(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038829
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20230310BHJP
【FI】
H02K33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145748
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】竹本 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】春日 恭二
(72)【発明者】
【氏名】黒田 嘉成
(72)【発明者】
【氏名】松下 敏久
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB02
5H633BB09
5H633BB10
5H633BB16
5H633BB20
5H633GG03
5H633GG09
5H633HH02
5H633HH06
5H633JA03
5H633JB05
(57)【要約】
【課題】被駆動部材を大きく傾けることができるアクチュエータを提供すること。
【解決手段】アクチュエータ100は、ケース部材1、可動部材MB、上側支持部材2U、及び下側支持部材2Dを有する。上側支持部材2Uは、ケース部材1の上端部に接続される上固定側部分2U3と、四つの可動部材MBのそれぞれの上端部に回動可能に連結される上可動側部分2U1と、上固定側部分2U3と上可動側部分2U1とを繋ぐ上中間部分2U2とを含む。下側支持部材2Dは、ケース部材1の下端部に接続される下固定側部分2D3と、四つの可動部材MBのそれぞれの下端部に回動可能に連結される下可動側部分2D1と、下固定側部分2D3と下可動側部分2D1とを繋ぐ下中間部分2D2とを含む。アクチュエータ100は、四つの可動部材MBの少なくとも一つを駆動方向に移動させて上可動側部分2U1に固定された光学素子OEを傾ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
複数の可動部材と、
前記固定部材に対して複数の前記可動部材のそれぞれを所定の駆動方向に移動させる駆動装置と、
前記固定部材に対して複数の前記可動部材のそれぞれを前記駆動方向に移動可能に支持する第1支持部材及び第2支持部材と、を有するアクチュエータであって、
前記第1支持部材は、前記固定部材の前記駆動方向における一端部に接続される第1固定側部分と、複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における一端部に回動可能に連結される第1可動側部分と、前記第1固定側部分と前記第1可動側部分との間を弾性的に繋ぐ第1中間部分と、を含み、
前記第2支持部材は、前記固定部材の前記駆動方向における他端部に接続される第2固定側部分と、複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における他端部に回動可能に連結される第2可動側部分と、前記第2固定側部分と前記第2可動側部分との間を弾性的に繋ぐ第2中間部分と、を含み、
前記駆動装置は、複数の前記可動部材の少なくとも一つを前記駆動方向に移動させることによって前記第1可動側部分に固定された被駆動部材を駆動させるように構成されている、
アクチュエータ。
【請求項2】
複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における一端部は、弾性部材又はボールジョイントである連結部材を介して前記第1可動側部分に回動可能に連結されており、
複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における他端部は、弾性部材又はボールジョイントである別の連結部材を介して前記第2可動側部分に回動可能に連結されている、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記固定部材は、複数の前記可動部材に対応する複数の凹部を有する磁性体で形成されたケース部材であり、
複数の前記可動部材のそれぞれは、複数の前記凹部のうちの対応する一つの内側に非接触の状態で収容されている、
請求項1又は請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記被駆動部材は、光学素子である、
請求項1から請求項3の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1中間部分は、回転軸を構成する一対の軸部を含み、
前記第2中間部分は、前記回転軸に平行な別の回転軸を構成する別の一対の軸部を含み、
前記駆動装置は、複数の前記可動部材の少なくとも一つを前記駆動方向に移動させることにより、前記第1支持部材を前記回転軸の回りで回転させ、且つ、前記第2支持部材を前記別の回転軸の回りで回転させる、
請求項1から請求項4の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1中間部分は、第1回転軸を構成する一対の第1軸部と第2回転軸を構成する一対の第2軸部とを含み、
前記第2中間部分は、前記第1回転軸に平行な第3回転軸を構成する一対の第3軸部と前記第2回転軸に平行な第4回転軸を構成する一対の第4軸部とを含み、
前記駆動装置は、複数の前記可動部材の少なくとも一つを前記駆動方向に移動させることにより、前記第1支持部材を前記第1回転軸及び前記第2回転軸の少なくとも一方の回りに回転させ、且つ、前記第2支持部材を前記第3回転軸及び前記第4回転軸の少なくとも一方の回りに回転させる、
請求項1から請求項4の何れかに記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ミラーを含む可動部材に接続された四つの磁石と固定部材に接続された四つのコイルとの間に生じるローレンツ力を利用して光学素子を傾斜させる機器が知られている(特許文献1参照)。また、ミラーを含む可動部材に接続された四つのコイルと固定部材に接続された八つの磁石との間に生じるローレンツ力を利用してミラーを傾斜させる機器が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-534075号公報
【特許文献2】再表2011-007628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の機器は、ミラーを所望の向きに傾けることができる。しかしながら、上述のような機器では、ミラーを大きく傾けてしまうと磁石とコイルとが干渉してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、ミラー等の被駆動部材を大きく傾けることができるアクチュエータを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るアクチュエータは、固定部材と、複数の可動部材と、前記固定部材に対して複数の前記可動部材のそれぞれを所定の駆動方向に移動させる駆動装置と、前記固定部材に対して複数の前記可動部材のそれぞれを前記駆動方向に移動可能に支持する第1支持部材及び第2支持部材と、を有するアクチュエータであって、前記第1支持部材は、前記固定部材の前記駆動方向における一端部に接続される第1固定側部分と、複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における一端部に回動可能に連結される第1可動側部分と、前記第1固定側部分と前記第1可動側部分との間を弾性的に繋ぐ第1中間部分と、を含み、前記第2支持部材は、前記固定部材の前記駆動方向における他端部に接続される第2固定側部分と、複数の前記可動部材のそれぞれの前記駆動方向における他端部に回動可能に連結される第2可動側部分と、前記第2固定側部分と前記第2可動側部分との間を弾性的に繋ぐ第2中間部分と、を含み、前記駆動装置は、複数の前記可動部材の少なくとも一つを前記駆動方向に移動させることによって前記第1可動側部分に固定された被駆動部材を駆動させるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述のアクチュエータは、被駆動部材を大きく傾けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図2】一部の部材の図示が省略された状態のアクチュエータの斜視図である。
【
図3】光学素子が取り付けられた上側支持部材の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るアクチュエータ100について説明する。
図1は、アクチュエータ100の斜視図である。
図2は、一部の部材(ケース部材1及び締結部材3)の図示が省略された状態のアクチュエータ100の斜視図である。
図1において、X1は三次元直交座標系を構成するX軸の一方の向きを表し、X2はX軸の他方の向きを表す。また、Y1は三次元直交座標系を構成するY軸の一方の向きを表し、Y2はY軸の他方の向きを表す。同様に、Z1は三次元直交座標系を構成するZ軸の一方の向きを表し、Z2はZ軸の他方の向きを表す。本実施形態では、アクチュエータ100のX1側は、アクチュエータ100の前側(正面側)に相当し、アクチュエータ100のX2側は、アクチュエータ100の後側(背面側)に相当する。また、アクチュエータ100のY1側は、アクチュエータ100の左側に相当し、アクチュエータ100のY2側は、アクチュエータ100の右側に相当する。そして、アクチュエータ100のZ1側は、アクチュエータ100の上側に相当し、アクチュエータ100のZ2側は、アクチュエータ100の下側に相当する。他の図においても同様である。また、アクチュエータ100を構成する部材についても同様である。
【0010】
図示例では、アクチュエータ100は、被駆動部材としての光学素子OEを動かすことができるように構成されている。具体的には、アクチュエータ100は、Z軸方向に平行に延びるアクチュエータ100の中心軸CXに沿って光学素子OEを平行移動させ、且つ、中心軸CXに垂直な平面における回転軸AXの回りで光学素子OEを回転させることができるように構成されている。より具体的には、回転軸AXは、X軸に平行な第1回転軸AX1と、Y軸に平行な第2回転軸AX2とを含む。中心軸CX、第1回転軸AX1、及び第2回転軸AX2は互いに垂直であり、光学素子OEの中心点CPで互いに直交している。光学素子OEの中心点CPは、光学素子OEの上面(Z1側の面)上の点であってもよく、光学素子OEの下面(Z2側の面)上の点であってもよく、光学素子OEの上面と下面との間の中間に位置する仮想的な平面上の点であってもよい。図示例では、光学素子OEの中心点CPは、光学素子OEの上面(Z1側の面)上の点である。この場合、アクチュエータ100は、中心軸CXと光学素子OEの上面との交点の位置を変化させることなく、光学素子OEを傾けることができる。
【0011】
具体的には、アクチュエータ100は、
図1に示すように、固定部材FBとしてのケース部材1と、可動部材MB(第1可動部材MB1~第4可動部材MB4)と、ケース部材1に対して可動部材MBを移動可能に支持する支持部材2と、支持部材2をケース部材1に締結するための締結部材3と、を含む。
【0012】
ケース部材1は、アクチュエータ100の本体を構成する部材である。図示例では、ケース部材1は、後述の磁気回路の一部を構成する磁性体で形成されている。但し、ケース部材1は、非磁性体で形成されていてもよい。この場合、後述の磁気回路の一部はケース部材1とは別の部材としてケース部材1に埋め込まれていてもよく、ケース部材1に固定されていてもよい。具体的には、ケース部材1は、合成樹脂で形成されていてもよく、金属で形成されていてもよく、或いは、セラミックス、ゴム、若しくはガラス等で形成されていてもよい。或いは、ケース部材1は、二つ以上の材料で形成されていてもよい。例えば、ケース部材1は、合成樹脂で形成された部分と金属で形成された部分とを含むものであってもよい。この場合、ケース部材1は、インサート成形によって形成されていてもよい。
【0013】
可動部材MBは、固定部材FBに対して相対的に移動可能な部材である。図示例では、可動部材MBは、駆動装置DM(
図11、
図12、及び
図15参照)により、Z軸方向に平行な方向である駆動方向に移動できるように構成されている。具体的には、可動部材MBは、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4を含み、駆動装置DMは第1駆動装置DM1~第4駆動装置DM4を含む。そして、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4は、第1駆動装置DM1~第4駆動装置DM4によって互いに独立して移動できるように構成されている。より具体的には、第1可動部材MB1は、第1駆動装置DM1(
図11参照)によって駆動方向に移動できるように構成され、第2可動部材MB2は、第2駆動装置DM2(
図11参照)によって駆動方向に移動できるように構成され、第3可動部材MB3は、第3駆動装置DM3(
図12参照)によって駆動方向に移動できるように構成され、第4可動部材MB4は、第4駆動装置DM4(
図15参照)によって駆動方向に移動できるように構成されている。そして、第1可動部材MB1と第2可動部材MB2とは、上面視において、第2回転軸AX2に関して線対称となるように配置され、第3可動部材MB3と第4可動部材MB4とは、上面視において、第2回転軸AX2に関して線対称となるように配置されている。また、第1可動部材MB1と第4可動部材MB4とは、上面視において、第1回転軸AX1に関して線対称となるように配置され、第2可動部材MB2と第3可動部材MB3とは、上面視において、第1回転軸AX1に関して線対称となるように配置されている。
【0014】
支持部材2は、ケース部材1の上端部(Z1側の端部)に固定される上側支持部材2Uと、ケース部材1の下端部(Z2側の端部)に固定される下側支持部材2Dと、を含む。図示例では、上側支持部材2Uと下側支持部材2Dとは、板ばねで形成された同一の部品であり同じ形状及び同じ大きさを有する。
【0015】
具体的には、上側支持部材2Uは、
図3に示すように、最も内側に位置する上可動側部分2U1と、最も外側に位置する上固定側部分2U3と、上可動側部分2U1と上固定側部分2U3との間に位置する上中間部分2U2とを含む。
【0016】
図3は、光学素子OEが取り付けられた上側支持部材2Uの上面図である。
図3では、明瞭化のため、上可動側部分2U1及び上固定側部分2U3に粗いドットパターンが付され、上中間部分2U2に細かいドットパターンが付されている。
【0017】
図示例では、光学素子OEは、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1の中央部に接着剤で接着固定されている。但し、光学素子OEは、上可動側部分2U1の中央部に形成された貫通孔に嵌め込まれていてもよい。また、図示例では、光学素子OEは、上面視で矩形状となるように構成されているが、上面視で円形、楕円形、又は多角形等の他の形状となるように構成されていてもよい。また、図示例では、光学素子OEは、平板状となるように構成されているが、球状、円錐台状、角錐台状、円柱状、楕円柱状、又は多角柱状等の立体状となるように構成されていてもよい。
【0018】
具体的には、上側支持部材2Uは、ケース部材1の上端部に接続される上固定側部分2U3と、四つの可動部材MB(第1可動部材MB1~第4可動部材MB4)のそれぞれの上端部に回動可能に連結される上可動側部分2U1と、上固定側部分2U3と上可動側部分2U1との間を弾性的に繋ぐ上中間部分2U2と、を含む。
【0019】
上可動側部分2U1が第1可動部材MB1の上端部に関して回動可能であることは、例えば、第1可動部材MB1の駆動方向に延びる第1可動部材MB1の中心線(Z軸に平行な線)に関して上可動側部分2U1の上面を含む仮想平面が任意の方向に所定の角度範囲内の傾斜角で傾斜できることを意味する。図示例では、所定の角度範囲は、-20度から+20度である。
【0020】
上中間部分2U2は、軸部2S及び環状部2Mを含む。軸部2Sは、後側軸部2SB、前側軸部2SF、左側軸部2SL、及び右側軸部2SRを含む。一対の軸部である後側軸部2SB及び前側軸部2SFは、第1回転軸AX1を構成し、別の一対の軸部である左側軸部2SL及び右側軸部2SRは、第2回転軸AX2を構成している。
【0021】
具体的には、左側軸部2SL及び右側軸部2SRは、環状部2Mと上可動側部分2U1とを弾性的に連結するように構成され、後側軸部2SB及び前側軸部2SFは、環状部2Mと上固定側部分2U3とを弾性的に連結するように構成されている。環状部2Mは、弾性変形しないように構成されている。可動部材MBが移動したときに軸部2Sが確実に弾性変形できるようにするためである。但し、環状部2Mは、僅かに弾性変形するように構成されていてもよい。
【0022】
図示例では、上固定側部分2U3は、後側辺部2U3B、前側辺部2U3F、左側辺部2U3L、及び右側辺部2U3Rを有する。そして、後側軸部2SBは、環状部2Mと上固定側部分2U3の後側辺部2U3Bとを弾性的に連結するように構成され、前側軸部2SFは、環状部2Mと上固定側部分2U3の前側辺部2U3Fとを弾性的に連結するように構成されている。また、左側軸部2SLは、環状部2Mと上可動側部分2U1の左側部とを弾性的に連結するように構成され、右側軸部2SRは、環状部2Mと上可動側部分2U1の右側部とを弾性的に連結するように構成されている。しかしながら、左側軸部2SLは、環状部2Mと上固定側部分2U3の左側辺部2U3Lとを弾性的に連結するように構成され、右側軸部2SRは、環状部2Mと上固定側部分2U3の右側辺部2U3Rとを弾性的に連結するように構成されていてもよい。この場合、後側軸部2SBは、環状部2Mと上可動側部分2U1の後側部とを弾性的に連結するように構成され、前側軸部2SFは、環状部2Mと上可動側部分2U1の前側部とを弾性的に連結するように構成されていてもよい。
【0023】
また、図示例では、四つの軸部2Sは、第1回転軸AX1と第2回転軸AX2とが互いに直交するように配置されているが、第1回転軸AX1と第2回転軸AX2とが直角以外の角度で互いに交差するように配置されていてもよい。また、四つの軸部2Sは、第1回転軸AX1が矩形の光学素子OEの二つの対角線のうちの一方に沿って延び且つ第2回転軸AX2が二つの対角線のうちの他方に沿って延びるように配置されていてもよい。
【0024】
また、上可動側部分2U1と上固定側部分2U3とは四つの軸部2S(後側軸部2SB、前側軸部2SF、左側軸部2SL、及び右側軸部2SR)によって弾性的に連結されていてもよい。すなわち、上中間部分2U2は、後側軸部2SB、前側軸部2SF、左側軸部2SL、及び右側軸部2SRによって構成され、環状部2Mは省略されてもよい。この場合、上可動側部分2U1と上固定側部分2U3とは二つ又は三つの軸部によって弾性的に連結されていてもよく、五つ以上の軸部によって弾性的に連結されていてもよい。
【0025】
また、図示例では、四つの軸部2Sのそれぞれは、ミアンダ形状を有するように構成されている。上可動側部分2U1が第1回転軸AX1の回りに回転して後側軸部2SB及び前側軸部2SFのそれぞれにねじり応力が作用したときの後側軸部2SB及び前側軸部2SFのそれぞれの破損を抑制するためである。また、上可動側部分2U1が第2回転軸AX2の回りに回転して左側軸部2SL及び右側軸部2SRのそれぞれにねじり応力が作用したときの左側軸部2SL及び右側軸部2SRのそれぞれの破損を抑制するためである。但し、軸部2Sは、直線状の形状等、ミアンダ形状以外の形状を有していてもよい。
【0026】
下側支持部材2Dは、光学素子OEが取り付けられている点を除き、上側支持部材2Uと同様に構成されている。すなわち、下側支持部材2Dは、
図4に示すように、ケース部材1の下端部に接続される下固定側部分2D3と、四つの可動部材MB(第1可動部材MB1~第4可動部材MB4)のそれぞれの下端部に回動可能に連結される下可動側部分2D1と、下固定側部分2D3と下可動側部分2D1との間を弾性的に繋ぐ下中間部分2D2と、を含む。そして、下可動側部分2D1は、中心軸CXに沿って平行移動できるように、且つ、中心軸CXに垂直な平面における回転軸BXの回りで回転できるように構成されている。具体的には、回転軸BXは、
図2に示すように、X軸に平行な第1回転軸BX1と、Y軸に平行な第2回転軸BX2とを含む。中心軸CX、第1回転軸BX1、及び第2回転軸BX2は互いに垂直であり、中心軸CX上で互いに直交している。また、第1回転軸AX1と第1回転軸BX1とは互いに平行であり、第2回転軸AX2と第2回転軸BX2とは互いに平行である。
【0027】
締結部材3は、支持部材2をケース部材1に締結できるように構成されている。図示例では、締結部材3はボルトであり、上側支持部材2Uをケース部材1の上端部に締結するための六つの上側締結部材3Uと、下側支持部材2Dをケース部材1の下端部に締結するための六つの下側締結部材3Dと、を含む。なお、
図1では、六つの下側締結部材3Dのうちの後側の三つはケース部材1の陰に隠れて不可視となっている。上側支持部材2Uの上固定側部分2U3には、
図3に示すように、上側締結部材3Uが挿通される貫通孔2Hが形成されている。下固定側部分2D3についても同様である。
【0028】
次に、
図4を参照し、可動部材MBの詳細について説明する。
図4は、可動部材MB及び支持部材2の分解斜視図である。
【0029】
可動部材MBは、
図4に示すように、固着部材4、弾性部材5、及びコイルアセンブリCAを含む。
【0030】
固着部材4は、弾性部材5を支持部材2に固着させるための部材である。弾性部材5は、駆動方向における可動部材MB(コイルアセンブリCA)の端部が支持部材2に対して回動可能となるように可動部材MB(コイルアセンブリCA)の端部を支持部材2に連結するための連結部材の一例である。連結部材は、可動部材MB(コイルアセンブリCA)の直動運動を被駆動部材(光学素子OE)の回転運動に変換する機能をもたらす。
【0031】
図示例では、固着部材4は合成樹脂で形成され、弾性部材5はゴムで形成されている。そして、固着部材4は上側固着部材4U及び下側固着部材4Dを含み、弾性部材5は上側弾性部材5U及び下側弾性部材5Dを含む。なお、固着部材4は、弾性を有するように構成されていてもよい。例えば、固着部材4は、熱硬化性エラストマー又は熱可塑性エラストマー等で形成されていてもよい。
【0032】
具体的には、上側弾性部材5Uは、可動部材MB(コイルアセンブリCA)の上端部が上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に対して回動可能となるように可動部材MB(コイルアセンブリCA)の上端部を上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に連結できるように構成されている。同様に、下側弾性部材5Dは、可動部材MB(コイルアセンブリCA)の下端部が下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に対して回動可能となるように可動部材MB(コイルアセンブリCA)の下端部を下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に連結できるように構成されている。
【0033】
上側固着部材4Uは、上側弾性部材5Uを上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に固定できるように構成され、下側固着部材4Dは、下側弾性部材5Dを下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に固定できるように構成されている。
【0034】
より具体的には、上側固着部材4Uは第1上側固着部材4U1~第4上側固着部材4U4を含み、下側固着部材4Dは第1下側固着部材4D1~第4下側固着部材4D4を含む。また、上側弾性部材5Uは第1上側弾性部材5U1~第4上側弾性部材5U4を含み、下側弾性部材5Dは第1下側弾性部材5D1~第4下側弾性部材5D4を含む。また、コイルアセンブリCAは、第1コイルアセンブリCA1~第4コイルアセンブリCA4を含む。
【0035】
そして、第1可動部材MB1は、第1上側固着部材4U1、第1上側弾性部材5U1、第1コイルアセンブリCA1、第1下側固着部材4D1、及び第1下側弾性部材5D1で構成されている。また、第2可動部材MB2は、第2上側固着部材4U2、第2上側弾性部材5U2、第2コイルアセンブリCA2、第2下側固着部材4D2、及び第2下側弾性部材5D2で構成されている。また、第3可動部材MB3は、第3上側固着部材4U3、第3上側弾性部材5U3、第3コイルアセンブリCA3、第3下側固着部材4D3、及び第3下側弾性部材5D3で構成されている。また、第4可動部材MB4は、第4上側固着部材4U4、第4上側弾性部材5U4、第4コイルアセンブリCA4、第4下側固着部材4D4、及び第4下側弾性部材5D4で構成されている。
【0036】
そして、第1可動部材MB1に関しては、第1上側弾性部材5U1は、筒状の中央環状部MR(
図13及び
図14参照)が上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に形成された貫通丸孔2T(第1貫通丸孔2T1、
図3参照)に嵌め込まれる。第1上側固着部材4U1は、第1上側固着部材4U1と第1上側弾性部材5U1との間で上側支持部材2Uの上可動側部分2U1が挟持された状態で、接着剤により上側支持部材2U及び第1上側弾性部材5U1に接着固定される。同様に、第1下側弾性部材5D1は、筒状の中央環状部MR(図示せず)が下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に形成された貫通丸孔2T(第1貫通丸孔2T1、図示せず)に嵌め込まれる。第1下側固着部材4D1は、第1下側固着部材4D1と第1下側弾性部材5D1との間で下側支持部材2Dの下可動側部分2D1が挟持された状態で、接着剤により下側支持部材2D及び第1下側弾性部材5D1に接着固定される。第2可動部材MB2~第4可動部材MB4についても同様である。
【0037】
なお、図示例では、可動部材MBは、上側支持部材2Uの上側に上側固着部材4Uが配置され、上側支持部材2Uの下側に上側弾性部材5Uが配置されるように構成されているが、上側支持部材2Uの上側に上側弾性部材5Uが上下を反転させた状態で配置され、上側支持部材2Uの下側に上側固着部材4Uが上下を反転させた状態で配置されるように構成されていてもよい。また、図示例では、可動部材MBは、下側支持部材2Dの上側に下側固着部材4Dが配置され、下側支持部材2Dの下側に下側弾性部材5Dが配置されるように構成されているが、下側支持部材2Dの上側に下側弾性部材5Dが上下を反転させた状態で配置され、下側支持部材2Dの下側に下側固着部材4Dが上下を反転させた状態で配置されるように構成されていてもよい。
【0038】
次に、
図5を参照し、コイルアセンブリCAについて説明する。
図5は、コイルアセンブリCAの分解斜視図である。
【0039】
コイルアセンブリCAは、
図5に示すように、コイル6、コイル保持部材7、基板8、下側板部材9、及び下側筒部材10を含む。
【0040】
コイル6は、駆動装置DMの構成要素である。図示例では、コイル6は、絶縁材料で表面を被覆された導電線が巻回されて形成される巻き線コイルであり、コイル保持部材7に固定されている。
図5は、明瞭化のため、導電線の詳細な巻回状態の図示を省略している。コイル6を図示する他の図においても同様である。
【0041】
コイル保持部材7は、コイル6を保持するための部材である。図示例では、コイル保持部材7は合成樹脂で形成されている。
【0042】
基板8は、コイル6と可動部材MBの外側に配置された制御部(図示せず)との接続を実現するための部材である。図示例では、基板8は、コイル保持部材7に固定された絶縁基板である。コイル6を構成する導電線の両端は基板8上に設けられた端子に接続されている。
【0043】
制御部は、電子回路及び不揮発性記憶装置等を含む装置であり、コイル6を流れる電流の向き及び大きさを制御できるように構成されている。制御部は、コンピュータ等の外部装置からの制御指令に応じてコイル6を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよく、外部装置からの制御指令を受けずにコイル6を流れる電流の向き及び大きさを制御するように構成されていてもよい。なお、図示例では、制御部は、ケース部材1の外部に設置されているが、ケース部材1の内部に設置されていてもよい。
【0044】
下側板部材9は、コイル保持部材7の下端部に取り付けられる部材である。図示例では、下側板部材9は、XY平面に平行な平面に沿って延びる円板状の部材であり、合成樹脂で形成されている。
【0045】
下側筒部材10は、下側板部材9の下側に取り付けられる部材である。図示例では、下側筒部材10は、駆動方向(Z軸方向)に延びる二段円筒状の部材であり、合成樹脂で形成されている。
【0046】
また、図示例では、コイル6は第1コイル6A~第4コイル6Dを含み、コイル保持部材7は、第1コイル保持部材7A~第4コイル保持部材7Dを含み、基板8は第1基板8A~第4基板8Dを含む。また、下側板部材9は第1下側板部材9A~第4下側板部材9Dを含み、下側筒部材10は第1下側筒部材10A~第4下側筒部材10Dを含む。
【0047】
そして、第1コイルアセンブリCA1は、第1コイル6A、第1コイル保持部材7A、第1基板8A、第1下側板部材9A、及び第1下側筒部材10Aで構成され、第2コイルアセンブリCA2は、第2コイル6B、第2コイル保持部材7B、第2基板8B、第2下側板部材9B、及び第2下側筒部材10Bで構成されている。また、第3コイルアセンブリCA3は、第3コイル6C、第3コイル保持部材7C、第3基板8C、第3下側板部材9C、及び第3下側筒部材10Cで構成され、第4コイルアセンブリCA4は、第4コイル6D、第4コイル保持部材7D、第4基板8D、第4下側板部材9D、及び第4下側筒部材10Dで構成されている。
【0048】
次に、
図6を参照し、コイル保持部材7について説明する。
図6は、コイル保持部材7の斜視図である。具体的には、
図6は、第1コイル保持部材7Aの斜視図である。
図6を参照する以下の説明は、第1コイル保持部材7Aに関するが、第2コイル保持部材7B~第4コイル保持部材7Dのそれぞれにも同様に適用される。
【0049】
第1コイル保持部材7Aは、
図6に示すように、第1上側筒部7AT、第1上側板部7AU、第1中央筒部7AS、第1基板保持部7AF、及び第1脚部7ALを含む。
【0050】
第1上側筒部7ATは、駆動方向(Z軸方向)に延びる円筒状の部分であり、第1下側筒部材10Aに対応している。
【0051】
第1上側板部7AUは、XY平面に平行な平面に沿って延びる円板状の部分であり、第1下側板部材9Aに対応している。図示例では、第1上側板部7AUは、第1中央筒部7ASの上蓋を構成している。
【0052】
第1中央筒部7ASは、第1コイル6Aが固定される部分である。図示例では、第1中央筒部7ASは、円筒形状を有する。また、第1中央筒部7ASは、第1駆動装置DM1を構成する第1磁性部材11A及び第1磁石12A(
図7参照)を収容するための空間をその内部に定めるように構成されている。
【0053】
第1基板保持部7AFは、第1基板8Aが取り付けられる部分である。図示例では、第1基板保持部7AFは、第1中央筒部7ASの下端部から左側(Y1側)に突出するように構成されている。
【0054】
第1脚部7ALは、第1コイル保持部材7Aの第1中央筒部7ASと第1下側板部材9Aとを繋ぐ部分である。図示例では、第1脚部7ALは、駆動方向(Z軸方向)に延びる三つの延在部(第1延在部7AL1~第3延在部7AL3)を有する。第1下側板部材9Aは、これら三つの延在部(第1延在部7AL1~第3延在部7AL3)のそれぞれの下端を連結できるように構成されている。
【0055】
次に、
図7~
図9を参照し、固定部材FBについて説明する。
図7は固定部材FBの分解斜視図である。
図8の上図は、固定部材FBの上面図であり、
図8の下図は、固定部材FBの下面図である。
図9は、固定部材FBの断面図である。具体的には、
図9は、
図8に示す切断線(破線IX-IX)を含むXZ平面に平行な平面におけるアクチュエータ100の断面をY2側から見たときの図である。
図8及び
図9では、明瞭化のため、ケース部材1にドットパターンが付されている。また、
図8の上図では、明瞭化のため、磁性部材11にクロスパターンが付されている。
【0056】
固定部材FBは、
図7に示すように、ケース部材1、磁性部材11、及び磁石12を含む。
【0057】
ケース部材1は、アクチュエータ100の本体を構成する磁性体である。図示例では、ケース部材1は、角柱状の上側凹部1P(
図8の上図参照)と角柱状の下側凹部1Q(
図8の下図参照)を有する。
【0058】
上側凹部1Pには、
図8の上図に示すように、可動部材MBの上部を収容するための円柱状凹部1V、及び、基板8を収容するための角柱状凹部1Rが形成されている。
【0059】
円柱状凹部1Vは、
図8の下図に示すように、円形の底部1Kを有する。底部1Kの周囲には、三つの貫通孔1H(
図8の上図参照)と、三つの架橋部1J(
図8の下図参照)が形成されている。
【0060】
具体的には、円柱状凹部1Vは、第1可動部材MB1の上部を収容するための第1円柱状凹部1VA、第2可動部材MB2の上部を収容するための第2円柱状凹部1VB、第3可動部材MB3の上部を収容するための第3円柱状凹部1VC、及び、第4可動部材MB4の上部を収容するための第4円柱状凹部1VDを含む。
【0061】
また、第1円柱状凹部1VAには、第1底部1KAが形成され、第1底部1KAの周囲には、三つの第1貫通孔1HA(第1孔1HA1~第3孔1HA3)と三つの第1架橋部1JA(第1桟1JA1~第3桟1JA3)とが形成されている。第2円柱状凹部1VB~第4円柱状凹部1VDについても同様である。
【0062】
また、角柱状凹部1Rは、第1基板8Aを収容するための第1角柱状凹部1RA、第2基板8Bを収容するための第2角柱状凹部1RB、第3基板8Cを収容するための第3角柱状凹部1RC、及び、第4基板8Dを収容するための第4角柱状凹部1RDを含む。
【0063】
下側凹部1Qには、
図8の下図に示すように、可動部材MBの下部を収容するための角柱状凹部1Wが形成されている。
【0064】
磁性部材11は、駆動装置DMの構成要素である。図示例では、磁性部材11は、磁石12の上端部に固定される円柱状の磁性体(軟鉄)であり、磁石12が発生させる磁束の密度を増大させるヨークとして機能する。
【0065】
磁石12は、駆動装置DMの構成要素である。図示例では、磁石12は、上下方向(Z軸方向)に二極着磁された永久磁石であり、ケース部材1の円柱状凹部1Vの底部1Kの上面に固定されている。
図9では、明瞭化のため、磁石12のS極部分には粗いクロスパターンが付され、磁石12のN極部分とそのN極部分に固定された磁性部材11には細かいドットパターンが付されている。また、
図9における点線は、磁石12が発生させる磁束の一部を表している。すなわち、
図9における点線は、ケース部材1、磁性部材11、及び磁石12によって磁気回路が構成されることを表している。
【0066】
具体的には、磁性部材11は第1磁性部材11A~第4磁性部材11Dを含み、磁石12は第1磁石12A~第4磁石12Dを含む。
【0067】
そして、第1円柱状凹部1VAには第1磁性部材11A及び第1磁石12Aが収容され、第2円柱状凹部1VBには第2磁性部材11B及び第2磁石12Bが収容され、第3円柱状凹部1VCには第3磁性部材11C及び第3磁石12Cが収容され、第4円柱状凹部1VDには第4磁性部材11D及び第4磁石12Dが収容されている。
【0068】
そして、第1円柱状凹部1VAに収容された第1コイル6A、第1磁性部材11A、及び第1磁石12Aは第1駆動装置DM1を構成し、第2円柱状凹部1VBに収容された第2コイル6B、第2磁性部材11B、及び第2磁石12Bは第2駆動装置DM2を構成し、第3円柱状凹部1VCに収容された第3コイル6C、第3磁性部材11C、及び第3磁石12Cは第3駆動装置DM3を構成し、第4円柱状凹部1VDに収容された第4コイル6D、第4磁性部材11D、及び第4磁石12Dは第4駆動装置DM4を構成している。
【0069】
また、第1円柱状凹部1VAの第1底部1KAの周囲に形成された三つの第1貫通孔1HA(第1孔1HA1~第3孔1HA3)は、第1コイル保持部材7Aの第1脚部7AL(
図6参照)を構成する三つの延在部(第1延在部7AL1~第3延在部7AL3)に対応するように構成されている。具体的には、第1孔1HA1は、第1延在部7AL1を受け入れるように配置され、第2孔1HA2は、第2延在部7AL2を受け入れるように配置され、第3孔1HA3は、第3延在部7AL3を受け入れるように配置されている。第2コイル保持部材7B~第4コイル保持部材7Dについても同様である。
【0070】
次に、
図10~
図12を参照し、駆動装置DMについて説明する。
図10は、アクチュエータ100の上面図である。
図11及び
図12は、アクチュエータ100の断面図である。具体的には、
図11は、
図10に示す切断線(破線XI-XI)を含むXZ平面に平行な平面におけるアクチュエータ100の断面をY2側から見たときの図である。
図12は、
図10に示す切断線(破線XII-XII)を含むYZ平面に平行な平面におけるアクチュエータ100の断面をX1側から見たときの図である。なお、
図10~
図12では、明瞭化のため、ケース部材1にはドットパターンが付されている。
【0071】
駆動装置DMは、コイル6、磁性部材11、及び磁石12によって構成されている。具体的には、駆動装置DMは、磁石12が発生させる磁場においてコイル6を流れる電流(荷電粒子)に作用するローレンツ力を利用して可動部材MBを駆動方向(Z軸方向)に往復動させることができるように構成されている。磁石12は、その磁束密度がヨークとして機能する磁性部材11によって高められ、その磁束がコイル6を構成する導電線を垂直に横切るように構成されている。
【0072】
具体的には、第1駆動装置DM1は、
図11に示すように、第1コイル保持部材7Aによって保持された第1コイル6Aと、ケース部材1の第1底部1KAの上面に固定された第1磁石12Aと、第1磁石12Aの上面に固定された第1磁性部材11Aとによって構成されている。そして、第1駆動装置DM1は、両矢印AR1で示すように、第1可動部材MB1を駆動方向(Z軸方向)に沿って往復動させることができるように構成されている。また、第1可動部材MB1は、その上端部が第1上側固着部材4U1及び第1上側弾性部材5U1を介して上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に回動可能に連結され、その下端部が第1下側固着部材4D1及び第1下側弾性部材5D1を介して下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に回動可能に連結されている。
【0073】
また、第2駆動装置DM2は、
図11に示すように、第2コイル保持部材7Bによって保持された第2コイル6Bと、ケース部材1の第2底部1KBの上面に固定された第2磁石12Bと、第2磁石12Bの上面に固定された第2磁性部材11Bとによって構成されている。そして、第2駆動装置DM2は、両矢印AR2で示すように、第2可動部材MB2を駆動方向(Z軸方向)に沿って往復動させることができるように構成されている。また、第2可動部材MB2は、その上端部が第2上側固着部材4U2及び第2上側弾性部材5U2を介して上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に回動可能に連結され、その下端部が第2下側固着部材4D2及び第2下側弾性部材5D2を介して下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に回動可能に連結されている。
【0074】
また、第3駆動装置DM3は、
図12に示すように、第3コイル保持部材7Cによって保持された第3コイル6Cと、ケース部材1の第3底部1KCの上面に固定された第3磁石12Cと、第3磁石12Cの上面に固定された第3磁性部材11Cとによって構成されている。そして、第3駆動装置DM3は、両矢印AR3で示すように、第3可動部材MB3を駆動方向(Z軸方向)に沿って往復動させることができるように構成されている。また、第3可動部材MB3は、その上端部が第3上側固着部材4U3及び第3上側弾性部材5U3を介して上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に回動可能に連結され、その下端部が第3下側固着部材4D3及び第3下側弾性部材5D3を介して下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に回動可能に連結されている。
【0075】
同様に、第4駆動装置DM4は、
図15に示すように、第4コイル保持部材7Dによって保持された第4コイル6Dと、ケース部材1の第4底部1KDの上面に固定された第4磁石12Dと、第4磁石12Dの上面に固定された第4磁性部材11Dとによって構成されている。そして、第4駆動装置DM4は、第4可動部材MB4を駆動方向(Z軸方向)に沿って往復動させることができるように構成されている。また、第4可動部材MB4は、その上端部が第4上側固着部材4U4及び第4上側弾性部材5U4を介して上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に回動可能に連結され、その下端部が第4下側固着部材4D4及び第4下側弾性部材5D4を介して下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に回動可能に連結されている。
【0076】
制御部は、第1駆動装置DM1~第4駆動装置DM4のそれぞれを別々に動作させることにより、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4のそれぞれを駆動方向(Z軸方向)に沿って別々に上下動させることができる。そのため、制御部は、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4のそれぞれの上端部が連結された上側支持部材2Uにおける上可動側部分2U1の、第1回転軸AX1の回りの回転、第2回転軸AX2の回りの回転、及び、中心軸CXに沿った平行移動を実現できる。また、制御部は、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4のそれぞれの下端部が連結された下側支持部材2Dにおける下可動側部分2D1の、第1回転軸BX1の回りの回転、第2回転軸BX2の回りの回転、及び、中心軸CXに沿った平行移動を実現できる。
【0077】
次に、
図13及び
図14を参照し、弾性部材5の詳細について説明する。
図13は、第1上側弾性部材5U1の斜視図であり、
図14は、第1上側弾性部材5U1の上面図である。
図13及び
図14を参照する以下の説明は、第1上側弾性部材5U1に関するが、同じ大きさ及び同じ形状を有する第2上側弾性部材5U2~第4上側弾性部材5U4及び第1下側弾性部材5D1~第4下側弾性部材5D4のそれぞれにも同様に適用される。
【0078】
第1上側弾性部材5U1は、合成ゴム等の弾性変形可能な材料で形成された部材(ゴムブッシュ)である。図示例では、第1上側弾性部材5U1は、連結部SP、内側環状部IR、中央環状部MR、及び外側環状部ORを含む。
【0079】
連結部SPは、内側環状部IRと中央環状部MRとを連結する部分である。図示例では、連結部SPは、内側環状部IRの外周面から上面視で放射状に延びて中央環状部MRの内周面に連結される六本のスポーク部(第1スポーク部SP1~第6スポーク部SP6)を含む。但し、連結部SPは、五本以下のスポーク部で構成されていてもよく、七本以上のスポーク部で構成されていてもよい。また、図示例では、連結部SPは、直線状に延びる六本のスポーク部で構成されているが、渦巻き状に延びる複数のスポーク部で構成されていてもよく、他の形状を有する複数のスポーク部で構成されていてもよい。或いは、連結部は、内側環状部IRの外周面から上面視で全周方向に広がって中央環状部MRの内周面に連結される円環状の薄膜部で構成されていてもよい。この場合、薄膜部は、平板状であってもよく、上側に凸となるドーム状であってもよく、下側に凸となるドーム状であってもよい。
【0080】
内側環状部IRは、第1コイル保持部材7Aの第1上側筒部7AT(
図6参照)の上端部に固定される部分である。図示例では、内側環状部IRは、ボルトBT及びナットNT(後述の
図17参照)によって第1上側筒部7ATに締結されている。
【0081】
中央環状部MRは、第1上側固着部材4U1の内周面に固定される部分である。図示例では、中央環状部MRは、後述の
図17に示すように、外側環状部ORの上面よりも上方に突出するように形成され、且つ、外側環状部ORの上面と上側支持部材2Uの上可動側部分2U1の下面とが接しているときに上可動側部分2U1の上面よりも上方に突出するように形成されている。
【0082】
外側環状部ORは、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1の下面に固定される部分である。
図17に示す例では、中央環状部MRの上面及び外周面と第1上側固着部材4U1の天井面及び内周面とは、第1上側固着部材4U1の下面と外側環状部ORの上面との間に上可動側部分2U1が挟持された状態で、接着剤によって接着固定されている。
【0083】
次に、
図15~
図18を参照し、光学素子OEが動かされたときの各部材の状態について説明する。具体的には、
図15~
図18は、第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を同じ距離だけ下方へ移動させ、且つ、第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を同じ距離だけ上方へ移動させたときの各部材の状態を示す。
【0084】
より具体的には、
図15は、可動部材MB及び支持部材2の右側面図である。
図16は、アクチュエータ100の断面を右側(Y2側)から見た図であり、切断線の位置は
図11における切断線の位置に対応している。
図17は、
図16における破線で囲まれた範囲R1の拡大図である。
図18は、上側支持部材2Uの斜視図である。
【0085】
制御部は、駆動装置DMを駆動することによって上側支持部材2Uに取り付けられた光学素子OEを動かすことができる。
図15及び
図16に示す例では、制御部は、第1駆動装置DM1及び第4駆動装置DM4のそれぞれを駆動して第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4のそれぞれを距離HT1(
図16参照)だけ下方に移動させ、且つ、第2駆動装置DM2及び第3駆動装置DM3のそれぞれを駆動して第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3のそれぞれを距離HT2(
図16参照)だけ上方に移動させている。その結果、制御部は、
図15に示すように、光学素子OEを第2回転軸AX2の回りで反時計回り方向に傾斜角θ1だけ回転させている。図示例では、距離HT1と距離HT2とは同じ大きさである。但し、距離HT1と距離HT2とは互いに異なる大きさであってもよい。
【0086】
図15の破線で表される第1平面PL1は、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に平行で且つ第2回転軸AX2を含む仮想平面である。
図15の破線で表される第2平面PL2は、下側支持部材2Dの下可動側部分2D1に平行で且つ第2回転軸BX2を含む仮想平面である。
【0087】
図15に示すように、下側支持部材2Dの下可動側部分2D1は、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1と同じように回転するように構成されている。具体的には、下側支持部材2Dの下可動側部分2D1と上側支持部材2Uの上可動側部分2U1とは、第2平面PL2とXY平面との間に形成される角度(傾斜角θ1)と第1平面PL1とXY平面との間に形成される角度(傾斜角θ2)とが等しくなるように連動するように構成されている。
【0088】
また、駆動装置DMは、
図16に示すように、ケース部材1に形成された円柱状凹部1Vの内周面とコイル6との間の距離を維持しながら可動部材MBを上下動させるように構成されている。
【0089】
図示例では、制御部は、所定の大きさの電流がリード線(図示せず)を介して第2コイル6Bに供給されるように第2駆動装置DM2を制御し、距離HT2だけ第2可動部材MB2を上昇させている。同様に、制御部は、所定の大きさの電流がリード線(図示せず)を介して第3コイル6Cに供給されるように第3駆動装置DM3を制御し、距離HT2だけ第3可動部材MB3を上昇させている。一方で、制御部は、所定の大きさの電流がリード線(図示せず)を介して第1コイル6Aに供給されるように第1駆動装置DM1を制御し、距離HT1だけ第1可動部材MB1を下降させている。同様に、制御部は、所定の大きさの電流がリード線(図示せず)を介して第4コイル6Dに供給されるように第4駆動装置DM4を制御し、距離HT1だけ第4可動部材MB4を下降させている。
【0090】
図示例では、第1可動部材MB1及びケース部材1は、第1可動部材MB1が初期状態のときも或いは駆動状態のときも、ケース部材1に形成された第1円柱状凹部1VAの内周面と第1コイル6Aとの間のX軸方向における距離GP1(
図16参照)が所定の範囲内に収まるように構成されている。
【0091】
第1可動部材MB1の初期状態は、第1コイル6Aに電流が供給されていないときの第1可動部材MB1の状態を意味する。初期状態では、第1可動部材MB1は、第1可動部材MB1とケース部材1とが非接触となるように上側支持部材2U及び下側支持部材2Dによって支持されている。具体的には、第1可動部材MB1は、第1コイル保持部材7Aの第1中央筒部7ASの下端部とケース部材1の第1底部1KAの上面との間のZ軸方向における距離(高さ)が高さST(
図11参照)となるように上側支持部材2U及び下側支持部材2Dによって支持されている。
【0092】
第1可動部材MB1の駆動状態は、第1コイル6Aに電流が供給されているときの第1可動部材MB1の状態を意味する。駆動状態では、第1可動部材MB1は、第1中央筒部7ASの下端部と第1底部1KAの上面との間の距離(高さ)が高さSTとは異なる高さになるように駆動される。
【0093】
駆動状態にあった第1可動部材MB1の第1コイル6Aへの電流の供給が中止されると、第1可動部材MB1は初期状態に戻る。具体的には、第1可動部材MB1は、弾性的に変形した支持部材2(板ばね)の復元力によって初期状態のときの位置に戻される。
【0094】
同様に、第2可動部材MB2及びケース部材1は、第2可動部材MB2が初期状態のときも或いは駆動状態のときも、ケース部材1に形成された第2円柱状凹部1VBの内周面と第2コイル6Bとの間のX軸方向における距離GP2(
図16参照)が所定の範囲内に収まるように構成されている。また、第3可動部材MB3及びケース部材1は、第3可動部材MB3が初期状態のときも或いは駆動状態のときも、ケース部材1に形成された第3円柱状凹部1VCの内周面と第3コイル6Cとの間のX軸方向における距離GP3(図示せず)が所定の範囲内に収まるように構成されている。また、第4可動部材MB4及びケース部材1は、第4可動部材MB4が初期状態のときも或いは駆動状態のときも、ケース部材1に形成された第4円柱状凹部1VDの内周面と第4コイル6Dとの間のX軸方向における距離GP4(図示せず)が所定の範囲内に収まるように構成されている。
【0095】
なお、図示例では、アクチュエータ100は、距離GP1~距離GP4のそれぞれが同じ大きさの範囲内に収まるように構成されている。但し、アクチュエータ100は、距離GP1~距離GP4のそれぞれが互いに異なる大きさの範囲内に収まるように構成されていてもよい。典型的には、距離GP1は、第1可動部材MB1の移動量が最大となるときに最小値となり、第1可動部材MB1が初期状態のときに最大値となる。距離GP2~距離GP4についても同様である。また、アクチュエータ100は、可動部材MBとケース部材1とが接触しない限りにおいて、距離GP1~距離GP4のそれぞれの最大値ができるだけ小さくなるように構成されている。磁性体としてのケース部材1と磁性部材11との間の距離をできるだけ小さくすることによってコイル6を通過する磁束の密度ができるだけ大きくなるようにするためである。すなわち、駆動装置DMによる駆動力を効率的に利用できるようにするためである。また、アクチュエータ100のサイズを小さくできるようにするためである。
【0096】
図15及び
図16に示すように上側支持部材2Uの上可動側部分2U1がXY平面に対して傾くと、第1上側弾性部材5U1の連結部SPは、
図17に示すように弾性的に変形する。
図17は、六つの連結部SPのうちの第1スポーク部SP1及び第4スポーク部SP4が弾性的に変形した様子を示している。しかしながら、実際には、
図17では不可視の第2スポーク部SP2、第3スポーク部SP3、第5スポーク部SP5、及び第6スポーク部SP6も同様に弾性的に変形している。第2上側弾性部材5U2~第4上側弾性部材5U4のそれぞれにおける連結部SPについても同様である。
【0097】
また、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1がXY平面に対して傾くと、下側支持部材2Dの下可動側部分2D1もXY平面に対して傾くため、第1下側弾性部材5D1の連結部SPも、
図17に示す第1上側弾性部材5U1の連結部SPと同様に弾性的に変形する。第2下側弾性部材5D2~第4下側弾性部材5D4のそれぞれにおける連結部SPについても同様である。
【0098】
この構成により、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4のそれぞれは、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1がXY平面に対して傾いた場合であっても、駆動方向に沿って延びる中心線に対して傾くことなく、駆動方向(Z軸方向)に平行移動できる。
【0099】
また、
図15~
図18に示す例では、制御部は、第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を同時に下降させ且つ第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を同時に上昇させることによって光学素子OEを第2回転軸AX2の回りに右側面視で反時計回り方向に回転させている。しかしながら、制御部は、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4の少なくとも一つを上昇或いは下降させることによって任意の方向に向けて光学素子OEを傾けてもよい。すなわち、制御部は、光学素子OEの表面に垂直な法線ベクトルNL(
図15及び
図18参照)の向きを任意の向きに向けることができる。また、制御部は、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4の全てをZ軸方向に同じ距離だけ上昇させることによって光学素子OEを上方に平行移動させてもよく、第1可動部材MB1~第4可動部材MB4の全てをZ軸方向に同じ距離だけ下降させることによって光学素子OEを下方に平行移動させてもよい。
【0100】
例えば、制御部は、第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を同時に上昇させ且つ第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を同時に下降させることによって光学素子OEを第2回転軸AX2の回りに右側面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0101】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を同時に下降させ且つ第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を同時に上昇させることによって光学素子OEを第1回転軸AX1の回りに正面視で反時計回り方向に回転させることができる。
【0102】
また、制御部は、第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を同時に上昇させ且つ第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を同時に下降させることによって光学素子OEを第1回転軸AX1の回りに正面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0103】
また、制御部は、第2可動部材MB2及び第4可動部材MB4を移動させることなく、第1可動部材MB1を上昇させ且つ第3可動部材MB3を下降させることによって、或いは、第1可動部材MB1を下降させ且つ第3可動部材MB3を上昇させることによって、光学素子OEを第3回転軸AX3(
図3参照)の回りに回転させることができる。なお、第3回転軸AX3は、矩形の光学素子OEの二つの対角線のうちの一方に沿って延びる回転軸である。
【0104】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第3可動部材MB3を移動させることなく、第2可動部材MB2を上昇させ且つ第4可動部材MB4を下降させることによって、或いは、第2可動部材MB2を下降させ且つ第4可動部材MB4を上昇させることによって、光学素子OEを第4回転軸AX4(
図3参照)の回りに回転させることができる。なお、第4回転軸AX4は、矩形の光学素子OEの二つの対角線のうちの他方に沿って延びる回転軸である。
【0105】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を移動させることなく第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を同時に上昇させることによって光学素子OEをY軸に平行な回転軸の回りに右側面視で反時計回り方向に回転させることができる。
【0106】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を移動させることなく第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を同時に下降させることによって光学素子OEをY軸に平行な回転軸の回りに右側面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0107】
また、制御部は、第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を移動させることなく第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を同時に上昇させることによって光学素子OEをY軸に平行な回転軸の回りに右側面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0108】
また、制御部は、第2可動部材MB2及び第3可動部材MB3を移動させることなく第1可動部材MB1及び第4可動部材MB4を同時に下降させることによって光学素子OEをY軸に平行な回転軸の回りに右側面視で反時計回り方向に回転させることができる。
【0109】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を移動させることなく第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を同時に上昇させることによって光学素子OEをX軸に平行な回転軸の回りに正面視で反時計回り方向に回転させることができる。
【0110】
また、制御部は、第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を移動させることなく第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を同時に下降させることによって光学素子OEをX軸に平行な回転軸の回りに正面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0111】
また、制御部は、第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を移動させることなく第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を同時に上昇させることによって光学素子OEをX軸に平行な回転軸の回りに正面視で時計回り方向に回転させることができる。
【0112】
また、制御部は、第3可動部材MB3及び第4可動部材MB4を移動させることなく第1可動部材MB1及び第2可動部材MB2を同時に下降させることによって光学素子OEをX軸に平行な回転軸の回りに正面視で反時計回り方向に回転させることができる。
【0113】
また、制御部は、第1駆動装置DM1~第4駆動装置DM4のそれぞれを別々に動作させることにより、Y軸に平行な回転軸の回りの光学素子OEの回転、X軸に平行な回転軸の回りの光学素子OEの回転、及び、Z軸方向における光学素子OEの平行移動のうちの少なくとも二つを同時に実行してもよい。
【0114】
上述のように、本発明の実施形態に係るアクチュエータ100は、固定部材FB(ケース部材1)と、複数の可動部材MBと、固定部材FB(ケース部材1)に対して複数の可動部材MBのそれぞれを所定の駆動方向(Z軸方向)に移動させる駆動装置DMと、固定部材FB(ケース部材1)に対して複数の可動部材MBのそれぞれを駆動方向(Z軸方向)に移動可能に支持する第1支持部材(上側支持部材2U)及び第2支持部材(下側支持部材2D)と、を有する。そして、第1支持部材(上側支持部材2U)は、固定部材FB(ケース部材1)の駆動方向(Z軸方向)における一端部に接続される第1固定側部分(上固定側部分2U3)と、複数の可動部材MBのそれぞれの駆動方向における一端部に回動可能に連結される第1可動側部分(上可動側部分2U1)と、第1固定側部分(上固定側部分2U3)と第1可動側部分(上可動側部分2U1)との間を弾性的に繋ぐ第1中間部分(上中間部分2U2)と、を含む。また、第2支持部材(下側支持部材2D)は、固定部材FB(ケース部材1)の駆動方向における他端部に接続される第2固定側部分(下固定側部分2D3)と、複数の可動部材MBのそれぞれの駆動方向における他端部に回動可能に連結される第2可動側部分(下可動側部分2D1)と、第2固定側部分(下固定側部分2D3)と第2可動側部分(下可動側部分2D1)との間を弾性的に繋ぐ第2中間部分(下中間部分2D2)と、を含む。そして、駆動装置DMは、複数の可動部材MBの少なくとも一つを駆動方向に移動させることによって第1可動側部分(上可動側部分2U1)に固定された被駆動部材(光学素子OE)を駆動させるように構成されている。
【0115】
この構成は、被駆動部材を大きく傾けることができるという効果をもたらす。図示例では、アクチュエータ100は、20度以上の傾斜角で光学素子OEを傾けることができるという効果をもたらす。アクチュエータ100は、光学素子OEが20度以上の傾斜角で大きく傾けられたときであっても、アクチュエータ100を構成している部材同士が干渉しないように構成されているためである。また、アクチュエータ100は、複数の可動部材MBのそれぞれを傾けることなく駆動方向に移動させながら、被駆動部材を傾けることができ、或いは、被駆動部材を駆動方向に平行移動させることができる。そのため、アクチュエータ100は、可動部材MBと固定部材FBとの接触を回避しながら被駆動部材を動かすことができる。
【0116】
複数の可動部材MBのそれぞれの駆動方向における一端部は、弾性部材(上側弾性部材5U)又はボールジョイントである連結部材を介して第1可動側部分(上可動側部分2U1)に回動可能に連結されていてもよい。また、複数の可動部材MBのそれぞれの駆動方向における他端部は、弾性部材(下側弾性部材5D)又はボールジョイントである別の連結部材を介して第2可動側部分(下可動側部分2D1)に回動可能に連結されていてもよい。なお、連結部材は、支持部材2を構成する板ばねに一体化されていてもよい。すなわち、連結部材は、板ばねの一部であってもよい。この場合、板ばねの一部である連結部材は、渦巻き形状を有するように形成されていてもよく、放射形状を有するように形成されていてもよく、渦巻き形状及び放射計状以外の他の形状を有するように形成されていてもよい。
【0117】
この構成は、複数の可動部材MBのそれぞれの直動運動を被駆動部材の回転運動に容易に変換できるという効果をもたらす。
【0118】
固定部材FBは、複数の可動部材MBに対応する複数の凹部(円柱状凹部1V)を有する磁性体で形成されたケース部材1であってもよい。そして、複数の可動部材MBのそれぞれは、複数の凹部(円柱状凹部1V)のうちの対応する一つの内側に非接触の状態で収容されていてもよい。
【0119】
この構成は、複数の可動部材MBのそれぞれが駆動軸(Z軸に平行な軸)に関して過度に傾いてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。凹部(円柱状凹部1V)の内壁がストッパとして機能し得るためである。また、この構成は、駆動装置DMの駆動力を増大させることができるという効果をもたらす。磁気回路を構成するケース部材1と磁性部材11との間の距離を小さくできるためである。
【0120】
被駆動部材は、光学素子OEであってもよい。光学素子OEは、例えば、ミラー、プリズム、又は、CCD若しくはCMOS等の撮像素子等であってもよい。或いは、被駆動部材は、LIDARを構成する光源(レーザ照射装置)であってもよく、照明装置を構成する光源であってもよく、プロジェクタを構成する光源であってもよい。
【0121】
この構成は、例えば、アクチュエータ100が光学素子OEの軸(光軸)を任意の向きに向けることができるようになるという効果をもたらす。或いは、この構成は、アクチュエータ100がLIDAR、照明装置、又は投影装置等の光源の光軸を任意の向きに向けることができるようになるという効果をもたらす。
【0122】
第1中間部分(上中間部分2U2)は、回転軸AXを構成する一対の軸部2Sを含んでいてもよい。また、第2中間部分(下中間部分2D2)は、回転軸AXに平行な別の回転軸BXを構成する別の一対の軸部2Sを含んでいてもよい。そして、駆動装置DMは、複数の可動部材MBの少なくとも一つを駆動方向に移動させることにより、第1支持部材(上側支持部材2U)を回転軸AXの回りで回転させ、且つ、第2支持部材(下側支持部材2D)を回転軸BXの回りで回転させてもよい。
【0123】
この構成は、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に取り付けられた被駆動部材(光学素子OE)が回転軸AXの回りで回転可能になるという効果をもたらす。
【0124】
第1中間部分(上中間部分2U2)は、第1回転軸AX1を構成する一対の第1軸部(上中間部分2U2の後側軸部2SB及び前側軸部2SF)と第2回転軸AX2を構成する一対の第2軸部(上中間部分2U2の左側軸部2SL及び右側軸部2SR)とを含んでいてもよい。また、第2中間部分(下中間部分2D2)は、第1回転軸AX1に平行な第3回転軸(第1回転軸BX1)を構成する一対の第3軸部(下中間部分2D2の後側軸部2SB及び前側軸部2SF)と第2回転軸AX2に平行な第4回転軸(第2回転軸BX2)を構成する一対の第4軸部(下中間部分2D2の左側軸部2SL及び右側軸部2SR)とを含んでいてもよい。この場合、駆動装置DMは、複数の可動部材MBの少なくとも一つを駆動方向に移動させることにより、第1支持部材(上側支持部材2U)を第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2の少なくとも一方の回りに回転させ、且つ、第2支持部材(下側支持部材2D)を第1回転軸BX1及び第2回転軸BX2の少なくとも一方の回りに回転させてもよい。
【0125】
この構成は、上側支持部材2Uの上可動側部分2U1に取り付けられた被駆動部材(光学素子OE)が第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2のそれぞれの回りで回転可能になるという効果をもたらす。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0127】
例えば、上述の実施形態では、可動部材MBは、合成ゴムで形成された連結部材である弾性部材5を介して支持部材2に連結されているが、支持部材2に直接連結されていてもよい。すなわち、連結部材は支持部材2の一部であってもよい。この場合、弾性部材5は省略されてもよい。
【0128】
また、上述の実施形態では、弾性部材5は、固着部材4を利用して支持部材2に固定されているが、インサート成形によって支持部材2に固定されていてもよい。この場合、固着部材4は省略されてもよい。
【0129】
また、上述の実施形態では、駆動装置DMは、可動部材MBとしてのコイル6と、固定部材FBとしての磁性部材11及び磁石12とによって構成されたムービングコイル方式のボイスコイルモータを利用した装置であるが、ムービングマグネット方式のボイスコイルモータを利用した装置であってもよい。
【0130】
また、上述の実施形態では、駆動装置DMは、ボイスコイルモータを利用した装置であるが、圧電素子を利用した装置、形状記憶合金ワイヤを利用した装置、又は、ソレノイドを利用した装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0131】
1・・・ケース部材 1H・・・貫通孔 1HA・・・第1貫通孔 1HB・・・第2貫通孔 1HC・・・第3貫通孔 1HD・・・第4貫通孔 1HA1、1HB1、1HC1、1HD1・・・第1孔 1HA2、1HB2、1HC2、1HD2・・・第2孔 1HA3、1HB3、1HC3、1HD3・・・第3孔 1J・・・架橋部 1JA・・・第1架橋部 1JB・・・第2架橋部 1JC・・・第3架橋部 1JD・・・第4架橋部 1JA1、1JB1、1JC1、1JD1・・・第1桟 1JA2、1JB2、1JC2、1JD2・・・第2桟 1JA3、1JB3、1JC3、1JD3・・・第3桟 1K・・・底部 1KA・・・第1底部 1KB・・・第2底部 1KC・・・第3底部 1KD・・・第4底部 1P・・・上側凹部 1Q・・・下側凹部 1R・・・角柱状凹部 1RA・・・第1角柱状凹部 1RB・・・第2角柱状凹部 1RC・・・第3角柱状凹部 1RD・・・第4角柱状凹部 1V・・・円柱状凹部 1VA・・・第1円柱状凹部 1VB・・・第2円柱状凹部 1VC・・・第3円柱状凹部 1VD・・・第4円柱状凹部 1W・・・角柱状凹部 2・・・支持部材 2D・・・下側支持部材 2D1・・・下可動側部分 2D2・・・下中間部分 2D3・・・下固定側部分 2H・・・貫通孔 2M・・・環状部 2S・・・軸部 2SB・・・後側軸部 2SF・・・前側軸部 2SL・・・左側軸部 2SR・・・右側軸部 2T・・・貫通丸孔 2T1・・・第1貫通丸孔 2T2・・・第2貫通丸孔 2T3・・・第3貫通丸孔 2T4・・・第4貫通丸孔 2U・・・上側支持部材 2U1・・・上可動側部分 2U2・・・上中間部分 2U3・・・上固定側部分 2U3B・・・後側辺部 2U3F・・・前側辺部 2U3L・・・左側辺部 2U3R・・・右側辺部 3・・・締結部材 3D・・・下側締結部材 3U・・・上側締結部材 4・・・固着部材 4D・・・下側固着部材 4D1・・・第1下側固着部材 4D2・・・第2下側固着部材 4D3・・・第3下側固着部材 4D4・・・第4下側固着部材 4U・・・上側固着部材 4U1・・・第1上側固着部材 4U2・・・第2上側固着部材 4U3・・・第3上側固着部材 4U4・・・第4上側固着部材 5・・・弾性部材 5D・・・下側弾性部材 5D1・・・第1下側弾性部材 5D2・・・第2下側弾性部材 5D3・・・第3下側弾性部材 5D4・・・第4下側弾性部材 5U・・・上側弾性部材 5U1・・・第1上側弾性部材 5U2・・・第2上側弾性部材 5U3・・・第3上側弾性部材 5U4・・・第4上側弾性部材 6・・・コイル 6A・・・第1コイル 6B・・・第2コイル 6C・・・第3コイル 6D・・・第4コイル 7・・・コイル保持部材 7A・・・第1コイル保持部材 7AF・・・第1基板保持部 7AL・・・第1脚部 7AL1・・・第1延在部 7AL2・・・第2延在部 7AL3・・・第3延在部 7AS・・・第1中央筒部 7AT・・・第1上側筒部 7AU・・・第1上側板部 7B・・・第2コイル保持部材 7C・・・第3コイル保持部材 7D・・・第4コイル保持部材 8・・・基板 8A・・・第1基板 8B・・・第2基板 8C・・・第3基板 8D・・・第4基板 9・・・下側板部材 9A・・・第1下側板部材 9B・・・第2下側板部材 9C・・・第3下側板部材 9D・・・第4下側板部材 10・・・下側筒部材 10A・・・第1下側筒部材 10B・・・第2下側筒部材 10C・・・第3下側筒部材 10D・・・第4下側筒部材 11・・・磁性部材 11A・・・第1磁性部材 11B・・・第2磁性部材 11C・・・第3磁性部材 11D・・・第4磁性部材 12・・・磁石 12A・・・第1磁石 12B・・・第2磁石 12C・・・第3磁石 12D・・・第4磁石 100・・・アクチュエータ AX・・・回転軸 AX1・・・第1回転軸 AX2・・・第2回転軸 AX3・・・第3回転軸 AX4・・・第4回転軸 BX・・・回転軸 BX1・・・第1回転軸 BX2・・・第2回転軸 CA・・・コイルアセンブリ CA1・・・第1コイルアセンブリ CA2・・・第2コイルアセンブリ CA3・・・第3コイルアセンブリ CA4・・・第4コイルアセンブリ CP・・・中心点 CX・・・中心軸 DM・・・駆動装置 DM1・・・第1駆動装置 DM2・・・第2駆動装置 DM3・・・第3駆動装置 DM4・・・第4駆動装置 FB・・・固定部材 GP1、GP2、HT1、HT2・・・距離 IR・・・内側環状部 MB・・・可動部材 MB1・・・第1可動部材 MB2・・・第2可動部材 MB3・・・第3可動部材 MB4・・・第4可動部材 MR・・・中央環状部 NL・・・法線ベクトル OE・・・光学素子 OR・・・外側環状部 SP・・・連結部 SP1・・・第1スポーク部 SP2・・・第2スポーク部 SP3・・・第3スポーク部 SP4・・・第4スポーク部 SP5・・・第5スポーク部 SP6・・・第6スポーク部 ST・・・高さ