(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038917
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】作業機械用リンク装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/38 20060101AFI20230310BHJP
E02F 9/14 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
E02F3/38 A
E02F9/14 A
E02F3/38 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022134122
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】21195300.5
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520485941
【氏名又は名称】ボルボ・コンストラクション・イクイップメント・アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】VOLVO CONSTRUCTION EQUIPMENT AB
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・ウネベック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、作業器具に連結可能な作業機械用リンク装置に関する。
【解決手段】該リンク装置(10)は、長手方向中心軸(L)に沿って延び、作業器具を昇降させるように構成されたシングルブーム昇降アーム(30)と、シングルブーム昇降アームに対して作業器具を傾けるように構成されている平行に配置された2つの油圧駆動アーム(42、52)を有する傾動装置(40)とを備える。2つの油圧駆動アームの各々は、別々の油圧傾動シリンダ(62、64)によって油圧的に駆動される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業器具(20)に連結可能な作業機械用リンク装置(10)であって、
長手方向中心軸(L)に沿って延び、前記作業器具を昇降させるように構成されたシングルブーム昇降アーム(30)と、
前記シングルブーム昇降アームに対して前記作業器具を傾けるように構成されている平行に配置された2つの油圧駆動アーム(42、52)を有する傾動装置(40)とを備え、
前記2つの油圧駆動アームの各々が別々の油圧傾動シリンダ(62、64)によって油圧的に駆動されるリンク装置。
【請求項2】
前記2つの油圧駆動アームが、前記長手方向中心軸を横切る方向(T)において、少なくとも部分的に前記シングルブーム昇降アームの外側に配置される、請求項1に記載のリンク装置。
【請求項3】
前記油圧傾動シリンダが、前記長手方向中心軸を横切る方向において、少なくとも部分的に前記シングルブーム昇降アームの外側に配置される、請求項1または2に記載のリンク装置。
【請求項4】
前記油圧傾動シリンダが、前記シングルブーム昇降アームの前記長手方向中心軸の鉛直方向下方に配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載のリンク装置。
【請求項5】
前記2つの油圧駆動アームの各々が、前記作業器具に連結可能な第1の端(43、53)と、対応する前記油圧傾動シリンダに連結される第2の端(44、54)とを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のリンク装置。
【請求項6】
前記2つの油圧駆動アームの各々が、それぞれの前記第1の端および前記第2の端との間に配置された中間部(45、55)を備え、各中間部が、前記シングルブーム昇降アームに回転可能に結合される、請求項5に記載のリンク装置。
【請求項7】
前記中間部が、第1の中間部であり、前記2つの油圧駆動アームの各々が、それぞれの前記第1の端と前記第1の中間部との間に配置された第2の中間部(46、56)を備え、
前記第2の中間部が、前記シングルブーム昇降アームに回転可能に結合される、請求項6に記載のリンク装置。
【請求項8】
前記シングルブーム昇降アームが、油圧昇降シリンダによって油圧的に駆動される、請求項1から7のいずれか1項に記載のリンク装置。
【請求項9】
前記油圧昇降シリンダが、少なくとも部分的に前記油圧傾動シリンダ(32)と同じ水平面に配置される、請求項8に記載のリンク装置。
【請求項10】
前記油圧駆動アームの各々が、互いに枢動可能に相互連結された少なくとも3つの直線状副部を備えたリンク式アームである、請求項1から9のいずれか1項に記載のリンク装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のリンク装置を備えた作業機械(1)。
【請求項12】
前記シングルブーム昇降アームを枢動可能に連結する第1の取付部(5)を有するフレーム(3)を備え、
前記油圧傾動シリンダが、前記第1の取付部の鉛直方向下方で前記フレームに取り付けられる、請求項11に記載の作業機械。
【請求項13】
前記作業器具をさらに備えた、請求項11または12に記載の作業機械。
【請求項14】
前記作業機械はホイールローダである、請求項10から13のいずれか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の作業器具用リンク装置に関する。本発明はさらに、当該リンク装置を備えた、典型的にはホイールローダである作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械すなわち作業機械は、作業器具によって作業を行うように構成されている。例えば、作業機械は、積み荷(loads)を持ち上げ、移動させ、放出するように構成され得る。そのような作業機械の一例としては、例えばアーティキュレートホイールローダ等のホイールローダが挙げられる。
【0003】
ホイールローダは、通常、積み荷を扱うように構成されたバケット等の作業器具を備える。作業機械のフレームに対して作業器具を動かすために、作業機械はリンク装置を備える。リンク装置は、作業器具を昇降させるように構成された昇降アーム等の荷重支持構造体を備える。さらに、作業機械は、作業機械を様々な種類の作業器具に連結させるように構成されたある種のコネクタ手段、すなわちカプラを備えてもよい。
【0004】
リンク装置は、オペレータの運転室の前方かつ作業機械の中心に配置された大きな筐体を有するため、オペレータが作業器具を操作しようとする際に視線が遮られることになる。また、作業器具自体も視線妨害の一因となり得る。さらに、例えば作業器具を傾動させる等、作業器具を適切に操作するために、作業器具の適切なトルク配分と好適な調整に追加のアームやアクチュエータが必要となる場合があり、これがさらに視界を遮る一因となる。
【0005】
このように、運転者にとっての良好な視認性と作業器具の十分な機能性は、トレードオフの関係にある。したがって、当業界では改良されたリンク装置が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、リンク装置に関連して上述した欠点を少なくともある程度克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも第1の態様によれば、作業器具に連結可能な作業機械用リンク装置が提供される。リンク装置は、長手方向中心軸に沿って延び、作業器具を昇降させるように構成されたシングルブーム昇降アーム(single boom lifting arm)と、シングルブーム昇降アームに対して作業器具を傾けるように構成されており平行に配置された2つの油圧駆動アームを有する傾動装置とを備え、該2つの油圧駆動アームの各々が別々の油圧傾動シリンダによって油圧的に駆動される。
【0008】
これにより、作業器具に対するトルク配分と運転者の視認性に関連して改良されたリンク装置が提供される。さらに、当該リンク装置は、平行配置と低重量性(low weight)とを有利な方法で兼ね備えている。別の言い方をすれば、本リンク装置の構成は、シングルブーム昇降アームを用いる利点(例えば、あらゆる位置における良好な視認性及び低重量性)と、傾動装置用のそれぞれの油圧シリンダによって別々に油圧駆動される平行に配置された2つの油圧駆動アームを有する利点(例えば、トルク配分および平行配置)とを有する、リンク装置と作業器具との間の特定の配置構成をもたらす。リンク装置は、ブームローダ機構と呼ぶこともできる。作業器具は、典型的には、作業を行うように構成された器具又はアタッチメントであり、アタッチメント、または付属機器と呼ぶこともできる。
【0009】
2つの油圧駆動アームの各々がそれぞれの油圧傾動シリンダによって油圧駆動されるので、傾動装置も、別々の油圧シリンダによって油圧駆動されるように構成されていると言うことができる。
【0010】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、リンク装置は、連結器(カプラ)によって作業器具に連結可能である。リンク装置がカプラを備えてもよく、あるいは、作業器具がカプラを備えてもよい。カプラは、典型的には、シングルブーム昇降アームに対する第1の取付手段と、2つの油圧駆動アームの各々に対する第2の取付手段とを備える。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、カプラは、作業機械を様々なタイプの作業器具に連結するように構成される。
【0011】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧駆動アームは、長手方向中心軸を横切る方向において、少なくとも部分的にシングルブーム昇降アームの外側に配置される。
【0012】
これにより、別々の油圧シリンダによって別々に油圧駆動される平行に配置された2つの油圧駆動アームの構成の、トルク配分および平行配置に関連する利点がさらに向上する。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧駆動アームは、長手方向中心軸を横切る方向において、シングルブーム昇降アームの外側、例えば完全に外側に配置される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧駆動アームの各々は、それぞれの長手方向アーム軸に沿って延び、該2つの長手方向アーム軸は、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸に対して平行に、または少なくとも平行な垂直面に配置される。典型的には、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸は、2つの長手方向アーム軸の間に配置される。
【0013】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、シングルブーム昇降アームは、長手方向中心軸を挟んで両側に長手方向中心軸と同じ方向に延びる2つの横側面によって少なくとも部分的に画定され、2つの油圧駆動アームは、長手方向中心軸を挟んで両側の横側面の外側、または少なくとも部分的に外側に配置される。
【0014】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、油圧傾動シリンダは、長手方向中心軸を横切る方向において、少なくとも部分的にシングルブーム昇降アームの外側に配置される。
【0015】
これにより、別々の油圧シリンダによって別々に油圧駆動される平行に配置された2つの油圧駆動アームの構成の、トルク配分および平行配置に関連する利点がさらに向上する。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧傾動シリンダは、長手方向中心軸を横切る方向において、シングルブーム昇降アームの外側、例えば完全に外側に配置される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧傾動シリンダの各々は、対応する先に述べた長手方向アーム軸と同じ垂直面に延びる。したがって、2つの油圧傾動シリンダは、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸に対して平行に、または少なくとも平行な垂直面に配置されると言うことができる。典型的には、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸は、油圧傾動シリンダ同士の間に配置される。
【0016】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧傾動シリンダは、シングルブーム昇降アームの横側面の外側または少なくとも部分的に外側に、かつ、長手方向中心軸を挟んで両側に配置される。
【0017】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、油圧傾動シリンダは、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸の鉛直方向下方に配置される。
【0018】
油圧傾動シリンダのこのような配置は、傾動装置のトルク配分と平行配置を向上させる。さらに、油圧傾動シリンダがシングルブーム昇降アームの長手方向中心軸の鉛直方向下方に配置されることによって、運転者の視認性が改善される。
【0019】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧駆動アームの各々は、作業器具に連結可能な第1の端と、対応する油圧傾動シリンダに連結される第2の端を有する。
【0020】
各油圧駆動アームの第1の端は、それぞれの長手方向アーム軸に沿って、対応する第2の端と反対側に配置される。油圧傾動シリンダは、その誘導運動(induced motion)を油圧駆動アームのそれぞれの第2の端に伝達するように構成されており、その誘導運動はさらに、2つの油圧駆動アームを介してそれぞれの第1の端に伝達されて、作業器具を傾動させる。言い換えれば、第1の油圧傾動シリンダが、シングルブーム昇降アームの第1の横側面に隣接して配置され、その誘導運動を第1の油圧駆動アームの第2の端に伝達するように構成され、第1の油圧駆動アームが、誘導運動をさらにその第1の端に伝達するように構成されている。第2の油圧傾動シリンダが、横方向において第1の横側面の反対側に配置されたシングルブーム昇降アームの第2の横側面に隣接して配置され、その誘導運動を第2の油圧駆動アームの第2の端に伝達するように構成され、第2の油圧駆動アームが、誘導運動をさらにその第1の端に伝達するように構成されている。
【0021】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、2つの油圧駆動アームの各々は、それぞれの第1の端と第2の端との間に配置された中間部を備え、各中間部は、シングルブーム昇降アームに回転可能に結合される。
【0022】
これにより、2つの油圧駆動アームの各々は、シングルブーム昇降アームに対して担持されかつ回転可能に配置される。したがって、傾動装置のトルク配分および平行配置が向上する。
【0023】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、前記中間部は第1の中間部であり、2つの油圧駆動アームの各々は、それぞれの第1の端と第1の中間部との間に配置された第2の中間部を備え、該第2の中間部は、シングルブーム昇降アームに回転可能に結合される。
【0024】
これにより、2つの油圧駆動アームの各々は、シングルブーム昇降アームに対してさらに担持されかつ追加的に回転可能に配置される。したがって、傾動装置のトルク配分と平行配置が向上する。例えば、第2の中間部の各々は、それぞれのスペーサアームを介してシングルブーム昇降アームに回転可能に結合される。このようなスペーサアームにより、シングルブーム昇降アームとは独立した、傾動装置による作業器具への運動伝達の可能性がさらに向上する。
【0025】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、シングルブーム昇降アームは、油圧昇降シリンダによって油圧的に駆動される。
【0026】
したがって、シングルブーム昇降アームは、傾動装置の油圧駆動アームとは別の油圧シリンダによって油圧駆動される。したがって、作業器具に対する、シングルブーム昇降アームと傾動装置との独立した運動の可能性が向上する。
【0027】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、油圧昇降シリンダは、少なくとも部分的に、油圧傾動シリンダと同じ水平面に配置される。
【0028】
これにより、油圧シリンダ(すなわち、2つの油圧傾動シリンダおよび油圧昇降シリンダ)の簡潔なまたはコンパクトな配置が提供される。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、油圧昇降シリンダは、長手方向中心軸を横切る方向で見て、2つの油圧傾動シリンダの間に配置される。
【0029】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、油圧駆動アームの各々は、互いに枢動可能に相互連結された少なくとも3つの直線状副部を備えたリンク式アームである。
【0030】
これにより、傾動装置の構成、およびトルク配分が改善される。したがって、油圧駆動アームの各々は、互いに枢動可能に相互連結された少なくとも3つの直線状副部、すなわち3つのアーム部分を備える。典型的には、少なくとも3つの直線状副部は、直線状副部のそれぞれの端部において互いに枢動可能に連結される。例えば、油圧駆動アームの各々は第1の直線状副部を備え、該第1の直線状副部は、対応する油圧傾動シリンダに連結される第1の端部と、第1の直線状副部に沿って第1の端部と反対側に配置された第2の端部とを有する。該第2の端部は、第2の直線状副部のそれぞれの第1の端部と枢動可能に連結される。さらに、第2の直線状副部の各々は、第2の直線状副部に沿って第1の端部等の反対側に配置された第2の端部を有する。したがって、各油圧駆動アームの第2の端は、典型的には、第1の直線状副部のそれぞれの第1の端部に含まれ、各油圧駆動アームの第1の端は、典型的には、末尾の直線状副部(例えば、第3の直線状副部)の第2の端部に含まれる。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、それぞれの第1の中間部は、油圧駆動アームの第1の直線状副部に配置される。さらに、または代替的に、それぞれの第2の中間部は、油圧駆動アームの第3の直線状副部に配置される。油圧駆動アームは、油圧駆動式アーム装置または油圧駆動リンク式アームと呼ぶことができる。
【0031】
本発明の少なくとも第2の態様によれば、本発明の第1の態様に係るリンク装置を備えた作業機械が提供される。
【0032】
本発明の第2の態様の効果および特徴は、本発明の第1の態様に関連して上述したものとほぼ同様である。本発明の第1の態様に関連して述べた実施形態は、本発明の第2の態様とほぼ互換性があり、そのうちのいくつかを以下に例示する。
【0033】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、作業機械は、シングルブーム昇降アームを枢動可能に連結する第1の取付部を有するフレームを備え、油圧傾動シリンダは、第1の取付部の鉛直方向下方で該フレームに取り付けられる。フレームは、作業機械フレームと呼ぶことができる。
【0034】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、作業機械は作業器具を備える。したがって、リンク装置は、作業器具に接続される。
【0035】
少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、作業機械は、ホイールローダである。少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、作業器具は、バケットである。
【0036】
本開示のさらなる利点および特徴を、以下の記載および添付の図面に開示し、説明する。
【0037】
以下、添付図面を参照しながら、実施例として挙げた本発明の実施形態について、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による、作業器具用リンク装置を備えた作業機械の概略側面図である。
【
図2】本発明の例示的な実施形態による、リンク装置と作業器具の概略側面図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、
図2のリンク装置を作業器具なしで示した概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照すると、ここではホイールローダ1として具現化され、本発明で開示される種類のリンク装置10が有利となる作業機械1が開示されている。しかしながら、リンク装置10は、例えば掘削機のような他の種類の作業機械においても同様に実装することができる。作業機械1は、少なくとも1つの電気機械を備えた、完全電気作業機械またはハイブリッド等の電気作業機械であってもよい。そのような電気機械は、例えばバッテリーシステム、または燃料電池システムのような充電式エネルギー貯蔵システムRESSによって動力を供給してもよい。
【0040】
図1に見られるように、リンク装置10は、ここではバケット20である作業器具20に連結される。リンク装置10は、作業器具20を昇降させるように構成されたシングルブーム昇降アーム30と、シングルブーム昇降アーム30に対して作業器具20を傾けるように構成された傾動装置40とを備える。次に、リンク装置10について
図2~3を参照してさらに詳細に説明する。
【0041】
図2は、
図1の作業器具20に連結されたリンク装置10の概略側面図であり、
図3は、同リンク装置10を作業器具20なしで示した概略上面図である。このように、
図2~3に示す実施形態は、
図1の作業機械1において実施することができる。
図1に示すように、リンク装置10は、シングルブーム昇降アーム30と、傾動装置40とを備える。シングルブーム昇降アーム30は、長手方向中心軸Lに沿って延びている。シングルブーム昇降アーム30は、一様に真っ直ぐではなく、わずかに湾曲しているかまたは有限個の直線セグメントが組み合わさって形成されている。したがって、シングルブーム昇降アームの長手方向中心軸Lは、直線軸ではなく、互いに相対的に角度付けられた対応する有限個の線分が組み合わせられた軸である。
図2において、シングルブーム昇降アーム30は、作業器具20に連結されるかまたは取り付けられ、作業器具20を昇降させるように構成され、一方、傾動装置40は、作業器具20に連結されるかまたは取り付けられ、作業器具20を傾けるように構成されている。傾動装置40は、典型的には、シングルブーム昇降アーム30が作業器具20に連結されるかまたは取り付けられる位置の鉛直方向上方で、作業器具20に連結されるかまたは取り付けられる。
【0042】
図2~3の傾動装置40は、本明細書では第1の油圧駆動アーム42および第2の油圧駆動アーム52と呼ぶ2つの油圧駆動アーム42、52を備える。少なくとも
図3に見られるように、第1および第2の油圧駆動アーム42、52は、シングルブーム昇降アーム30の異なる側に平行に配置される。さらに、傾動装置40は、本明細書では第1の油圧傾動シリンダ62および第2の油圧傾動シリンダ64と呼ぶ2つの油圧傾動シリンダ62、64を備える。作業器具20がシングルブーム昇降アーム30に対して傾動するように、第1の油圧傾動シリンダ62が第1の油圧駆動アーム42を操作するように構成され、第2の油圧傾動シリンダ64が第2の油圧駆動アーム52を操作するように構成される。このように、2つの油圧駆動アーム42、52の各々は、別々の油圧傾動シリンダ62、64によって油圧的に駆動される。
【0043】
図3に最もよく見られるように、第1および第2の油圧駆動アーム42、52は、長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、少なくとも部分的にシングルブーム昇降アーム30の外側に配置される。シングルブーム昇降アーム30は、作業機械1または作業機械1のフレーム3(
図1に見られる)に連結するかまたは取り付けるための第1の連結部32と、長手方向中心軸Lに沿って該第1の連結部32の反対側に配置され、作業器具20に連結されるかまたは取り付けられるように構成された第2の連結部34とを備える。シングルブーム昇降アーム30は、該シングルブーム昇降アーム30の長手方向中心軸Lに沿った全長の大部分を占める中央部36をさらに備える。該中央部36は、第1の連結部32と第2の連結部34との間に配置され、例えば、第1の連結部32から第2の連結部34まで延在してもよい。
図3に見られるように、第1および第2の油圧駆動アーム42、52は、長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、シングルブーム昇降アーム30の、少なくとも中央部36の外側に配置される。別の言い方をすれば、また、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1および第2の油圧駆動アーム42、52は、シングルブーム昇降アーム30の長さの少なくとも大部分に沿って(長さは長手方向中心軸Lに沿って定義さる)長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、シングルブーム昇降アーム30の外側に配置される。
【0044】
同様に、また、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64は、長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、少なくとも部分的にシングルブーム昇降アーム30の外側に配置される。
図3に見られるように、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64は、長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、シングルブーム昇降アーム30の、少なくとも中央部36の外側に配置される。別の言い方をすれば、また、少なくとも1つの例示的な実施形態によれば、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64は、長手方向中心軸Lを横切る方向Tにおいて、シングルブーム昇降アーム30の長さの少なくとも大部分に対して、シングルブーム昇降アーム30の外側に配置される。
【0045】
図2に見られるように、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64は、シングルブーム昇降アーム30の長手方向中心軸Lの鉛直方向下方に配置される。つまり、少なくともリンク装置10の水平位置において(すなわち、シングルブーム昇降アーム30が作業機械1のフレーム3から水平方向に延びるように配置される位置において)、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64は、シングルブーム昇降アーム30の長手方向中心軸Lの鉛直方向下方に配置される。
【0046】
シングルブーム昇降アーム30は、長手方向中心軸Lを挟んで両側に長手方向中心軸Lと同じ方向に延びる2つの横側面31A、31Bによって少なくとも部分的に画定されていると説明できる。したがって、第1および第2の油圧駆動アーム42、52は、長手方向中心軸Lを挟んで両側の横側面31A、31Bの外側に配置される。同様に、油圧傾動シリンダ62、64は、少なくとも部分的に、長手方向中心軸Lを挟んで両側の横側面31A、31Bの外側に配置される。
【0047】
シングルブーム昇降アーム30とその長手方向中心軸Lに対する、第1および第2の油圧駆動アーム42、52、並びに第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64の位置関係は、作業器具20に対するトルク配分および運転者の視認性に関して改良されたリンク装置10を提供する。
【0048】
図2および
図3の両方に見られるように、第1および第2の油圧駆動アーム42、52の各々は、作業器具20に連結可能な第1の端43、53と、対応する油圧傾動シリンダ62、64に連結される第2の端44、54とを有する。すなわち、第1の油圧駆動アーム42は、作業器具20に連結可能な第1の端43と、第1の油圧傾動シリンダ62に連結される第2の端44を有する。同様に、第2の油圧駆動アーム52は、作業器具20に連結可能な第1の端53と、第2の油圧傾動シリンダ64に連結される第2の端54を有する。さらに、
図2および
図3の実施形態では、第1および第2の油圧駆動アーム42、52の各々は、それぞれの第1の端43、53と第2の端44、54との間に配置された第1の中間部45、55を有する。第1の中間部45、55はそれぞれ、シングルブーム昇降アーム30に回転可能に結合される。これは、第1の油圧駆動アーム42については、
図2において回転カップリング45Aとして示されている。第2の油圧駆動アーム52については、同様の回転カップリングがシングルブーム昇降アーム30の他方の横側面31Bに配置される。さらに、第1および第2の油圧駆動アーム42、52の各々は、それぞれの第1の端部43、53と第1の中間部45、55との間に配置された第2の中間部46、56を備える。第2の中間部46、56の各々は、シングルブーム昇降アームに回転可能に結合される。これは、第1の油圧駆動アーム42については、
図2において回転カップリング46Aとして示されている。第2の油圧駆動アーム52については、同様の回転カップリングがシングルブーム昇降アーム30の他方の横側面31Bに配置される。
図2に見られるように、第1の油圧駆動アーム42は、スペーサアーム47によってシングルブーム昇降アームに回転結合される。シングルブーム昇降アーム30の他方の横側面31Bには、第2の油圧駆動アーム52のための同様のスペーサアームが配置される。
【0049】
シングルブーム昇降アーム30は、油圧昇降シリンダ32によって油圧駆動される。油圧昇降シリンダ32は、長手方向中心軸Lに沿って配置され、典型的にはシングルブーム昇降アーム30と鉛直方向に平行に配置される。さらに、
図2に見られるように、油圧昇降シリンダ32は、少なくとも部分的に第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64と同じ水平面に配置される。したがって、油圧昇降シリンダ32は、長手方向中心軸Lを横切る方向で見て、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64の間に配置されており、これにより、油圧シリンダ32、62、64の簡潔またはコンパクトな配置が提供される。
【0050】
図2に最もよく見られるように、第1および第2の油圧駆動アーム42、52の各々は、リンク式アーム42、52である。以下では、かかるリンク式アーム42、52の構成について、第1の油圧駆動アーム42のみを参照して説明するが、第2の油圧駆動アーム52にも同様の構成が想定される。第1の油圧駆動アーム42は、ここでは第1の直線状副部42A、第2の直線状副部42Bおよび第3の直線状副部43Bと呼ぶ互いに枢動可能に連結された少なくとも3つの直線状副部42A、42B、42Cを備える。なお、該直線状副部42A、42B、42Cは、アーム部42A、42B、42Cと呼ぶこともできる。第1、第2、および第3の直線状副部42A、42B、42Cは、直線状副部42A、42B、42Cのそれぞれ対応する端部で互いに枢動可能に連結される。例えば、第1の直線状副部42Aは、第1の油圧傾動シリンダ62に連結される第1の端部と、第1の直線状副部42Aに沿って第1の端部と反対側に配置された第2の端部とを有し、該第2の端部は、第2の直線状副部42Bの対応する第1の端部と枢動可能に連結される。さらに、第2の直線状副部42Bは、第2の直線状副部42Bに沿って第1の端部と反対側に配置された第2の端部を有し、該第2の端部は、第3の直線状副部42Cの第1の端部に枢動可能に連結される。したがって、典型的には、第1の油圧駆動アーム42の第2の端44は、第1の直線状副部42Aかつその第1の端部に含まれ、第1の油圧駆動アーム42の第1の端43は、第3の直線状副部42Cかつその第2の端部に含まれる。第1の油圧駆動アーム42が第3の直線状副部42Cに続いて配置された第4の直線状副部を有する場合、第1の油圧駆動アーム42の第1の端43は、典型的には、第4の直線状副部かつその第2の端部に含まれる。典型的には、作業器具20の最も近くに配置されたかまたは接続された第1の油圧駆動アーム42の直線状副部は、末尾の直線状副部と呼ばれる。
図2に見られるように、第1の油圧駆動アーム42の第1の中間部45は、第1の直線状副部42Aに配置され、第1の油圧駆動アーム42の第2の中間部46は、第3の直線状副部42Cに配置される。第1および第2の油圧駆動アーム42、52はそれぞれ、第1および第2の油圧駆動アーム装置又は第1および第2の油圧駆動リンク式アームと呼ぶことができる。
【0051】
簡単に
図1に戻ると、
図1は、
図2~3のリンク装置10と、バケット20の形態の作業器具20とを備える作業機械1を示す。作業機械1はフレーム3を備え、該フレーム3は、シングルブーム昇降アーム30をフレーム3に枢動可能に連結する第1の取付部5を有する。さらに、フレーム3は、第1および第2の油圧傾動シリンダ62、64の各々をフレーム3に連結する第2の取付部7を備える。第2の取付部7は、第1の取付部5の鉛直方向下方に配置される。
【0052】
本発明は、上述し、図面に示した実施形態に限定されるものではなく、むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および修正がなされ得ることを認識するであろう。
【0053】
さらに、開示された実施形態に対する変形は、図面、本開示、および添付の特許請求の範囲の検討により、特許請求された発明概念を実施する当業者によって理解され達成され得る。特許請求の範囲において、単語「備える(comprising)」は、他の要素またはステップを排除するものではなく、不定冠詞「a」または「an」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せが有利に使用され得ないことを示すものではない。
【外国語明細書】