(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038943
(43)【公開日】2023-03-17
(54)【発明の名称】ハンド、保持装置、及び荷役システム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20230310BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20230310BHJP
B25J 15/06 20060101ALI20230310BHJP
【FI】
B25J15/00 D
B65G47/91 A
B25J15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022142468
(22)【出願日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2021145769
(32)【優先日】2021-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(74)【代理人】
【識別番号】100197538
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 功
(72)【発明者】
【氏名】芝田 元二郎
(72)【発明者】
【氏名】池谷 之宏
(72)【発明者】
【氏名】瀧 利和
(72)【発明者】
【氏名】林 家佑
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 毅
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘章
(72)【発明者】
【氏名】三ツ谷 祐輔
【テーマコード(参考)】
3C707
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS02
3C707DS07
3C707FS01
3C707FT13
3C707KS03
3C707KS31
3C707KT01
3C707KT06
3C707NS02
3C707NS19
3F072AA09
3F072GA10
3F072GD05
3F072KA01
3F072KD03
3F072KD11
3F072KD12
3F072KD23
3F072KD30
(57)【要約】
【課題】より多様な物品を安定して保持可能な、ハンド、保持装置、及び荷役システムを提供する。
【解決手段】実施形態に係るハンドは、第1保持ユニット及び第2保持ユニットを備える。前記第1保持ユニットは、互いに独立して第1方向に可動であり、前記第1方向と交差する第2方向において複数設けられる。前記複数の第1保持ユニットのそれぞれは、物品を保持可能な複数の第1保持部を含む。前記第2保持ユニットは、前記第1方向及び前記第2方向に平行な面と交差する第3方向に可動である。前記第2保持ユニットは、前記物品を保持可能な複数の第2保持部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに独立して第1方向に可動であり、前記第1方向と交差する第2方向において複数設けられ、物品を保持可能な複数の第1保持部を含む第1保持ユニットと、
前記第1方向及び前記第2方向に平行な面と交差する第3方向に可動であり、前記物品を保持可能な複数の第2保持部を含む第2保持ユニットと、
を備えたハンド。
【請求項2】
前記第2保持ユニットは、前記第2方向において複数設けられる、請求項1記載のハンド。
【請求項3】
複数の前記第2保持ユニットは、それぞれ複数の前記第1保持ユニットと連結され、
前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置は、それぞれ、前記複数の第1保持ユニットの前記第1方向における位置に応じて可変である、請求項2記載のハンド。
【請求項4】
複数の前記第2保持ユニットをそれぞれ前記第3方向に駆動させる複数のアクチュエータをさらに備えた、請求項2又は3に記載のハンド。
【請求項5】
前記複数の第1保持ユニットに対する前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置をそれぞれ変化させる複数の駆動機構をさらに備えた、請求項2又は3に記載のハンド。
【請求項6】
前記複数の第1保持ユニットと、前記複数の第2保持ユニットと、の間にそれぞれ連結された複数のリンク機構をさらに備え、
前記複数の第2保持ユニットは、前記第2方向まわりに回転可能に前記複数のリンク機構にそれぞれ連結され、
前記複数の駆動機構は、前記複数のリンク機構をそれぞれ前記第2方向まわりに回転させることで、前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置を変化させる、請求項5記載のハンド。
【請求項7】
前記複数の駆動機構は、前記複数のリンク機構にそれぞれ連結された複数のシリンダを含む、請求項6記載のハンド。
【請求項8】
前記第2方向及び前記第3方向に沿う面に対して複数の前記第1保持ユニット及び前記第2保持ユニットを傾斜させる傾斜機構をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1つに記載のハンド。
【請求項9】
複数の前記第1保持ユニットの前記第1方向における位置をそれぞれ固定する複数の固定機構をさらに備えた、請求項1~3のいずれか1つに記載のハンド。
【請求項10】
前記複数の第1保持部のそれぞれは、
前記第1方向に沿って延びる第1ロッドと、
前記第1ロッドの先端に設けられた第1吸着パッドと、
を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載のハンド。
【請求項11】
前記複数の第2保持部のそれぞれは、
前記第3方向に沿って延びる第2ロッドと、
前記第2ロッドの先端に設けられた第2吸着パッドと、
を含む、請求項1~3のいずれか1つに記載のハンド。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか1つに記載のハンドと、
前記ハンドを、前記第1方向、前記第2方向、又は前記第3方向に沿って移動させる移動装置と、
を備えた保持装置。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか1つに記載のハンドと、
前記ハンドを、前記第1方向、前記第2方向、又は前記第3方向に沿って移動させる移動装置と、
前記ハンドによって保持された物品が載置され、載置された前記物品を移動させるコンベアと、
を備えた荷役システム。
【請求項14】
前記コンベアは、載置された前記物品を、前記コンベアに隣接して設けられる搬送装置に搬送する、請求項13記載の荷役システム。
【請求項15】
前記コンベアを前記第1方向に沿って移動させる昇降装置をさらに備えた、請求項13記載の荷役システム。
【請求項16】
積載された複数の前記物品を撮像する撮像装置をさらに備えた、請求項13記載の荷役システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハンド、保持装置、及び荷役システムに関する。
【背景技術】
【0002】
物品を保持可能なハンドがある。ハンドは、吸着、挟持、又はジャミングなどにより物品を保持する。このハンドについて、より多様な物品を安定して保持できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より多様な物品を安定して保持可能な、ハンド、保持装置、及び荷役システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るハンドは、第1保持ユニット及び第2保持ユニットを備える。前記第1保持ユニットは、互いに独立して第1方向に可動であり、前記第1方向と交差する第2方向において複数設けられる。前記複数の第1保持ユニットのそれぞれは、物品を保持可能な複数の第1保持部を含む。前記第2保持ユニットは、前記第1方向及び前記第2方向に平行な面と交差する第3方向に可動である。前記第2保持ユニットは、前記物品を保持可能な複数の第2保持部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係るハンドを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るハンドの一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るハンドを模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係るハンドの動作を模式的に示す側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るハンドを示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るハンドが物品を保持したときの様子を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るハンドが物品を保持したときの様子を模式的に示す正面図である。
【
図8】
図8(a)~
図8(d)は、実施形態に係るハンドが物品を保持するときの様子を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、参考例に係るハンドを模式的に示す正面図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る保持装置を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、第1動作の一部を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1動作の別の一部を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、第2動作の一部を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第2動作の別の一部を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、別の実施形態に係るハンドを示す正面図である。
【
図22】
図22は、別の実施形態に係るハンドを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係るハンドを示す斜視図である。
図2は、実施形態に係るハンドの一部を示す断面図である。
図3は、実施形態に係るハンドを模式的に示す側面図である。
図1では、実施形態に係るハンドの一例として、吸着ハンド1が示されている。吸着ハンド1は、真空吸着により物品を保持(安定して把持)する。吸着ハンド1は、
図1~
図3に示すように、アーム10、ベース11、傾斜機構12、リニアガイド13、連結フレーム14、固定機構15、上面吸着ユニット16(第1保持ユニットの一例)、リニアガイド17、連結プレート18、シリンダ19、リンク機構20、駆動機構21、側面吸着ユニット22(第2保持ユニットの一例)、検出器23、及び制御部25を備える。
【0009】
ここでは、説明のために、X方向(前後方向:第3方向)、Y方向(左右方向:第2方向)、及びZ方向(上下方向:第1方向)を用いる。Z方向は、上面吸着ユニット16が物品を吸着する際に、上面吸着ユニット16と物品とを結ぶ方向に平行である。X方向及びY方向は、相互に交差する。Z方向は、X-Y面と交差する。例えば、X方向及びY方向は、水平面に平行であり、相互に直交する。Z方向は、鉛直方向に平行である。
【0010】
図1に示すように、アーム10は、X方向に沿って延び、吸着ハンド1の各構成要素を支持する。アーム10は、X-Y直交ロボットなどの外部の装置と接続される。アーム10は、外部の装置の一部であっても良い。
【0011】
ベース11は、X-Z面に沿って広がる板状の部材である。ベース11下部の後端は、アーム10の先端10aと回転軸10bを介して連結され、先端10aに対して回転可能である。
【0012】
傾斜機構12は、アーム10とベース11との間に設けられる。具体的には、傾斜機構12は、シリンダ12a、回転軸12b、及び回転軸12cを含む。アーム10は、下方に向けて屈曲した屈曲部10cを有する。シリンダ12aの一端は、回転軸12bを介して屈曲部10cと連結され、屈曲部10cに対して回転可能である。シリンダ12aの他端は、回転軸12cを介してベース11上部の後端と連結され、当該後端に対して回転可能である。回転軸10b、12b、及び12cの回転中心は、Y方向に平行である。
【0013】
シリンダ12aは、X方向に沿って伸縮可能である。シリンダ12a、回転軸12b、及び回転軸12cが設けられる高さは、回転軸10bが設けられる高さとは異なる。これにより、シリンダ12aの長さが変化した際、ベース11のY方向まわりの角度が変化する。吸着ハンド1では、シリンダ12a、回転軸12b、及び回転軸12cは、回転軸10bの上方に位置する。例えば、シリンダ12aが伸びることで、ベース11の前端が下方に向けて傾斜する。
【0014】
リニアガイド13は、ベース11の側面に設けられる。吸着ハンド1では、2つのリニアガイド13が、ベース11の一側面に設けられている。リニアガイド13は、レール及びブロックを含む。レールは、ベース11に対して固定され、Z方向に沿って設けられる。ブロックは、レールに沿ってZ方向に移動可能である。
【0015】
連結フレーム14は、X-Z面に沿って広がる縦フレーム部14aと、X-Y面に沿って広がる横フレーム部14bと、を含む。横フレーム部14bのY方向の一端は、縦フレーム部14aの下端とつながっている。縦フレーム部14aは、リニアガイド13のブロックに対して固定される。これにより、連結フレーム14は、ベース11に対してZ方向に可動である。
【0016】
固定機構15は、縦フレーム部14aに近接して、ベース11の側面に設けられる。固定機構15は、連結フレーム14が固定されたロック状態と、連結フレーム14が可動なアンロック状態と、を切り替え可能である。
図2は、固定機構15を通るX-Z断面を示す。
図2に示すように、固定機構15は、ロッド15a、固定板15b、可動板15c、クランパ15d、及びシリンダ15eを含む。
【0017】
ロッド15aは、ベース11に対して固定され、Z方向に沿って延びる。固定板15bは、X-Y面に沿って広がる板状の部材であり、連結フレーム14に対して固定される。可動板15cは、X-Y面に沿って広がる板状の部材であり、クランパ15d及びシリンダ15eを介して固定板15bに取り付けられる。アンロック状態では、固定板15b、可動板15c、クランパ15d、及びシリンダ15eは、ロッド15aに対して摺動可能である。連結フレーム14がZ方向に沿って移動すると、固定板15b、可動板15c、クランパ15d、及びシリンダ15eもZ方向に沿って移動する。
【0018】
シリンダ15eは、Z方向に沿って伸縮可能である。シリンダ15eが伸びる又は縮むと、可動板15cが固定板15bに対してZ方向に移動する。シリンダ15eの動作により固定板15bと可動板15cとの間の距離が長くなると、クランパ15dの部品がロッド15aに向けて押圧される。これにより、固定板15b、可動板15c、クランパ15d、及びシリンダ15eのZ方向における位置が固定される。この結果、連結フレーム14のZ方向における位置が固定される。固定板15bと可動板15cとの間の距離が短くなると、クランパ15dの部品によるロッド15aへの押圧が解除される。これにより、固定板15b、可動板15c、クランパ15d、及びシリンダ15eが移動可能となる。この結果、連結フレーム14は、Z方向に移動可能となる。
【0019】
図1に示すように、上面吸着ユニット16は、連結フレーム14の横フレーム部14bに対して固定される。上面吸着ユニット16は、筐体16a及び複数の吸着部16b(第1保持部の一例)を含む。各吸着部16bは、ロッド16c(第1ロッド)と、吸着パッド16d(第1吸着パッド)と、を含む。ロッド16cは、Z方向に沿って延びている。例えば、ロッド16cは、筐体16aに対して固定される。ロッド16cは、筐体16aに対してZ方向に摺動可能であっても良い。この場合、上面吸着ユニット16には、ロッド16cを固定するためのクランパがさらに設けられる。吸着パッド16dは、可撓性を有し、ロッド16cの先端に設けられる。ロッド16cの内部及び吸着パッド16dの内部には、空間が設けられ、これらの空間は互いに連通している。
【0020】
複数の吸着部16bは、互いに交差する2方向に沿って配列される。吸着パッド16dの吸着面は、複数の吸着部16bの配列方向に平行である。吸着ハンド1では、複数の吸着部16bは、X方向及びY方向に沿って配列されている。吸着部16bの数、各吸着部16bのサイズ、吸着部16b同士の間隔などは、保持される物品に応じて適宜設計される。
【0021】
筐体16aの内部には、不図示の排気系と複数の吸着部16bとを接続するための配管などが設けられる。排気系の動作により、1つの上面吸着ユニット16に対して、各吸着パッド16dの内部が一括して減圧される。
【0022】
リニアガイド17は、筐体16aの上面に沿って設けられる。吸着ハンド1では、1つのリニアガイド17が、筐体16aの上面に設けられ、別のリニアガイド17が、横フレーム部14bの上面に設けられている。各リニアガイド17は、レール及びブロックを含む。レールは、横フレーム部14b及び筐体16aに対して固定され、X方向に沿って延びる。ブロックは、レールに沿ってX方向に移動可能である。
【0023】
連結プレート18は、X方向に沿って延びる板状の部材である。連結プレート18の前方部は、X-Y面に平行であり、各リニアガイド17のブロックに対して固定される。これにより、連結プレート18は、上面吸着ユニット16に対してX方向に可動である。連結プレート18の後方部は、僅かに下方に向けて傾斜している。
【0024】
シリンダ19は、側面吸着ユニット22を、上面吸着ユニット16に対してX方向に移動させる。具体的には、
図1及び
図3に示すように、シリンダ19のチューブ本体が、筐体16aに対して固定される。シリンダ19のピストンは、連結プレート18に対して固定される。シリンダ19は、X方向に沿って伸縮可能である。シリンダ19が伸びる又は縮むと、連結プレート18が上面吸着ユニット16に対してX方向に移動する。これにより、連結プレート18と連結された側面吸着ユニット22が、X方向に沿って移動する。
【0025】
リンク機構20は、連結プレート18と側面吸着ユニット22との間に連結される。
図3に示すように、リンク機構20は、一対のリンク20a及び20bを含む。リンク20a及び20bは、互いに平行に延び、同期して回転可能である。リンク20aの一端及び20bの一端は、それぞれ、連結プレート18の後端と回転軸20c及び20dを介して連結される。回転軸20c及び20dは、連結プレート18に対して回転可能である。一方、リンク20a及び20bは、それぞれ、回転軸20c及び20dに対して固定される。このため、回転軸20c及び20dが連結プレート18に対して回転すると、リンク20a及び20bも回転する。
【0026】
駆動機構21は、連結プレート18及びリンク機構20と連結され、側面吸着ユニット22のZ方向における位置を変化させる。具体的には、駆動機構21は、シリンダ21a、回転軸21b、回転軸21c、及びバー21dを含む。シリンダ21aは、連結プレート18の後方部に沿って設けられる。シリンダ21aのチューブ本体は、連結プレート18と回転軸21bを介して連結され、連結プレート18に対して回転可能である。シリンダ21aのピストンは、回転軸21cを介してバー21dの一端と連結され、バー21dに対して回転可能である。バー21dの他端は、回転軸20c及び20dの一方に対して固定される。吸着ハンド1では、バー21dは、回転軸20cに対して固定されている。側面吸着ユニット22は、リンク20aの他端及び20bの他端と、それぞれ回転軸20e及び20fを介して連結され、リンク20a及び20bに対して回転可能である。
【0027】
図4(a)及び
図4(b)は、実施形態に係るハンドの動作を模式的に示す側面図である。
図4(a)では、シリンダ21a、回転軸21b、及び回転軸21cが、破線で表されている。
図4(b)では、シリンダ21a及び回転軸21bが省略され、回転軸21cが破線で表されている。
【0028】
回転軸20c~20f、21b、及び21cは、Y方向に平行である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、シリンダ21aが伸びる又は縮むと、バー21dが回転軸20cを中心としてY方向まわりに回転する。バー21dは、回転軸20cに対して固定されるため、バー21dの回転に応じて、回転軸20cが回転する。回転軸20cと固定されたリンク20aが、回転軸20cを中心としてY方向まわりに回転する。リンク20bも、リンク20aと同期してY方向まわりに回転する。これにより、側面吸着ユニット22は、回転軸20cを中心としてY方向まわりに回転する。駆動機構21の動作により、側面吸着ユニット22のX-Z面における位置を変化させることができる。例えば、吸着ハンド1によって保持される物品の配列に応じて、側面吸着ユニット22の位置が切り替えられる。
【0029】
側面吸着ユニット22は、筐体22a及び複数の吸着部22b(第2保持部の一例)を含む。各吸着部22bは、ロッド22c(第2ロッド)と、吸着パッド22d(第2吸着パッド)と、を含む。ロッド22cは、X方向に沿って延びている。例えば、ロッド22cは、筐体22aに対して固定される。ロッド22cは、筐体22aに対してX方向に摺動可能であっても良い。この場合、側面吸着ユニット22には、ロッド22cを固定するためのクランパがさらに設けられる。吸着パッド22dは、可撓性を有し、ロッド22cの先端に設けられる。ロッド22cの内部及び吸着パッド22dの内部には、空間が設けられ、これらの空間は互いに連通している。
【0030】
複数の吸着部22bは、互いに交差する2方向に沿って配列される。吸着パッド22dの吸着面は、複数の吸着部22bの配列方向に平行である。吸着ハンド1では、複数の吸着部22bは、Y方向及びZ方向に沿って配列されている。吸着部22bの数、各吸着部22bのサイズ、吸着部22b同士の間隔などは、保持される物品に応じて適宜設計される。
【0031】
筐体22aの内部には、不図示の排気系と複数の吸着部22bとを接続するための配管などが設けられる。排気系の動作により、1つの側面吸着ユニット22に対して、各吸着パッド22dの内部が一括して減圧される。側面吸着ユニット22に対する圧力制御は、上面吸着ユニット16に対する圧力制御とは独立して実行される。
【0032】
検出器23は、ベース11に対して固定される。検出器23は、ベース11に対する連結フレーム14の上昇を検出する。検出器23からの検出信号に基づき、上面吸着ユニット16が物品に接触している否かを判断できる。例えば、検出器23は、光センサ、近接センサ、測距センサ、及び透過センサから選択される1つ以上を含む。検出器23は、図示した場所以外に設けられても良い。例えば、検出器23は、上面吸着ユニット16に設けられ、上面吸着ユニット16に対する物品の接近をより直接的に検出しても良い。
【0033】
図5は、実施形態に係るハンドを示す斜視図である。
図5は、
図1とは異なる向きから吸着ハンド1を見たときの様子を示す。
図5において吸着ハンド1を見る向きは、吸着ハンド1のY方向における中心を通るX-Z面に対して、
図1において吸着ハンド1を見る向きと略対称である。
図1及び
図5に示すように、リニアガイド13、連結フレーム14、固定機構15、上面吸着ユニット16、リニアガイド17、連結プレート18、シリンダ19、リンク機構20、駆動機構21、及び側面吸着ユニット22を含む吸着機構5は、ベース11の両側面にそれぞれ設けられる。このため、例えば、Y方向において、複数の上面吸着ユニット16及び複数の側面吸着ユニット22が設けられる。
【0034】
図6及び
図7は、実施形態に係るハンドが物品を保持したときの様子を模式的に示す正面図である。
各吸着機構5は、互いに独立して可動である。また、吸着機構5ごとに、
図3及び
図4に示すシリンダ19及び21aが設けられる。シリンダ19及び21aは、吸着機構5ごとに独立して動作可能である。このため、
図6及び
図7に示すように、各上面吸着ユニット16のZ方向における位置は、互いに異なりうる。各側面吸着ユニット22のX-Z面における位置は、互いに異なりうる。
【0035】
図6に示すように、複数の吸着機構5が、それぞれ複数の物品Aを保持しても良い。
図7に示すように、複数の吸着機構5が、1つの物品Aを保持しても良い。一例として、吸着される物品Aの形状は、
図6及び
図7に示すように、直方体状である。物品Aの上面は、X-Y面に対して傾斜していても良い。物品の上面が傾斜している場合でも、各吸着パッド22dが上面の位置に応じて変形することで、物品を安定して保持できる。特に、物品の上面の傾斜が大きい場合でも、
図7に示すように、各吸着機構5のZ方向における位置が上面に応じて変化し、且つ各吸着パッド22dが上面の位置に応じて変形することで、物品を安定して保持できる。
【0036】
制御部25は、吸着ハンド1の各構成要素を制御する。例えば、制御部25は、シリンダ12a、15e、19、及び21aを動作させる。また、制御部25は、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22をそれぞれ排気するための排気系を制御する。
【0037】
シリンダ12a、15e、19、及び21aは、エアシリンダ(アクチュエータの一例)である。シリンダ12a、15e、19、及び21aに替えて、別のアクチュエータが設けられても良い。例えば、モータと、モータの回転運動を直線運動に変換する機械要素と、が設けられても良い。
【0038】
図8(a)~
図8(d)は、実施形態に係るハンドが物品を保持するときの様子を模式的に示す側面図である。
物品を吸着する際、
図8(a)に示すように、上面吸着ユニット16が物品Aの上面に接触し、上面を吸着する。次に、シリンダ19の動作により、
図8(b)に示すように、側面吸着ユニット22を物品Aの側面に接触させる。側面吸着ユニット22が、側面を吸着する。物品Aの上面及び側面の吸着により、吸着ハンド1は、物品Aを保持する。
【0039】
続いて、吸着ハンド1が上昇する。このとき、シリンダ12aが開放されている、又はシリンダ12aによる推力が弱いと、吸着機構5及び物品Aの重さにより、シリンダ12aが伸びる。これにより、
図8(c)に示すように、物品Aを保持した状態で、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22がX-Y面に対して傾斜する。傾斜が大きすぎると、物品Aの中身が崩れる可能性がある。このため、X-Y面に対する傾斜角度は、0度よりも大きく15度未満が好ましい。
【0040】
例えば、物品Aの上面には、ラベルを貼り着けるための接着剤や、梱包用のテープの接着剤などが付着しうる。保持された物品Aの底面に、接着剤により、別の物品Aの上面が引っ付いている場合がある。傾斜させることで、保持された物品Aを、別の物品Aから容易に引き剥がすことができる。これにより、物品Aを搬送する際、搬送される物品Aと別の物品Aとの間の摩擦を低減できる。
【0041】
図8(d)に示すように、吸着ハンド1は、上面吸着ユニット16のみを物品Aの上面に吸着させることで、物品Aを保持することもできる。このとき、側面吸着ユニット22は、上面吸着ユニット16と同じ高さ、又は上面吸着ユニット16の少なくとも一部よりも上方に位置する。この後、
図8(c)と同様に、物品Aを保持した状態で上面吸着ユニット16がX-Y面に対して傾斜しても良い。
【0042】
図9(a)及び
図9(b)は、参考例に係るハンドを模式的に示す正面図である。
図9(a)及び
図9(b)を参照しながら、実施形態の利点を説明する。
図9(a)に示す吸着ハンドR1は、Y方向に長い1つの上面吸着ユニット16及びY方向に長い1つの側面吸着ユニット22を含む。吸着ハンドR1によれば、大型の物品を安定して保持できる。一方、吸着ハンドR1では、
図6に示すように、高さの異なる複数の物品を保持することは困難である。また、吸着ハンドR1では、
図7に示すような、X-Y面に対して上面が大きく傾斜した物品を保持することは困難である。
【0043】
図9(b)に示す吸着ハンドR2は、吸着ハンドR1と同様に、Y方向に長い1つの上面吸着ユニット16及びY方向に長い1つの側面吸着ユニット22を含む。加えて、上面吸着ユニット16の各吸着部16bは、吸着ハンドR1に比べて、より長いロッド16cを含む。吸着ハンドR2によれば、各ロッド16cが物品の上面の位置に応じてZ方向に摺動する。これにより、上面が傾斜した物品を安定して保持できる。一方、ロッド16cの摺動可能な距離が長くなるため、上面吸着ユニット16が大型化する。この結果、吸着ハンドR2のサイズ及び重量が大きくなる。
【0044】
実施形態に係る吸着ハンド1では、複数の上面吸着ユニット16が設けられる。それぞれの上面吸着ユニット16は、複数の吸着部16bを含み、Z方向において互いに独立して可動である。
図7に示すように、上面が傾斜した物品Aを吸着する場合でも、各上面吸着ユニット16が、物品Aの上面の位置に応じてZ方向に移動することで、物品Aを安定して保持できる。
図6に示すように、各上面吸着ユニット16が、高さの異なる物品Aをそれぞれ吸着することもできる。また、各上面吸着ユニット16がZ方向に可動であるため、ロッド16cの長さを短くでき、上面吸着ユニット16の大型化を抑制できる。実施形態によれば、上面吸着ユニット16の大型化を抑制しつつ、より多様な物品を安定して保持できる。
【0045】
また、吸着ハンド1では、側面吸着ユニット22が、連結プレート18及びリンク機構20を介して上面吸着ユニット16と連結される。側面吸着ユニット22のZ方向における位置は、上面吸着ユニット16のZ方向における位置に応じて変化する。このため、側面吸着ユニット22に対する上面吸着ユニット16のZ方向における位置のばらつきを抑制でき、より安定して側面吸着ユニット22を物品の側面に吸着させることができる。
【0046】
好ましくは、それぞれの上面吸着ユニット16において、複数の吸着部16bに対する吸着の開始又は終了は、一括して制御される。例えば、複数のロッド16cの内部空間は、筐体16aの共通の内部空間に連通され、筐体16aの内部空間に対して排気の開始又は終了が実行される。上面吸着ユニット16には、内部空間の圧力を計測するための圧力計が設けられ、この圧力計の計測値に基づいて、吸着が制御される。これにより、各吸着部16bの圧力を個別に制御する場合に比べて、上面吸着ユニット16の構造を簡略化できる。例えば、各吸着部16bを、より高密度に配置でき、上面吸着ユニット16による保持力及び保持の安定性を向上できる。
【0047】
同様に、それぞれの側面吸着ユニット22において、複数の吸着部22bに対する吸着の開始又は終了は、一括して制御されることが好ましい。例えば、複数のロッド22cの内部空間は、筐体22aの共通の内部空間に連通され、筐体22aの内部空間に対して排気の開始又は終了が実行される。側面吸着ユニット22には、内部空間の圧力を計測するための圧力計が設けられ、この圧力計の計測値に基づいて、吸着が制御される。これにより、各吸着部22bの圧力を個別に制御する場合に比べて、側面吸着ユニット22の構造を簡略化できる。例えば、各吸着部22bを、より高密度に配置でき、側面吸着ユニット22による保持力及び保持の安定性を向上できる。
【0048】
また、実施形態に係る吸着ハンド1によれば、固定機構15によって上面吸着ユニット16の位置を固定することで、複数の吸着部16bの位置が一括して固定できる。これにより、それぞれの吸着部16bの位置を個別に固定する場合に比べて、構造を簡略化できる。例えば、各吸着部16bを、より高密度に配置でき、上面吸着ユニット16による保持力及び保持の安定性を向上できる。
【0049】
図10は、実施形態に係る保持装置を模式的に示す斜視図である。
実施形態に係る保持装置100は、倉庫等の荷役作業が行われる現場に用いられる。保持装置100に隣接して、物品Aを搬送するコンベアC(搬送装置)が設置される。また、保持装置100に隣接して、物品Aが積載されたパレットPが載置される。保持装置100は、コンベアCとパレットPとの間に位置する。保持装置100は、パレットPの上に積載された物品Aを保持する。例えば、保持装置100は、パレットPから物品Aを順次取り出してコンベアCに搬送する荷役システムとして機能する。
【0050】
保持装置100は、
図10に示すように、吸着ハンド1、制御部25、支持フレーム110、撮像装置120、コンベア130、昇降装置140、移動装置150、負圧発生装置160、及び検出器170を備える。
【0051】
支持フレーム110は、保持装置100の各構成要素を支持する。撮像装置120は、パレットPに載置された物品Aを、上方から撮像する。コンベア130は、支持フレーム110内に搬送された物品Aを、コンベアCに向けて搬送する。昇降装置140は、コンベア130を上昇又は下降させる。移動装置150は、吸着ハンド1をパレットPとコンベア130との間で移動させる。負圧発生装置160は、上面吸着ユニット16の吸着部16b及び側面吸着ユニット22の吸着部22bに負圧を生じさせる。検出器170は、吸着ハンド1に保持された物品Aの底面の高さを検出する。
【0052】
以下では、保持装置100の各構成要素について、具体的な一例を詳述する。
【0053】
支持フレーム110は、保持装置100の外郭を構成し、床面に固定される。支持フレーム110は、本体部111及び突出部112を含む。本体部111の形状は、直方体状である。コンベア130は、本体部111の内側に設けられる。本体部111は、パレットP側に面する開口113と、コンベアC側に面する開口114と、を有する。物品Aは、開口113を通して、パレットPからコンベア130に搬送される。また、物品Aは、開口114を通して、コンベア130からコンベアCに搬送される。
【0054】
本体部111は、例えば、4つの鉛直フレーム111aと、これら4つの鉛直フレーム111aの上端同士及び下端同士をそれぞれ連結する複数の水平フレーム111bと、によって構成される。
【0055】
突出部112は、本体部111上部の前方に取り付けられ、前方に向けて突出している。突出部112は、パレットPの上方に位置する。突出部112は、撮像装置120を支持する支持部112aを含む。
【0056】
撮像装置120は、支持部112aに固定される。撮像装置120は、取得した画像(静止画)を、制御部25に送信する。撮像装置120が動画を取得し、動画から静止画が切り出されても良い。制御部25は、取得された画像から、物品Aの寸法、物品Aの上面の高さなどを検出する。制御部25及び撮像装置120は、搬送される物品Aに関する情報を検出する検出装置として機能する。
【0057】
コンベア130は、ベルト131、プーリ132、及びモータ133を含む。ベルト131は、X方向において互いに離れた一対のプーリ132に掛けられた無端ベルトである。ベルト131の一端は、コンベアCに隣接している。プーリ132の回転軸は、Y方向に平行である。モータ133は、一対のプーリ132のいずれかを回転させることで、ベルト131を駆動させる。これにより、コンベア130に載置された物品Aが、コンベアCに向けて搬送される。
【0058】
昇降装置140は、駆動部141、シャフト142、及びワイヤ143を含む。駆動部141は、本体部111の上端に取り付けられる。シャフト142は、Y方向に沿って延び、駆動部141に連結される。ワイヤ143は、シャフト142に巻回される。ワイヤ143の一端は、コンベア130に連結される。駆動部141は、シャフト142を回転させる。シャフト142の回転に応じてワイヤ143が巻かれる又は広がることで、コンベア130がZ方向に沿って移動する。
【0059】
移動装置150は、水平移動装置151及び昇降装置152を含む。水平移動装置151は、吸着ハンド1をX-Y面に沿って移動させる。昇降装置152は、水平移動装置151を上昇又は下降させる。これにより、水平移動装置151と連結された吸着ハンド1が、Z方向に沿って移動する。
【0060】
水平移動装置151は、アーム151a及び支持部151bを含む。アーム151aは、吸着ハンド1のアーム10と連結され、X方向に沿って伸縮可能である。アーム151aの動作により、吸着ハンド1をX方向に沿って移動させることができる。支持部151bは、Y方向に沿って延び、下方からアーム151aを移動可能に支持する。支持部151bは、アーム151aをY方向に沿って移動させる。支持部151bの動作により、吸着ハンド1をY方向に沿って移動させることができる。アーム151a及び支持部151bは、モータやエアシリンダ等のアクチュエータによりそれぞれ動作する。
【0061】
昇降装置152は、駆動部152a、シャフト152b、及びワイヤ152cを含む。駆動部152aは、本体部111の上端に取り付けられる。シャフト152bは、Y方向に沿って延び、駆動部152aに連結される。ワイヤ152cは、シャフト152bに巻回される。ワイヤ152cの一端は、水平移動装置151に連結される。駆動部152aは、シャフト152bを回転させる。シャフト152bの回転に応じてワイヤ152cが巻かれる又は広がることで、水平移動装置151がZ方向に沿って移動する。
【0062】
負圧発生装置160は、複数の上面吸着ユニット16のそれぞれ及び複数の側面吸着ユニット22のそれぞれの圧力を個別に調整可能である。負圧発生装置160は、複数の上面吸着ユニット16及び複数の側面吸着ユニット22とそれぞれ接続される複数の管161を含む。この他に、負圧発生装置160は、不図示の真空ポンプ、エジェクタ、バルブなどを含む。
【0063】
検出器170は、例えば、本体部111とパレットPの間に設置される。検出器170は、上方を通過する物品Aの底面の高さ位置を検出する。検出器170は、検出結果を制御部25に送信する。検出器170は、測距センサ(例えばレーザーレンジファインダ)を含む。
【0064】
制御部25は、上述した各構成要素の動作を制御する。例えば、制御部25は、吸着ハンド1、撮像装置120、コンベア130、昇降装置140、移動装置150、負圧発生装置160、及び検出器170と電気的に接続される。制御部25は、撮像装置120により取得された画像及び検出器170の検出結果に基づいて、吸着ハンド1、コンベア130、昇降装置140、移動装置150、負圧発生装置160を制御する。
【0065】
保持装置100の動作について説明する。
制御部25は、側面吸着ユニット22が第1位置にある第1状態と、側面吸着ユニット22が第2位置にある第2状態と、を切り替える。例えば、状態の切り替えは、パレットP上の物品Aの配列、上位システムからの指令、ユーザによる操作、又は撮像装置120による撮像結果などに応じて、実行される。
【0066】
図4(a)は、側面吸着ユニット22が第1位置にあるときの様子を示す。側面吸着ユニット22は、第1位置において、物品の側面を保持可能である。側面吸着ユニット22が第1位置にあるとき、側面吸着ユニット22は、上面吸着ユニット16の少なくとも一部よりも下方に位置する。例えば、吸着部22bは、上面吸着ユニット16の筐体16a及びロッド16cの上端よりも下方に位置する。
【0067】
図4(b)は、側面吸着ユニット22が第2位置にあるときの様子を示す。第2位置は、第1位置よりも上方にある。側面吸着ユニット22が第2位置にあるとき、側面吸着ユニット22は、上面吸着ユニット16の少なくとも一部よりも上方に位置する。例えば、吸着部22bは、上面吸着ユニット16の吸着部16bよりも上方に位置する。
【0068】
保持装置100は、第1配列の物品を搬送する際、第1動作を実行する。第1動作では、側面吸着ユニット22の位置は、第1位置に設定される。保持装置100は、第2配列の物品を搬送する際、第2動作を実行する。第2動作では、側面吸着ユニット22の位置は、第2位置に設定される。第1配列では、ほぼ同じサイズの物品が、X方向及びY方向に並べられ、Z方向に積載されている。同じ段に並べられた複数の物品Aの上面の位置は、実質的に同じである。第2配列では、物品のサイズが不規則である。X-Y面において隣り合う物品Aの上面の位置が、互いに異なりうる。
【0069】
図11は、第1動作の一部を示すフローチャートである。
図12は、第1動作の別の一部を示すフローチャートである。
図13(a)~
図13(c)、
図14(a)~
図14(c)、及び
図15(a)~
図15(c)は、第1動作を示す模式図である。
図11~
図15(c)を参照して、保持装置100による第1動作を説明する。
【0070】
まず、撮像装置120が、パレットP上の複数の物品Aを撮像する。
図13(a)に示す例では、パレットPには、第1配列の複数の物品Aが積載されている。得られた画像に基づいて、制御部25は、保持する物品を選択する(
図11のステップS101)。第1動作では、X方向において最もコンベア130に近く且つ上面が最も高い位置にある物品Aが選択される。水平移動装置151は、吸着ハンド1をX-Y面に沿って移動させ(ステップS102)、
図13(b)に示すように、選択された物品Aの上方に吸着ハンド1を位置させる。また、コンベア130のZ方向における位置が、保持される物品Aの底面と同じ位置に設定される。
【0071】
駆動機構21のシリンダ21aが開放される(ステップS103)。すなわち、シリンダ21aからリンク機構20へは力が加わらず、側面吸着ユニット22は移動可能な状態となる。固定機構15がアンロック状態に設定され(ステップS104)、連結フレーム14が移動可能な状態となる。
図13(c)に示すように、昇降装置152が、吸着ハンド1を物品Aに向けて下降させる(ステップS105)。吸着ハンド1は、選択された物品Aの上面の位置まで下降される。当該物品Aの上面の位置は、画像に基づいて、制御部25によって算出される。
【0072】
吸着ハンド1の下降中、上面吸着ユニット16は、ベース11に対してZ方向に可動である。これにより、上面吸着ユニット16が物品Aに接触したときに、上面吸着ユニット16に過度な力が加わることを抑制できる。また、吸着ハンド1の下降時にシリンダ21aが開放されていると、側面吸着ユニット22が意図せず別の物品などに接触した際、側面吸着ユニット22が接触に応じて移動できる。これにより、側面吸着ユニット22に過度な力が加わることを抑制できる。
【0073】
上面吸着ユニット16が、物品Aの上面の吸着を開始する(ステップS106)。具体的には、制御部25は、負圧発生装置160を動作させ、吸着部16bの内部を排気する。制御部25は、上面吸着ユニット16が物品Aに接触しているか判断する(ステップS107)。接触は、検出器23による検出信号に基づいて判断される。又は、接触は、吸着部16bの圧力に基づいて判断されても良い。ステップS106により、上面吸着ユニット16による吸着(減圧)が、既に開始されている。このため、上面吸着ユニット16が物品Aに接触すると、吸着部16bの圧力が減少する。圧力が予め設定された閾値を下回っている場合に、上面吸着ユニット16が物品Aに接触していると判断しても良い。上面吸着ユニット16が物品Aに接触していないと判断されると、昇降装置152が、再度吸着ハンド1を下降させる(ステップS108)。ステップS108の実行後、ステップS107が再度実行される。
【0074】
ステップS108の実行回数に制限が設定されても良い。一例として、ステップS108の実行回数は、「1」に設定される。すなわち、ステップS108が1回実行された後に、上面吸着ユニット16が物品Aに接触していないと判断されても、2回目のステップS108は実行されない。制御部25は、2回目のステップS108の代わりに、保持装置100の異常を報知しても良い。これにより、例えば、検出器23による検出結果が誤っており、上面吸着ユニット16が物品Aに接触していないと誤判定された場合でも、上面吸着ユニット16が物品Aに過度に押さえ付けられることを抑制できる。又は、上面吸着ユニット16が誤った位置に下降し続けることを抑制できる。
【0075】
上面吸着ユニット16が物品Aに接触していると判断されると、制御部25は、上面吸着ユニット16による物品Aの吸着が完了しているか判断する(ステップS109)。吸着が完了しているか否かは、吸着部16bにおける圧力に基づいて判断される。複数の吸着部16bの少なくとも一部における圧力が、予め設定された閾値を下回っている場合、吸着が完了していると判断される。
【0076】
吸着が完了していないと判断されると、上面吸着ユニット16による吸着が継続される。制御部25は、吸着の開始から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS110)。設定時間が経過しても吸着が完了しない場合、制御部25は、第1動作を終了する。制御部25は、上面吸着ユニット16による吸着が完了しないことを報知しても良い。
【0077】
吸着が完了すると、固定機構15がロック状態に設定され(ステップS111)、吸着ハンド1における上面吸着ユニット16の位置が固定される。傾斜機構12のシリンダ12aが開放される(ステップS112)。これにより、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22が、X-Y面に対して傾斜可能な状態となる。
【0078】
駆動機構21は、シリンダ21aの動作により側面吸着ユニット22を下降させる(ステップS113)。シリンダ21aには流体が注入され、上面吸着ユニット16に対する側面吸着ユニット22の位置が固定される。側面吸着ユニット22が、吸着を開始する(ステップS114)。具体的には、制御部25は、負圧発生装置160を動作させ、吸着部22bの内部を排気する。
【0079】
シリンダ19は、側面吸着ユニット22を前方に向けて移動させる(ステップS115)。物品Aに対する吸着ハンド1の位置が適切であれば、
図14(a)に示すように、側面吸着ユニット22が物品Aの側面に接触する。制御部25は、側面吸着ユニット22による物品Aの吸着が完了しているか判断する(ステップS116)。吸着が完了しているか否かは、吸着部22bにおける圧力に基づいて判断される。複数の吸着部22bの少なくとも一部における圧力が、予め設定された閾値を下回っている場合、吸着が完了していると判断される。
【0080】
吸着が完了していないと判断されると、側面吸着ユニット22による吸着が継続される。制御部25は、吸着の開始から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS117)。設定時間が経過しても吸着が完了しない場合、制御部25は、第1動作を終了する。制御部25は、側面吸着ユニット22による吸着が完了しないことを報知しても良い。
【0081】
吸着が完了すると、昇降装置152は、吸着ハンド1を僅かに上昇させる(ステップS118)。このとき、傾斜機構12のシリンダ12aが開放されているため、吸着機構5及び物品Aの重さにより、シリンダ12aが伸びる。
図14(b)に示すように、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22がX-Y面に対して傾斜する。これにより、例えば、保持された物品Aの一辺のみが、下方の別の物品Aと接触する。物品A同士の接触面積を減らすことができる。
【0082】
ステップS118の後、水平移動装置151は、コンベア130に向けて、吸着ハンド1をX-Y面に沿って移動させる(
図12のステップS121)。これにより、
図14(c)に示すように、保持された物品Aが、コンベア130の上に搬送される。側面吸着ユニット22は、物品Aの側面への吸着を終了する(ステップS122)。具体的には、制御部25は、吸着部22bの圧力を上昇させる。例えば、制御部25は、吸着部22bの内部を大気開放する。
【0083】
シリンダ19は、側面吸着ユニット22を後方に向けて移動させる(ステップS123)。これにより、側面吸着ユニット22が物品Aから離れる。
制御部25は、側面吸着ユニット22によって吸着されていた物品Aの側面が、解放されているか判断する(ステップS124)。側面が解放されているか否かは、吸着部22bにおける圧力に基づいて判断される。各吸着部22bの圧力が、予め設定された閾値を上回っている場合、側面が解放されていると判断される。
【0084】
吸着されていた側面が解放されていないと判断されると、制御部25は待機する。待機中に各吸着部22bの圧力が上昇すると、側面が解放される。また、待機中に、制御部25は、側面への吸着の終了から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS125)。設定時間が経過しても側面が解放されない場合、制御部25は、第1動作を終了する。制御部25は、吸着された側面が解放されないことを報知しても良い。
【0085】
吸着されていた側面が解放されると、上面吸着ユニット16は、物品Aの上面への吸着を終了する(ステップS126)。具体的には、制御部25は、吸着部16bの圧力を上昇させる。例えば、制御部25は、吸着部16bの内部を大気開放する。駆動機構21のシリンダ21aが開放される(ステップS127)。
【0086】
制御部25は、上面吸着ユニット16によって吸着されていた物品Aの上面が、解放されているか判断する(ステップS128)。上面が解放されているか否かは、吸着部16bにおける圧力に基づいて判断される。各吸着部16bの圧力が、予め設定された閾値を上回っている場合、上面が解放されていると判断される。
【0087】
吸着されていた上面が解放されていないと判断されると、制御部25は待機する。待機中に各吸着部16bの圧力が上昇すると、上面が解放される。また、待機中に、制御部25は、上面への吸着の終了から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS129)。設定時間が経過しても上面が解放されない場合、制御部25は、第1動作を終了する。制御部25は、吸着された上面が解放されないことを報知しても良い。
【0088】
上面が解放されると、
図15(a)に示すように、搬送された物品Aは、コンベア130の上に載置される。傾斜機構12は、上面吸着ユニット16の吸着面が水平(X-Y面と平行)になるように、シリンダ12aを動作させる(ステップS130)。
図15(b)に示すように、昇降装置152は、吸着ハンド1を上昇させる(ステップS131)。
図15(c)に示すように、コンベア130は、載置された物品Aを、コンベアCへ搬送する(ステップS131)。コンベアCは、物品Aを、別の場所へ搬送する。保持装置100は、パレットP上の全ての物品AがコンベアCに搬送されるまで、上述した動作を繰り返す。
【0089】
図16は、第2動作の一部を示すフローチャートである。
図17は、第2動作の別の一部を示すフローチャートである。
図18(a)、
図18(b)、
図19(a)~
図19(c)、及び
図20(a)~
図20(c)は、第2動作を示す模式図である。
図16~
図20(c)を参照して、保持装置100による第2動作を説明する。
まず、撮像装置120が、パレットP上の複数の物品Aを撮像する。
図18(a)に示す例では、パレットPには、第2配列の複数の物品Aが積載されている。得られた画像に基づいて、制御部25は、保持する物品を選択する(
図16のステップS201)。第2動作では、X方向における位置に拘わらず、上面が最も高い位置にある物品Aが選択される。
【0090】
水平移動装置151は、吸着ハンド1をX-Y面に沿って移動させ(ステップS202)、
図18(b)に示すように、選択された物品Aの上方に吸着ハンド1を位置させる。制御部25は、側面吸着ユニット22が、第2位置にあるか確認する(ステップS203)。側面吸着ユニット22が第2位置にない場合、制御部25は、駆動機構21を動作させ、側面吸着ユニット22を第2位置へ移動させる。
【0091】
固定機構15がアンロック状態に設定され(ステップS204)、連結フレーム14が移動可能な状態となる。
図19(a)に示すように、昇降装置152が、吸着ハンド1を物品Aに向けて下降させる(ステップS205)。吸着ハンド1は、選択された物品Aの上面の位置まで下降される。当該物品Aの上面の位置は、画像に基づいて、制御部25によって算出される。吸着ハンド1の下降中、複数の上面吸着ユニット16のそれぞれは、ベース11に対してZ方向に可動である。これにより、上面吸着ユニット16が物品Aに接触したときに、上面吸着ユニット16に過度な力が加わることを抑制できる。
【0092】
上面吸着ユニット16が、物品Aの上面の吸着を開始する(ステップS206)。具体的には、制御部25は、負圧発生装置160を動作させ、吸着部16bの内部を排気する。制御部25は、上面吸着ユニット16が物品Aに接触しているか判断する(ステップS207)。接触は、検出器23に基づいて判断される。上面吸着ユニット16が物品Aに接触していないと判断されると、昇降装置152が、再度吸着ハンド1を下降させる(ステップS208)。ステップS208の実行後、ステップS207が再度実行される。第1動作と同様に、ステップS208の実行回数に制限が設定されても良い。
【0093】
上面吸着ユニット16が物品Aに接触していると判断されると、制御部25は、上面吸着ユニット16による物品Aの吸着が完了しているか判断する(ステップS209)。第1動作と同様に、吸着が完了しているか否かは、吸着部16bにおける圧力に基づいて判断される。吸着が完了していないと判断されると、上面吸着ユニット16による吸着が継続される。制御部25は、吸着の開始から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS210)。設定時間が経過しても吸着が完了しない場合、制御部25は、第2動作を終了する。制御部25は、上面吸着ユニット16による吸着が完了しないことを報知しても良い。
【0094】
吸着が完了すると、固定機構15がロック状態に設定され(ステップS211)、吸着ハンド1における上面吸着ユニット16の位置が固定される。昇降装置152は、
図19(b)に示すように、吸着ハンド1を上昇させる(ステップS212)。
【0095】
ステップS212の後、水平移動装置151は、吸着ハンド1をX-Y面に沿って移動させる(
図17のステップS221)。
図19(c)に示すように、保持された物品Aは、コンベア130の上方に搬送される。制御部25は、側面吸着ユニット22が、第2位置にあるか確認する(ステップS222)。側面吸着ユニット22が第2位置にない場合、制御部25は、駆動機構21を動作させ、側面吸着ユニット22を第2位置へ移動させる。
【0096】
昇降装置152は、吸着ハンド1の下降を開始する(ステップS223)。
図20(a)に示すように、保持された物品Aの底面の位置がコンベア130の上面の位置まで下降すると、昇降装置152は、吸着ハンド1の下降を終了する(ステップS224)。物品Aの底面の位置は、検出器170による検出結果に基づいて、制御部25によって算出される。
【0097】
上面吸着ユニット16は、物品Aの上面への吸着を終了する(ステップS225)。具体的には、制御部25は、吸着部16bの圧力を上昇させる。例えば、制御部25は、吸着部16bの内部を大気開放する。制御部25は、上面吸着ユニット16によって吸着されていた物品Aの上面が、解放されているか判断する(ステップS226)。第1動作と同様に、上面が解放されているか否かは、吸着部16bにおける圧力に基づいて判断される。
【0098】
吸着されていた上面が解放されていないと判断されると、制御部25は待機する。待機中に各吸着部16bの圧力が上昇すると、上面が解放される。また、待機中に、制御部25は、上面への吸着の終了から、予め設定された時間が経過したか判断する(ステップS227)。設定時間が経過しても上面が解放されない場合、制御部25は、第2動作を終了する。制御部25は、吸着された上面が解放されないことを報知しても良い。
【0099】
上面が解放されると、
図20(b)に示すように、昇降装置152は、吸着ハンド1を上昇させる(ステップS228)。
図20(c)に示すように、コンベア130は、載置された物品Aを、コンベアCへ搬送する(ステップS229)。コンベアCは、物品Aを、別の場所へ搬送する。保持装置100は、パレットP上の全ての物品AがコンベアCに搬送されるまで、上述した動作を繰り返す。
【0100】
パレットP上の物品Aの配列を示すデータは、ユーザによって入力されても良いし、通信手段によって制御部25へ送信されても良い。例えば、制御部25は、配列を示すデータを受信する。制御部25は、受信したデータに基づいて、側面吸着ユニット22の位置を切り替える。
【0101】
実施形態に係る保持装置100は、吸着ハンド1を備える。このため、より多様な物品を安定して保持できる。また、上面吸着ユニット16の大型化が抑制されることで、上面吸着ユニット16が他の要素と干渉することを抑制できる。
【0102】
複数の物品Aのサイズが規則的な第1配列では、
図10及び
図13(a)~
図15(c)に示すように、同じ1つの段において、それぞれの物品Aの上面の高さが同じである。例えば、各物品Aには、同じ品種の品物が梱包される。この場合、手前の物品Aを先に搬送することで、上面吸着ユニット16と側面吸着ユニット22の両方で物品Aをより安定して保持できる。また、上面吸着ユニット16と側面吸着ユニット22の一方のみで物品Aを保持する場合に比べて、物品Aに局所的に大きな力が加わることを抑制できる。これにより、物品Aの損傷を抑制できる。第1配列の物品Aに対しては、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22の両方が用いられる。
【0103】
複数の物品Aのサイズが不規則な第2配列では、
図18(a)~
図20(c)に示すように、X-Y面において隣り合う物品Aの上面の位置が、互いに異なりうる。例えば、物品Aは、宅配小包である。この場合、上面が低い位置にある物品Aに上面吸着ユニット16を近づけると、上面がより高い位置にある別の物品Aに保持装置100の一部が干渉し、別の物品Aを損傷させる可能性がある。このため、保持装置100は、搬送時に上面が最も高い位置にある物品Aを保持する。第2配列の物品Aに対しては、上面吸着ユニット16のみが用いられ、側面吸着ユニット22は用いられない。
【0104】
従来、第1配列の物品Aを搬送する場合と、第2配列の物品Aを搬送する場合と、では、異なる保持装置が用いられている。すなわち、第1配列の物品Aに対しては、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22を備える保持装置が用いられる。第2配列の物品Aに対しては、上面吸着ユニット16のみを備える保持装置が用いられる。しかし、従来の方法では、保持装置の種類及び物品の配列に応じてパレットを保持装置に割り当てる必要がある。このため、管理が煩雑となる。また、保持装置の稼働率も低下しうる。
【0105】
この課題について、実施形態に係る保持装置100は、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22の両方で物品Aを保持する第1動作と、上面吸着ユニット16のみで物品Aを保持する第2動作と、を実行する。第1動作又は第2動作のいずれかを選択的に実行することで、配列に拘わらず、物品Aを保持できる。実施形態によれば、保持装置100の利便性を向上できる。これにより、例えば、保持装置100の稼働率を向上できる。
【0106】
好ましくは、保持装置100は、側面吸着ユニット22が第1位置にある第1状態と、側面吸着ユニット22が第2位置にある第2状態と、を切り替える。第2配列の物品Aを保持する際、側面吸着ユニット22が、保持の対象とは別の物品Aに干渉する可能性がある。第2動作のときに側面吸着ユニット22が第2位置にあると、側面吸着ユニット22が別の物品Aと干渉する可能性を低減できる。
【0107】
図21は、別の実施形態に係るハンドを示す正面図である。
図22は、別の実施形態に係るハンドを示す側面図である。
図21及び
図22では、実施形態に係るハンドの別の一例として、挟持ハンド2が示されている。挟持ハンド2は、挟持により物品を保持する。挟持ハンド2は、吸着ハンド1と比べると、上面吸着ユニット16及び側面吸着ユニット22に代えて、保持ユニット31(第1保持ユニットの別の一例)及び保持ユニット32(第2保持ユニットの別の一例)を備える。挟持ハンド2におけるその他の構造には、吸着ハンド1と同様の構造を採用可能である。
【0108】
図21に示すように、保持ユニット31は、筐体31a及び挟持機構31b(第1保持部の別の一例)を含む。挟持機構31bは、棒状の複数の支持部31cを含む。各支持部31cは、Z方向に沿って延び、X方向において互いに離れてる。筐体31aは、支持部31cを駆動させるためのアクチュエータを含む。挟持機構31bは、支持部31c同士の間のX方向における距離を変更可能である。物品Aの一部が支持部31c同士の間に位置した状態で、支持部31c同士の距離を縮めることで、物品Aを挟持できる。
【0109】
保持ユニット31は、Y方向において複数設けられている。各保持ユニット31は、独立してZ方向に移動可能である。各保持ユニット31が、複数の挟持機構31bを含む。
【0110】
図22に示すように、保持ユニット32は、筐体32a及び挟持機構32b(第2保持部の別の一例)を含む。挟持機構32bは、棒状の複数の支持部32cを含む。各支持部32cは、X方向に沿って延び、Z方向において互いに離れてる。筐体32aは、支持部32cを駆動させるためのアクチュエータを含む。挟持機構32bは、支持部32c同士の間のZ方向における距離を変更可能である。物品Aの一部が支持部32c同士の間に位置した状態で、支持部32c同士の距離を縮めることで、物品Aを挟持できる。
【0111】
保持ユニット32は、Y方向において複数設けられている。各保持ユニット32は、独立してX方向に移動可能である。各保持ユニット32が、複数の挟持機構32bを含む。
【0112】
ハンド2は、ハンド1と同様に、ベース11、傾斜機構12、リニアガイド13、連結フレーム14、固定機構15、リニアガイド17、連結プレート18、シリンダ19、リンク機構20、駆動機構21、検出器23、制御部25などを備える。このため、複数の保持ユニット32は、それぞれ、複数の保持ユニット31と連結される。複数の保持ユニット32のZ方向における位置は、それぞれ、複数の保持ユニット31のZ方向における位置に応じて可変である。複数の駆動機構21は、複数のリンク機構20をそれぞれY方向まわりに回転させることで、複数の保持ユニット32のZ方向における位置を変化させることができる。傾斜機構12は、Y方向及びX方向に沿う面に対して保持ユニット31及び保持ユニット32を傾斜させることができる。固定機構15は、保持ユニット31のZ方向における位置を固定できる。
【0113】
図示した例では、保持ユニット31が複数の挟持機構31bを含み、保持ユニット32が複数の挟持機構32bを含む。図示した例に限らず、保持ユニット31は、1つの挟持機構31bのみを含んでも良い。保持ユニット32は、1つの挟持機構32bのみを含んでも良い。保持装置100は、吸着ハンド1に代えて、挟持ハンド2を備えても良い。
【0114】
図23は、ハードウェア構成を表す模式図である。
制御部25は、例えば
図23に表したハードウェア構成を含む。
図23に表した処理装置90は、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0115】
ROM92は、コンピュータの動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータに実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0116】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0117】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0118】
入力インタフェース(I/F)95は、処理装置90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0119】
出力インタフェース(I/F)96は、処理装置90と出力装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、出力装置96aにデータを送信し、出力装置96aに画像を表示させることができる。
【0120】
通信インタフェース(I/F)97は、処理装置90外部のサーバ97aと、処理装置90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。カメラ99は、物品を撮影し、画像をサーバ97aに保存する。カメラ99は、撮像装置120として機能する。
【0121】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置96aは、モニタ及びプロジェクタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと出力装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0122】
上述した種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0123】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0124】
実施形態は、以下の構成を含みうる。
(付記1)
互いに独立して第1方向に可動であり、前記第1方向と交差する第2方向において複数設けられ、物品を保持可能な複数の第1保持部を含む第1保持ユニットと、
前記第1方向及び前記第2方向に平行な面と交差する第3方向に可動であり、前記物品を保持可能な複数の第2部を含む第2ユニットと、
を備えた、ハンド。
(付記2)
前記第2保持ユニットは、前記第2方向において複数設けられる、付記1記載のハンド。
(付記3)
複数の前記第2保持ユニットは、それぞれ複数の前記第1保持ユニットと連結され、
前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置は、それぞれ、前記複数の第1保持ユニットの前記第1方向における位置に応じて可変である、付記2記載のハンド。
(付記4)
複数の前記第2保持ユニットをそれぞれ前記第3方向に駆動させる複数のアクチュエータをさらに備えた、付記2又は3に記載のハンド。
(付記5)
前記複数の第1保持ユニットに対する前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置をそれぞれ変化させる複数の駆動機構をさらに備えた、付記2~4のいずれか1つに記載のハンド。
(付記6)
前記複数の第1保持ユニットと、前記複数の第2保持ユニットと、の間にそれぞれ連結された複数のリンク機構をさらに備え、
前記複数の第2保持ユニットは、前記第2方向まわりに回転可能に前記複数のリンク機構にそれぞれ連結され、
前記複数の駆動機構は、前記複数のリンク機構をそれぞれ前記第2方向まわりに回転させることで、前記複数の第2保持ユニットの前記第1方向における位置を変化させる、付記5記載のハンド。
(付記7)
前記複数の駆動機構は、前記複数のリンク機構にそれぞれ連結された複数のシリンダを含む、付記6記載のハンド。
(付記8)
前記第2方向及び前記第3方向に沿う面に対して複数の前記第1保持ユニット及び前記第2保持ユニットを傾斜させる傾斜機構をさらに備えた、付記1~7のいずれか1つに記載のハンド。
(付記9)
複数の前記第1保持ユニットの前記第1方向における位置をそれぞれ固定する複数の固定機構をさらに備えた、付記1~8のいずれか1つに記載のハンド。
(付記10)
前記複数の第1保持部のそれぞれは、
前記第1方向に沿って延びる第1ロッドと、
前記第1ロッドの先端に設けられた第1吸着パッドと、
を含む、付記1~9のいずれか1つに記載のハンド。
(付記11)
前記複数の第2保持部のそれぞれは、
前記第3方向に沿って延びる第2ロッドと、
前記第2ロッドの先端に設けられた第2吸着パッドと、
を含む、付記1~10のいずれか1つに記載のハンド。
(付記12)
付記1~11のいずれか1つに記載のハンドと、
前記ハンドを、前記第1方向、前記第2方向、又は前記第3方向に沿って移動させる移動装置と、
を備えた保持装置。
(付記13)
付記1~11のいずれか1つに記載のハンドと、
前記ハンドを、前記第1方向、前記第2方向、又は前記第3方向に沿って移動させる移動装置と、
前記ハンドによって保持された物品が載置され、載置された前記物品を移動させるコンベアと、
を備えた荷役システム。
(付記14)
前記コンベアは、載置された前記物品を、前記コンベアに隣接して設けられる搬送装置に搬送する、付記13記載の荷役システム。
(付記15)
前記コンベアを前記第1方向に沿って移動させる昇降装置をさらに備えた、付記13又は14に記載の荷役システム。
(付記16)
積載された複数の前記物品を撮像する撮像装置をさらに備えた、付記13~15のいずれか1つに記載の荷役システム。
【0125】
以上で説明した実施形態によれば、より多様な物品を安定して保持可能な、ハンド、保持装置、及び荷役システムが提供される。
【0126】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0127】
1:吸着ハンド、 2:挟持ハンド、 5:吸着機構、 10:アーム、 10a:先端、 10b:回転軸、 10c:屈曲部、 11:ベース、 12:傾斜機構、 12a:シリンダ、 12b,12c:回転軸、 13:リニアガイド、 14:連結フレーム、 14a:縦フレーム部、 14b:横フレーム部、 15:固定機構、 15a:ロッド、 15b:固定板、 15c:可動板、 15d:クランパ、 15e:シリンダ、 16:上面吸着ユニット、 16a:筐体、 16b:吸着部、 16c:ロッド、 16d:吸着パッド、 17:リニアガイド、 18:連結プレート、 19:シリンダ、 20:リンク機構、 20a,20b:リンク、 20c~20f:回転軸、 21:駆動機構、 21a:シリンダ、 21b,21c:回転軸、 21d:バー、 22:側面吸着ユニット、 22a:筐体、 22b:吸着部、 22c:ロッド、 22d:吸着パッド、 23:検出器、 25:制御部、 31:保持ユニット、 31a:筐体、 31b:挟持機構、 31c:支持部、 32:保持ユニット、 32a:筐体、 32b:挟持機構、 32c:支持部、 90:処理装置、 91:CPU、 92:ROM、 93:RAM、 94:記憶装置、 95:入力インタフェース、 95a:入力装置、 96:出力インタフェース、 96a:出力装置、 97:通信インタフェース、 97a:サーバ、 98:システムバス、 99:カメラ、 100:保持装置(荷役システム)、 110:支持フレーム、 111:本体部、 111a:鉛直フレーム、 111b:水平フレーム、 112:突出部、 112a:支持部、 113,114:開口、 120:撮像装置、 130:コンベア、 131:ベルト、 132:プーリ、 133:モータ、 140:昇降装置、 141:駆動部、 142:シャフト、 143:ワイヤ、 150:移動装置、 151:水平移動装置、 151a:アーム、 151b:支持部、 152:昇降装置、 152a:駆動部、 152b:シャフト、 152c:ワイヤ、 160:負圧発生装置、 161:管、 170:検出器、 A:物品、 C:コンベア、 P:パレット、 R1,R2:吸着ハンド