(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038921
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 11/16 20060101AFI20230310BHJP
G01G 23/36 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G01G11/16
G01G23/36 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022138498
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2021145746
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】樽本 祥憲
(72)【発明者】
【氏名】須田 昇嗣
(57)【要約】
【課題】物品を搬送しながら、搬送中の物品を計量する計量装置であって、知識や経験を有する技術者ではなくても、容易に適切なフィルタの設定が可能な計量装置を提供する。
【解決手段】計量装置100は、第2コンベア14と、ロードセル28と、取得部86と、制御部84と、を備える。第2コンベアは、物品を受け取り搬送する。ロードセルは、第2コンベアの重量、又は、第2コンベアが物品を搬送している場合には、第2コンベアの重量及び第2コンベア上の物品の重量、を検出して計量信号を出力する。取得部は、第2コンベアにより搬送される物品の規定重量又は第2コンベアにより搬送される物品の搬送速度と、第2コンベアによる搬送方向における物品の長さと、を取得する。制御部は、取得部が取得した、物品の規定重量又は物品の搬送速度と、物品の長さと、に基づき、ロードセルが検出する計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を受け取り搬送する搬送部と、
前記搬送部の重量、又は、前記搬送部が前記物品を搬送している場合には、前記搬送部の重量及び前記搬送部上の前記物品の重量、を検出して計量信号を出力する検出部と、
前記搬送部により搬送される物品の規定重量又は前記搬送部による物品の搬送速度と、前記搬送部による搬送方向における物品の長さと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した、前記物品の規定重量又は前記物品の搬送速度と、前記物品の長さと、に基づき、前記検出部が検出する前記計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する制御部と、
を備える計量装置。
【請求項2】
前記物品の規定重量又は前記物品の搬送速度と、前記物品の長さと、前記フィルタの設定と、が関連付けられた情報が記憶されている記憶部、を更に備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶されている前記情報に更に基づいて、前記フィルタの設定を決定する、
請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記計量装置の構成部品の振動特性に関する情報を更に取得し、
前記制御部は、前記取得部が取得した前記計量装置の構成部品の振動特性に関する情報に更に基づいて、前記フィルタの設定を決定する、
請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項4】
前記計量装置の構成部品の振動特性に関する情報には、前記搬送部の前記搬送方向における長さの情報及び前記搬送部の前記搬送方向に直交する方向の長さの情報の少なくとも一方を含む、
請求項3に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送しながら、搬送中の物品の重量を計量する計量装置が知られている。このような計量装置では、例えば、物品が搬送部に受け渡される際の衝撃により生じるノイズが、検出部の計量信号に含まれ得る。ノイズが計量に与える悪影響を低減するため、計量装置では、フィルタを使用して計量信号に含まれるノイズが低減されることがある。
【0003】
計量信号に含まれるノイズの周波数は、計量される物品の性状や物品の搬送条件によって変化する場合がある。そのため、計量装置が、常に同一特性のフィルタを用いる場合、計量信号に含まれるノイズを十分に低減できず、計量装置の計量精度が低下するおそれがある。このような課題に対し、例えば特許文献1(特開2012-199692号公報)では、フィルタ特性の変更を可能とする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(特開2012-199692号公報)に開示されているようなフィルタを用いる場合、使用するフィルタの設定のために実際に計量装置の試運転が必要となる。また、特許文献1(特開2012-199692号公報)に開示されているようなフィルタを用いる場合、知識や経験を有する技術者でなければ、高い計量精度を実現可能なフィルタの設定は容易ではない。
【0005】
本発明の課題は、搬送中の物品を計量する計量装置であって、知識や経験を有する技術者ではなくても、容易に適切なフィルタの設定が可能な計量装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の計量装置は、搬送部と、検出部と、取得部と、制御部と、を備える。搬送部は、物品を受け取り搬送する。検出部は、搬送部の重量、又は、搬送部が物品を搬送している場合には、搬送部の重量及び搬送部上の物品の重量、を検出して計量信号を出力する。取得部は、搬送部により搬送される物品の規定重量又は搬送部による物品の搬送速度と、搬送部による搬送方向における物品の長さと、を取得する。制御部は、取得部が取得した、物品の規定重量又は搬送部による物品の搬送速度と、搬送部による搬送方向における物品の長さと、に基づき、検出部が検出する計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する。
【0007】
第1観点の計量装置は、取得した、物品の規定重量又は物品の搬送速度と、搬送方向における物品の長さと、に基づいて計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する。そのため、第1観点の計量装置では、知識や経験を有する技術者ではなくても、高い計量精度を実現可能な適切なフィルタの設定を決定できる。
【0008】
第2観点の計量装置は、第1観点の計量装置であって、記憶部を更に備える。記憶部には、物品の規定重量又は物品の搬送速度と、物品の長さと、フィルタの設定と、が関連付けられた情報が記憶されている。制御部は、記憶部に記憶されている情報に更に基づいて、フィルタの設定を決定する。
【0009】
第2観点の計量装置では、記憶部に、物品の規定重量又は物品の搬送速度と、物品の長さと、適切なフィルタの設定とが関連付けて記憶されているため、計量装置の実運転を行わなくても、適切なフィルタの設定を決定できる。
【0010】
第3観点の計量装置は、第1観点又は第2観点の計量装置であって、取得部は、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報を更に取得する。制御部は、取得部が取得した計量装置の構成部品の振動特性に関する情報に更に基づいて、フィルタの設定を決定する。
【0011】
第3観点の計量装置では、部品の交換等により計量装置の振動特性が変化しても、高い計量精度を実現可能な適切なフィルタの設定を決定できる。また、第3観点の計量装置では、構成の物理的構造の異なる複数の計量装置において制御部を共用できる。
【0012】
第4観点の計量装置は、第3観点の計量装置であって、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報には、搬送部の搬送方向における長さの情報及び搬送部の搬送方向に直交する方向の長さの情報の少なくとも一方を含む。
【0013】
第4観点の計量装置では、搬送部の長さの違いにより振動特性が変化する場合にも、高い計量精度を実現できるような適切なフィルタの設定を決定できる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の計量装置は、取得した、物品の規定重量又は物品の搬送速度と、搬送方向における物品の長さと、に基づいて計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定するので、知識や経験を有する技術者ではなくても、高い計量精度を実現可能な適切なフィルタの設定を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の計量装置の一実施形態に係る計量装置を正面から見た概略正面図である。
【
図3】
図1の計量装置の主要部分を上方から見た概略平面図である。
【
図4】
図1の計量装置の、搬送装置の第2コンベア及び計量装置の概略構成図である。
【
図5】
図1の計量装置の制御装置の、重量算出処理のための構成のブロック図である。
【
図6】
図1の計量装置のロードセルの検出信号と、フィルタリング後の検出信号とを模式的に示す図である。
【
図7】
図1の計量装置において用いられるコンビネーションフィルタの生成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の計量装置の一実施形態に係る計量装置100について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する計量装置100の実施形態は一実施例に過ぎず、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能である。
【0017】
(1)全体構成
計量装置100の全体構成を、
図1~
図3を参照しながら説明する。
図1は、計量装置100を正面から見た概略正面図である。
図2は、計量装置100のブロック図である。
図3は、計量装置100の主要部分を上方から見た概略平面図である。
【0018】
計量装置100は、物品Pを搬送しながら、物品Pを計量する計量装置である。
【0019】
計量装置100は、
図1のように、主に、搬送装置10と、検出装置20と、を有する。また、計量装置100は、
図2のように、搬送装置10及び検出装置20の動作を制御する制御装置80を有する。
【0020】
搬送装置10は、図示しない上流側の工程(例えば物品Pの製造工程)から供給される物品Pを受けとり搬送する。具体的には、搬送装置10は、物品Pを検出装置20による重量の検出場所へ搬送する。
【0021】
検出装置20は、搬送装置10の搬送する物品Pの重量を検出し、検出した重量に応じた計量信号を制御装置80に対して出力する。制御装置80は、検出装置20が物品Pの重量検出時に出力した計量信号に基づいて、物品Pの重量Wを算出する。さらに、制御装置80は、算出した物品Pの重量Wが、許容重量範囲内であるか否かを判断する。物品Pの重量Wが許容重量範囲内であるとは、物品Pの重量が、許容最小重量以上、かつ許容最大重量以下であることを意味する。
【0022】
なお、計量装置100の後段には、例えば図示しない振分装置が配置される。振分装置は、制御装置80が算出する物品Pの重量Wに基づいて、物品Pを振り分ける。例えば、振分装置は、物品Pの重量Wが許容重量範囲内である場合、物品Pを物品Pの搬送ラインから除去する。
【0023】
(2)詳細構成
以下に、計量装置100の詳細について詳細に説明する。
【0024】
なお、以下では、方向や位置関係を説明する際に「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の表現を用いる場合があるが、これらの表現は説明のための便宜上のものであり、本願発明の内容を限定するものではない。「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の表現は、特に断りのない限り、図中の矢印の示す向きに従う。
【0025】
(2-1)搬送装置
搬送装置10は、搬送方向A(
図1及び
図3参照)に沿って物品Pを搬送する。
【0026】
搬送装置10は、第1コンベア12及び第2コンベア14と、第1駆動部18a及び第2駆動部18bと、を含む。第1駆動部18a及び第2駆動部18bは、例えばモータである。
【0027】
搬送装置10では、
図1及び
図3に示すように、物品Pの搬送方向Aにおける上流側から順に、第1コンベア12、第2コンベア14、が配置される。
【0028】
第1コンベア12は、
図3のように、第1コンベア12及び第2コンベア14の中で、搬送方向Aにおける上流に配置されている。第1コンベア12は、計量装置100の上流側の工程から搬送されてくる物品Pを計量装置100に取り込む取込コンベアとして機能する。第1コンベア12は、物品Pを搬送方向Aに搬送し、第2コンベア14に物品Pを受け渡す。
【0029】
第1コンベア12は、第1コンベアベルト12a(
図1参照)を含む。第1駆動部18aが、第1コンベアベルト12aが巻き掛けられている駆動ローラ122a及び従動ローラ122bのうち、駆動ローラ122aを駆動することで、第1コンベア12は、第1コンベアベルト12a上の物品Pを搬送方向Aに搬送する。
【0030】
第2コンベア14は、
図3のように、第1コンベア12及び第2コンベア14の中で、搬送方向Aにおける下流に配置されている。第2コンベア14は、第1コンベア12が搬送してくる物品Pを受け取り搬送する。検出装置20は、第2コンベア14が搬送中の物品Pの重量を検出して、計量信号を出力する。第2コンベア14は、物品Pを搬送方向Aに搬送し、計量装置100の後段の工程(例えば、図示しない振分装置)に物品Pを受け渡す。
【0031】
第2コンベア14は、第2コンベアベルト14a(
図1参照)を含む。第2駆動部18bが、第2コンベアベルト14aが巻き掛けられているローラ144a,144bのうち、ローラ(駆動ローラ)144aを駆動することで、第2コンベア14は、第2コンベアベルト14a上の物品Pを搬送方向Aに搬送する。
【0032】
(2-2)検出装置
検出装置20について、
図4を更に参照しながら説明する。
図4は、搬送装置10の第2コンベア14及び検出装置20の概略構成図である。
【0033】
検出装置20は、
図3及び
図4のように、センサ25と、検出部(重量センサ)の一例としてのロードセル28を主に有する。
【0034】
センサ25は、第1コンベア12が搬送してくる物品Pが、第2コンベア14に到達したことを検知する。センサ25は、例えば、光電センサである。ただし、センサ25の種類は、光電センサに限定されるものではなく、物品Pの第2コンベア14への到達を検知可能なセンサであれば、センサ25の種類は問わない。
【0035】
制御装置80は、センサ25の検知結果、搬送装置10の搬送速度V、及び物品Pの搬送方向Aにおける長さL1に基づき、物品Pの全体が第2コンベアベルト14a上に存在するタイミングを検知する。制御装置80は、物品Pの全体が第2コンベアベルト14a上に存在する間にロードセル28が出力する計量信号に基づき、物品Pの重量Wを算出する。
【0036】
ロードセル28は、作用する力に比例して歪む起歪体28aと、起歪体28aに貼り付けられてひずみを電気信号(この信号を計量信号と呼ぶ)に変換して出力するひずみゲージ(図示省略)と、を含む。要するに、ロードセル28は、作用する力に応じた計量信号を送信する。ロードセル28は、第2コンベア14の下方に配されたケース26の内部に収容されている(
図4参照)。
【0037】
ロードセル28による重量の検出について説明する。ロードセル28による重量の検出の説明にあたり、初めに搬送装置10の第2コンベア14の構造の詳細を説明する。
【0038】
第2コンベア14は、前述した第2コンベアベルト14aに加え、フレーム142と、駆動ローラ144a及び従動ローラ144bと、を主に有する(
図4参照)。
【0039】
第2コンベア14のフレーム142は、ケース26から上方に延びるブラケット24により支持されている。ケース26は、
図4のように、計量装置100のフレーム50に固定されている。
【0040】
駆動ローラ144a及び従動ローラ144bは、
図4のように、フレーム142の両端に設けられている。駆動ローラ144a及び従動ローラ144bは、フレーム142に回転自在に支持されている。第2コンベアベルト14aは、駆動ローラ144a及び従動ローラ144bに巻き掛けられている。第2駆動部18bが駆動ローラ144aを駆動することで、第2コンベアベルト14aは回転し、第2コンベア14は、第2コンベアベルト14a上の物品Pを搬送方向Aに搬送する。
【0041】
上記構造を取るため、ロードセル28は、第2コンベアベルト14a上に物品Pが存在していない時には、搬送部としての第2コンベア14の重量(第2コンベア14がロードセル28に作用させる力)を検出して、計量信号を出力する。なお、ここで第2コンベア14の重量とは、概ね、フレーム142、駆動ローラ144a及び従動ローラ144b、及び第2コンベアベルト14aの合計重量である。また、第2コンベアベルト14aが物品Pを搬送している時には、ロードセル28は、第2コンベア14の重量及び第2コンベア14上の物品Pの重量を検出して、計量信号を出力する。
【0042】
(2-3)制御装置
制御装置80は、計量装置100の各部の動作を制御する。また、制御装置80は、検出装置20が送信してくる計量信号に基づいて物品Pの重量Wを算出する処理を行う。
【0043】
本実施形態の制御装置80は、CPUと、ROM、RAM、補助記憶装置(例えばフラッシュメモリ)等からなるメモリ、各種の電子回路等を主に含む。制御装置80は、CPUがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、計量装置100の各部の動作を制御したり、各種処理を行ったりする。
【0044】
なお、ここで説明する制御装置80の構成は、制御装置80の構成一例に過ぎず、本実施形態の制御装置80と同様の機能を、論理回路等のハードウェアにより実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの組合せにより実現してもよい。また、制御装置80は、1台の装置により実現されるものであっても、複数の装置により実現されるものであってもよい。
【0045】
制御装置80は、搬送装置10の第1駆動部18a及び第2駆動部18bと、検出装置20のセンサ25及びロードセル28と、電気的に接続されている。
【0046】
また、制御装置80は、入力装置60及び出力装置70に電気的に接続されている(
図2参照)。入力装置60は、計量装置100のオペレータの入力する各種指令や、オペレータの入力する各種情報を受け付ける。例えば、入力装置60は、タッチパネル式のディスプレイである。入力装置60に対する入力された指令や情報は、制御装置80に対して送信される。出力装置70は、制御装置80により制御されて、各種情報を出力する。例えば、出力装置70は、各種情報を表示するディスプレイである。つまり、本実施形態では、タッチパネル式のディスプレイが入力装置60及び出力装置70として機能する。
【0047】
なお、入力装置及び出力装置は、ここで例示する機器に限定されるものではない。例えば、入力装置は、計量装置100のオペレータ等が操作する携帯端末(図示せず)や、計量装置100の上位の中央制御装置(図示せず)から送信されてくる指令や情報を受け付ける機器であってもよい。また、出力装置は、例えば、計量装置100のオペレータ等が保持する携帯端末(図示せず)や、計量装置100の上位の中央制御装置(図示せず)に対して各種情報を出力(送信)する機器であってもよい。
【0048】
制御装置80のメモリは、各種情報を記憶する記憶部82を含む。記憶部82に記憶される情報の例については後述する。
【0049】
制御装置80のCPUは、メモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御部84及び取得部86として機能する。
【0050】
(2-3-1)取得部
取得部86は、入力装置60に対して入力される各種情報を取得する。取得部86が取得した各種情報は、記憶部82に記憶される。
【0051】
取得部86が取得する情報には、例えば、搬送装置10により搬送される物品Pの規定重量Wtを含む。規定重量Wtとは、言い換えれば、物品Pの本来あるべき重量(物品Pが合格品である場合に示すべき、理想の重量)である。
【0052】
また、取得部86が取得する情報には、第2コンベア14により搬送される物品Pの長さL1を含む。ここでは、第2コンベア14により搬送される物品Pの長さL1は、物品Pが第2コンベア14により搬送される状態における、搬送方向Aにおける物品Pの長さである。
【0053】
なお、ここでは、入力装置60に、物品Pの規定重量Wtと、物品Pの長さL1と、がそれぞれ入力されるがこれに限定されるものではない。例えば、記憶部82には、物品Pの種類毎に、物品Pの規定重量Wt及び物品Pの長さL1の情報が記憶されており、取得部86は、入力装置60に入力された物品Pの種類を特定する識別子を取得してもよい。このように構成される場合にも、取得部86は、記憶部82を参照することで、物品Pの規定重量Wt及び物品Pの長さL1を取得できる。
【0054】
また、取得部86が取得する情報には、搬送装置10による物品Pの搬送速度Vを含む。取得方法を限定するものではないが、ここでは、入力装置60に、物品Pの搬送速度Vが入力される。なお、取得部86は、搬送装置10による物品Pの搬送速度Vの情報として、物品Pの搬送速度Vを特定可能な情報(例えば、第2駆動部18bのモータの回転数)を取得してもよい。
【0055】
(2-3-2)制御部
制御部84は、入力装置60に対して入力される指令や、取得部86が取得する、物品Pの規定重量Wt、物品Pの長さL1、及び搬送装置10による物品Pの搬送速度V等に基づいて、計量装置100の動作を制御する。
【0056】
例えば、制御部84は、入力装置60に対して運転指令が入力されると、第1コンベア12及び第2コンベア14による物品Pの搬送速度が、取得部86が取得した搬送速度Vになるように、第1駆動部18a及び第2駆動部18bの動作を制御する。
【0057】
また、例えば、制御部84は、ある物品Pが第2コンベア14により搬送されている際にロードセル28の出力する計量信号に基づいて、その物品Pの重量Wを算出する。具体的には、制御部84は、センサ25の検知結果、搬送装置10の搬送速度V、物品Pの長さL1に基づいて、物品Pの全体が第2コンベアベルト14a上に存在しているタイミングを検知する。制御部84は、物品Pの全体が第2コンベアベルト14a上に存在する間にロードセル28が出力する計量信号に基づき、物品Pの重量Wを算出する。制御部84による物品Pの重量Wの算出については後述する。
【0058】
また、例えば、制御部84は、算出した物品Pの重量が、許容重量範囲内であるかを判断する。例えば、制御部84は、算出した物品Pの重量Wが、許容最小重量(物品の規定重量Wt-α)と、許容最大重量(物品の規定重量Wt+β)と、の間の値であるかを判断する(α及びβは、設定済みの数値)。制御部84は、算出した物品Pの重量Wが許容重量範囲内であればその物品Pを合格品と判断し、算出した物品Pの重量Wが許容重量範囲外であればその物品Pを不合格品と判断する。
【0059】
(A)物品の重量の算出処理
制御部84による物品Pの重量Wの算出処理について説明する。まず、制御装置80の重量算出処理のための構成について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、制御装置80の重量算出処理のための構成のブロック図である。
【0060】
制御装置80は、アンプ182と、アナログフィルタ184と、A/D変換器186と、を含む。また、制御部84は、物品Pの重量の算出処理のための機能部として、信号処理部188を含む。
【0061】
アンプ182は、ロードセル28から入力された計量信号を増幅し、増幅信号としてアナログフィルタ184に出力する。アナログフィルタ184は、増幅信号から不要な高域成分を除去してアナログ信号として出力する。A/D変換器186は、アナログフィルタ184から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換して信号処理部188に出力する。信号処理部188は、所定の有限インパルス応答(FIR)型のフィルタ(以後、単にフィルタと呼ぶ)を用いて、デジタル信号をフィルタリングする。要するに、信号処理部188は、所定のフィルタを用いて、アンプ182、アナログフィルタ184、及びA/D変換器186により前処理をした計量信号(以後、前処理後の計量信号をロードセル28の計量信号と呼ぶ)をフィルタリングする。制御部84は、信号処理部188によりフィルタリングされたロードセル28の計量信号に基づいて物品Pの重量Wを算出する。
【0062】
なお、前述のように、ロードセル28は、第2コンベアベルト14aが物品Pを搬送している場合には、第2コンベア14の重量及び第2コンベア14上の物品Pの重量、を検出して計量信号を出力している。そのため、制御部84が、第2コンベアベルト14aが物品Pを搬送している場合に、ロードセル28からの計量信号に基づいてそのまま重量を算出すると、制御部84は、第2コンベア14と物品Pとの合計重量を算出することになる。そこで、制御部84は、実際に物品Pの重量の計量を開始する前に、第2コンベアベルト14a上に物品Pが存在しない状態でロードセル28が出力する計量信号に基づいて、ゼロ点を導出する処理を実施している。言い換えれば、制御部84は、実際に物品Pの重量の計量を開始する前に、第2コンベア14と第2コンベア14上の物品Pとの合計重量から、減じるべき第2コンベア14の重量を算出する処理を予め実施している。
【0063】
なお、信号処理部188が、ロードセル28の計量信号のフィルタリングを行う理由は、ロードセル28の計量信号に、計量装置100の固有振動や、計量装置100が使用しているモータ(例えば第2駆動部18bとして用いられるモータ)やローラ(例えば第2コンベア14の駆動ローラ144a及び従動ローラ144b)の回転振動などを原因とするノイズが含まれるためである。
【0064】
図6を参照して説明すると、ロードセル28の計量信号は、
図6に破線で示すように、振幅の比較的大きな振動成分(ノイズ)を含む信号である。物品Pの重量は、このような振動成分を含む計量信号からは精度良く算出できない。そこで、信号処理部188は、所定のフィルタを用いて、ロードセル28の計量信号をフィルタリングして(ノイズを低減して)、
図6に実線で示すような、ノイズの少ない信号(概ね、物品Pがロードセル28に作用させる力だけを示す信号)を取り出している。
【0065】
制御部84は、信号処理部188によるフィルタリング後の計量信号とゼロ点との差の値に基づいて、物品Pの重量Wを算出している。具体的には、制御部84は、物品Pの全体が第2コンベアベルト14a上に存在している期間の計量信号(
図6における実線の台地部分の計量信号)と、物品Pが第2コンベアベルト14a上に存在していない期間の計量信号との差の値に基づいて、物品Pの重量Wを算出している。
【0066】
なお、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数は、種々の条件により変化する。
【0067】
例えば、計量装置100の固有振動の周波数は、20~100Hz程度の比較的大きな周波数である。固有振動の周波数は、例えば、搬送装置10の搬送方向Aにおける第2コンベア14の長さLc1、搬送装置10の搬送方向Aに直交する方向における第2コンベア14の長さLc2、(
図3参照)、物品Pの規定重量Wt、搬送方向Aにおける物品Pの長さL1等により変化する。
【0068】
また、モータやローラの回転振動の周波数は、10~30Hz程度の比較的小さな周波数である。回転振動の周波数は、例えば、物品Pの搬送速度V(第2コンベアベルト14aの速度)、搬送装置10の搬送方向Aにおける第2コンベア14の長さLc1、搬送装置10の搬送方向Aに直交する方向における第2コンベア14の長さLc2、駆動ローラ144a及び従動ローラ144bの径、駆動ローラ144aの歯数、第2駆動部18bとして用いられるモータの歯数、第2コンベアベルト14aの全長等により変化する。例えば、ローラの振動の周波数は、第2コンベアベルト14aの速度[m/s]/ローラ径[m]×πで算出される。また、例えば、モータの振動の周波数は、ローラの振動の周波数×ローラの歯数/モータの歯数で計算される。
【0069】
このように、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数は常に同じではないことから、信号処理部188は、フィルタリングに使用するフィルタの設定が可変に構成されている。信号処理部188がフィルタリングに使用するフィルタの設定が可変な理由は、信号処理部188の使用するフィルタには、全ての周波数域のノイズを十分に低減可能な単一のフィルタ存在しないためである。
【0070】
なお、信号処理部188で設定可能なフィルタには、コンビネーションフィルタを含む。ここで、コンビネーションフィルタとは、複数のベースとなるフィルタを掛け合わせて生成されたフィルタである。コンビネーションフィルタを使用する利点について説明する。
【0071】
コンビネーションフィルタを使用しない場合には、以下のような問題が発生し得る。例えば、あるフィルタF1は、ある周波数H1[hz]以上の周波数のノイズの振幅は、十分(例えば1/10000以下)に低減可能であるが、周波数H1[hz]より小さな周波数のノイズの振幅の低減性能は著しく低下する。そのため、ロードセル28の計量信号のノイズの周波数に、周波数H1[hz]以下のものを含む場合には、フィルタF1を用いても十分なノイズの低減が期待できない。一方、他のフィルタF2は、周波数H1[hz]より小さなノイズの振幅も低減可能であるが、ノイズの振幅の低減性能がベースフィルタF1に比べて低い。そのため、フィルタF2を用いれば、周波数H1[hz]より小さな周波数のノイズも低減できる可能性があるが、一方で、周波数H1[hz]以上のノイズの振幅を、十分に低減できない可能性がある。
【0072】
これに対し、
図7に模式的に示すような、複数の特性の異なるフィルタを掛け合わせたコンビネーションフィルタを生成し、コンビネーションフィルタを用いてフィルタリングを行うことで、ある周波数以上の周波数のノイズについて十分に(例えば1/10000以下に)低減可能であって、なおかつ、その周波数より小さな周波数についても、所定の周波数については振幅を比較的大きく低減することが可能となる。
【0073】
精度の良い計量を行うためには、多数存在するフィルタの設定の中から、信号処理部188でどのフィルタの設定を用いるかを決定することが重要になる。しかし、一般に、熟練した技術者でなければ、精度の良い計量を行うために、多数存在するフィルタの設定の中から、適切なフィルタの設定を選択することは困難である。また、実際に計量装置100を運転して、信号処理部188が使用するフィルタの設定を決定する場合、フィルタの設定を決定するまでに長時間を要する。
【0074】
そこで、本願発明の計量装置の一例である計量装置100では、制御部84は、以下のようにして、信号処理部188で使用するフィルタの設定を決定している。
【0075】
(B)制御部のフィルタの設定の決定処理
ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数は、前述のように、物品Pの性状(物品Pの規定重量Wt又は搬送方向Aにおける物品Pの長さL1)、物品Pの搬送速度V、搬送方向Aにおける第2コンベア14の長さLc1、搬送方向Aに直交する方向における第2コンベア14の長さLc2、駆動ローラ144a及び従動ローラ144bの径、駆動ローラ144aの歯数、第2駆動部18bとして用いられるモータの歯数、第2コンベアベルト14aの全長、等により変化する。整理すれば、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数は、計量装置100の装置に固有の情報、計量装置100による物品Pの搬送速度V,及び物品Pの性状に応じて変化する。
【0076】
言い換えれば、計量装置100の装置に固有の情報、及び物品Pの性状(物品Pの規定重量Wt又は搬送方向Aにおける物品Pの長さL1)、計量装置100による物品Pの搬送速度Vが分かれば、計量装置100の設置場所の環境条件に基づく振動により生じるノイズを除き、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数を推測できる。さらに、ここでは、制御装置80を、物理的構成の異なる計量装置100に使用することは想定していないので、計量装置100の装置に固有の情報は変化しない。したがって、計量装置100では、物品Pの性状及び物品Pの搬送速度Vが分かれば、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数を概ね推測できる。言い換えれば、物品Pの性状及び物品Pの搬送速度Vが分かれば、信号処理部188がフィルタリングに使用するのに適したフィルタの設定を特定できる。
【0077】
そこで、制御部84は、以下のようにして、信号処理部188がフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定している。
【0078】
まず、前提として、制御装置80の記憶部82は、物品の性状(物品の重量及び搬送方向Aにおける物品の長さ)と、物品の搬送速度と、これらの条件に適したフィルタの設定と、を関連付けた情報(以後、第1情報と呼ぶ)を記憶している。ある物品の性状及びある物品の搬送速度に適したフィルタの設定とは、その性状の物品を、その搬送速度で第2コンベア14により搬送した時にロードセル28が出力する計量信号のノイズ低減に適したフィルタの設定を意味する。第1情報は、事前に、計量装置100のテスト機を用いた実験や、コンピュータを利用したシミュレーションや、理論的な計算を行うことで取得され、記憶部82に予め記憶されている情報である。
【0079】
制御部84は、取得部86が、物品Pの規定重量Wtと、物品Pの長さL1と、物品Pの搬送速度Vと、を取得した際(あるいは、物品Pの規定重量Wt、物品Pの長さL1、及び物品Pの搬送速度Vのいずれかが更新された際)、記憶部82に記憶されている第1情報を参照し、取得部86が取得した物品Pの規定重量Wt、物品Pの長さL1と、物品Pの搬送速度Vと、に対応するフィルタの設計を特定する。そして、制御部84は、特定したフィルタの設定を、信号処理部188がフィルタリングに使用するフィルタとして決定する。信号処理部188は、制御部の決定したフィルタの設定を使用して、ロードセル28の計量信号のフィルタリングを行う。
【0080】
(3)特徴
(3-1)
計量装置100は、搬送部の一例としての第2コンベア14と、検出部の一例としてのロードセル28と、取得部86と、制御部84と、を備える。第2コンベア14は、物品Pを受け取り搬送する。ロードセル28は、第2コンベア14の重量、又は、第2コンベア14が物品Pを搬送している場合には、第2コンベア14の重量及び第2コンベア14上の物品Pの重量、を検出して計量信号を出力する。取得部86は、第2コンベア14により搬送される物品Pの規定重量Wt又は第2コンベア14による物品Pの搬送速度Vと、第2コンベア14による搬送方向Aにおける物品Pの長さL1と、を取得する。制御部84は、取得部86が取得した、物品Pの規定重量Wt又は物品Pの搬送速度Vと、物品Pの長さと、に基づき、ロードセル28が検出する計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する。
【0081】
特に、本実施形態では、取得部86は、第2コンベア14により搬送される物品Pの規定重量Wtと、第2コンベア14による物品Pの搬送速度Vと、第2コンベア14による搬送方向Aにおける物品Pの長さL1と、を(すなわち3つのパラメータを)取得する。制御部84は、取得部86が取得した物品Pの規定重量Wt及び物品Pの長さに基づき、ロードセル28が検出する計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定する。
【0082】
計量装置100は、取得した、物品Pの規定重量Wt又は物品Pの搬送速度Vと、搬送方向Aにおける物品Pの長さL1に基づいて計量信号のフィルタリングに使用するフィルタの設定を決定するので、知識や経験を有する技術者ではなくても、高い計量精度を実現可能な適切なフィルタの設定を決定できる。
【0083】
(3-2)
計量装置100は、記憶部82を備える。記憶部82には、物品Pの規定重量又は物品Pの搬送速度Vと、物品Pの長さと、フィルタの設定と、が関連付けられた情報が記憶されている。特に本実施形態では、記憶部82には、物品Pの規定重量と、物品Pの搬送速度Vと、搬送方向Aにおける物品Pの長さL1と、フィルタの設定と、が関連付けられた情報が記憶されている。制御部84は、記憶部82に記憶されている情報に更に基づいて、フィルタの設定を決定する。
【0084】
計量装置100では、記憶部82に、物品Pの規定重量又は物品Pの搬送速度Vと、搬送方向Aにおける物品Pの長さL1と、適切なフィルタの設定とが関連付けて記憶されているため、計量装置100の実運転を行わなくても、適切なフィルタの設定を決定できる。
【0085】
(4)変形例
以下に本実施形態の変形例を示す。なお、以下で示す変形例は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【0086】
(4-1)変形例A
上記実施形態では、取得部86は、物品Pの規定重量Wtと、搬送装置10の搬送方向Aにおける物品Pの長さL1と、搬送装置10の物品Pの搬送速度Vを取得している。
【0087】
ただし、取得部86は、これらの全てを取得しなくてもよい。例えば、搬送装置10の搬送速度が可変ではない場合や、取得部86は、搬送装置10の搬送速度を取得しなくてもよい。
【0088】
また、例えば、取り扱う物品が同一である場合には、取得部86は、物品Pの規定重量を取得しなくてもよい。
【0089】
(4-2)変形例B
上記実施形態では、制御装置80を、物理的構成の異なる計量装置に使用することは想定していないが、これに限定されるものではない。制御装置80は、物理的構成の異なる(仕様の異なる)計量装置に使用されるものであってもよい。
【0090】
なお、ロードセル28の計量信号に含まれるノイズの周波数は、上述したように、計量装置100の装置に固有の情報、物品Pの性状、及び物品Pの搬送速度Vに応じて変化する。そのため、制御装置80が物理的構成の異なる計量装置にも使用される場合、信号処理部188が用いるフィルタの設定の決定のために、制御部84に、計量装置100の装置に固有の情報も提供されることが好ましい。
【0091】
そこで、制御装置80が、物理的構成の異なる計量装置に使用されるものである場合には、取得部86は、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報を更に取得することが好ましい。
【0092】
情報の内容を限定するものではないが、例えば、計量装置100の構成部品の振動特性に関する情報は、第2コンベア14の搬送方向Aにおける長さLc1の情報、第2コンベア14の搬送方向Aと直交する方向における長さLc2の情報、計量装置100に使用される部材の剛性の情報、駆動ローラ144a及び従動ローラ144bの径の情報、駆動ローラ144aの歯数の情報、第2駆動部18bとして用いられるモータの歯数の情報、第2コンベアベルト14aの全長の情報等を含む。なお、取得部86は、例示した計量装置100の構成部品の振動特性に関する情報の項目を全て取得しなくてもよい。例えば、計量装置100の構成部品の振動特性に与える影響が比較的小さい項目については、取得部86は、その項目についての情報を取得しなくてもよい。
【0093】
また、計量装置100の構成部品の振動特性に関する情報は、計量装置の種類を表す情報(例えば、計量装置の種類を表す型番)であってもよい。
【0094】
取得部86が計量装置の構成部品の振動特性に関する情報を取得する場合には、記憶部82には、物品の性状(物品の重量又は搬送方向Aにおける物品の長さ)と、物品の搬送速度と、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報と、これらの条件に適したフィルタの設定と、を関連付けた情報(以後、第1情報と呼ぶ)を記憶していることが好ましい。ある物品の性状、ある物品の搬送速度、及びある計量装置の構成部品の振動特性に適したフィルタの設定とは、その構成部品の振動特性に関する情報に対応する計量装置において、その性状の物品を、その搬送速度で、第2コンベア14により搬送した時にロードセル28が出力する計量信号のノイズ低減に適したフィルタの設定を意味する。
【0095】
そして、制御部84は、取得部86が物品Pの規定重量Wt又は物品Pの搬送速度Vと、物品Pの長さL1と、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報と、を取得した際(あるいは、いずれかの情報が更新された際)、記憶部82に記憶されている第1情報を参照し、取得部86が取得した物品Pの規定重量Wt又は物品Pの搬送速度Vと、物品Pの長さL1と、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報と、に対応するフィルタの設計を特定する。そして、制御部84は、特定したフィルタの設定を、信号処理部188がフィルタリングに使用するフィルタとして決定する。信号処理部188は、制御部の決定したフィルタの設定を使用して、ロードセル28の計量信号のフィルタリングを行う。
【0096】
また、制御装置80が物理的構成の異なる(仕様の異なる)計量装置に使用されることが無くても、制御装置80は、本変形例Bに示すように構成されていてもよい。このように構成される場合、例えば、部品交換により一部の部品の仕様が変更されたような場合にも、これに応じた適切なフィルタの設定の決定を行うことができる。
【0097】
(4-3)変形例C
上記実施形態の計量装置100は、搬送装置10と、検出装置20と、制御装置80とを有するが、計量装置100は、これら以外の構成を有する装置であってもよい。例えば、上記実施形態では、計量装置100の後段に、計量装置100とは別の振分装置が配置される例を説明しているが、計量装置100は、物品Pの計量結果に基づいて物品Pの振り分けを行う振分機構を有するものであってもよい。
【0098】
(4-4)変形例D
上記実施形態では、フィルタの一例としてFIRフィルタを例示したが、フィルタの種類はFIRフィルタに限定されるものではなく、計量信号のフィルタリングが可能な他のタイプのフィルタであってもよい。
【0099】
(4-5)変形例E
上記実施形態では、検出部(重量センサ)としてひずみゲージを有するロードセル28を備えた計量装置100について説明している。しかし、計量装置が有する検出部の種類は、ひずみゲージを用いるロードセルに限定されない。例えば、ロードセル28は、油圧式ロードセルや空気圧式ロードセルであってもよい。また、検出部は、音叉振動式重量センサ、電磁平衡式重量センサ、静電容量式重量センサ等の、ロードセル式以外の重量センサであってもよい。
【0100】
なお、異なる種類の検出部が用いられる可能性がある場合、検出部が出力する計量信号に含まれるノイズの周波数が変化し得る。また、同じタイプの検出部であっても(例えば、ひずみゲージを用いるロードセルであっても)、ひょう量やばね定数が異なる場合、検出部が出力する計量信号に含まれるノイズの周波数が変化し得る。
【0101】
そこで、制御装置80は、検出部の種類が異なる場合には(ここで、検出部の種類が異なる場合とは、同じタイプの検出部であっても、ひょう量やばね定数が異なる場合を含む)、取得部86は、検出部の種類に関する情報を取得することが好ましい。
【0102】
取得部86が検出部の種類に関する情報を取得する場合、記憶部82には、物品の性状(物品の重量、又は、搬送方向Aにおける物品の長さ)、検出部の種類に関する情報、物品の搬送速度、及び/又は計量装置の構成部品の振動特性に関する情報と、これらの条件に適したフィルタの設定と、を関連付けた情報(以後、第1情報と呼ぶ)を記憶していることが好ましい。条件に適したフィルタの設定とは、その条件で第2コンベア14により搬送した時に検出部が出力する計量信号のノイズ低減に適したフィルタの設定を意味する。
【0103】
そして、制御部84は、取得部86が物品Pの規定重量Wt又は物品Pの搬送速度Vと、物品Pの長さL1と、検出部の種類に関する情報と、必要に応じて、計量装置の構成部品の振動特性に関する情報と、を取得した際(あるいは、いずれかの情報が更新された際)、記憶部82に記憶されている第1情報を参照し、取得部86が取得した情報に対応するフィルタの設計を特定する。そして、制御部84は、特定したフィルタの設定を、信号処理部188がフィルタリングに使用するフィルタとして決定する。信号処理部188は、制御部の決定したフィルタの設定を使用して、ロードセル28の計量信号のフィルタリングを行う。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、搬送中の物品を計量する計量装置に広く適用でき有用である。
【符号の説明】
【0105】
14a 第2コンベア(搬送部)
28 ロードセル(検出部)
82 記憶部
84 制御部
86 取得部
100 計量装置
A 搬送方向
L1 物品の長さ
Lc1 搬送方向における搬送部の長さ
Lc2 搬送方向に直交する方向における搬送部の長さ
P 物品
V 搬送速度
Wt 規定重量
【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】