(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038938
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】システムコンポーネント、ミニPC、及びシステムコンポーネントの作動方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/26 20060101AFI20230310BHJP
G06F 1/28 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
G06F1/26 303
G06F1/28
G06F1/26 306
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022141559
(22)【出願日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】10 2021 123 118.3
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アポストロス・バルトス
(72)【発明者】
【氏名】ダニヤル・ノール
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・クラウス
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011DB20
5B011DB21
5B011DB27
5B011EA02
5B011FF02
5B011GG03
5B011JB10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作において高い効率を有し、動作電力を少なくとも1つの電力消費部に選択的に供給するための供給回路を有するシステムコンポーネント、その作動方法及びミニPCを提供する。
【解決手段】システムコンポーネント11は、電力消費部12と、異なる電源15a~15nからの動作電力を1以上の電力消費部に選択的に供給する供給回路13とを備える。供給回路は、第1供給路を優先される電源に選択的に接続する入力を有する第1供給路14aと、少なくとも1つの別の、夫々が対応する別の電源に各供給路を選択的に接続する入力を有する供給路14b~14nと、第1供給路の出力と別の供給路の出力とに結合され、1以上の電力消費部に動作電力を供給する供給ライン16と、第1入力が優先される電源に接続されている場合に、別の供給路を遮断するスイッチング素子18b~18nと、を含む。第1供給路の入力は、供給ラインに電気的に直接接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にミニPC用のシステムコンポーネントであり、電力消費部と、異なる電源からの動作電力を少なくとも1つの前記電力消費部に選択的に供給する供給回路とを備えているシステムコンポーネントであって、
前記供給回路は、
第1供給路を優先される電源に選択的に接続する入力を有する第1供給路と、
少なくとも1つの別の供給路であり、それぞれの別の供給路が、対応する別の電源に供給路を選択的に接続する入力を有する、少なくとも1つの別の供給路と、
前記第1供給路の出力と、少なくとも1つの前記別の供給路の出力とに結合され、少なくとも1つの前記電力消費部に動作電力を供給する供給ラインであり、前記第1供給路の前記入力は、供給ラインに電気的に直接接続される、供給ラインと、
第1入力が前記優先される電源に接続されている場合に、少なくとも1つの前記別の供給路を遮断する少なくとも1つのスイッチング素子とを含む、システムコンポーネント。
【請求項2】
前記供給回路はさらに、少なくとも1つの検出回路を含み、
少なくとも1つの前記検出回路は、前記第1供給路に結合され、少なくとも1つの前記検出回路は、前記第1入力が所定の電圧電位、特に接地電位に接続されている場合に、電源が前記第1供給路に接続されていることを示すように構成されている、請求項1記載のシステムコンポーネント。
【請求項3】
前記第1入力は、前記優先される電源を接続するための第1コネクタに接続され、
前記検出回路は、前記第1コネクタの第1接続ピンが前記第1コネクタの第2接続ピンに電気的に接続されている場合に、前記第1供給路に電源が接続されていることを示すように構成されている、請求項2記載のシステムコンポーネント。
【請求項4】
前記供給回路はさらに、少なくとも1つの制御回路を含み、少なくとも1つの前記制御回路は、前記検出回路と少なくとも1つの前記スイッチング素子とに接続され、
前記制御回路は、前記第1入力が前記優先される電源に接続されている場合に、少なくとも1つの前記スイッチング素子によって少なくとも1つの前記別の供給路を遮断するように構成される、請求項2記載のシステムコンポーネント。
【請求項5】
前記制御回路は、プルアップ抵抗器と、プルダウン抵抗器と、少なくとも1つの前記スイッチング素子を制御するための少なくとも1つのトランジスタとを含み、
前記プルアップ抵抗器は、対応する供給路の供給ラインに接続され、
前記プルダウン抵抗器は、接地電位及び/又は第1接続ピンに接続され、
前記トランジスタの制御端子は、前記プルアップ抵抗器と前記プルダウン抵抗器との間のノードに接続されている、請求項4記載のシステムコンポーネント。
【請求項6】
少なくとも1つの前記スイッチング素子、特にパワー半導体が、前記別の供給路のそれぞれに配置され、前記第1入力が前記優先される電源に接続された場合に、対応する供給路を前記スイッチング素子が遮断する、請求項1記載のシステムコンポーネント。
【請求項7】
前記供給回路はさらに、少なくとも1つの選択回路を含み、少なくとも1つの前記選択回路は、前記別の供給路の前記スイッチング素子に結合され、
前記選択回路は、前記第1入力が前記優先される電源に接続されていない場合に、前記別の供給路のうちの1つを選択するように構成され、所定のスイッチング論理の関数として動作電力を供給し、前記選択回路は、前記別の供給路を対応するスイッチング素子によって遮断するように構成される、請求項6記載のシステムコンポーネント。
【請求項8】
前記選択回路は、前記別の供給路を介して供給された電圧の大きさを比較し、最大の電圧が供給される供給路を選択するように構成されている、請求項7記載のシステムコンポーネント。
【請求項9】
前記選択回路は、所定の順序で、前記別の供給路のうちのどれが電圧を供給するかをチェックするように構成され、所定の順序で、電圧を供給する前記第1供給路を選択するように構成されている、請求項7記載のシステムコンポーネント。
【請求項10】
ハウジングと、前記ハウジングの中に配置されている請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシステムコンポーネントとを備えている、ミニPC。
【請求項11】
電源の設置のためのモジュール領域と、
前記モジュール領域の中に配置され、前記モジュール領域で受容した電源を接続する前記第1供給路に結合された第1コネクタとをさらに備えている、請求項10記載のミニPC。
【請求項12】
さらに、前記モジュール領域に配置され、前記第1コネクタに結合されている内部電源を備えている、請求項11記載のミニPC。
【請求項13】
前記別の供給路の前記入力は、以下の入力コンポーネント、即ち、外部電源を接続するための2ピンコネクタ、USBコネクタ、特にUSB-Cコネクタ、ネットワークコネクタ、及び無線給電を提供する誘導回路のうちの少なくとも1つに結合される、請求項10記載のミニPC。
【請求項14】
電気消費部を含むシステムコンポーネントの作動方法であって、
第1の優先される電源が前記システムコンポーネントに接続されているか否かを検証するステップと、
第1の前記優先される電源が前記システムコンポーネントに接続されている場合に、第1の前記優先される電源を介して実際に作動電力が供給されるか否かにかかわらず、作動電力を供給するように構成された少なくとも1つの別の供給路を遮断するステップと、
第1の前記優先される電源が前記システムコンポーネントに接続されていない場合に、少なくとも1つの前記別の供給路を介して動作電力を選択的に供給するステップとを備えている作動方法。
【請求項15】
さらに、前記優先される電源が前記システムコンポーネントに接続されていない場合に、所定の選択基準に応じて、特に、前記別の供給路のそれぞれを介して供給された電圧の存在及び/又は大きさに応じて、動作電力を供給するように構成されている前記別の供給路を選択するステップを備えている、請求項14記載の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システムコンポーネントに関し、少なくとも1つの電力消費部と、異なる電源からの動作電力を少なくとも1つの電力消費部に選択的に供給する供給回路とを備えている、特にミニPC用のシステムコンポーネントに関する。本発明はさらに、このようなシステムコンポーネントを含むミニPC、及びこのようなシステムコンポーネントの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるミニPCのような電子装置は、様々な電源から動作に必要な電流を受容することができる。例えば、そのような電子装置は、内蔵又は外部の専用電源によって、例えば動作電力、例えば動作電圧及び電流を供給することができる。又は、装置に接続された周辺装置を介して共供給することができる。特に、複数の電源が同時に電子装置に接続される場合に、通常、接続された電源のうちのどれを使用して電子装置に電力を供給するかを、選択しなければならない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、動作電力を少なくとも1つの電力消費部に選択的に供給するための供給回路を有するシステムコンポーネントを述べることである。好ましくは、供給回路は、特に単純な構成であるべきであり、動作において高い効率を有するべきである。
【0004】
添付の図面を参照して、本発明の異なる実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】複数の電源に接続できる第1電子装置の概略図を示す。
【
図2】複数の電源に接続できる第2電子装置の概略図を示す。
【
図3】電子装置の、組み合わせた検出、選択及び制御回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
実施形態の説明では、理解に役立つ限りで、異なる実施形態の同一又は類似のコンポーネントに対して同一の参照記号が使用される。さらに、同じ又は類似のコンポーネントの異なる例は、アルファベットの接尾辞で区別される。接尾辞が省略される場合に、各コンポーネントの全ての例を参照するものとする。
【0007】
請求項に係る発明の様々な実施形態を詳細に説明する前に、
図5は、まず、複数の可能な電源によって電子装置の電力消費部に選択的に供給する可能な構成を説明するために使用される。
【0008】
図5は、複数の電源55aないし55nに接続された電子装置50を備える構成を示す。原理的には、各電源55aないし55nは、電子装置50の内部電力消費部52に必要な動作電力、例えば動作電圧及び電流を供給するのに適している。
【0009】
異なる電源55aないし55n間の相互干渉を回避するために、電源55aないし55nのうちのただ1つが、常に電力消費部52に供給するように選択される。この目的のために、各電源55aないし55nに対して、電子装置50は、監視及び選択回路59aないし59nと、制御回路56aないし56nと、スイッチング素子58aないし58nとをそれぞれ備えている。監視及び選択回路59のそれぞれは、所望の動作電圧を供給するために、関連する電源55を監視する。さらに、電源55aないし55nのうちいくつかが動作電力、例えば動作電圧及び/又は電流を並列に供給する場合には、電源55aないし55nのうちのただ1つが電力消費部52に供給するように選択されるように、監視及び選択回路59のそれぞれが互いに協調する。監視及び選択回路59は、それに関連する制御回路56を制御し、それぞれのスイッチング素子58によって、それぞれのソース51と電力消費部52との間の対応する供給路54を有効化する。
【0010】
図5を参照して説明した回路は、電子装置50に供給するための機能要件を満たしているが、それを実現するために必要な回路は比較的高度である。これに加えて、供給路54に設けられたスイッチング素子58は、電力散逸を引き起こし、これは、電子装置50のエネルギー効率を低下させる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による電子装置10の一実施形態を示す。電子装置10は、その上に配置された電力消費部12を有するシステムコンポーネント11を備えている。さらに供給回路13は、システムコンポーネント11に配置されている。可能な電源15aないし15nと共通の供給ライン16との間の複数の供給路14aないし14nのうちの1つを選択するために、供給回路13が使用される。典型的には、各供給路14は、少なくとも2つの供給ライン、例えば、動作電圧ラインと接地ラインとを含み、又は正及び負の動作電圧ラインを含む。もちろん、例えば、追加的な供給電圧を選択的に供給するために、別の供給ラインと制御ラインとを設けることもできる。
【0012】
図1による電子装置10は、特に、
図5による電子装置50とは異なり、第1供給路14aが設けられ、これは、関連する優先される電源15aを供給ライン16に電気的に直接的に接続する。この文脈で、「電気的に直接的に」とは、第1供給路14aを遮断するために、特にトランジスタ又はリレー及びダイオードが第1供給路14aの途中に設けられていないことを意味する。
【0013】
第1供給路14aを設けることで、関連する優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されている場合に、電子装置10のエネルギー効率を向上させることができる。特に、パワー半導体で典型的に生じる電圧降下、又はリレーを駆動するのに必要な制御電圧に典型的に生じる電圧降下は、除去される。これに加えて、少なくとも第1供給路14aについては、その実施に必要なコンポーネントの要件が低減される。
【0014】
図1による例示的な実施形態では、電源15aないし15nのいくつかが同時に電力消費部12に接続されないことを追加的に保証するために、さらに検出回路17が提供される。検出回路17は、優先される電源15aが第1供給路14aの入力(即ち、第1入力)に接続されているか否かを示す。検出回路17が、優先される電源15aの第1供給路14aへの接続を検出した場合には、別の供給路14bないし14nが遮断される。検出回路17が、優先される電源15aが第1供給路14aに接続されていないことを検出した場合に、電力消費部12に電力を供給するために、別の供給路14bないし14nのうちの1つが選択できる。
【0015】
図示の実施形態では、別の供給路14bないし14nのそれぞれは、この目的のためにスイッチング素子18bないし18nを有し、これを介して、それぞれの供給路14bないし14nを選択的に確立又は遮断することができる。これらは、例えば、MOSFETのようなパワートランジスタ、又はリレーであってよい。
【0016】
図1は、別の供給路14bないし14nごとに1つのスイッチング素子18bないし18nを示す。しかし、これに代えて、又はこれに加えて、選択及びマルチプレクサ回路19が提供されてよい。選択及びマルチプレクサ回路19は、個々の電源15bないし15nを互いに切り離し、同時に、電力消費部12に供給するための別の供給路14bないし14nのうちのただ1つを選択する。この場合に、別の供給路14bないし14nのいくつか又は全ての中のスイッチング素子は省略してよい。反対に、別の入力の全てが能動的に切り替えられた場合に、マルチプレクサ回路19は、受動バスバーとして省略又は形成することができる。
【0017】
さらに、別の、優先されていない電源15bないし15nの選択は、例えば、選択及びマルチプレクサ回路19に実施された論理によって行ってよい。例えば、別の供給路14bないし14nに個別の優先順位を割り当て、最も高い優先順位を有する供給路14に接続された電源15を供給するように選択してよい。これに代えて、さらに、別の供給路14bないし14nのうちの1つを介して最高電圧レベルを供給する電源15を選択してよい。
【0018】
記載される例示的な実施形態では、優先される電源15aが第1供給路14aに接続されているが、電力消費部12に供給する動作電圧又は動作電流を供給しない場合に、別の供給路14bないし14nも遮断される。このようなスイッチング論理は、特に、優先される電源がユーザによってオフにされたときに電子装置10が意図せずにオンになるのを防止することを意図しているが、動作電力、例えば動作電圧及び/又は電流は、別の供給路14を介して、例えば周辺装置の接続部から供給される。また、電力消費部12に供給するために、動作電圧又は電力を、優先される電源15aが実際に供給している場合にのみ、別の供給路14bないし14nを所望の機能性に応じて遮断してよい。
【0019】
図2は、ミニPC20の形態の別の電子装置を示す。ミニPCは、システムボード21の形態のシステムコンポーネントを含み、システムボード21は、プロセッサ22と供給回路13との形態の電力消費部を有する。供給回路13のコンポーネントは、
図1に示す電子装置10の供給回路13のコンポーネントと実質的に同一であるため、これらのコンポーネントについては、これ以上説明しない。
【0020】
例示的な実施形態では、優先される電源15aは、例えば、ミニPC20のハウジング28の対応するモジュール領域に配置可能な内部電源25である。このような電源は、例えば、電源差し込み口を備えた共通ワークステーションでのミニPC20の使用が想定される場合には、任意に、ミニPC20の構成に取り付けられてよい。他方、他の作業環境、例えば、電源差し込み口又はミニPCに直接アクセスしない販売端末においては、遠隔電源は、例えば、ネットワーク接続又は周辺装置を介して供給されてよい。この場合に、内部電源25は設置されない。しかし、他の実施形態では、優先される電源15aは、特別に設けられた機械的接続部にプラグ接続された外部電源であってよい。この場合も、電源は、特別に設けられたコネクタへの機械的接続部によって優先される。
【0021】
様々なタイプの供給回路が、別の供給路14bないし14nの入力に接続されてよい。例えば、外部電源が、2ピンの円形コネクタを介して接続されてよい。さらに、遠隔電源オプションを備えた周辺装置又はネットワーク装置が、対応するコネクタ、例えば、USBタイプCコネクタを介して接続されてよい。さらに、誘導受信機のような無線給電回路を、別の供給路14bないし14nのうちの1つの入力に接続してよい。
【0022】
さらに
図2は、検出回路17が、どのように特に簡易な方式で実現できるかを示す。この目的のために、記載される例示的な実施形態では、第1コネクタ23がシステムボード21に設けられ、これにより、優先される電源15aが第1供給路14aに結合できる。例示的な実施形態では、第1コネクタ23は、3つの接続ピン24aないし24cを含む。ここで、第1接続ピン24aは、優先される電源15aがシステムボード21に接続されているか否かを検出するために使用される。例示的な実施形態では、2つの他の接続ピン24b,24cは、動作電力、例えば、動作電圧及び電流を、電子装置10に供給するために使用される。例えば、接地電位は、第2接続ピン24bを介して供給されてよく、動作電圧は、第3接続ピン24cを介して供給されてよい。もちろん、例えば、1つよりも多い動作電圧を供給しようとする場合には、コネクタ23はさらに、別の接続ピンとともに使用されてよい。
【0023】
図2に係る例示的な実施形態では、検出回路17は、制御回路26をさらに備えている。制御回路26は、スイッチング素子18bないし18nを制御するために使用される。この場合に、第1接続部24aが所定の電位、例示的な実施形態ではシステムコンポーネント11の接地電位に接続されたときに、別の供給路14bないし14nが遮断されるように、制御回路26はスイッチング素子18bないし18nを制御する。この場合に、優先される電源15aは電気装置10に接続され、別の電源の1つからの供給は望ましくないと仮定する。この検出は、実際に第3接続ピン24cを介して動作電圧が供給されているか否かに関係なく機能する。
【0024】
例示的な実施形態では、優先される電源15aが接続された場合に、これは、第1接続ピン24aと第2接続ピン24bとの間に短絡接続27を確立することによって、特に容易に検出することができる。ここで述べる、接地への短絡又は別の所定電位への電気的接続の検出は、検出回路17とそれに内蔵された駆動回路26とが、小信号回路として構成されることを可能にする。これは、
図3を参照して後述する。
【0025】
図3は、実施形態に係る別の電気装置30、例えば、
図2に係るミニPC20を示す。その中に含まれるコンポーネントは、
図1及び
図2に係る電子装置10又はミニPC20のコンポーネントにほぼ対応し、ここでは説明しない。記載される例示的な実施形態では、電子装置は、最大3つの異なる電源15aないし15cに接続するように構成されている。
【0026】
図3は、小信号回路として構成された、組み合わせた検出、選択及び制御回路31を示す。
図2を参照して既に説明したように、優先される電源15aの接続の検出は、システムコンポーネント11の第1接続ピン24aと第2接続ピン24bとの間の短絡接続27によって行われる。これにより、優先される電源15aが第1供給路14aに接続される場合に、第1接続ピン24aを介して、所定の電位、特に接地(電位)が供給される。そうでない場合には、規定の電圧電位は第1接続ピン24aを介して供給されない。従って、それに接続された制御ライン32での電圧電位は、検出、選択及び制御回路31の2つの分圧器33及び34に基づいて確立される。また、優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されていない場合に、分圧器33及び34は、2つの別の電源15b,15cのどちらを使用して電力を供給すべきかを評価するのに役立つ。あるいは、分圧器33及び34は、電源15aが接続されていない場合に、両方の供給路14b及び14cを許容するように設定することができる。次いで、さらに高い電圧に基づいて優先することが、後続のマルチプレクサ回路19によって実行される。従って、いずれの場合も、ただ1つの電源が電力消費部12に送られる。
【0027】
この目的のために、第1分圧器33は、第1プルアップ抵抗器35と第1プルダウン抵抗器36とを含む。第1プルアップ抵抗器35は、第2供給路14bの正の供給ラインに結合される。第1プルダウン抵抗器36は、システムコンポーネント11の接地電位又は第2電源15bに結合される。優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されず、供給電圧が第2電源15bによって供給される場合に、第1分圧器33の中心ノードは、増加した電圧レベルまで引っ張られる(プルされる)。これと対照的に、優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されている場合に、又は供給電圧が第2電源15bによって供給されない場合に、中心ノードは接地電位まで、又は接地電位に向かって引っ張られる(プルされる)。
【0028】
第1制御ライン32での電圧の大きさは、さらに第2分圧器34に依存する。第2分圧器34は、第2プルアップ抵抗器37と第2プルダウン抵抗器38とを含み、第2分圧器34の中央ノードをそれぞれ第3供給路14cの供給ラインと第2制御ライン32とに接続する。従って、第2分圧器34の中心ノードは、第3電源15cが正の供給電圧を供給するときに第3電源3によって供給される供給電圧の方向に引っ張られ、そうでなければ、制御ライン32の電位の方向に引っ張られ、従って、第1抵抗器36を介して接地電位の方向に引っ張られる。
【0029】
第1分圧器33と第2分圧器34との中央タップは、それぞれ、第1トランジスタ39と第2トランジスタ40とを駆動するために使用される。第1トランジスタ39は、その制御入力に接地電位が印加された場合に、ソース/ドレインチャンネルが遮断される通常のブロッキングnチャンネル小信号電界効果トランジスタ(FET)として構成される。制御電圧が正の場合に、第1トランジスタ39はソース/ドレインチャンネルを開き、第1スイッチング素子18bを駆動して、第2電源15bと電力消費部12との間の第2供給路14bを有効化する。第2トランジスタ40は、通常のブロッキングpチャンネル小信号FETとして構成され、その制御端子における電圧電位が所定の電圧レベルを超えた場合に、ソース/ドレインチャンネルを遮断する。そうでない場合には、そのソース/ドレインチャンネルは、第2スイッチング素子18cを導通して駆動し、第3電源15bと電力消費部12との間の第3供給路14cを有効化する。
【0030】
もちろん、FET39及び40の代わりに、バイポーラNPN-PNO,N-MOS,P-MOS,J-FETなどの任意のタイプのトランジスタを使用してよい。使用されるスイッチング素子18b及び18cのタイプに応じて、異なる小信号エレクトロニクスを使用してよく、トランジスタ39及び40の異なる、導電性又はブロッキングの挙動によって、電力経路14b及び14c(供給路)を制御してよい。
【0031】
例示的な実施形態では、電源15b,15cからさらに高い供給電圧を供給するために、関連する供給ラインのうちのどちらが使用されるかに応じて、トランジスタ39,40が、2つの別の供給路14b又は14cのうちの1つを交互にオンにするように、抵抗器35ないし38とトランジスタ39及び40とが寸法決めされる。しかし、制御ライン32が第1接続ピン24aの側面の接地電位に接続されている場合に、両方のトランジスタ39及び40は、第2供給路14bと第3供給路14cとの両方をブロックして阻止する(inhibit)。
【0032】
図示されていない代替の実施形態では、2つのトランジスタ39及び40は、例えば、2つのN-MOSFETとして、同一に構成されている。これらは、制御ライン32上の信号に基づいて、関連するスイッチング素子18b及び18cを一緒にオン及びオフに切り替える。接地が制御ライン32に接続されると、スイッチング素子18b,18cは遮断され、さもなければ両方とも開いたまま(オフになったまま)である。この場合に、マルチプレクサ回路19は、例えば、さらに高い電圧に基づいて、優先することを引き継ぐ。
【0033】
図示されるように、記載される検出、選択及び制御回路31は、ただ6つの非常に単純なコンポーネント、即ち、4つの抵抗器35ないし38と、2つの小信号トランジスタ39及び40とを含む。
図5に示した監視及び選択回路59、及び関連する制御回路56と比較すると、これは、コンポーネントの数をかなり減少させる。加えて、全体の配置の効率は、特に、第1供給路14a内の任意の能動コンポーネントを省略することによって、向上させることができる。
【0034】
図4は、電子装置10又は30、特にミニPC20の、システムコンポーネント11の作動方法を概略的に示す。
【0035】
第1ステップS1では、第1の優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されているか否かがチェックされる。例えば、短絡接続27又は所定の抵抗の形態での、電位又は電気接続の存在をチェックすることができる。
【0036】
優先される電源15aが検出されると、第2ステップS2において、全ての別の供給路14bないし14c(14n)が遮断される。従って、それ以上の動作電力、例えば、動作電圧及び/又は電流が、システムコンポーネント11の電力消費部12に別の供給路14bないし14nを介して供給されることはない。遮断は、優先される電源15aが実際に動作電力、例えば、動作電流又は動作電圧を供給するか否かとは独立したものであってよい。
【0037】
さもなければ、即ち、優先される電源15aがシステムコンポーネント11に接続されていない場合には、任意のステップS3を実行して、供給のために別の電源15bないし15nを選択することができる。このステップは、例えば、別の可能な電源15bないし15nのいくつかがシステムコンポーネント11に接続されたときに、実行される。これは、上述のように、供給された動作電圧のレベルの検出、又は別の供給路14bないし14nの所定のシーケンスの検出に基づいて行われてよい。
【0038】
ステップS4では、別の電源15bないし15nのうちの1つによって供給される動作電力、即ち、動作電流及び/又は対応する動作電圧などが、電力消費部12に対して利用可能にされる。この目的のために、少なくとも1つの接続が、別の供給路14bないし14nのうちの1つを介して確立される。
【0039】
記載される実施形態は、いくつかの利点を有する。第1に、優先される電源15aの部分では、アクティブシグナリングは必要とされない。さらに、第1電源15aが動作電圧を供給しない場合に、及び/又は電力グリッドに接続されていない場合でも、優先される電源15aの接続を検出することができる。第1供給路14aを実施するために必要とされる空間と、これに必要とされるコンポーネントの数とは、それぞれ減少され、又は完全に除去される。また、電子装置のエネルギー効率は、優先される電源15aによって供給された場合に、向上する。残りの検出、選択及び制御回路31には非常に少数の簡単な電子部品しか使用されないので、供給回路13の全体的な製造コスト及びスペースの必要性が減少される。
【符号の説明】
【0040】
10 電子装置
11 システムコンポーネント
12 電力消費部
13 供給回路
14 供給路
14a 第1供給路
15 電源
15a 優先される電源
16 供給ライン
17 検出回路
18 スイッチング素子
19 選択及びマルチプレクサ回路
20 ミニPC
21 システムボード
22 プロセッサ
23 第1コネクタ
24a 第1接続ピン
24b 第2接続ピン
24c 第3接続ピン
25 内部電源
26 制御回路
27 短絡接続
28 ハウジング
30 電子装置
31 検出、選択及び制御回路
32 制御ライン
33 第1分圧器
34 第2分圧器
35 第1プルアップ抵抗器
36 第1プルダウン抵抗器
37 第2プルアップ抵抗器
38 第2プルダウン抵抗器
39 第1トランジスタ
40 第2トランジスタ
50 電子装置
52 電力消費部
54 供給路
55 電源
56 制御回路
58 スイッチング素子
59 監視及び選択回路
S1-S4 方法ステップ
【外国語明細書】