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  • 特開-繊維作製方法、及び繊維作製装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003892
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】繊維作製方法、及び繊維作製装置
(51)【国際特許分類】
   D06H 7/00 20060101AFI20230110BHJP
   B27J 1/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
D06H7/00
B27J1/00 H
B27J1/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105257
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】520387195
【氏名又は名称】株式会社 infoBANK
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AA01
3B154AB40
3B154BA47
3B154BB54
3B154BB56
3B154BC31
3B154DA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低コストでサイズが均一で傷つき等の損傷が無く、廃液対策等の化学処理の必要が無く、簡単な工程で良質の太さと均一な長さを有する繊維を製造する装置を提供する。
【解決手段】先端が10~150度の鋭角の刃先の刃を1箇所又は横方向に複数個もち、平面から見て、対象物2の繊維方向に直角又は0~90度の傾斜で取付けられた刃物部材と、対象物の繊維方向に直角方向又は略直角方向に対象物に当節し前記刃物の刃先の出代を規制する規制板11a、11bと、対象物の繊維方向に直角方向に切込み溝を入れる切込み刃、及び対象物に接して切込み深さを規制する切込み深さ規制部と、対象物の繊維方向に平行方向に刃物が取付けられた刃物台を移動する平行軸移動体と、対象物の繊維方向に直交する方向に刃物が取付けられた刃物台を移動する前記平行軸移動体の移動部に取付けられた直交軸移動体とからなる、刃物によって対象物の繊維を加工して取り出す装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状又は略矩形断面形状で、円筒又は略矩形断面の軸方向と平行に繊維をもつ対象物に対して、刃物によって対象物の繊維を加工して取り出す装置において、先端が10~150度の鋭角の刃先の刃を1箇所又は横方向に複数個をもち、平面から見て、対象物の繊維方向に直角、又は0~90度の傾斜をもって取付けられた刃物部材と、対象物の繊維方向に直角方向又は略直角方向に対象物に当節し前記刃物の刃先の出代を規制する規制板と、対象物の繊維方向に直角方向に切込み溝を入れる切込み刃、及び対象物に接して切込み深さを規制する切込み深さ規制部と、対象物の繊維方向に平行方向に刃物が取付けられた刃物台を移動する平行軸移動体と、対象物の繊維方向に直交する方向に刃物が取付けられた刃物台を移動する前記平行軸移動体の移動部に取付けられた直交軸移動体とからなる繊維作製装置。
【請求項2】
刃物部材が複数列に、対象物の繊維方向に一定の間隔をもち、かつ、鋭角の刃先の間隔を等分する位置に取り付けられた刃物部材、及び刃物取付け台をもつことを特徴とする請求項1の繊維作製装置。
【請求項3】
反対側にも単列、又は複数列の刃物部材と規制板、刃物取付台、及び直交軸移動体が設けられ、前記平行軸移動体の帰り動作時にも繊維の取り出しを可能にしたことを特徴とする請求項1、及び請求項2に記載の繊維作製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒形状又は略矩形断面形状で、円筒又は略矩形断面の軸方向と平行方向に繊維をもつ対象物に対して、刃物を使って加工して、一定の繊維太さと繊維長さをもつ繊維を安定的に取り出す方法、及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の国内外での環境対策として、脱炭素、脱プラスチックの流れが加速している中で、竹などの天然素材に存在する繊維について、その繊維強度、抗菌性等の機能性が注目され、その活用に向けた幅広い取り組みが行われている。今まで、竹などの天然素材から繊維を取り出す方法は、数多くの方法で実施されてきたが、それぞれの方法は一長一短があり、全ての条件を満足する方法や装置は無かったと言える。従来の天然素材の繊維で代表される竹から繊維を取り出す製造方法としては、下記特許文献1~13に開示された方法が知られている。特許文献1~3に開示された方法は、蒸煮爆砕処理法と言われる方法であり、竹を軸芯に平行に分割して割ると共に一定の長さに切断した状態で密閉容器に入れ、高温高圧下で温度の上昇下降を繰り返した後、瞬時に大気圧に戻して、その圧力が発する衝撃で竹の繊維を分解して竹繊維を得る方法である。特許文献4に開示された方法は、化学処理法と言われる方法であり、竹を水酸化ナトリウム等の薬液内で一定時間煮沸して繊維に分解する方法である。特許文献5~7に開示された方法は、圧延解繊法と呼ばれる方法であり、竹をスタンピング圧延機に通して圧縮し粗砕した後、反毛機で粗解繊し、ターボミル等でさらに細繊化して竹繊維を造る方法である。特許文献8に開示された方法は、インペラー解繊法と言われる方法であり、竹片を一定の長さにカットし、圧縮ロールで加圧して平板化してから、複数の回転羽根を有するインペラーの回転とドラムの内側に設けた多数の溝の間で繊維に沿って解繊することで竹の繊維を取り出す方法である。特許文献9に開示された方法は、スクリュー押出し解繊法と言われる方法であり、竹片を一定長さの寸法にカットし、高温の蒸気で加熱した状態でスクリューを内蔵した円筒状筐体の中に入れ、スクリューの先端の円筒状筐体に設けられた多数の小さな穴からスクリューから発する圧力で押し出して繊維を得る方法である。特許文献10,11に開示された方法は、特殊解し刃物付きドラム回転式と言われる方法であり、竹を縦に4つ割りにし、加圧ローラでいったん平板化して解繊工程まで送り、その後、ドラムの外周面に多数の特殊な刃物が設置された刃物回転体により竹を縦方向に引っ掻くことで、竹繊維を取り出す方法である。特許文献12,13に開示された方法は、繊維方向に平行の軸で回転する回転刃物に取付けられた一定の刃先幅をもつ刃物で規制板からの刃の出代分を対象物に当てて繊維長さに相当する刃先幅によって繊維を取り出す方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-116917号公報
【特許文献2】特開2004-167730号公報
【特許文献3】特開2003-155677号公報
【特許文献4】特開2008-1064号公報
【特許文献5】特開平6-15616号公報
【特許文献6】特開平9-25145号公報
【特許文献7】特開平5-138617号公報
【特許文献8】特開2000-71209号公報
【特許文献9】特開2008-229933号公報
【特許文献10】特開2008-114484号公報
【特許文献11】特開2008-307832号
【特許文献12】特開2010-137361公報
【特許文献13】特許6059852号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の竹繊維製造方法のうち、特許文献1~3に開示された高温高圧下で解繊を行う方法では、竹の素材に対するダメージが大きく、竹繊維に傷が付いたり、茶色く変色したりして、竹繊維を利用できる用途が限られてしまう問題がある。また特許文献4に開示された方法は、化学薬液を使用するため洗浄工程が必要とか廃液処理が課題となる。また、従来の竹繊維製造方法のうち、竹を繊維に分解する解繊工程の前に、予め竹をその軸芯に平行に分割して竹片に加工しておく準備工程が必要な方法は、工程全体が複雑になり製造コストが高くついてしまう。また、特許文献5~8,10,11においては、出来上がる竹繊維の長さを均一にそろえるのが困難であり、ばらつきがでるため、使用用途が限定されてしまう。また、特許文献12,13においては、取り出す繊維の太さが極細の0.1~0.2mm以下が求められている場合、加工が困難であるという問題がある。従って、上記の説明の様に、これまで竹などから繊維を取り出すための全ての条件を満足できる方法、及び装置が存在しなかった。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、製造工程が簡単で低コストの設備で、取り出した繊維に傷つき等の損傷が無く、廃液対策等の化学処理の必要が無く、出来た繊維の太さと長さが均一で、特に繊維の太さが極細の0.1~0.2mm以下の繊維を製造することが可能な繊維製造方法、及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、低コストの設備で、取り出された繊維に傷つき等の損傷が無く、廃液対策等の化学処理の必要が無く、できるだけ簡単な工程で良質の太さと長さが均一な繊維を製造することを提供することである。
実施例として、本発明は、円筒形状で、円筒の軸方向と平行方向に繊維をもつ対象物に対して、刃物によって対象物の繊維を加工して取り出す方法、及び装置において、先端が10~150度の鋭角の刃先の刃を1箇所又は横方向に複数個をもち、平面から見て、対象物の繊維方向に直角、又は0~90度の傾斜をもって取付けられた刃物部材と刃物取付け台、対象物の繊維方向に直角方向又は略直角方向に対象物に当節し前記刃物の刃先の出代を規制する規制板と、対象物の繊維方向に直角方向に切込みを入れる刃、及び対象物に接する切込み深さの規制部と、対象物の繊維方向に平行に刃物が取付けられた刃物台を移動する平行軸移動体と、対象物の繊維方向に直交する方向に刃物が取付けられた刃物台を移動する平行軸移動体の移動部に取付けられた直交軸移動体とからなる繊維作製方法、及び繊維作製装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、円筒形状をもつ対象物の円筒状体の軸に平行方向に存在する繊維に対して、先端が10~150度の鋭角の刃先の刃を1箇所又は横方向に複数個をもった刃物の刃先が、規制板で規制された一定の深さで切り込んだまま、対象物の繊維と平行方向に平行移動体によって移動することで、繊維が取り出される。また、刃の進行方向の先には対象物の繊維方向に横断する方向に切り込み刃で所望の繊維太さに相当する深さまで切り込みを入れることで、設定した長さに加工された繊維が分断されて取り出されて、対象物から直接一定の長さの繊維を加工して取り出すことができる。本発明によれば、対象物から取り出された繊維は、傷つき等の損傷が無く、廃液対策等の化学処理の必要が無く、対象物の原形のまま機械に投入して簡単な工程で加工されて良質の太さと長さが均一な繊維を製造することができる。特に、繊維の太さが0.1~0.2mmと細い場合は、対象物から安定して良質の太さと長さが均一な繊維を取り出すことが可能となる有効な方法である。
本発明は、例えば竹などの天然素材の繊維が、現在の脱炭素、脱プラスチックの流れが加速している中で、その繊維強度、抗菌性等の機能性が注目され、その活用に向けた取り組みが行われている。天然素材から繊維を取り出す方法は、これまで数多くの方法で実施されてきたが、それぞれ一長一短があり、全てを満足する方法や装置は無かったという問題の解決につながる発明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による繊維作製方法、及び作製装置の正面図
図2】本発明の実施形態による繊維作製方法、及び作製装置の側面図
図3】本発明の実施形態による繊維作製方法、及び作製装置の平面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図1図3を用いて、本発明の実施形態による繊維作製方法、及び作製装置を説明する。尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜 異ならせて図示している。
【0010】
図1図3に示すように、本実施形態は、本体1と、対象物2と、対象物固定駆動部3a,3bと、対象物固定金具4a,4bと、対象物の繊維方向に平行に配置された平行駆動体5と、前記平行駆動体の支柱6a,6bと、前記平行駆動体の移動側に取り付けられ対象物の繊維に直交する方向に配置された直交駆動体7と、前記直交駆動体に取り付けられて更に直交する方向に移動する移動体8a, 8bと、前記移動体に取り付けられた刃物取付台9a,9bと、前記刃物取付台に取り付けられた先端に三角形状の単一、又は複数の刃をもつ刃物10a,10bと、前記刃物取付台に取り付けられ前記刃物の刃の出代を対象物の加工表面に当節して規制する規制板11a,11bと、前記直交駆動体に取り付けられて対象物の繊維方向に直交する軸で回転自在に支持されたローラー12と、前記ローラーに出代を規制されて取り付けられた筋入れ刃物13と、前記直交駆動体に取り付けられて、対象物の加工面上を繊維に直交する軸で回転自在に支持された案内ローラー14a,14b、前記直交駆動体の先端に取り付けられ前記案内ローラーが取り付けられたブラケット15とから構成される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明は産業上では、天然素材である竹などに存在する繊維を機械装置を使って所望の太さと長さをもつ繊維を安定して取り出して、生活に必要な衣類、建築材料、身の回りの製品などにプラスチック製品や金属製品に代わる材料として利用できることにつながるものである。
【符号の説明】
【0012】
1.本体, 2.対象物, 3a3b.対象物固定駆動部, 4a4b.対象物固定金具、5.平行駆動体, 6a6b.支柱, 7.直交駆動体, 8a8b.移動体 、 9a9b.刃物取付台, 10a10b刃物、 11a11b.規制板 、 12.ローラー, 13.筋入れ刃物、 14a14b,案内ローラー、 15.ブラケット
図1
図2
図3