(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039024
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/50 20060101AFI20230313BHJP
A47L 15/23 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A47L15/50
A47L15/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021145956
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山田 将也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 惇
(72)【発明者】
【氏名】新海 清恭
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082FF01
3B082FF02
3B082FF07
(57)【要約】
【課題】本開示は、かご本体と上棚とで構成した食器かごに収容した食器に洗浄水を噴射して洗浄する食器洗い機において、柔らかい素材で形成される食器を安定して支持し、洗浄することができる食器洗い機を提供する。
【解決手段】本開示における食器洗い機は、前方に開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽内に配した食器を収容する食器かごと、を有し、食器かごは、被洗浄物を支持する支持ピンと、側面視において略逆U字形状の棒状体である長柄部材を有し、長柄部材は食器かごから高さ方向に向かって伸び、長柄部材の上端は、正面視において高さ方向とは直行する向きに折り曲げられた引っ掛け部を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に配した食器を収容する食器かごと、を有し、
前記食器かごは、被洗浄物を支持する支持ピンと、側面視において略逆U字形状の棒状体である長柄部材を有し、
前記長柄部材は前記食器かごから高さ方向に向かって伸び、前記長柄部材の上端は、正面視において前記高さ方向とは直行する向きに折り曲げられた引っ掛け部を有する、食器洗い機。
【請求項2】
前記引っ掛け部は、前記支持ピンの高さよりも高い位置に構成される、請求項1記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記食器かごは、棒状食器等が収容される小物かごを有し、前記長柄部材は、前記小物かごと一体に構成されている、請求項1または2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記長柄部材は、前記小物かごの側面の端部に接して取り付けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項5】
前記引っ掛け部は、前記洗浄槽の内側面に向かって折り曲げられており、前記内側面のうち、正面視において、前記小物かごの側面の中心線とは反対向きに折り曲げられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【請求項6】
前記引っ掛け部の先端は、正面視において、前記小物かごの鉛直上方空間より外側に位置する、請求項1から5のいずれか1項に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器類を洗浄する食器洗い機に関するもので、特に食器が載置される食器かごに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の食器洗い機は特許文献1のように構成されている。特許文献1は、洗浄槽と、開閉する扉と、内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、洗浄槽内に食器類を載置する食器かごと、を有している。
【0003】
図3のように、食器かごには上部に突出した皿類セット部が配置され、さらに、配置された複数の支持ピンにより碗類を載置可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-068601号公報
【特許文献2】特開2014―76138号公報
【特許文献3】特開2005―000341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、樹脂素材等の柔らかい食器を食器かごに安定して支持し、洗浄することができる食器洗い機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における食器洗い機は、前方に開口部を有する洗浄槽と、洗浄槽内に配した食器を収容する食器かごと、を有し、食器かごは、被洗浄物を支持する支持ピンと、略逆U字形状の棒状体である長柄部材を有し、長柄部材は食器かごから高さ方向に向かって伸び、長柄部材の上端は、高さ方向とは直行する向きに折り曲げられた引っ掛け部を有するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示における食器洗い機は、従来食器かごの支持ピンでは固定不可であった樹脂素材等の柔らかい食器を、食器かごの一部に設けた逆U字部へ吊るすことによって食器カゴに安定して支持し、洗浄することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の側断面図
【
図2】実施の形態1に係る食器洗い機の内部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、樹脂素材等の柔らかい素材で形成された食
器が増加してきており、食器洗い機においてもそのような食器に対する洗浄能力も求められていた。しかしながら、当時の食器洗い機において、食器かごにおける支持ピンは、食器を抑えるまたは立てかけて固定する特性を持つ故に、対象物が柔らかい素材で形成される時に、固定する事が困難であった。そうした状況下において、発明者らは、食器洗い機の噴射力が強いため、柔らかい素材や軽い素材で作られたものを伏せ置きすると、水圧で吹き飛ばされるという課題があることを発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、樹脂素材等の柔らかい素材の食器を、食器かごの一部に設けた逆U字部へ引っ掛けて吊るすことによって食器かごに安定して支持し、洗浄することができる食器洗い機を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
本開示における請求項1に記載の発明は、前方に開口部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に配した食器を収容する食器かごと、を有し、前記食器かごは、被洗浄物を支持する支持ピンと、側面視において略逆U字形状の棒状体である長柄部材を有し、前記長柄部材は前記食器かごから高さ方向に向かって垂直に伸びており、前記長柄部材の上端は、正面視において前記高さ方向とは直行する向きに折り曲げられた引っ掛け部を有するものである。
【0014】
この構成により、従来食器かごの支持ピンでは固定不可であった樹脂素材等の柔らかい食器を、食器かごの一部に設けた逆U字部へ吊るすことによって食器かごに安定して支持し、洗浄することを可能とする。
【0015】
本開示における請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記引っ掛け部は、前記支持ピンの高さよりも高い位置に位置することで、背の高い食器のセットが可能になることに加え、食器のセット性を悪化させることなくセット可能にすることができる。また、高さのある位置に被洗浄物を固定することで、噴射ノズルからの距離が遠くなり、軽い素材の被洗浄物であっても吹き飛ばされることを抑制することができる。
【0016】
本開示における請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記食器かごは、棒状食器等が収容される筒形状の小物かごを有し、前記長柄部材は、前記小物かごと一体に構成されていることで、小物かごの役割と柔らかい素材の被洗浄物の支持の役割との2つの役割を、1つのパーツで行うことができる。
【0017】
本開示における請求項4に記載の発明は、請求項1から3に記載の発明において、前記長柄部材は、前記小物かごの側面の端部に接して取り付けられていることで、小物かごの役割と柔らかい素材の被洗浄物の支持の役割との2つの役割を、1つのパーツで行うことができる。
【0018】
本開示における請求項5に記載の発明は、請求項1から4に記載の発明において、前記引っ掛け部は、前記洗浄槽の内側面に向かって折り曲げられており、前記内側面のうち、正面視において、前記小物かごの側面の中心線とは反対向きに折り曲げられていることで
食器のセット性を悪化させない。また、引っ掛け部は小物かごとは反対向きに折り曲げられているため、小物かごの高さに制限されずに、目的の食器をセットすることができる。
【0019】
本開示における請求項6に記載の発明は、請求項1から5に記載の発明において、前記引っ掛け部の先端は、正面視において、前記小物かごの鉛直上方空間より外側に位置することで食器のセット性を悪化させない。また、引っ掛け部は小物かごの側面より外側に配置されているため、小物かごの高さに制限されずに、目的の食器をセットすることができる。
【0020】
(実施の形態1)
[1-1.構成]
以下、
図1~
図7を用いて、実施の形態1を説明する。
【0021】
図1に示すように、食器洗い機1は、洗浄槽2と、洗浄槽2の前方に開口部3を有し、開口部3を開閉する扉4を有する。
【0022】
また食器洗い機1は、洗浄槽2内部に洗浄水を噴射する洗浄ノズル5が回転自在に設けられており、洗浄槽2内に食器類を載置する食器かご8を配置している。
【0023】
洗浄槽2は台枠6によって支持されている。洗浄槽2内の洗浄水はヒータによって温水化され、洗浄ポンプ7にて排水口に備えた残菜フィルタから吸い込まれ、洗浄ノズル5に圧送されて噴出口から食器類に向けて噴出し、循環する。これにより食器類は洗浄される。
【0024】
洗浄部である洗浄ノズル5は、食器かご本体9および食器かご上棚10に載置された食器などの被洗浄物に洗浄水を噴射して、被洗浄物を洗浄する。このとき、洗浄ノズル5は、主に、洗浄槽2の下方から上方に向かって洗浄水を噴射して、被洗浄物を洗浄するように配置される。
【0025】
そして洗浄行程が終了すると、洗浄槽2の下部に設けた排水ポンプによって機外に洗浄水が排水される。
【0026】
なお、洗浄ノズル5は、上記配置構成に限られず、洗浄槽2の構成や形状、食器かごの形状や配置などに応じて、洗浄槽2内の適切な位置に配置することが望ましい。
【0027】
扉4は、洗浄槽2の開口部3を開閉可能に設けられる。扉4は、洗浄槽2の開口部3が前面側の場合は前面側に設けられ、開口部3が上部側の場合は上部側に設けられる。なお、扉4は1枚または2枚以上を組み合わせた構成でもよい。
【0028】
扉4の開き方としては、
図2のXYZ座標において、食器洗い機1本体の前面側(-Y方向)に向かって開く場合、扉4の開放位置が本体上方に位置するように開く構成でもよく、扉4の開放位置が前面下方に位置するように扉4を開く構成でもよい。
【0029】
さらに、左(―X方向)または右(X方向)に向かって扉4が開く場合、扉4の開放位置が左側または、右側の位置に扉4を開く構成でもよい。
【0030】
また、扉4が2枚以上の構成の場合、それぞれが左右又は上下対称に開く、いわゆる観音開きで開く構成でもよく、それぞれが同じ方向に開く構成でもよい。
【0031】
食器かご本体9は
図3に示すように、ワイヤーにより格子状に構成される。さらにワイ
ヤーを上部に突出させた皿類セット部および、碗類セット部が配置されている。碗類セット部は複数の形状からなる支持ピンが数多く配置され、様々な形状の碗類を載置可能に構成されている。使用者が碗類セット部に椀類を載置する場合、複数の支持ピンを利用して支持位置を変えることにより、様々な食器の形状に対して、それぞれの食器を安定して載置できる。また食器かごには一般的に、皿、茶碗、コップ等を置く食器かご本体の他に、はし、スプーン、フォーク、ナイフ等の小物を収容するための小物かご11を有する。
【0032】
図4は、本開示における小物かごを載置した食器かごを示す。そして
図4のように載置される小物かごの斜視図を
図5、
図6に示す。
図5、6のように小物かご11は、側面視において略逆U字形状の棒状体である長柄部材12を高さ方向へ垂直に有しており、長柄部材12は小物かご11の側面の端部に接して取り付けられる。被洗浄物を長柄部材12に引っ掛けるまたは吊るすことによって被洗浄物を支持する。
【0033】
小物かご11は棒状食器等が収容されるため、高さのある直方体形状、筒状で構成される。
図4から
図7では、小物かご11と長柄部材12とは一体に構成されている。
【0034】
さらに、長柄部材12の上端は、正面視において高さ方向とは直行する向きに折り曲げられた引っ掛け部13を有する。ここで実施例1では、引っ掛け部13は、
図6のように洗浄槽2の内側面(方向B)に向かって折り曲げられており、洗浄槽2の4つの内側面のうち、水平視において、垂直に伸びる長柄部材12に対して小物かご11の幅方向(方向A)とは反対向きに折り曲げられている。つまりこの方向Bは小物かご11の側面の中心線Xとは反対向きである。例えば、
図6において、長柄部材12に対して小物かご11は方向A側に、被洗浄物を収容する空間を確保できるように配置されており、一方引っ掛け部13は長柄部材12に対して方向Bに向けて折り曲げられており、方向AとBは相反する方向となっている。
【0035】
また、引っ掛け部13の先端は、正面視において小物かご11の鉛直上方空間より外側に位置する。そのため正面視では、引っ掛け部13の先端は小物かごから幅方向において、少しはみ出たような位置にある。このような構成では、小物かご11の高さや体積の影響が少ないため、被洗浄物の大きさが制限を受けにくい。
【0036】
引っ掛け部13は、支持ピンの高さよりも高い位置に構成される。さらに、引っ掛け部13は小物かご11の高さよりも高い位置に構成される。
【0037】
[1-2.動作]
従来の食器かごにおける支持ピンは、食器をおさえる又は立てかけて固定する特性を持つ故に、被洗浄物が柔らかい素材で形成される時に、固定する事が困難である。しかし、本実施の形態の食器洗い機は、食器カゴの一部に設けた逆U字部へ被洗浄物を吊るすことによって食器かごに安定して支持し、洗浄を可能であるという特徴を有する。
【0038】
図7は被洗浄物の例として、幼児が食事をする際にこぼれる食材を受ける皿として首から下げる、ベビースタイという幼児用道具を設置した状態の小物かご11を示す。このとき、ベビースタイ15の袋になっている部分を引っ掛け部13にかぶせるように引っ掛けることで、ベビースタイ15は食器カゴに安定して支持される。
【0039】
ベビースタイのほかにも、高さのあるお玉や、引っ掛けやすいトングなどを引っ掛けるまたは吊るすことで使用することができる。
【0040】
(その他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。し
かしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、負荷、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0041】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。長柄部材12は小物かご11に取り付けられていなくともよい。例えば、支持ピンと同様に食器かごから直接伸びていてもよいし、垂直に伸びずに角度を持たせて伸びていてもよい。斜めに伸びている場合、より長さのある被洗浄物を洗浄することが可能になる。
【0042】
また長柄部材12は、小物かご11の側面の角に接して取り付けられていなくともよい。例えば、小物かご11の角ではなく短辺中央部についていたとしても、本実施の形態1とそん色なく使用できる。この場合、洗浄槽内の省スペース化を図ることができ、他の食器を置ける体積を増やす効果がある。
【0043】
また長柄部材12は、嵌合部14により左右から爪形状の部材で固定することで、小物かご11に支持されている。そして長柄部材12は小物かご11から取り外すことができてもよい。具体的には、嵌合部14から長柄部材12を取り外すことで、洗浄槽内の省スペース化を図ることができる。また、省スペース化のために長柄部材12を折りたたむ又はスライドして収納可能としてもよい。
【0044】
長柄部材12の先端はU字部としたが、コの字型であってもよいし、湾曲していてもよく、被洗浄物を引っ掛けることができる形状であればよい。
また長柄部材12の先端は、被洗浄物を引っ掛けることができる形状であればよく、折り曲げる方向は実施例1には限定されず、他の方向であってもよいし、必ずしも折り曲げられていなくてもよい。また、部材の太さを変えるなどして被洗浄物を引っ掛けやすくしてもよい。
【0045】
例えば、引っ掛け部13の太さのみを太くしたり、引っ掛け部13の部材を波状に加工し、被洗浄物をさらに安定して支持することが可能である。
【0046】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、
特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる食器洗い機は、食器かごの一部に引っ掛け部を有するため、柔らかい樹脂などの素材の食器を引っ掛けて吊るすことにより、食器カゴに安定して支持し、洗浄することのできる食器洗い機を提供することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 食器洗い機
2 洗浄槽
3 開口部
4 扉
5 洗浄ノズル(洗浄部)
6 台枠
7 洗浄ポンプ
8 食器かご
9 食器かご本体
10 食器かご上棚
11 小物かご
12 長柄部材
13 引っ掛け部
14 嵌合部
15 ベビースタイ