(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038923
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】モータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230310BHJP
H02P 5/00 20160101ALI20230310BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02P5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139102
(22)【出願日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】202122152249.2
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】300052246
【氏名又は名称】日本電産エレシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】長内 俊二郎
(72)【発明者】
【氏名】今里 諒
【テーマコード(参考)】
5H572
5H770
【Fターム(参考)】
5H572BB05
5H572DD01
5H572HA09
5H572HB07
5H572HC07
5H572LL22
5H770AA21
5H770DA03
5H770QA01
5H770QA08
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】第1系統と第2系統との干渉を低減すると共に、配置の複雑化を回避又は抑制し、コスト低減に寄与するモータ駆動システムを提供する。
【解決手段】本発明のモータ駆動システムは、インバータ部およびモータ端子部をそれぞれ含む第1系統および第2系統を備え、第1系統および第2系統のそれぞれのインバータ部は、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子および接地側のスイッチング素子を含むハーフブリッジが基板上に第1方向にモータの相数に対応した数だけ並列に並んで設けられ、第1系統および第2系統のモータ端子部と、第1系統のインバータ部と、第2系統のインバータ部とが基板上に第1方向に直交する第2方向に順に並んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ駆動システムであって,
第1系統及び第2系統を含み,
前記第1系統及び前記第2系統はそれぞれインバータ部及びモータ端子部を含み,
前記第1系統および前記第2系統のインバータ部において、互いに直列に接続された電源側スイッチング素子および接地側スイッチング素子を含むハーフブリッジは、前記モータの相数に応じた数だけ基板上に第1方向に並列に配置され、
前記第1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部と、前記第1系統の前記インバータ部と、前記第2系統の前記インバータ部とは、前記基板上において前記第1方向と直交する第2方向に順に配列されている、
ことを特徴とするモータ駆動システム。
【請求項2】
前記基板は、両面基板であり
前記基板の厚み方向一方側の面には、前記第1系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置され、
基板の厚み方向他方側の面には、第2系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項3】
前記基板には、電源端子及び接地端子が設けられ、
前記基板は、3層以上の多層構造を有し、
基板の内層には、第1系統および第2系統のハーフブリッジと電源端子および接地端子とを電気的に接続する回路パターンが設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項4】
少なくとも前記第2系統は、さらなるスイッチング素子をさらに有し、
前記第1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部と、前記第2系統の他のスイッチング素子と、前記第2系統の接地側のスイッチング素子と、前記第2系統の電源側のスイッチング素子とは、前記第2方向に沿ってこの順に配列されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項5】
前記第1系統は、他のスイッチング素子をさらに備え、
前記第1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部と、前記第1系統の電源側のスイッチング素子と、前記第1系統のグランド側のスイッチング素子と、前記第1系統の他のスイッチング素子と、前記第2系統の他のスイッチング素子と、前記第2系統のグランド側のスイッチング素子と、前記第2系統の電源側のスイッチング素子とは、前記第2方向に沿って順に配列されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動システム。
【請求項6】
前記第1系統の前記モータ端子部は、複数相の第1接続端子を含み
前記第2系統のモータ端子部は、複数相の第2接続端子を含み
前記複数相の第1接続端子及び前記複数相の第2接続端子のうちの一方に含まれる1つの接続端子と、前記複数相の第1接続端子及び前記複数相の第2接続端子のうちの他方に含まれる2つの接続端子とは、前記第1方向に順に配列されており、前記1つの接続端子と前記2つの接続端子との間のピッチは、前記2つの接続端子同士のピッチよりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項7】
前記第1系統の前記モータ端子部は、複数相の第1接続端子を含み
前記第2系統のモータ端子部は、複数相の第2接続端子を含み
前記複数相の第1接続端子のうちの一部の接続端子と前記複数相の第2接続端子のうちの一部の接続端子とは、前記第1方向に順に並んで第1列を形成し、前記複数相の第1接続端子のうちの残りの接続端子と前記複数相の第2接続端子のうちの残りの接続端子とは、前記第1方向に順に並んで前記第1列から前記第2方向に離間した第2列を形成し
前記第1列の前記第1接続端子及び前記第2接続端子の一方と、前記第2列の前記第1接続端子及び前記第2接続端子の他方とは、前記第2方向にずれている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項8】
前記基板には、前記第1系統の前記モータ端子部と前記第2系統の前記モータ端子部との間に、シールド線が接続されるシールド線接続端子部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項9】
前記基板には、前記第1系統及び前記第2系統のそれぞれの電源側の前記スイッチング素子と接地側の前記スイッチング素子との間に電流検出素子が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項10】
前記第1系統の電流検出素子は、前記モータ端子部に一番近い前記第1系統のスイッチング素子の前記第2方向の他方側に配置され、
前記第2系統の前記電流検出素子は、前記モータ端子部から一番離れた前記第2系統のスイッチング素子の第2方向の他方側の逆向きである一方側に配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のインバータの系統(インバータシステム)を備えるモータ制御装置では、複数のインバータシステム間で干渉問題が生じやすい。
【0003】
特許文献1には、インバータ系統間の干渉を低減するために、第1系統の電子部品と第2系統の電子部品とを基板の厚さ方向の両側で対向させ、ノイズを打ち消して干渉を低減する構成が開示されている。
【0004】
また、インバータ系統間の干渉を低減するために、特許文献2には、第1系統の電子部品と第2系統の電子部品とをそれぞれ基板の上側と下側に配置し、第1系統と第2系統のそれぞれにおいて、上側のスイッチング素子と下側のスイッチング素子とを上下方向に配列させるとともに、各相のスイッチング素子を上下方向に垂直な方向に配列させることにより、系統間の干渉を低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-187084号
【特許文献2】特開2016-036244号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、インバータ系統間の干渉を相殺するために、第1系統と第2系統とを完全に同期させる必要があるため、制御や回路構成が複雑化しやすく、コストアップを招くという問題がある。
【0007】
また、上記特許文献2の構成では、第1系統のモータ端子部と第2系統のモータ端子部とが、第1系統のスイッチング素子及び第2系統のスイッチング素子を上下方向に挟んで互いに離れているため、モータ端子部に接続するためのコネクタの数が増加し、コストアップを招くという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、第1系統と第2系統との干渉を低減しつつ、配置の複雑化を回避または抑制して低コスト化に寄与するモータ駆動システムおよびモータ装置を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、インバータ部及びモータ端子部をそれぞれ含む第1系統及び第2系統を含むモータ駆動システムであって、前記第1系統及び前記第2系統のそれぞれの前記インバータ部は、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子及び接地側のスイッチング素子を含むハーフブリッジが基板上に第1方向に並列に並べて設けられ、前記第1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部と、前記第1系統の前記インバータ部と、前記第2系統の前記インバータ部とが前記基板上に前記第1方向と直交する第2方向に順に並んでいるモータ駆動システムを提供する。
【0010】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、第1系統及び第2系統のそれぞれのインバータ部において、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子及び接地側のスイッチング素子を含むハーフブリッジが基板上にモータの相数に応じた数だけ第1方向に並列に並べて設けられ、第1系統のインバータ部及び第2系統のインバータ部が基板上に第1方向と直交する第2方向に並んでいるので、第1系統及び第2系統の干渉を低減し、配置の複雑化を回避して製造コストの低減に寄与すると共に、第1系統及び第2系統のモータ端子部、第1系統のインバータ部及び第2系統のインバータ部が基板上に第2方向に順次並んでいる、つまり、第1系統及び第2系統のモータ端子部が集中して配置されているので、モータ端子部に接続されるコネクタの数の低減に寄与して製造コストの一層の低減に寄与する。
【0011】
また、本発明のモータ駆動システムでは、前記基板は両面基板であり、前記基板の厚さ方向の一方側の面には、前記第1系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置され、前記基板の厚さ方向の他方側の面には、前記第2系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明のモータ駆動システムによれば、基板が両面基板であり、基板の厚さ方向の一方側の表面に第1系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置され、基板の厚さ方向の他方側の表面に第2系統のインバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンが配置されているので、インバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンに流れるノイズの低減に寄与する。
【0013】
また、本発明に係るモータ駆動システムでは、前記基板には、電源端子及びグランド端子が設けられており、前記基板は、3層以上の多層構造を有し、前記基板の内層には、前記第1系統及び前記第2系統のハーフブリッジと前記電源端子及び前記グランド端子とを電気的に接続する回路パターンが設けられていることが好ましい。
【0014】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、基板に電源端子及びグランド端子が設けられ、第1系統及び第2系統のハーフブリッジと電源端子及びグランド端子とを電気的に接続する回路パターンが基板に埋設されているので、インバータ部とモータ端子部とを接続する回路パターンに流れるノイズの低減に寄与する。
【0015】
また、本発明に係るモータ駆動システムでは、少なくとも前記第2系統は、他のスイッチング素子をさらに備え、前記第1系統及び前記第2系統の前記モータ端子部と、前記第2系統の他のスイッチング素子と、前記第2系統の接地側スイッチング素子と、前記第2系統の電源側スイッチング素子とは、前記第2方向に沿ってこの順に配置されていることが好ましい。
【0016】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、少なくとも第2系統が他のスイッチング素子をさらに有し、第1系統及び第2系統のモータ端子部と、第2系統の他のスイッチング素子と、第2系統の接地側のスイッチング素子と、第2系統の電源側のスイッチング素子とが第2方向に沿って順に配列されているので、第2系統の他のスイッチング素子がモータ端子部に近づき、電流経路を短くすることができる。
【0017】
また、本発明に係るモータ駆動システムでは、前記第1の系統は、他のスイッチング素子をさらに備え、前記第1の系統及び前記第2の系統の前記モータ端子部と、前記第1の系統の電源側のスイッチング素子と、前記第1の系統の接地側のスイッチング素子と、前記第1の系統の他のスイッチング素子と、前記第2の系統の他のスイッチング素子と、前記第2の系統の接地側のスイッチング素子と、前記第2の系統の電源側のスイッチング素子とは、前記第2の方向に沿ってこの順に並んでいることが好ましい。
【0018】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、第1系統が他のスイッチング素子を更に有し、第1系統及び第2系統のモータ端子部と、第1系統の電源側のスイッチング素子と、第1系統の接地側のスイッチング素子と、第1系統の他のスイッチング素子と、第2系統の他のスイッチング素子と、第2系統の接地側のスイッチング素子と、第2系統の電源側のスイッチング素子とが第2方向に順に配列されているので、第1系統の電源側のスイッチング素子が第2系統の他のスイッチング素子に近接して干渉するのを回避することができると共に、第2系統の他のスイッチング素子がモータ端子部に近接して電流経路を短くすることができる。
【0019】
また、本発明に係るモータ駆動システムでは、前記第1系統の前記モータ端子部は、複数相の第1接続端子を含み、前記第2系統の前記モータ端子部は、複数相の第2接続端子を含み、前記複数相の第1接続端子及び前記複数相の第2接続端子の一方に含まれる1つの接続端子と、前記複数相の第1接続端子及び前記複数相の第2接続端子の他方に含まれる2つの接続端子とは、順に前記第1方向に配列されており、前記1つの接続端子と前記2つの接続端子との間のピッチは、前記2つの接続端子同士のピッチよりも大きいことが好ましい。
【0020】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、第1系統のモータ端子部が複数相の第1接続端子を含み、第2系統のモータ端子部が複数相の第2接続端子を含み、複数相の第1接続端子及び複数相の第2接続端子の一方に含まれる1つの接続端子と、複数相の第1接続端子及び複数相の第2接続端子の他方に含まれる2つの接続端子とが順に第1方向に配列され、かつ、1つの接続端子と2つの接続端子との間のピッチが2つの接続端子同士のピッチよりも大きいので、第1方向に配列された第1系統と第2系統とが短絡するのを回避することができる。
【0021】
また、本発明のモータ駆動システムでは、前記第1系統の前記モータ端子部は、複数相の第1接続端子を含み、前記第2系統の前記モータ端子部は、複数相の第2接続端子を含み、前記複数相の第1接続端子のうちの一部の接続端子と前記複数相の第2接続端子のうちの一部の接続端子とが順に前記第1方向に並んで第1列を形成し、前記複数相の第1接続端子のうちの残りの接続端子と前記複数相の第2接続端子のうちの残りの接続端子とが順に前記第1方向に並んで前記第1列と前記第2方向に離間した第2列を形成し、前記第1列における前記第1接続端子及び前記第2接続端子の一方と、前記第2列における前記第1接続端子及び前記第2接続端子の他方とが前記第2方向にずれていることが好ましい。
【0022】
本発明のモータ駆動システムによれば、第1系統のモータ端子部は複数相の第1接続端子を含み、第2系統のモータ端子部は複数相の第2接続端子を含み、複数相の第1接続端子のうちの一部の接続端子と複数相の第2接続端子のうちの一部の接続端子とが順に第1方向に並んで第1列を形成し、複数相の第1接続端子のうちの残りの接続端子と複数相の第2接続端子のうちの残りの接続端子とが順に第1方向に並んで第1列と第2方向に離間した第2列を形成し、第1列における第1接続端子及び第2接続端子の一方と第2列における第1接続端子及び第2接続端子の他方とが第2方向にずれている、すなわち、第1列における第1接続端子及び第2接続端子の一方と第2列における第1接続端子及び第2接続端子の他方とが第2方向に対向していないので、第2方向に並んだ第1系統と第2系統との短絡を回避することができる。
【0023】
また、本発明のモータ駆動システムでは、前記基板には、前記第1系統の前記モータ端子部と前記第2系統の前記モータ端子部との間に、シールド線が接続されるシールド線接続端子部が設けられていることが好ましい。
【0024】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、基板上において、第1系統のモータ端子部と第2系統のモータ端子部との間に、シールド線が接続されるシールド線接続端子部が設けられているので、第1系統と第2系統との間の空間をシールド線接続部として利用することができる。
【0025】
また、本発明に係るモータ駆動システムでは、前記基板には、前記第1系統及び前記第2系統の電源側スイッチング素子と接地側スイッチング素子との間に電流検出素子が設けられていることが好ましい。
【0026】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、基板上において、第1系統及び第2系統の電源側スイッチング素子と接地側スイッチング素子との間に電流検出素子が設けられているので、第1系統の電流検出素子と第2系統の電流検出素子とを別々に配置することができ、電流検出素子間の干渉を低減して検出精度を向上させることができる。
【0027】
また、本発明のモータ駆動システムでは、前記基板には、前記第1及び第2の系統の一方のスイッチング素子に対して、前記第2の方向において前記第1及び第2の系統の他方とは反対側に、前記一方に対応する電流検出素子が設けられていることが好ましい。
【0028】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、第2方向において、第1系統及び第2系統の一方のスイッチング素子に対して第1系統及び第2系統の他方とは反対側の基板に、一方に対応する電流検出素子が設けられているので、電流検出素子同士の干渉をより低減することができ、検出精度をより向上させることができる。
【0029】
また、本発明のモータ駆動システムでは、前記第2方向から見て、前記第1系統の前記スイッチング素子と前記第2系統の前記スイッチング素子とが少なくとも部分的に重なっていることが好ましい。
【0030】
本発明に係るモータ駆動システムによれば、第2方向から見て、第1系統のスイッチング素子と第2系統のスイッチング素子とが少なくとも部分的に重なっているので、第1方向の小型化に寄与する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、第1系統および第2系統のそれぞれのインバータ部において、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子および接地側のスイッチング素子を含むハーフブリッジが、基板上にモータの相数に応じた数だけ並列に第1方向に並んで設けられ、第1系統のインバータ部および第2系統のインバータ部が、基板上に第1方向と直交する第2方向に並んでいるので、第1系統および第2系統の干渉を低減し、配置の複雑化を回避して製造コストの低減に寄与する。第1系統および第2系統のモータ端子部、第1系統のインバータ部および第2系統のインバータ部が基板上に第2方向に順に並んでいる、つまり、第1系統および第2系統のモータ端子部が集中して配置されているので、モータ端子部に接続されるコネクタの数の低減に寄与して製造コストのさらなる低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ駆動システムを模式的に示す平面図であり、2つの矢印は、第1系統及び第2系統における電流の流れる方向を示している。
【
図2】
図2は、本発明の変形例1に係るモータ駆動システムを模式的に示す平面図であり、2つの矢印は、第1系統及び第2系統における電流の流れる方向を示している。
【
図3】
図3は、本発明の変形例2に係るモータ駆動システムを模式的に示す平面図であり、2つの矢印は、第1系統及び第2系統における電流の流れる方向を示している。
【
図4】
図4は、本発明の変形例3に係るモータ駆動システムを模式的に示す平面図であり、2つの矢印は、第1系統及び第2系統における電流の流れる方向を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係るモータ駆動システムを模式的に示す平面図である
図1を参照して、本発明の一実施形態に係るモータ駆動システムについて説明する。ここでは、説明の便宜上、互いに直交する2方向をX方向及びY方向とし、X方向の一方側をX1、X方向の他方側をX2、Y方向の一方側をY1、Y方向の他方側をY2とし、X方向及びY方向はそれぞれ基板30の厚さ方向に直交するものとする。
【0034】
図1に示すように、モータ駆動システム1は、車両に用いられ、モータMを駆動する第1系統10及び第2系統20を備え、第1系統10及び第2系統20は、それぞれインバータ部11、21及びモータ端子部12、22を備えている。
【0035】
そして、
図1に示すように、第1系統10及び第2系統20のそれぞれのインバータ部11、21には、互いに直列に接続された電源側(ハイサイド側と称する場合もある)のスイッチング素子111、211と接地側(ローサイド側と称する場合もある)のスイッチング素子112、212とからなるハーフブリッジが、基板30上にモータMの相数に対応した数だけ並列にX方向(第1方向に相当)に並べて設けられており、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22と、第1系統10のインバータ部11と、第2系統20のインバータ部21とが基板30上にY方向(第2方向に相当)に順に並んでいる。
【0036】
また、
図1に示すように、Y方向から見たときに、第1系統10のスイッチング素子111、112と第2系統20のスイッチング素子211、212とは、少なくとも一部が重なっている。
【0037】
ここで、モータMは、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを含む三相モータである。
【0038】
これに対応して、第1系統10のインバータ部11では、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子111(例えばFETである電界効果トランジスタからなる)と接地側のスイッチング素子112(例えばFETである電界効果トランジスタからなる)とからなるハーフブリッジが基板30上に並列にX方向に3個並んで設けられている(図示の例ではX1方向からX2方向に向かってU相ハーフブリッジ、V相ハーフブリッジ及びW相ハーフブリッジの順に並んでいる)。
【0039】
同様に、第2系統20のインバータ部21では、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子211(例えばFETである電界効果トランジスタからなる)と接地側のスイッチング素子212(例えばFETである電界効果トランジスタからなる)とからなるハーフブリッジが、基板30上に並列にX方向に3個並んで設けられている(図示の例ではX1方向からX2方向に向かってU相ハーフブリッジ、V相ハーフブリッジ及びW相ハーフブリッジの順に並んでいる)。
【0040】
また、
図1に示すように、第1系統10は、他のスイッチング素子113(例えば、FETである電界効果トランジスタで構成され、車両の電子制御ユニットであるECUが故障した場合にステアリングがロックされることからアクチュエータを保護するために用いられる)を有し、第2系統20は、他のスイッチング素子213(例えば、FETである電界効果トランジスタで構成され、車両の電子制御ユニットであるECUが故障した場合にステアリングがロックされることからアクチュエータを保護するために用いられる)を有する。
【0041】
また、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22と、第1系統10の電源側のスイッチング素子111と、第1系統10の接地側のスイッチング素子112と、第1系統10の他のスイッチング素子113と、第2系統20の他のスイッチング素子213と、第2系統20の接地側のスイッチング素子212と、第2系統20の電源側のスイッチング素子211とは、Y方向に沿って順に並んでいる(図示の例では、Y2方向側からY1方向側に向かって順に並んでいる)。
【0042】
また、
図1に示すように、第1系統10のモータ端子部12は、複数相の第1接続端子121(図示の例では、U相第1接続端子121U、V相第1接続端子121V、W相第1接続端子121Wの3つ)を含み、第2系統20のモータ端子部22は、複数相の第2接続端子221(図示の例では、U相第2接続端子221U、V相第2接続端子221 V、W相第2接続端子221Wの3つ)を含む。
【0043】
そして、複数相の第1接続端子121及び複数相の第2接続端子221のうちの一方に含まれる1つの接続端子(図示の例では、W相第1接続端子121W、W相第2接続端子221W)と、複数相の第1接続端子121及び複数相の第2接続端子221のうちの他方に含まれる2つの接続端子(図示の例では、U相第2接続端子221U、V相第2接続端子221 V及びU相第1接続端子121U、V相第1接続端子121V)とが、この順にX方向に配列されており、上記1つの接続端子と上記2つの接続端子との間のピッチが、上記2つの接続端子同士のピッチよりも大きくなっている。
【0044】
また、
図1に示すように、複数相の第1接続端子121のうちの一部の接続端子と複数相の第2接続端子221のうちの一部の接続端子とが順にX方向に並んで第1列L1を形成しており(図示の例では、W相第1接続端子121W、U相第2接続端子221U及びV相第2接続端子221Vが第1列L1においてX1方向からX2方向に向かって順に並んでいる)、複数相の第1接続端子121のうちの残りの接続端子と複数相の第2接続端子221のうちの残りの接続端子とが順にX方向に並んで第1列L1とY方向に離間した第2列L2を形成している(図示の例では、U相第1接続端子121U、V相第1接続端子121V及びW相第2接続端子221Wが第2列L2においてX1方向からX2方向に向かって順に並んでいる)。
【0045】
また、第1列L1における第1接続端子121及び第2接続端子221の一方と、第2列L2における第1接続端子121及び第2接続端子221の他方とは、Y方向にずれている(すなわち、Y方向に対向しておらず、例えば、V相第1接続端子121Vは、Y方向にU相第2接続端子221Uと対向していない)。
【0046】
そして、第1列L1における一部の第1接続端子121(図では、W相第1接続端子121W)と第2列L2における一部の第1接続端子121(図では、U相第1接続端子121U)とがY方向に対向し、第1列L1における一部の第2接続端子221(図では、V相第2接続端子221V)と第2列L2における一部の第2接続端子221(図では、W相第2接続端子221W)とがY方向に対向している。
【0047】
また、
図1に示すように、基板30上には、第1系統10及び第2系統20それぞれの電源側のスイッチング素子111、211と接地側のスイッチング素子112、212との間に電流検出素子119、219(図では、U相電流検出素子119U、219U、V相電流検出素子119V、219V及びW相電流検出素子119W、219Wを含む)が設けられている。
【0048】
また、基板30は、例えば両面基板であり、基板30の厚み方向(X方向及びY方向に直交する)の一方側の表面には、第1系統10のインバータ部11とモータ端子部12とを接続する回路パターンが配置され、基板30の厚み方向の他方側の表面には、第2系統20のインバータ部21とモータ端子部22とを接続する回路パターンが配置されている。
【0049】
また、
図1に示すように、基板30には、電源端子40(図示の例では第1系統電源端子41と第2系統電源端子42とを含む)とグランド端子50(図示の例では第1系統グランド端子51と第2系統グランド端子52とを含む)とが更に設けられており、基板30は3層以上の多層構造となっており、基板30の内層には第1系統10と第2系統20のハーフブリッジと電源端子40及びグランド端子50とを電気的に接続する回路パターンが設けられている。
【0050】
また、
図1に示すように、モータMは、ワイヤハーネスWにより図示しないコネクタを介して第1系統10のモータ端子部12及び第2系統20のモータ端子部22と電気的に接続されている(図示の例では第1系統10のモータ端子部12に対応するワイヤハーネスWのみを示し、第2系統20のモータ端子部22に対応するハーネスは省略している)。
【0051】
具体的には、ワイヤハーネスWは、第1系統10のモータ端子部12に含まれる各相の第1接続端子121と、第2系統20のモータ端子部22に含まれる各相の第2接続端子221とにそれぞれ対応する接続線WCを含む。
【0052】
また、
図1に示すように、基板30には、第1系統10のモータ端子部12と第2系統20のモータ端子部22との間にシールド線接続端子部60(図示の例では第1系統シールド端子部61と第2系統シールド端子部62とを含む)が設けられている。
【0053】
また、ワイヤハーネスWは、シールド線接続端子部60に接続されたシールド線WS(図示の例では、第1系統シールド端子部61に接続されたシールド線WSのみ図示)を備えており、接続線WCとシールド線WSとが例えば束ねられている。
【0054】
本実施形態のモータ駆動システム1によれば、第1系統10及び第2系統20のそれぞれのインバータ部11、21において、互いに直列に接続された電源側のスイッチング素子111、211及び接地側のスイッチング素子112、212からなるハーフブリッジが、基板30上でモータMの相数に応じた数だけ並列にX方向に並設され、第1系統10のインバータ部11及び第2系統20のインバータ部21が基板30上でX方向と直交するY方向に配列されているので、第1系統10及び第2系統20の干渉の低減、配置の複雑化を回避して製造コストの低減に寄与するとともに、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22、第1系統10のインバータ部11及び第2系統20のインバータ部21が基板30上でY方向に順次配列されている、つまり、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22が集中して配置されているので、モータ端子部12、22に接続されるコネクタの数の低減(例えば、1つのコネクタで第1系統のモータ端子部と第2系統のモータ端子部とを同時に接続できる)に寄与して製造コストの一層の低減に寄与する。
【0055】
また、第1系統10と第2系統20とがそれぞれ電流検出素子119、219を備えている場合、第1系統10の電流検出素子119に電流が流れると、第1系統10の電流検出素子119の周囲に磁界が発生し、このとき、第2系統20の電流検出素子219に磁束が入ると、電流検出素子219は上記磁束に抗して電圧を発生し、電圧が発生すると、CPU等は第2系統20の電流検出素子219にも電流が流れていることを誤検出する。
【0056】
しかしながら、本実施形態のモータ駆動システム1によれば、基板30上において、第1系統10及び第2系統20がそれぞれ電源側のスイッチング素子111、211と接地側のスイッチング素子112、212との間に電流検出素子119、219を設けているので、第1系統10の電流検出素子119と第2系統20の電流検出素子219とを離して配置することができ、電流検出素子119、219同士の干渉を低減して検出精度を向上させることができる。
【0057】
以上、図面を参照して本発明を例示的に説明したが、本発明の具体的な実施形態は上記実施形態に限定されないことは明らかである。
【0058】
例えば、上記実施形態では、モータMは3相を有しているが、たじまがMとなる相数はこれに限定されない。
【0059】
また、上記実施形態において、第1系統10及び第2系統20における電子部品は、
図2に示すように、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22と、第1系統10の他のスイッチング素子113と、第1系統10の接地側のスイッチング素子112と、第1系統10の電流検出素子119と、第1系統10の電源側のスイッチング素子111と、第2系統20の他のスイッチング素子213と、第2系統20の接地側のスイッチング素子212と、第2系統20の電流検出素子219と、第2系統20の電源側のスイッチング素子211とがY方向に沿って順に並ぶ(図示の例ではY2方向側からY1方向側に向かって順に並ぶ)レイアウトを採用してもよい。
【0060】
ただし、この場合、第1系統10の電源側のスイッチング素子111に第2系統200の他のスイッチング素子213が近接しているため、上記実施形態と比較してノイズが発生しやすい。
【0061】
また、上記実施形態において、第1系統10及び第2系統20における電子部品は、
図3に示すように、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22と、第1系統10の電源側のスイッチング素子111と、第1系統10の電流検出素子119と、第1系統10の接地側のスイッチング素子112と、第1系統10の他のスイッチング素子113と、第2系統20の電源側のスイッチング素子211と、第2系統20の電流検出素子219と、第2系統20の接地側のスイッチング素子212と、第2系統20の他のスイッチング素子213とがY方向に沿って順に並ぶ(図示の例では、Y2方向側からY1方向側に向かって順に並ぶ)レイアウトを採用してもよい。
【0062】
ただし、この場合には、第2系統200の他のスイッチング素子213とモータ端子部22との間の電流経路が長くなるとともに、第2系統200の電源側のスイッチング素子211が第1系統10の他のスイッチング素子113に近接するため、上記実施形態に比べてノイズが発生しやすくなる。
【0063】
また、上記実施形態において、第1系統10及び第2系統20における電子部品は、
図4に示すように、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22と、第1系統10の他のスイッチング素子113と、第1系統10の接地側のスイッチング素子112と、第1系統10の電流検出素子119と、第1系統10の電源側のスイッチング素子111と、第2系統20の電源側のスイッチング素子211と、第2系統20の電流検出素子219と、第2系統20の接地側のスイッチング素子212と、第2系統20の他のスイッチング素子213とがY方向に沿って順に並ぶ(図示の例ではY2方向側からY1方向側に向かって順に並ぶ)レイアウトを採用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、第1系統10の電流検出素子119は、第1系統10及び第2系統20のモータ端子部12、22に一番近い第1系統10のスイッチング素子のY方向の他方側に配置され、第2系統20の電流検出素子219は、モータ端子部12、22から一番離れた第2系統20のスイッチング素子のY方向の一方側に配置されてもよい。
【0065】
この場合、ノイズの更なる低減に寄与するが、上記実施形態と比較して、回路パターンの複雑化、回路パターンの長さ増大、基板のサイズ増大等の問題を招きやすい。
【0066】
また、上記実施形態では、基板30を両面基板とし、3層以上の多層構造としたが、これに限定されず、基板30を片面基板としてもよいし、その層数を2層以下としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、基板30上に、他のスイッチング素子113、他のスイッチング素子213、電源端子40、グランド端子50、及び電流検出素子119、219が設けられているが、これに限らず、場合によっては、他のスイッチング素子113、他のスイッチング素子213、電源端子40、グランド端子50、及び電流検出素子119、219の一部又は全部を省略してもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、Y方向に沿って見たときに、第1系統10のスイッチング素子111、112と第2系統20のスイッチング素子211、212とが少なくとも部分的に重なるようにしたが、これに限らず、場合によっては、Y方向に沿って見たときに、第1系統10のスイッチング素子111、112と第2系統20のスイッチング素子211、212とが重ならないようにしてもよい。
【0069】
本発明は、その範囲内において、実施形態における各部を自由に組み合わせたり、実施形態における各部を適宜変形、省略したりすることが可能であることを理解されたい。
【符号の説明】
【0070】
1 モータ駆動システム
10 第1システム
11 インバータ部
111 電源側スイッチング素子
112 接地側スイッチング素子
113 他のスイッチング素子
119 電流検出素子
119U U相電流検出素子
119V V相電流検出素子
119W W相電流検出素子
12 モータ端子部
121 第1接続端子
121U U相第一接続端子
121V V相第1接続端子
121W W相第1接続端子
20 第2システム
21 インバータ部
211 電源側スイッチング素子
212 接地側スイッチング素子
213 他のスイッチング素子
219 電流検出素子
219U U相電流検出素子
219V V相電流検出素子
219W W相電流検出素子
22 モータ端子部
221 第2接続端子
221U U相第二接続端子
221V V相第2接続端子
221W W相第2接続端子
30 基板
40 電源端子
41 第1システム電源端子
42 第2システム電源端子
50 接地端子
51 第1システムグランド端子
52 第2系統グランド端子
60 シールド線接続端子部
61 第1系統シールド端子部
62 第2系統シールド端子部
L1 第1列
L2 第2列
W ワイヤハーネス
WC 接続線
WS シールド線
M モータ