(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003889
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】支持台
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20230110BHJP
A47B 21/04 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G06F1/16 313A
A47B21/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105254
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 潤
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕二
(72)【発明者】
【氏名】西 大貴
(57)【要約】
【課題】家具の天板上に情報処理端末を配置しつつ、同時に使用する他の道具類を載せ置くスペースを必要に応じて確保できるような、好適な支持台を実現する。
【解決手段】天板付家具の天板上に配置され、情報処理端末5を載置して当該情報処理端末を所定の角度に支えることができる支持台本体1と、前記支持台本体1の端縁よりも延出するとともに、その基端側をヒンジ431として上方に折り返し前記支持台本体1に支持させた情報処理端末の少なくとも一部に覆い被さることができるパッド4とを具備する支持台0を構成した。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板付家具の天板上に配置され、情報処理端末を載置して当該情報処理端末を支えることができる支持台本体と、
前記支持台本体の端縁よりも延出するとともに、その基端側をヒンジとして上方に折り返し前記支持台本体に支持させた情報処理端末の少なくとも一部に覆い被さることができるパッドと
を具備する支持台。
【請求項2】
前記支持台本体は、前記情報処理端末を前記天板付家具の天板の上面に対し非平行に傾斜した姿勢に支えることができ、
前記パッドは、前記天板付家具の天板の上面に対し略平行に延出する請求項1記載の支持台。
【請求項3】
前記支持台本体は、前記天板付家具の天板の上面に対し非平行に傾斜した複数の角度の何れかを選択してその角度に前記情報処理端末を支えることができる請求項2記載の支持台。
【請求項4】
前記パッドを前記支持台本体の内部に収納可能であり、支持台本体の外部に引き出し可能である請求項1、2または3記載の支持台。
【請求項5】
前記パッドが、
当該パッドを前記支持台本体から最大限に引き出したときに支持台本体の外部に露出する折曲可能なヒンジとなる可撓部を備え、
かつ前記パッドにおける前記可撓部よりも手前方にある主部の剛性が可撓部のそれよりも大きく、
前記可撓部をヒンジとして後上方に折り返し前記主部を前記支持台本体に支持させた情報処理端末の少なくとも一部に覆い被さることができる請求項4記載の支持台。
【請求項6】
前記パッドの後端部に、前記支持台本体に係合して当該パッドの支持台本体からの脱出を抑止するストッパが設けられている請求項4または5記載の支持台。
【請求項7】
前記パッドにおける、前記支持台本体に支持させた情報処理端末に面する箇所に、情報処理端末に接するクッション材が設けられる請求項1、2、3、4、5または6記載の支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートブック型コンピュータやタブレット型コンピュータ、スマートフォン等の情報処理端末を支持するために用いられる支持台に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、在宅での執務(いわゆるテレワーク)やビデオ会議、ウェブセミナーまたは学校の授業のオンラインでの受講の機会が増えている。その際には、自宅の部屋に調えられたデスクやテーブル等の家具の天板上に情報処理端末、典型的にはノートブック型のパーソナルコンピュータを載せ置き、これを使用して映像、音声、テキストその他の情報を視聴し享受することになる。
【0003】
自宅に配設されているデスク等の家具は、情報処理端末を使用する長時間の作業に向いているとは限らない。自宅の家具の天板の高さは、情報処理端末を載せ置いて操作するのに最適でないかもしれない。そこで、天板の上面よりも高い位置に情報処理端末を支持することのできる簡易な支持台が提案されている(例えば、下記先行技術文献を参照)。この種の支持台を用いれば、ユーザの身体にとって負担の大きい体勢をとり続けることが回避され、疲労の軽減を期待できる。
【0004】
ところで、一般的に、自宅の家具の天板の面積、特に前後(奥行)寸法は、比較的規模の大きいオフィス等に配設されるものに比して狭小である。一方、在宅での執務や授業の受講等では、情報処理端末を使用すると同時に、ノートやメモ帳、レポート用紙等に筆記を行うような作業を進行することが少なくない。そのような作業を並行するためには、ノート類を載置できるスペースを確保する必要がある。
【0005】
だが、自宅では、家具の後端を部屋の壁に隣接させていることが多い。従って、家具の天板上で情報処理端末を後方に遠ざける、即ちユーザから見て奥方に追いやろうとしても、情報処理端末が部屋の壁と干渉することによる限界がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“手軽にスタンディングワークを取り入れられるPCスタンド「パタスタ」を発売 ~在宅ワーク時に自宅デスクの上にさっと展開するだけ~”、[online]、令和3年6月10日、株式会社カウネット、[令和3年6月17日検索]、インターネット<URL:https://company.kaunet.com/wp/wp-content/uploads/2021/06/cd0f231f6d9aed8b2174aa448cf0500c.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、家具の天板(または、棚)上に情報処理端末を配置しつつ、同時に使用する他の道具類を載せ置くスペースを必要に応じて確保できるような、好適な支持台を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、天板付家具の天板上に配置され、情報処理端末を載置して当該情報処理端末を支えることができる支持台本体と、前記支持台本体の端縁よりも延出するとともに、その基端側をヒンジとして上方に折り返し前記支持台本体に支持させた情報処理端末の少なくとも一部に覆い被さることができるパッドとを具備する支持台を構成した。
【0009】
前記支持台本体は、前記情報処理端末を前記天板付家具の天板の上面に対し非平行に傾斜した姿勢に支えることができることが好ましい。その場合において、前記パッドは、前記天板付家具の天板の上面に対し略平行に延出する。
【0010】
前記支持台本体は、前記天板付家具の天板の上面に対し非平行に傾斜した複数の角度の何れかを選択してその角度に前記情報処理端末を支えることができることが好ましい。
【0011】
前記パッドを前記支持台本体の内部に収納可能であり、また支持台本体の外部に引き出し可能であるならば、パッドを利用しないときや本支持台を運搬するとき等に支持台全体の寸法を縮小することができる。
【0012】
前記パッドは、当該パッドを前記支持台本体から最大限に引き出したときに支持台本体の外部に露出する折曲可能なヒンジとなる可撓部を備え、かつ前記パッドにおける前記可撓部よりも手前方にある主部の剛性が可撓部のそれよりも大きく、前記可撓部をヒンジとして後上方に折り返し前記主部を前記支持台本体に支持させた情報処理端末の少なくとも一部に覆い被さることができるものとすることが好ましい。
【0013】
前記パッドの後端部に、前記支持台本体に係合して当該パッドの支持台本体からの脱出を抑止するストッパが設けられていれば、引き出したパッドが支持台本体から脱落せず、利便性がより高まる。
【0014】
加えて、前記パッドにおける、前記支持台本体に支持させた情報処理端末に面する箇所に、情報処理端末に接するクッション材が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、家具の天板上に情報処理端末を配置しつつ、同時に使用する他の道具類を載せ置くスペースを必要に応じて確保できるような、好適な支持台を具現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態の支持台の倒伏姿勢を示す斜視図。
【
図2】同実施形態の支持台の倒伏姿勢を示す側面図。
【
図3】同実施形態の支持台の第一の起立姿勢を示す斜視図。
【
図4】同実施形態の支持台の第一の起立姿勢を示す側面図。
【
図5】同実施形態の支持台の第一の起立姿勢を示す、左右方向の中央で切断した側断面図。
【
図6】同実施形態の支持台の第二の起立姿勢を示す斜視図。
【
図7】同実施形態の支持台の第二の起立姿勢を示す側面図。
【
図8】同実施形態の支持台の第二の起立姿勢を示す、左右方向の中央で切断した側断面図。
【
図9】同実施形態の支持台のベース部及びパッドを示す平断面図。
【
図10】同実施形態の支持台のパッドを後上方に折り返した状態を示す、左右方向の中央で切断した側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の支持台0は、情報処理端末5、より具体的にはノートブック型コンピュータやタブレット型コンピュータ、スマートフォン、ビデオゲーム装置等を使用する際に、これを載せて支える用途に用いられる。
【0018】
対象となる情報処理端末5は、典型的にはノートブック型のパーソナルコンピュータである。周知の通り、ノートブック型コンピュータ5は、キーボード及びトラックパッド等のポインティングデバイスを有する本体51と、この本体51に対して開閉可能なディスプレイ52とを備えている。
【0019】
本支持台0を、デスクやテーブル、ワゴン、カート等といった天板付家具の天板(または、棚)上に置き、さらに本支持台0の上に情報処理端末5を載置することで、当該情報処理端末5を、家具の天板に対して適宜の角度、姿勢に支持することが可能である。本支持台0は、情報処理端末5に予め組み付けられるものではなく、情報処理端末5から独立しており、特定の個体でなく様々な情報処理端末5に適用することができる汎用性を有する。本支持台0は、携行して運搬することが容易な薄型かつ軽量のものである。
【0020】
図1ないし
図9に示すように、本支持台0は、情報処理端末5を載置して支持できる支持台本体1と、情報処理端末5以外の他の道具を載置して支持できるパッド4とを具備する。パッド4は、必要に応じて支持台本体1の内部に収納可能であり、また支持台本体1の外部に引き出し可能である。
【0021】
支持台本体1は、その下面が家具の天板の上面に直に接するベース部2と、当該ベース部2の上面に設けられベース部2の上面よりも高位置に浮上し得る支持部3とを備え、これらベース部2及び支持部3により情報処理端末5を下方から支持する。ベース部2の上面は、ベース部2の下面、ひいてはこれを載せる家具の天板の上面と略平行である。
【0022】
ベース部2は、内部が中空で、その内部空間が前方のスロット21を介して外部に連通し、上下左右及び後方の五面が閉塞している、極薄い平板な箱形をなす。このベース部2の内部空間に、パッド4が収容される。ベース部2の上面側の前端縁は、幾分後方に凹むように切り欠かれている。その前端縁の中央には、後方に突き出すように設けられた舌状の保持部22が存在している。
【0023】
ベース部2の構成材料は、樹脂シート等である。例えば、上下の面板を硬質のポリプロピレンシートにより作製し、前端、側端及び後端の壁を硬質のポリエチレンフォーム(発泡体)により作製する。ベース部2は、情報処理端末5を載せ置いても容易に変形しない剛性を有する。
【0024】
支持部3は、板状材を折り曲げ、その前後の部分311、321、33をベース部2の上面に縫着、溶着、接着等して固定することにより形成される。
【0025】
支持部3は、左右両側の部位と、それら両側部位の間の中央部位とに、一部分割されている。支持部3の左右両側部位は、前側接合部311と、前側接合部311に連なる可撓部312と、可撓部312に連なる傾斜台部313と、傾斜台部313に連なる可撓部314と、可撓部314に連なる支部315と、支部315に連なる可撓部316と、可撓部316に連なる支部317と、支部317に連なる可撓部318と、可撓部318に連なる支部319と、支部319に連なる可撓部310と、可撓部に連なる後側接合部33とを有する。
【0026】
前側接合部311は、ベース部2の上面の前後方向に沿った中間の位置に固定され、後側接合部33は、ベース部2の上面の後方の位置に固定される。対して、可撓部312、傾斜台部313、可撓部314、支部315、可撓部316、支部317、可撓部318、支部319及び可撓部310は、ベース部2に固定されず、ベース部2から遊離している。支部315の前後寸法は、支部319の前後寸法に略等しいが、支部317の前後寸法はそれよりも小さい。傾斜台部313の前後寸法は、それら支部315、317、319の前後寸法よりも大きい。
【0027】
支持部3の中央部位は、前側接合部321と、前側接合部321に連なる可撓部322と、可撓部322に連なる支部323と、支部323に連なる可撓部324と、可撓部324に連なる支部325と、支部325に連なる可撓部326と、可撓部326に連なる支部315と、支部315に連なる可撓部316と、可撓部316に連なる支部317と、支部317に連なる可撓部318と、可撓部318に連なる支部319と、支部319に連なる可撓部310と、可撓部に連なる後側接合部33とを有する。
【0028】
前側接合部321は、ベース部2の上面の前後方向に沿った中間の位置に固定され、後側接合部33は、ベース部2の上面の後方の位置に固定される。対して、可撓部322、支部323、可撓部324、支部325及び可撓部326、支部315、可撓部316、支部317、可撓部318、支部319、可撓部310及び後側接合部33は、ベース部2に固定されず、ベース部2から遊離している。前側接合部321、可撓部322、支部323、可撓部324、支部325及び可撓部326は、支持部3の左右両側部位の前側接合部311、可撓部312、傾斜台部313及び可撓部314から切り離されている。だが、可撓部316、支部317、可撓部318、支部319、可撓部310及び後側接合部33は、支持部3の左右幅の全域に拡張して連続しており、支持部3の左右両側部位のそれらと一体化した共通のものとなっている。
【0029】
支持部3の構成材料は、樹脂シート等である。例えば、上下面を軟質のポリウレタンシート(表面を皮革に似せた人工レザー素材であることがある)により作製するとともに、傾斜台部313、支部323、325、315、317、319及び後側接合部33に芯材として硬質のポリプロピレンシートや板紙を内蔵する。これにより、傾斜台部313、支部323、325、315、317、319及び後側接合部33の厚みそして剛性が、可撓部312、314、322、324、326、316、318、310のそれよりも大きくなる。つまり、可撓部312、314、322、324、326、316、318、310は曲げ変形し易くヒンジとして機能するが、傾斜台部313、支部323、325、315、317、319及び後側接合部33は曲げ変形し難い。
【0030】
支持部3は、その前側接合部311、321及び後側接合部33がベース部2の上面に接合し、前後両方ともにベース部2から分離不能となっている。詳記すれば、支持部3の左右両側部位の傾斜台部313の前縁側が、可撓部312及び前側接合部311を介してベース部2の上面分離不能に連結しており、傾斜台部313の後縁側が、可撓部314、支部315、可撓部316、支部317、可撓部318、支部319、可撓部310及び後側接合部33を介してベース部2の上面に分離不能に連結している。よって、支持部3の左右両側部位において、前側接合部311、可撓部312、傾斜台部313、可撓部314、支部315、可撓部316、支部317、可撓部318、支部319、可撓部310及び後側接合部33が、ベース部2とともに側面視閉じたループ状をなすことになる。支部315、可撓部316、支部317、可撓部318及び支部319は、傾斜台部313を可撓部314、310を介してベース部2に連結する脚部となる。
【0031】
なおかつ、傾斜台部313の後縁側は、支持部3の左右両側部位の可撓部314並びに中央部位の可撓部326、支部325、可撓部324、支部323、可撓部322及び前側接合部321を介してベース部2の上面に分離不能に連結していると言える。従って、前側接合部321、可撓部322、支部323、可撓部324、支部325、可撓部326、314、傾斜台部313、可撓部312及び前側接合部311もまた、ベース部2とともに側面視閉じたループ状をなしている。支部325、可撓部324及び支部323は、傾斜台部313を可撓部314、326、322を介してベース部2に連結する脚部となる。
【0032】
支持部3は、その傾斜台部のベース部2に対する角度または姿勢を、複数に変化させることができる。
図1及び
図2は、支持部3を折り畳みその傾斜台部をベース部2に対し略平行としてベース部2に近接させた倒伏姿勢を示している。この状態では、支持部3が折り畳まれることになり、支持台0全体として概ね平板状となる。
【0033】
これに対し、
図3ないし
図5、
図6ないし
図8はそれぞれ、支持部3の傾斜台部をベース部2に対して側面視後上方に90°以上回動させ、傾斜台部をベース部2に対し非平行に傾斜させた複数の起立姿勢を示している。
図3ないし
図5に示す第一の起立姿勢では、傾斜台部がベース部2に対してなす角度(鋭角)αが約25°となる。つまり、第一の起立姿勢は、傾斜台部を上記の倒伏姿勢から約155°後上方に回動させた状態である。このとき、支持部3の左右両側部位の支部315が後下方に傾倒し、かつこれに連なる支部317、319が後側接合部33の直上に重なる。それら傾斜台部313、支部315及び支部317、319は、側面視三角形状の構造をなす。後側接合部33と支部317、319とのうち一方には磁石が内蔵され、他方にはこれと磁着する金属板または磁石が内蔵されており、後側接合部33と支部317、319とは互いに引き合う。また、同時に、支持部3の中央部位の支部323がベース部2の上面に近い姿勢に倒れながら、これに連なる支部325がベース部2の上面に対し略垂直な姿勢をとる。総じて、傾斜台部313が第一の角度αに安定的に維持される。
【0034】
支持部3が第一の起立姿勢をとる状態で、情報処理端末5の後端部を傾斜台部313の上端部(及び/または、略直立する支部325の上端部、若しくは可撓部314、326)に載置するとともに、同情報処理端末5の前端部をベース部2の上面の前方部に載置すれば、当該情報処理端末5をベース部2の上面に対して非平行に、ひいては家具の天板の上面に対して非平行に傾斜した姿勢に支えることができる。
【0035】
図6ないし
図8に示す第二の起立姿勢では、傾斜台部がベース部2に対してなす角度(鋭角)βが約45°となる。つまり、第二の起立姿勢は、傾斜台部を上記の倒伏姿勢から約135°後上方に回動させた状態である。このときには、支持部3の左右両側部位の支部315がベース部2の上面に対し略垂直な姿勢をとり、これに連なる支部317が支部319の直上に重なり、さらに支部319が後側接合部33の直上に重なる。それら傾斜台部313、支部315及び支部317、319は、側面視三角形状の構造をなす。既に述べた通り、後側接合部33と支部317、319とのうち一方には磁石が内蔵され、他方にはこれと磁着する金属板または磁石が内蔵されており、後側接合部33と支部317、319とは互いに引き合う。しかも、第二の起立姿勢では、支持部3の中央部位の支部325が、支部315に添うように略垂直な姿勢をとり、支部315と支部325とが二重の壁のようになって構造的な強度を増す。総じて、傾斜台部313が第二の角度βに安定的に維持される。
【0036】
支持部3が第二の起立姿勢をとる状態で、情報処理端末5の後端部を傾斜台部313の上端部(及び/または、略直立する支部315の上端部、若しくは可撓部314、326)に載置するとともに、同情報処理端末5の前端部をベース部2の上面の前方部に載置すれば、情報処理端末5をベース部2の上面に対して非平行に、ひいては家具の天板の上面に対して非平行に傾斜した姿勢に支えることができる。
【0037】
なお、ベース部2の上面の前端縁に設けられている保持部22は、傾けた情報処理端末5の前端部に掛けて滑り止めとするために役立つ。
【0038】
支持部3が
図1及び
図2に示している倒伏姿勢をとる状態でも、支持部3の上に情報処理端末5を載置してこれを支えることは可能である。そのときには、情報処理端末5が、ベース部2の上面及び家具の天板の上面に対して略平行な姿勢となる。
【0039】
ここで総括すると、本実施形態の支持台0は、天板付家具の天板上に配置されるベース部2と、ベース部2に支持されており情報処理端末5を載置して当該情報処理端末5を所定の角度に支えることができる支持台本体1とを具備している。支持台本体1は、天板付家具の天板上に配置されるベース部2に折曲可能なヒンジとなる可撓部312を介して連結し、ベース部2に対し非平行に傾斜した姿勢に起立できる傾斜台部313と、ベース部2及び傾斜台部313の各々に折曲可能なヒンジとなる可撓部を介して連結する脚部(支持部3の左右両側部位における支部315、可撓部316、支部317、可撓部318及び支部319が、可撓部310、314を介してベース部2及び傾斜台部313の各々に連結する脚部。並びに、支持部3の中央部位における支部325、可撓部324及び支部323が、可撓部322、326、314を介してベース部2及び傾斜台部313の各々に連結する脚部)とを備える。ベース部2、支持台本体1の傾斜台部313及び上記の脚部は側面視閉じたループ状をなし、傾斜台部313がベース部2に対し非平行に傾斜した角度α、βを維持でき、支持台本体1が情報処理端末5に下方から接してこれを支えることができる。
【0040】
傾斜台部313は、ベース部2に対し非平行に傾斜した複数の角度α、βの何れかを選択してその角度α、βを維持できる。しかも、その何れの角度α、βにおいても、支持台本体1の同一部位(即ち、傾斜台部313の上端部、及び/または、略直立する支部315の上端部、若しくは可撓部314、326)が情報処理端末5に下方から接してこれを支えることができる。
【0041】
上記の脚部は、折曲可能なヒンジとなる可撓部(支持部3の左右両側部位における可撓部316、318。並びに、支持部3の中央部位における可撓部324)を介して連結する複数の支部(支持部3の左右両側部位における支部315、317、319。並びに、支持部3の中央部位における支部325、323)に分かたれている。それら各支部の剛性は、当該可撓部のそれよりも大きい。その上で、傾斜台部313をある角度α、βに位置付けた状態で、脚部における傾斜台部313に連なる支部325、315が、ベース部2に対し略垂直となる。即ち、第一の角度αの姿勢では、支部325が荷重を支え得る略垂直の姿勢となり、第一の角度αとが異なる第二の角度βの姿勢では、支部325とは異なる支部315が荷重を支え得る略垂直の姿勢になる。これにより、傾斜台部313を複数の角度α、βの何れの姿勢としても、情報処理端末5を支える構造が安定化する。
【0042】
パッド4は、支持台本体1のベース部2の内部空間に収納可能な板状体である。パッド4は、支持台本体1に対して固定されておらず、前後にスライドして進退し、支持台本体1から出し入れすることが可能である。パッド4は、主部41と、主部41に連なる可撓部42と、可撓部42に連なる基端部43とを有する。
【0043】
パッド4の構成材料は、樹脂シート等である。例えば、上下面を軟質のポリウレタンシート(表面を皮革に似せた人工レザー素材であることがある)により作製するとともに、主部41及び基端部43に芯材として硬質のポリプロピレンシートや板紙を内蔵する。これにより、パッド4の主部41及び基端部43の厚みそして剛性が、可撓部42のそれよりも大きくなる。つまり、可撓部42は曲げ変形し易くヒンジとして機能するが、主部41及び基端部43は曲げ変形し難い。
【0044】
図9に示すように、パッド4の左右幅寸法は、基端部43の後端部分を除き、ベース部2の前端に開設しているスロット21の左右幅に略等しいかそれよりも若干小さく、スロット21を通過することができる。翻って、基端部43の後端部分431は、その左右幅が主部41及び可撓部42よりも外側方に張り出すように、つまりはスロット21の左右幅よりも大きく拡張している。この拡張した部分431は、パッド4を支持台本体1のベース部2から最大限に引き出したときにスロット21の左右側縁に衝突するストッパとなり、パッド4がベース部2から完全に脱出してしまうことを抑止する。
【0045】
パッド4の上下面は、支持台本体1のベース部2の上下面に対して略平行に、ひいては家具の天板の上面に対して略平行に拡張している。
図3ないし
図9に示すように、パッド4をベース部2から引き出せば、このパッド4の主部の上面に、ノートやメモ帳、あるいはマウス等の道具を載せ置くことができる。即ち、パッド4は、ユーザから見て(情報処理端末5を支持する)支持台本体1の手前側に、情報処理端末5以外の道具を載せ置く拡張的な(または、補助的な)天板として機能し得る。
【0046】
パッド4を支持台本体1から最大限に引き出すと、その可撓部42が支持台本体1の前端縁よりも前方に進出して露出する。この状態では、パッド4を、その後端側にある可撓部42をヒンジとして、後上方に折り返すことが可能である。さすれば、パッド4の主部41を、
図10に示すように、支持台本体1に支持させた情報処理端末5の少なくとも一部、典型的にはノートブック型コンピュータの本体51に覆い被せることができる。このときのパッド4は、情報処理端末5を保護するカバーとして機能し得る。即ち、当該情報処理端末5に上から埃が堆積したり、飲料等の液体がかかったりすることを防止できる。
【0047】
のみならず、情報処理端末5に覆い被せたパッド4の主部41の上にノートやメモ帳等を置いて、筆記作業を行うようなことも可能となる。情報処理端末5がノードブック型コンピュータ等である場合、パッド4に載せたノート類がキーボードやトラックパッド等に接触せずに済むので、当該情報処理端末5を誤操作することが回避される。情報処理端末5のディスプレイ52に表示される情報を視聴または閲覧しながら筆記を行うような状況に有用である。
【0048】
但し、パッド4を完全に支持台本体1から引き出すと、その過半部が家具の天板に支持されていない限り、天板からはみ出したパッド4が垂れ下がることになるだろう。引き出したパッド4を拡張的な天板として使用したいのであれば、パッド4を支持台本体1から完全には引き出さず中途半端に引き出す(可撓部42を支持台本体1内に収めておく)ようにするか、完全に引き出したとしてもパッド4が家具の天板から大きくはみ出さないようにするようにする必要がある。
【0049】
本実施形態では、支持台本体1により、情報処理端末5を天板付家具の天板の上面に対し非平行に傾斜した姿勢に支えることが可能である。情報処理端末5、例えばノートブック型コンピュータの本体51を、家具の天板の上面に平行な水平姿勢ではなく、それよりも起立した傾斜姿勢で支えることができるので、そのディスプレイ52をユーザの視線の高さに近づけたり、情報処理端末5が家具の天板上において占有する前後方向に沿った占有幅を縮小したりすることができる。それでいて、パッド4は、天板付家具の天板の上面に対し略平行に延出し、略水平姿勢をとり得るので、パッド4上にノート類やマウス等の道具を載せ置きこれを用いた作業を並行するのに向く。
【0050】
パッド4は、支持台本体1の内部に収納可能であり、支持台本体1の外部に引き出し可能である。パッド4が不要な場合には、これを支持台本体1内に収容してしまえばよい。また、本支持台0の運搬時に、支持台0全体の寸法を縮小でき、可搬性が良化する。
【0051】
前記パッド4の後端部(可撓部42よりも後方に位置する基端部43)に、支持台本体1に係合して当該パッド4の支持台本体1からの脱出を抑止するストッパ431が設けられているので、パッド4が支持台本体1から脱落せず、利便性がより高まる。
【0052】
因みに、
図10に示すように、パッド4における、支持台本体1に支持させた情報処理端末5に面する箇所に、情報処理端末5に接するクッション材23が設けられることがある。クッション材23は、情報処理端末5の上表面に接したときに、その上表面を傷つけないような素材で作製される。クッション材23は、例えば、上下厚みが薄い小形のゴム等である。クッション材23は、予めパッド4に取り付けられていてもよいし、ユーザが必要に応じ後付けで、パッド4における情報処理端末5に臨む側(支持台本体1から引き出した段階で上を向く側)の面の前端側の隅角部や端部等に、貼付または接着等して取り付けるようにしてもよい。
【0053】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
0…支持台
1…支持台本体
2…ベース部
3…支持部
313…傾斜台部
4…パッド
5…情報処理端末
α、β…傾斜台部がとり得る複数の角度