させる印刷方法で印刷される。このようなUVプリントにより、他の印刷方法では印刷が難しいアクリルボード等の樹脂ボードや金属板等であっても短時間で効率良く美しい模様14を印刷することができる。なお、印刷方法として、UVプリント以外の印刷方法を採用することも可能である。
【0033】
模様14を印刷する工程の後または前に、本体板3を所定形状にカットする工程が行われる。具体的には、本体板3の外周がカットされると共に、部品片4を本体板3から分割して本体板3に開口部12を形成するカット工程が実行される。
【0034】
本体板3を切断する方法は、例えばレーザカッタによる切断である。即ち、レーザカッタで本体板3をカットして部品片4を本体板3から分離し、開口部12が形成される。レーザカッタによるカット幅は、スポット光の幅であり、例えばφ0.1から0.3mm程度である。これにより、後述する装飾布5(図6参照)の嵌め込み工程が容易になると共に装飾布5を好適に支持することができる。
【0035】
また、本体板3のカット幅は、装飾布5の厚みに合わせて、更に幅広く設定されても良い。具体的には、厚み約1mm程度の装飾布5を使用する際には、本体板3のカット幅もこれに合わせて、例えばφ1mm程度であっても良い。これにより、装飾布5の嵌め込み及び支持が好適に行われる。
【0036】
本体板3の切断方法は、レーザカットが最も好ましいが、その他の切断方法でも良い。例えば、その他の抜型カッタ等が利用される切断方法を採用することもできる。前述のレーザカッタによる切断方法は、切断型を必要としないので、多数の異なるデザイン、例えば数百種類ものデザイン、にそれぞれ対応する別形状の装飾布5を製造することも可能であり、生産性に優れている。
【0037】
図6は、装飾具1の装飾布5を切断した状態を示す正面図である。図6に示すように、装飾布5を所定の形状に切断する工程が行われ、装飾布5は、部品片4よりも一回り大きい形状に切断される。
【0038】
換言すれば、装飾布5は、周縁部近傍の一部分が本体板3(図5参照)と部品片4に挟持される巻込代20となるよう、部品片4の表面15(図5参照)及び周縁の端面17を覆う大きさに切断される。上記の周縁の端面17を覆う大きさとは、必ずしも装飾布5の全周において周縁部が部品片4の端面17の全体を覆う大きさを意味するものではない。前述のとおり、装飾布5の周縁部には巻込代20が形成されない部分があっても良く、装飾布5は、部品片4の端面17の一部分を覆う程度の大きさ、形状にカットされていれば良い。
装飾布5のカットは、鋏、ロータリーカッタ、レーザカッタ等を利用して行われても良い。
【0039】
ここで、装飾布5の厚みは、特に限定されないが、φ0.1から1mm、好ましくは、φ0.1から0.3mm程度である。前述のとおり、本体板3から部品片4を分割する際のレーザカッタのカット幅は、装飾布5の厚みに応じて好適に設定される。
【0040】
図7は、装飾具1の装飾布5で部品片4を覆う状態を示す斜視図である。本体板3(図5参照)をカットして部品片4及び開口部12(図5参照)を形成する工程と、装飾布5を切断する工程と、が実行された後、図7に示すように、部品片4の表面15を装飾布5で覆う工程が行われる。
【0041】
部品片4の表面15を装飾布5で覆う工程では、装飾布5の裏面19に部品片4の表面15を当接させ、部品片4の表面15が装飾布5で覆われる。装飾布5と部品片4は、接着されても良いし、接着されず剥離可能な状態でも良い。
【0042】
図8は、装飾具1の部品片4を本体板3に取り付ける状態を示す断面である。部品片4の表面15を装飾布5で覆う工程が実行された後、図8に示すように、装飾布5で覆われた部品片4を本体板3の裏面11側から開口部12に嵌め込む工程が実行される。
【0043】
具体的には、装飾布5で覆われた部品片4が本体板3の裏面11側から表面10側に向かって押圧され、開口部12に嵌め込まれる。そして、図4に示すように、装飾布5で覆われた部品片4が開口部12に嵌合した状態となる。装飾布5は、周縁部近傍の巻込代20が本体板3の開口部12の内周面13と部品片4の端面17との間に挟持され、本体板3に支持される。装飾布5の周縁部には、本体板3の開口部12の内周面13と部品片4の端面17との間に挟まれない箇所があっても良い。
【0044】
なお、図7及び図8を参照して、前述の部品片4の表面15を装飾布5で覆う工程は、装飾布5の表面18が本体板3の裏面11に当接した状態で行われても良い。即ち、先に装飾布5が本体板3に当接し、次いで、装飾布5に部品片4が当接しても良い。
【0045】
また、装飾布5の巻込代20と本体板3の開口部12の内周面13は、接着剤等を利用して接着等されても良いし、接着剤等を利用せず分離可能に密嵌されても良い。例えば、装飾具1が組み立て分解可能な玩具等である場合には、本体板3と装飾布5との接合に接着剤が使用されない。
【0046】
以上説明の装飾方法によれば、非熟練者であっても、本体板3に装飾布5を取り付けることができ、優れたデザインの装飾具1を容易に効率良く装飾することができる。このように装飾具1は、熟練者の手作業を必要とせず容易に機械加工することができ、生産性に優れていると共に優れた美観を現出する。
【0047】
次に、図9ないし図17を参照して、実施形態を変形した例として、装飾具101、201、301、401、501について詳細に説明する。なお、既に説明した実施形態と同一若しくは同様の作用、効果を奏する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0048】
図9は、本発明の他の実施形態に係る装飾具101の概略構成を示す斜視図である。図10は、装飾具101の分解斜視図である。図9及び図10を参照して、装飾具101は、本体板3の裏面11及び部品片4の裏面16の少なくとも一方に接着された背面部材6を有する。
【0049】
具体的には、装飾具101は、本体板3と、本体板3の開口部12に嵌められる部品片4と、部品片4の表面15を覆う装飾布5と、を有する前面部材2を備えている。前面部材2は、図1ないし図9を参照して既に説明した装飾具1と同様の構成である。そして、前面部材2の裏面11側に、背面部材6が接合されている。
【0050】
背面部材6は、合成樹脂、金属、木材等から形成された略平板状の形態を成す部材である。背面部材6は、正面視で本体板3と略同等のサイズまたは本体板3よりも大きいサイズであることが望ましいが、背面部材6の形状、厚さについて特に制限はない。例えば、背面部材6は、正面視において、前面部材2と略同形状であっても良い。また、背面部材6は、前面部材2と異なる形状で前面部材2よりも大きい略方形平板状の形態でも良い。
【0051】
背面部材6は、透明な素材から形成されても良く、また、各種の色彩が施されても良い。また、背面部材6には、装飾のための図形、色彩、文字、ロゴマーク等が印刷されても良い。
【0052】
前面部材2と背面部材6との接合方法は、接着剤を利用した接着の他、両面接着テープ、両面粘着テープ等を利用した接着等でも良い。接着剤や両面粘着テープ等を利用した接合は、前面部材2と背面部材6を容易に接合することができ作業性に優れている。
【0053】
また、背面部材6は、例えば、厚さ0.1mm程度のテープ状部材でも良い。具体的には、背面部材6は、セロハンテープ、ビニールテープ等の接着テープ等から形成されても良い。
【0054】
背面部材6の切断加工は、本体板3の加工と同様にレーザカットでも良い。また、背面部材6の切断加工は、レーザカット以外の切断方法、例えば、トムソン刃が形成された切断型を用いた切断等でも良い。
【0055】
このような構成の装飾具101は、前面部材2と背面部材6を接合する容易な加工で、本体板3、部品片4、装飾布5及び背面部材6の多彩な組み合わせが可能であり、その利用方法に応じた好適な装飾を表現することができる。このように、デザイン性及び利用性に優れた装飾具101が得られる。
【0056】
図11は、本発明の他の実施形態に係る装飾具201の概略構成を示す分解斜視図である。図11に示すように、装飾具201は、複数個所に装飾布5が設けられている。
【0057】
具体的には、本体板3には、複数の開口部12が形成されている。それぞれの開口部12には、表面15を装飾布5で覆われた部品片4が内嵌されている。
なお、それぞれの装飾布5は、異なる形状、模様、色彩であっても良い。
このように、装飾布5及び部品片4がそれぞれ複数設けられる構成によっても、装飾の加工が容易で、多彩な意匠を表現することができる。
【0058】
図12は、本発明の他の実施形態に係る装飾具301の分解斜視図である。図13は、装飾具301の断面図である。図12及び図13を参照して、装飾具301は、1つの開口部12に複数の部品片4及び装飾布5が設けられている。
【0059】
具体的には、開口部12には、複数に分割された部品片4が設けられており、それぞれの部品片4の表面15は、装飾布5で覆われている。それぞれの部品片4及び装飾布5は、1つの開口部12に嵌め込まれている。それぞれ隣接する部品片4の周縁の端面17の間には、装飾布5の巻込代20が挟まれていても良い。
【0060】
そして、それぞれの装飾布5は、異なる形状、模様、色彩であっても良い。
このような構成により、1つの開口部12に意匠が異なる複数枚の装飾布5を並べた多彩なデザイン表現が可能となる。
【0061】
図14は、本発明の他の実施形態に係る装飾具401の概略構成を示す斜視図である。図15は、装飾具401の断面図である。図14及び図15を参照して、装飾具401は、1つの部品片4に対して複数枚の装飾布5が設けられている。
部品片4の表面15が、模様が異なる複数の装飾布5a、5bで覆われることにより、多様な装飾の美観を表現することができる。
【0062】
また、複数枚の装飾布5は、部分的に重なるよう設けられても良い。例えば、1つの装飾布5aの周縁部近郷に、他の装飾布5bの周縁部近郷が重ね合わされ、重層部21が形成されても良い。
これにより、例えば、着物の左右の身頃を重ねたような態様や、シャツと上着、襟等を重ねたような意匠、その他の多彩な表現が可能となる。
【0063】
図16は、本発明の他の実施形態に係る装飾具501の概略構成を示す斜視図である。図17は、装飾具501の断面図である。図16及び図17に示す装飾具501は、1つの部品片4に対して複数枚の装飾布5が設けられている他の例である。
【0064】
具体的には、部品片4には、部品片4の略全体を覆う装飾布5cが設けられ、更に、装飾布5cを部分的に覆うように他の装飾布5dが設けられている。即ち、装飾布5dは、略全体が重層部21を形成するように設けられても良い。
【0065】
このような構成により、着物に重ねられた帯を表現するような美観その他の多彩な美観を現出することができる。
【0066】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0067】
1、101、201、301、401、501 装飾具
2 前面部材
3 本体板
4 部品片
5、5a、5b、5c、5d 装飾布
6 背面部材
10 表面
11 裏面
12 開口部
13 内周面
14 模様
15 表面
16 裏面
17 端面
18 表面
19 裏面
20 巻込代
21 重層部
22 襟部
23 袖口部
24 裾部
図1
図2
図3
図4
図5
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