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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023038979
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】結紮用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
A61B17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145876
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100144510
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 真由
(72)【発明者】
【氏名】森永 耕輔
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD02
4C160DD12
4C160DD22
(57)【要約】
【課題】流体駆動式の結紮用デバイスにおいて、スライド筒の組付けを容易にする技術を提供する。
【解決手段】結紮用デバイスは、内側筒体と、内側筒体の外周に内側筒体と隙間を空けて装着される外側筒体と、内側筒体の外周の隙間に配置され内側筒体に対し内側筒体の軸線方向に沿って相対移動可能であるスライダと、内側筒体の外周に装着され、スライダの相対移動に伴い内側筒体の先端から離脱可能な結紮リングと、を備え、スライダは、略円弧体であり、外周面に開口する第1嵌合部を有する第1部品と、略円弧体であり、第1部品とスライダの周方向に繋がる第2部品であって、外周面に開口する第2嵌合部を有する第2部品と、第1部品の外周面から第2部品の外周面に亘って配置され、自身の少なくとも一部が第1嵌合部と第2嵌合部とに嵌合し、第1部品と第2部品とを接合する接合部材と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結紮用デバイスであって、
略円筒状の内側筒体と、
略円筒状であり、前記内側筒体の外周を囲むように、前記内側筒体と隙間を空けて装着される外側筒体と、
略円筒状であり、前記内側筒体の外周を囲むように前記隙間に配置され、前記隙間に流入する流体により前記内側筒体に対し前記内側筒体の軸線方向に沿って相対移動可能であるスライダと、
前記内側筒体の外周を囲むように装着され、前記スライダの前記相対移動とともに前記内側筒体に対し相対移動可能であり、前記内側筒体の先端から離脱可能な少なくとも1つの結紮リングと、
を備え、
前記スライダは、
略円弧体である第1部品と、
略円弧体であり、前記第1部品と前記スライダの周方向に繋がる第2部品と、
前記第1部品の外周面から前記第2部品の外周面に亘って配置され前記第1部品と前記第2部品とを接合する接合部材と、を有し、
前記第1部品は、外周面に開口する凹部および貫通孔の少なくともいずれか一方を有し、前記接合部材の少なくとも一部が嵌合する第1嵌合部を有し、
前記第2部品は、外周面に開口する凹部および貫通孔の少なくともいずれか一方を有し、前記接合部材の少なくとも一部が嵌合する第2嵌合部を有する、
結紮用デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の結紮用デバイスであって、
前記スライダは、
内周面に周方向に沿って延びる少なくとも1つの環状溝を、さらに有し、
前記結紮リングは、前記環状溝内に位置する、
結紮用デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の結紮用デバイスであって、
複数の前記結紮リングを備え、
前記複数の結紮リングは、
前記スライダより先端側に配置される第1結紮リングと、
前記環状溝内に配置される第2結紮リングと、
を含む、
結紮用デバイス。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の結紮用デバイスであって、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、それぞれ、溝状であり、かつ前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は連通している、
結紮用デバイス。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の結紮用デバイスであって、
前記接合部材は、
前記スライダの周方向に略沿って延びる第1接合部材と、
前記第1接合部材と繋がり、前記スライダの軸線方向に略沿って延びる第2接合部材と、を有する、
結紮用デバイス。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の結紮用デバイスであって、
前記隙間に連通するチューブを、さらに備える、
結紮用デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結紮用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の消化管等に形成された憩室および瘤等を結紮する結紮用デバイスが用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2には、結紮リングを装着した内筒と、外筒の中間にスライド筒を配し、気密空間の後端に小孔を設けて流体チューブを接続した構造のデバイスにおいて、流体注入手段により流体を注入することにより結紮リングを離脱させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-170061号公報
【特許文献2】特開2002-253555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に記載されたような流体駆動式の結紮用デバイスにおいて、2つ以上に分割された、いわゆる割型のスライド筒を用いることが考えられる。割型のスライド筒を用いて結紮用デバイスを製造する場合、各割型の接触面に接着剤を塗布してスライド筒を組み付けると、接着剤がスライド筒の内側に溢れて、スライド筒が内筒等の他の部品に接着される虞がある。そのため、接着剤の塗り方に一定の習熟度を要し、製品の製造時間を要する、不良率が高くなる等、製造効率が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、流体駆動式の結紮用デバイスにおいて、スライド筒の組付けを容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、結紮用デバイスが提供される。この結紮用デバイスは、略円筒状の内側筒体と、略円筒状であり、前記内側筒体の外周を囲むように、前記内側筒体と隙間を空けて装着される外側筒体と、略円筒状であり、前記内側筒体の外周を囲むように前記隙間に配置され、前記隙間に流入する流体により前記内側筒体に対し前記内側筒体の軸線方向に沿って相対移動可能であるスライダと、前記内側筒体の外周を囲むように装着され、前記スライダの前記相対移動とともに前記内側筒体に対し相対移動可能であり、前記内側筒体の先端から離脱可能な少なくとも1つの結紮リングと、を備え、前記スライダは、略円弧体である第1部品と、略円弧体であり、前記第1部品と前記スライダの周方向に繋がる第2部品と、前記第1部品の外周面から前記第2部品の外周面に亘って配置され前記第1部品と前記第2部品とを接合する接合部材と、を有し、前記第1部品は、外周面に開口する凹部および貫通孔の少なくともいずれか一方を有し、前記接合部材の少なくとも一部が嵌合する第1嵌合部を有し、前記第2部品は、外周面に開口する凹部および貫通孔の少なくともいずれか一方を有し、前記接合部材の少なくとも一部が嵌合する第2嵌合部を有する。
【0008】
この構成によれば、第1部品と第2部品とが、第1部品および第2部品の外周面側から接合部材によって接合される。そのため、第1部品と第2部品との接触面に接着剤を塗布して第1部品と第2部品とを接合する場合と比較して、接着剤の溢れによるスライダと他の部品との接着を抑制することができるため、接着剤の塗布に熟練を要さず、スライダの組付けを容易にすることができる。また、例えば、接着剤を用いず、接合部材によって第1部品と第2部品とを接合することも可能となるため、接着剤を用いない場合には、スライダと他の部品との接着を防止することができる。そのため、製品の製造時間の短縮、不良率の低下等、製造効率の向上に資することができる。ここで、「嵌合」は、「固く嵌め合う」と「ゆるく嵌め合う」を含む概念である。
【0009】
(2)上記形態の結紮用デバイスであって、前記スライダは、内周面に周方向に沿って延びる少なくとも1つの環状溝を、さらに有し、前記結紮リングは、前記環状溝内に位置してもよい。このようにすると、スライダの相対移動に伴う結紮リングの相対移動をより適切に行うことができる。
【0010】
(3)上記形態の結紮用デバイスであって、複数の前記結紮リングを備え、前記複数の結紮リングは、前記スライダより先端側に配置される第1結紮リングと、前記環状溝内に配置される第2結紮リングと、を含んでもよい。このようにすると、例えば、第1結紮リングを脱離させた後、時間を空けて第2結紮リングを脱離させるというように、複数の結紮リングの脱離を、容易に適切に制御することができる。
【0011】
(4)上記形態の結紮用デバイスであって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、それぞれ、溝状であり、かつ前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は連通していてもよい。このようにすると、第1部品および第2部品と接合部材との接触面積が大きくなるため、第1部品と第2部品との接合性を向上させることができる。
【0012】
(5)上記形態の結紮用デバイスであって、前記接合部材は、前記スライダの周方向に略沿って延びる第1接合部材と、前記第1接合部材と繋がり、前記スライダの軸線方向に略沿って延びる第2接合部材と、を有してもよい。このようにすると、第1接合部材によってスライダに生じる周方向の力に対抗して第1部品と第2部品との接合が解除されるのを抑制するだけでなく、スライダの軸線方向のモーメントに対抗して、スライダを補強することができる。
【0013】
(6)上記形態の結紮用デバイスであって、前記隙間に連通するチューブを、さらに備えてもよい。このようにすると、例えば、チューブにシリンジを接続することにより、容易に流体を隙間に供給することができる。
【0014】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、結紮用デバイスの製造方法などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の結紮用デバイスの外観構成を概略的に示す説明図である。
図2】第1実施形態の結紮用デバイスの断面構成を概略的に示す説明図である。
図3】第1実施形態の結紮用デバイスの断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。
図4】結紮用デバイスの使用方法の説明図である。
図5】スライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図6】スライダの断面構成を概略的に示す説明図である。
図7】スライダの装着方法の説明図である。
図8】第2実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図9】第3実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図10】第4実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図11】第5実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図12】第6実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図13】第7実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図14】第7実施形態のスライダの断面構成を概略的に示す説明図である。
図15】第8実施形態のスライダの外観構成を概略的に示す説明図である。
図16】第8実施形態のスライダの断面構成を概略的に示す説明図である。
図17】第8実施形態のスライダを用いた結紮用デバイスの断面構成を概略的に示す説明図である。
図18】第9実施形態の結紮用デバイスの断面構成を概略的に示す説明図である。
図19】第10実施形態の結紮用デバイスの断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。
図20】第11実施形態の結紮用デバイスの断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の結紮用デバイス100の外観構成を概略的に示す説明図である。図2は、第1実施形態の結紮用デバイス100の断面構成を概略的に示す説明図である。図3は、第1実施形態の結紮用デバイス100の断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。図2および図3は、図1におけるA-A断面を図示している。図1および図2では、結紮用デバイス100にシリンジ200が接続された状態を図示している。図3では、結紮用デバイス100が内視鏡300に装着された状態を図示している。なお、図3では、内視鏡300は、便宜上、外観を図示しており、断面図としては図示していない(以降の図も同様である)。
【0017】
結紮用デバイス100は、患者の消化管等に形成された憩室および瘤等の患部を結紮するために使用される。結紮用デバイス100は、内側筒体10と、スライダ20と、外側筒体30と、結紮リング40と、チューブ50と、を備える(図1、2)。結紮用デバイス100は、チューブ50に接続されたシリンジ200によって供給される流体(例えば、空気)の圧力を駆動源とする流体駆動式の結紮用デバイスである。
【0018】
図1では、結紮用デバイス100の内側筒体10の中心を通る軸を軸線LO(一点鎖線)で表す。この例では、軸線LOは、内側筒体10、スライダ20、および外側筒体30の各中心を通る軸と一致している。しかし、軸線LOは、内側筒体10、スライダ20、および外側筒体30の各中心軸と相違していてもよい。図1には、相互に直交するXYZ軸を図示する。X軸は結紮用デバイス100の長手方向(長さ方向)に対応し、Y軸およびZ軸は結紮用デバイス100の径方向に対応する。図1の左側(-X軸方向)を結紮用デバイス100および各構成部材の「先端側」と呼び、図1の右側(+X軸方向)を結紮用デバイス100および各構成部材の「基端側」と呼ぶ。結紮用デバイス100および各構成部材について、先端側に位置する端部を「先端」と呼び、先端およびその近傍を「先端部」と呼ぶ。また、基端側に位置する端部を「基端」と呼び、基端およびその近傍を「基端部」と呼ぶ。これらの点は、図1以降においても共通する。
【0019】
内側筒体10は、全体として中空の略円筒状であり、先端に向かって縮径する第1筒部12と、略一定の径の円筒状の第2筒部14と、を有する。第1筒部12は、第2筒部14より先端側に第2筒部14と繋がって一体的に形成されている。結紮用デバイス100は、後述するように、内視鏡300の先端に装着されて用いられる。内側筒体10の第2筒部14の先端部の内周には円環状の止め具16が設けられており、内側筒体10の第2筒部14の基端側から内側筒体10内に内視鏡300が挿入され、内視鏡300の先端が止め具16と当接すると、結紮用デバイス100が内視鏡300に対して適切な位置に配置される(図3)。例えば、大腸憩室出血の内視鏡的止血術である内視鏡的バンド結紮術(endscopic band ligation;EBL法)の場合、内視鏡300を介して憩室を吸引し、憩室が内視鏡300へ向かって凸形状となるように反転させ、憩室を第1筒部12内へ位置させる。
【0020】
内側筒体10を構成する材料は、特に制限されないが、例えば、金属材料、樹脂材料又はセラミックス材料などを用いることができる。金属材料の例としては、ステンレス鋼、チタン、およびニッケルチタン合金等が挙げられる。樹脂材料の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン又はポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。セラミックス材料の例としては、例えば、ガラス、およびファインセラミックス等が挙げられる。
【0021】
後述するように、内側筒体10には結紮リング40が装着されるため、内側筒体10を構成する材料としては、結紮リング40の装着による圧力に耐える強度を有すると共に、生体適合性を有しているものが好ましい。また、内側筒体10を構成する材料としては、処置時の視野を広く保つために、透光性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アクリル樹脂等)でもよい。
【0022】
外側筒体30は、内側筒体10より径が大きい中空の略円筒状であり、内側筒体10の外周を囲むように、内側筒体10と隙間Sを空けて配置されている。図3に示すように、外側筒体30の基端側には、略円環状の固定部材60が配置されており、外側筒体30と固定部材60とが接着剤によって接着されるとともに、固定部材60と内側筒体10とが接着剤によって接着されることにより、外側筒体30が内側筒体10の外周に装着されている。外側筒体30と内側筒体10との間の隙間Sの基端側は、固定部材60により閉じられている。固定部材60には隙間Sに連通する貫通孔が形成されており、後述するチューブ50が当該貫通孔に挿入されている。これにより、チューブ50は隙間Sと連通している。
【0023】
外側筒体30を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、内側筒体10の材料として例示した材料を用いることができる。外側筒体30を構成する材料としては、後述のように流体の圧力に耐える強度と生体適合性とを有していることが好ましい。また、接着剤の材料としては、特に限定されず、例えば、アクリル樹脂系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤又はフェノール樹脂系接着剤等を用いることができる。接着剤の材料も、同様に、流体の圧力に耐える強度と生体適合性とを有していることが好ましい。
【0024】
スライダ20は、内側筒体10より径が大きく、外側筒体30より径が小さい中空の略円筒状であり、内側筒体10の外周を囲むように、内側筒体10と外側筒体30との隙間Sに配置されている。スライダ20は、チューブ50を介して上記の隙間Sに流入する流体(例えば、空気)により内側筒体10に対し内側筒体10の軸線LO方向(図におけるX軸方向)に沿って相対移動可能である。スライダ20の内周面には、周方向に沿って延びる1つの環状溝22が形成されている。スライダ20については後に詳述する。
【0025】
シール部材70は、略円環状であり、外側筒体30の内周と内側筒体10の外周とに当接しながら隙間S内を軸線LO方向(X軸方向)に沿って移動可能に設けられている。換言すると、シール部材70は、外側筒体30の内周面と内側筒体10の外周面とに沿って摺動可能である。シール部材70が外側筒体30の内周と内側筒体10の外周とに当接することにより、シール部材70、固定部材60、内側筒体10および外側筒体30により囲まれた空間(後述する)が気密に保持される。
【0026】
シール部材70を構成する材料としては、当該空間の気密を可能である限り、特に限定されず、例えば、天然ゴム、合成ゴム、および熱可塑性エラストマー等の弾性材料を用いることができる。合成ゴムの例としては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレン-プロピレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、およびシリコーンゴム等が挙げられる。また、熱可塑性エラストマーの例としては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、およびポリアミド系エラストマー等が挙げられる。シール部材70を構成する材料も、生体適合性を有していることが好ましい。
【0027】
結紮リング40は、内側筒体10の外周を囲むように装着され、スライダ20の相対移動とともに内側筒体10に対し相対移動可能であり、内側筒体10の先端から離脱可能である。本実施形態の結紮用デバイス100は、2つの結紮リング40(第1結紮リング41と第2結紮リング42)を備える。第1結紮リング41はスライダ20より先端側に位置し、第2結紮リング42は、スライダ20の内周面に形成された環状溝22内に位置する。
【0028】
結紮リング40を構成する材料としては、内側筒体10に装着可能に十分に伸び、患部を壊死させるのに十分な結紮力を有すると共に、生体適合性を有している限り特に限定されず、例えば、シール部材70の材料として例示した材料を用いることができる。なお、結紮リング40を構成する材料は、例えば、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金ーニッケル合金など)、又は硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、三酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマス、次炭酸ビスマス等の放射線不透過性材料、あるいはこれらの放射線不透過性材料の粉末を含んだものでもよい。結紮リング40の縦断面形状(内側筒体10の外周に装着した状態において、内側筒体10の軸線LO方向に沿った断面に現れる形状)は、円形に限らず、矩形状等の他の形状であってもよい。結紮リング40の色は、周辺組織との違いが際立つ、黒色等の色であることが好ましい。
【0029】
チューブ50は、固定部材60を貫通して、内側筒体10と外側筒体30との間の隙間Sに連通している。結紮用デバイス100の使用時、チューブ50の基端部には、例えば、シリンジ200が接続され(図1図2)、空気のような気体の流体が隙間Sヘ送られる。チューブ50の先端部は、固定部材60の貫通孔に挿入され、気密状態で固定部材60に固定されている。
【0030】
チューブ50を構成する材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂等を用いることができる。チューブ50を構成する材料も、生体適合性を有していることが好ましい。
【0031】
図4は、結紮用デバイス100の使用方法の説明図である。以下では、大腸の壁面に形成された憩室を結紮する例について説明する。まず、術者等は、結紮用デバイス100を装着した内視鏡300を大腸内に挿入し、大腸内を観察する。このとき、図4(A)に示すように、スライダ20は、最も基端側、すなわち、シール部材70が固定部材60に当接する位置に配置されている。術者等は、出血している憩室を特定し、当該憩室へ内視鏡300および結紮用デバイス100を近接させて、鉗子孔を介して憩室を吸引し、憩室が内視鏡300へ向かって凸形状となるように反転させ、憩室を第1筒部12内へ位置させる。
【0032】
術者等は、シリンジ200(図1図2)を操作して流体をチューブ50を介してスライダ20に向けて放出する。流体は、スライダ20の基端部に配置されたシール部材70の基端側に対して圧力を加え、スライダ20およびシール部材70を前進させる(図4(B))。流体は、スライダ20およびシール部材70が前進するに連れて形成される、シール部材70と外側筒体30と内側筒体10と固定部材60との間の空間に蓄積され、シール部材70の基端側に対して圧力を加え続ける。これにより、スライダ20が内側筒体10の先端側に距離L1を移動すると、スライダ20より先端側に位置する結紮リング41が内側筒体10の第1筒部12へ移動する。上述のとおり、第1筒部12は、先端に向かって縮径しているため、第1結紮リング41が縮径しながら第1筒部12の傾斜面を先端に向かって移動する。そして、第1結紮リング41は第1筒部12の先端から離脱し、第1筒部12内に吸引された憩室を結紮する。
【0033】
大腸内に結紮すべき憩室がさらに在る場合は、術者等は、同様に当該憩室を結紮する。具体的には、術者等は、上述の通り、結紮用デバイス100の第1筒部12内に反転させた憩室を位置させ、シリンジ200を操作して流体をチューブ50を介してスライダ20に向けて放出し、スライダ20をさらに先端側に移動させる。そうすると、第2結紮リング42がスライダ20の移動に伴って移動し、第2結紮リング42が縮径しながら第1筒部12の傾斜面を先端に向かって移動する。そして、第2結紮リング42は第1筒部12の先端から離脱し、第1筒部12内に吸引された憩室を結紮する。
【0034】
そして、術者等は、結紮用デバイス100を装着した内視鏡300を大腸内から取り出す。結紮された憩室は、その後、壊死して、第1結紮リング41、第2結紮リング42と共に体外に排出される。なお、結紮すべき憩室が1つのみの場合には、術者等は、第1結紮リング41により憩室を結紮した後、結紮用デバイス100を装着した内視鏡300を大腸内から取り出す。
【0035】
図5は、スライダ20の外観構成を概略的に示す説明図である。図6は、スライダ20の断面構成を概略的に示す説明図である。図6(A)は図5におけるA-A断面を示し、図6(B)は図5におけるB-B断面を示す。
【0036】
図5図6に示すように、スライダ20は中空の略円筒状であり、スライダ本体290と、接合部材230と、を有する。スライダ本体290は、それぞれ円弧体である第1部品210と、第2部品220とにより構成されている。第1部品210と第2部品220とを、第1部品210の第1接触面219および第2部品220の第2接触面229を接触させて周方向に繋げると、略円筒状になる。換言すると、第1部品210と第2部品220は、略円筒状のスライダ本体290をスライダ本体290の中心軸を含む平面に沿って半割したものである。
【0037】
第1部品210は、外周面218に開口する溝状の凹部である先端側第1嵌合部211と基端側第1嵌合部212とを有する(図5)。先端側第1嵌合部211の開口形状は、周方向に略沿って延びる平面直線状である。基端側第1嵌合部212は、開口形状が周方向に略沿って延びる平面直線状の第1部214と、第1部214と繋がり、開口形状がスライダ20の軸線LO方向に略沿って延びる平面直線状の第2部213と、を有する。以下の説明において、先端側第1嵌合部211と基端側第1嵌合部212とを区別しないときには、単に、「第1嵌合部」とも呼ぶ。
【0038】
第2部品は、外周面228に開口する溝状の凹部である先端側第2嵌合部221と基端側第2嵌合部222とを有する(図5)。先端側第2嵌合部221の開口形状は、周方向に略沿って延びる平面直線状である。基端側第2嵌合部222は、開口形状が周方向に略沿って延びる平面直線状の第1部224と、第1部224と繋がり、開口形状がスライダ20の軸線LO方向に略沿って延びる平面直線状の第2部223と、を有する。第1部品210と第2部品220とが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290が形成された状態で、先端側第1嵌合部211と先端側第2嵌合部221とが連通し先端側嵌合部201が形成され、基端側第1嵌合部212と基端側第2嵌合部222とが連通し基端側嵌合部202が形成される。第1部品210と第2部品220とを周方向に繋げた状態で、先端側第2嵌合部221および基端側第2嵌合部222は、第1接触面219および第2接触面229を境に、それぞれ、先端側第1嵌合部211および基端側第1嵌合部212の面対象形状である。以下の説明において、先端側第2嵌合部221と基端側第2嵌合部222とを区別しないときには、単に、「第2嵌合部」とも呼ぶ。
【0039】
スライダ本体290を構成する材料は特に限定されないが、内側筒体10および外側筒体30との摺動性に優れ、かつ、生体適合性を有していることが好ましく、例えば、内側筒体10の材料として例示した材料を用いることができる。スライダ本体290を構成する材料としては、処置時の視野を広く保つために、透光性材料(例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、アクリル樹脂等)であってもよい。
【0040】
本実施形態において、スライダ20は、接合部材230として、先端側接合部材231と基端側接合部材232とを有する。先端側接合部材231は、平面略直線状であり、第1部品210の外周面218から第2部品220の外周面228に亘って配置され、自身の全部が先端側第1嵌合部211と先端側第2嵌合部221とに嵌合している(図6(A))。基端側接合部材232は、スライダ20の周方向に略沿って延びる平面略直線状の第1接合部材234と、第1接合部材234と繋がり、スライダ20の軸線方向に略沿って延びる平面略直線状の2つの第2接合部材233と、を有する。図5に示すように、基端側接合部材232は、平面形状が略コの字状である。基端側接合部材232も先端側接合部材231と同様に、第1部品210の外周面218から第2部品220の外周面228に亘って配置され、自身の全部が基端側第1嵌合部212と基端側第2嵌合部222とに嵌合している(図6(B))。スライダ20において、スライダ本体290は、図5に示す先端側嵌合部201と基端側嵌合部202を、裏側(Y軸プラス側)にも有し、これらの嵌合部には、それぞれ、先端側接合部材231と基端側接合部材232が嵌合されている(図6)。図6に示すように、先端側接合部材231が先端側嵌合部201に嵌合し、基端側接合部材232が基端側嵌合部202に嵌合することにより、第1部品210と第2部品220とが接合される。本実施形態において、先端側接合部材231が先端側嵌合部201に、略隙間なく固く嵌合し(嵌め合い)、基端側接合部材232が基端側嵌合部202に略隙間なく固く嵌合する(嵌め合う)ことにより、第1部品210と第2部品220とは、接着剤を用いず、接合部材230によって接合されている。
【0041】
接合部材230を構成する材料は特に限定されないが、外側筒体30との摺動性に優れ、かつ、生体適合性を有していることが好ましい。また、スライダ本体290を適切に補強可能な程度の硬さを有する材料が好ましい。例えば、スチレン系樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。また、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等を用いて、先端側嵌合部201および基端側嵌合部202に、硬化前の樹脂を流し込み、光や熱を照射することにより硬化させてもよい。
【0042】
図7は、スライダ20の装着方法の説明図である。まず、製造者等は、内側筒体10と、第1結紮リング41と、第2結紮リング42と、第1部品210と、第2部品220と、先端側接合部材231と、基端側接合部材232とを用意する。そして、図7(A)に示すように、内側筒体10の第2筒部14の外周に第1結紮リング41と第2結紮リング42を装着する。このとき、第1結紮リング41を第2結紮リング42より先端側に、第2結紮リング42と離間させて配置する。
【0043】
次に、製造者等は、第1部品210と第2部品220とを、内側筒体10の外側から内側筒体10の第2筒部14に被せ(図7(A))、第1部品210と第2部品220とを、第1接触面219と第2接触面229とを接触させて周方向に繋ぎ、スライダ本体290を形成する(図7(B))。このとき、第1部品210と第2部品220の内周面217、218に形成されている環状溝22内に第2結紮リング42が位置するようにし、第1結紮リング41がスライダ本体290より先端側に位置するようにする。
【0044】
その後、製造者等は、先端側接合部材231をスライダ本体290の先端側嵌合部201に嵌め込み、基端側接合部材232を基端側嵌合部202に嵌め込む。これにより、スライダ20が内側筒体10の外周を囲むように装着される(図7(C))。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の結紮用デバイス100によれば、第1部品210と第2部品220とが、第1部品210および第2部品220の外周面側から接合部材230によって接合される。例えば、第1部品210と第2部品220との接触面(第1接触面219および第2接触面229)に接着剤を塗布して第1部品210と第2部品220とを接合する場合には、接着剤が接触面から溢れて、第1部品210と第2部品220が内側筒体10に接着され、スライダが内側筒体10に対して相対移動できなくなる虞がある。また、第1部品210と第2部品220の厚みは薄いため、第1部品210と第2部品220との接触面(第1接触面219および第2接触面229)の面積は小さく、接着剤の塗布に一定の熟練がないと接着強度を十分に得ることが難しい。これに対し、本実施形態の結紮用デバイス100では、上述の通り、第1部品210と第2部品220とが、第1部品210および第2部品220の外周面側から接合部材230によって接合されるため、第1部品210と第2部品220との接触面に接着剤を塗布して第1部品210と第2部品220とを接合する場合と比較して、製造者等の熟練を要さず、スライダ20の組付けを容易にすることができる。また、接着剤を用いず、第1部品210と第2部品220とを接合するため、スライダ20と内側筒体10との接着を防止することができる。そのため、製品の製造時間の短縮、不良率の低下等、製造効率の向上に資することができる。
【0046】
また、結紮用デバイス100は、2つの結紮リング40を備えている。結紮用デバイスが1つの結紮リングのみを備える場合には、例えば、結紮が失敗した場合や、治療箇所が複数ある場合には、1つの結紮リングを使用した後、結紮用デバイスを内視鏡と共に体内から引き抜いて結紮リングを装着し、再度結紮用デバイスを内視鏡と共に体内に挿入して結紮を行わなければならない。これに対し、本実施形態の結紮用デバイス100は、2つの結紮リング40を備えるため、患者の体内に対する結紮用デバイス100の抜差しの回数を減らすことができ、患者の体力的負担を低減することができる。
【0047】
また、本実施形態のスライダ20は、内周面217、218に周方向に沿って延びる1つの環状溝22を有し、第2結紮リング42が環状溝22内に位置している。そのため、第1結紮リング41の脱離後に時間を空けて第2結紮リング42を脱離させる等、2つの結紮リング40の離脱タイミングを適切にすることができる。例えば、大腸憩室が2つある場合に、まず、第1結紮リング41により1つの大腸憩室を結紮し、次に他の大腸憩室を第2結紮リング42により結紮するということを、比較的容易に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態のスライダ20において、先端側第1嵌合部211と先端側第2嵌合部221は、それぞれ、溝状であり、かつ先端側第1嵌合部211と先端側第2嵌合部221は連通している。同様に基端側第1嵌合部212と基端側第2嵌合部222は、それぞれ溝状であり、かつ基端側第1嵌合部212と基端側第2嵌合部222とは連通している。そのため、第1部品210および第2部品220と接合部材230との接触面積が大きくなり、第1部品210と第2部品220との接合性を向上させることができる。
【0049】
さらに、本実施形態において、基端側接合部材232は、スライダ20の周方向に略沿って延びる第1接合部材234と、第1接合部材234と繋がり、スライダ20の軸線LO方向に略沿って延びる第2接合部材233と、を有している。そのため、基端側接合部材232は、スライダ本体290に生じる周方向の力に対抗してスライダ本体290の接合が解除されるのを抑制するだけでなく、スライダ20の軸線方向のモーメントに対抗して、スライダ本体290を補強することができる。
【0050】
結紮用デバイス100は、隙間Sに連通するチューブ50を備えている。そのため、チューブ50に、例えば、シリンジ200を接続することにより、容易に流体を隙間Sに供給することができる。
【0051】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態のスライダ20Aの外観構成を概略的に示す説明図である。第2実施形態のスライダ20Aが第1実施形態のスライダ20と異なる点は、接合部材の数、および形状、および接合部材が嵌合する嵌合部の形状である。以下に説明する実施形態において、先に説明した実施形態のスライダと同一の構成には同一の符号を付し、先行する説明を参照する。なお、以下に説明する実施形態のスライダは、第1実施形態の結紮用デバイス100におけるスライダ20に替えて用いることができる。
【0052】
スライダ20Aは、スライダ本体290Aと、2つの接合部材230Aとを有する。スライダ本体290Aは、第1実施形態のスライダ本体290と同様に、スライダ本体290Aをスライダ本体290Aの中心軸を含む平面に沿って半割した形状の円弧体である第1部品210Aと、第2部品220Aとにより構成されている。
【0053】
第1部品210Aは外周面218に開口する溝状の第1嵌合部215を有し、第2部品220Aは外周面228に開口する溝状の第2嵌合部225を有する(図8)。第1嵌合部215の開口形状は、平面略四分の一楕円弧形状である。第2嵌合部225の開口形状は、平面略四分の一楕円弧形状である。第1部品210Aと第2部品220Aとが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290Aが形成された状態で、第1嵌合部215と第2嵌合部225とが連通し嵌合部205が形成される。第1部品210Aと第2部品220Aとを周方向に繋げた状態で、第2嵌合部225は、第1接触面219および第2接触面229を境に、第1嵌合部215の面対象形状である。嵌合部205の開口形状は、基端側に凸の平面略半楕円弧形状である。
【0054】
接合部材230Aは、平面略半楕円弧形状であり、第1部品210Aの外周面218から第2部品220Aの外周面228に亘って配置され、自身の全部が第1嵌合部215と第2嵌合部225とに嵌合している。本実施形態のスライダ20Aにおいても、第1実施形態と同様に、スライダ本体290Aは、嵌合部205を、裏側(Y軸プラス側)にも有し、この嵌合部には接合部材230Aが嵌合されている。
【0055】
本実施形態のスライダ20Aにおいても、第1部品210Aおよび第2部品220Aの外周面側から接合部材230Aによって、第1部品210Aと第2部品220Aとが接合される。そのため、第1実施形態と同様に、内側筒体10に対するスライダ20Aの組付けを容易にすることができる。
【0056】
また、接合部材230Aは、平面略半楕円弧形状であるため、スライダ本体290Aに生じる周方向の力に対抗してスライダ本体290Aの接合が解除されるのを抑制するだけでなく、スライダ20Aの軸線方向のモーメントに対抗して、スライダ本体290Aを補強することができる。
【0057】
第1実施形態の結紮用デバイス100において、スライダ20に替えて本実施形態のスライダ20Aを用いても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0058】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態のスライダ20Bの外観構成を概略的に示す説明図である。第3実施形態のスライダ20Bが第2実施形態のスライダ20Aと異なる点は、接合部材の形状、およびスライダ本体290Bの嵌合部205Bの形状である。
【0059】
スライダ20Bは、スライダ本体290Bと、2つの接合部材230Bとを有する。スライダ本体290Bは、第2実施形態のスライダ本体290Aと同様に、スライダ本体290Bをスライダ本体290Bの中心軸を含む平面に沿って半割した形状の円弧体である第1部品210Bと、第2部品220Bとにより構成されている。
【0060】
第1部品210Bは外周面218に開口する溝状の第1嵌合部215Bを有し、第2部品220Bは外周面228に開口する溝状の第2嵌合部225Bを有する(図9)。第1嵌合部215Bの開口形状は、平面視で第1接触面219に対して斜めの直線形状である。第2嵌合部225Bの開口形状は、平面視で第2接触面229に対して斜めの直線形状である。第1部品210Bと第2部品220Bとが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290Bが形成された状態で、第1嵌合部215Bと第2嵌合部225Bとが連通し嵌合部205Bが形成される。第1部品210Bと第2部品220Bとを周方向に繋げた状態で、第2嵌合部225Bは、第1接触面219および第2接触面229を境に、第1嵌合部215Bの面対象形状である。嵌合部205Bの開口形状は、基端側に凸の平面略V字形状である。
【0061】
接合部材230Bは、平面略V字形状であり、第1部品210Bの外周面218から第2部品220Bの外周面228に亘って配置され、自身の全部が第1嵌合部215Bと第2嵌合部225Bとに嵌合している。本実施形態でも、第2実施形態と同様に、スライダ本体290Bは、嵌合部205Bを裏側(Y軸プラス側)にも有し、この嵌合部には接合部材230Bが嵌合されている。第3実施形態のスライダ20Bにおいても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態のスライダ20Cの外観構成を概略的に示す説明図である。第4実施形態のスライダ20Cが第2実施形態のスライダ20Aと異なる点は、接合部材の形状、およびスライダ本体290Cの嵌合部205Cの形状である。
【0063】
スライダ20Cは、スライダ本体290Cと、2つの接合部材230Cとを有する。スライダ本体290Cは、第2実施形態のスライダ本体290Aと同様に、スライダ本体290Cをスライダ本体290Cの中心軸を含む平面に沿って半割した形状の円弧体である第1部品210Cと、第2部品220Cとにより構成されている。
【0064】
第1部品210Cは外周面218に開口する溝状の第1嵌合部215Cを有し、第2部品220Cは外周面228に開口する溝状の第2嵌合部225Cを有する(図10)。第1嵌合部215Cおよび第2嵌合部225Cの開口形状は、平面略T字形状である。第1部品210Cと第2部品220Cとが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290Cが形成された状態で、第1嵌合部215Cと第2嵌合部225Cとが連通し嵌合部205Cが形成される。第1部品210Cと第2部品220Cとを周方向に繋げた状態で、第2嵌合部225Cは、第1接触面219および第2接触面229を境に、第1嵌合部215Cの面対象形状である。嵌合部205Cの開口形状は、平面略H字形状である。
【0065】
接合部材230Cは、スライダ20Cの周方向に略沿って延びる平面略直線状の第1接合部材234Cと、第1接合部材234Cと繋がり、スライダ20Cの軸線方向に略沿って延びる平面略直線状の2つの第2接合部材233Cと、を有する。図10に示すように、接合部材230Cは平面略H字形状である。接合部材230Cは、第1部品210Cの外周面218から第2部品220Cの外周面228に亘って配置され、自身の全部が第1嵌合部215Cと第2嵌合部225Cとに嵌合している。本実施形態おいても、第2実施形態と同様に、スライダ本体290Cは、嵌合部205Cを裏側(Y軸プラス側)にも有し、この嵌合部には接合部材230Cが嵌合されている。第4実施形態のスライダ20Cにおいても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0066】
<第5実施形態>
図11は、第5実施形態のスライダ20Dの外観構成を概略的に示す説明図である。図11では、説明を簡単にするために、スライダ20Dを中空円筒状に単純化して図示している。第5実施形態のスライダ20Dが第2実施形態のスライダ20Aと異なる点は、接合部材の形状、およびスライダ本体290Dの構成および嵌合部205Dの形状である。
【0067】
スライダ20Dは、スライダ本体290Dと、2つの接合部材230Dとを有する。スライダ本体290Dは、第1~第4実施形態のスライダ本体と異なり、スライダ本体290Dをスライダ本体290Dの中心軸を含む平面に沿って三分割した形状の円弧体である第1部品210Dと、第2部品220Dと、第3部品240Dにより構成されている。すなわち、第1部品210Dと第2部品220Dとを、第1部品210Dの第1接触面219および第2部品220Dの第2接触面229を接触させて周方向に繋ぎ、第2部品220Dと第3部品240Dとを、第2部品220Dの第2接触面229および第3部品240Dの第3接触面249を接触させて周方向に繋ぎ、第3部品240Dと第1部品210Dとを、第3部品240Dの第3接触面249および第1部品210Dの第1接触面219を接触させて周方向に繋げると、略円筒状になる。
【0068】
第1部品210Dは外周面218に開口する溝状の第1嵌合部215Dを有し、第2部品220Dは外周面228に開口する溝状の第2嵌合部225Dを有し、第3部品240Dは外周面248に開口する溝状の第3嵌合部245Dを有する(図11)。第1嵌合部215D、第2嵌合部225D、および第3嵌合部245Dの開口形状は、周方向に略沿って延びる平面直線状である。第2嵌合部225Dは、第2部品220Dの一方の第2接触面229から他方の第2接触面229に亘って形成されている。第1部品210Dと第2部品220Dと第3部品240Dが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290Dが形成された状態で、第1嵌合部215Dと第2嵌合部225D、および第2嵌合部225Dと第3嵌合部245Dとが連通し嵌合部205Dが形成される。嵌合部205Dの開口形状は、平面略直線形状である。
【0069】
接合部材230Dは、平面略直線形状であり、第1部品210Dの外周面218から第2部品220Dを横切って第3部品240Dの外周面248に亘って配置され、自身の全部が第1嵌合部215Dと第2嵌合部225Dと第3嵌合部245Dに嵌合している。
【0070】
また、スライダ本体290Dにおいて、第1部品210Dと第3部品240Dとが周方向に繋がると連通する、平面略直線状の嵌合部も形成されている(不図示)。そして、平面略直線状の接合部材(不図示)が、第1部品210Dの外周面218から第3部品240Dの外周面248に亘って配置され、上記嵌合部に嵌合している。これにより、第1部品210Dと、第2部品220Dと、第3部品240Dとが接合され、略円筒状のスライダ20Dが形成されている。
【0071】
第5実施形態のスライダ20Dにおいても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態のスライダ20Dでは、スライダ本体290Dが3つの部品から構成されるため、各部品の環状溝(不図示)の周方向の長さが、第1~第4実施形態より短いため、結紮リング40が装着された内側筒体10にスライダ20Dを装着する際に、第1~第4実施形態より第2結紮リング42を環状溝に配置し易くなる。
【0072】
<第6実施形態>
図12は、第6実施形態のスライダ20Eの外観構成を概略的に示す説明図である。図12では、図11と同様に、説明を簡単にするために、スライダ20Eを中空円筒状に単純化して図示している。第6実施形態のスライダ20Eが第2実施形態のスライダ20Aと異なる点は、接合部材230Eの形状、およびスライダ本体290Eの構成および嵌合部205Eの形状である。
【0073】
スライダ20Eは、スライダ本体290Eと、2つの接合部材230Eとを有する。スライダ本体290Eは第1部品210Eと、第2部品220Eにより構成されている。第1部品210Eと第2部品220Eは、第1~第5実施形態と異なり、スライダ本体290Eをスライダ本体290Eの中心軸と斜めに交わる平面に沿って半割した形状の円弧体である。すなわち、第1部品210Eと第2部品220Eとを、第1部品210Eの第1接触面219および第2部品220Eの第2接触面229を接触させて周方向に繋に繋げると、略円筒状になる。
【0074】
第1部品210Eは外周面218に開口する溝状の第1嵌合部215Eを有し、第2部品220Eは外周面228に開口する溝状の第2嵌合部225Eを有する(図12)。第1嵌合部215E、および第2嵌合部225Eの開口形状は、周方向に略沿って延びる平面直線状である。第1部品210Eと第2部品220Eが周方向に繋がった状態、すなわち、スライダ本体290Eが形成された状態で、第1嵌合部215Eと第2嵌合部225Eとが連通し嵌合部205Eが形成される。嵌合部205Eの開口形状は、平面略直線形状である。
【0075】
接合部材230Eは、平面略直線形状であり、第1部品210Eの外周面218から第2部品220Eに亘って配置され、自身の全部が第1嵌合部215Eと第2嵌合部225Eに嵌合している。
【0076】
また、スライダ本体290Eにおいて、図12に示す第1嵌合部215Eと第2嵌合部225Eを、裏側(Y軸プラス側)にも有し、この嵌合部には、接合部材230Eが嵌合されている(不図示)。これにより、第1部品210Eと、第2部品220Eとが接合され、略円筒状のスライダ20Eが形成されている。第6実施形態のスライダ20Eにおいても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0077】
<第7実施形態>
図13は、第7実施形態のスライダ20Fの外観構成を概略的に示す説明図である。図14は、スライダ20Fの断面構成を概略的に示す説明図である。図14(A)は図13におけるA-A断面を示し、図14(B)は図13におけるB-B断面を示す。図13に示すように、本実施形態のスライダ20Fの外観構成は、第1実施形態のスライダ20と似ている。第7実施形態のスライダ20Fが第1実施形態のスライダ20Aと異なる点は、主に、接合部材230Fの外表面がスライダ本体290Fの外周面218および外周面228より外側に突出している点である。
【0078】
スライダ20Fは、第1実施形態のスライダ20と同様にスライダ本体290Fと、4つの接合部材230Fとを有する。スライダ本体290Fは、第1部品210Fと、第2部品220Fにより構成されている。第1部品210Fと、第2部品220Fは、第1実施形態と同様に、スライダ本体290Fをスライダ本体290Fの中心軸を含む平面に沿って半割した形状の円弧体である。すなわち、第1部品210Fと第2部品220Fとを、第1部品210Fの第1接触面219および第2部品220Fの第2接触面229を接触させて周方向に繋に繋げると、略円筒状になる。
【0079】
第1部品210Eは、外周面218および内周面217に開口する貫通孔である先端側第1嵌合部211Fと、基端側第1嵌合部212Fと、基端側第1嵌合部214Fを有する(図13)。先端側第1嵌合部211F、基端側第1嵌合部212F、および基端側第1嵌合部214Fの開口形状は、平面略円形状である。以下の説明において、先端側第1嵌合部211Fと基端側第1嵌合部212Fと基端側第1嵌合部214Fとを区別しないときには、単に、「第1嵌合部」とも呼ぶ。
【0080】
第2部品は、外周面218および内周面217に開口する貫通孔である先端側第2嵌合部221Fと、基端側第2嵌合部222Fと、基端側第2嵌合部224Fを有する(図13)。先端側第2嵌合部221F、基端側第2嵌合部222F、および基端側第2嵌合部224Fの開口形状は、平面略円形状である。以下の説明において、先端側第2嵌合部221Fと基端側第2嵌合部222Fと基端側第1嵌合部224Fとを区別しないときには、単に、「第2嵌合部」とも呼ぶ。このように、本実施形態のスライダ20Fにおいて、第1嵌合部および第2嵌合部は、それぞれ、貫通孔であり、第1嵌合部と第2嵌合部とは連通していない。
【0081】
本実施形態のスライダ20Fにおける接合部材230Fの平面形状は、第1実施形態の接合部材230と同様である。但し、本実施形態では、接合部材230Fは、スライダ本体290F側に突出する突起部を有する。詳しくは、先端側接合部材231Fは、先端側第1嵌合部211Fに嵌合する先端側第1突起部251Fと、先端側第2嵌合部221Fに嵌合する先端側第2突起部252Fと、を有する。基端側接合部材232Fは、基端側第1嵌合部213Fに嵌合する基端側第1突起部261Fと、基端側第1嵌合部214Fに嵌合する基端側第1突起部271Fと、基端側第2嵌合部223Fに嵌合する基端側第2突起部262Fと、基端側第2嵌合部224Fに嵌合する基端側第2突起部272Fを有する。図14に示すように、本実施形態では、接合部材230Fの一部(突起部)が第1嵌合部と第2嵌合部とに嵌合することにより、接合部材230Fによって第1部品210Fと第2部品220Fとが接合されている。
【0082】
また、スライダ本体290Fは、図14に示すように、図13に示す面の裏側(Y軸プラス側)にも同様の嵌合部と接続部材を有している。これにより、第1部品210Fと、第2部品220Fとが接合され、略円筒状のスライダ20Fが形成されている。第7実施形態のスライダ20Fにおいても、上述した第2実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0083】
<第8実施形態>
図15は、第8実施形態のスライダ20Gの外観構成を概略的に示す説明図である。図16は、スライダ20Gの断面構成を概略的に示す説明図である。図16図15におけるA-A断面を示す。図17は、スライダ20Gを用いた結紮用デバイス100Gの断面構成を概略的に示す説明図である。図17図16におけるB-B断面に相当する断面を示し、第1実施形態における図4に相当する。図15に示すように、本実施形態のスライダ20Gの外観構成は、第7実施形態のスライダ20F(図14)と似ている。第8実施形態のスライダ20Gが第7実施形態のスライダ20Fと異なる点は、第1接触面219および第2接触面229の形状と、環状溝22を備えない点である。
【0084】
図15図16に示すように、第1部品210Gの第1接触面219Gおよび第2部品220Gの第2接触面229Gは、互いに掛合する階段状になっている。そのため、第1~第7実施形態のスライダと比較して、第1部品210Gと第2部品220Gとを、周方向に容易に繋ぐことができる。そのため、さらに製造時間の短縮、不良率の低下等、製造効率を向上させることができる。
【0085】
図17に示すように、本実施形態の結紮用デバイス100Gにおいて、上述の通り、スライダ20Gは内周面217に環状溝を有さない。そのため、2つの結紮リング40は、スライダ20Gより先端側に配置されている(図17(A))。本実施形態の結紮用デバイス100Gでは、第1実施形態と同様に、チューブ50を介して供給される空気(流体)によってスライダ20Gを先端側に距離L1移動させることにより先端側の第1結紮リング41が内側筒体10の第1筒部12へ移動し、第1筒部12の先端から離脱する(図17(B))。さらに、チューブ50を介して供給される空気(流体)によってスライダ20Gが先端側に距離L1移動されることにより残りの第1結紮リング41が内側筒体10の第1筒部12へ移動し、第1筒部12の先端から離脱する。このように、スライダ20Gは内周面に環状溝を有さないものの、結紮用デバイス100Gにおいては、スライダ20Gより先端側に2つの結紮リング40を配置し、スライダ20Gの移動量を制御することにより、適切なタイミングで2つの結紮リング40を用いることができる。
【0086】
<第9実施形態>
図18は、第9実施形態の結紮用デバイス100Hの断面構成を概略的に示す説明図である。図18は結紮用デバイス100Hの縦断面を示し、第1実施形態における図4に相当する。本実施形態の結紮用デバイス100Hが第1実施形態の結紮用デバイス100と異なる点は、スライダ20Hが内周面に2つの環状溝22を備える点と、結紮用デバイス100Hが3つの結紮リング40を備える点である。
【0087】
図18(A)に示すように、本実施形態の結紮用デバイス100Hにおいて、1つの結紮リング40(第1結紮リング41)がスライダ20Gより先端側に配置され、残りの2つの結紮リング40(第2結紮リング42)は、2つの環状溝22のそれぞれの内に1つずつ配置されている。
【0088】
本実施形態の結紮用デバイス100Hでは、第1実施形態と同様に、チューブ50を介して供給される空気(流体)によってスライダ20Hを先端側に距離L1移動させることにより第1結紮リング41が内側筒体10の第1筒部12へ移動し、第1筒部12の先端から離脱する(図18(B))。さらに、チューブ50を介して供給される空気(流体)によってスライダ20Hが先端側に、先端側の第2結紮リング42が第1筒部12へ移動可能な距離を移動されることにより先端側の第2結紮リング42が内側筒体10の第1筒部12へ移動し、第1筒部12の先端から離脱する。さらに、チューブ50を介して供給される空気(流体)によってスライダ20Hが先端側に、基端側の第2結紮リング42が第1筒部12へ移動可能な距離を移動されることにより基端側の第2結紮リング42が内側筒体10の第1筒部12へ移動し、第1筒部12の先端から離脱する。このように、スライダ20Hは内周面に2つの環状溝22を有し、結紮用デバイス100Hが3つの結紮リング40を有するため、3つの結紮リング40の離脱タイミングを適切にすることができる。
【0089】
<第10実施形態>
図19は、第10実施形態の結紮用デバイス100Iの断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。図19は結紮用デバイス100Iの縦断面を示し、第1実施形態における図3に相当する。本実施形態の結紮用デバイス100Iが第1実施形態の結紮用デバイス100と異なる点は、内側筒体10Iの構成である。
【0090】
図19に示すように、内側筒体10Iは、第1筒部12Iと第2筒部14Iとを備える。本実施形態において、第1筒部12Iと第2筒部14Iとは別個の部品として構成され、接着剤により互いに接合されている。なお、第1筒部12Iと第2筒部14Iとの接合は、接着剤による接着に限定されず、種々の公知の方法により接合することができる。例えば、第1筒部12Iの第2筒部14I側の端部と第2筒部14Iの第1筒部12I側の端部が嵌合することにより接合されてもよい。また、第1筒部12Iの第2筒部14I側の端部と第2筒部14Iの第1筒部12I側の端部に互いに螺合するねじ山を形成し、第1筒部12Iの第2筒部14I側の端部と第2筒部14Iの第1筒部12I側の端部とが螺合することにより接合されてもよい。
【0091】
本実施形態において、第1筒部12Iと第2筒部14Iとは異なる材料により形成されている。第1筒部12Iの形成材料と第2筒部14Iの形成材料は、それぞれ、特に限定されないが、第2筒部14Iの形成材料として、剛性や気密性が高い材料を用いることができる。このようにすると、第2筒部14Iの剛性や気密性をさらに向上させることができる。
【0092】
<第11実施形態>
図20は、第11実施形態の結紮用デバイス100Jの断面構成を拡大して概略的に示す説明図である。図20は結紮用デバイス100Jの縦断面を示し、第10実施形態における図19に相当する。本実施形態の結紮用デバイス100Jは、第10実施形態の結紮用デバイス100Iにおける内側筒体10Iと止め具16に替えて、内側筒体10Jと止め具16Jを有する。
【0093】
図20に示すように、内側筒体10Jは、第1筒部12Iと第2筒部14Jとを備える。すなわち、本実施形態の内側筒体10Jは、第10実施形態の内側筒体10Iにおける第2筒部14Iに替えて第2筒部14Jを有する。本実施形態の第2筒部14Jは、第10実施形態の第2筒部14Iより内径が小さい。そのため、第10実施形態で用いられた内視鏡300より外径が小さい内視鏡300Jに対して、気密性を確保した状態で第2筒部14Jを装着することができる。その結果、結紮用デバイス100Jを内視鏡300Jに装着することができる。
【0094】
本実施形態の結紮用デバイス100Jでは、第1筒部12Iと第2筒部14Jとが別個の部品として構成されている。そして、第2筒部14Jの外径は、第10実施形態の第2筒部14Iの外径と同じである。そのため、第10実施形態の結紮用デバイス100Iにおける内側筒体10Iと止め具16を、内側筒体10Jと止め具16Jに替えることにより、他の部品を変更することなく、外径が内視鏡300より小さい内視鏡300Jに、結紮用デバイス100Jを装着することができる。なお、第1筒部12Iと第2筒部14Jは、同じ材料により形成されてもよいし、異なる材料により形成されてもよい。また、第1筒部12Iと第2筒部14Jとは、接着剤による接着、嵌合、螺合等、公知の種々の方法により接合することができる。
【0095】
このように、第1筒部と第2筒部とを別個の部品として構成し、かつ第2筒部として、外径は同一で内径が互いに異なる複数種類の第2筒部を用意することにより、第2筒部以外の部品の形状(種類)を変更することなく、外径が異なる複数種類の内視鏡に対応する複数種類の結紮用デバイスを構成することができる。例えば、第1筒部と第2筒部とが一体的に形成された内側筒体を用いて、外径が異なる複数種類の内視鏡に対応する結紮用デバイスを構成する場合には、内視鏡の外径に対応させて内側筒体の種類(内径)を変更すると共に、スライダ、外側筒体、結紮リング、固定部材、およびシール部材の種類(内径)も変更することになり、それぞれの部品を内視鏡の外径に対応させて複数種類ずつ用意する。これに対し、本実施形態の結紮用デバイス100Jでは、第2筒部14Jの外径は第10実施形態の第2筒部14Iと同じままで、内径のみを小さくしているため、第10実施形態の結紮用デバイス100Iにおけるスライダ20、外側筒体30、結紮リング40、固定部材60、およびシール部材70を変更せず、そのまま使用することができる。そのため、各部品の種類の増加を抑制することができ、コスト低減に資することができる。
【0096】
また、第1筒部は内視鏡視野に影響するが、結紮用デバイスが装着される内視鏡のサイズには関係しないため、第1筒部の形状(径)は、内視鏡のサイズによらず、一定にするのが好ましい。
【0097】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0098】
・上記実施形態では、横断面形状が略真円形状の結紮用デバイスを例示したが、結紮用デバイスの横断面形状は、略楕円形状、卵形状等の略円弧を含む形状であってもよい。
【0099】
・上記実施形態では、内側筒体10の形状が先端に向かって縮径する例を示したが、内側筒体10の形状は上記実施形態に限定されない。例えば、基端から先端迄、略一定の径の中空略円筒状であってもよい。但し、上記実施形態のように、内側筒体10が先端に向かって縮径する形状の場合、結紮リング40が内側筒体10から脱離しやすいため、好ましい。
【0100】
・上記実施形態では、接着剤を用いず接合部材によって、第1部品と第2部品とを接合する例を示したが、接着剤を用いてもよい。例えば、第1実施形態において、接着剤を溝状の第1嵌合部および第2嵌合部に入れて第1部品210および第2部品220と接合部材230とを接着すると、第1接触面219と第2接触面229に接着剤を塗布して第1部品210と第2部品220とを接合する場合と比較して、接着剤を塗布できる面積を広げることができるため、強度を向上させることができる。また、接着剤を溝状の第1嵌合部および第2嵌合部に入れるため、接着剤の溢れを抑制することができ、内側筒体10や結紮リング40との接着を抑制することができる。なお、接着剤を用いる場合、接合部材が第1嵌合部および第2嵌合部にゆるく嵌合する(接合部材と第1嵌合部および第2嵌合部との間に若干隙間がある)ようにしてもよい。
【0101】
・上記実施形態では、スライダ本体が第1部品と第2部品の2つ部品から構成される例と、スライダ本体が第1部品と第2部品と第3部品の3つの部品から構成される例を示したが、4つ以上の部品から構成されてもよい。
【0102】
・上記実施形態では、結紮用デバイスが2つの結紮リングを備える例と、3つの結紮リングを備える例を示したが。結紮リングの数は上記実施形態に限定されない。例えば、結紮用デバイスが1つ結紮リングを備えてもよいし、4つ以上の結紮リングを備えてもよい。
【0103】
・上記実施形態では、スライダの内周面に環状溝を備えない例と、1つの環状溝を備える例と、2つの環状溝を備える例を示したが、環状溝を3つ以上備えてもよい。
【0104】
・上記実施形態では、スライダが環状溝22を備える場合に、結紮リング40がスライダより先端側と環状溝22内に配置される例を示したが、結紮リング40の配置は、上記実施形態に限定されない。例えば、スライダより先端側には結紮リングが配置されない構成にしてもよい。
【0105】
・上記第7実施形態において、スライダ本体290が貫通孔である先端側第1嵌合部211F、先端側第2嵌合部221F、基端側第1嵌合部213F、基端側第2嵌合部223F、基端側第1嵌合部214F、および基端側第2嵌合部224Fを有する例を示したが、これらの嵌合部の少なくとも1つは有底孔(貫通しておらず、外周面218や外周面228に開口する)であってもよい。このようにすると、例えば、接着剤を用いた場合に、接着剤が漏れて他の部品と接着されることを抑制することができるため、好ましい。
【0106】
・上記第7実施形態において、接合部材の一部が第1嵌合部と第2嵌合部とに嵌合する例として、各突起部が第1嵌合部や第2嵌合部に嵌合する例を示したが、これに限定されない。例えば、第1実施形態のスライダ20における接合部材230の一部が先端側嵌合部201に嵌合し、接合部材230がスライダ本体290より外側に突出してもよい。
【0107】
・接合部材の構成は、上記実施形態に限定されず、種々の形態を適用することができる。例えば、第1実施形態における先端側接合部材231のように平面直線形状の接合部材を、軸線LO方向(X軸方向)に互いに離間して2つ以上配置してもよい。また、例えば、第1実施形態のスライダ20における基端側接合部材232に替えて、第2実施形態の接合部材230A、第3実施形態の接合部材230B、第4実施形態の接合部材230C等を用いてもよい。
【0108】
・上記実施形態において、結紮用デバイスがチューブ50を備える例を示したが、結紮用デバイスはチューブ50を備えなくてもよい。例えば、第1実施形態における固定部材60が、チューブを抜差し可能な貫通孔を有し、チューブ50を備えない構成にしてもよい。
【0109】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0110】
10、10I、10J…内側筒体
12、12I…第1筒部
14、14I、14J…第2筒部
16、16J…止め具
20、20A~20H…スライダ
22…環状溝
30…外側筒体
40…結紮リング
41…第1結紮リング
42…第2結紮リング
50…チューブ
60…固定部材
70…シール部材
100、100G、100H、100I、100J…結紮用デバイス
200…シリンジ
201…先端側嵌合部
202…基端側嵌合部
205、205B~205E…嵌合部
210、210A~210G…第1部品
211、211F…先端側第1嵌合部
212、212F、213F、214F、224F…基端側第1嵌合部
213、223…第2部
214、224…第1部
215、215B~215E…第1嵌合部
217、218…内周面
218、228、248…外周面
219、219G…第1接触面
220、220A~220G…第2部品
221、221F…先端側第2嵌合部
222、222F、223F、224F…基端側第2嵌合部
225、225B~225E…第2嵌合部
229、229G…第2接触面
230、230A~230F…接合部材
231、231F…先端側接合部材
232、232F…基端側接合部材
233、233C…第2接合部材
234、234C…第1接合部材
240D…第3部品
245D…第3嵌合部
249…第3接触面
251F…先端側第1突起部
252F…先端側第2突起部
261F、271F…基端側第1突起部
262F、272F…基端側第2突起部
290、290A~290F…スライダ本体
300、300J…内視鏡
L1…距離
LO…軸線
S…隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20