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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038966
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/31 20060101AFI20230313BHJP
   A61Q 19/08 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230313BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q19/08
A61K8/37
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145855
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】境 仁美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC712
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD352
4C083CC03
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】
本発明は特定の成分を併用することにより、肌の粘弾性が相乗的に向上し、良好な使用感を有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
下記(A)~(C)を含有する皮膚外用剤を提供する。
(A)スクワラン
(B)ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群より選択される1種または2種以上のエステル油
(C)HLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステル
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(C)を含有する皮膚外用剤。
(A)スクワラン
(B)ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群より選択される1種または2種以上のエステル油
(C)HLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
人間の皮膚は、加齢や紫外線等の外的ストレスによる影響で、しわやたるみが生じたり、その度合いが増加したりする。このような症状を改善するために様々な成分を組み合わせるなど技術開発が行われている(特許文献1)。
しかしながら、単に併用すれば効果が相乗的に向上するものではなく、相加的に効果が向上するもの、効果を相殺するものなど、その併用による効果は予測不可能な効果である。なかでもより少量で、より高い効果の得られる成分を皮膚外用剤へ配合することのニーズは非常に高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-235472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は特定の成分を併用することにより、肌の粘弾性が相乗的に向上し、良好な使用感を有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の課題を解決する手段は、下記(A)~(C)を含有する皮膚外用剤を提供することである。
(A)スクワラン
(B)ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群より選択される1種または2種以上のエステル油
(C)HLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステル
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は特定の成分を併用することにより、肌の粘弾性が相乗的に向上し、良好な使用感を有するという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0008】
[スクワラン]
本発明の皮膚外用剤に配合するスクワランは、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサンで、深海鮫の肝臓から抽出される動物由来のものとオリーブの果実又は米糠等から抽出される植物由来のものがある。いずれも抽出されたスクワレンに水素添加されたスクワランを用いることが好ましく、特に本発明においては植物由来のスクワランを用いることが好ましい。市販のNIKKOL シュガースクワラン(登録商標)(日本サーファクタント工業社製)、オリーブスクワラン(高級アルコール工業社製),オリザスクワラン(オリザ油化社製)、植物性スクワラン、スクワラン(いずれも岸本特殊肝油工業所社製)、スーパースクワラン、スクワラン(いずれもマルハニチロ社製)、スクワラン、精製オリーブスクワラン(日光ケミカルズ社製)、フィトスクワラン(ソフィーム社製)、プリピュア 3759-LQ(ユニケマ社製)等を用いることもできる。
【0009】
本発明におけるスクワランの配合量は、皮膚外用剤全量に対し、特に限定されないが、0.00001~40質量%が好ましく、さらに0.0001~30質量%が好ましい。
【0010】
[エステル油]
本発明の皮膚外用剤に配合するステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、イソノナン酸イソトリデシル、エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、およびパルミチン酸イソプロピルからなる群より選択される1種または2種以上のエステル油は、通常皮膚外用剤等に用いられるものであれば、その原料、製造方法、精製方法等は特に限定されない。これらの中でもイソステアリン酸ヘキシルデシルを用いることが特に好ましい。
【0011】
市販のイソステアリン酸ヘキシルデシルとしては、EMALEX HIS-34(日本エマルジョン社製)、I.C.I.S(高級アルコール工業社製)等を挙げることができる。
【0012】
本発明におけるイソステアリン酸ヘキシルデシルの配合量は、皮膚外用剤全量に対し、特に限定されないが、0.001~30質量%が好ましく、さらに0.001~20質量%が好ましい。
【0013】
[HLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステル]
本発明の皮膚外用剤に配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLBが5未満であれば、通常皮膚外用剤等に用いられるものを用いることができる。HLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB値:1.3)、イソステアリン酸ポリグリセリル-2(HLB値:4.6)、ペンタオレイン酸ポリグリセリル-10(HLB値:3.5)等が挙げられる。これらの中でも、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2を用いることが好ましい。
【0014】
市販のトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2としては、コスモール 43V、コスモール 43N(いずれも日清オイリオグループ社製)、EMALEX TISG-2(日本エマルジョン社製)、リソレックス PGIS23(高級アルコール工業社製)、NIKKOL DGTIS(日光ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明におけるHLBが5未満のポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、皮膚外用剤全量に対し、特に限定されないが、0.001~30質量%が好ましく、さらに0.01~10質量%が好ましい。
【0016】
本発明の皮膚外用剤には、上述の成分の他に、通常の化粧料、医薬部外品に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤の剤型は、特に限定されず、油系、乳化型等いずれの剤型でもよい。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は定法により調製することができる。
【0019】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。
【実施例0020】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0021】
[粘弾性試験方法]
表1および表2に示した試料を調製し、粘弾性の測定を行った。
【0022】
[測定方法]
(1)馴化
被験者は左右前腕内側部を洗浄後、水分をふき取り、温度21±0.5℃、湿度50±5%に調整された室内で15分間安静にし、馴化を行った。
(2)塗布
左右前腕内側部に3cm×3cmの領域を記し、ピペットを用いて9μLを滴下し、指サックをした指で均一に塗布した。
(3)測定
塗布前および塗布15分後の粘弾性をCutometer MPA580を用いて測定した。キュートメーターによる皮膚粘弾性の測定は、吸引口2ミリのプローブを用い150mb吸引圧で1秒間吸引し、その後開放したときの皮膚の変位を解析した。本試験では皮膚の粘弾性指標として用いられるパラメータ(R1)を解析したが、これは「一定時間皮膚を吸い、決められた時間内に皮膚がどれくらい戻るか」を示す値であり、粘弾性が低いほど皮膚の戻りが悪くなり値が大きくなる。塗布前を1とした場合の相対値を算出し、表1および表2に示した。
【0023】
[使用感評価]
官能評価専門員21名が、実施例および比較例にかかる皮膚外用剤をそれぞれ独立して使用し、膜感、肌の柔らかさ、ハリ感、厚み、高級感、嗜好性それぞれについて1~7点の評価を行い、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。結果を表2に示した。
5点以上:非常に良い「◎」
4.25点以上5点未満:良い「〇」
3.5点以上4.25点未満:少し悪い「△」
3.5点未満:悪い「×」
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示した通り、各成分を単独で塗布した比較例1~3と比較し、実施例1では粘弾性の値が減少した。また、実施例1は各成分が比較例1~3の3分の1量であることから、相乗的に粘弾性の値が減少したことが分かる。
【0026】
【表2】
【0027】
表2に示した通り、比較例4~7と比較し、実施例2は粘弾性の値が減少し、良好な使用感を有した。したがって、本発明の皮膚外用剤は肌の粘弾性を向上させ、良好な使用感を有した。