(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038978
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】吸水性樹脂組成物の処理方法
(51)【国際特許分類】
C08F 8/50 20060101AFI20230313BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20230313BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20230313BHJP
【FI】
C08F8/50
B09B3/00 302E
B09B3/00 304H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145872
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】301023009
【氏名又は名称】SDPグローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一充
【テーマコード(参考)】
4D004
4J100
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA12
4D004BA07
4D004CA15
4D004CA24
4D004CA34
4D004CA43
4D004CB33
4D004CC03
4D004CC11
4D004DA03
4D004DA10
4D004DA20
4J100AE77Q
4J100AJ02P
4J100AK01P
4J100AM15P
4J100BA03Q
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100HA51
4J100HB61
4J100HC38
4J100HE20
4J100JA57
(57)【要約】
【課題】
吸水性樹脂組成物を効率的に処理し、省資源及び環境負荷低減に寄与することができる処理方法を提供すること。
【解決手段】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を構成単位として有する架橋重合体(A)と、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)とを含有する吸水性樹脂組成物に電磁波を照射して前記架橋重合体(A)を分解する分解工程を有する吸水性樹脂組成物の処理方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を構成単位として有する架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂組成物と、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)と、を含有する分解用組成物に電磁波を照射して前記架橋重合体(A)を分解し、反応性分解物を得る分解工程と、を有する吸水性樹脂組成物の処理方法。
【請求項2】
前記電磁波がマイクロ波である請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A)の反応性分解物の数平均分子量が50~500000である請求項1又は2に記載の処理方法。
【請求項4】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の含有量が、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01~5重量%である請求項1~3の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物の処理方法。
【請求項5】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)が、平均一次粒子径1~100nmの球状又は不定形の粒子である請求項1~4の何れか1項に記載の吸水性樹脂組成物の処理方法。
【請求項6】
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を構成単位として有する架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂組成物と、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)と、を含有する分解用組成物に電磁波を照射して前記架橋重合体(A)を分解し、反応性分解物を得る分解工程と、を有する反応性分解物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水性樹脂組成物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生用品の使用量が増加するにつれて、使用後の衛生用品のごみ処理問題が深刻な問題となりつつある。衛生用品、特に紙おむつは社会が少子高齢化する時代に欠かせない用品として急激に普及し、その消費は急増している。
【0003】
使用後の衛生用品のごみ処理に関し、紙おむつなどは、通常、焼却処理されているが、おむつ中の水分の割合は約8割近くであるため、焼却には大きな燃焼エネルギーが必要となる。このため処理には焼却炉自体に大きな負荷がかかり、結果として焼却炉の寿命を短くする原因に繋がる。また、焼却処理は大気汚染や地球の温暖化に繋がり、環境に負荷をかける要因にもなるため、改善が強く望まれている。
【0004】
上記課題に対し、使用済み衛生用品から部材を回収し、再利用するための検討が進められている。通常、衛生用品はパルプ繊維と吸水性樹脂粒子から構成される吸収体を含み、部材として再利用するためにはパルプ繊維と吸水性樹脂粒子を分離する必要がある。しかし、使用済み衛生用品の吸収体中の吸水性樹脂粒子は水を吸収して膨潤したゲル状態となるため、そのままでは分離が難しい。そこで、吸水性樹脂粒子を分解して可溶化し、パルプ繊維と吸水性樹脂粒子の可溶化成分を分離する技術が提案されており、例えば、パルプ繊維及び吸水性樹脂粒子を含む衛生用品をオゾン含有水溶液で処理することで、吸水性樹脂粒子を分解・可溶化した後、パルプ繊維を回収する技術(特許文献1及び2)がある。また、吸水性樹脂粒子を分解して可溶化する技術としては、分解方法として過酸化水素等の酸化剤を使用する技術、更に電磁波を照射する方法(特許文献3~6)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-881号公報
【特許文献2】特開2017-209675号公報
【特許文献3】特開平4-317784号公報
【特許文献4】特開平6-313008号公報
【特許文献5】特開2003-321574号公報
【特許文献6】米国特許2021-54164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した使用済み衛生用品の再利用技術は、パルプ繊維を回収し、再生パルプとして利用することが目的であり、吸水性樹脂粒子の分解・可溶化成分は廃棄されるか又は固形燃料等でリサイクルされている場合がほとんどであり、リサイクルの観点からは十分とは言い難い。また、電磁波照射によって吸水性樹脂粒子をそのモノマー主成分であるアクリル酸及び/又はその塩やオリゴマー体に分解する例もあるが、前処理として、吸水性樹脂粒子を超純水で10倍程度に膨潤させる操作を必要とする。これは分解後に得られるアクリル酸及び/又はその塩やオリゴマー体の濃度が低下するため、アクリル酸及び/又はその塩やオリゴマー体を得るという観点から非効率であり、再利用の観点から改善する余地がある。
【0007】
本発明の目的は、吸水性樹脂組成物を効率的に処理し、省資源及び環境負荷低減に寄与することができる処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を構成単位として有する架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂組成物と、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)と、を含有する分解用組成物に電磁波を照射して前記架橋重合体(A)を分解し、反応性分解物を得る分解工程を有する吸水性樹脂組成物の処理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、吸水性樹脂組成物を効率的に処理し、省資源及び環境負荷低減に寄与することができる処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<吸水性樹脂組成物の処理方法>
本実施形態の吸水性樹脂組成物の処理方法は、
水溶性ビニルモノマー(a1)及び架橋剤(b)を構成単位として有する架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂組成物と、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)と、を含有する分解用組成物に電磁波を照射して前記架橋重合体(A)を分解し、反応性分解物を得る分解工程を有する。
【0011】
本実施形態の吸水性樹脂組成物の処理方法によれば、吸水性樹脂組成物を効率的に処理し、省資源及び環境負荷低減に寄与することができる。
【0012】
〔分解用組成物〕
[吸水性樹脂組成物]
前記水溶性ビニルモノマー(a1)としては特に限定はなく、公知のモノマー、例えば、特許第3648553号公報の0007~0023段落に開示されている少なくとも1個の水溶性置換基とエチレン性不飽和基とを有するビニルモノマー(例えばアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー)、特開2003-165883号公報の0009~0024段落に開示されているアニオン性ビニルモノマー、非イオン性ビニルモノマー及びカチオン性ビニルモノマー並びに特開2005-75982号公報の0041~0051段落に開示されているカルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、水酸基、カルバモイル基、アミノ基及びアンモニオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有するビニルモノマーが使用できる。
【0013】
これらの内、吸収性能等の観点から好ましいのはアニオン性ビニルモノマー、カルボキシ(塩)基、スルホ(塩)基、アミノ基、カルバモイル基、アンモニオ基又はモノ-、ジ-若しくはトリ-アルキルアンモニオ基を有するビニルモノマー、より好ましいのはカルボキシ(塩)基又はカルバモイル基を有するビニルモノマー、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)及び(メタ)アクリルアミド、特に好ましいのは(メタ)アクリル酸(塩)、とりわけ好ましいのはアクリル酸(塩)である。
【0014】
なお、「カルボキシ(塩)基」は「カルボキシ基」又は「カルボキシレート基」を意味し、「スルホ(塩)基」は「スルホ基」又は「スルホネート基」を意味する。また、(メタ)アクリル酸(塩)はアクリル酸、アクリル酸塩、メタクリル酸又はメタクリル酸塩を意味し、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。また、塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)塩及びアンモニウム(NH4)塩等が挙げられる。これらの塩の内、吸収性能等の観点から、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩が好ましく、更に好ましいのはアルカリ金属塩、特に好ましいのはナトリウム塩である。
【0015】
前記水溶性ビニルモノマー(a1)は1種を単独で構成単位としてもよく、また、必要により2種以上を構成単位としても良い。
【0016】
前記架橋剤(b)としては特に限定はなく公知(例えば、特許第3648553号公報の0031~0034段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも1個有してかつ少なくとも1個のエチレン性不飽和基を有する架橋剤及び水溶性置換基と反応し得る官能基を少なくとも2個有する架橋剤、特開2003-165883号公報の0028~0031段落に開示されているエチレン性不飽和基を2個以上有する架橋剤、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する架橋剤及び反応性置換基を2個以上有する架橋剤、特開2005-75982号公報の0059段落に開示されている架橋性ビニルモノマー並びに特開2005-95759号公報の0015~0016段落に開示されている架橋性ビニルモノマー)の架橋剤等が使用できる。
【0017】
前記吸水性樹脂組成物は、前記架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤により架橋された構造を有することが好ましい。前記架橋重合体(A)の表面を架橋することにより前記吸水性樹脂組成物のゲル強度を向上させることができ、前記吸水性樹脂組成物の望ましい保水量と荷重下における吸収量とを満足させることができる。また、前記架橋重合体(A)の表面が表面架橋剤で架橋されると、吸水性樹脂組成物の表面のブロッキングが抑制され、均一吸水が達成できるので電磁波で分解する際にも、分解効率の向上が期待できる。
【0018】
前記表面架橋剤としては、公知の有機表面架橋剤等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収特性の観点から、多価グリシジル化合物、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、更に好ましいのは多価グリシジル化合物及び多価アルコール、特に好ましいのは多価グリシジル化合物、最も好ましいのはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。前記表面架橋剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0019】
前記吸水性樹脂組成物は、その性能を損なわない範囲で残留溶媒や残存架橋成分等の他の成分を多少含んでも良い。
【0020】
前記吸水性樹脂組成物は、分解性の観点から、前記他の成分として、好ましくはヨウ素、テルル、アンチモン及びビスマスからなる群から選ばれる少なくとも1種の典型元素を含むことが好ましい。前記吸水性樹脂組成物が当該典型元素を含む場合、前記吸水性樹脂組成物中の当該典型元素の含有量は、分解性の観点から、0.0005~0.1重量%が好ましく、0.001~0.05重量%がより好ましい。
【0021】
前記他の成分のその他の例としては、防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、芳香剤、消臭剤、通液性向上剤、無機質粉末及び有機質繊維状物等が挙げられる。その量は前記吸水性樹脂組成物の重量に基づいて、通常、5重量%以下である。
【0022】
前記吸水性樹脂組成物の形状は特に限定されないが、吸収性能を向上させる観点から、粒子状が好ましい。粒子状の前記吸水性樹脂組成物(以下、吸水性樹脂組成物粒子ともいう)重量平均粒子径(μm)は、好ましくは250~600であり、より好ましくは300~500、更に好ましくは340~460である。
【0023】
前記吸水性樹脂組成物粒子の形状については特に限定はなく、不定形破砕状、リン片状、パール状及び米粒状等が挙げられる。これらのうち、紙おむつ用途等での繊維状物とのからみが良く、繊維状物からの脱落の心配がないという観点から、不定形破砕状が好ましい。
【0024】
前記吸水性樹脂組成物は公知の製造方法により得ることができる。前記吸水性樹脂組成物の製造方法は、少なくとも前記架橋重合体(A)を含む含水ゲルを得る重合工程と、前記含水ゲルを乾燥する乾燥工程とを有する。その他には、ゲル粉砕工程、表面架橋工程、粉砕工程、分級工程等を含んでいるのが好ましい。
【0025】
前記吸水性樹脂組成物の含水率は、壊れ防止性の観点から、好ましくは2%、より好ましくは3%以上であり、前記吸水性樹脂組成物の吸水性能の観点から、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。前記吸水性樹脂組成物に含まれる水分の由来としては、その製造中に意図的に添加される場合でもよいし、空気中の水分を取り込むことで水分量が増加する場合等でもよい。前記吸水性樹脂組成物の含水率は、例えば、赤外水分測定器[(株)KETT社製JE400等:120±5℃、30分、加熱前の雰囲気湿度50±10%RH、ランプ仕様100V、40W]によりサンプル2.00gを加熱し、減少重量の乾燥前サンプル重量に対する比を含水率(%)として測定することができる。
【0026】
前記吸水性樹脂組成物は、パルプ繊維とともに衛生用品の構成成分となりうる。衛生用品としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁製品、ペットシート等が挙げられる。衛生用品の製造方法等は、公知のもの(特開2003-225565号公報、特開2006-131767号公報及び特開2005-097569号公報等に記載のもの)と同様である。
【0027】
[水不溶性ケイ素含有微粒子(c)]
前記分解用組成物は、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を含む。本発明の発明者は架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)とを含む分解用脂組成物に電磁波を照射すると、架橋重合体(A)の分解効率が高まることを見出した。水不溶性ケイ素含有微粒子(c)が電磁波照射に伴い発生する熱を集束することで、架橋重合体(A)の分解が促進すると推測される。
【0028】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)としては、フュームドシリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ、変性シリカ等の二酸化ケイ素や、タルク、カリオン、ゼオライトやモンモリロナイト等のケイ酸塩微粒子等が挙げられ、入手の容易性や扱いやすさ、吸収性能の観点から、フュームドシリカ及びコロダルシリカが好ましい。(c)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0029】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)は、分解効率の観点から、平均一次粒子径1~100nmの球状又は不定形の粒子であることが好ましい。水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の平均一次粒子径は、好ましくは2~80nmであり、更に好ましくは3~60nm、特に好ましくは5~50nmである。
【0030】
なお、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の平均一次粒子径の測定は従来公知の方法で行えばよく、例えば、透過型電子顕微鏡での5万倍の画像から100個以上の粒子について個々の粒子の最長径と最短経との平均から粒子径を実測してその平均値を求める方法や、動的光散乱やレーザー回折法を用いた散乱式粒度分布測定装置を用いる方法、球状粒子である場合BET法による比表面積から算出する方法等が挙げられる。市販品を使用する場合には、そのカタログ値で代用できる。なお、測定により求める場合に測定方法により有意な相違がある場合は、上述の透過型電子顕微鏡を用いる方法による。
【0031】
前記分解用組成物は、前記架橋重合体(A)を含有する吸水性樹脂組成物と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)とを混合することで得ることができる。前記吸水性樹脂組成物と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の混合は、前記吸水性樹脂組成物の製造時に行ってもよく、衛生用品から分離した吸水性樹脂組成物と前記水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を混合することで行ってもよい。前記吸水性樹脂組成物の製造時に前記吸水性樹脂組成物と前記水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を混合する方法としては、前記架橋重合体(A)を表面架橋する際に、前記水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を有機表面架橋剤と同時に混合する方法が挙げられる。
【0032】
前記吸水性樹脂組成物と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の混合方法としては、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、フレキソミックス、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、ミンチ混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等の公知の混合装置を用いて均一混合する方法が挙げられる。
【0033】
架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)との混合は、架橋重合体(A)の撹拌下に水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を加えることが好ましい。加えられる水不溶性ケイ素含有微粒子(c)は、水及び/又は溶剤と同時に添加しても良い。水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を水及び/又は溶剤と同時に添加する場合、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を水及び/又は溶剤に分散した分散液を添加することができ、作業性等の観点から分散液を添加することが好ましく、水分散液を添加することが更に好ましい。分散液を添加する場合、噴霧又は滴下して添加することが好ましい。
【0034】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の分散液を用いる場合、分散液に含まれる水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の含有量は、分散液の合計重量に対して5~70%重量%が好ましく、更に好ましくは10~60重量%である。
【0035】
水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の分散液は、従来公知の方法により水及び/又は溶剤中で素原料を反応させ直接造粒して得られる分散液を用いてもよいし、微粒子を水及び/又は溶剤中に機械的に分散して得られる分散液を用いてもよい。
【0036】
分散液の安定性の観点から、水及び/又は溶剤中で素原料を反応させ直接造粒して得られる分散液を用いることが好ましい。水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の分散液は、水性コロイド液(ゾル)として市販品を入手することができる。
【0037】
なお分散液には、必要に応じて任意の安定化剤等の添加剤が含まれていても良い。安定化剤としては、例えば、市販の界面活性剤や分散剤、市販の酸化合物[リン酸(塩)、ホウ酸(塩)、アルカリ金属(塩)及びアルカリ土類金属(塩)、ヒドロキシカルボン酸(塩)、脂肪酸(塩)等]が挙げられる。
【0038】
架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を混合する際の温度は、吸収性能の観点から、10~150℃が好ましく、更に好ましくは20~100℃、特に好ましくは25~80℃である。
【0039】
架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)を混合した後、更に加熱処理を行ってもよい。加熱温度は、樹脂粒子の耐壊れ性の観点から好ましくは25~180℃、更に好ましくは30~175℃、特に好ましくは35~170℃である。180℃以下の加熱であれば蒸気を利用した間接加熱が可能であり設備上有利である。また、加熱を行わない場合、併用する水及び溶剤が吸水性樹脂中に過剰に残存することとなり、吸収性能が悪くなる場合がある。吸水性樹脂組成物中に残存する水、溶剤の量としては、吸水性樹脂100重量部あたり、1~10重量部が好ましい。吸水性樹脂中に残存する水、溶剤の量は、JISK0067-1992(化学製品の減量及び残分試験法)に準拠し、加熱減量法により得ることができる。
【0040】
架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)との混合後に加熱する場合、加熱時間は加熱温度により適宜設定することができるが、経済性の観点から、好ましくは5~60分、更に好ましくは10~40分である。架橋重合体(A)と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)とを混合して得られる吸水性樹脂を、最初に用いた水不溶性ケイ素含有微粒子と同種又は異種の水不溶性ケイ素含有微粒子を用いて、更に表面処理することも可能である。
【0041】
分解用組成物中の水不溶性ケイ素含有微粒子(c)の含有量は、吸水性樹脂組成物の用途に応じて調整することができるが、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.01~1重量%が分解効率の観点から好ましく、更に好ましくは0.02~0.8重量%、特に好ましくは0.02~0.5重量%である。この範囲より多いと分解物をリサイクルする際に分離する必要があり、この範囲より少ないと熱集束がなく過剰な分解が生じることで分解収率が低下する恐れがあり好ましくない。
【0042】
<分解工程>
前記分解工程で、前記分解用組成物に照射する電磁波は、前記架橋重合体(A)を分解して解重合することができればすることができれば特に限定されない。当該電磁波としては、マイクロ波が例示できる。
【0043】
前記分解用組成物が含有する吸水性樹脂組成物は、架橋重合体(A)を含有し、保水しているが、電磁波を照射することで架橋重合体(A)が有する特定の結合を選択的に切断することにより解重合される。そして解重合によって生成された反応性分解物は照射前の吸水性樹脂組成物が保持していた水に溶解又は懸濁することとなる。
【0044】
電磁波を照射する分解用組成物が含有する水分量は、分解効率、反応性分解物の再利用の観点から、分解用組成物の重量に基づいて、0.5重量%以上が好ましく、反応性分解物の再利用の観点から、500重量%以下であることが好ましく、更に好ましくは、400重量%以下である。水分量は加水により調整することが可能であり、水分量が500重量%以下であることで反応性分解物を再利用する際に、反応性分解物の水溶液又は懸濁液を脱水処理することなく使用することが可能となる。
【0045】
前記分解工程で前記分解用組成物に照射する電磁波の出力は、架橋重合体(A)を効率的に分解処理する観点から、150W以上が好ましく、300W以上がより好ましく、同様の観点から、1500W以下が好ましく、1000W以下がより好ましい。
【0046】
前記電磁波の照射時間は特に限定されないが、架橋重合体(A)を効率的に分解処理する観点から、2分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、経済性の観点から、120分以下が好ましく、60分以下がより好ましい。
【0047】
前記電磁波を照射する際の前記分解用組成物の温度は特に限定されないが、架橋重合体(A)を効率的に分解処理する観点から、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、再利用の観点及び炭素収率の観点から、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
【0048】
前記分解用組成物への前記電磁波の照射は、架橋重合体(A)を効率的に分解処理する観点から、ラジカル源の存在下で行われることが好ましい。当該ラジカル源としてはアスコルビン酸及び/又はアスコルビン酸誘導体、プロオキシダント類、次亜塩素酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、オゾン、過酸化水素が例示でき、経済性の観点から、過酸化水素が好ましい。
【0049】
アスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体としては、公知のものであれば特に制限はないが、アスコルビン酸としては、L体、D体及びDL体のいずれであってもよく、入手容易性の観点から、L-アスコルビン酸が好ましい。また、アスコルビン酸誘導体とは、アスコルビン酸及びその一部を化学修飾や置換した誘導体を意味する。アスコルビン酸誘導体の具体例としては、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸硫酸エステル、アスコルビン酸グリコシド等が挙げられる。また、これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体の金属塩(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等)や有機塩(アンモニウム、アミン等)も使用可能であり、本発明のアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体に含まれる。これらのアスコルビン酸及びアスコルビン酸誘導体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよいし、更に鉄イオン、銅イオンなどと組み合わせ使用してもよい。
【0050】
前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A)の反応性分解物は、架橋重合体(A)の構成モノマーである(a1)及び/又はその重合物と水不溶性ケイ素含有微粒子(c)などの混合物として得られる。再利用の観点からは、架橋重合体(A)の構成モノマー、該構成モノマーの水溶性重合体及び水不溶性ケイ素含有微粒子(c)との混合物であることが好ましい。
【0051】
前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A)の反応性分解物の数平均分子量は、分解生成物を架橋重合体の原料として再利用する観点から、好ましくは50以上、より好ましくは70以上であり、モノマーやオリゴマーと反応する際の反応効率の観点から、好ましくは500000以下、より好ましくは100000以下、特に好ましくは10000以下である。なお、本明細書において、前記分解工程で得られる前記架橋重合体(A)の反応性分解物の数平均分子量は、実施例に記載の方法により測定する。
【0052】
<反応性分解物の製造方法>
本実施形態の反応性分解物の製造方法は、前記分解工程を有する。本実施形態の反応性分解物の製造方法が有する前記分解工程は、前記吸水性樹脂組成物の処理方法が有する前記分解工程と同様なので説明を省略する。
【実施例0053】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、部は重量部、%は重量%を示す。なお、分解生成物の数平均分子量、分解後の炭素収率は以下の方法により測定した。
【0054】
<反応性分解物の数平均分子量>
反応性分解物の数平均分子量の測定方法としては、例えば、多角度光散乱検出器(昭光サイエンティフィック(株)製DAWN HELEOS II)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(アジレント・テクノロジー(株)製、1200シリーズ)(以下、GPC-MALSと略記する)を使用し、溶剤として0.5M酢酸と0.2M硝酸ナトリウムを含む水溶液を用い、サンプル濃度は0.2重量%とし、カラム固定相にはポリマー系充填剤(昭光サイエンティフィック(株)製OHpak SB-806M HQ)を用い、カラム温度は40℃として測定される。
【0055】
<分解後の炭素収率測定>
電磁波照射によって得られる反応性分解物の炭素収率については、島津全有機体炭素計TOC-LCPH(株式会社 島津製作所社製)を使用して測定した。
【0056】
<製造例1>
アクリル酸157部(2.18モル部)、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6305部(0.0024モル部)及び脱イオン水344.65部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.5部、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5.00部、および水不溶性ケイ素含有微粒子(c-1)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、平均一次粒径25nm)0.33部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂組成物(P-1)を得た。
【0057】
<製造例2>
製造例1において、水不溶性ケイ素含有微粒子(c-1)を0.33部から3.3部に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(P-2)を得た。
【0058】
<製造例3>
製造例1において、水不溶性ケイ素含有微粒子(c-1)を0.33部から15.1部に変更した以外は製造例1と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(P-3)を得た。
【0059】
<製造例4>
アクリル酸157部(2.18モル部)、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6305部(0.0024モル部)及び脱イオン水344.65部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.5部、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5.00部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋し、吸水性樹脂組成物(P-4)を得た。次いで、(P-4)100重量部をビニール袋に入れ、水不溶性ケイ素化合物微粒子(c-2)としてのAerosil200(日本アエロジル社製ヒュームドシリカ、平均一次粒径12nm)0.1部を加えてで揉みこむことでよく混合し本発明の吸水性樹脂組成物(P-5)を得た。
【0060】
<製造例5>
製造例4において、水不溶性ケイ素含有微粒子(c-2)を0.1部から1.0部に変更した以外は製造例4と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(P-6)を得た。
【0061】
<製造例6>
製造例4において、水不溶性ケイ素含有微粒子(c-2)を0.1部から5.0部に変更した以外は製造例4と同様の操作を行い、吸水性樹脂組成物(P-7)を得た。
【0062】
<製造例7>
アクリル酸157部(2.18モル部)、架橋剤(b){ペンタエリスリトールトリアリルエーテル}0.6305部(0.0024モル部)及び脱イオン水344.65部を攪拌・混合しながら3℃に保った。この混合物中に窒素を流入して溶存酸素量を1ppm以下とした後、1%過酸化水素水溶液0.63部、2%アスコルビン酸水溶液1.1774部及び2%の2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]水溶液2.355部を添加・混合して重合を開始させた。混合物の温度が90℃に達した後、90±2℃で約5時間重合することにより含水ゲル(1)を得た。次にこの含水ゲル(1)502.27部をミンチ機で細断しながら48.5%水酸化ナトリウム水溶液128.42部を添加して混合し、含水ゲル粒子を得た。更に含水ゲル粒子を通気型バンド乾燥機{150℃、風速2m/秒}で乾燥し、乾燥体を得た。乾燥体をジューサーミキサーにて粉砕した後、目開き710~150μmの粒子径範囲に調整することにより、乾燥体粒子(1)を得た。この乾燥体粒子(1)100部を高速攪拌しながら硫酸ナトリウムアルミニウムミョウバン12水和物を0.5部、エチレングリコールジグリシジルエーテルの2%水/メタノール混合溶液(水/メタノールの重量比=70/30)の5.00部、および水不溶性ケイ素含有微粒子(c-1)としてのKlebosol30cal25(メルク社製コロイダルシリカ、固形分30%、平均一次粒径25nm)1.5部をスプレー噴霧しながら加えて混合し、150℃で30分間静置して表面架橋して、吸水性樹脂組成物(P-8)を得た。次いで、(P-8)100重量部をビニール袋に入れ、水不溶性ケイ素化合物微粒子(c-2)としてのAerosil200(日本アエロジル社製ヒュームドシリカ、平均一次粒径12nm)0.5部を加えてで揉みこむことでよく混合し本発明の吸水性樹脂組成物(P-9)を得た。
【0063】
<製造例8>
製造例1において、不溶性ケイ素含有粒子を(c-1)を添加しないに変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、比較用の吸水性樹脂組成物(R-1)を得た。
【0064】
<実施例1>
次に、試料(P-1)1.000gを分解用試験管にはかり取り、過酸化水素(3.5%水溶液 東京化成工業社製)0.05gを入れて試験管のふたを閉じ、マイクロ波照射を以下の条件で実施した。すなわち、マイクロ波照射の出力を500Wとし、照射時間を5分間で室温から200℃までの昇温を行った後、更に200℃で10分間200℃を保持する条件で行い、反応性分解物(Z-1)を得た。
【0065】
<実施例2>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-2)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で5分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-2)を得た。
【0066】
<実施例3>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-4)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で2分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-3)を得た。
【0067】
<実施例4>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-5)1.000gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-4)を得た。
【0068】
<実施例5>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-6)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で5分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-5)を得た。
【0069】
<実施例6>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-7)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で2分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-5)を得た。
【0070】
<実施例7>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(P-9)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で5分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、反応性分解物(Z-5)を得た。
【0071】
<比較例1>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(R-1)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で2分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の反応性分解物(ZR-1)を得た。
【0072】
<比較例2>
実施例1において、試料(P-1)1.000gを試料(R-1)1.000gに、200℃で10分間200℃を保持するから、200℃で30分間200℃を保持するに変更した以外は実施例1と同様の操作を行い、比較用の反応性分解物(ZR-2)を得た。
【0073】
【0074】
表1に示す結果から、実施例に係る吸水性樹脂組成物の反応性分解物の炭素収率は極めて高く、また比較例に比べて分解後の数平均分子量から小さいことから、より分解が進んでいることが分かる。更に、比較例2において、電磁波の照射時間を増やした系では炭素収率が大きく低下してしまうことから、水不溶性ケイ素含有微粒子(c)が効率的な電磁波照射分解に寄与していると考えられ、より少ないエネルギーで、効率の良い吸水性組成物の分解が可能となる。
【0075】
本結果から、本発明は、吸水性樹脂組成物を電磁波照射により、効率的かつ簡便に分解することが可能であり、再度原料としての使用も可能であって省資源及び環境負荷低減の観点から、優れた処理方法といえる。