(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038861
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を提供する情報管理サーバ、情報管理方法及び情報管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/015 20230101AFI20230310BHJP
【FI】
G06Q30/02 470
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145805
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】521395230
【氏名又は名称】株式会社BAGASSE UPCYCLE
(74)【代理人】
【識別番号】100117592
【弁理士】
【氏名又は名称】土生 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山本 直人
(72)【発明者】
【氏名】小渡 晋治
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を利用者に提供して、衣料品の廃棄によって生じる環境問題に対する消費者の意識を喚起し、環境負荷の低減に対する積極的な関与を促す情報管理サーバ、情報管理方法及び情報管理システムを提供する。
【解決手段】衣料品の共用サービスにおいて、利用者が利用する製品に関する情報を格納する衣料品貸出情報管理サーバ10、共用される衣料品の貸出店舗に設置され、利用者が利用する製品に関する情報を受け付け、各々の製品の利用情報(貸出情報)として衣料品貸出情報管理サーバ10に記録する貸出端末30、利用者端末40から、製品に付されたICタグ等から読み取られた製品の識別情報を受け取り、その製品の利用情報から所定の使用回避資源の削減量と所定の環境貢献資源の消費量を算出する衣料品貸出情報管理サーバ10及び製品の利用による環境貢献情報として表示する利用者端末40を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段と、
共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録手段と、
前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする情報管理サーバ。
【請求項2】
前記格納手段に製品情報が格納された各々の製品には、製品の一般的な利用回数を基準にした想定利用回数が設定されていて、
前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記使用回避資源の削減量は、前記製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数に達するまで増加し、前記想定利用回数を超過した後も利用回数の増加に伴って増加するのに対し、前記環境貢献情報に含まれる前記環境貢献資源の消費量は、前記製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数に達するまで増加し、前記想定利用回数に達した際の値を上限値として、前記想定利用回数を超過した後の利用回数は前記消費量の算出に反映されないこと
を特徴とする請求項1記載の情報管理サーバ。
【請求項3】
前記格納手段に格納された製品情報は、各々の製品の製造に用いられた前記環境貢献資源の含有量を含む原材料の仕入に関する仕入情報と関連付けられていて、
前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記環境貢献資源の消費量は、識別情報を受け付けた製品と関連付けられた仕入情報に含まれる前記環境貢献資源の含有量から算出された前記製品に含まれる前記環境貢献資源の含有量を用いて算出されること
を特徴とする請求項1又は2記載の情報管理サーバ。
【請求項4】
前記記録手段が記録する利用情報には、引き渡された製品を利用する利用者の識別情報が含まれていて、
前記送信手段は、前記第一端末又は前記第二端末から、利用者の識別情報を受け付けると、前記利用者の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記利用者の一又は二以上の製品の利用回数を用いて算出された、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用によって削減された前記使用回避資源の削減量と、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用によって消費された前記環境貢献資源の消費量を含む、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信すること
を特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の情報管理サーバ。
【請求項5】
前記格納手段に製品情報が格納された各々の製品には、製品の一般的な利用回数を基準にした想定利用回数が設定されていて、
前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記使用回避資源の削減量と前記環境貢献資源の消費量の算出において、製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数を超過した後の前記製品の前記利用者による利用回数は、前記使用回避資源の削減量には反映され、前記環境貢献資源の消費量には反映されないこと
を特徴とする請求項4記載の情報管理サーバ。
【請求項6】
衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段を備えた情報管理サーバが、共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録ステップと、
前記情報管理サーバが、前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信ステップと、
を有することを特徴とする情報管理方法。
【請求項7】
製品を識別する識別番号の読み取りが可能な衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品と、
前記製品から前記識別番号を読み取る機能を備えた、共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末と、
前記製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段、前記第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録手段、前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信手段を備えた情報管理サーバと、
からなることを特徴とする情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を提供するための、情報管理サーバ、情報管理方法及び情報管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
持続可能な社会の実現に向けて、ファッションの分野では衣料品の大量生産と廃棄によって生じている環境負荷への対策に関心が集まっている(例えば、非特許文献1参照)。こうした大量生産や廃棄に対する解決策の一つとして、様々な分野において注目されているのが、物の所有を前提としないシェアリングやレンタルなどの共同利用であり、衣料品の利用にもシェアリングやレンタルなどの共用サービスを普及させることによって、生産・廃棄量を削減して環境負荷の低減に貢献することが期待される。
【0003】
一方、衣料品を対象にした貸出(レンタル)サービスに関する発明として、例えば、インターネットを活用することで貸し手と借り手の対象を拡大してマッチングを促進するシステムに関する発明や(特許文献1及び特許文献2参照)、イベントで着用されるシャツ等のプリントマークを付け替えて再利用するリサイクルイベントグッズレンタルシステムに関する発明(特許文献3参照)等が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-267123号公報
【特許文献2】特開2009-104294号公報
【特許文献3】特開2011-253508号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】環境省ホームページ「SUSTAINABLE FASHIONこれからのファッションを持続可能に」、[2021年8月16日検索]、インターネット<URL:https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの先行技術によると、貸出サービスの利用を促進することによって、衣料品の生産・廃棄量を抑制する効果を期待することができるが、近時、特に求められているのは、衣料品の大量生産や廃棄によって生じている環境問題に対する消費者への意識喚起と、こうした問題に関心のある消費者に対し環境負荷の低減に対する貢献を可視化して、より積極的な関与を促す仕組みである。
【0007】
また、衣料分野における環境負荷を低減ために重要になるのが、衣料品の生産・廃棄の総量自体を削減することに加えて、環境への負荷が大きいとされる高環境負荷素材のように回避すべき資源の使用量を削減し、それらを未利用資源や再生可能資源などの環境に優しい素材に置き換えていく、質的な側面も考慮した対策である。環境貢献の可視化においては、こうした素材に関する視点を含めることが好ましい。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を提供するための、情報管理サーバ、情報管理方法及び情報管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような課題を解決する本発明は、衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段と、共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録手段と、前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする情報管理サーバである。
【0010】
本発明によると、利用者が共用する衣料品の製品各々について、利用者に貸出し等による引渡しが行われると、その利用情報がサーバに記録される。利用者等が製品の識別情報をサーバに送信すると、利用情報によって特定される各々の製品の利用回数に応じて算出された、使用回避資源の削減量と環境貢献資源の消費量を含む環境貢献情報が、利用者の端末等で閲覧可能となるため、サービスの利用者に環境負荷の低減に対する貢献を可視化して、環境問題に対する意識啓発を促進することが可能になる。
【0011】
尚、本発明の対象となる衣料品の共用サービスには、同一の製品を複数の利用者が共同で利用するサービスが該当し、シェアリング、レンタル(貸出)といったサービスの名称や、所有権の態様(サービス提供者等が対象製品を所有して利用者に貸し出すか、利用者が対象製品の共有者となるか等)は特に限定されるものではない。共用の対象となる衣料品の提供場所は、利用者が製品の引渡しを受けるために訪れるリアル店舗に限定されるものではなく、利用者に宅配サービスによって製品を届ける場合の配送センター等も含まれる。衣料品の提供場所に設置される第一端末の種別も、特に限定されるものではない。利用者によって操作され、環境貢献情報が送信される第二端末には、スマートフォンの他、パーソナルコンピュータやタブレット端末等のネットワークに接続可能な端末を用いることができる。
【0012】
本発明によって提供される環境貢献情報に含まれる、製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源には、例えばポリエステル等の高環境負荷素材が想定されるが、その種別は特に限定されるものではない。また、製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源には、現在は利用されずに廃棄されている未利用資源や、バイオマス等の再生可能資源、例えば、さとうきびの搾りかすである「バガス」等を用いることができる。
【0013】
使用回避資源の削減量や環境貢献資源の消費量の算出に用いられる製品の利用回数には、貸出サービスであれば、対象となる製品が貸し出された回数を用いることとすればよいが、この利用回数は製品の利用頻度が反映された数値であればよく、例えば、貸出期間の長さも考慮して、貸し出された日数単位で利用回数をカウントすることとしてもよい。
【0014】
また、本発明は、前記格納手段に製品情報が格納された各々の製品には、製品の一般的な利用回数を基準にした想定利用回数が設定されていて、前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記使用回避資源の削減量は、前記製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数に達するまで増加し、前記想定利用回数を超過した後も利用回数の増加に伴って増加するのに対し、前記環境貢献情報に含まれる前記環境貢献資源の消費量は、前記製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数に達するまで増加し、前記想定利用回数に達した際の値を上限値として、前記想定利用回数を超過した後の利用回数は前記消費量の算出に反映されないことを特徴とすることもできる。
【0015】
本発明における使用回避資源の削減量は、対象となる製品の利用回数が多くなるほど、使用回避資源が使用されていたはずの機会が消失していくことになるので、上限値を設けることなく利用回数が加算されるに従って増加する性質のものである。それに対して環境貢献資源の消費量は、実際に製品に使用された重量以上に消費されることは生じ得ないので、利用回数が増加するケースにおいても、一定の上限値を設定しておくことが望ましい。上記のように構成すると、こうした各々の資源の性質を正確に反映した環境貢献情報を、利用者に提供することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、前記格納手段に格納された製品情報は、各々の製品の製造に用いられた前記環境貢献資源の含有量を含む原材料の仕入に関する仕入情報と関連付けられていて、前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記環境貢献資源の消費量は、識別情報を受け付けた製品と関連付けられた仕入情報に含まれる前記環境貢献資源の含有量から算出された前記製品に含まれる前記環境貢献資源の含有量を用いて算出されることを特徴とすることもできる。
【0017】
本発明のように衣料品が対象となる場合、各々の製品に含まれる資源の量は原材料の仕入によって規定されるため、上記のように構成することによって、環境貢献資源の消費量を的確に算出することが可能になる。
【0018】
また、本発明は、前記記録手段が記録する利用情報には、引き渡された製品を利用する利用者の識別情報が含まれていて、前記送信手段は、前記第一端末又は前記第二端末から、利用者の識別情報を受け付けると、前記利用者の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記利用者の一又は二以上の製品の利用回数を用いて算出された、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用によって削減された前記使用回避資源の削減量と、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用によって消費された前記環境貢献資源の消費量を含む、前記利用者による前記衣料品の共用サービスの利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信することを特徴とすることもできる。
【0019】
上記の構成において、前記格納手段に製品情報が格納された各々の製品には、製品の一般的な利用回数を基準にした想定利用回数が設定されていて、前記送信手段が送信する前記環境貢献情報に含まれる前記使用回避資源の削減量と前記環境貢献資源の消費量の算出において、製品の利用回数が前記製品について設定された想定利用回数を超過した後の前記製品の前記利用者による利用回数は、前記使用回避資源の削減量には反映され、前記環境貢献資源の消費量には反映されないことを特徴としてもよい。
【0020】
以上のように構成すると、利用者が利用する製品単位ではなく、利用者がこれまでに共用サービスを利用したことによる利用者単位の環境貢献情報を、利用者等に提供することが可能になる。尚、利用者単位の環境貢献情報においても、環境貢献資源の消費量の算出には一定の上限値を設定して、正確な情報を提供できるよう構成することが好ましい。
【0021】
本発明は、本発明に係る情報管理サーバによって実行される、情報管理方法として特定することもできる。
【0022】
本発明に係る情報管理方法は、衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段を備えた情報管理サーバが、共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録ステップと、前記情報管理サーバが、前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信ステップと、を有することを特徴とする情報管理方法である。
【0023】
また、本発明に係る情報管理方法は、先に説明した本発明に係る情報管理サーバの各々の構成によって実行される、情報管理方法として特定することもできる。
【0024】
本発明は、本発明に係る情報管理サーバを含んで構成される、情報管理システムとして特定することもできる。
【0025】
本発明に係る情報管理システムは、製品を識別する識別番号の読み取りが可能な衣料品の共用サービスにおいて利用者が利用する製品と、前記製品から前記識別番号を読み取る機能を備えた、共用の対象となる衣料品の提供場所に設置された第一端末と、前記製品各々について、製品の識別情報を含む製品情報を格納する格納手段、前記第一端末から、利用者が利用するために引き渡される製品の識別情報を含む情報を受け付けて、前記製品の識別情報を含む所定の情報を前記製品の利用情報として記録する記録手段、前記第一端末又は前記利用者が操作する第二端末から、製品から読み取られた前記製品の識別情報を受け付けると、前記製品の識別情報が含まれる利用情報から特定される前記製品の利用回数を用いて算出された、前記製品の利用によって削減された使用を回避したい所定の使用回避資源の削減量と、前記製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する所定の環境貢献資源の消費量を含む、前記製品の利用による環境貢献情報を、前記第一端末又は前記第二端末に送信する送信手段を備えた情報管理サーバと、からなることを特徴とする情報管理システムである。
【0026】
また、本発明に係る情報管理システムは、先に説明した本発明に係る情報管理サーバの各々の構成を含んで構成される、情報管理システムとして特定することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、衣料品を対象にしたシェアリングやレンタル等の共用サービスの利用者に対し、利用している製品、あるいは利用者のこれまでのサービスの利用による環境負荷の軽減に対する貢献が可視化されるので、衣料品の大量生産や廃棄によって生じている環境問題に対する消費者への意識喚起や、こうした問題に関心のある消費者により積極的な関与を促す効果を期待することができる。
【0028】
また、環境負荷の軽減に対する貢献は、使用回避資源の削減量と環境貢献資源の消費量として可視化されるので、環境への負荷が大きいとされる素材の使用を抑制し、それらを未利用資源や再生可能資源などの環境に優しい素材に置き換えていく、質的な側面から環境に配慮する意識を促すことも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態の概要を例示する図である。
【
図2】本発明に係る情報管理サーバに対応する衣料品貸出情報管理サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2の衣料品貸出情報管理サーバ10に格納される仕入情報の一例を示す図である。
【
図4】
図2の衣料品貸出情報管理サーバ10に格納される製品情報の一例を示す図である。
【
図5】
図2の衣料品貸出情報管理サーバ10に格納される利用者情報の一例を示す図である。
【
図6】
図2の衣料品貸出情報管理サーバ10に格納される貸出情報の一例を示す図である。
【
図7】
図2の利用者端末40の画面に表示されるサービス全体の環境貢献情報の一例を示す図である。
【
図8】
図2の利用者端末40の画面に表示される製品単位の環境貢献情報の一例を示す図である。
【
図9】
図2の利用者端末40の画面に表示される利用者単位の環境貢献情報の一例を示す図である。
【
図10】本発明において環境貢献情報として表示される使用回避資源(高環境負荷素材)削減量と製品の利用回数の関係を示す図である。
【
図11】本発明において環境貢献情報として表示される環境貢献資源(バガス)消費量と製品の利用回数の関係を示す図である。
【
図12】本発明において情報管理サーバ(衣料品貸出情報管理サーバ30)が第二端末(利用者端末40)に環境貢献情報を送信する処理フローの一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明を実施するための形態について、図面を用いて以下に詳細に説明する。尚、以下の説明では、本発明を衣料品の貸出(レンタル)サービスに適用し、環境貢献情報として表示される使用回避資源の削減量には高環境負荷素材の削減量、環境貢献資源の消費量にはバガス(未利用資源であるさとうきびの搾りかす)の消費量が用いられる例を対象にしているが、これらを含め以下の説明は本発明の実施形態の一例を示したものであって、本発明は以下に例示する実施形態に限定されるものではない。
【0031】
図1は、本発明の実施形態の概要を例示したものである。この例では、沖縄を訪れる観光客や出張者を主な利用者に想定して、一般に廃棄物として扱われている未利用資源であり、廃棄時には焼却せず炭化することによって二酸化炭素の削減にも資する素材であるバガス(さとうきびの搾りかす)を生地に用いた「かりゆしウェア」を貸し出すサービスを対象にしている。サービスの提供者によって運用され、本発明に係る情報管理サーバに対応する衣料品貸出情報管理サーバ10は、サービスの管理者が操作する管理者端末20、利用者に製品(かりゆしウェア)を引き渡す貸出店舗に設置される貸出端末30、利用者が操作するスマートフォン等の利用者端末40と、インターネットを介して接続されている。
【0032】
サービスの管理者が管理者端末20に入力した、貸出サービスに用いる衣料品を製造するために用いた原材料の仕入れに関する仕入情報や、それらの原材料から製造され、貸出サービスに用いられる各々の製品(一点毎のかりゆしウェア)に関する製品情報は、それぞれ衣料品貸出情報管理サーバ10のデータベースに格納される。製品情報には、各々の製品を識別する製品IDが割り当てられ、この製品IDに対応する識別コードが書き込まれたICタグが、各々の製品に取り付けられる。尚、ここで用いられるICタグの種別は特に限定されるものではなく、また、製品から個体を識別する識別コードを読み取ることが可能なものであれば、二次元コードなど他の手段を採用することとしてもよい。
【0033】
貸出サービスに用いられる製品(かりゆしウェア)は、利用者が製品の引渡しを受ける窓口となる衣料品販売店やホテル、土産物店等の貸出店舗に保管されていて、利用者は貸出店舗を訪れて借り受ける製品を引き渡される。貸出店舗にはパーソナルコンピュータ等のインターネットに接続された貸出端末30が設置されていて、貸出しの際には貸出店舗のスタッフが、貸し出す製品に付されたICタグからICカードリーダー等で製品の識別コードを読み取り、利用者を識別する利用者ID(利用者が所持する会員カードやスマートフォンアプリ等から読み取ることとすればよい。)等とあわせて、製品の貸出しに関する情報を貸出端末30から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。
【0034】
尚、ここでは利用者が衣料品販売店等のリアル店舗を訪れて製品を借り受ける例を示しているが、利用者が借りたい製品をスマートフォンアプリ等で指定し、宅配サービスによって製品を届ける引渡しの形態を採用することとしてもよく、その場合の貸出端末30は、利用者が指定した製品を発送する配送センター等に設置されることになる。
【0035】
貸出端末30から送信された貸出しに関する情報は、貸し出された製品の製品ID、製品を借りた利用者の利用者IDを含む所定の形式の利用情報として、衣料品貸出情報管理サーバ10のデータベースに格納される。このようにして衣料品貸出情報管理サーバ10には、製品毎、あるいは利用者毎の利用回数を特定することが可能な利用情報が蓄積されていく。
【0036】
貸出サービスの利用者は、スマートフォン等のインターネットに接続可能な利用者端末40を用いて、以下のような流れで、貸出サービスの利用による環境貢献情報を確認することができる。
【0037】
利用者が借り受けた製品による環境貢献について確認したい場合は、製品に付されたICタグから利用者端末40のNFC機能等(利用者端末40がスマートフォンであれば一般に搭載されているNFC機能を用いればよく、利用者端末40がRFIDタグの読み取り機能を備えていればRFIDタグを用いてもよいし、製品に二次元コードが貼付されている場合は利用者端末40のカメラによる二次元コードの読取機能を用いればよい。)によって製品個体を識別する識別コード(NFCID等)を読み取り、利用者端末40から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。
【0038】
衣料品貸出情報管理サーバ10では、受信した識別コードから特定される製品IDをキーに利用情報を検索して、当該製品の利用回数を特定する。このようにして特定された利用回数を用いて、当該製品の利用によって削減された使用を回避したい使用回避資源(以下の例ではポリエステル等の「高環境負荷素材」)の削減量と、当該製品の利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する環境貢献資源(以下の例では「バガス」)の消費量を算出する。算出された使用回避資源の削減量と環境貢献資源の消費量を含む当該製品の利用等による環境貢献情報は、利用者端末40に送信されて、利用者端末40の画面に出力される。
【0039】
利用者が自身の貸出サービスの利用による環境貢献について確認したい場合は、マイページへのログイン操作等によって、利用者を識別する利用者IDを、利用者端末40から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。
【0040】
衣料品貸出情報管理サーバ10では、受信した利用者IDをキーに当該利用者がこれまでに利用した利用情報を検索して、当該利用者が利用した一又は二以上の製品の利用回数を特定する。このようにして特定された当該利用者による貸出サービスの利用回数を用いて、当該利用者による貸出サービスの利用によって削減された使用を回避したい使用回避資源(以下の例ではポリエステル等の「高環境負荷素材」)の削減量と、当該利用者による貸出サービスの利用によって消費された環境負荷の軽減に貢献する環境貢献資源(以下の例では「バガス」)の消費量を算出する。算出された使用回避資源の削減量と環境貢献資源の消費量を含む当該利用者による貸出サービスの利用等による環境貢献情報は、利用者端末40に送信されて、利用者端末40の画面に出力される。
【0041】
尚、こうした環境貢献情報を閲覧することが可能な端末は、利用者自身が操作する利用者端末40に限定されるものではなく、製品から読み取った識別キーや店舗を訪れている利用者の利用者IDを、貸出店舗のスタッフが操作する貸出端末30から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信すると、利用者端末40と同様の情報を貸出端末30に出力させることが可能な構成としてもよい。
【0042】
図2のブロック図は、本発明に係る情報管理サーバに対応する衣料品貸出情報管理サーバ10の構成の一例を示している。衣料品貸出情報管理サーバ10は、管理者端末20、貸出端末30、利用者端末40と、インターネット等のネットワークを介して接続されている。
【0043】
衣料品貸出情報管理サーバ10は、インターネットに接続されたサーバコンピュータで、CPU、メインメモリ、HDD等の補助記憶装置が備えられている。衣料品貸出情報管理サーバ10では、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって所定の機能が実現される。
【0044】
衣料品貸出情報管理サーバ10を構成するコンピュータの物理的な構成は特に限定されるものではなく、本発明における環境貢献情報を提供するために必要な機能以外の機能が、同一のコンピュータに備えられるものであってもよい。また、本発明に必要な各々の機能は、物理的に一台のコンピュータによって実現されるものであってもよいし、複数のコンピュータが連携して実現されるものであってもよい。
【0045】
衣料品貸出情報管理サーバ10の利用者情報記録部15、仕入情報記録部16、製品情報記録部17、利用情報記録部18、環境貢献情報提供部19とそれに含まれる使用回避資源削減量算出部191及び環境貢献資源消費量算出部192は、いずれも機能的に特定されるものであって、HDD等の補助記憶装置に格納された各部の機能に対応するプログラムがメインメモリに読み出され、CPUで演算処理を実行することによって、各部に対応する機能が実現される。
【0046】
衣料品貸出情報管理サーバ10の利用者情報格納部11、仕入情報格納部12、製品情報格納部13、利用情報格納部14には、HDD等の補助記憶装置の所定の記憶領域が割り当てられる。これらの記憶領域は物理的に一台のコンピュータに設けられることを必須の要件とするものではなく、データベースサーバを構成するコンピュータ等の複数のコンピュータに設けられるものであってもよい。
【0047】
管理者端末20は、インターネット等のネットワークを介して衣料品貸出情報管理サーバ10に接続して、データの入出力が可能なネットワーク端末であるが、その種別は特に限定されるものではなく、例えば、パーソナルコンピュータを用いることができる。
【0048】
貸出端末30も、インターネット等のネットワークを介して衣料品貸出情報管理サーバ10に接続して、データの入出力が可能なネットワーク端末であり、その種別は特に限定されるものではなく、パーソナルコンピュータ等を用いることができるが、製品(かりゆしウェア)に付されたICタグ等から製品の識別コードを読み取る機能を備えた端末、あるいは、そうした機能を実現するためのICカードリーダー等の周辺機器と接続可能な端末であることが必要である。
【0049】
利用者端末40も、インターネット等のネットワークを介して衣料品貸出情報管理サーバ10に接続して、データの入出力が可能なネットワーク端末であり、その種別は特に限定されるものではないが、Webブラウザや専用のアプリケーションソフトを動作させることが可能なスマートフォンやタブレット端末を用いることが好ましい。利用者端末40についても、製品に付されたICタグ等から製品の識別コードを読み取る機能を備えた端末、あるいは、そうした機能を実現するためのICカードリーダー等の周辺機器と接続可能な端末であることが必要である。
【0050】
以上の構成を前提に、
図3-12に示したデータや画面の例や、フローチャートを用いながら、本発明によって衣料品貸出情報管理サーバ10が利用者端末40に環境貢献情報を出力させるための前提と、その処理フローについて説明する。
【0051】
衣料品貸出情報管理サーバ10を用いた貸出サービスを提供するにあたり、本発明において利用者に貸し出される製品に関連する以下の基礎的な情報が、管理者端末20から衣料品貸出情報管理サーバ10に入力される。
【0052】
まず、貸出サービスに用いる衣料品を製造するために用いられる原材料(生地)の仕入れが行われると、管理者端末20に仕入れた原材料に関する所定の情報を入力して、衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。この情報を受信した衣料品貸出情報管理サーバ10では、仕入情報記録部16が起動されて、仕入情報格納部12には新たに格納される仕入情報が所定の形式で記録される。
【0053】
図3は、仕入情報格納部12に格納されている仕入情報の一例を示したものであるが、各々の仕入情報には仕入れた原材料(生地)を識別する仕入IDが割り当てられ、仕入日や原材料に含まれる環境貢献資源であるバガス(さとうきびの搾りかす)の含有量等の情報が含まれている。
【0054】
次に、仕入れた原材料(生地)から製品(かりゆしウェア)が製造されると、管理者端末20に製造された製品に関する所定の情報を入力して、衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。この情報を受信した衣料品貸出情報管理サーバ10では、製品情報記録部17が起動されて、製品情報格納部13には新たに格納される製品情報が所定の形式で記録される。
【0055】
図4は、製品情報格納部13に格納されている製品情報の一例を示したものであるが、各々の製品情報には製造された製品を識別する製品IDが割り当てられ、対応する製品に付されたICタグから読み取り可能なNFCID(識別コード)が関連付けて記録される。また、各々の製品情報には、製造日やサイズ等の情報の他に、製品の製造に用いられた原材料を識別する仕入IDも含まれている。
【0056】
この仕入IDをキーに製品情報を検索すると、一回に仕入れた原材料から何点の製品が製造されたかを特定することができるので、
図3の例では、各々の仕入情報には仕入れた原材料から製造された製品の点数が記録されている。一回の仕入れによる原材料から製造された製品の点数が特定されると、当該原材料に含まれるバガスの含有量を製品の点数で除することによって、製品一点あたりのバガスの含有量を算出することが可能である。
図3及び
図4の例では、仕入ID「1」の原材料から12点の製品が製造されたことが仕入情報に記録されているので、当該原材料を用いて製造された製品ID「101」のバガスの含有量は、12kgを12(点)で除した「1kg」とされており、こうした計算を、例えば、
図2では製品情報の記録時等に製品情報記録部17が実行することとすればよい。但し、一の製品に使用されているバガスの含有量(環境貢献資源の重量)の算出方法は、こうした仕入情報を用いた方法に限定されるものではなく、例えば、他の方法によって特定された各々の製品に使用されているバガスの含有量を管理者端末20に入力して、製品情報に直接記録することとしてもよい。
【0057】
衣料品貸出情報管理サーバ10を用いた貸出サービスを利用する利用者は、利用開始前に利用者登録を行うことが好ましい。利用者は、利用者端末40から衣料品貸出情報管理サーバ10から提供される所定のWebページにアクセスする、あるいは、利用者端末40で所定のアプリケーションソフトを起動することによって、利用者端末40に利用者登録の画面を表示させ、利用者の氏名等の所定の情報を入力して衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。この情報を受信した衣料品貸出情報管理サーバ10では、利用者情報記録部15が起動されて、利用者情報格納部11には新たに格納される利用者情報が所定の形式で記録される。
【0058】
図5は、利用者情報格納部11に格納されている利用者情報の一例を示したものであるが、各々の利用者情報には利用者を識別する利用者IDが割り当てられ、利用者の氏名や入会日等の情報が含まれている。マイページへのアクセス時の本人認証に用いられるパスワード等の認証キーを、ここに含めることとしてもよい。
【0059】
衣料品貸出情報管理サーバ10を用いた貸出サービスが開始され、貸出店舗で製品が貸し出されるようになると、製品が貸し出される際には、製品の貸出しに関する情報が貸出端末30から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信される。
【0060】
具体的には、貸出サービスに用いられる製品(かりゆしウェア)には、各々の製品を識別する製品IDに対応するNFCIDが書き込まれたICタグが取り付けられているので、貸し出される製品に付されたICタグからNFCIDを読み取り、当該製品を借りる利用者を識別する利用者ID(利用者が所持する会員カードやスマートフォンアプリ等から読み取ることとすればよい。)等とあわせて、当該製品の貸出しに関する所定の情報を貸出端末30から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信する。この情報を受信した衣料品貸出情報管理サーバ10では、利用情報記録部18が起動されて、利用情報格納部14には新たに格納される利用情報が所定の形式で記録される。
【0061】
図6は、利用情報格納部14に格納されている利用情報の一例を示したものであるが、各々の利用情報には各回の製品の貸出しを識別する利用IDが割り当てられ、貸し出された製品の製品IDと、製品を借りた利用者の利用者ID、貸出日や返却日等の情報が含まれている。このようにして、衣料品貸出情報管理サーバ10の利用情報格納部14には、製品毎、あるいは利用者毎の利用回数を特定することが可能な利用情報が蓄積されていく。
【0062】
以上のように、仕入情報と製品情報、利用者情報、利用情報が衣料品貸出情報管理サーバ10の各部に格納されている状態で、利用者が、利用者端末40から衣料品貸出情報管理サーバ10から提供される所定のWebページにアクセスする、あるいは、利用者端末40で所定のアプリケーションソフトを起動すると、
図12のフローチャートに示した利用者端末40に環境貢献情報を出力させるための処理フローが実行される。
【0063】
利用者が、利用者端末40のブラウザで所定のWebページを開く、あるいは、利用者端末40で所定のアプリケーションを起動することによって、衣料品貸出情報管理サーバ10にアクセスすると、貸出サービスに関する情報のトップページの呼出しが要求される。衣料品貸出情報管理サーバ10では環境貢献情報提供部19が起動され、使用回避資源削減量算出部191及び環境貢献資源消費量算出部192で算出された、サービス全体の環境貢献情報等が表示されるトップページを利用者端末40に送信して(S1)、送信された情報が利用者端末40に出力される。
【0064】
図7は、利用者端末40に出力される、サービス全体の環境貢献情報等が表示されたトップページの画面の例を示したものである。この例では、貸出サービスのトータルで削減された使用を回避したい使用回避資源として「これまで削減された高環境負荷素材」の重量が、貸出サービスのトータルで消費された環境負荷の軽減に貢献する環境貢献資源として「これまで消費されたバガス」の重量が表示される他、貸出サービス全体を対象にサービスを利用した延べ人数が「これまで利用した人数」として表示されている。
【0065】
「これまで利用した人数」は、利用者登録された人数、あるいは貸出サービスを利用した利用者の実数ではなく、貸出サービスを利用した延べ人数を採用しているので、利用情報格納部14に格納された利用情報の件数(サービス全体の利用回数)から特定することが可能であり、この例では「400人」(利用回数400回相当)となっている。
【0066】
「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品情報格納部13に格納されている貸出サービスに利用されている全ての製品を対象に、全ての製品の利用によって削減された高環境負荷素材の重量の合計値が表示される。使用回避資源削減量算出部191で実行されるこの数値の算出には、全ての製品の利用回数が用いられるが、製品の利用回数に乗じられる利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量の設定方法は、特に限定されるものではない。
【0067】
削減される高環境負荷素材の重量は、製品の製造に実際に使用された素材の重量ではなく、理論値である削減されることが推定される重量となるので、何らかの方法で決定された値を個々の製品に固有の値、あるいは、複数の製品に共通の値として採用することとすればよい。
図7-9の例では、一般的なかりゆしウェアの製造一点あたりに用いられている高環境負荷素材の重量を1kg、本件貸出サービスで用いられるバガスを原材料とするかりゆしウェアの製造一点あたりに用いられている高環境負荷素材の重量を0.1kg(高環境負荷素材を全く使用していない場合は0kgとなる。)と推定して、かりゆしウェアの製品一点あたりで削減される高環境負荷素材の重量を1kgから0.1kgを減じた0.9kgと算出し、この重量を製品の想定利用回数(消費者が購入したかりゆしウェアが着用される平均的な回数)に設定した20回で除して、利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgを、全ての製品に共通する推定値として採用している。尚、この例では、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量が固定値となることを前提としているが、製品の利用回数が増えるに従って削減された高環境負荷素材の重量が増加していく条件となっていれば、利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量には変動値(例えば、1-10回目は0.04kg、11-20回目は0.05kg、21回目以降は0.06kgとする等)を採用することとしてもよい。
【0068】
図7の例では、利用情報格納部14に格納された利用情報の件数から特定できるサービス全体の利用回数(ここでは400回、先に説明したようにサービス全体の延べ人数と同じ値となる。)を利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgに乗じた「18kg」が、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量として表示されている。
【0069】
「これまで消費されたバガス」の重量には、製品情報格納部13に格納されている貸出サービスに利用されている全ての製品を対象に、全ての製品の利用によって消費されたバガスの重量の合計値が表示される。環境貢献資源消費量算出部192で実行されるこの数値の算出には、全ての製品の利用回数が用いられるが、製品の利用回数に乗じられる利用1回あたりで消費されるバガスの重量の設定方法は、特に限定されるものではない。
【0070】
消費されるバガスの重量は、一の製品について、その製品の製造に実際に使用されたバガスの重量が上限値となるので、一の製品の製造に使用されたバガスの重量を製品の想定利用回数(消費者が購入したかりゆしウェアが着用される平均的な回数)で除して、利用1回あたりで消費されるバガスの重量を算出することとすればよい。例えば、
図4の例では、製品ID「101」により識別される製品の製造に使用されたバガスの重量は1kgとされているので、これを想定利用回数の20(回)で除した0.05kgが、製品ID「101」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量となる。尚、この例では、製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量が固定値となることを前提としているが、製品の利用回数が増えるに従って消費されたバガスの重量が増加していくとともに、想定利用回数到達時に実際に使用されたバガスの重量と同じになる条件となっていれば、利用1回あたりで消費されるバガスの重量には変動値(例えば、1-10回目は0.04kg、11-20回目は0.06kgとする等)を採用することとしてもよい。
【0071】
図7の例では、利用情報格納部14に格納された全ての利用情報から各々の製品の利用回数を特定し、想定利用回数を超えて貸し出されている製品については、想定利用回数超過分の利用回数を除外するとともに、貸し出された回数が想定利用回数に満たない製品については、実際に貸し出された回数のみを対象にして(その製品についてのバガス消費量は、実際に使用されたバガスの重量より少ない値になる)、バガスの消費に対応する利用回数に利用1回あたりで消費されるバガスの重量を乗じた値、この例では「24kg」が、「これまで消費されたバガス」の重量として表示されている。
【0072】
図7の例のようなトップページが表示された後、利用者は貸出サービスに関する様々なページを閲覧することができるが(それらに関連する処理は、
図12のフローチャートでは省略する)、マイページにログインしない状態(S2がNo)で、利用者が借りている製品に付されたICタグから利用者端末40を用いてNFCIDを読み取り、衣料品貸出情報管理サーバ10に送信すると、NFCIDを受信した衣料品貸出情報管理サーバ10では(S3がYes)環境貢献情報提供部19が起動され、使用回避資源削減量算出部191及び環境貢献資源消費量算出部192で算出された、利用者が借りている製品に関する製品単位の環境貢献情報等が表示されるページを利用者端末40に送信して(S4)、送信された情報が利用者端末40に出力される。
【0073】
図8は、利用者端末40に出力される、製品単位の環境貢献情報等が表示されるページについて、
図4及び
図6における製品ID「101」の製品に関する環境貢献情報等が表示された画面の例を示したものである。尚、製品ID「101」は、利用者端末40から受信したNFCID「00010001」の製品情報から特定することができる。この例では、対象製品の貸出しによって削減された使用回避資源として「これまで削減された高環境負荷素材」の重量が、対象製品の貸出しによって消費された環境貢献資源として「これまで消費されたバガス」の重量が表示される他、対象製品の利用回数が「製品の回転数」、貸出サービス全体を対象にサービスを利用した延べ人数が「これまで利用した人数」として表示されている。
【0074】
このうち、「これまで利用した人数」については、
図7の例と同様に、貸出サービスを利用した延べ人数が表示され、利用情報格納部14に格納された利用情報の件数(サービス全体の利用回数)から特定された「400人」となっている。
【0075】
「製品の回転数」については、製品IDをキーに利用情報格納部14に格納された利用情報を検索し、該当する利用情報の件数から当該製品の利用回数である「製品の回転数」を特定して表示させる。
図8の例では、製品の回転数は想定利用回数(20回)を超える「30回」となっている。
【0076】
「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品ID「101」により識別される製品の利用によって削減された高環境負荷素材の重量が表示される。
図7について説明した例と同様に、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量が、全ての製品に共通の値として0.045kgに設定されている前提で、これに製品ID「101」により識別される製品の利用の利用回数である30(回)を乗じた「1.35kg」が、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量として表示されている。
【0077】
図10は、使用回避資源である高環境負荷素材の削減量と、製品の利用回数の関係を例示したものである。ここで削減される高環境負荷素材の重量は、製品の製造に実際に使用された素材の重量ではなく、理論上削減されることが推定される重量であり、対象となる製品の利用回数が多くなるほど、高環境負荷素材が使用されていたはずの機会が消失していくことになると考えられる。そのため、高環境負荷素材の削減量には上限値を設ける必要はなく、
図10の例に示したように、利用回数が加算されるに従って増加していくように計算すればよい。尚、想定利用回数超過後の利用に対応する削減量については、個々の利用者による所有ではなく複数の利用者が共用するスキームにより発生した、超過的な効果と捉えることもできる。
【0078】
「これまで消費されたバガス」の重量には、製品ID「101」により識別される製品の利用によって消費されたバガスの重量が表示される。
図7に関する説明で、製品ID「101」により識別される製品の製造に使用されたバガスの重量(1kg)と設定されている想定利用回数(20回)から、製品ID「101」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量が0.05kgと算出されることを説明したが、これに製品ID「101」により識別される製品の利用の利用回数である30(回)ではなく、想定利用回数の20(回)を乗じた「1kg」が、「これまで消費されたバガス」の重量として表示されている。
【0079】
図11は、環境貢献資源であるバガスの消費量と、製品の利用回数の関係を例示したものである。ここで消費されるバガスの重量は、その製品の製造に実際に使用されたバガスの重量以上に消費されることは生じ得ないので、一定の上限値を設定し、利用回数が増加してもその上限値を超えないルールとすることが必要である。そのためには、製品の平均的な利用回数である想定利用回数(20回)到達時に実際に使用されたバガスの重量(1kg)である上限値に達するよう、利用回数の増加に伴ってバガス消費量が増加し、想定利用回数を超過した後の利用からは新たなバガス消費量が発生しない(実際に使用されたバガスの重量以上にバガス消費量が増加しない)こととすればよい。
【0080】
図8に例示した画面において、
図4及び
図6における製品ID「201」が対象になる場合でれば、仮に「製品の回転数」が想定利用回数と同じ20回であるとすると、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgに、利用回数である20(回)を乗じた「0.9kg」が表示される。「これまで消費されたバガス」の重量には、製品ID「201」により識別される製品の製造に使用されたバガスの重量(0.9kg)を想定利用回数(20回)で除した0.045kgに、利用回数である20(回)を乗じた「0.9kg」が表示されることになる。
【0081】
図8に例示した画面において、
図4及び
図6における製品ID「301」が対象になる場合であれば、仮に「製品の回転数」が想定利用回数に満たない10回であるとすると、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgに、利用回数である10(回)を乗じた「0.45kg」が表示される。「これまで消費されたバガス」の重量には、製品ID「301」により識別される製品の製造に使用されたバガスの重量(1.1kg)を想定利用回数(20回)で除した0.055kgに、利用回数である10(回)を乗じた「0.55kg」が表示されることになる。
【0082】
利用者が製品単位の環境貢献情報等が表示されるページを閲覧後、マイページにログインしない状態を継続しても、アプリケーションの終了操作が行われる(S5がYes)まで利用者は貸出サービスに関する様々なページを閲覧することができるが(それらに関連する処理は、
図12のフローチャートでは省略する)、マイページにログインする際には、利用者を識別する利用者IDが利用者端末40から衣料品貸出情報管理サーバ10に送信される。衣料品貸出情報管理サーバ10がログインのリクエストと利用者IDを受け付けて、利用者の認証処理等を経てログインに必要な処理を行うと(S2がYes)、環境貢献情報提供部19が起動され、使用回避資源削減量算出部191及び環境貢献資源消費量算出部192で算出された、利用者IDにより識別される利用者について利用者単位の環境貢献情報等が表示されるマイページを利用者端末40に送信して(S6)、送信された情報が利用者端末40に出力される。
【0083】
図9は、利用者端末40に出力される、利用者単位の環境貢献情報等が表示されるマイページについて、
図5及び
図6における利用者ID「U01」の利用者に関する環境貢献情報等が表示された画面の例を示したものである。この例では、利用者ID「U01」により識別される利用者の貸出サービスの利用によって削減された使用回避資源として「これまで削減された高環境負荷素材」の重量が、当該利用者の貸出サービスの利用によって消費された環境貢献資源として「これまで消費されたバガス」の重量が表示されている他、貸出サービス全体を対象にサービスを利用した延べ人数が「これまで利用した人数」として表示されている。
【0084】
このうち、「これまで利用した人数」については、
図7や
図8の例と同様に、貸出サービスを利用した延べ人数が表示され、利用情報格納部14に格納された利用情報の件数(サービス全体の利用回数)から特定された「400人」となっている。
【0085】
「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、利用者ID「U01」により識別される利用者の貸出サービスの利用によって削減された高環境負荷素材の重量が表示される。
図7について説明した例と同様に、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量が0.045kgに設定されている前提で、これに利用者ID「U01」により識別される利用者の貸出サービスの利用回数、
図6の例では利用者ID「U01」が記録されている利用情報の件数から特定される5(回)を乗じた「0.225kg」が、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量として表示されている。
【0086】
「これまで消費されたバガス」の重量には、利用者ID「U01」により識別される利用者の貸出サービスの利用によって消費されたバガスの重量が表示される。
図7及び
図8に関する説明で、製品ID「101」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量は0.05kg、製品ID「201」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量は0.045kgと算出されることを説明したが、それぞれに対して利用者ID「U01」により識別される利用者が各々の製品ID「101」「201」により識別される製品を利用した利用回数、それぞれ4回と1回を乗じると、利用者ID「U01」により識別される利用者の貸出サービスの利用によって消費されたバガスの重量が算出されることになるが、ここでは製品ID「101」の4回目の利用が想定利用回数(20回)を超過した後の利用であったとすると、製品ID「101」についてのバガス消費量は0.05kg×3(回)の0.15kg、製品ID「201」についてのバガス消費量は0.045kg×1(回)の0.045kgとなり、これらを合算した「0.195kg」が、「これまで消費されたバガス」の重量として表示されている。
【0087】
図9に例示した画面において、
図5及び
図6における利用者ID「U02」が対象になる場合であれば、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgに、
図6で利用者ID「U02」が記録されている利用情報の件数から特定される3(回)を乗じた「0.135kg」が表示される。「これまで消費されたバガス」の重量には、
図8に関する説明で、製品ID「301」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量は0.055kgと算出されることを説明したが、これに対して利用者ID「U02」により識別される利用者が製品ID「301」により識別される製品を利用した利用回数は3回(製品ID「301」の利用回数は想定利用回数を超過していないので全て想定利用回数の範囲内となる。)となるので、0.055kg×3(回)の「0.165kg」が表示されることになる。
【0088】
図9に例示した画面において、
図5及び
図6における利用者ID「U03」が対象になる場合であれば、「これまで削減された高環境負荷素材」の重量には、製品の利用1回あたりで削減される高環境負荷素材の重量0.045kgに、
図6で利用者ID「U03」が記録されている利用情報の件数から特定される3(回)を乗じた「0.135kg」が表示される。「これまで消費されたバガス」の重量には、製品ID「101」「201」「301」により識別される製品の利用1回あたりで消費されるバガスの重量は、先に説明したとおり、それぞれ0.05kg、0.045kg、0.055kgであり、利用者ID「U03」により識別される利用者はいずれの製品も1回ずつ利用しているので(製品ID「201」「301」の利用回数は想定利用回数を超過しておらず、製品ID「101」についても想定利用回数の範囲内の利用であるものとする)、0.05kg×1(回)+0.045kg×1(回)+0.055kg×1(回)の「0.15kg」が表示されることになる。
【0089】
マイページの表示後に、利用者が借りている製品に付されたICタグから利用者端末40を用いてNFCIDを読み取り、衣料品貸出情報管理サーバ10に送信した場合には、ログインしない状態での処理(S3がYes-S4)と同様の処理によって(S7がYes-S8)、利用者が借りている製品に関する製品単位の環境貢献情報等が表示されるページが利用者端末40に出力される。その後も、利用者は貸出サービスに関する様々なページを閲覧することができるが(それらに関連する処理は、
図12のフローチャートでは省略する)、マイページからログアウトして(S9がYes)、アプリケーションの終了操作が行われる(S5がYes)と、一連の処理が終了する。
【0090】
尚、これまでの説明では、高環境負荷素材の削減量やバガスの消費量の算出に用いられる利用回数は、利用情報格納部14に格納されている利用情報の件数、すなわち製品の貸出回数をカウントすることとしているが、これを1回の貸出しを1単位とするのではなく、例えば、貸出日数1日を1単位とカウントして(貸出日数が2日であれば利用回数を2回として)、高環境負荷素材の削減量やバガスの消費量の算出に用いることとしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 衣料品貸出情報管理サーバ
11 利用者情報格納部
12 仕入情報格納部
13 製品情報格納部
14 利用情報格納部
15 利用者情報記録部
16 仕入情報記録部
17 製品情報記録部
18 利用情報記録部
19 環境貢献情報提供部
191 使用回避資源削減量算出部
192 環境貢献資源消費量算出部
20 管理者端末
30 貸出端末
40 利用者端末