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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039003
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】試験装置、試験方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20230313BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20230313BHJP
【FI】
H01L33/00 K
G01R31/26 F
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145919
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮内 康司
【テーマコード(参考)】
2G003
5F241
【Fターム(参考)】
2G003AA06
2G003AA10
2G003AB01
2G003AB02
2G003AF03
2G003AF06
2G003AH01
2G003AH02
2G003AH10
5F241AA42
5F241AA46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】装置構成の変更も試験対象となるLEDの移動も要することなく、複数のLEDの波長特性を包括的に試験し、且つ輝度特性又は光度特性を個別に試験することができる試験装置を提供する。
【解決手段】試験装置100は、試験対象となる複数のLED10を発光させる制御部120と、複数のLEDからの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定部110と、光測定部により測定された複数のLEDからの光の波長の強度分布に基づいて、複数のLEDのうちの少なくとも1つのLEDに異常があるか否かを判定する判定部123とを備える。試験装置は、光源130と、光源からの光を複数のLEDへ照射する光学系140と、複数のLEDのそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定部155とを更に備えてもよく、光測定部は複数のLEDからの光を光学系を介して受光してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御部と、
前記複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定部と、
前記光測定部により測定された前記複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、前記複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定部と
を備える試験装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源からの光を前記複数の発光素子へと照射する光学系と、
前記複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定部と
を更に備え、
前記光測定部は、前記複数の発光素子からの光を前記光学系を介して受光する、
請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記電気測定部により測定された前記複数の発光素子からの前記光電信号に基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれの良否を判定し、
不良と判定した発光素子を、前記発光制御部によって発光させる対象から除外する、
請求項2に記載の試験装置。
【請求項4】
前記光学系は、
前記光源からの光を拡散させることにより、前記光源からの光を前記複数の発光素子へと一括照射させ、
前記複数の発光素子からの拡散光を集光することにより、前記光測定部へと導光する、
請求項2または3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記光学系は、
分岐している側の端部が前記光源および前記光測定部に接続された分岐ファイバと、
1又は複数のレンズを含むレンズユニットと
を有する、
請求項4に記載の試験装置。
【請求項6】
前記光学系は、互いに異なる波長帯域の光を放射する複数の前記光源からの光を纏めて前記複数の発光素子へと照射する、
請求項2から5の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記強度分布を、前記発光素子の数に対応する基準の強度分布と比較した結果に基づいて、前記異常があるか否かを判定する、
請求項1から6の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項8】
前記異常があると判定されたことに応じて、前記複数の発光素子を複数のグループに分割するグループ分割部を更に備え、
前記発光制御部および前記光測定部は、前記複数のグループのそれぞれについて、全ての発光素子を発光させて光の波長を測定し、
前記判定部は、前記複数のグループのそれぞれに含まれる全ての発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、前記複数のグループのそれぞれに含まれる少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する、
請求項1から7の何れか一項に記載の試験装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源からの光を試験対象となる複数の発光素子へと照射する光学系と、
前記複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定部と、
前記複数の発光素子を発光させる発光制御部と、
前記複数の発光素子からの光を前記光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定部と、
前記電気測定部および前記光測定部のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定部と
を備える試験装置。
【請求項10】
前記判定部は、
前記電気測定部により測定された前記複数の発光素子からの前記光電信号に基づいて、前記複数の発光素子のそれぞれの良否を判定し、
不良と判定した発光素子を、前記発光制御部によって発光させる対象から除外する、
請求項9に記載の試験装置。
【請求項11】
前記光学系は、
前記光源からの光を拡散させることにより、前記光源からの光を前記複数の発光素子へと一括照射させ、
前記複数の発光素子からの拡散光を集光することにより、前記光測定部へと導光する、
請求項9または10に記載の試験装置。
【請求項12】
前記光学系は、
分岐している側の端部が前記光源および前記光測定部に接続された分岐ファイバと、
1又は複数のレンズを含むレンズユニットと
を有する、
請求項11に記載の試験装置。
【請求項13】
試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御段階と、
前記複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定段階と、
前記光測定段階で測定された前記複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、前記複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定段階と
を備える試験方法。
【請求項14】
光源からの光を光学系によって試験対象となる複数の発光素子へと照射する光照射段階と、
前記複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定段階と、
前記複数の発光素子を発光させる発光制御段階と、
前記複数の発光素子からの光を前記光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定段階と、
前記電気測定段階および前記光測定段階のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定段階と
を備える試験装置。
【請求項15】
発光素子を試験する試験装置に、
試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御手順と、
前記複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定手順と、
前記光測定手順で測定された前記複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、前記複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定手順と
を実行させるプログラム。
【請求項16】
発光素子を試験する試験装置に、
光源からの光を光学系によって試験対象となる複数の発光素子へと照射する光照射手順と、
前記複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定手順と、
前記複数の発光素子を発光させる発光制御手順と、
前記複数の発光素子からの光を前記光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定手順と、
前記電気測定手順および前記光測定手順のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定手順と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験装置、試験方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象となる一対のLEDの一方を発光させて他方で受光し、光電効果により出力される電流の電流値を用いてLEDの光学特性を検査する方法が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特表2019-507953号公報
[特許文献2] 特開2010-230568号公報
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様においては、試験装置を提供する。試験装置は、試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定部を備えてもよい。試験装置は、光測定部により測定された複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定部を備えてもよい。
【0004】
試験装置は、光源を更に備えてもよい。試験装置は、光源からの光を複数の発光素子へと照射する光学系を更に備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定部を更に備えてもよい。光測定部は、複数の発光素子からの光を光学系を介して受光してもよい。
【0005】
判定部は、電気測定部により測定された複数の発光素子からの光電信号に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定し、不良と判定した発光素子を、発光制御部によって発光させる対象から除外してもよい。
【0006】
光学系は、光源からの光を拡散させることにより、光源からの光を複数の発光素子へと一括照射させ、複数の発光素子からの拡散光を集光することにより、光測定部へと導光してもよい。
【0007】
光学系は、分岐している側の端部が光源および光測定部に接続された分岐ファイバと、1又は複数のレンズを含むレンズユニットとを有してもよい。
【0008】
光学系は、互いに異なる波長帯域の光を放射する複数の光源からの光を纏めて複数の発光素子へと照射してもよい。
【0009】
判定部は、強度分布を、発光素子の数に対応する基準の強度分布と比較した結果に基づいて、異常があるか否かを判定してもよい。
【0010】
試験装置は、異常があると判定されたことに応じて、複数の発光素子を複数のグループに分割するグループ分割部を更に備えてもよい。発光制御部および光測定部は、複数のグループのそれぞれについて、全ての発光素子を発光させて光の波長を測定し、判定部は、複数のグループのそれぞれに含まれる全ての発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、複数のグループのそれぞれに含まれる少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定してもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、試験装置を提供する。試験装置は、光源を備えてもよい。試験装置は、光源からの光を試験対象となる複数の発光素子へと照射する光学系を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子を発光させる発光制御部を備えてもよい。試験装置は、複数の発光素子からの光を光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定部を備えてもよい。試験装置は、電気測定部および光測定部のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定部とを備える試験装置。
【0012】
判定部は、電気測定部により測定された複数の発光素子からの光電信号に基づいて、複数の発光素子のそれぞれの良否を判定し、不良と判定した発光素子を、発光制御部によって発光させる対象から除外してもよい。
【0013】
光学系は、光源からの光を拡散させることにより、光源からの光を複数の発光素子へと一括照射させ、複数の発光素子からの拡散光を集光することにより、光測定部へと導光してもよい。
【0014】
光学系は、分岐している側の端部が光源および光測定部に接続された分岐ファイバと、1又は複数のレンズを含むレンズユニットとを有してもよい。
【0015】
本発明の第3の態様においては、試験方法を提供する。試験方法は、試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定段階を備えてもよい。試験方法は、光測定段階で測定された複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定段階を備えてもよい。
【0016】
本発明の第4の態様においては、試験方法を提供する。試験方法は、光源からの光を光学系によって試験対象となる複数の発光素子へと照射する光照射段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子を発光させる発光制御段階を備えてもよい。試験方法は、複数の発光素子からの光を光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定段階を備えてもよい。試験方法は、電気測定段階および光測定段階のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定段階を備えてもよい。
【0017】
本発明の第5の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、試験対象となる複数の発光素子を発光させる発光制御手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、複数の発光素子からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、光測定手順で測定された複数の発光素子からの光の波長の強度分布に基づいて、複数の発光素子のうちの少なくとも1つの発光素子に異常があるか否かを判定する判定手順を実行させてもよい。
【0018】
本発明の第6の態様においては、プログラムを提供する。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、光源からの光を光学系によって試験対象となる複数の発光素子へと照射する光照射手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、複数の発光素子のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、複数の発光素子を発光させる発光制御手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、複数の発光素子からの光を光学系を介して受光して、受光した光の波長を測定する光測定手順を実行させてもよい。プログラムは、発光素子を試験する試験装置に、電気測定手順および光測定手順のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数の発光素子の良否を判定する判定手順を実行させてもよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】複数のLED10を試験する試験装置100の概略を示す全体図の一例である。
図2】複数のLED10を試験する試験装置100の概略を示す全体図の一例である。
図3】試験装置100による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。
図4】測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。
図5】測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。
図6】測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。
図7】本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1および図2は、複数のLED10を試験する試験装置100の概略を示す全体図の一例である。図1および図2では、紙面に向かって右方向が+X方向となるX軸と、紙面に向かって上方向が+Z方向となるZ軸と、紙面に向かって奥行き方向が+Y方向となるY軸とが、互いに直交するように示されている。以降では、これらの3軸を用いて説明する場合がある。
【0023】
図1および図2において、制御信号の流れを黒塗りの矢印で示す。また、図1および図2において、電気接続部150の移動方向を白抜きの矢印で示す。また、図1では、複数のLED10からの光を斜線で示し、同様に図2では、光源130からの光を斜線で示す。また、図1および図2において、載置部160の貫通孔161を破線で示す。
【0024】
試験装置100は、複数のLED10からの光の波長の強度分布に基づいて、複数のLED10の波長などの光学特性を一括して試験する。本実施形態による試験装置100は更に、LED10の光電効果を利用し、光を照射したLED10から出力される光電信号に基づいて、複数のLED10の輝度特性又は光度特性を一括して試験する。
【0025】
本実施形態による試験装置100は、複数のLED10の波長測定と光電信号測定とを、同じ光学系を用いて双方向で行う。本実施形態による試験装置100は、波長測定および光電信号測定の一方を終えて他方を開始する際に、装置構成の変更も、試験対象となるLED10の移動も行う必要が無い。
【0026】
本実施形態における試験装置100は、例えばLEDウェハであるウェハ15に複数のLED10が形成されたLED群が載置部160上に載置された状態で、当該複数のLED10の波長などの光学特性と輝度特性又は光度特性とを一括して試験する。なお、以降の説明では、LED10の波長などの光学特性のことを、単に波長特性と呼ぶ場合がある。
【0027】
本実施形態におけるLED10は、寸法が100μm以下のマイクロLEDである。なお、LED10は、マイクロLEDに代えて、寸法が100μmよりも大きく200μm以下のミニLEDや、寸法が200μmよりも大きいLEDであってもよく、その他に、LD等の他の発光素子であってもよい。
【0028】
また、本実施形態における複数のLED10は、ウェハ15上で、互いに電気的に接続されていない。LED群は、複数のLED10の発光面がウェハ15に面している裏面発光型であり、ウェハ15は光を透過する。各LED10上には、2つの端子11がY軸方向に互いに離間して形成されている。複数のLED10の各端子11は、ウェハ15に面していない。なお、本実施形態のような裏面発光型のLED群については、複数のLED10と、複数のLED10が実装されたウェハ15とを総称して、ウェハと呼ぶ場合がある。なお、LED群は、複数のLED10の発光面がウェハ15に面していない表面発光型であってもよく、この場合、ウェハ15は光を透過しなくてもよく、また、複数のLED10の各端子11は、ウェハ15に面していなくてもよく、ウェハ15に面していてもよい。複数のLED10の各端子11がウェハ15に面している場合、ウェハ15には、各端子11に電力供給用プローブを接触させるべく、各端子11の位置にZ軸方向に延在するビアが形成されていてもよい。
【0029】
なお、複数のLED10は、電気配線が設けられたウェハに、または、略方形の外形を有するガラスベースのパネル(PLP)に形成され、互いに電気的に接続されてユニット化またはセル化されていてもよい。
【0030】
試験装置100は、光測定部110と、制御部120とを備える。光測定部110は、試験装置100による試験対象となる複数のLED10からの光を受光して、受光した光の波長を測定する。換言すると、光測定部110は、複数のLED10のそれぞれからの光を合成した合成光の波長を測定する。光測定部110は、試験対象となる全てのLED10を幾つかのグループに分けたグループ毎に、グループ内の1または複数のLED10を発光させた光の波長を測定してもよい。また、光測定部110は、試験対象となる当該複数のLED10のそれぞれからの光の波長を個別に測定してもよい。
【0031】
本実施形態による光測定部110は、例えば波長計を含み、制御部120による制御に従い、LED10からの光の波長を測定し、当該光の波長の強度分布を特定する。光測定部110は、当該強度分布に基づいて当該光のピーク波長や半値幅を特定してもよく、また、当該光を目で見た際の色に相当する波長である主波長を測定してもよい。光測定部110は、波長計に代えて、スペクトロメータや光スペクトラムアナライザなどであってもよい。光測定部110は、特定した当該強度分布を示すデータを制御部120に出力する。
【0032】
制御部120は、試験装置100の各構成を制御する。より具体的には、制御部120は、試験装置100における各構成を制御するためのシーケンスやプログラムなどを格納する格納部180を参照することにより、試験装置100における複数の構成をシーケンス制御する。
【0033】
例えば、制御部120は、電気接続部150および電気測定部155を制御して複数のLED10に予め定められた電流値の電流を供給させることにより、複数のLED10を発光させる発光制御部121として機能する。制御部120は、電気接続部150および電気測定部155を制御して複数のLED10に予め定められた電圧値の電圧を供給させることにより、複数のLED10を発光させてもよく、以降では重複する説明を省略する。また、制御部120は、光測定部110により測定された当該複数のLED10からの光の波長を光測定部110から受け取り、光の波長の強度分布に基づいて、当該複数のLED10のうちの少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定する判定部123として機能する。換言すると、制御部120は、電流を供給した当該複数のLED10を全点灯させて測定される合成光の波長の強度分布に基づいて、当該複数のLED10全体として異常有無を判定する。
【0034】
なお、制御部120は、格納部180に格納された、複数のLED10全体の異常有無を判定するための参照データ、複数のLED10のそれぞれの良否を判定するための参照データ、それらの判定結果、電気接続部150を移動させるための参照データ、などを参照してもよい。
【0035】
また、試験装置100は更に、複数のLED10の光電試験を行なうために、光源130と、光学系140と、電気測定部155とを備えてもよい。光源130は、図1および図2に示すように、光測定部110と共通の光学系140に接続され、光学系140に向けて光を放射する。光源130は、制御部120による制御に従い、複数のLED10の反応波長帯域の光を放射する。光源130は、制御部120によって、放射する光の照射時間、波長、強度などを制御される。
【0036】
光源130は、例えばキセノン光源のように広い波長帯域の光を発する光源であってもよく、レーザー光源のように狭い波長帯域の光を発する光源であってもよい。光源130は、互いに波長が異なる複数のレーザー光源を含んでもよい。なお、LED10の反応波長と発光波長とが相違する場合、LED10に対して当該LED10の発光波長の光を照射しても、当該相違に起因して適切に光電変換されない。
【0037】
本実施形態において、光学系140は、図2に示すように、光源130からの光を複数のLED10へと照射する。より具体的には、本実施形態による光学系140は、図2に示すように、光源130からの光を拡散させることにより、光源130からの光を複数のLED10へと一括照射させる。すなわち、光学系140を介して放射される光源130からの光の、XY平面における投影面は、少なくともLED群の複数のLED10を覆う。
【0038】
本実施形態による光学系140はまた、図1に示すように、複数のLED10からの拡散光を集光することにより、光測定部110へと導光する。換言すると、本実施形態による光測定部110は、複数のLED10からの光を光学系140を介して受光する。このような、光学系140、光源130および光測定部110の相互の接続構成により、試験装置100は、複数のLED10の波長測定と光電信号測定とを共通の光学系140を用いて双方向で行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態では、光学系140は、図1に示すように、複数のLED10からの光を光測定部110および光源130の両方に導光するが、これに代えて、光学系140は、複数のLED10からの光を、光測定部110のみへ導光し、光源130へは導光しないように構成されてもよい。
【0040】
本実施形態による光学系140は、2分岐ファイバ141を有する。2分岐ファイバ141は、Y字型の光ファイバである。2分岐ファイバ141は、分岐している側の端部が光源130および光測定部110に接続される。
【0041】
2分岐ファイバ141は、分岐ファイバの一例であり、2分岐ファイバ141に代えて3分岐ファイバや4分岐ファイバなどの多分岐ファイバを用いてもよい。この場合、試験装置100は、2以上の光源130を備えてもよく、多分岐ファイバの分岐側の各端部に光源130が1つずつ接続されてもよい。この場合、光学系140は、互いに異なる波長帯域の光を放射する複数の光源130からの光を纏めて複数のLED10へと照射してもよい。光源130が特定の波長帯域の光を放射する場合には、このように複数の光源130を光学系140に接続することで、LED10に照射する光の波長帯域幅を広め、より確実に、LED10に光電変換させることができる。
【0042】
また、光学系140は更に、1又は複数のレンズを含むレンズユニット143を有してもよく、レンズユニット143は、光学系140における光学経路上に配置される。また、レンズユニット143は、図2に示すように、複数のLED10から放射される拡散光を収束させ、2分岐ファイバ141に進入させる。
【0043】
電気測定部155は、複数のLED10のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する。より具体的には、電気測定部155は、制御部120による制御に従い、複数のLED10から電気接続部150を介して出力される電流の電流値を測定する。電気測定部155は、各LED10について測定した電流値を制御部120に出力する。なお、電気測定部155は、複数のLED10から出力される電流の電流値に代えて、当該電流値に対応する電圧値を測定してもよい。なお、上述の通り、本実施形態による電気測定部155はまた、制御部120による制御に従い、電気接続部150を介して複数のLED10に電流を供給する。
【0044】
また、試験装置100は更に、電気接続部150と、載置部160と、遮蔽部170と、格納部180とを備えてよい。電気接続部150は、例えばプローブカード(プローブ基板)であって、試験対象となる複数のLED10のそれぞれの端子11に電気的に接続される。なお、本願明細書において、「電気的に接続される」と定義する場合、接触することで電気的に接続されること、または、非接触で電気的に接続されること、を意図する。電気接続部150は、複数のLED10のそれぞれの端子11に接することで電気的に接続されるが、例えば電磁誘導や近距離無線通信により非接触で電気的に接続されてもよい。
【0045】
電気接続部150は、電気回路および複数の電気配線が設けられた基板151と、基板151から複数のLED10のそれぞれに向かって延伸し、複数のLED10のそれぞれの端子11に接触する複数のプローブ153とを有する。
【0046】
電気接続部150は、制御部120によって駆動制御されることで、XY平面内を二次元的に移動し、且つ、Z軸方向に昇降する。電気接続部150は、制御部120によって駆動制御されることにより、光源130および電気接続部150の間に複数のLED10が位置するように配置される。この状態において、電気接続部150の複数のプローブ153は、ウェハ15のZ軸正方向側から複数のLED10の各端子11に接触する。各プローブ153における、端子11に接触する一端の反対側の他端は、基板151に設けられた電気配線に電気的に接続される。複数のプローブ153の複数の電気配線は、基板151の側面から延出し、電気測定部155に電気的に接続される。
【0047】
載置部160は、Z軸正方向側にLED群が載置される。図示の例における載置部160は、平面視において、略円形の外形を有するが、他の外形であってもよい。載置部160は、真空チャック、静電チャック等の保持機能を有し、載置されたLED群のウェハ15を保持する。載置部160は、複数のLED10が発してウェハ15を透過した光を遮らないよう、XY平面の中央部に貫通孔161を有し、当該貫通孔161の周囲においてウェハ15を保持する。
【0048】
遮蔽部170は、光源130からの光以外の光を遮蔽する。本実施形態における遮蔽部170は、表面が全て黒塗りされており、表面での光の乱反射を防ぐ。また、図1に示すように、遮蔽部170は、レンズユニット143、載置部160およびウェハ15によって密閉空間を形成するように設けられ、当該構成によって、光源130からの光以外の光を遮蔽する。
【0049】
なお、試験装置100は、電気接続部150、載置部160および遮蔽部170を備えなくてもよい。これに加えて又は代えて、試験装置100は、光源130、光学系140および電気測定部155を備えなくてもよい。
【0050】
図3は、試験装置100による試験方法のフローを説明するフロー図の一例である。本実施形態による試験装置100の制御部120は、電気測定部155による複数のLED10の光電試験、および光測定部110による複数のLED10の波長特性試験を行い、電気測定部155または光測定部110のうちの少なくとも1つの測定結果に基づいて、複数のLED10の良否を判定する。
【0051】
図3に示すフローは、載置部160上にLED群が載置された状態で、例えば試験装置100に対して当該LED群の試験を開始するための入力をユーザが行うことにより開始する。
【0052】
試験装置100は、試験対象となる複数のLED10に電気測定部155から電気接続部150を介して電流を供給することにより、複数のLED10の電気特性を試験する電気接続段階を実行する(ステップS101)。
【0053】
具体的な一例として、試験装置100の制御部120は、電気接続部150を駆動制御し、電気接続部150の複数のプローブ153を、載置部160上のLED群における、試験対象となる複数のLED10のそれぞれの端子11に電気的に接続する。制御部120は、当該複数のLED10に電気測定部155から電気接続部150を介して電流もしくは電圧を供給し、LED10に対して電気的特性試験を行い、測定電圧もしくは電流値が閾値範囲外であるLED10を電気特性が不良のものとして特定する。当該閾値は、格納部180に格納されている。制御部120は、電気特性が不良であると判定したLED10を、当該電気特性試験以降の試験の対象から除外する。なお、当該フローにおけるステップS101以降の各ステップでは、制御部120は、電気接続部150がLED群における複数のLED10と電気的に接続された状態で各試験を実行するものとし、重複する説明を省略する。
【0054】
当該電気特性試験に続けて、試験装置100は、LED10の光電効果を利用し、光を照射したLED10から出力される光電信号に基づいて、複数のLED10の輝度特性又は光度特性を一括して試験する。試験装置100は、光電信号測定結果から輝度又は光度が不良のLED10を特定し、当該LED10を後続の試験の対象から除外する。
【0055】
具体的には先ず、試験装置100は、光源130からの光を、光学系140によって、光電信号測定の試験対象となる複数のLED10へと照射する光照射段階を実行する(ステップS103)。
【0056】
具体的な一例として、制御部120は、光源130に命令を出力し、光学系140を介して複数のLED10へと光を放射させる。光学系140は、2分岐ファイバ141の一端から進入する光源130からの光を、2分岐ファイバ141の他端に接続されたレンズユニット143で拡散させることにより、光源130からの光を複数のLED10へと一括照射させる。
【0057】
試験装置100は、複数のLED10のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号を測定する電気測定段階を実行する(ステップS105)。具体的な一例として、制御部120は、電気測定部155に命令を出し、複数のLED10のそれぞれから電気接続部150を介して出力される光電信号、すなわち電流の電流値を一括して測定させ、それぞれの測定結果を制御部120に出力させる。
【0058】
制御部120は、電気測定部155により測定された複数のLED10からの光電信号に基づいて、複数のLED10のそれぞれの良否を判定し、不良と判定したLED10を、当該輝度特性又は光度特性の試験以降の試験で発光させる対象から除外する。制御部120は、格納部180に予め格納されている、光電信号の電流値の正常範囲を示すデータを参照することにより、測定された光電信号が正常範囲外となったLED10を不良と判定し、当該LED10を後続の試験の対象から除外してもよい。ここで言う正常範囲の一例として、複数のLED10がそれぞれ出力する光電信号に応じた統計量を基準とした範囲を用いてもよい。より具体的には、正常範囲の一例として、複数のLED10のそれぞれから出力された電流の平均電流値±1σ以内の範囲、当該平均電流値±2σ以内の範囲、または当該平均電流値±3σ以内の範囲を用いてもよい。この場合、制御部120は、格納部180に格納されている、複数のLED10のそれぞれから出力された電流の電流値に基づいて、当該平均電流値と標準偏差σを算出してもよい。
【0059】
LED10の光電効果によって出力される当該光電信号の大きさは、当該LED10の輝度特性および光度特性と相関を有する。そこで、制御部120は、光電信号の電流値の正常範囲を示すデータを参照してLED10の良否を判定することに加えて又は代えて、格納部180に予め格納されている、LED10が出力する光電信号とLED10が発する光の輝度との相関を示すデータを参照することにより、測定された光電信号から輝度を算出してもよい。制御部120は、輝度の算出方法と同様に、輝度に代えて又は加えて光度を算出してもよい。
【0060】
制御部120は更に、算出した輝度及び又は光度に基づいて、LED10の良否を判定してもよい。例えば、制御部120は、格納部180に予め格納されている、輝度及び又は光度の正常範囲を示すデータを参照することにより、LED10の良否を判定してもよい。なお、前述した相関は、試験装置100によって予め算出されたものであってもよく、外部の装置によって算出されたものであってもよい。外部の装置で当該相関が算出される場合には、試験装置100は当該相関を示すデータを外部の装置から取得してもよい。
【0061】
以降の複数のステップでは、試験装置100は、複数のLED10からの光の波長の強度分布に基づいて、複数のLED10の波長特性を一括して試験する。試験装置100は、上述の光電試験で除外されずに残った複数のLED10からの合成光の波長の強度分布を用いて、当該複数のLED10の中に波長が異常のLED10が含まれるか否かを判定する。
【0062】
上述の通り、試験装置100は、複数のLED10の波長測定を、光電信号測定と共通の光学系140を用いて行う。また、試験装置100は、光電信号測定を終えて波長測定を開始する際に、装置構成の変更も、試験対象となるLED10の移動も行う必要が無い。
【0063】
具体的には先ず、試験装置100は、複数のLED10を発光させる発光制御段階を実行する(ステップS107)。具体的な一例として、制御部120は、電気測定部155に命令を出し、波長特性の試験対象となる複数のLED10のうちの一部又は全てに対して、電気接続部150を介して予め定められた電流値の電流を供給させることにより、電流を供給した複数のLED10を一括して発光させる。
【0064】
なお、制御部120は、波長特性の試験対象となる複数のLED10のうちの一部のLED10を一括して発光させる場合には、波長特性の試験対象となる複数のLED10のうちの残りのLED10についても、一部又は全てのLED10を一括して発光させることを繰り返すことにより、波長特性の試験対象となる全てのLED10を段階的に順次発光させる。なお、本願明細書では、波長特性の試験において、このように一括して発光させる複数のLED10を、LED群の測定対象エリアに含まれる複数のLED10と称する場合がある。この場合、LED群には、それぞれが複数のLED10を含む、1つ又は複数の測定対象エリアが存在することになる。
【0065】
試験装置100は、発光制御段階で発光させた複数のLED10からの光を受光して、受光した光の波長を測定する光測定段階を実行する(ステップS109)。具体的な一例として、制御部120は、光測定部110に命令を出し、光学系140で集光される、LED群の測定対象エリアに含まれる複数のLED10のそれぞれからの光を受光させ、当該複数のLED10の合成光の波長を測定させ、測定結果を制御部120に出力させる。なお、LED群に複数の測定対象エリアが存在する場合、制御部120は、光測定部110に、それぞれの測定対象エリアの当該測定結果を制御部120に出力させる。
【0066】
試験装置100は、光測定段階で測定された複数のLED10からの光の波長の強度分布に基づいて、当該複数のLED10のうちの少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定する判定段階を実行し(ステップS111)、当該フローは終了する。
【0067】
具体的な一例として、制御部120は、光測定部110から入力される測定対象エリアごとの測定結果に示される光の波長の強度分布に基づいて、当該測定対象エリアに含まれる複数のLED10のうちの少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定する。より具体的には、制御部120は、当該測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を、当該LED10の数に対応する基準の強度分布と比較した結果に基づいて、当該複数のLED10のうちの少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定する。
【0068】
制御部120は、図3のフローを実行した結果として、測定対象エリアに含まれる複数のLED10において異常があると判定されたことに応じて、電気測定部155および光測定部110に命令を出し、当該複数のLED10のそれぞれに対して順にステップS107~ステップS111の各段階を実行することで、個別に波長特性試験を実行してもよい。ただし、この場合におけるステップS111の判定段階では、制御部120は、光測定段階で測定された1つのLED10からの光の波長の強度分布に基づいて、当該LED10に異常があるか否かを判定する。例えば、制御部120は、当該強度分布を、LED10が1つの場合における基準の強度分布と比較した結果に基づいて、当該LED10に異常があるか否かを判定する。
【0069】
これに代えて、制御部120は、図3のフローを実行した結果として、測定対象エリアに含まれる複数のLED10において異常があると判定されたことに応じて、複数のLED10を複数のグループに分割する機能を有してもよい。この場合、制御部120および光測定部110は、複数のグループのそれぞれについて、全てのLED10を発光させて光の波長を測定してもよい。制御部120は更に、複数のグループのそれぞれに含まれる全てのLED10からの光の波長の強度分布に基づいて、複数のグループのそれぞれに含まれる少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定してもよい。例えば、制御部120は、2分岐法で不良のLED10を徐々に絞り込んでいってもよい。なお、この場合の制御部120はグループ分割部の一例である。
【0070】
なお、試験装置100は、図3のフロー中の各ステップの順序を異ならせてもよく、1つ又は複数のステップを省略してもよい。例えば、試験装置100は、ステップS101の電気特性試験を実行した後に、ステップS107~ステップS111の波長特性試験を実行し、続けてステップS103~ステップS105の輝度又は光度特性試験を実行してもよい。また例えば、試験装置100は、ステップS101の電気特性試験およびステップS103~ステップS105の輝度又は光度特性試験を実行せずに、ステップS107~ステップS111の波長特性試験を実行してもよい。また例えば、試験装置100は、ステップS101の電気特性試験を実行せずに、ステップS103~ステップS105の輝度又は光度特性試験、および、ステップS107~ステップS111の波長特性試験を順不同に実行してもよい。
【0071】
図4は、測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。図4のグラフにおいて、横軸は光の波長を指し、縦軸は光の強度を指す。図4のグラフ上、測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の、個々の波長の強度分布を(1)で示し、合成の波長の強度分布を(2)で示す。以降の図においても同様とし、重複する説明を省略する。
【0072】
LED10からの光の強度は、LED10からの光の輝度や光度との間に相関を有し、また、LED10が照射された光を光電変換した光電信号の電流値との間に相関を有する。図4の例においては、測定対象エリアに含まれる複数のLED10の全てが、本来LED10の発光光の波長として期待されている波長において、互いに同じ強度で発光している。すなわち、図4の例においては、複数のLED10は、波長に異常が無く、且つ、同一の光源130から一括照射された光を光電変換した光電信号の電流値が互いに同等である。
【0073】
このように、光電信号の電流値が互いに同等であって且つ波長に異常がない複数のLED10からの合成光の波長の強度分布は、図4に示す合成の波長の強度分布(2)のようになる。試験装置100は、例えば図4に示す合成の波長の強度分布(2)を、前述した基準の強度分布の1つとする。試験装置100は、当該基準の強度分布を示すデータを、波長の強度分布が合成されるLED10の数毎に格納部180に予め格納し、図3のフローにおけるステップS111で参照してもよい。例えば、試験装置100は、測定対象エリアごとに測定された合成光の波長の強度分布が、当該測定対象エリアに含まれる複数のLED10の数に対応する基準の強度分布と一致する場合に、当該測定対象エリアに含まれる複数のLED10の何れにも異常が無いと判定してもよい。
【0074】
図5は、測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。図5の例においては、当該複数のLED10のうちの1つが、強度分布(f)で示したように、本来LED10の発光光の波長として期待されている波長からずれた波長において、他のLED10よりも弱い強度で発光している。すなわち、図5の例においては、複数のLED10のうちの当該1つが、残りのLED10と比べて、波長に異常があり、且つ、同一の光源130から一括照射された光を光電変換した光電信号の電流値が低い。それにも拘らず、図5に示す合成の波長の強度分布(2)は、図4に示す合成の波長の強度分布(2)と似たものとなっている。
【0075】
図5の例のように、複数のLED10の中に、波長に異常があるLED10が含まれていたとしても、当該LED10からの光電信号の電流値が他のLED10に比べて低い場合、当該複数のLED10からの合成光の波長の強度分布が、当該複数のLED10の数に対応する基準の強度分布と一致してしまう場合がある。この場合、当該LED10の波長の異常を検知することが困難になり得る。
【0076】
図6は、測定対象エリアに含まれる複数のLED10からの光の波長の強度分布を示すグラフの一例である。図6の例においては、当該複数のLED10のうちの1つが、強度分布(f)で示したように、本来LED10の発光光の波長として期待されている波長からずれた波長において、他のLED10と同等の強度で発光している。すなわち、図6の例においては、複数のLED10のうちの当該1つが、残りのLED10と比べて、波長に異常があり、その一方で、同一の光源130から一括照射された光を光電変換した光電信号の電流値が残りのLED10と同等である。その結果として、図6に示す合成の波長の強度分布(2)は、図4に示す合成の波長の強度分布(2)とは異なり、(F)で示した箇所において変異している。
【0077】
試験装置100は、図3のフローにおけるステップS105で説明した通り、試験対象となる複数のLED10からの光電信号に基づいて、当該複数のLED10のそれぞれの良否を判定し、不良と判定したLED10を、当該輝度特性又は光度特性の試験以降の試験で発光させる対象から除外してもよい。一例として、試験装置100は、試験対象となる複数のLED10について、同一の光源130から光を一括照射して光電変換された光電信号の電流値が、当該複数のLED10の中で相対的に低いLED10を除外してもよい。
【0078】
これにより、試験装置100は、測定対象エリアに含まれる複数のLED10の中に、光の強度は正常且つ光の波長は異常なLED10が含まれている場合には、図6に示すような、基準の強度分布から変異している合成光の波長の強度分布(2)を生成する。よって、試験装置100は、図5の例のようにLED10の波長の異常を検知することが困難になる、という事態を予め回避できる。すなわち、試験装置100は、光電試験と波長特性試験とを組み合わせることにより、試験対象となる複数のLED10の中に、輝度又は光度に不良があるLED10が含まれることも、波長に異常があるLED10が含まれることも、正しく判定することができる。試験装置100は、波長特性試験の対象から光電信号等に異常があるLED10を除外しない場合に比べて、波長特性試験の試験精度を高めることができる、とも言える。
【0079】
また、試験装置100は、図6に示すような合成光の波長の強度分布を生成し、生成した強度分布を基準の強度分布と比較した結果として上述の変異の存在を確認した場合には、例えばフーリエ変換、GMMなどの手法を用いて周波数毎の波長成分を算出してもよい。これにより、試験装置100は、測定対象エリアに含まれる複数のLED10のそれぞれの波長成分の中に、本来無いはずの波長成分が含まれるか否かをより確実に確認でき、よって、当該複数のLED10の中に当該波長成分の光を放射する不良なLED10が含まれるか否かをより確実に確認できる。換言すると、試験装置100は、合成光の波長の強度分布における変異が、測定エラーや外乱などに起因するものではなく、本来LED10の発光光の波長として期待されている波長からずれた波長の光を放射するLED10の存在に起因するものであることを確認できる。
【0080】
以上、本実施形態による試験装置100によれば、試験対象となる複数のLED10を一括して発光させ、当該複数のLED10からの光の波長を包括的に測定し、当該包括的な波長の強度分布に基づいて、当該複数のLED10のうちの少なくとも1つのLED10に異常があるか否かを判定する。これにより、試験装置100は、試験対象となる複数のLED10を個別に順次発光させて波長特性を試験する場合に比べて、試験の実行時間を短縮することができる。
【0081】
また、本実施形態による試験装置100によれば、複数のLED10の波長特性試験と輝度特性試験又は光度特性試験とを、同じ光学系を用いて双方向で行う。より具体的には、試験装置100は、光学系140を介して、当該複数のLED10からの光を包括的に受光し、且つ、光源130からの光を当該複数のLED10へと一括して照射する。試験装置100は、当該複数のLED10からの光によって当該複数のLED10の波長特性を包括的に試験し、且つ、当該複数のLED10のそれぞれが照射された光を光電変換した光電信号によって当該複数のLED10の輝度特性又は光度特性を個別に試験する。
【0082】
このように、試験装置100によれば、装置構成の変更も試験対象となるLED10の移動も要することなく、同じ光学系を用いて、試験対象となる複数のLED10の波長特性を包括的に試験し、且つ、当該複数のLED10の輝度特性又は光度特性を個別に試験することができる。これにより、試験装置100は、これらの試験を切り替える際に装置構成の変更や試験対象となるLED10の移動を要する場合に比べて試験の実行時間を短縮することができるだけでなく、各試験で異なる光学系を用いる場合の環境差異による測定誤差を防止することもできる。
【0083】
以上の複数の実施形態において、試験装置100は、光学系140において、2分岐ファイバ141などの分岐ファイバの代わりに、プリズム等の別の機構を備えてもよい。この場合、プリズム等は、上記の実施形態で説明した2分岐ファイバ141の機能構成と同様の機能構成を有する。
【0084】
以上の複数の実施形態において、LED群が、電気配線が形成された略方形の外形を有するガラスベースのパネル(PLP)に複数のLEDが形成された構成である場合、電気接続部は、パネルの2つの側面に配された、行方向および列方向の各配線にプローブを接触させる構成であってもよい。
【0085】
本発明の様々な実施形態は、フローチャートおよびブロック図を参照して記載されてよく、ここにおいてブロックは、(1)操作が実行されるプロセスの段階または(2)操作を実行する役割を持つ装置のセクションを表わしてよい。特定の段階およびセクションが、専用回路、コンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/またはコンピュータ可読媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/またはアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/またはディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、および他の論理操作、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0086】
コンピュータ可読媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読媒体は、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(RTM)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0087】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1または複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0088】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはプログラマブル回路に対し、ローカルにまたはローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、フローチャートまたはブロック図で指定された操作を実行するための手段を作成すべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0089】
図7は、本発明の複数の態様が全体的又は部分的に具現化されうるコンピュータ1200の例を示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200に、本発明の実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該装置の1又は複数の「部」として機能させ、又は当該オペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本発明の実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。このようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0090】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、グラフィックコントローラ1216、及びディスプレイデバイス1218を含み、これらはホストコントローラ1210によって相互に接続される。コンピュータ1200はまた、通信インターフェース1222、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、これらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続される。コンピュータはまた、ROM1230及びキーボード1242のようなレガシの入出力ユニットを含み、これらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続される。
【0091】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、これにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又は当該グラフィックコントローラ1216自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示させる。
【0092】
通信インターフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。ハードディスクドライブ1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVD-ROMドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1201から読み取り、ハードディスクドライブ1224にRAM1214を介してプログラム又はデータを提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0093】
ROM1230は、内部に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0094】
プログラムが、DVD-ROM1201又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもあるハードディスクドライブ1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0095】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インターフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インターフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROM1201、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0096】
また、CPU1212は、ハードディスクドライブ1224、DVD-ROMドライブ1226(DVD-ROM1201)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0097】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような、様々なタイプの情報が、情報処理されるべく、記録媒体に格納されてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、これにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0098】
以上の説明によるプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、これにより、プログラムをコンピュータ1200にネットワークを介して提供する。
【0099】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0100】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0101】
10 LED
11 端子
15 ウェハ
100 試験装置
110 光測定部
120 制御部
130 光源
140 光学系
150 電気接続部
151 基板
153 プローブ
155 電気測定部
160 載置部
170 遮蔽部
180 格納部
1200 コンピュータ
1201 DVD-ROM
1210 ホストコントローラ
1212 CPU
1214 RAM
1216 グラフィックコントローラ
1218 ディスプレイデバイス
1220 入出力コントローラ
1222 通信インターフェース
1224 ハードディスクドライブ
1226 DVD-ROMドライブ
1230 ROM
1240 入出力チップ
1242 キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
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図7