(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003904
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20230110BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20230110BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20230110BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20230110BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B41J29/38 401
B41J3/36 Z
B41J3/407
B41J29/00 E
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105277
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 臣貴
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 賢一
(72)【発明者】
【氏名】笠山 寛史
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC03
2C055CC05
2C061AP10
2C061AQ04
2C061AS11
2C061BB10
2C061CG02
2C061CG15
2C061CQ05
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HJ07
2C061HJ08
2C061HN04
2C061HN15
(57)【要約】
【課題】マスターとの間における無線接続が切断した場合に、操作性を向上できる。
【解決手段】無線によりスマートフォンと接続され、スマートフォンから送信された情報に基づいて記録媒体に情報を記録するプリンタにおいて、記録媒体に情報を記録する記録動作を実行可能な記録部と、操作者が手動によりスマートフォンとの通信を切断可能な取消キーと、スマートフォンとの通信が取消キーによらずに切断された場合に(ステップS9のYES)、通信の再接続を実行可能な再接続部と、情報を表示可能な表示部と、取消キーが操作された場合には(ステップS4のYES)、スマートフォンとの通信を切断する(ステップS8)と共に再接続部による通信の再接続を実行せずに、表示部に情報の入力を待つ旨の画面を表示させるCPUと、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線により通信装置と接続され、前記通信装置から送信された情報に基づいて記録媒体に情報を記録する記録装置において、
記録媒体に情報を記録する記録動作を実行可能な記録部と、
操作者が手動により前記通信装置との通信を切断可能な手動切断部と、
前記通信装置との通信が前記手動切断部によらずに切断された場合に、通信の再接続を実行可能な再接続部と、
情報を表示可能な表示部と、
前記手動切断部が操作された場合には、前記通信装置との通信を切断すると共に前記再接続部による通信の再接続を実行せずに、前記表示部に情報の入力を待つ旨の画面を表示させる制御部と、を備えた、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記通信装置との通信の接続中で、前記記録部により前記記録動作を実行していない状態において、前記手動切断部が操作された場合には、前記表示部に情報の入力を待つ旨の画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記通信装置との通信の接続中で、前記通信装置から情報を受信している状態、及び、前記記録部により前記記録動作を実行している状態において、前記手動切断部によらずに通信が切断された場合には、前記表示部に通信の再接続の操作を促す画面を表示させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録部による前記記録動作を操作者が手動で中止可能な手動中止部を備え、
前記制御部は、前記通信装置との通信の接続中で、前記記録部による前記記録動作中に前記手動中止部が操作された場合には、前記通信装置との通信を切断せずに前記記録動作を中止し、
前記手動中止部への操作と、前記手動切断部への操作とが共通している、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記手動切断部は、取消キーであり、
前記手動切断部の操作は、前記取消キーが押し下げられることである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記通信装置との通信が切断中である場合には、前記記録装置の操作画面が表示され、前記通信装置との通信が接続中である場合には、前記操作画面が表示されず、通信に基づいた情報が表示される、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体は、チューブ状記録媒体であり、
前記記録部は、チューブ状記録媒体に圧接させて情報を記録する記録ヘッドを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に画像を記録する記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に画像を記録する記録装置において、スマートフォン(マスター)などと無線で接続し、スマートフォンからアプリを利用して印刷を行ったり、記録装置に対してデータを送信したりするシステムが知られている。この種のシステムとしては、スマートフォンと記録装置との無線通信で、ユーザが無線接続の切断操作をした場合に、切断してよいかをユーザに提示して、それに対するユーザの処理に従って切断するか否かを決定するものが開発されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の記録装置では、無線接続を切断してよいかをユーザに促すものではあるが、ユーザの意図により切断操作がされたものに対して切断の可否を確認するのは無駄なことであり、ユーザにとっては一手間増えて操作性が悪い。また、特許文献1に記載の記録装置では、無線接続が切断された後の処理については言及されていない。例えば、ユーザの意図によらず例えば電波環境の悪化等により無線接続が切断されてしまった場合は、ユーザは通常は再接続を望むことが多く、再接続を促す処理を行うことが適切であるのに対し、ユーザの意図により無線接続が切断された場合は、通常は再接続を促す処理を行う必要はない。このため、無線接続が切断された後に、一律に例えば再接続を促す処理を行うと、ユーザの意図により無線接続が切断された場合等には操作性が悪くなる虞がある。
【0005】
本発明は、マスターとの間における無線接続が切断した場合に、操作性を向上できる記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の記録装置は、無線により通信装置と接続され、前記通信装置から送信された情報に基づいて記録媒体に情報を記録する記録装置において、記録媒体に情報を記録する記録動作を実行可能な記録部と、操作者が手動により前記通信装置との通信を切断可能な手動切断部と、前記通信装置との通信が前記手動切断部によらずに切断された場合に、通信の再接続を実行可能な再接続部と、情報を表示可能な表示部と、前記手動切断部が操作された場合には、前記通信装置との通信を切断すると共に前記再接続部による通信の再接続を実行せずに、前記表示部に情報の入力を待つ旨の画面を表示させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の記録装置によれば、マスターとの間における無線接続が切断した場合に、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るプリンタにおける開閉カバーを省略した状態の平面図である。
【
図2】実施形態に係るプリンタの表示部を示す図である。
【
図3】実施形態に係るプリンタの記録部の周辺を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係るプリンタの制御のための構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態に係るプリンタにおける電池収容部を示す底面図である。
【
図6】実施形態に係るプリンタとスマートフォンとの無線接続を示す説明図である。
【
図7】実施形態に係るプリンタの通信モード処理を示すフローチャートである。
【
図8】実施形態に係るプリンタのリンク切断の割込処理を示すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係るプリンタのステータス変化の割込処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態に係るプリンタの画面遷移を示す説明図である。
【
図11】実施形態に係るプリンタのデータ通信状態を示すタイムチャートであり、(a)はマスターへの返信がない場合、(b)はマスターへの返信がある場合である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、
図1~
図11(b)を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクリボンカセット5を備えた記録装置の一例としてのプリンタ1の外観を示す平面図である。尚、
図1においては、プリンタ1のカバーの図示を省略している。本実施形態のプリンタ1は、チューブ状記録媒体(以下、単に、チューブという)を含む記録媒体に記録を行うものであり、ノートタイプコンピュータと同様に持ち運び可能に構成されたものである。
【0010】
[記録装置の概要]
プリンタ1は、大別して、キーボードなどを備えた操作部13と、LCD(液晶ディスプレイ)や表示制御部を備えて情報を表示可能な表示部14と、記録媒体としてのチューブTを搬送するための搬送ユニットと、チューブTに記録を行う記録部20と、記録部20で記録されたチューブTに切断処理を施す切断部30と、チューブを加熱するためのチューブ加熱ユニット7と、を備えている。チューブ加熱ユニット7は、チューブTを加熱するためのヒータ71(
図4参照)を内部に備えている。チューブ加熱ユニット7は、チューブTを記録部20へ案内するガイドユニットとしての役割も果たす。
【0011】
[操作部]
操作部13は、ファンクションキー、文字・数字・記号キー、スペースキー、変換キー、十字方向キー、リターンキー等を備え、操作者であるユーザはこれらのキーを操作することで、記録媒体の種類、サイズ、記録条件等を入力して、プリンタ1の記録情報を設定することができる。
【0012】
[表示部]
図2は、
図1の表示部14における表示内容を示す図である。表示部14のLCDは、入力モード等を表示する各種情報表示エリア14a、操作部13から入力された文字、数字、記号(以下、「文字等」と略称する。)を表示する文字情報表示エリア14b、文字サイズ等を表示するパラメータ表示エリア14cの3つの表示エリアに分割されており、各種情報表示エリア14a及びパラメータ表示エリア14cは、それぞれ文字情報表示エリア14bの上下に配置されている。
【0013】
各種情報表示エリア14aは、以下の表示を行うことができる。ユーザが、操作部13を介して、英数、ローマ字、ひらがなのどれで入力するかを示す入力モード表示、ユーザが、操作部13を介して、挿入と上書のどちらで入力するかを示す挿入/上書モード表示(編集モード表示)、「記録媒体の種類」の表示、複数ページの記録を一回の記録動作で行うときにページ間のカットをどのように行うかを示す「モード指令」(全切り、半切りモードカット指令の別、及び切断個数)の表示、チューブTをカットする間隔を示す「カット長」と、文字等の位置がセンタリングか左寄せかを示す「文字配置」及びチューブTの左端から先頭の文字等までを示す「余白」を表示するカット長/文字配置/余白表示、現在表示されているページの前に別のページがある場合に表示される前ページ表示、現在表示されているページの後に別のページがある場合に表示される次ページ表示、及び、電源が投入されていることを表示する電源表示、等である。
【0014】
また、パラメータ表示エリア14cは、以下の表示を行うことができる。現在、記録データの何ページ目が表示されているかを数字で表示するページ表示、記録の向きを「横向き/横書き」、「縦向き/縦書き」、「縦向き/横書き」のいずれかで行うかを表示する記録の向き表示、文字等に枠を付ける場合に選択した枠囲みの形を表示する枠囲み表示、選択した文字サイズを表示する文字サイズ表示、記録する行数を表示する行数表示、選択した文字間隔を表示する文字間隔表示、現在表示されている文字等が何ページにわたって記録されるかを表示する連続記録表示、等である。
【0015】
文字情報表示エリア14bには、操作部13を介して入力された文字等(入力された記録データとしての文字データが所定の処理を経て表示された文字等)の文字列が表示される。なお、文字情報表示エリア14bには、ユーザが入力しようとする箇所にカーソルが表示される。
【0016】
[切断部]
図1に示すように、切断部30は、記録部20における搬送ローラ4(
図3参照)の搬送方向Dの下流側に配置され、記録媒体としてのチューブTやテープに切断処理を施す。切断部30では不図示のカッタ刃とカッタ受け部材を用いて、記録部20で記録されたチューブTに対して半切り又は全切り処理を行う。切断されたチューブTは、搬送ユニットによって排出される。
【0017】
[記録部]
図3は、記録部20の構成を示す図である。記録部20は、記録媒体としてのチューブTを搬送するための供給ローラ21,22で構成される供給ローラ対2と、チューブTの搬送方向Dにおいて、供給ローラ対2の下流側に配置された記録ヘッド6及びプラテンローラ3と、を備え、チューブTに情報を記録する記録動作を実行可能である。さらに、記録ヘッド6及びプラテンローラ3の下流側に配置された搬送ローラ4を備える。記録ヘッド6は、チューブT及びインクリボンRを介してプラテンローラ3と対向するよう設けられる。また、搬送ローラ4は、プラテンローラ3の周方向において、記録ヘッド6とは別の位置でチューブTを介してプラテンローラ3と対向するよう設けられる。記録ヘッド6は、チューブTの搬送方向Dに対して直交する方向に配列される所定数の発熱素子を有し、これを選択的に発熱させることにより、後述するインクリボンR上のインクをチューブTに転写することができる。
【0018】
インクリボンカセット5は、ロール状に巻かれたインクリボンRを格納し、インクリボンRを記録部20へ搬送する。インクリボンRは、プラテンローラ3と記録ヘッド6との間で、搬送されるチューブTの記録ヘッド6側に搬送される。インクリボンRは、インクリボンカセット5の供給リール51から供給され、インクリボンカセット5の巻取リール52に巻き取られる。本実施形態のプリンタ1は、インクリボンカセット5を交換可能に装着することによって、インクリボンRを用いた記録を行うことができる。
【0019】
図3の搬送ローラ4、プラテンローラ3、供給ローラ21,22、及びインクリボンカセット5の巻取リール52のスプールは、後述する共通駆動源としてのメインモータ82で駆動される。尚、供給ローラ21,22(供給ローラ対2)は、チューブTを記録ヘッド6に搬送する搬送部の一例である。また、記録ヘッド6は、後述するサブモータ83によって、プラテンローラ3との間でチューブTを挟持して記録を行う記録位置と、記録位置よりもプラテンローラ3との距離が広い退避位置と、に移動可能に構成されている。
【0020】
チューブTに記録を行うときには、記録ヘッド6は記録位置に移動する。記録ヘッド6は、インクリボンカセット5のインクリボンRを介してチューブTを押圧するとともに、操作部13から入力された記録データに従って記録ヘッド6の発熱素子を選択的に発熱させる。これにより、インクリボンRのインクを溶融してチューブTに転写し、記録を行う。即ち、プリンタ1は、インクリボンRを介して記録ヘッド6をチューブTに圧接させて画像を記録する。また、供給ローラ対2の上流側と、搬送ローラ4の下流側には、チューブTの有無を検出することで、搬送されるチューブTの先端を検出するための不図示の透過一体型センサが配置されている。
【0021】
なお、本実施形態で記録媒体として用いるチューブTの材質の一例としては、PVC(ポリ塩化ビニル)が挙げられる。PVC製のチューブTは、記録部20において記録ヘッド6とプラテンローラ3を通過する際に潰されるが、記録部20を通過した後には、潰された状態から元の管状に復元する。
【0022】
[制御構成]
図4は、本実施形態に係るプリンタ1における制御のための構成を示すブロック図である。電源部81は、プリンタ1に設けられ、操作部13や表示部14、記録ヘッド6、メインモータ82、サブモータ83、ヒータ71、外気温センサ85及びCPU80等の動作に必要な電力を供給するユニットである。本実施形態では、電源部81は、乾電池を供給源としている。乾電池は、プリンタ1の裏側に設けられた電池収容部1a(
図5参照)に収容されている。即ち、本実施形態では、プリンタ1は乾電池のみを電源として駆動可能とされている。尚、本実施形態では、6本の乾電池を使用するようにしているが、これには限られず少なくとも1本の乾電池を使用するようにすればよい。
【0023】
CPU80は、制御部の一例であり、チューブ加熱ユニット7(
図1参照)による加熱の制御、記録部20による記録動作の制御、表示部14における表示の制御など、プリンタ1における各部の動作及び処理を制御する。操作部13は、ユーザのキーボード操作により、記録媒体への記録内容や記録JOB数、切断手段による切断パターン等、プリンタ1に対して種々の設定の入力を行う。また、後述するスマートフォン10(
図6参照)とのブルートゥース(登録商標)接続の操作も行う。また、電源部81への電源ON/OFF入力も、操作部13の電源キーから行うようになっている。操作部13には、手動切断部及び手動中止部の一例である取消キー13aが含まれている。取消キー13aの機能については後述する。外気温センサ85は、プリンタ1が設置されている環境の温度を検出するセンサであり、プリンタ1の内部に収容されたヒータ71の熱の影響を受けない位置に設けられている。
【0024】
CPU80には、ROM(Read Only Memory)86やRAM(Random Access Memory)87などのメモリが接続されている。CPU86は、操作部13により入力された各種データを取得して、メモリに記憶し、例えばユーザによるプリンタ1の電源オン等の起動操作に応じて、印刷プログラムをメモリから読み出して実行可能である。メモリは、例えば印刷プログラムや画像形成ジョブなどの各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0025】
また、CPU80には、ブルートゥースインターフェース(BT I/F)(以下、BTインターフェースという)88及びUSBインターフェース(USB I/F)89が接続されている。BTインターフェース88は、例えばスマートフォン10(
図6参照)とブルートゥース接続(以下、BT接続という)するためのインターフェースであり、USBインターフェース89は、他のUSB機器とUSB接続するためのインターフェースである。
【0026】
CPU80は、外気温センサ85の検出温度に基づいて、チューブ加熱ユニット7の制御を行う。本実施形態のプリンタ1におけるチューブ加熱ユニット7の制御としては、高温、中温、低温の3段階の目標温度範囲の設定を設けている。目標温度範囲は、上限温度と下限温度で設定され、本実施形態においては、例えば、低温設定における目標温度範囲を25℃~27℃、中温設定における目標温度範囲を35℃~37℃、高温設定における目標温度範囲を43℃~45℃と設定している。
【0027】
サブモータ83はチューブTを切断する切断部30の駆動を担っており、本実施形態においては、ステッピングモータを採用している。チューブTの切断動作は、サブモータ83の正逆転駆動により行っている。また、サブモータ83を駆動する際のパルス数を調整することにより、切断手段のカット深さを調整できるようにしている。メインモータ82は、プラテンローラ3、供給ローラ21などの駆動を担っており、本実施形態においてはステッピングモータを採用している。チューブTのフォワードフィード及びバックフィードの切り替えは、ステッピングモータの正回転、逆回転により行っている。また、プリンタ1の搬送速度設定は高速から低速まで3段階で変更することが可能であり、メインモータ82の駆動制御により変更可能となっている。メインモータ82の駆動はインクリボンカセット5の巻取リール52にも連結しており、チューブTへの記録が終了したインクリボンRの回収も、メインモータ82の駆動により行う。
【0028】
記録ヘッド6は、記録部20に設けられている。記録部20の説明において述べたように、記録ヘッド6とプラテンローラ3とでチューブTとインクリボンRとを挟持する。そして、記録ヘッド6の発熱素子の発熱制御を行うことにより、記録を行う。記録ヘッド6の発熱素子を駆動する駆動パルスは、外気温センサ85の検出温度に基づいて、複数段階で変更することが可能となっている。外気温センサ85で検出した温度が低い場合、チューブTの温度が低くなっているためインクリボンRに加える熱量を増やす必要がある。その際、記録ヘッド6の発熱素子の駆動パルス(通電時間)を長くすることにより、低温環境下でも適正な記録を行うことが可能となっている。
【0029】
[ブルートゥース接続]
図6に示すように、プリンタ1は、通信装置の一例であるスマートフォン10とBT接続を行うことができる。プリンタ1がスマートフォン10に対してブルートゥースによりリンク接続した場合、スマートフォン10がマスター、プリンタ1がスレーブとして、スマートフォン10からの指令によりプリンタ1が動作するようになる。スマートフォン10からは、例えば、データの送受信が行われたり、印刷動作の指令などが発出されたりする。即ち、プリンタ1は、無線によりスマートフォン10と接続され、スマートフォン10から送信された情報に基づいてチューブTに情報を記録する。尚、BT接続は、省電力設定であることが望ましい。
【0030】
次に、プリンタ1がスマートフォン10に対してBT接続したときの処理動作について、
図7~
図9に示すフローチャートと、
図10に示す画面遷移フローを用いて説明する。
図7は、プリンタ1の通信モード処理を示すフローチャートであり、
図8は、プリンタ1のリンク切断の割込処理を示すフローチャートであり、
図9は、プリンタ1のステータス変化の割込処理を示すフローチャートである。また、
図10は、プリンタ1の表示部14における画面遷移フローである。
【0031】
プリンタ1が通信モードではなく、表示部14において文字入力画面100(
図10参照)を表示した状態では、BT状態(ステータス)はIdle(アイドル状態)であり、このとき、ユーザがBT接続メニューキーを操作することで、
図7に示す通信モードが開始される。
図7に示すように、通信モードが開始されると、BT状態がAdvertising(スマートフォン10とのBT接続待ち状態)になる(ステップS1)。このとき、表示部14において接続待機画面101(
図10参照)を表示する。CPU80は、BTインターフェース88を介してBT接続を行う。
【0032】
尚、本実施形態では、表示部14は、BT接続が切断中である場合には、プリンタ1の操作画面が表示され、BT接続が接続中である場合には、プリンタ1の操作画面が表示されず、BT接続に基づいた情報が表示される。このため、例えば、BT接続中には、表示部14の表示や操作部13での機能が例えば通信と印刷に関わるものなどに制限されてしまう。従って、例えば、プリンタ1において受信したデータを編集したい場合やプリンタ1の機能を設定する場合などには、BT接続を意図的に切断して、スタンドアロン状態にし、所望の操作を実行する必要がある。
【0033】
CPU80は、スマートフォン10とのリンク接続が完了したか否かを判断する(ステップS2)。CPU80は、スマートフォン10とのリンク接続が完了していないと判断した場合は(ステップS2のNO)、判断を継続する。CPU80は、スマートフォン10とのリンク接続が完了したと判断した場合は(ステップS2のYES)、内部ステータスを「接続中」に設定する(ステップS3)。このとき、
図10に示すように、BT状態はConnected(接続中状態)になり、CPU80は、データの受信を待つときは受信待ち画面102を表示し、データを送受信しているときは受信中画面103を表示し、印刷動作しているときは印刷動作画面104を表示するよう、状態の変化に応じて遷移する。
【0034】
図7に示すように、CPU80は、取消キー13aが押し下げられたか否かを判断する(ステップS4)。本実施形態では、取消キー13aは、ユーザが手動によりBT接続を切断可能な手動切断部の一例であり、かつ、記録部20による記録動作をユーザが手動で中止可能な手動中止部の一例でもある。即ち、手動中止部への操作と手動切断部への操作とが共通している。
【0035】
CPU80は、取消キー13aが押し下げられたと判断した場合は(ステップS4のYES)、印刷動作中であるか否かを判断する(ステップS5)。CPU80は、印刷動作中であると判断した場合は(ステップS5のYES)、印刷を取り消して中止する(ステップS6)。このとき、リンク接続は継続する。即ち、CPU80は、BT接続中で、記録部20による記録動作中に取消キー13aが操作された場合には、BT接続を切断せずに記録動作を中止する。CPU80は、印刷の取り消し後は、再び取消キー13aが押し下げられたか否かを判断する(ステップS4)。このとき、
図10に示すように、CPU80は、印刷動作画面104から、印刷の中止の旨を示す印刷中止画面105を経て、受信待ち画面102に遷移する。
【0036】
図7に示すように、CPU80は、印刷動作中でないと判断した場合は(ステップS5のNO)、ユーザにより通信モードの強制終了が掛けられたと判断して、通信モードを終了し、内部ステータスを「未接続」に設定する(ステップS7)。そして、CPU80は、スマートフォン10とのリンク切断を実行し(ステップS8)、通信モードを終了する。即ち、取消キー13aは、ユーザが手動により操作することでスマートフォン10との通信を切断可能である。
図10に示すように、印刷動作中でない場合は、受信待ち画面102又は受信中画面103が表示されており、このときに取消キー13aが押し下げられることで、リンク切断されてBT状態はIdleになり、文字入力画面100を表示する。即ち、CPU80は、取消キー13aが操作された場合には、スマートフォン10との通信を切断すると共にBTインターフェース88による通信の再接続を実行せずに、表示部14に情報の入力を待つ旨の文字入力画面100を表示させる。特に本実施形態では、CPU80は、スマートフォン10との通信の接続中で、記録部20により記録動作を実行していない状態において、取消キー13aが操作された場合には、表示部14に情報の入力を待つ旨の文字入力画面100を表示させる。
【0037】
一方、
図8に示すように、CPU80は、通信モードの処理とは別に、リンク切断の割り込みがあったときの処理を実行している。例えば、電波環境の悪化やアプリのクラッシュ等、ユーザの意図しない理由によってリンクが切断されてしまった場合に、BTインターフェース88を介してハード的にリンクの切断を検知し、そのときにCPU80は、割り込み処理として
図8の処理を実行する。ここでは、リンクの切断が発生すると、CPU80は内部ステータスが「接続中」であるか否かを判断する(ステップS11)。CPU80は内部ステータスが「接続中」であると判断した場合は(ステップS11のYES)、データ通信中であるか否かを判断する(ステップS12)。データ通信中の定義ついては後述する。CPU80はデータ通信中であると判断した場合は(ステップS12のYES)、通信中切断フラグを1に設定して(ステップS13)、処理を終了する。一方、CPU80は内部ステータスが「接続中」でないと判断した場合(ステップS11のNO)、又はCPU80はデータ通信中でないと判断した場合(ステップS12のNO)は、そのまま処理を終了する。即ち、BT接続が切断されて、内部ステータスが「接続中」であり、かつ、データ通信中である場合に限り、通信中切断フラグが1になる。
【0038】
ここで、ステップS12で用いたデータ通信中の定義について、
図11を用いて以下に説明する。本実施形態では、以下の判定区間(判定起点から判定終点まで)内でリンク切断動作が発生した場合に、データ通信中にリンク切断が発生したものとする。
(1)スマートフォン10への返信を要しない場合(
図11(a)参照)
(1-1)印刷動作
判定起点は1ページ印刷データ開始コマンド受信完了であり、判定終点は1ページ印刷データ終点コマンド受信完了である。後述する切断画面106(
図10参照)の表示タイミングは、印刷終了時である。
(1-2)ファイル登録動作
判定起点は1ファイルデータ登録開始コマンド受信完了であり、判定終点は1ファイルデータ終点コマンド受信完了である。切断画面106(
図10参照)の表示タイミングは、即表示である。
これらの場合、複数ページ又は複数ファイルの受信がある場合は、ページ間又はファイル間にインターバルが空く。このインターバルにおいては、判定区間とせずに、その時にリンク切断があった場合は切断画面106(
図10参照)を表示しない。
(2)スマートフォン10への返信を要する場合(
図11(b)参照)
(2-1)データバックアップ
判定起点はバックアップ開始コマンド受信完了であり、判定終点はバックアップ終点コマンド返信完了である。切断画面106(
図10参照)の表示タイミングは、即表示である。
(2-2)データ復元
判定起点は復元開始コマンド受信完了であり、判定終点は復元終点コマンド返信完了である。切断画面106(
図10参照)の表示タイミングは、即表示である。
【0039】
そして、
図7に示すように、CPU80は、取消キー13aが押し下げられていないと判断した場合は(ステップS4のNO)、通信中切断フラグが1であるか否かを判断する(ステップS9)。ここで、通信中切断フラグが1である場合とは、BT接続が切断され、内部ステータスが「接続中」であり、かつ、データ通信中である場合に限られるので、CPU80は、通信中切断フラグが1であると判断した場合は(ステップS9のYES)、BT接続が切断されたので再接続を促す旨の切断画面106(
図10参照)を表示し(ステップS10)、処理を終了する。即ち、
図10に示すように、受信中画面103又は印刷動作画面104の表示中に、取消キー13aを押し下げる以外の理由でリンク切断された場合、BT状態はIdleになり、切断画面106を表示する。即ち、CPU80は、スマートフォン10との通信の接続中で、スマートフォン10から情報を受信している状態、及び、記録部20により記録動作を実行している状態において、取消キー13aによらずに通信が切断された場合には、表示部14に通信の再接続の操作を促す切断画面106を表示させる。尚、切断画面106の表示時にいずれかのキーを押し下げることで、通信モードが終了し、BT状態はIdleのままで文字入力画面100を表示する。
【0040】
ユーザは、意図しないリンク切断に対し、BT接続メニューキーを操作することで、再び通信モードを開始する(ステップS1)。このとき、再接続部の一例であるBTインターフェース88は、スマートフォン10との通信が取消キー13aによらずに切断された場合に、通信の再接続を実行可能である。
【0041】
図7に示すように、CPU80は、通信中切断フラグが1でないと判断した場合は(ステップS9のNO)、ユーザの意図しないリンク切断は発生しておらず、かつ、取消キー13aの押し下げによるリンク切断も発生していないと判断されるので、再び取消キー13aが押し下げられたか否かを判断する(ステップS4)。
【0042】
BT接続の状態(BTステータス)は、上述したようにIdle→Advertising→Connected→Idleというように、順に切り替わる。尚、これらとは別に、立ち上げ時は、Initial(初期化状態)からIdleに切り替わる。
図9を用いて、BTステータスが変化したときの割り込み処理について説明する。
【0043】
CPU80は、遷移したBTステータス(遷移ステータス)がInitialであるか否かを判断する(ステップS20)。CPU80は、遷移ステータスがInitialであると判断した場合は(ステップS20のYES)、処理を終了する。CPU80は、遷移ステータスがInitialでないと判断した場合は(ステップS20のNO)、遷移ステータスがConnectedであるか否かを判断する(ステップS21)。CPU80は、遷移ステータスがConnectedであると判断した場合は(ステップS21のYES)、接続待機画面101から受信待ち画面102に画面遷移する(ステップS22)。
【0044】
CPU80は、遷移ステータスがConnectedでないと判断した場合は(ステップS21のNO)、遷移ステータスがIdleであるか否かを判断する(ステップS23)。CPU80は、遷移ステータスがIdleであると判断した場合は(ステップS23のYES)、内部ステータスが「接続中」であるか否かを判断する(ステップS24)。CPU80は、内部ステータスが「接続中」であると判断した場合は(ステップS24のYES)、データ通信中であるか否かを判断する(ステップS25)。CPU80はデータ通信中でないと判断した場合は(ステップS25のNO)、Advertisingを開始する(ステップS26)。即ち、Idle状態であって、内部ステータスが「接続中」であり、かつ、データが通信中でない場合とは、ユーザの意図によらないリンク切断が発生し、再接続していない状態であると判断されるため、再接続を図るべくAdvertisingに遷移する。
【0045】
一方、CPU80は、内部ステータスが「接続中」でないと判断した場合(ステップS24のNO)、又は、データ通信中であると判断した場合は(ステップS25のYES)、そのまま処理を終了する。
【0046】
CPU80は、遷移ステータスがIdleでないと判断した場合は(ステップS23のNO)、遷移ステータスがAdvertisingであるか否かを判断する(ステップS27)。CPU80は、遷移ステータスがAdvertisingであると判断した場合は(ステップS27のYES)、接続待機画面101に画面遷移する(ステップS28)。CPU80は、遷移ステータスがAdvertisingでないと判断した場合は(ステップS27のNO)、処理を終了する。
【0047】
上述したように本実施形態のプリンタ1によれば、CPU80は、取消キー13aが操作された場合には、スマートフォン10との通信を切断すると共にBTインターフェース88による通信の再接続を実行せずに、表示部14に情報の入力を待つ旨の文字入力画面100を表示させる。このため、ユーザの意図によりBT接続を切断する際には、切断画面106を経ることなく文字入力画面100に遷移するので、操作性を向上することができる。
【0048】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、CPU80は、スマートフォン10との通信の接続中で、記録部20により記録動作を実行していない状態において、取消キー13aが操作された場合には、表示部14に情報の入力を待つ旨の文字入力画面100を表示させる。このため、記録動作の実行中以外において、ユーザの意図によりBT接続を切断する際には、切断画面106を経ることなく文字入力画面100に遷移するので、操作性を向上することができる。また、記録動作中については、文字入力画面100に遷移させず、記録動作を実行していない状態とは異なる処理を実行できる。
【0049】
また、本実施形態のプリンタ1によれば、CPU80は、スマートフォン10との通信の接続中で、スマートフォン10から情報を受信している状態、及び、記録部20により記録動作を実行している状態において、取消キー13aによらずに通信が切断された場合には、表示部14に通信の再接続の操作を促す切断画面106を表示させる。これにより、ユーザはBT接続が意図せずに切断されたことを認識し、円滑に再接続を実行することができる。
【0050】
尚、上述した本実施形態におけるプリンタ1では、
図10に示すように、受信中画面103又は印刷動作画面104の表示中に意図しないリンク切断があった場合に、切断画面106から文字入力画面100を経て接続待機画面101に遷移する場合について説明したが、これには限られない。例えば、受信中画面103又は印刷動作画面104の表示中に意図しないリンク切断があった場合には、再接続するものとして文字入力画面100を経ることなく、切断画面106から所定の操作後に接続待機画面101に遷移するようにしてもよい(
図10中、想像線で示す)。この場合、文字入力画面100を経ないので、操作性を向上できる。
【0051】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、通信モードにおいて取消キー13aが操作された場合には、記録動作中については、印刷を中止するようにした場合について説明したが、これには限られない。例えば、この場合にも文字入力画面100に遷移させるようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、印刷動作におけるデータ通信中の定義について、判定終点を1ページ印刷データ終点コマンド受信完了としたが、これには限られない。例えば、任意の複数ページをまとめて1つの区切りとし、その区切りを判定終点としてもよい。
【0053】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、取消キー13aは、手動切断部及び手動中止部を兼用している場合について説明したが、これには限られない。例えば、手動切断部及び手動中止部を別個のキーに割り当てるようにしてもよい。
【0054】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、チューブTを記録媒体とする記録装置について説明したが、これには限られず、各種の形態の記録媒体を記録媒体とする記録装置に適用するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、電池駆動である場合について説明したが、これには限られず、商用電源を利用するようにしてもよい。
【0056】
また、本実施形態におけるプリンタ1では、スマートフォン10との通信としてブルートゥースを適用した場合について説明したが、これには限られず、Wi-Fiや他の無線を適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…プリンタ(記録装置)、6…記録ヘッド、10…スマートフォン(通信装置)、13a…取消キー(手動切断部、手動中止部)、14…表示部、20…記録部、80…CPU(制御部)、88…ブルートゥースインターフェース(再接続部)、100…文字入力画面(情報の入力を待つ旨の画面)、106…切断画面(通信の再接続の操作を促す画面)、T…チューブ(記録媒体、チューブ状記録媒体)