IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特開-トイレ装置 図1
  • 特開-トイレ装置 図2
  • 特開-トイレ装置 図3
  • 特開-トイレ装置 図4
  • 特開-トイレ装置 図5
  • 特開-トイレ装置 図6
  • 特開-トイレ装置 図7
  • 特開-トイレ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039063
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/10 20060101AFI20230313BHJP
   E03D 11/11 20060101ALI20230313BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20230313BHJP
   B02C 18/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
E03D9/10
E03D11/11
C02F11/00 A ZAB
B02C18/00 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146019
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 ひとみ
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 弘明
(72)【発明者】
【氏名】牧 道太郎
(72)【発明者】
【氏名】楠目 真之
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
4D059
4D065
【Fターム(参考)】
2D038AA04
2D038BC00
2D038KA26
2D039AA02
2D039AB00
2D039AD02
2D039CC07
2D039DA00
2D039FC01
2D039FD01
4D059AA01
4D059BJ01
4D059BJ14
4D059BK11
4D059CB01
4D059CB24
4D065CA06
4D065CB07
4D065CB10
4D065CC01
4D065DD16
4D065EB20
4D065ED06
4D065ED16
4D065EE20
(57)【要約】
【課題】小さくまとまったトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置100は、下端が開口して排出口10Mが形成された便鉢10A、及び排出口10Mを開閉するフラッパ弁30Bを有する便器10と、フラッパ弁30Bに対して下方に設けられるバッファタンク11と、便器10に接続した状態においてバッファタンク11の上端よりも下方のバッファタンク11の側面に流入口12Cが連通し、バッファタンク11に貯留した汚水Sewに含まれる固形物を粉砕する粉砕部12と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端が開口した便鉢、及び前記開口を開閉するフラッパ弁を有する便器と、
前記フラッパ弁に対して下方に設けられるバッファタンクと、
前記便器に接続した状態において前記バッファタンクの上端よりも下方の前記バッファタンクの側面に流入口が連通し、前記バッファタンクに貯留した汚物を粉砕する粉砕部と、
を備えるトイレ装置。
【請求項2】
前記バッファタンクは、前記開口を通過して直接的に前記バッファタンクに落下する前記便鉢内の前記汚物を貯留する請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記バッファタンクの前記上端は、前記開口と接続され、
前記粉砕部は、前記上端よりも下方において前記バッファタンクと連通する請求項1から請求項2のいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記粉砕部は、前記バッファタンクに対して、後側に接続される請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記粉砕部よりも下流側に連通し、前記粉砕部において粉砕した前記汚物をさらに下流側に搬送する搬送ポンプを備える請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記粉砕部の回転軸と、前記搬送ポンプの回転軸とは、同軸である請求項5に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記搬送ポンプの下流側に連通する排水タンクを備え、
前記排水タンクの上端は、前記フラッパ弁よりも高い位置である請求項5から請求項6までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記便鉢を洗浄する洗浄水を貯留する給水タンクと、
を備え、
前記給水タンク及び前記排水タンクは、前記便器よりも後方であって、前記便器を配置したトイレ室を前記便器の前方から見た場合の間口寸法の範囲内に配置される請求項7に記載のトイレ装置。
【請求項9】
上方から見た平面視において、前記バッファタンク、及び少なくとも前記粉砕部の一部が前記便器の外縁よりも内側に位置する請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記流入口は、前記バッファタンクに前記便鉢を洗浄する1回分の洗浄水を貯留した状態で水没する位置において、前記バッファタンクに連通する請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項11】
前記粉砕部は、前記流入口が前記便鉢を洗浄する洗浄水によって塞がれている場合に駆動する請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【請求項12】
前記粉砕部は、回転する粉砕翼を有しており、
前記粉砕翼の前記バッファタンク側の端縁は、前記バッファタンクの内面と同一面上に広がる仮想面、及び前記バッファタンク内のいずれかに配置されている請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はトイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧送式トイレ装置が開示されている。このものは、便器にフラップ弁が設けられている。さらに、フラップ弁の後方には、粉砕部が設けられている。便器から排出された固形物は、粉砕部に流入する。粉砕部によって粉砕された固形物は、ポンプによって圧送路に圧送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-102979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のトイレ装置は、便器の後方にフラップ弁や粉砕部が設けられているので、前後方向の寸法が大きくなりがちである。
【0005】
本開示は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、小さくまとまったトイレ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のトイレ装置は、下端が開口した便鉢、及び前記開口を開閉するフラッパ弁を有する便器と、前記フラッパ弁に対して下方に設けられるバッファタンクと、前記便器に接続した状態において前記バッファタンクの上端よりも下方の前記バッファタンクの側面に流入口が連通し、前記バッファタンクに貯留した前記汚物を粉砕する粉砕部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1のトイレ装置を設置したトイレ室を示す斜視図である。
図2】トイレ装置を示す部分側断面図である。
図3】トイレ装置を示す平面図である。
図4】トイレ装置のバッファタンク及びその周辺を拡大して示す部分側断面図である。
図5】粉砕部、搬送ポンプ、及びモータの一部を示す斜視図である。
図6】他の実施形態におけるバッファタンク及び粉砕部を拡大して示す部分側断面図である。
図7】他の実施形態における粉砕翼を示す斜視図である。
図8】他の実施形態におけるトイレ装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態1>
本開示のトイレ装置100を具体化した実施形態1について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向は、図1に示すZ軸の正方向を上方向とし、Z軸の負方向を下方向とする。左右方向については、図1に示すY軸の正方向を左方向とし、Y軸の負方向を右方向とする。前後方向は、図1に示すX軸の正方向を前方向とし、X軸の負方向を後方向とする。具体的には、前後方向、左右方向、上下方向は、図示しない便座に着座した着座者から見て前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0009】
トイレ装置100は、例えば、図1に示すように、トイレ室R内に設置される。トイレ室Rは、住宅や車両等に設けられる。トイレ装置100は、図2に示すように、便器10、バッファタンク11、粉砕部12、搬送ポンプ13、排水タンク14、給水タンク15、給水ポンプ16、及び制御部70を備えている。便器10は、便鉢10A、導水部10B、及び接続部材30を有している。便鉢10Aは、上方向に開口した椀状をなしている。便鉢10Aの下端には、上下方向に貫通した開口である排出口10Mが形成されている。排出口10Mは、上方からの平面視において、概ね円形状である(図3参照)。
【0010】
導水部10Bは、便器10の後部の上端部であって、便鉢10Aの後方に設けられている。導水部10Bの後部には、導水路10Eの一端部が連通して接続されている。導水路10Eの他端部は、後述する給水ポンプ16に連通して接続されている。導水部10Bの前端には、便鉢10Aに連通する吐水口10Fが貫通して形成されている。便器10には、図示しない便座及び便蓋が取り付けられている。
【0011】
接続部材30は、便鉢10Aの排出口10Mに連通して接続される。接続部材30は概ね円筒状をなしており、上端開口部が排出口10Mの外周面を覆うようにして接続される。接続部材30は、図4に示すように、パッキン30A、フラッパ弁30B、支持部材30C、を有している。パッキン30Aは、例えば、ゴム製であり、円筒状をなしている。パッキン30Aの開放された一端は、便鉢10Aの排出口10Mに連通するように接触している。
【0012】
フラッパ弁30Bは、全周にわたって平らな皿状をなしている。支持部材30Cは、概ねL字状に形成されている。支持部材30Cの長辺側と短辺側とが繋がる位置には、回転軸部30Eが設けられ、支持部材30Cが回転軸部30Eを中心に回転自在に軸支されている。横向きに延びる長辺側の先端部は、フラッパ弁30Bを支持するようにフラッパ弁30Bに連結している。垂下して延びる短辺側の下端部には、引張りコイルばね30Gの一端が係止している。引張りコイルばね30Gの他端は、接続部材30の外面部に連結している。支持部材30Cの短辺側の下端部は、引張りコイルばね30Gによって、長辺側が上向きに持ち上がる方向に引っ張られている。こうして、引張りコイルばね30Gの引っ張り力によって、フラッパ弁30Bは、パッキン30Aの開放された下端を塞ぎ、これによって、排出口10Mを閉鎖した状態を維持する。フラッパ弁30B及びパッキン30Aが排出口10Mを閉鎖することによって、フラッパ弁30Bよりも下側の臭気がトイレ室R側に流れることを抑える。引張りコイルばね30Gのばね定数、支持部材30Cの長辺側の長さ寸法、及び短辺側の長さ寸法は、便鉢10Aに所定量の洗浄水が貯留した際にフラッパ弁30Bが下降して排出口10Mを開放し得るように設定されている。
【0013】
支持部材30Cにおいて、垂下して延びる短辺側の下端部には、操作軸30Dの一端部が連結している。操作軸30Dは、一方向に長い棒状をなしている。操作軸30Dの他端部は、例えば、図2に示すように、導水部10Bの下方に設けられた連結部材30Fを介して、引上軸30Hの下端部に連結している。引上軸30Hは、一方向に長い棒状をなしている。引上軸30Hの上端部は、便器10の上方に設けられた操作部10Cに連結されている。操作部10Cは、例えば、使用者が握って回転させて操作する、所謂レバーである。
【0014】
操作部10Cを操作すると、引上軸30Hが引き上げられるとともに、連結部材30Fを介して、操作軸30Dが後向きに移動する。これによって、垂下する支持部材30Cの短辺側の下端部が後向きに引かれ、支持部材30C及びフラッパ弁30Bが回転軸部30E周りに回転し、支持部材30Cの長辺側の端部、及びフラッパ弁30Bが下向きに移動する(図4参照)。こうして、フラッパ弁30Bがパッキン30Aから離れて、排出口10Mが開放される。
【0015】
操作部10Cの操作を止めると、引上軸30Hが下降するとともに、操作軸30Dが前向きに移動する。これとともに、引張りコイルばね30Gの引っ張り力によって、支持部材30C及びフラッパ弁30Bが回転軸部30E周りに回転し、支持部材30Cの長辺側の端部、及びフラッパ弁30Bが上向きに移動する。こうして、フラッパ弁30Bは、パッキン30Aの開放された下端を塞ぎ、これによって、排出口10Mを閉鎖した状態になる(図4参照)。フラッパ弁30Bは、こうして排出口10Mを開閉する。
【0016】
操作部10Cには、操作検出部10Dが設けられている。操作検出部10Dには、例えば、公知のマイクロスイッチ等が用いられる。操作検出部10Dは、後述する制御部70に電気的に接続されている。操作検出部10Dは、操作部10Cが操作された(すなわち、回転した)ことを検出すると、操作検出信号Dを制御部70に向けて出力し、操作部10Cが操作されていない(すなわち、回転していない)と、操作検出信号Dを出力しない構成とされている。
【0017】
バッファタンク11は、図4に示すように、上端11Aが開放され、下端11Bが閉鎖された筒状をなしている。便器10は設置面Fに設置されている。バッファタンク11は、設置面Fを上下方向に貫通するように配置されている。具体的には、バッファタンク11の上部は、設置面Fよりも上方に突出し、下部は、設置面Fよりも下方に配置される。バッファタンク11の前側は、上部から下部にわたって後方に向けて曲面で形成されている。バッファタンク11の開放された上端11Aは、接続部材30の下端開口部に連通して接続される。つまり、バッファタンク11の上端11Aは、接続部材30を介して排出口10Mと接続している。バッファタンク11は、フラッパ弁30Bよりも下方に設けられている。便器10に取り付けられたバッファタンク11の下端は、後向きに僅かに下り傾斜している。バッファタンク11の下端部の後側は、後向きに開口している。バッファタンク11の下端は、便器10へ取り付けた状態で下り傾斜していればよく、便器10への取り付け前のバッファタンク11の下端が下り傾斜している必要はない。
【0018】
粉砕部12は、両端が開放された粉砕筒部12E、前後方向に延びる回転軸12A、及び回転軸12Aに連結された粉砕翼12Bを有している。粉砕筒部12Eの開放された一端は、バッファタンク11の下端部の後側に形成された開口に連通して接続されている。粉砕筒部12Eの一端は、粉砕部12の流入口12Cである。流入口12Cは、バッファタンク11の上端11Aよりも下方の側面のうち後側の側面に連通している。つまり、粉砕部12は、バッファタンク11に対して、バッファタンク11の上端11Aよりも下方の後側に連通して接続されている。ここでいう側面には、バッファタンク11の右側の側面、左側の側面、及び前側の側面も含まれる。回転軸12Aは、粉砕筒部12Eに同軸状に配置されている。
【0019】
粉砕翼12Bは、回転軸12Aに直交して拡がる板部12Fと、回転軸12Aを挟んだ板部12Fの両端部をバッファタンク11内に向けて切り起こして形成された2つの粉砕刃12Dと、を有している(図5参照)。粉砕刃12Dの先端部(バッファタンク11側の端縁)は、粉砕筒部12Eの一端よりもバッファタンク11内に突出している。つまり、粉砕翼12Bの粉砕刃12Dの先端部(バッファタンク11側の端縁)は、バッファタンク11内に配置されている。粉砕刃12Dの先端は、排出口10Mよりも後方に位置している。
【0020】
搬送ポンプ13は、両端が開放された搬送筒部13E、前後方向に延びる回転軸13A、及び回転軸13Aに連結されたインペラ13Bを有している。搬送筒部13Eの開放された一端は、粉砕筒部12Eの開放された他端に連通して接続している。回転軸13Aは、搬送筒部13Eに同軸状に配置されている。搬送ポンプ13の回転軸13Aの先端と、粉砕部12の回転軸12A後端とは、同軸状に連結している。搬送ポンプ13の回転軸13Aと、粉砕部12の回転軸12Aとは、同軸である。搬送筒部13Eには、搬送口13Cが開口して形成されている。搬送口13Cには、搬送路14Aが連通して接続されている。インペラ13Bは、回転軸13Aに直交する円板13Fと、回転軸13Aから放射方向に拡がる複数の羽根13Gを有している(図5参照)。
【0021】
搬送ポンプ13の後方には、モータMが配置されている。モータMの駆動軸S先端は、回転軸13Aの後端に連結されている。モータMは、制御部70と電気的に接続されている(図2参照)。モータMは、制御部70によってその動作が制御される。モータMで生じた回転力は、駆動軸Sを介して回転軸13A及び回転軸12Aに伝達される。これによって、回転軸13A、インペラ13B、回転軸12A、及び粉砕翼12Bは、一体的に回転する。粉砕部12、搬送ポンプ13、及びモータMは、設置面Fよりも下方に配置されている。
【0022】
インペラ13Bが回転すると、バッファタンク11に貯留した汚水Sew(以下、単に、汚水Sewともいう)が流入口12Cに吸い込まれ、粉砕部12の粉砕刃12Dに汚水Sewに含まれる固形物が近づいて粉砕される。汚水Sewには、洗浄水、小便、大便、及びトイレットペーパー等が含まれる。このうち、大便及びトイレットペーパー等は、汚水Sewに含まれる固形物であり、洗浄水及び小便は、汚水Sewに含まれる水分である。粉砕された固形物は、汚水Sewに含まれる水分とともに、粉砕部12及び搬送ポンプ13の搬送口13Cを経由して、搬送路14Aに搬送される。搬送路14Aは、固形物が粉砕されずに流れ込むことを考慮しなくても済むので、内径を小さくすることができる。こうして、搬送ポンプ13は、粉砕部12において粉砕した固形物を搬送口13Cに向けて流してさらに下流側の搬送路14Aに搬送する。回転軸12A、回転軸13A、及びモータMの駆動軸Sは、便器10に取り付けたバッファタンク11に粉砕部12を取り付けた状態において、後向きに僅かに下り傾斜している。
【0023】
図3に示すように、上方から見た平面視において、バッファタンク11、粉砕部12、搬送ポンプ13、及びモータMは、便器10の外縁よりも内側の位置に配置されている。具体的には、バッファタンク11の全部、粉砕部12の全部、搬送ポンプ13の全部、及びモータMの少なくとも一部は、上方から見た平面視において、便鉢10Aの外縁よりも内側の位置に配置されている。バッファタンク11と便鉢10Aとがこのような位置関係であるので、便鉢10A内の汚水は、バッファタンク11に向けて直ちに流入することができる。
【0024】
例えば、操作部10Cを1回操作して、便鉢10Aを洗浄する1回分の洗浄水がバッファタンク11、粉砕部12、搬送ポンプ13に流入した場合、粉砕部12の流入口12Cは、水没する(図4参照)。このとき、粉砕部12の流入口12Cは、バッファタンク11に流入した洗浄水の水面Ws1よりも下方に位置する(図4参照)。換言すると、流入口12Cは、バッファタンク11に便鉢10Aを洗浄する1回分の洗浄水を貯留した状態で水没する位置において、バッファタンク11に連通している。汚水Sewは、洗浄水に汚物(小便、大便、及びトイレットペーパー等)が加わったものなので、便鉢10Aを洗浄する1回分の洗浄水よりも量が多い。このため、この汚水Sewがバッファタンク11に流入すると、便鉢10Aを洗浄する1回分の洗浄水がバッファタンク11に流入した場合の水面Ws1よりも高い位置の水面Ws2となり、粉砕部12の流入口12Cは、より深く水没する。つまり、粉砕部12の流入口12Cは、バッファタンク11に流入した汚水Sewの水面Ws2よりも下方に位置する(図4参照)。
【0025】
排水タンク14は、搬送路14Aを介して搬送ポンプ13の搬送口13Cに連通して接続されている。排水タンク14は、図1、3に示すように、トイレ室Rにおいて、便器10よりも後方であって、便器10の後方に立ち上がる仕切り壁Wよりも後方に配置されている。仕切り壁Wの上端には、例えば棚板Bが配置されている(図1参照)。排水タンク14は、便器10を配置したトイレ室Rを便器10の前方から見た場合の間口寸法Fdの範囲内に配置される(図3参照)。排水タンク14の上端Tは、フラッパ弁30Bの位置Pよりも高い位置に配置されている(図2参照)。
【0026】
給水タンク15は、便鉢10Aを洗浄する洗浄水を貯留する。給水タンク15は、トイレ室Rにおいて、便器10よりも後方であって、仕切り壁Wよりも後方に配置されている。給水タンク15は、便器10を配置したトイレ室Rを便器10の前方から見た場合の間口寸法Fdの範囲内に配置される(図3参照)。すなわち、排水タンク14及び給水タンク15の双方が、便器10を配置したトイレ室Rを便器10の前方から見た場合の間口寸法Fdの範囲内に配置される(図3参照)。
【0027】
給水ポンプ16は、給水タンク15の上方に設けられている。給水ポンプ16は、トイレ室Rにおいて、便器10よりも後方であって、便器10の後方に立ち上がる仕切り壁Wよりも後方に配置されている。給水ポンプ16は、給水タンク15に貯留された洗浄水を汲み上げて、導水路10E、導水部10B、及び吐水口10Fを介して便鉢10Aに供給する。
【0028】
制御部70は、例えば、マイクロコンピュータを主体として構成されており、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置、ROM(Read Only Memory)又はRAM(Random Access Memory)などのメモリ、A/D変換器等を有した構成とされている。例えば、制御部70は、操作検出部10Dから操作検出信号Dが1回入力されると、モータMを所定時間回転駆動させた後モータMの動作を停止させ得る機能を有している(図2参照)。制御部70は、操作検出部10Dから操作検出信号Dが1回入力されると、給水ポンプ16を動作させて、所定量の洗浄水を給水タンク15から便鉢10Aに供給する機能を有している(図2参照)。所定量は、例えば1リットルである。この所定量(1リットル)は、汚物を便鉢10Aから洗い流し、粉砕部12において破砕するために必要と考えられる1回分の最小限の洗浄水の量である。
【0029】
トイレ装置100の動作の一例について説明する。
【0030】
使用者が操作部10Cを1回操作する。具体的には、使用者が操作部10Cを握り、操作部10Cを所定角度回転させるようにひねった後、操作部10Cから手を離す。すると、操作部10Cは、元の姿勢に戻る。こうして、操作検出部10Dは、制御部70へ操作検出信号Dを1回出力する。制御部70は、操作検出信号Dに基づいて、給水ポンプ16に所定量の洗浄水(1リットル)を給水タンク15から汲み上げさせ、便鉢10Aに供給させる。
【0031】
使用者が操作部10Cを握り、操作部10Cを所定角度回転させるようにひねったとき、引上軸30H、連結部材30F、及び操作軸30Dを介して支持部材30Cの短辺側が後向きに引かれる。これによって、支持部材30C及びフラッパ弁30Bが回転軸部30E周りに回転し、支持部材30Cの長辺側の端部、及びフラッパ弁30Bが下向きに移動して、排出口10Mが開放される。つまり、便鉢10Aへの洗浄水の供給と同時、あるいは任意のタイミングにおいてフラッパ弁30Bが下降し、排出口10Mが開放される(図4参照)。
【0032】
すると、所定量の洗浄水とともに、便鉢10A内の汚物が排出口10Mを通過して、直接的にバッファタンク11に落下する。バッファタンク11に所定量の洗浄水と汚物とが落下すると、フラッパ弁30Bは、直ちに上昇してパッキン30Aの下端を塞いで排出口10Mを閉鎖する。フラッパ弁30Bは、こうして排出口10Mを開閉する。
【0033】
制御部70は、操作検出信号Dの入力に基づいて、モータMに回転駆動を開始させる。モータMの回転駆動が開始すると、モータMの駆動軸Sとともに回転軸13A、回転軸12A、インペラ13B、及び粉砕刃12Dも回転を開始する。
【0034】
バッファタンク11に汚水Sew(所定量の洗浄水と、汚物)が流入すると、バッファタンク11に連通する粉砕部12の流入口12Cが汚水Sewに水没する(図4参照)。具体的には、粉砕部12の流入口12Cの上端が、バッファタンク11内の汚水Sewの水面Ws2よりも下に位置した状態になる。これとともに、搬送ポンプ13、及びモータMもバッファタンク11内の汚水Sewの水面Ws2よりも下に位置した状態になる。
【0035】
バッファタンク11に流入した汚水Sewは、インペラ13Bの回転によって、粉砕部12の流入口12Cに吸い込まれ、搬送口13Cに向けて流れる。このとき、汚水Sewに含まれる固形物(汚物)は、回転する粉砕刃12Dに触れることによって粉砕され、汚水Sewに含まれる水分(洗浄水及び尿)とともに、粉砕部12、搬送ポンプ13、搬送口13C、及び搬送路14Aを経由して排水タンク14に搬送される。
【0036】
バッファタンク11内の汚水Sewが排水タンク14に搬送された後、制御部70は、モータMの回転駆動を停止する。つまり、制御部70によって、モータMは、所定時間回転駆動した後に回転を停止する。
【0037】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0038】
トイレ装置100は、便器10と、バッファタンク11と、粉砕部12と、を備える。便器10は、下端が開口して排出口10Mが形成された便鉢10A、及び排出口10Mを開閉するフラッパ弁30Bを有する。バッファタンク11は、フラッパ弁30Bに対して下方に設けられている。粉砕部12は、便器10に接続した状態においてバッファタンク11の上端11Aよりも下方のバッファタンク11の後側の側面に流入口12Cが連通し、バッファタンク11に貯留した汚水Sewに含まれる固形物を粉砕する。
【0039】
この構成によれば、バッファタンク11がフラッパ弁30Bに対して下方に設けられ、粉砕部12がバッファタンク11の後側の側面に流入口12Cが連通しているので、便器10、バッファタンク11、及び粉砕部12を互いに近づけて配置し易くなる。このため、トイレ装置100を小さくまとめた構成にし易い。
【0040】
トイレ装置100のバッファタンク11は、排出口10Mを通過して直接的にバッファタンク11に落下する便鉢10A内の汚物を貯留する。この構成によれば、汚水Sewに含まれる固形物が便鉢10Aの排出口10Mを通過して直接的にバッファタンク11に落下するので、途中で固形物が滞留することを抑制することができる。このため、途中で滞留する固形物を搬送するための洗浄水が必要なくなるので、少ない洗浄水の量で汚水Sewに含まれる固形物をバッファタンク11内に搬送することができる。
【0041】
トイレ装置100のバッファタンク11の上端11Aは、接続部材30を介して排出口10Mと接続され、粉砕部12は、バッファタンク11の上端11Aよりも下方においてバッファタンク11と連通する。この構成によれば、粉砕部12がバッファタンク11の上端11Aよりも下方においてバッファタンク11に接続しているので、バッファタンク11に貯留した汚水Sewに含まれる固形物が流入口12Cから粉砕部12に流入し易くなる。
【0042】
トイレ装置100の粉砕部12は、バッファタンク11に対して、後側に接続される。この構成によれば、便器10よりも後方に設けられがちな搬送路14A等の流路に粉砕部12を近づけることができるので、粉砕部12において粉砕した汚物を流路に向けて排出させ易い。
【0043】
トイレ装置100は、粉砕部12よりも下流側に連通し、粉砕部12において粉砕した固形物をさらに下流側に搬送する搬送ポンプ13を備える。この構成によれば、粉砕した固形物を、所望する場所の高低に関わらずに所望する場所へ搬送することができる。
【0044】
トイレ装置100の粉砕部12の回転軸12Aと、搬送ポンプ13の回転軸13Aとは、同軸である。この構成によれば、トイレ装置100を小さくまとめることができるとともに、一つのモータMで、粉砕部12と搬送ポンプ13とを駆動することができる。
【0045】
トイレ装置100は、搬送ポンプ13の下流側に連通する排水タンク14を備え、排水タンク14の上端は、フラッパ弁30Bよりも高い位置である。この構成によれば、トイレ装置100の位置を、排水タンク14の大きさに関わりなく低い位置にし易い。例えば、このトイレ装置100を車両に設ける場合、車両の床下に排水タンク14を設けずに済み、車両の床面を低床化し易くなる。
【0046】
トイレ装置100は、便鉢10Aを洗浄する洗浄水を貯留する給水タンク15を備え、給水タンク15及び排水タンク14は、便器10よりも後方であって、便器10を配置したトイレ室Rを便器10の前方から見た場合の間口寸法Fdの範囲内に配置される。この構成によれば、給水タンク15及び排水タンク14を使用者から見え難くすることができ、トイレ装置100をより小さくまとめることができる。
【0047】
トイレ装置100は、上方から見た平面視において、バッファタンク11、及び粉砕部12が便器10の外縁よりも内側に位置する。この構成によれば、バッファタンク11及び粉砕部12を便器10の真下に配置することができ、これによって、バッファタンク11と粉砕部12とを繋ぐ流路を短くすることができる。このため、この流路内にバッファタンク11に貯留された汚水Sewに含まれる固形物が滞留し、粉砕部12によって粉砕されない事態が生じることを抑制し、この固形物の粉砕を良好に行わせることができる。これとともに、便鉢10Aからバッファタンク11への汚水の排出をよりスムーズに行わせることができる。
【0048】
トイレ装置100の流入口12Cは、バッファタンク11に便鉢10Aを洗浄する1回分の洗浄水を貯留した状態で水没する位置において、バッファタンク11に連通する。この構成によれば、便鉢10Aを1回洗浄した毎に粉砕部12の流入口12Cが水没するので、使用者がトイレ装置100を使用する度に粉砕部12は、空回りすることなく汚水Sewに含まれる固形物を良好に粉砕することができる。
【0049】
トイレ装置100の粉砕部12は、回転する粉砕翼12Bを有しており、粉砕翼12Bのバッファタンク11側の端縁は、バッファタンク11内に配置されている。この構成によれば、粉砕翼12Bにバッファタンク11内の汚水Sewに含まれる固形物を接触させ易くすることができるので、固形物を良好に粉砕することができる。さらに、バッファタンク11と粉砕部12との間に流路を介さずに粉砕翼12Bがバッファタンク11内に配置されているので、流路内に固形物が滞留して流路が詰ってしまう事態を避けることができる。
【0050】
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1とは異なり、給水タンクを設けず、給水源から開閉弁を介して洗浄水を直接便鉢に吐水してもよい。
(2)実施形態1とは異なり、粉砕部は、流入口が便鉢を洗浄する洗浄水によって塞がれている場合に駆動する構成としてもよい。この場合、例えば、汚水の水面が流入口の上端よりも上方に位置していることを水位センサが検知した場合に、水位検知信号を制御部に出力してモータを回転駆動させることが考えられる。この構成によれば、粉砕部は、空回りすることなく汚水に含まれる固形物を良好に粉砕することができる。
(3)実施形態1とは異なり、制御部は、操作検出部から操作検出信号が複数回入力された後にモータを回転駆動させてもよい。つまり、バッファタンク内に複数回分の汚水が貯留したところでモータを回転駆動させて、粉砕部を駆動させてもよい。
(4)実施形態1とは異なり、図6に示すように、粉砕翼12Bの粉砕刃12Dのバッファタンク11側の端縁が、バッファタンク11の内面と同一面上に広がる仮想面Vs上に配置されていてもよい。
(5)実施形態1とは異なり、バッファタンクを便鉢の排出口よりも後方且つ下方に配置してもよい。この場合、接続部材の下端開口部とバッファタンクの上端開口部とを後向きに下り傾斜する排出路を介して連通させることが考えられる。この場合、排出路の鉛直方向に対する傾斜角度は、概ね45度より小さい角度(すなわち、45度よりも起立した角度)が好ましい。
(6)実施形態1とは異なり、給水タンク及び排水タンクを上下に並べて配置してもよい。
(7)実施形態1とは異なり、仕切り壁をトイレ室の天井まで延ばし、トイレ室の後壁としてもよい。
(8)実施形態1とは異なり、上方から見た平面視において、バッファタンクの全部、及び粉砕部の一部が便器の外縁よりも内側に位置する構成としてもよい。
(9)実施形態1とは異なり、フラッパ弁の形態を、外周縁部が全周にわたって立ち上がった皿状としてもよい。
(10)実施形態1とは異なり、バッファタンクの上端よりも下方の右側の側面、左側の側面、及び前側の側面(すなわち、側面)に粉砕部の流入口を連通させてもよい。
(11)実施形態1とは異なり、図7に示すような形態の粉砕翼112Bでもよい。具体的には、粉砕翼112Bは、回転軸12Aに直交して三又状に拡がる板部112Fと、三又状に拡がる板部112Fの各先端部からバッファタンクに向けて円柱状に延びる3つの粉砕刃112Dとを有している。
(12)実施形態1とは異なり、図8に示すような形態のトイレ装置200としてもよい。具体的には、洗浄水及び汚物の重さによってフラッパ弁30Bを下降させる構成としてもよい。この場合、例えば、便器10の上方に公知の押しボタン等を用いた洗浄スイッチ110Cを設け、洗浄スイッチ110Cを押下すると制御部70に向けて洗浄信号D2を出力する構成が考えられる。制御部70は、洗浄信号D2に基づいてモータMを所定時間回転駆動させた後モータMの動作を停止させたり、給水ポンプ16を動作させて、所定量の水を給水タンク15から便鉢10Aに供給したりする。この構成によれば、排出口10Mを開閉する構成を簡単にすることができる。
【符号の説明】
【0051】
10…便器、10A…便鉢、10M…排出口(開口)、11…バッファタンク、11A…バッファタンクの上端、12…粉砕部、12A…粉砕部の回転軸、12B…粉砕翼、12C…流入口、13…搬送ポンプ、13A…搬送ポンプの回転軸、14…排水タンク、15…給水タンク、30B…フラッパ弁、Fd…間口寸法、R…トイレ室、Vs…仮想面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8