(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038869
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】車載システム、車載装置、及びソフトウェア切替方法
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20230310BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G06F8/65
B60R16/02 660U
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145815
(22)【出願日】2021-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後呂 翔太
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA05
5B376CA19
5B376CA45
5B376GA07
(57)【要約】
【課題】車載装置に搭載されるメモリ容量の増大を抑制する。
【解決手段】
車両に搭載された車載装置は、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車載装置と、
前記第1車載装置と通信可能な第2車載装置と、
車両の外部に配置された外部装置と通信可能な外部通信装置と、
を備え、
前記第1車載装置は、
第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、
前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記外部通信装置を介して前記外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、
前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、
を含む、
車載システム。
【請求項2】
前記第2車載装置は、前記車両に搭載されたハードウェアの状態を検出するセンサを含み、
前記状態情報は、前記センサによって検出された前記ハードウェアの状態に関する情報を含む、
請求項1に記載の車載システム。
【請求項3】
前記状態情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの将来の使用状態を予測した情報を含む、
請求項1又は請求項2に記載の車載システム。
【請求項4】
前記状態情報は、前記車両の周囲の環境の状態に関する情報を含む、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記車両の周囲の環境の状態に割り当てられた優先度に基づいて、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する、
請求項4に記載の車載システム。
【請求項6】
前記判定部は、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える指示がユーザから与えられた場合に、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記第2ソフトウェアに割り当てられた優先度に基づいて、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項8】
前記優先度は、前記第2ソフトウェアの種類と、前記車両の周囲の環境の状態の種類とに対応付けられている、
請求項7に記載の車載システム。
【請求項9】
前記状態情報は、前記外部通信装置の通信状態に関する情報を含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項10】
前記第1情報は、文字情報であり、
前記第2情報は、画像情報を含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項11】
前記第1情報は、文字情報であり、
前記第2情報は、音声情報を含む、
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項12】
前記第1情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの異常を示す情報であり、
前記第2情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの異常を示す情報と、前記異常への対応策を示す情報とを含む、
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の車載システム。
【請求項13】
車両に搭載された車載装置であって、
第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、
前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、
前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、
を備える、
車載装置。
【請求項14】
車両に搭載された車載装置に組み込まれたソフトウェアを切り替えるソフトウェア切替方法であって、
前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定するステップと、
前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求するステップと、
前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを、前記車載装置に含まれるメモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるステップと、
を含む、
ソフトウェア切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車載システム、車載装置、及びソフトウェア切替方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載装置にはソフトウェアが組み込まれ、ソフトウェアを実行することによって車載装置が特定の機能を実現する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-062909号公報
【特許文献2】特開2018-69888号公報
【特許文献3】特開2014-237427号公報
【特許文献4】特開2012-111264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソフトウェアの機能が豊富になれば、ユーザに多様な情報を提供することができる一方で、ソフトウェアのサイズが大きくなる。車載装置に搭載されるメモリ(ROM:Read Only,RAM;Random Access Memory)の容量は限られており、ソフトウェアのサイズが大きくなるとメモリの容量が圧迫される。さらに、ソフトウェアのサイズの大型化は、メモリ容量の増大を招く。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る車載システムは、第1車載装置と、前記第1車載装置と通信可能な第2車載装置と、車両の外部に配置された外部装置と通信可能な外部通信装置と、を備え、前記第1車載装置は、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記外部通信装置を介して前記外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、を含む。
【0006】
本開示の一態様に係る車載装置は、車載装置は、車両に搭載された車載装置であって、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、を備える。
【0007】
本開示の一態様に係るソフトウェア切替方法は、車両に搭載された車載装置に組み込まれたソフトウェアを切り替えるソフトウェア切替方法であって、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定するステップと、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求するステップと、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを、前記車載装置に含まれるメモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるステップと、を含む。
【0008】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える車載装置、前記車載装置における特徴的な処理をステップとするソフトウェア切替方法、及び前記車載装置を含む車載システムとして実現することができるだけでなく、前記車載装置に特徴的な処理を実行させるためのプログラムとして実現したり、前記車載装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザに多様な情報を提供することを可能としつつ、車載装置に搭載されるメモリ容量の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る通信システムの一例を説明するための模式図である。
【
図2】実施形態に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る統合ECUの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】実施形態に係る個別ECUの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係る統合ECUの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図7】簡易ソフトウェアの表示画面の一例を示す図である。
【
図8】詳細ソフトウェアの表示画面の一例を示す図である。
【
図9】簡易ソフトウェアの表示画面の他の例を示す図である。
【
図10】詳細ソフトウェアの表示画面の他の例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る個別ECUによるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施形態に係る統合ECUによるソフトウェア切替判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態に係る統合ECUによるソフトウェア切替処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0012】
(1) 本実施形態に係る車載システムは、第1車載装置と、前記第1車載装置と通信可能な第2車載装置と、車両の外部に配置された外部装置と通信可能な外部通信装置と、を備え、前記第1車載装置は、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記外部通信装置を介して前記外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、を含む。ユーザに簡易的な情報を提供する場合には、第1ソフトウェアが用いられる。このため、第1車載装置のメモリの容量の圧迫を抑制することができる。したがって、第1車載装置に搭載されるメモリ容量の増大を抑制することができる。ユーザに詳細な情報を提供する場合には、実行対象のソフトウェアが第1ソフトウェアから第2ソフトウェアに切り替えられる。したがって、ユーザに多様な情報を提供することができる。
【0013】
(2) 前記第2車載装置は、前記車両に搭載されたハードウェアの状態を検出するセンサを含み、前記状態情報は、前記センサによって検出された前記ハードウェアの状態に関する情報を含んでもよい。センサによって取得された情報を用いて、第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、センサによって検出されたハードウェアの状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアを実行することができる。
【0014】
(3) 前記状態情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの将来の使用状態を予測した情報を含んでもよい。車両に搭載されたハードウェアの将来の使用状態を考慮して、第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、予測されるハードウェアの将来の使用状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアを実行することができる。
【0015】
(4) 前記状態情報は、前記車両の周囲の環境の状態に関する情報を含んでもよい。車両の周囲の環境の状態を考慮して、第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、車両の周囲の環境の状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアを実行することができる。
【0016】
(5) 前記判定部は、前記車両の周囲の環境の状態に割り当てられた優先度に基づいて、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定してもよい。例えば、優先度が基準より高い場合、実行対象のソフトウェアを第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えることができる。
【0017】
(6) 前記判定部は、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える指示がユーザから与えられた場合に、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定してもよい。これにより、ユーザの指示に応じて、実行対象のソフトウェアを第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えることができる。
【0018】
(7) 前記判定部は、前記第2ソフトウェアに割り当てられた優先度に基づいて、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定してもよい。第2ソフトウェアがユーザに提供する情報の重要度に応じて、第2ソフトウェアに優先度が割り当てられてもよい。例えば、優先度が基準より高い場合、第1ソフトウェアから第2ソフトウェアへ切り替えることができる。
【0019】
(8) 前記優先度は、前記第2ソフトウェアの種類と、前記車両の周囲の環境の状態の種類とに対応付けられてもよい。例えば、第2ソフトウェアがユーザに提供する情報の重要度と、車両の周囲の環境の状態の深刻度とに応じて、優先度を決定することができる。
【0020】
(9) 前記状態情報は、前記外部通信装置の通信状態に関する情報を含んでもよい。例えば、外部通信装置の通信状態が良好な場合は、第2ソフトウェアをダウンロードすることができ、外部通信装置の通信状態が悪い場合は、第2ソフトウェアのダウンロードを回避することができる。
【0021】
(10) 前記第1情報は、文字情報であり、前記第2情報は、画像情報を含んでもよい。第1情報を簡易な文字情報とすることで、第1ソフトウェアのサイズを小さくすることができる。第2情報に画像情報を含めることで、画像による詳細な情報をユーザに提供することができる。
【0022】
(11) 前記第1情報は、文字情報であり、前記第2情報は、音声情報を含んでもよい。第1情報を簡易な文字情報とすることで、第1ソフトウェアのサイズを小さくすることができる。第2情報に音声情報を含めることで、音声による詳細な情報をユーザに提供することができる。
【0023】
(12) 前記第1情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの異常を示す情報であり、前記第2情報は、前記車両に搭載されたハードウェアの異常を示す情報と、前記異常への対応策を示す情報とを含んでもよい。ハードウェアに異常が生じた場合に、第1ソフトウェアはユーザに異常の発生を通知することができる。さらに、第1ソフトウェアのサイズを小さくすることができる。第2ソフトウェアは、異常の発生を通知するだけでなく、異常への対応策をユーザに提示することができる。
【0024】
(13) 本実施形態に係る車載装置は、車両に搭載された車載装置であって、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアを記憶するメモリと、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部と、前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部と、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部と、を備える。ユーザに簡易的な情報を提供する場合には、第1ソフトウェアが用いられる。このため、第1車載装置のメモリの容量の圧迫を抑制することができる。したがって、第1車載装置に搭載されるメモリ容量の増大を抑制することができる。ユーザに詳細な情報を提供する場合には、実行対象のソフトウェアが第1ソフトウェアから第2ソフトウェアに切り替えられる。したがって、ユーザに多様な情報を提供することができる。
【0025】
(14) 本実施形態に係るソフトウェア切替方法は、車両に搭載された車載装置に組み込まれたソフトウェアを切り替えるソフトウェア切替方法であって、前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定するステップと、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求するステップと、前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを、前記車載装置に含まれるメモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えるステップと、を含む。ユーザに簡易的な情報を提供する場合には、第1ソフトウェアが用いられる。このため、第1車載装置のメモリの容量の圧迫を抑制することができる。したがって、第1車載装置に搭載されるメモリ容量の増大を抑制することができる。ユーザに詳細な情報を提供する場合には、実行対象のソフトウェアが第1ソフトウェアから第2ソフトウェアに切り替えられる。したがって、ユーザに多様な情報を提供することができる。
【0026】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0027】
[1.通信システム]
図1は、本実施形態に係る通信システムの一例を説明するための模式図である。
【0028】
通信システムは、車両10の乗員(ユーザ)に、車両に関する情報を提供するためのシステムである。通信システムは、車両10と、データベース40と、サーバ50とを含む。車両10は、後述するような車載システムを搭載している。
【0029】
車両10は、無線通信によって車両の外部の装置と通信することが可能である。車両10は、例えば第5世代移動通信システム(5G)、又は第4世代移動通信システム(4G)に準拠した無線通信端末を備え、基地局20との間で無線通信することができる。基地局20は、インターネット30に接続されている。データベース40及びサーバ50のそれぞれもインターネット30に接続されている。このような構成により、車両10とデータベース40は相互に通信することができ、車両10とサーバ50は相互に通信することができる。
【0030】
データベース40は、車両10に関する詳細な情報をユーザに提供するための詳細ソフトウェアのインストールデータを記憶する。データベース40は、詳細ソフトウェアのインストールデータを車両10へ送信することができる。データベース40は、「外部装置」の一例である。詳細ソフトウェアは、「第2ソフトウェア」の一例である。
【0031】
サーバ50は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェアから詳細ソフトウェアに切り替えるか否かの判断に用いられる情報を車両10に送信することができる。簡易ソフトウェアは、車両10に対する簡易的な情報をユーザに提供するためのソフトウェアである。簡易ソフトウェアは、「第1ソフトウェア」の一例である。サーバ50は、例えば現在の気象状態を示す気象情報、将来の気象状態を示す気象予報情報、道路の状態を示す道路状態情報を車両10に送信することができる。
【0032】
[2.車載システム]
図2は、本実施形態に係る車載システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
本実施系に係る車載システム100は、統合ECU200と、個別ECU300A,300B,300C,300Dとを含む。統合ECU200と、個別ECU300A,300B,300C,300Dとは、通信ケーブルによって接続されている。
【0034】
統合ECU200は、車両10全体を制御したり、車両10に関する情報をユーザに提供したりする。統合ECU200は、簡易ソフトウェア又は詳細ソフトウェアを実行することが可能である。統合ECU200は、第2車載装置の一例である。
【0035】
複数の個別ECU300A,300B,300C,300Dは、車両10の各部に配置される。個別ECU300A,300B,300C,300Dは、車両10の各部のハードウェアを個別に制御したり、車両10の各部のハードウェアの状態を監視したりする。例えば、個別ECU300Aは、タイヤの状態を監視するための装置である。個別ECU300Bは、制動装置を制御し、制動装置の状態を監視するための装置である。個別ECU300Cは、ドアを制御し、ドアの状態を監視するための装置である。個別ECU300Dは、車両駆動用のバッテリを制御し、バッテリの状態を監視するための装置である。なお、以下の説明では、個別ECU300A,300B,300C,300Dを総称して「個別ECU300」ともいう。
【0036】
統合ECU200は、個別ECU300A,300B,300C,300DのそれぞれとCAN(Controller Area Network)バスのような車載バスを介して接続されている。統合ECU200は、個別ECU300A,300B,300C,300Dのそれぞれと相互に通信することができる。個別ECU300は、第1車載装置の一例である。
【0037】
統合ECU200は、表示装置250に接続されている。表示装置250は、例えば液晶パネル又はOEL(有機エレクトロルミネッセンス)パネルを含む。表示装置250は、文字又は画像の情報を表示することができる。統合ECU200は、表示装置250を制御することにより、表示装置250に情報(文字情報、画像情報)を表示させることができる。
【0038】
統合ECU200は、入力装置260に接続されている。入力装置260は、例えば、表示装置250に重ねられた静電容量式又は感圧式のタッチパッドを含む。ユーザは、入力装置260を操作することにより、統合ECU200に情報を入力することができる。
【0039】
統合ECU200は、スピーカ270に接続されている。スピーカ270は、音声を出力することができる。統合ECU200は、スピーカ270を制御することにより、スピーカ270に音声情報を出力させることができる。
【0040】
統合ECU200は、外部通信装置500に接続されている。外部通信装置500は、例えば5G又は4Gに準拠した無線通信端末である。外部通信装置500は、データベース40及びサーバ50と通信することができる。外部通信装置500は、統合ECU200とデータベース40及びサーバ50との間の通信を中継する。
【0041】
個別ECU300A,300B,300C,300Dのそれぞれには、センサ400が接続されている。センサ400は、車両10のハードウェアの状態を検出する。センサ400は、検出値を示すデータ(以下、「センサデータ」という)を出力する。例えば、個別ECU300Aに接続されたセンサ400は、タイヤの空気圧を測定する空気圧センサと、タイヤの温度を測定する温度センサとを含む。例えば、個別ECU300Aに接続されたセンサ400は、タイヤの摩耗度を検出する摩耗度センサを含んでもよい。例えば、個別ECU300Bに接続されたセンサ400は、ブレーキパッドの摩耗度を検出する摩耗度センサを含む。例えば、個別ECU300Cに接続されたセンサ400は、ドアの開閉状態を検出するセンサを含む。例えば、個別ECU300Dに接続されたセンサ400は、バッテリの電圧を測定する電圧センサと、バッテリの温度を検出する温度センサとを含む。個別ECU300A,300B,300C,300Dは、センサ400から出力されたセンサデータを統合ECU200へ送信することができる。
【0042】
個別ECU300A,300B,300C,300Dは、ハードウェアを動作させるためのアクチュエータに接続されていてもよい。例えば、個別ECU300Bは、制動装置を動作させるためのモータに接続されていてもよい。例えば、個別ECU300Cは、ドアを開閉するためのモータに接続されていてもよい。
【0043】
[3.統合ECUの構成]
図3は、本実施形態に係る統合ECUの構成の一例を示すブロック図である。統合ECU200は、プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、第1通信インタフェース(I/F)204と、第2通信I/F205と、グラフィック処理回路206と、入出力部207と、音声処理回路208とを備える。
【0044】
揮発性メモリ203は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ202は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ202には、コンピュータプログラムである制御プログラム209及び簡易ソフトウェア210並びにこれらのソフトウェアの実行に使用されるデータが格納される。データベース40からダウンロードされた詳細ソフトウェア211のインストールデータによって、統合ECU200は詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202にインストールすることができる。統合ECU200は、コンピュータを備えて構成され、統合ECU200の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムである制御プログラム209、簡易ソフトウェア210、及び詳細ソフトウェア211が実行されることで発揮される。
【0045】
ソフトウェア(制御プログラム209、簡易ソフトウェア210、詳細ソフトウェア211)は、例えばプログラムモジュールを含む。プログラムモジュールは、ソフトウェアの部分的な機能を実現するためのソフトウェア部品である。複数のプログラムモジュールが組み合わされることにより、ソフトウェアが構成される。
【0046】
簡易ソフトウェア210は、不揮発性メモリ202にインストール済である。つまり、簡易ソフトウェア210は初期状態で不揮発性メモリ202にインストールされている。不揮発性メモリ202には、複数種類の簡易ソフトウェア210がインストールされている。複数の簡易ソフトウェア210には、例えば、タイヤの空気圧異常をユーザに通知するためのソフトウェア、車両10の寒冷地機能(例えば、ウインドウデアイサ)をONにしたことを通知するためのソフトウェアが含まれる。簡易ソフトウェア210はこれらに限定されず、上記以外の情報をユーザに通知するためのソフトウェアが含まれてもよい。
【0047】
詳細ソフトウェア211は、初期状態では不揮発性メモリ202にインストールされていない。つまり、詳細ソフトウェア211は、不揮発性メモリ202に追加インストールされるソフトウェアである。データベース40には、複数種類の詳細ソフトウェア211のインストールデータが記憶される。統合ECU200は、データベース40から特定の種類の詳細ソフトウェア211(統合ECU200が要求した種類の詳細ソフトウェア211)のインストールデータをダウンロードし、不揮発性メモリ202に当該種類の詳細ソフトウェア211をインストールすることができる。
【0048】
制御プログラム209は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定するためのソフトウェアである。プロセッサ201が制御プログラム209を実行することにより、統合ECU200は後述するようなソフトウェア切替判定処理を実行することができる。制御プログラム209は、詳細ソフトウェア211のインストールを管理する。即ち、制御プログラム209は、データベース40から詳細ソフトウェア211のインストールデータをダウンロードし、インストールデータを用いて詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202にインストールする。制御プログラム209は、詳細ソフトウェア211がインストールされた場合に、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替える。
【0049】
プロセッサ201は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ201は、CPUに限られない。プロセッサ201は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。プロセッサ201は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ201は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)を一部に含んでもよいし、ゲートアレイ、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを一部に含んでもよい。
【0050】
第1通信I/F204及び第2通信I/F205のそれぞれは、例えばCANインタフェースである。第1通信I/F204は、通信バスを介して個別ECU300A,300B,300C,300Dのそれぞれに接続されている。統合ECU200は、第1通信I/F204によって、個別ECU300A,300B,300C,300Dと通信することができる。
【0051】
第2通信I/F205は、通信バスを介して外部通信装置500に接続されている。統合ECU200は、第2通信I/F205によって、外部通信装置500と通信することができる。
【0052】
グラフィック処理回路206は、表示装置250に接続されており、表示装置250における表示を制御する。グラフィック処理回路206は、例えば、GPU及びVRAM(Video RAM)を含む。グラフィック処理回路206は、表示装置250に表示するためのデータをVRAMに保持し、VRAMから1フレーム分の映像データを定期的に読み出し、映像信号を生成する。生成された映像信号は表示装置250に出力され、表示装置250に映像が表示される。グラフィック処理回路206の機能は、プロセッサ201に含まれてもよい。揮発性メモリ203の一部の領域が、VRAMとして利用されてもよい。
【0053】
入出力部(I/O)207は、入力装置260に接続されている。ユーザが入力装置260に与えた情報は、I/0207を通じてプロセッサ201に与えられる。音声処理回路208は、スピーカ270に接続されており、スピーカ270から出力される音声を制御する。
【0054】
[4.個別ECUの構成]
図4は、本実施形態に係る個別ECUの構成の一例を示すブロック図である。個別ECU300は、プロセッサ301と、不揮発性メモリ302と、揮発性メモリ303と、通信I/F304と、入出力I/F(I/O)305とを備える。
【0055】
揮発性メモリ303は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ302は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ302には、コンピュータプログラムである制御プログラム306及び制御プログラム306の実行に使用されるデータが格納される。個別ECU300は、コンピュータを備えて構成され、個別ECU300の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムである制御プログラム306が実行されることで発揮される。
【0056】
制御プログラム306は、車両10の一部のハードウェアの状態を監視し、当該ハードウェアの状態に関するデータを統合ECU200へ送信するためのソフトウェアである。制御プログラム306は、車両10の一部のハードウェアを制御する機能を有してもよい。
【0057】
プロセッサ301は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ301は、CPUに限られない。プロセッサ301は、GPUであってもよい。プロセッサ301は、例えば、ASICであってもよいし、ゲートアレイ、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、制御プログラム306と同様の処理を実行可能に構成される。
【0058】
通信I/F304は、例えばCANインタフェースである。通信I/F304は、通信バスを介して統合ECU200及び他の個別ECU300のそれぞれに接続されている。個別ECU300は、通信I/F304によって、統合ECU200と通信することができる。
【0059】
I/O305は、センサ400に接続されている。I/O305は、センサ400から出力されたセンサデータを受け付ける。I/O305は、車両10に設けられたアクチュエータに接続されてもよい。I/O305は、アクチュエータに制御信号を出力することができる。
【0060】
個別ECU300は、車両によってハードウェアが異なる場合でも、共通した仕様のデータを統合ECU200へ送信する。例えば、タイヤの温度を測定する温度センサの仕様が、車両Aと車両Bとの間で異なる場合でも、個別ECU300は、温度センサのセンサデータを処理し、同一の仕様のデータ(以下、「処理データ」という)を生成する。個別ECU300は、生成された処理データを統合ECU200へ送信する。具体的な一例として、車両Aの温度センサのサンプリングレートと、車両Bの温度センサのサンプリングレートが異なる場合について説明する。車両Aに搭載された個別ECU300は、温度センサから出力されたセンサデータの移動平均値又は移動中央値を算出するなどの処理を行い、処理データを生成する。車両Aに搭載された個別ECU300は、所定の時間間隔で処理データを統合ECU200へ送信する。車両Bに搭載された個別ECU300も、温度センサから出力されたセンサデータの移動平均値又は移動中央値を算出するなどの処理を行い、処理データを生成する。車両Bに搭載された個別ECU300は、車両Aに搭載された個別ECU300が処理データを送信する時間間隔と同一の時間間隔で処理データを統合ECU200へ送信する。
【0061】
個別ECU300は、さらに、車両によってアクチュエータが異なる場合でも、共通した仕様のコマンドを統合ECU200から受信し、コマンドに基づいて、個別ECU300に接続されたアクチュエータに適応した制御信号を生成する。個別ECU300は、生成された制御信号をアクチュエータに出力し、アクチュエータを制御する。具体的な一例として、車両Aのパワーウインドウ用のモータと、車両Bのパワーウインドウ用のモータとが異なる場合について説明する。車両Aに搭載された個別ECU300は、統合ECU200から受信したコマンドに基づいて、車両Aに搭載されたモータの仕様に適合した制御信号を生成する。車両Aに搭載された個別ECU300は、生成された制御信号をモータに出力し、パワーウインドウを制御する。車両Bに搭載された個別ECU300には、車両Aに搭載された個別ECU300と同じコマンドが統合ECU200から送信される。車両Bに搭載された個別ECU300は、受信したコマンドに基づいて、車両Bに搭載されたモータの仕様に適合した制御信号を生成する。車両Bに搭載された個別ECU300は、生成された制御信号をモータに出力し、パワーウインドウを制御する。
【0062】
[5.統合ECUの機能]
図5は、本実施形態に係る統合ECUの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0063】
プロセッサ201が制御プログラム209を実行することにより、取得部221と、判定部222と、要求部223と、受信部224と、切替部225と、アンインストール部226との各機能が実現される。
【0064】
取得部221は、車両10の状態に関する状態情報を取得する。状態情報は、センサ400によって検出されたハードウェアの状態に関する情報を含んでもよい。
【0065】
個別ECU300は、センサ400から出力されたセンサデータを受け付け、センサデータに対して所定の処理を行う。例えば、個別ECU300は、センサ400の検出値に処理を施し、処理データを生成する。処理データは、ハードウェアの状態に関する情報の一例である。
【0066】
車両に搭載されたハードウェアの種類は、車両10の状態の一例である。具体的な一例として、センサ400がRFIDリーダであり、タイヤの情報が書き込まれたRFタグがタイヤに埋め込まれている場合を説明する。サマータイヤのRFタグには、サマータイヤであることを示す情報が書き込まれ、スタッドレスタイヤのRFタグには、スタッドレスタイヤであることを示す情報が書き込まれる。センサ400は、車両10のタイヤのRFタグから情報を読み取り、個別ECU300が当該情報(又は当該情報が加工された情報)を統合ECU200へ送信する。RFタグから読み出されたスタッドレスタイヤを示す情報は、車両10にスタッドレスタイヤが装着されているという車両10の状態を示す。
【0067】
状態情報は、ハードウェアの将来の使用状態を予測した情報を含んでもよい。例えば、取得部221は、車両10のハードウェアの使用履歴から、将来の使用状態を予測することができる。具体的な一例として、タイヤの将来の使用状態の予測について説明する。センサ400は、車両10に対するタイヤの着脱を検出する。センサ400によってタイヤの交換が検出されると、個別ECU300は、タイヤが交換されたという車両10の状態を示す状態情報を統合ECU200へ送信する。統合ECU200は、前回のタイヤの交換からの経過時間を管理し、次回のタイヤの交換が必要な時期を推定する。取得部221は、推定された次回のタイヤ交換時期を、将来の使用状態を予測した情報として取得する。
【0068】
状態情報は、車両10の周囲の環境の状態に関する情報(以下、「環境状態情報」という)を含んでもよい。環境状態情報は、例えば、車両10の位置情報、車両10がある地点における気象を示す気象情報、車両10がある地点における気象予報情報、車両10がある地点における気温を示す気温情報等を含んでもよい。取得部221は、サーバ50から環境状態情報を受信することができる。
【0069】
判定部222は、状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えるか否かを判定する。
【0070】
例えば、判定部222は、ハードウェアの状態を示す情報を用いて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えるか否かを判定することができる。
【0071】
(例1)
本例は、タイヤ交換用のソフトウェアの切替判定の例である。本例では、状態情報は、タイヤの空気圧を示す情報を含む。例えば、センサ400がタイヤの空気圧を測定する空気圧センサである。個別ECU300は、センサ400から出力されるセンサデータを処理し、タイヤの交換が必要な時期であるか否かを判断することができる。例えば、タイヤの交換が必要とされる時期が、A社のタイヤでは空気圧が80%未満となったときとされ、B社のタイヤでは空気圧が60%未満且つ空気圧の時間減少率が特定の値未満となったときとされている。このように、メーカ毎にタイヤの交換時期の公称値が異なるが、このようなハードウェアの相違には個別ECU300が対応する。つまり、個別ECU300は、センサデータの空気圧をタイヤメーカの公称値に当てはめ、タイヤの交換が必要な時期であるか否かを判断する。個別ECU300は、タイヤの交換が必要な時期であるかの判断結果を、状態情報として統合ECU200へ送信する。判定部222は、タイヤの交換が必要な時期であるかの判断結果を用いて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定する。タイヤの交換が必要な時期が到来している場合、判定部222は、タイヤの交換に関する詳細な情報をユーザに提供するため、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定する。タイヤの交換が必要な時期が到来していない場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えないと判定する。
【0072】
(例2)
本例は、タイヤ交換用のソフトウェアの切替判定の他の例である。本例では、判定に用いられる状態情報として、タイヤを装着してからの使用年数(A1)と、タイヤを装着してからの走行距離(A2)と、過去の車両の使用状態(ユーザの運転履歴)(A3)とが用いられる。あるユーザは、平日において出勤及び帰宅のために車両10で3km走行し、週末において買い物のために車両10で4km走行する。この場合、1ヶ月間の車両10の走行距離は、3(km)×23(日)+4(km)×6(日)=93(km)である。この計算結果が、A3として用いられる。判定部222は、次式(1)を計算する。
A=A1×a+A2×b+A3×c …(1)
a,b,cは重み計数である。判定部222は、上記の式の計算結果Aを閾値Nとを比較し、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定する。AがNより大きい場合、タイヤの交換が必要である。この場合、判定部222は、タイヤの交換に関する詳細な情報をユーザに提供するため、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定する。AがN以下である場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えないと判定する。
【0073】
(例3)
本例は、タイヤ交換用のソフトウェアの切替判定のさらに他の例である。本例では、判定に用いられる状態情報として、タイヤを装着してからの使用年数(A1)と、タイヤを装着してからの走行距離(A2)と、将来の車両の使用状態(ユーザの運転の予定)(B3)とが用いられる。B3は、1ヶ月先までに予定されている車両10の長距離走行(例えば、100km以上)の距離である。判定部222は、以下の4つの条件を用いて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定する。
条件3-1:A1×B3が閾値N1以上である。
条件3-2:A2×B3が閾値N2以上である。
条件3-3:A1がタイヤの使用可能年数のカタログ値の80%以上である。
条件3-4:A2がタイヤの走行可能距離のカタログ値の80%以上である。
条件3-1,3-2,3-3,3-4のうちの何れか1つ以上が成立する場合、判定部222は、タイヤの交換に関する詳細な情報をユーザに提供するため、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定する。条件3-1,3-2,3-3,3-4の全てが成立しない場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えないと判定する。
【0074】
(例4)
本例は、スタッドレスタイヤへの交換用のソフトウェアの切替判定の例である。本例では、状態情報は、現在の積雪しているか否か(C1)、現在車両10がスタッドレスタイヤを装着しているか否か(C2)、2週間先までに一定以上まとまった積雪が予報されているか否か(C3)、日付(C4)、気温(C5)、天候(C6)が用いられる。
【0075】
C4には、例えば現在から何日後か毎に割り当てられた優先度が用いられる。例えば、1日後:99(%)、2日後:96(%)、3日後:92(%)、4日後:90(%)、…、10日後:60%、11日後:57%、…のように優先度が与えられる。
【0076】
C5には、気象予報の最低気温毎に割り当てられた優先度が用いられる。例えば、-10℃未満:99(%)、-10度以上-5度未満:90(%)、-5度以上0度未満:85(%)、0度以上3度未満:80(%)、3度以上5度未満:65(%)、5度以上8度未満:50(%)、8度以上:0(%)のように優先度が与えられる。
【0077】
C6には、気象予報の天候の種類毎に割り当てられた優先度が用いられる。例えば、雨:70(%)、晴れ:50(%)、小雪:85(%)、雪:90(%)、大雪:100(%)のように優先度が与えられる。
【0078】
判定部222は、以下の4つの条件を用いて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定する。
条件4-1:C1がYESであり且つC2がYESである。
条件4-2:C2がYESであり且つC3がYESである。
条件4-3:C2がYESであり且つC4×C5が閾値N3以上である。
条件4-4:C2がYESであり且つC4×C6が閾値N4以上である。
条件4-1,4-2,4-3,4-4のうちの何れか1つ以上が成立する場合、判定部222は、スタッドレスタイヤへの交換に関する詳細な情報をユーザに提供するため、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定する。条件4-1,4-2,4-3の全てが成立しない場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えないと判定する。
【0079】
本例では、状態情報に、通年(例えば、昨年)の降雪状態(C7)を含めることもできる。C7には、例えば月毎に割り当てられた優先度が用いられる。例えば、A市では、11月:30%、12月:60%、1月:60%、2月:80%、3月80%、その他:0%のように優先度が与えられる。例えば、B市では、10月:10%、11月:90%、12月:90%、1月:70%、2月:70%、その他:0%のように優先度が与えられる。例えば、条件4-3において、「C4×C5が閾値N3以上である。」を「C4×C5×C7が閾値N3以上である」に代え、条件4-4において、「C4×C6が閾値N4以上である。」を「C4×C6×C7が閾値N4以上である」に代えることができる。
【0080】
判定部222は、詳細ソフトウェア211に割り当てられた優先度に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定することができる。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する情報は、ユーザの危険、車両10の事故等に関連する重要度が高い情報もあれば、有用ではあるが重要度が低い情報もある。例えば、タイヤの空気圧異常をユーザに通知するための情報、及びスタッドレスタイヤへの交換が必要であることをユーザに通知するための情報は重要度が高く、渋滞情報は重要度が低い。詳細ソフトウェア211は、ユーザに通知する情報に応じて、優先度が割り当てられてもよい。例えば、タイヤの空気圧異常を通知する詳細ソフトウェア211、及びスタッドレスタイヤへの交換が必要であることをユーザに通知する詳細ソフトウェア211には優先度「高」が割り当てられ、交通情報をユーザに提供する詳細ソフトウェア211は優先度「低」が割り当てられる。判定部222は、状態情報と、詳細ソフトウェア211の優先度とを組み合わせて、ソフトウェアの切替の判定を行うことができる。
【0081】
詳細ソフトウェア211の種類と、車両10の周囲の環境の状態の種類とに優先度が対応付けてもよい。例えば、判定部222は、詳細ソフトウェア211の種類と、車両10の周囲の環境の状態の種類との対応関係を示す優先度テーブルを用いることができる。
図6は、優先度テーブルの一例を示す図である。テーブルの行は詳細ソフトウェア211の種類(A,B,C,D)を示し、テーブルの列は環境状態の種類(1,2,3,4)を示す。優先度テーブル230において、詳細ソフトウェア211の各種類A,B,C,Dと、環境状態の種類1,2,3,4との組み合わせ毎に、優先度が割り当てられている。判定部222は、切替判定の対象となる詳細ソフトウェア211の種類と、環境状態の種類とを特定し、優先度テーブル230を参照して優先度を決定する。優先度テーブル230は、不揮発性メモリ202に記憶されている。
【0082】
判定部222は、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替える指示がユーザから与えられた場合に、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えると判定してもよい。例えば、上記の例1において、タイヤの交換が必要な時期が到来している場合、判定部222は、タイヤ交換のための詳細な情報を提供するために、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替える指示をユーザが入力可能な画面(例えば、指示用のボタンを含む画面)を表示装置250に表示させてもよい。当該画面を通じて、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替える指示をユーザが統合ECU200に接続された入力装置260に入力した場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えると判定することができる。ユーザから上記の指示が統合ECU200に入力されない場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えないと判定することができる。
【0083】
図5に戻り、状態情報は、外部通信装置500の通信状態に関する情報を含んでもよい。外部通信装置500の通信状態が良好であれば、統合ECU200がデータベース40及びサーバ50にアクセスすることができる。外部通信装置500の通信状態が悪ければ、統合ECU200がデータベース40及びサーバ50にアクセスすることが困難である。このように、外部通信装置500の通信状態は、車両10の1つの状態を表している。外部通信装置500の通信状態に関する情報は、例えばRSSI(Received Signal Strength Indicator)である。判定部222は、例えばRSSIと閾値とを比較し、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定することができる。例えばRSSIが閾値以上である場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定することができる。例えばRSSIが閾値未満である場合、判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えないと判定することができる。さらに判定部222は、RSSIが閾値未満である場合、詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードを保留することができる。
【0084】
判定部222によって、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えると判定された場合に、要求部223は、詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードをデータベース40に要求する。
【0085】
データベース40は、要求部223の要求に応じて、詳細ソフトウェア211のインストールデータをダウンロードする。受信部224は、詳細ソフトウェア211のインストールデータを受信する。
【0086】
切替部225は、データベース40からダウンロードされたインストールデータを用いて、詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202にインストールする。切替部225は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替える。例えば、切替部225は、簡易ソフトウェア210を終了させ、詳細ソフトウェア211を起動する。
【0087】
簡易ソフトウェア210がユーザに提供する情報は、文字情報である。つまり、簡易ソフトウェア210は、表示装置250に文字情報を表示させる。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する情報は、画像情報を含む。つまり、詳細ソフトウェア211は、表示装置に画像情報を含む情報を表示させる。
【0088】
簡易ソフトウェア210がユーザに提供する情報は、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報である。例えば、簡易ソフトウェア210がユーザに提供する、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報は、文字情報である。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する情報は、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報と、異常への対応策を示す情報とを含む。例えば、詳細ソフトウェア211がユーザに提供する、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報は、文字情報であってもよいし、画像情報であってもよいし、音声情報であってもよい。異常への対応策を示す情報もまた、文字情報であってもよいし、画像情報であってもよいし、音声情報であってもよい。
【0089】
図7は、簡易ソフトウェアの表示画面の一例を示す図であり、
図8は、詳細ソフトウェアの表示画面の一例を示す図である。
図7及び
図8に示す例は、タイヤの空気圧異常をユーザに通知するための簡易ソフトウェア210及び詳細ソフトウェア211の表示画面である。タイヤの空気圧異常が検出された場合、簡易ソフトウェア210は表示画面600Aを表示装置250に表示させる。表示画面600Aには、文字情報601が含まれる。文字情報601は、「タイヤの空気圧が低下しています」というタイヤの異常を示す情報である。
【0090】
図8を参照し、タイヤの空気圧異常が検出された場合、詳細ソフトウェア211は表示画面600Bを表示装置250に表示させる。表示画面600Bには、画像情報602及び文字情報603が含まれる。画像情報602は、車両10を上から見た図形と、スペアタイヤを含む5つのタイヤの空気圧及び温度の文字情報とを含む。画像情報602は、数値によってタイヤの異常を示す情報である。文字情報603は、タイヤ交換の目安の時期を示す。タイヤ交換の目安の時期は、タイヤの空気圧異常を解消するための対応策の一例である。さらに他の例として、詳細ソフトウェア211の表示画面600Bには、タイヤの空気圧調整の作業方法を説明する文字情報、画像情報、又はこれらの組み合わせが含まれてもよいし、タイヤの空気圧調整を行う店舗の場所を示す地図又は住所が含まれてもよい。
【0091】
詳細ソフトウェア211は、上記のような表示画面600Bに加え、タイヤの空気圧異常をユーザに通知するための音声情報をスピーカ270から出力してもよい。なお、詳細ソフトウェア211は、音声情報をスピーカ270に出力させずに、画像情報を含む表示画面600Bを表示装置250に表示させてもよいし、画像情報を含む表示画面600Bを表示装置250に表示させずに(例えば、画像情報を含まず、タイヤの空気圧異常の文字情報を含む表示画面を表示装置250に表示させ)、音声情報をスピーカ270に出力させてもよい。
【0092】
図9は、簡易ソフトウェアの表示画面の他の例を示す図であり、
図10は、詳細ソフトウェアの表示画面の他の例を示す図である。
図9及び
図10に示す例は、寒冷地における車両10の走行に必要な情報をユーザに通知するための簡易ソフトウェア210及び詳細ソフトウェア211の表示画面である。気温、気象情報、位置情報等により、車両10が寒冷地にあると判断された場合、簡易ソフトウェア210は表示画面610Aを表示装置250に表示させる。表示画面610Aには、文字情報611が含まれる。文字情報611は、「寒冷地機能がONになりました。」である。
【0093】
図10を参照し、車両10が寒冷地にあると判断された場合、詳細ソフトウェア211は表示画面610Bを表示装置250に表示させる。表示画面610Bには、画像情報612が含まれる。画像情報612は、スリップ事故が発生しやすい地点を示した地図である。さらに他の例として、詳細ソフトウェア211の表示画面610Bには、スタッドレスタイヤが装着されているか否かを示す情報、スタッドレスタイヤへの交換を提案する情報、タイヤ交換の作業方法を説明する文字情報、画像情報、又はこれらの組み合わせ、不凍液の濃度割合を提案する情報等が含まれてもよい。
【0094】
詳細ソフトウェア211は、上記のような表示画面610Bに加え、例えばスタッドレスタイヤへの交換が必要であることをユーザに通知するための音声情報をスピーカ270から出力してもよい。なお、詳細ソフトウェア211は、音声情報をスピーカ270に出力させずに、画像情報を含む表示画面610Bを表示装置250に表示させてもよいし、画像情報を含む表示画面610Bを表示装置250に表示させずに(例えば、画像情報を含まず、寒冷地機能ONの文字情報を含む表示画面を表示装置250に表示させ)、音声情報をスピーカ270に出力させてもよい。
【0095】
図5に戻り、アンインストール部226は、不要な詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202からアンインストールする。例えば、不揮発性メモリ202の残り容量が基準値よりも少ない場合、インストールされている詳細ソフトウェア211のうちの一部をアンインストールする。アンインストールの対象は、例えば、詳細ソフトウェア211の優先度に基づいて選定される。
【0096】
[6.個別ECUの動作]
以下、本実施形態に係る車載システム100の動作を説明する。個別ECU300のプロセッサ301が制御プログラム306を実行することにより、以下に説明するようなデータ収集処理を実行する。
図11は、本実施形態に係る個別ECUによるデータ収集処理の一例を示すフローチャートである。
【0097】
センサ400は、ハードウェアの状態を検出し、検出値を示すセンサデータを出力する。個別ECU300は、センサ400から出力されたセンサデータを取得する(ステップS101)。
【0098】
プロセッサ301は、センサデータに対して処理を施し、処理データを生成する(ステップS102)。前記処理は、検出値の移動平均値、又は移動中央値等を算出する処理である。
【0099】
プロセッサ301は、生成された処理データを統合ECU200へ送信する(ステップS103)。その後、プロセッサ301は、ステップS101へ戻る。これにより、繰り返し処理データが生成され、統合ECU200へ送信される。
【0100】
[7.統合ECUの動作]
統合ECU200のプロセッサ201が制御プログラム209を実行することにより、以下に説明するようなソフトウェア切替判定処理を実行する。
図12は、本実施形態に係る統合ECUによるソフトウェア切替判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0101】
上述したように、個別ECU300は処理データを送信する。さらに、統合ECU200は、サーバ50に気象情報、気象予報情報、気温情報等の環境状態情報を要求する。サーバ50は、統合ECU200の要求に応じて、環境状態情報を送信する。統合ECU200は、処理データ、及び環境状態情報を受信する(ステップS201)。
【0102】
プロセッサ201は、処理データ及び環境状態情報に基づいて、車両10に搭載されたハードウェアの状態(タイヤが空気圧不足か否か、車両10に装着されているタイヤの種類等)及び車両10の周囲環境の状態(現在の気象状態、将来の気象状態、現在の気温等)を決定する(ステップS202)。
【0103】
プロセッサ201は、決定された車両10の状態に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定する(ステップS203)。
【0104】
ソフトウェアを切り替えないと判定された場合(ステップS203においてNO)、プロセッサ201はステップS208へ進む。
【0105】
ソフトウェアを切り替えると判定された場合(ステップS203においてYES)、プロセッサ201は、外部通信装置500に通信状態(RSSI)を問い合わせる。プロセッサ201は、RSSIに基づいて、詳細ソフトウェア211のインストールデータをダウンロード可能か否かを判定する(ステップS204)。
【0106】
詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードが可能ではないと判定された場合(ステップS204においてNO)、プロセッサ201は、詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードを保留し、当該インストールデータのダウンロードを予約する(ステップS205)。プロセッサ201は、インストールデータのダウンロードを予約した後、ステップS208へ進む。
【0107】
詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードが可能であると判定された場合(ステップS204においてYES)、プロセッサ201は、詳細ソフトウェア211のインストールデータのダウンロードをデータベース40に要求する(ステップS206)。
【0108】
プロセッサ201は、インストールデータをダウンロードすると、ソフトウェア切替処理を実行する(ステップS207)。
【0109】
図13は、本実施形態に係る統合ECUによるソフトウェア切替処理の一例を示すフローチャートである。
【0110】
プロセッサ201は、データベース40に詳細ソフトウェア211のインストールデータを要求する(ステップS211)。データベース40は、要求に応じて、詳細ソフトウェア211のインストールデータをダウンロードする。統合ECU200は、インストールデータを受信する(ステップS212)。
【0111】
プロセッサ201は、ダウンロードされたインストールデータを用いて、詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202にインストールする(ステップS213)。
【0112】
詳細ソフトウェア211のインストールが完了すると、プロセッサ201は、実行中の簡易ソフトウェア210を終了させる(ステップS214)。プロセッサ201は、インストールされた詳細ソフトウェア211を起動する(ステップS215)。以上で、ソフトウェア切替処理が終了する。
【0113】
図12に戻り、ソフトウェア切替処理が終了すると、プロセッサ201はステップS208へ進む。
【0114】
ステップS208において、プロセッサ201は、不要な詳細ソフトウェア211があるか否かを判定する(ステップS208)。例えば、不揮発性メモリ202の空き容量が所定の基準値未満である場合、最も優先度が低い詳細ソフトウェア211が不要と決定される。他の例では、車両10のハードウェアの異常を通知するための詳細ソフトウェア211が実行されている場合において、異常が既に解消している場合は、当該詳細ソフトウェア211が不要と決定される。
【0115】
不要な詳細ソフトウェア211がある場合(ステップS208においてYES)、プロセッサ201は、不要な詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202からアンインストールする(ステップS209)。詳細ソフトウェアのアンインストール後、プロセッサ201は、ステップS201へ戻る。不要な詳細ソフトウェア211がない場合も(ステップS208においてNO)、プロセッサ201は、ステップS201へ戻る。
【0116】
[8.変型例]
上記の実施形態では、統合ECU200が、車両10の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェアから詳細ソフトウェアに切り替える構成について述べたが、これに限定されない。例えば、車両10のハードウェアを制御する機能、又は、ユーザに情報を提供する機能を有する複数の車載装置(ECU)を含む車載システムにおいて、複数の車載装置が、車両10の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェアから詳細ソフトウェアに切り替えるか否かを判定してもよい。
【0117】
上記の実施形態では、統合ECU200及び個別ECU300が、CANによって相互に接続された構成について述べたが、これに限定されない。例えば、統合ECU200及び個別ECU300がイーサネット(登録商標)によって相互に接続されてもよい。
【0118】
[9.効果]
車載システム100は、統合ECU200(第1車載装置)と、個別ECU300(第2車載装置)と、外部通信装置500とを含む。個別ECU300は、統合ECU200と通信可能である。外部通信装置500は、車両10の外部に配置されたデータベース40(外部装置)と通信可能である。統合ECU200は、不揮発性メモリ202(メモリ)と、判定部222と、要求部223と、切替部225とを含む。不揮発性メモリ202は、簡易ソフトウェア210(第1ソフトウェア)を記憶する。簡易ソフトウェア210は、簡易情報(第1情報)をユーザに提供するためのソフトウェアである。判定部222は、車両10の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211(第2ソフトウェア)に切り替えるか否かを判定する。詳細ソフトウェア211は、簡易情報よりも詳細な詳細情報(第2情報)をユーザに提供するためのソフトウェアである。要求部223は、判定部222によって、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えると判定された場合に、外部通信装置500を介してデータベース40へ詳細ソフトウェアのダウンロードを要求する。切替部225は、データベース40からダウンロードされた詳細ソフトウェア211を不揮発性メモリ202にインストールする。切替部225は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替える。ユーザに簡易的な情報を提供する場合には、簡易ソフトウェア210が用いられる。このため、統合ECU200の不揮発性メモリ202及び揮発性メモリ203の容量の圧迫を抑制することができる。したがって、統合ECU200に搭載されるメモリ容量の増大を抑制することができる。ユーザに詳細な情報を提供する場合には、実行対象のソフトウェアが簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えられる。したがって、ユーザに多様な情報を提供することができる。
【0119】
個別ECU300は、車両10に搭載されたハードウェアの状態を検出するセンサ400を含んでもよい。状態情報は、センサ400によって検出されたハードウェアの状態に関する情報を含んでもよい。センサ400によって取得された情報を用いて、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、センサ400によって検出されたハードウェアの状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための詳細ソフトウェアを実行することができる。
【0120】
状態情報は、車両10に搭載されたハードウェアの将来の使用状態を予測した情報を含んでもよい。車両10に搭載されたハードウェアの将来の使用状態を考慮して、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、予測されるハードウェアの将来の使用状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための詳細ソフトウェア211を実行することができる。
【0121】
状態情報は、車両10の周囲の環境の状態に関する情報を含んでもよい。車両10の周囲の環境の状態を考慮して、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えるか否かを判定することができる。これにより、車両10の周囲の環境の状態から、例えばハードウェアを交換又は修理する必要があると判断される場合に、ハードウェアの交換又は修理のための詳細な情報をユーザに提供するための詳細ソフトウェア211を実行することができる。
【0122】
判定部222は、車両10の周囲の環境の状態に割り当てられた優先度に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えるか否かを判定してもよい。例えば、優先度が基準より高い場合、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えることができる。
【0123】
判定部222は、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替える指示がユーザから与えられた場合に、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えると判定してもよい。これにより、ユーザの指示に応じて、実行対象のソフトウェアを簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えることができる。
【0124】
判定部222は、詳細ソフトウェア211に割り当てられた優先度に基づいて、実行対象のソフトウェアを、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211に切り替えるか否かを判定してもよい。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する情報の重要度に応じて、詳細ソフトウェア211に優先度が割り当てられてもよい。例えば、優先度が基準より高い場合、簡易ソフトウェア210から詳細ソフトウェア211へ切り替えることができる。
【0125】
優先度は、詳細ソフトウェア211の種類と、車両10の周囲の環境の状態の種類とに対応付けられてもよい。例えば、詳細ソフトウェア211がユーザに提供する情報の重要度と、車両10の周囲の環境の状態の深刻度とに応じて、優先度を決定することができる。
【0126】
状態情報は、外部通信装置500の通信状態に関する情報を含んでもよい。例えば、外部通信装置500の通信状態が良好な場合は、詳細ソフトウェア211をダウンロードすることができ、外部通信装置500の通信状態が悪い場合は、詳細ソフトウェア211のダウンロードを回避することができる。
【0127】
簡易ソフトウェア210がユーザに提供する簡易情報は、文字情報であってもよい。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する詳細情報は、画像情報を含んでもよい。簡易情報を簡易な文字情報とすることで、簡易ソフトウェア210のサイズを小さくすることができる。詳細情報に画像情報を含めることで、画像による詳細な情報をユーザに提供することができる。
【0128】
簡易ソフトウェア210がユーザに提供する簡易情報は、文字情報であってもよい。詳細ソフトウェア211がユーザに提供する詳細情報は、音声情報を含んでもよい。簡易情報を簡易な文字情報とすることで、簡易ソフトウェア210のサイズを小さくすることができる。詳細情報に音声情報を含めることで、音声による詳細な情報をユーザに提供することができる。
【0129】
簡易情報は、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報であってもよい。詳細情報は、車両10に搭載されたハードウェアの異常を示す情報と、異常への対応策を示す情報とを含んでもよい。ハードウェアに異常が生じた場合に、簡易ソフトウェア210はユーザに異常の発生を通知することができる。さらに、簡易ソフトウェア210のサイズを小さくすることができる。詳細ソフトウェア211は、異常の発生を通知するだけでなく、異常への対応策をユーザに提示することができる。
【0130】
[10.付記]
車両に搭載された車載装置であって、
前記車両に搭載されたハードウェアの状態を検出するセンサと、
他の車載装置が、実行対象のソフトウェアを、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定するために、前記センサによって検出された前記ハードウェアの状態に関する情報を前記他の車載装置へ送信する送信部と、
を備える、
車載装置。
【0131】
メモリを含むコンピュータを、車両に搭載された車載装置として機能させるためのコンピュータプログラムであって、
前記車両の状態に関する状態情報に基づいて、実行対象のソフトウェアを、第1情報をユーザに提供するための第1ソフトウェアから、前記第1情報よりも詳細な第2情報をユーザに提供するための第2ソフトウェアに切り替えるか否かを判定する判定部、
前記判定部によって、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替えると判定された場合に、前記車両の外部に配置された外部装置へ前記第2ソフトウェアのダウンロードを要求する要求部、及び、
前記外部装置からダウンロードされた前記第2ソフトウェアを前記メモリにインストールし、前記実行対象のソフトウェアを、前記第1ソフトウェアから前記第2ソフトウェアに切り替える切替部、
として前記コンピュータを機能させる、
コンピュータプログラム。
【0132】
[11.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0133】
10 車両
20 基地局
30 インターネット
40 データベース
50 サーバ
100 車載システム
200 統合ECU
201 プロセッサ
202 不揮発性メモリ
203 揮発性メモリ
204 第1通信インタフェース(第1通信I/F)
205 第2通信インタフェース(第2通信I/F)
206 グラフィック処理回路
207 入出力部(I/O)
208 音声処理回路
209 制御プログラム
210 簡易ソフトウェア
211 詳細ソフトウェア
221 取得部
222 判定部
223 要求部
224 受信部
225 切替部
226 アンインストール部
230 優先度テーブル
250 表示装置
260 入力装置
270 スピーカ
300,300A,300B,300C,300D 個別ECU
301 プロセッサ
302 不揮発性メモリ
303 揮発性メモリ
304 通信インタフェース(通信I/F)
305 入出力インタフェース(I/O)
306 制御プログラム
400 センサ
500 外部通信装置
600A,600B,610A,610B 表示画面
601,603,611 文字情報
602,612 画像情報