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特開2023-38887炭酸カルシウムの製造方法及び炭酸カルシウム製造装置
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  • 特開-炭酸カルシウムの製造方法及び炭酸カルシウム製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038887
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】炭酸カルシウムの製造方法及び炭酸カルシウム製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01F 11/18 20060101AFI20230310BHJP
   F24V 30/00 20180101ALI20230310BHJP
【FI】
C01F11/18 C
F24V30/00 302
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014041
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2021145464
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514243885
【氏名又は名称】野田 忠世
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 忠世
【テーマコード(参考)】
4G076
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AA10
4G076AA15
4G076AB02
4G076AB06
4G076AB09
4G076BA34
4G076BA38
4G076BD02
4G076BH01
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の発生を削減できる、炭酸カルシウムの製造方法と製造装置との提供にある。
【解決手段】この炭酸カルシウムの製造方法は、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、石灰石を加熱し、石灰石から生石灰を得、生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得る。この炭酸カルシウム製造装置2は、石灰石が投入される焼成炉4と、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに石灰石を加熱する加熱器6とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、前記石灰石を加熱し、前記石灰石から生石灰を得、
前記生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、
前記石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得る、
炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項2】
焼成炉内で水素を燃焼させて石灰石を加熱し、石灰石から生石灰を得る、請求項1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項3】
前記焼成炉内の温度と二酸化炭素濃度とを測り、前記温度と前記二酸化炭素濃度とに基づいて加熱熱量を制御しつつ、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】
前記焼成炉内の温度が700℃以下の状態で、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1から3のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項5】
前記石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体の、二酸化炭素濃度を高め、
二酸化炭素濃度を高めた前記気体の前記二酸化炭素と前記石灰乳とを反応させ前記炭酸カルシウムを得る、請求項1から4のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項6】
石灰石が投入される焼成炉と、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の前記石灰石を曝すことなしに前記石灰石を加熱する加熱器と
を備える、炭酸カルシウム製造装置。
【請求項7】
前記加熱器が前記燃焼炉内で水素を燃焼させる、請求項6に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【請求項8】
前記石灰石を加熱する熱で発電する発電装置を備える、請求項6又は7に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、炭酸カルシウムの製造方法及び炭酸カルシウム製造装置を開示する。
【背景技術】
【0002】
炭酸カルシウムの製造方法として、炭酸ガス法が採用されている。この炭酸ガス法では、焼成炉内で天然ガス等の化石燃料を燃焼させ1000℃以上の高温にする。高温にされた焼成炉内で加熱された石灰石から生石灰が得られる。この生石灰と水とを反応させ、石灰乳が得られる。この石灰乳と二酸化炭素(炭酸ガス)とを反応させ、炭酸カルシウムが得られる。この様な炭酸カルシウムの製造方法が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-67520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二酸化炭素は地球温暖化の要因と考えられ、二酸化炭素の排出量の削減が求められている。前述の炭酸カルシウムの製造方法では、焼成炉内を高温にするため、多量の天然ガス等の化石燃料を燃焼させる。これらの燃料の燃焼では、多量の二酸化炭素が発生する。また、石灰石から生石灰が得られる過程でも二酸化炭素が発生する。そして、この炭酸カルシウムの製造方法では、発生する二酸化炭素と石灰乳とを反応させて炭酸カルシウムを得ることで、放出される二酸化炭素の低減が図られている。しかしながら、この製造方法では、二酸化炭素の低減が図られているものの、大気中に多量の二酸化炭素が放出される。
【0005】
本出願人の意図するところは、二酸化炭素の発生を削減できる、炭酸カルシウムの製造方法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
好ましい炭酸カルシウムの製造方法は、
化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、前記石灰石を加熱し、前記石灰石から生石灰を得、
前記生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、
前記石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得る。
【0007】
好ましい、炭酸カルシウム製造装置は、
石灰石が投入される焼成炉と、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の前記石灰石を曝すことなしに前記石灰石を加熱する加熱器とを備える。
【発明の効果】
【0008】
この炭酸カルシウムの製造方法は、焼成炉内で二酸化炭素の分圧が低減される。二酸化炭素の分圧が低減されることで、石灰石から生石灰を得る温度が著しく低くできる。この製造方法は、焼成炉内の温度を低減することで、加熱熱量を低減し、二酸化炭素の排出量を低減できる。また、この炭酸カルシウム製造装置も、この製造方法と同様の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る炭酸カルシウム製造装置の説明図である。
図2図2は、他の実施形態に係る炭酸カルシウム製造装置の説明図である。
図3図3は、更に他の実施形態に係る炭酸カルシウム製造装置の説明図である。
図4図4は、図3に示された炭酸カルシウム製造装置が備える発電装置の説明図である。
図5図5は、図3に示された炭酸カルシウム製造装置が備える二酸化炭素分離器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0011】
図1には、炭酸カルシウムの製造方法に用いられる製造装置2の概要が示されている。
この製造装置2は、焼成炉4、加熱器6、冷却装置8、石灰乳槽10、生成槽12、温度センサ14、濃度センサ16、風量調整器18、制御装置20及び炭酸ガス収集装置22を備える。
【0012】
焼成炉4は、焼成炉内としての焼成室4Aを有する。焼成炉4は、軸線周りに回転可能である。加熱器6は、燃焼室6Aと、燃焼室6Aに配置された発熱器としてのバーナー6Bとを有する。この燃焼室6Aに、焼成炉4が配置されている。このバーナー6Bは、燃焼によって生じる二酸化炭素を焼成室4Aに導入せずに、焼成室4Aを加熱可能に配置されている。言い換えると、この製造装置2では、バーナー6Bの燃焼により生じる二酸化炭素に焼成室4Aの石灰石を曝されないように、バーナー6Bが配置されている。
【0013】
具体的には、例えば、焼成炉4は金属製等の伝熱性の高い外壁を備えてもよい。バーナー6Bは、焼成炉4の外からこの外壁を加熱してもよい。これにより、バーナー6Bによって、焼成室4Aが加熱されてもよい。また、ここでいう加熱器は、バーナー6Bを有する加熱器6に限られず、電気によって焼成室4Aを加熱してもよい。
【0014】
冷却装置8は、焼成炉4と石灰乳槽10との間に位置している。石灰乳槽10は、冷却装置8と生成槽12との間に位置している。温度センサ14は、焼成室4Aの温度を検知可能に配置されている。濃度センサ16は、焼成室4Aの二酸化炭素濃度を検知可能に配置されている。風量調整器18は、冷却装置8から排出される温風を焼成室4Aに供給可能に配置されている。この風量調整器18は、焼成室4Aに供給する風量を調整可能である。炭酸ガス収集装置22は、焼成炉4や加熱器6から排出される気体から二酸化炭素を収集可能に配置されている。炭酸ガス収集装置22は、収集室22Aを備える。炭酸ガス収集装置22は、収集室22A内で二酸化炭素を含む気体と他の気体や外気とを混合し、二酸化炭素を所定の濃度に調整する。
【0015】
制御装置20は、電子回路基板を含む。制御装置20は、信号を送受信可能な入出力デバイスと、入出力デバイスが受信した信号から得られるデータやプログラムを記憶するメモリと、データやプログラムに基づき演算するCPUとを含む。制御装置20は、温度センサ14と、濃度センサ16と、バーナー6Bの燃料制御器と、風量調整器18とのそれぞれと、信号を送受信可能に接続されている。
【0016】
図1を参照しつつ、この製造装置2を用いた炭酸カルシウムの製造方法が説明される。
【0017】
この製造装置2で、図1の矢印Jで示される様に、焼成炉4が回転させられる。細かく砕かれた石灰石が、矢印Aで示される様に、焼成炉4に投入される(STEP1)。石灰石は、焼成炉4内で回転しながら搬送される。この焼成室4Aに風量調整器18から温風が吹き込まれ、焼成炉4はバーナー6Bによって加熱される。これにより、焼成室4Aの温度は上昇する。焼成室4Aで石灰石が加熱される。以下の式(1)で示される様に、石灰石(CaCO)は、生石灰(CaO)と二酸化炭素(CO)とに分解される。これにより、石灰石から、生石灰が得られる(STEP2)。
CaCO → CaO + CO (1)
【0018】
生石灰は、矢印Bで示される様に、冷却装置8に送られる。この工程(STEP2)で生じた二酸化炭素を含む気体は、矢印Eで示される様に、炭酸ガス収集装置22に送られる。
【0019】
この工程(STEP2)では、温度センサ14が焼成室4Aの温度を検知する。濃度センサ16が焼成室4Aの二酸化炭素濃度を検知する。制御装置20は、焼成室4Aの二酸化炭素濃度から、石灰石から生石灰を得るための、焼成室4Aの設定温度を決定する。制御装置20は、この設定温度に基づいて、バーナー6Bの燃焼と、風量調整器18の風量とを制御する。これにより、焼成室4Aの温度が設定温度に維持される。
【0020】
得られた生石灰は、冷却装置8で冷却される(STEP3)。冷却された生石灰は、矢印Cで示される様に、石灰乳槽10に送られる。生石灰の冷却で生じた温風は、矢印Gに示される様に、風量調整器18に送られる。この温風は、矢印Hに示される様に、風量調整器18によって焼成室4Aに送られる。
【0021】
石灰乳槽10で、以下の式(2)で示される様に、生石灰と水(HO)とが反応し、石灰乳(Ca(OH))が得られる(STEP4)。
CaO + HO→ Ca(OH) (2)
この石灰乳は、矢印Dで示される様に、生成槽12に送られる。
【0022】
生成槽12では、以下の式(3)で示される様に、石灰乳(Ca(OH))と二酸化炭素(CO)が反応し、炭酸カルシウム(CaCO)が得られる(STEP5)。
Ca(OH) + CO → CaCO+ HO (3)
【0023】
なお、この工程(STEP5)で用いられる二酸化炭素は、工程(STEP2)で生じた気体から収集されている。炭酸ガス収集装置22が、収集室22Aで、工程(STEP2)で生じた気体から二酸化炭素を収集する。この収集した二酸化炭素は、矢印Fで示される様に、生成槽12に送られる。しかしながら、二酸化炭素の供給は、これに限られない。二酸化炭素は、別に準備されてもよい。また、他の暖房設備や燃焼設備が排出する、二酸化炭素を含む気体から、炭酸ガス収集装置22によって収集されてもよい。
【0024】
ところで、石灰石が生石灰と二酸化炭素とに分解される反応温度は、焼成室4Aの二酸化炭素の分圧によって変化する。焼成室4Aの二酸化炭素の分圧が高いほど反応温度は高い。従って、焼成室4Aの二酸化炭素の分圧を低くすることで、この反応温度は低くできる。
【0025】
この炭酸カルシウム製造方法では、加熱器6は、焼成室4Aに二酸化炭素を導入することなしに、焼成室4Aの石灰石を加熱する。この製造装置2は、燃焼により生じる二酸化炭素に焼成室4Aの石灰石を曝すことなしに、石灰石を加熱する。電気や非石油系燃料に限らず、化石燃料を用いても、この製造装置2は、焼成室4Aの二酸化炭素の増加を抑制する。この製造装置2は、焼成室4Aの二酸化炭素の分圧が増加することを抑制する。二酸化炭素の分圧が低く抑えられることで、低い温度で石灰石が生石灰と二酸化炭素に分解される。この製造方法は、加熱熱量を低減でき、省エネに寄与する。
【0026】
この製造方法は、加熱熱量を低減できるので、加熱のために発生する二酸化炭素をも低減できる。この製造方法は、二酸化炭素の排出量を低減できる。
【0027】
この製造方法では、加熱熱量を低減させ二酸化炭素の排出量を低減する観点から、焼成室4Aの温度は、好ましくは700℃以下であり、更に好ましくは600℃以下である。一方で、温度を高くすることで、石灰石から生石灰を得る反応は促進される。この観点から、焼成室4Aの温度は、好ましくは500℃以上である。
【0028】
この製造方法は、焼成室4Aの温度を低く抑えられることで、比較的に耐熱性の低い焼成炉4を使用できる。この製造方法は、焼成炉4を大幅に小型化でき、軽量化できる。この製造方法は、設備コストの低減に寄与する。
【0029】
この製造方法の工程(STEP2)では、焼成室4Aの温度と二酸化炭素濃度とが測られる。この温度と二酸化炭素濃度とに基づいて加熱熱量が制御される。この製造方法では、二酸化炭素濃度に基づいて、焼成室4Aの温度が適正な設定温度に維持される。この製造方法は、更に、加熱熱量を低減でき、省エネに寄与する。この観点から、この工程(STEP2)では、温度と二酸化炭素濃度とに基づいて加熱熱量が制御されることが好ましい。
【0030】
この製造方法の工程(STEP2)では、この温度と二酸化炭素濃度とに基づいて風量調整器18の風量が制御される。これにより、この製造方法では、更に、焼成室4Aの温度が高精度に設定温度に維持される。この製造方法は、更に加熱熱量を低減でき、省エネに寄与する。この観点から、この工程(STEP2)では、温度と二酸化炭素濃度とに基づいて風量調整器18の風量が制御されることが好ましい。
【0031】
図2には、他の実施形態に係る、炭酸カルシウムの製造装置24が示されている。ここでは、この製造装置24について、製造装置2と異なる構成について説明がされる。製造装置2と同様の構成については、同じ符号が用いられ、その説明が省略される。
【0032】
この製造装置24は、焼成炉4及び加熱器6に代えて、焼成炉26を備える。この焼成炉26は、搬送装置28と、加熱器としてのバーナー30とを備える。搬送装置28とバーナー30は、焼成炉内としての焼成室26Aに配置されている。搬送装置28は、特に限定されないが、例えばベルトコンベヤである。バーナー30は、水素を燃料として燃焼する加熱器である。製造装置24の他の構成は、製造装置2と同様である。
【0033】
図2に参照しつつ、この製造装置24を用いた炭酸カルシウムの製造方法が説明される。この製造方法は、製造装置2を用いた炭酸カルシウムの製造方法と、工程(STEP2)が異なるが、その他の工程は同様であり、その説明が省略される。
【0034】
この工程(STEP2)では、焼成炉26に投入された石灰石は搬送装置28で、図2の矢印Jで示される様に搬送される。石灰石は、搬送されつつ、バーナー30で燃焼させられる。焼成室26Aで加熱された石灰石は、以下の式(1)に示される様に、生石灰と二酸化炭素とに分解される。これにより、石灰石から、生石灰が得られる(STEP2)。
CaCO → CaO + CO (1)
【0035】
生石灰は、矢印Bに示される様に、冷却装置8に送られる。この工程(STEP2)で生じた二酸化炭素を含む気体は、矢印Eに示される様に、炭酸ガス収集装置22に送られる。
【0036】
この製造装置24を用いた炭酸カルシウムの製造方法は、水素を燃焼させる。この製造方法では、バーナー30の燃焼によって二酸化炭素が焼成炉内としての焼成室26Aに導入されない。この製造装置24は、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成室26Aの石灰石を曝すことなしに、石灰石を加熱する。これにより、焼成室26Aの二酸化炭素の増加が抑制される。この製造装置24を用いた製造方法は、製造装置2を用いた炭酸カルシウムの製造方法と同様に、焼成室26Aの二酸化炭素の分圧を低減できる。
【0037】
この製造方法は、石灰石が内在する焼成室26Aで水素を燃焼させる。この焼成室26Aで燃焼させるので、焼成炉26は熱効率に優れる。この製造方法は、加熱熱量を低減でき、省エネに寄与する。この製造方法は、加熱熱量を低減することで、燃焼させる水素の量をも低減できる。
【0038】
更に、この製造方法は、水素の燃焼により、二酸化炭素を含まない雰囲気下で、石灰石を加熱できる。二酸化炭素を含まない雰囲気下では、石灰石が生石灰と二酸化炭素とに分解される反応温度は一層低い。ここでは、水素燃料を用いて説明がされたが、この加熱の燃料は水素燃料に限られない。この製造方法は、電気エネルギーにより二酸化炭素を含まない雰囲気下で、石灰石を加熱してもよい。本発明において、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに石灰石を加熱することには、水素の燃焼や電気エネルギーにより二酸化炭素を含まない雰囲気下で石灰石を加熱することが含まれる。
【0039】
図3には、更に他の実施形態に係る、炭酸カルシウムの製造装置32が示されている。ここでは、この製造装置32について、前述の製造装置2と異なる構成の説明がされる。製造装置2と同様の構成は、同じ符号が用いられ、その説明が省略される。
【0040】
この製造装置32は、製造装置2と同様に、焼成炉4、冷却装置8、石灰乳槽10、生成槽12、温度センサ14、濃度センサ16、風量調整器18、制御装置20及び炭酸ガス収集装置22を備える。製造装置32は、更に、加熱器34、発電装置36及び二酸化炭素分離器38を備える。
【0041】
この製造装置32は、加熱器6に代えて加熱器34を備える。加熱器34は、燃焼室34Aと、燃焼室34Aに配置された発熱器としてのバーナー34Bとを有する。この燃焼室24Aに、焼成炉4が配置されている。このバーナー34Bは、燃焼によって生じる二酸化炭素を焼成室4Aに導入せずに、焼成室4Aを加熱可能に配置されている。言い換えると、この製造装置32では、バーナー34Bの燃焼により生じる二酸化炭素に焼成室4Aの石灰石を曝されないように、バーナー34Bが配置されている。
【0042】
バーナー34Bは、焼成炉4の外から焼成炉4の外壁を加熱してもよい。これにより、バーナー34Bによって、焼成室4Aが加熱されてもよい。また、ここでいう加熱器は、バーナー34Bを有する加熱器34に限られず、電気によって焼成室4Aを加熱してもよい。
【0043】
この製造装置32では、矢印E1で示される様に、加熱器34から排出される二酸化炭素を含む気体は、二酸化炭素分離器38に送られる。二酸化炭素分離器38ついては後述されるが、この二酸化炭素分離器38によって、二酸化炭素を含む気体は、二酸化炭素を高濃度に含む気体(以下、二酸化炭素リッチ気体ともいう)と二酸化炭素リッチ気体に比べ二酸化炭素を低濃度に含む気体(以下、二酸化炭素リーン気体ともいう)とに分離される。この二酸化炭素リーン気体は、例えば、二酸化炭素を極低濃度に含む気体や二酸化炭素を殆ど含まない気体である。矢印E2で示される様に、二酸化炭素分離器38で得られた二酸化炭素リッチ気体は、炭酸ガス収集装置22に送られる。
【0044】
炭酸ガス収集装置22は、二酸化炭素リッチ気体を収集可能な収集室22Aを備える。炭酸ガス収集装置22は、他の設備から排出される気体や外気をも収集可能である。炭酸ガス収集装置22は、二酸化炭素リッチ気体と、他の設備から排出される気体や外気とを混合し、二酸化炭素の濃度を調整する機能を備える。更に、炭酸ガス収集装置22は、矢印Fで示される様に、生成槽12に送る機能を備える。
【0045】
制御装置20は、温度センサ14と、濃度センサ16と、風量調整器18とのそれぞれと、信号を送受信可能に接続されている。制御装置20は、バーナー34Bの燃料制御器と信号を送受信可能に接続されている。更に、制御装置20は、発電装置36及び二酸化炭素分離器38のそれぞれとも信号を送受信可能に接続されている。
【0046】
ここで、図3及び図4を参照しつつ、発電装置36が説明される。発電装置36は、加熱管36A、タービン36B、発電機36C及び復水器36Dを備える。加熱管36Aは、加熱器34の燃焼室34Aに配置されている。加熱管36Aは、復水器36Dとタービン36Bとの間に位置している。タービン36Bは、加熱管36Aと復水器36Dとの間に位置している。復水器36Dは、加熱管36Aとタービン36Bとの間に位置している。
【0047】
発電装置36では、加熱管36Aで水が加熱され蒸気が得られる。図4の矢印K1で示すように、この蒸気は、タービン36Bに送られる。タービン36Bに送られた蒸気は、矢印L1で示される様に、タービン36Bから復水器36Dに送られる。復水器36Dに送られた蒸気は、復水器36Dで冷却され水に戻される。この水は、矢印Mで示される様に、加熱管36Aに送られる。そして、加熱管36Aで、この水が加熱され蒸気が得られる。この様に、水及び蒸気が、加熱管36A、タービン36B及び復水器36Dを循環する。
【0048】
タービン36Bは、蒸気によって回転する羽根車を備える。発電機36Cは、タービン36Bの羽根車の回転によって回転する回転軸を備える。発電機36Cは、この回転軸の回転によって、発電する。発電機36Cによって得られた電気は、製造装置32の電源の一部として使用される。例えば、この電気は、図3に示される二酸化炭素分離器38や復水器36Dの電源として使用される。また、この電気は、製造装置32に以外の他の設備の電源として使用されてもよいし、売電されてもよい。
【0049】
図3の矢印K2で示される様に、この発電装置36では、加熱管36Aで加熱された蒸気の一部は、二酸化炭素分離器38に送られる。二酸化炭素分離器38に送られた蒸気は、矢印L2で示される様に、二酸化炭素分離器38から復水器36Dに送られる。復水器36Dに送られた蒸気は、冷却され水に戻される。この発電装置36では、水及び蒸気が、加熱管36A、二酸化炭素分離器38及び復水器36Dをも循環する。
【0050】
図5には、二酸化炭素分離器38が示されている。二酸化炭素分離器38は、吸収塔38A、再生塔38B、再生加熱器38C、送り管38D及び戻り管38Eを備える。二酸化炭素分離器38では、二酸化炭素の吸収液が用いられる。送り管38Dは、図示されないポンプによって、吸収塔38Aから再生塔38Bへ吸収液を送る機能を備える。戻り管38Eは、図示されない他のポンプによって、再生塔38Bから吸収塔38Aへ吸収液を戻す機能を備える。
【0051】
再生加熱器38Cは、再生塔内に配置されている。発電装置36の加熱管36Aで加熱された蒸気の一部が、矢印K2で示される様に、再生加熱器38Cに送られる。更に、この蒸気は、矢印L2で示される様に、再生加熱器38Cから復水器36Dに送られる。この再生加熱器38Cは、再生塔内で吸収液を加熱する機能を備える。
【0052】
吸収塔38Aは、戻り管38Eに接続され吸収塔38A内に吸収液を散布するノズル38Fを備える。再生塔38Bは、送り管38Dに接続され再生塔38B内に吸収液を散布するノズル38Gを備える。なお、図示されないが、二酸化炭素分離器38は、更に、送り管38Dを流れる吸収液と戻り管38Eとを流れる吸収液との間で熱交換をさせる熱交換器を備えてもよい。
【0053】
図3から図5を参照しつつ、この製造装置32を用いた炭酸カルシウムの製造方法が説明される。ここでは、前述の製造装置2を用いた炭酸カルシウムの製造方法と異なる構成の説明がされる。製造装置2を用いた炭酸カルシウムの製造方法と同様の構成は、同じ符号が用いられ、その説明が省略される。
【0054】
なお、この製造方法では、二酸化炭素分離器38に用いられる吸収液は、二酸化炭素を吸収し、吸収した二酸化炭素を分離可能であればよく、特に限定されない。この製造方法では、アミン溶液を例に用いて説明がされる。
【0055】
この製造方法の、石灰石から生石灰が得られる工程(STEP2)では、制御装置20は、加熱器34が備えるバーナー34Bの燃焼を制御する。そして、焼成室4Aの温度が設定温度に維持される。
【0056】
図3に示される様に、この工程(STEP2)では、加熱器34で生じた二酸化炭素を含む気体は、図3の矢印E1に示される様に、二酸化炭素分離器38に送られる。この気体は、図5の矢印E1に示される様に、吸収塔38Aに送られる。吸収塔38A内ではノズル38Fで、二酸化炭素の量が少ないアミン溶液(以下、二酸化炭素リーン溶液ともいう)が散布される。この二酸化炭素リーン溶液に、加熱器34から送られる気体が接触させられる。この接触によって、この気体に含まれる二酸化炭素が二酸化炭素リーン溶液に吸収される。これにより、二酸化炭素リーン溶液から二酸化炭素の量が多いアミン溶液(以下、二酸化炭素リッチ溶液ともいう)が得られる。
【0057】
この二酸化炭素リッチ溶液は、送り管38Dを通り再生塔38Bに送られる。この二酸化炭素リッチ溶液は、再生塔38B内にノズル38Gで散布される。二酸化炭素リッチ溶液は、再生塔38B内で再生加熱器38Cによって加熱される。この加熱によって、二酸化炭素リッチ溶液から二酸化炭素が分離される。二酸化炭素が分離されることで、二酸化炭素リッチ溶液から二酸化炭素リーン溶液が得られる。この二酸化炭素リーン溶液は、再び、戻り管38Eを通り吸収塔38Aに送られる。この様にして、アミン溶液は、吸収塔38Aと再生塔38Bとを循環する。
【0058】
この様にして、二酸化炭素分離器38によって、二酸化炭素を含む気体は、二酸化炭素リッチ気体と二酸化炭素リーン気体とに分離される。図5の矢印Nで示される様に、二酸化炭素リーン気体は、二酸化炭素分離器38から排出される。図3の矢印E2に示される様に、二酸化炭素リッチ気体は、炭酸ガス収集装置22に送られる。
【0059】
炭酸ガス収集装置22は、二酸化炭素リッチ気体と他の気体や外気とを混合し、二酸化炭素を所定の濃度に調整する。二酸化炭素を所定濃度に調整された気体は、矢印Fで示される様に、生成槽12に送られる。生成槽12では、この気体に含まれる二酸化炭素と石灰乳が反応し、炭酸カルシウムが得られる。
【0060】
製造装置32は、石灰石を加熱する熱で発電する発電装置36を備える。この炭酸カルシウムの製造方法は、石灰石から生石灰を得る反応を促進する観点から、焼成室4Aの温度を高温にする。この製造装置32は、焼成室4Aの温度を高温する熱を利用して発電することで、省エネに寄与する。
【0061】
ここでは、発電装置36を例示し、火力発電を例に説明がされたが、石灰石を加熱する熱で発電可能であればよく、発電方法は特に限定されない。
【0062】
一方で、焼成室4Aの温度は、特に限定されないが、例えば、500℃以上にされる。焼成室4Aの温度は、水から蒸気を得るのに十分な温度である。この観点から、水を加熱し蒸気を得る加熱管36Aと、蒸気で回転する羽根車を備えるタービン36Bと、羽根車の回転で発電する発電機36Cとを備える、発電装置36は、製造装置32に適している。
【0063】
この炭酸カルシウムの製造方法では、焼成室4Aでの二酸化炭素の分圧が低く抑えられる。これにより、従来の焼成炉内で天然ガス等の化石燃料を燃焼させる方法に比べ、低い温度で石灰石が生石灰と二酸化炭素とに分解される。これにより、製造装置32を用いた製造方法は、省エネに寄与する。
【0064】
この炭酸カルシウムの製造方法では、焼成室4Aの温度は従来のそれに比べて低温にされる。焼成室4Aを低温に加熱する加熱器34では、石灰石を加熱するために生じる二酸化炭素の量は、従来のそれに比べて少ない。この製造方法では、二酸化炭素分離器38によって、二酸化炭素の濃度が高められる。二酸化炭素濃度を高めた気体の二酸化炭素と石灰乳とを反応させ炭酸カルシウムが得られる。この製造方法は、二酸化炭素の濃度を高めることで、二酸化炭素と石灰乳とを反応が促進される。また、この製造方法は、得られる炭酸カルシウムの純度を向上させる。
【0065】
この炭酸カルシウムの製造方法は、石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体を吸収液に接触させ、吸収液に二酸化炭素を吸収させて二酸化炭素リッチ溶液を得る。この製造方法は、二酸化炭素リッチ溶液を加熱し、二酸化炭素リッチ溶液から二酸化炭素を分離再生する。分離再生した二酸化炭素と石灰乳とを反応させ、炭酸カルシウムを得る。二酸化炭素を吸収し分離再生可能な吸収液を用いることで、この製造方法は、二酸化炭素濃度を高めた気体を容易に得ることができる。
【0066】
この製造方法は、加熱により、二酸化炭素リッチ溶液から二酸化炭素を分離再生する。この加熱に、石灰石を加熱する熱が利用されている。これにより、この製造方法は、省エネに寄与する。
【0067】
この製造方法では、吸収液としてアミン溶液が用いられている。アミン溶液では、二酸化炭素を分離再生する温度は、約120℃である。この温度は、焼成室4Aの温度に比べ低い。この製造方法は、石灰石を加熱することにより生じる廃熱を有効に利用できる。また、二酸化炭素分離器38には、タービン36Bに使用された後の蒸気の熱が用いられてよい。
【0068】
この製造装置32では、加熱管36Aで加熱された蒸気が、二酸化炭素分離器38に送られているが、これに限定されない。二酸化炭素分離器38は、この蒸気に代えて他の熱源を用いてもよい。例えば、二酸化炭素分離器38は、加熱管36Aとは別に設けられ加熱器34の燃焼室34Aに配置される他の加熱管を備えてもよい。また、二酸化炭素分離器38は、電気ヒータを備えてもよい。
【0069】
この製造装置32は、発電装置36と二酸化炭素分離器38とを備えたが、いずれか一方を備えてもよい。
【0070】
また、図2の製造装置24が、発電装置36と二酸化炭素分離器38との両方又はいずれか一方を備えてもよい。製造装置24では、水素を燃料として燃焼するバーナー30が灰石を加熱する。二酸化炭素分離器38を備える製造装置24では、この加熱によって生じた二酸化炭素を含む気体が二酸化炭素分離器38に送られる。水素燃料を燃焼させるため、この気体における二酸化炭素濃度は低い。この気体は、二酸化炭素分離器38の反応効率を低下させ、また、生成槽12での反応効率を低下させる。この観点から、二酸化炭素分離器38を備える製造装置24は、化石燃料を燃焼させる他のバーナーを備えてもよい。バーナー30の燃焼と他のバーナーの燃焼とを切替えることで、灰石を加熱することで生じる二酸化炭素の量が調整されてもよい。なお、バーナー30が、水素燃料と化石燃料とを切替え可能であってもよい。
【0071】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0072】
[項目1]
化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、前記石灰石を加熱し、前記石灰石から生石灰を得、
前記生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、
前記石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得る、
炭酸カルシウムの製造方法。
【0073】
[項目2]
焼成炉内で水素を燃焼させて石灰石を加熱し、石灰石から生石灰を得る、項目1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0074】
[項目3]
前記焼成炉内の温度と二酸化炭素濃度とを測り、前記温度と前記二酸化炭素濃度とに基づいて加熱熱量を制御しつつ、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、項目1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0075】
[項目4]
前記焼成炉内の温度が700℃以下の状態で、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、項目1から3のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0076】
[項目5]
前記石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体の、二酸化炭素濃度を高め、
二酸化炭素濃度を高めた前記気体の前記二酸化炭素と前記石灰乳とを反応させ前記炭酸カルシウムを得る、項目1から4のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0077】
[項目6]
前記石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体を吸収液に接触させ吸収液に前記二酸化炭素を吸収させて二酸化炭素リッチ溶液を得、
前記二酸化炭素リッチ溶液を加熱し前記二酸化炭素リッチ溶液から二酸化炭素を分離再生し、
分離再生した前記二酸化炭素と前記石灰乳とを反応させ前記炭酸カルシウムを得る、項目5に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【0078】
[項目7]
石灰石が投入される焼成炉と、化石燃料の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の前記石灰石を曝すことなしに前記石灰石を加熱する加熱器と
を備える、炭酸カルシウム製造装置。
【0079】
[項目8]
前記加熱器が前記燃焼炉内で水素を燃焼させる、項目7に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【0080】
[項目9]
焼成炉内の温度を検知する温度センサと、
焼成炉内の二酸化炭素濃度を検知する濃度センサと、
温度と二酸化炭素濃度とに基づいて加熱器の加熱熱量を制御する制御装置と
を備える、項目7又は8に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【0081】
[項目10]
前記石灰石を加熱する熱で発電する発電装置を備える、項目7から9のいずれかに記載の炭酸カルシウム製造装置。
【0082】
[項目11]
前記石灰石を加熱する熱で水を加熱し蒸気を得る加熱管と、
前記蒸気で回転する羽根車を備えるタービンと、
前記羽根車の回転で発電する発電機と
を備える、項目10に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【産業上の利用可能性】
【0083】
前述の炭酸カルシウムの製造方法は、石灰石から生石灰を得る工程を含む製造方法に広く適用できる。
【符号の説明】
【0084】
2、24、32・・・炭酸カルシウム製造装置
4、26・・・焼成炉
4A、26A・・・焼成室(焼成炉内)
6、30、34・・・加熱器
14・・・温度センサ
16・・・濃度センサ
18・・・風量調整器
20・・・制御装置
36・・・発電装置
38・・・二酸化炭素分離器
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-10-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に焼成炉が配置されており、前記燃焼室内での燃焼により生じる二酸化炭素に前記焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、前記石灰石を加熱し、前記石灰石から生石灰を得、
前記生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、
前記石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得る、
炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項2】
前記焼成炉内で水素を燃焼させて前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項3】
前記焼成炉内の温度と二酸化炭素濃度とを測り、前記温度と前記二酸化炭素濃度とに基づいて加熱熱量を制御しつつ、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】
前記焼成炉内の温度が700℃以下の状態で、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1から3のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項5】
前記石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体の、二酸化炭素濃度を高め、
二酸化炭素濃度を高めた前記気体の前記二酸化炭素と前記石灰乳とを反応させ前記炭酸カルシウムを得る、請求項1から4のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項6】
燃焼室内に配置され、石灰石が投入される焼成炉と、前記燃焼室内に配置される発熱器を備え、前記発熱器の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の前記石灰石を曝すことなしに前記石灰石を加熱する加熱器と
を備える、炭酸カルシウム製造装置。
【請求項7】
前記加熱器が前記燃焼炉内で水素を燃焼させる、請求項6に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【請求項8】
前記石灰石を加熱する熱で発電する発電装置を備える、請求項6又は7に記載の炭酸カルシウム製造装置
【手続補正書】
【提出日】2023-02-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に焼成炉が配置されており、前記燃焼室内での燃焼により生じる二酸化炭素に前記焼成炉内の石灰石を曝すことなしに、前記石灰石を加熱し、前記石灰石から生石灰を得、
前記生石灰と水とを反応させ石灰乳を得、
前記石灰乳と二酸化炭素とを反応させ炭酸カルシウムを得、
前記石灰石から前記生石灰を得る工程において、
前記焼成炉内の二酸化炭素濃度を測り、
前記二酸化炭素濃度に基づいて前記焼成炉内の設定温度を決定し、
前記焼成炉内の温度が前記設定温度に維持される、炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項2】
前記焼成炉内で水素を燃焼させて前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項3】
前記焼成炉内の温度が700℃以下の状態で、前記焼成炉内で前記石灰石を加熱し、前記石灰石から前記生石灰を得る、請求項1又は2に記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】
前記石灰石を加熱し生じる二酸化炭素を含む気体の、二酸化炭素濃度を高め、
二酸化炭素濃度を高めた前記気体の前記二酸化炭素と前記石灰乳とを反応させ前記炭酸カルシウムを得る、請求項1から3のいずれかに記載の炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項5】
燃焼室内に配置され、石灰石が投入される焼成炉と、前記燃焼室内に配置される発熱器を備え、前記発熱器の燃焼により生じる二酸化炭素に焼成炉内の前記石灰石を曝すことなしに、前記焼成炉内の二酸化炭素濃度に基づいて決定される前記焼成炉内の設定温度に、前記焼成炉内の温度が維持される様に、前記石灰石を加熱する加熱器と
を備える、炭酸カルシウム製造装置。
【請求項6】
前記加熱器が前記燃焼炉内で水素を燃焼させる、請求項5に記載の炭酸カルシウム製造装置。
【請求項7】
前記石灰石を加熱する熱で発電する発電装置を備える、請求項5又は6に記載の炭酸カルシウム製造装置。