IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ i Smart Technologies株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図1
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図2
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図3
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図4
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図5
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図6
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図7
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図8
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図9
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図10
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図11
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図12
  • 特開-表示制御装置、生産状況の表示方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039073
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】表示制御装置、生産状況の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230313BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230313BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146035
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】517012534
【氏名又は名称】i Smart Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA38
3C100AA57
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】表示制御装置において、生産指標を用いることにより一覧性を向上し、複数の設備全体の生産状況を容易に把握することができる技術を提供する。
【解決手段】複数の設備の生産状況を表示するための表示制御装置は、設備による処理の開始タイミングを取得する取得部と、取得した開始タイミングを用いて、設備のサイクルタイムおよび設備の停止時間を含む設備稼働情報を生成する設備稼働情報生成部と、生成した設備稼働情報を用いて、停止時間の発生により生じた第一逸失金額を含む複数の生産指標を生成し、生成した複数の生産指標を含む表示用データを生成する生産指標生成部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設備の生産状況を表示するための表示制御装置であって、
設備による処理の開始タイミングを取得する取得部と、
取得した前記開始タイミングを用いて、設備のサイクルタイムおよび設備の停止時間を含む設備稼働情報を生成する設備稼働情報生成部と、
生成した前記設備稼働情報を用いて、前記停止時間の発生により生じた第一逸失金額を含む複数の生産指標を生成し、生成した前記複数の生産指標を含む表示用データを生成する生産指標生成部と、を備える、
表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記生産指標生成部は、さらに、前記サイクルタイムの遅れにより生じた第二逸失金額を含む前記複数の生産指標を生成する、
表示制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示制御装置であって、
前記生産指標生成部は、前記生産指標において改善の優先順位が高い設備情報を含む前記表示用データを生成する、表示制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示制御装置であって、
前記生産指標生成部は、さらに、前記生産指標を統計的に示す数値およびグラフを含む前記表示用データを生成する、
表示制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の表示制御装置であって、
前記生産指標生成部は、前記生産指標を統計的に示す数値またはグラフとして、単位期間あたりにおける前記生産指標の累計と、前記生産指標の日次推移とを生成する、
表示制御装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の表示制御装置であって、
前記生産指標生成部は、生成した前記複数の生産指標のうち金額に関する生産指標を含む前記表示用データと、生成した前記複数の生産指標のうち設備の稼働状況に関する生産指標を含む前記表示用データとのうちいずれを表示するかの選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作に対応する前記表示用データを生成する、
表示制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の表示制御装置であって、
前記取得部は、さらに、前記設備による処理の停止タイミングを取得し、
前記設備稼働情報生成部は、さらに、前記停止タイミングを用いて前記設備稼働情報を生成する、
表示制御装置。
【請求項8】
複数の設備の生産状況の表示方法であって、
設備による処理の開始タイミングを取得し、
取得した前記開始タイミングを用いて、設備のサイクルタイムおよび設備の停止時間を含む設備稼働情報を生成し、
生成した前記設備稼働情報を用いて、前記停止時間の発生により生じた第一逸失金額を含む複数の生産指標を生成し、
生成した前記複数の生産指標を表示する、
生産状況の表示方法。
【請求項9】
請求項8に記載の生産状況の表示方法であって、
生成される前記複数の生産指標には、さらに、前記サイクルタイムの遅れにより生じた第二逸失金額が含まれる、
生産状況の表示方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の生産状況の表示方法であって、
前記複数の生産指標の表示には、前記生産指標において改善の優先順位が高い設備情報を表示することが備えられる、
生産状況の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示制御装置、生産状況の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造設備の稼働状況が生産性に与える影響を可視化するための表示方法が知られている(例えば、特許文献1)。この表示方法は、選択された工程に属する複数の製造設備のそれぞれに対して、製造処理が開始されてから終了するまでの経過時間を示す柱状グラフを生成し、稼働状況画面に並べて表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/098619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象となる製造設備の数が多くなる場合には、グラフを表示するための表示領域も大きくなる。そのため、すべての製造設備の稼働状況を把握することが難しくなり、改善すべき製造設備の抽出が難しくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、複数の設備の生産状況を表示するための表示制御装置が提供される。この表示制御装置は、設備による処理の開始タイミングを取得する取得部と、取得した前記開始タイミングを用いて、設備のサイクルタイムおよび設備の停止時間を含む設備稼働情報を生成する設備稼働情報生成部と、生成した前記設備稼働情報を用いて、前記停止時間の発生により生じた第一逸失金額を含む複数の生産指標を生成し、生成した前記複数の生産指標を含む表示用データを生成する生産指標生成部と、を備える。
この形態の表示制御装置によれば、複数の設備の生産状況の表示用データとして、生産指標を用いることにより一覧性を向上し、複数の設備全体の生産状況を容易に把握することができる。生産指標として、第一逸失金額を用いることにより、設備の停止時間の改善による効果を金額として視認することができる。
(2)上記形態の表示制御装置において、前記生産指標生成部は、さらに、前記サイクルタイムの遅れにより生じた第二逸失金額を含む前記複数の生産指標を生成してよい。
この形態の表示制御装置によれば、生産指標として、第二逸失金額を用いることにより、サイクルタイムの改善による効果を金額として視認することができる。
(3)上記形態の表示制御装置において、前記生産指標生成部は、前記生産指標において改善の優先順位が高い設備情報を含む前記表示用データを生成してよい。
この形態の表示制御装置によれば、複数の設備のうち、改善すべき設備を容易に把握することができる。
(4)上記形態の表示制御装置において、前記生産指標生成部は、さらに、前記生産指標を統計的に示す数値およびグラフを含む前記表示用データを生成してよい。
この形態の表示制御装置によれば、複数の設備の生産状況を多角的に評価することが容易となる。
(5)上記形態の表示制御装置において、前記生産指標生成部は、前記生産指標を統計的に示す数値またはグラフとして、単位期間あたりにおける前記生産指標の累計と、前記生産指標の日次推移とを生成してよい。
この形態の表示制御装置によれば、単位期間あたりにおける生産指標の累計を示すことにより、複数の設備全体の生産状況を把握することが容易となる。生産指標の日次推移を示すことにより、改善や問題発生による生産指標に対する変化点を把握することが容易となる。
(6)上記形態の表示制御装置において、前記生産指標生成部は、生成した前記複数の生産指標のうち金額に関する生産指標を含む前記表示用データと、生成した前記複数の生産指標のうち設備の稼働状況に関する生産指標を含む前記表示用データとのうちいずれを表示するかの選択操作を受け付けた場合に、前記選択操作に対応する前記表示用データを生成してよい。
この形態の表示制御装置によれば、使用者は、所望する生産指標を容易に閲覧することができる。
(7)上記形態の表示制御装置において、前記取得部は、さらに、前記設備による処理の停止タイミングを取得してもよい。前記設備稼働情報生成部は、さらに、前記停止タイミングを用いて前記設備稼働情報を生成してもよい。
この形態の表示制御装置によれば、より正確な設備稼働情報を生成することができる。
本開示は、生産状況の表示方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、表示方法、生産管理システム、稼働状態取得装置、生産管理装置、生産管理方法、製造ライン、生産設備、生産管理装置の制御方法、生産管理システムの制御方法、稼働状態取得装置の制御方法、生産管理装置の制御方法、これらの制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る表示制御装置を備える生産管理システムを示す概略構成図。
図2】生産管理装置の内部機能構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態における稼働状態検出装置の機能構成を示すブロック図。
図4】検出部としての光センサを備える第一稼働状態検出装置の配置例を示す説明図。
図5】稼働状態検出装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図。
図6】第一稼働状態検出装置によって実行される処理ルーチンを示すフローチャート。
図7】生産管理装置によって実行される処理ルーチンを示すフローチャート。
図8】第一稼働状態検出装置からの検出信号と、設備稼働情報生成部による処理ルーチンとの関係を示す第1のタイムチャート。
図9】第一稼働状態検出装置からの検出信号と、設備稼働情報生成部による処理ルーチンとの関係を示す第2のタイムチャート。
図10】生産指標を生成する処理ルーチンを示すフロー図。
図11】表示部の表示画面の一例を示す説明図。
図12】生産指標の一例としての逸失金額が表示される例を示す説明図。
図13】生産指標の一例としてのサイクルタイム達成度が表示される例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態に係る表示制御装置を備える生産管理システム100を示す概略構成図である。生産管理システム100は、生産管理装置10と、稼働状態検出装置20とを備えている。図1の例では、稼働状態検出装置20は、製造ラインL1~Lnに備えられる複数の生産設備30のそれぞれに対して備えられている。図1に示す生産設備31~36は、生産設備30の一例であり、図1に示す稼働状態検出装置20a~20fは、稼働状態検出装置20の一例である。
【0009】
生産管理装置10は、稼働状態検出装置20と協働して、製造ラインL1~Lnに備えられる複数の生産設備30の生産状況を管理する。具体的には、生産管理装置10は、稼働状態検出装置20からの検出信号を用いて、製造ラインL1~Lnの生産設備30の設備稼働情報を取得し、設備稼働情報を用いて生産指標を生成する。設備稼働情報および生産指標は、生産設備の生産状況を示す情報の一例である。なお、製造ラインの数は複数には限らず、単数であってもよい。
【0010】
本実施形態では、生産管理装置10は、生成した生産指標ならびに設備稼働情報を、生産管理装置10の表示部14に表示するための表示制御装置として機能する。本実施形態では、生産管理装置10は、生成した生産指標ならびに設備稼働情報を用いた表示用データを、図1に示すように、さらに、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置PC、ならびに端末装置PD1,PD2等に送信し、これらに備えられる表示部に表示するための表示制御装置としても機能する。端末装置PD1,PD2には、スマートフォン、携帯電話機、PHS、スレート端末、ならびにタブレット端末などが含まれる。
【0011】
設備稼働情報とは、生産設備の稼働状態に関わる情報を意味する。生産設備の稼働状態には、生産設備における加工対象品に対する処理の開始および処理の停止が含まれる。生産設備の稼働状態には、さらに、処理に関わる動作・操作、当該動作・操作の開始、実行中、停止、完了といった状態が含まれてもよい。設備稼働情報には、例えば、生産設備の稼働開始時刻、稼働終了時刻、サイクルタイム、停止時間、生産数などが含まれる。設備稼働情報は、生産指標を算出するために用いられ得る。
【0012】
サイクルタイムとは、生産設備が加工対象品に対する処理を開始してから完了するまでの期間を意味する。停止時間は、稼働時間中において生産設備が加工対象品の処理に寄与していない期間を意味する。停止時間は、稼働時間に含まれ、サイクルタイムには含まれない。生産数は、生産設備の稼働開始後に生産設備が処理を完了した加工対象品の総数を意味する。
【0013】
生産指標とは、生産設備、時間、原材料、費用などの利用効率を示す指標を意味する。生産指標は、生産設備の生産状況の改善の対象や効果等を把握にするために用いられ得る。生産指標には、例えば、生産設備の稼働時間、非稼働時間、売上高、単位時間あたり出来高、単位時間あたり売上高、第一逸失金額、第二逸失金額、サイクルタイム達成度、サイクルタイム可動率、および出来高率が含まれる。生産指標には、さらに、可動率が含められてもよい。可動率は、生産数の計画数に対する実際の生産数の割合を意味する。
【0014】
製造ラインL1~Lnは、複数の生産設備30と、複数の搬送機構41とを備えている。搬送機構41は、例えば、加工部品やワークなどの加工対象品を搬送する。搬送機構41には、たとえば、ベルトコンベア、予め定められた軌道上を移動する搬送機などが含まれる。
【0015】
生産設備30は、たとえば、金属加工機、溶接機、樹脂成形機、塗装機、熱間鍛造機、完成品回収機、加工部品供給機などの設備である。生産設備30には、加工対象品に対する生産処理や加工処理を実行するためのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)と、PLCに接続されている各種センサとが備えられている。各種センサは、製造ラインL1~Lnおよび生産設備30を作動させるために、製造ラインL1~Lnおよび生産設備30を設置・配置する際に予め配置されている。
【0016】
図1に示すように、第一製造ラインL1には、生産設備30の一例としての第一生産設備31、第二生産設備32、ならびに第三生産設備33が配置されている。第二製造ラインL2には、生産設備30の一例としての第四生産設備34、第五生産設備35、ならびに第六生産設備36が配置されている。
【0017】
稼働状態検出装置20は、後述するように、生産設備30による加工対象品に対する処理の開始と、処理の停止とを検出する。本実施形態では、稼働状態検出装置20は、検出した生産設備30による処理の開始タイミングに対応する第一信号と、生産設備30による加工対象品に対する処理の停止タイミングに対応する第二信号との検出信号を、生産管理装置10に送信する。本実施形態では、サイクルタイムは、第一信号からその次の第一信号を受信するまでの期間がサイクルタイムとして取得される。なお、第二信号からその次の第二信号を受信するまでの期間がサイクルタイムとして取得されてもよい。
【0018】
本実施形態において、稼働状態検出装置20の一例としての稼働状態検出装置20a~20fは、生産設備31~36に後付けにより装着されている。稼働状態検出装置20a~20fは、生産設備31~36の近傍に配置されてもよい。本開示において、後付けとは、生産設備の設置・配置時において生産設備に装着もしくは組み込まれておらず、生産設備の動作を制御するPLCに接続されておらず、生産設備の稼働・制御とは無関係に生産設備に装着・配置されることを意味する。図1の例では、第一生産設備31に第一稼働状態検出装置20aが装着され、第二生産設備32に第二稼働状態検出装置20bが装着され、第四生産設備34に第四稼働状態検出装置20dが装着されている。第五生産設備35の排出側に第五稼働状態検出装置20eが装着され、第三生産設備33および第六生産設備36の搬送方向の下流側の近傍には第三稼働状態検出装置20cおよび第六稼働状態検出装置20fがそれぞれ配置されている。
【0019】
図1に示すように、生産管理装置10と、稼働状態検出装置20とは、無線通信によって相互にデータを送受信することが可能である。例えば、生産管理装置10は、情報処理装置PC、端末装置PD1,PD2からの要求に応じて、生成した設備稼働情報および生産指標を、無線通信により、情報処理装置PCおよび端末装置PD1,PD2に送信する。
【0020】
生産管理装置10は、ローカルサーバとして工場内に配置されていてもよく、リモートサーバとして工場以外の場所に配置されていてもよい。生産管理装置10がリモートサーバとして設置される場合には、稼働状態検出装置20からの検出信号と、端末装置PD1,PD2および情報処理装置PCへの設備稼働情報および生産指標とは、工場内の無線アクセスポイントおよびイントラネットまたはインターネットといったネットワークを介して生産管理装置10によって送受信される。
【0021】
図2は、生産管理装置10の内部機能構成を示すブロック図である。生産管理装置10は、中央演算処理装置としてのCPU11と、記憶装置12と、送信・受信部13と、表示部14と、入力装置15と、時間計測のためのタイマ16とを備えており、これらは、バス17を介して相互に通信可能に接続されている。CPU11、記憶装置12、送信・受信部13は、互いに双方向に通信可能である。生産管理装置10は、生産設備30の動作を制御するPLCとは異なる装置であり、生産設備30は、生産管理装置10が用いられなくてもPLCによって動作制御される。
【0022】
CPU11は、記憶装置12に格納されている各種プログラムを実行することによって、設備稼働情報を生成する設備稼働情報生成部110、および設備稼働情報を用いて生産指標を生成し、生成した生産指標に関する画面やグラフなどの表示用データを生成する生産指標生成部111として機能する。記憶装置12は、たとえば、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(HDD)である。HDDまたはROMには、本実施形態において提供される機能を実現するための各種プログラムが格納されている。HDDまたはROMから読み出された各種プログラムは、RAM上に展開されて、CPU11によって実行される。記憶装置12の読み書き可能な領域には、設備稼働情報記憶部120と、生産指標記憶部121とが備えられている。なお、記憶装置12には、稼働状態検出装置20から受信した第一信号および第二信号が一時的に格納される。
【0023】
送信・受信部13は、稼働状態検出装置20から、無線通信を介して、生産設備による処理の開始タイミングと、生産設備による処理の停止タイミングとを取得する取得部として機能する。本実施形態では、送信・受信部13は、稼働状態検出装置20から送信される第一信号および第二信号を受信することによって、生産設備による処理の開始タイミングと、生産設備による処理の停止タイミングとを取得する。また、送信・受信部13は、稼働状態検出装置20に対して各種の実行命令を送信する。送信・受信部13は、さらに、端末装置PD1,PD2ならびに情報処理装置PCに対して表示用データを送信する。送信・受信部13は、表示用データに代えて、またはそれとともに設備稼働情報および生産指標を送信してもよい。送信・受信部13は、さらに、端末装置PD1,PD2や情報処理装置PCからの各種処理の実行を要求する指令信号を受信してもよい。
【0024】
送信・受信部13は、稼働状態検出装置20に対して有線接続されることなく、稼働状態検出装置20からの第一信号および第二信号を取得することができる。このように構成することによって、生産設備30に対して稼働状態検出装置20を後付けで装着または配置するという簡易な方法を用いて、本実施形態の生産管理装置10を既存の工場に導入することができる。例えば、送信・受信部13が無線通信機能を有する入出力I/Fである場合には、送信・受信部13は工場内に設置されている図示しない無線中継器(アクセスポイント)を介して、稼働状態検出装置20からの無線電波を受信してもよく、あるいは、送信・受信部13自身が無線アクセスポイントとして稼働状態検出装置20から無線電波を受信可能な場所に配置されていてもよい。また、送信・受信部13は、無線中継器に対して有線接続されていてもよい。無線通信は、たとえば、IEEE802.11規格に準拠した無線ローカルネットワーク(LAN)を通じた無線接続やBluetooth(登録商標)を用いた無線通信などによって実現され得る。
【0025】
表示部14は、表示用データを表示するためのディスプレイである。表示部14は、さらに、生産管理システム100を操作する際の処理内容を表示してもよい。入力装置15は、生産管理システム100に対して入力を行うために用いられる装置である。入力装置15は、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネル等である。
【0026】
図3は、第1実施形態における稼働状態検出装置20の機能構成を示すブロック図である。図3においては、第一稼働状態検出装置20aを用いて例示的に説明するが、第二稼働状態検出装置20bから第六稼働状態検出装置20fも同様の構成を有している。稼働状態検出装置20は、後付けにて製造ラインL1~Lnまたは生産設備30に装着または配置される。第一稼働状態検出装置20aは、検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aと、コントローラ23aとを備えている。検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aとは、コントローラ23aに対して通信可能に接続されている。
【0027】
検出部25aは、第一生産設備31に装着される各種センサである。検出部25aは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に接続されている既存のセンサとは異なるセンサである。なお、検出部25aは、第一稼働状態検出装置20aと一体に備えられていてもよく、第一稼働状態検出装置20aとは別体であってもよい。検出部25aは、第一稼働状態検出装置20aとは別体である場合には、第一稼働状態検出装置20aと信号線を介して接続される。検出部25aは、検出用の素子のみを備えアナログ信号を出力する検出部であってもよく、あるいは、検出用の素子に加え、検出用の素子から出力される信号をデジタル信号に変換して出力する回路を備える検出部であってもよい。
【0028】
検出部25aとして用いられるセンサとしては、光センサ、音センサ、熱センサ、電流センサ、距離センサ、気圧センサ、加速度センサ、回転速度センサ、湿度センサ、磁気センサ、ならびに圧力センサなどが用いられる。各センサはいずれも生産設備の稼働状態を検出するためのセンサである。
【0029】
検出部25aは、第一生産設備31による加工対象品に対する処理の開始と、第一生産設備31による加工対象品に対する処理の停止とを検出し、パルス信号を生成する。検出部25aは、例えば、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、基準状態から立ち上がり(オン)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、オン状態から立ち下がる(オフ)パルス信号を生成する。生成されたパルス信号は、コントローラ23aに出力される。検出部25aは、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、オン状態から基準状態へ立ち下がり(オフ)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、基準状態からの立ち上がる(オン)パルス信号を生成してもよい。
【0030】
コントローラ23aは、図示しない中央演算処理装置(CPU)と記憶装置とを備えている。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を用いて第一信号および第二信号を生成し、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aにそれぞれ出力する。本実施形態では、コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号の立ち上がり(オン)を検出して、第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、検出部25aから受信したパルス信号の立ち下がり(オフ)を検出すると、第二信号を生成して第二送受信部22aに出力する。なお、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、オン状態から基準状態へ立ち下がり(オフ)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、基準状態から立ち上がる(オン)パルス信号を検出部25aが生成する場合には、パルス信号の立ち下がりの検出により第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、パルス信号の立ち上がりを検出により第二信号を生成して第二送受信部22aに出力してもよい。また、コントローラ23aに代えて検出部25aが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23aに出力してもよい。コントローラ23aは、検出部25aから入力される信号がアナログ信号である場合には、信号値が既定値以上、規定値未満、または任意の範囲にある場合に、アクティブHighロジックにおいてはHigh(1)、アクティブLowロジックにおいてはLow(1)を採るデジタル信号に変換し、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する。
【0031】
第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、任意の通信プロトコルに従い無線通信によって生産管理装置10に対して第一信号および第二信号を送信する送信部として機能する。より具体的には、第一送受信部21aは、第一信号を生産管理装置10に送信する第一送信部として機能し、第二送受信部22aは、第二信号を生産管理装置10に送信する第二送信部として機能する。なお、検出部25aからのパルス信号を受信したコントローラ23aからの指令に従って、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aが第一信号および第二信号を生成してもよい。第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、生産管理装置10からの実行命令を受信してもよい。
【0032】
図4は、検出部25aとしての光センサを備える第一稼働状態検出装置20aの配置例を示す説明図である。第一稼働状態検出装置20aは、第一生産設備31に備えられている。第一生産設備31には、PLCを収容する筐体310が隣接して配置されている。筐体310には第一生産設備31の稼働状態を三色の信号灯で示すシグナルタワー40が備えられている。信号灯は、第一生産設備31の稼働状態を示す表示部の一例である。シグナルタワー40によって示される稼働状態は、例えば、緑色が処理中、黄色が処理の停止中、赤色が異常停止である。
【0033】
検出部25aとしての光センサには、信号灯の点灯または消灯を検出することができる光電変換素子、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタを用いることができる。検出部25aは、例えば、シグナルタワー40の緑色の信号灯の発光面に装着される。検出部25aをシグナルタワー40に装着することによって、シグナルタワー40によって示される第一生産設備31による加工対象品の処理の開始もしくは処理の停止を容易に検出することができる。検出部25aは、緑色の信号灯が点灯した場合には、第一生産設備31による処理の開始を検出し、緑色の信号灯が消灯した場合には、第一生産設備31による処理の停止を検出する。第一生産設備31による処理の開始を検出した場合には、コントローラ23aは、検出部25aからのパルス波形を用いて第一信号を生成して第一送受信部21aに出力する。第一生産設備31による処理の停止を検出した場合には、コントローラ23aは、検出部25aからのパルス波形を用いて第二信号を生成して第二送受信部22aに出力する。検出部25aが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23aに出力してもよい。検出部25aは、受光した光量に応じた電流をコントローラ23aに出力してもよい。この場合には、受光した光量が所定の光量以上となると第一信号としてのパルス波形がコントローラ23aによって生成され、受光した光量が所定の光量未満となると第二信号としてのパルス波形がコントローラ23aによって生成される。
【0034】
図5は、稼働状態検出装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図である。第二生産設備32には、第二稼働状態検出装置20bが装着されている。第一送受信部21b、第二送受信部22b、ならびにコントローラ23bは、第二生産設備32に備えられた開閉ドア321の近傍に取り付けられている。開閉ドア321は、第二生産設備32による加工対象品の処理の開始時に閉じられ、第二生産設備32による加工対象品の処理の停止時および処理の完了時に開かれる。
【0035】
第二稼働状態検出装置20bは、検出部25bとしての磁気センサを備えている。検出部25bは、第二生産設備32の稼働状態を示す情報として開閉ドア321の動きを検出する。本実施形態では、検出部25bは、第二生産設備32に装着された磁石322との距離の変化による磁力の変化を用いて、開閉ドア321の開閉を検出し、開閉ドア321の開閉から加工対象品に対する処理の開始タイミングと処理の停止タイミングとを検出することができる。
【0036】
コントローラ23bは、第二生産設備32による処理の開始を検出した場合には、検出部25bからのパルス波形を用いて第一信号を生成して第一送受信部21bに出力し、第二生産設備32による処理の停止を検出した場合には、検出部25bからのパルス波形を用いて第二信号を生成して第二送受信部22bに出力する。
【0037】
図6は、第一稼働状態検出装置20aによって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。本フローは、第一稼働状態検出装置20aの起動時から、第一稼働状態検出装置20aが稼働終了されるまでの間、繰り返し実行され得る。なお、第二稼働状態検出装置20bやその他の稼働状態検出装置20においても同様の処理が実行され得る。
【0038】
ステップS200では、第一稼働状態検出装置20aは、検出部25aからのパルス信号の入力を確認する。コントローラ23aは、検出部25aからパルス信号が入力されない場合には(S200:NO)、パルス信号の入力を待機する。
【0039】
コントローラ23aは、検出部25aからのパルス信号が入力されると(ステップS200:Yes)、検出したパルス信号の立ち上がり(オン)、または立ち下がり(オフ)を検出する(ステップS210)。本実施形態では、コントローラ23aは、パルス信号の立ち上がり(オン)を検出した場合には(S210:YES)、第一生産設備31による加工対象品に対する処理の開始タイミングに対応する第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、第一送受信部21aは、取得した第一信号を生産管理装置10に送信する(ステップS211)。コントローラ23aは、パルス信号の立ち下がり(オフ)を検出した場合には(S210:NO)、第一生産設備31による加工対象品に対する処理の停止タイミングに対応する第二信号を第二送受信部22aに出力し、第二送受信部22aは、取得した第二信号を生産管理装置10に送信する(ステップS212)。
【0040】
図7は、生産管理装置10によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。本フローは、生産管理装置10の起動時から、生産管理装置10が稼働終了されるまでの間、繰り返し実行され得る。本フローの開始とともに、生産管理装置10は、タイマ16を用いた計時を開始し、検出信号の受信を待機する。以下の説明において、第一製造ラインL1における第一生産設備31に設置された第一稼働状態検出装置20aを例に説明するが、他の稼働状態検出装置20b~20fにおいても同様である。なお、本フローは、生産管理装置10が第一信号を受信したことによって開始されてもよい。
【0041】
ステップS300では、第一稼働状態検出装置20aから送信される第一信号および第二信号は、無線通信を介して、送信・受信部13によって受信される。ステップS310では、設備稼働情報生成部110は、第一信号および第二信号の受信タイミングを用いて、設備稼働情報を生成する。具体的には、設備稼働情報生成部110は、設備稼働情報として、生産設備の稼働開始時刻、稼働終了時刻、サイクルタイム、停止時間、生産数を生成する。
【0042】
設備稼働情報生成部110は、例えば、生産管理装置10の起動当日に最初に第一信号を受信したタイミングを生産設備30の稼働開始時刻として取得し、最後に第二信号を受信したタイミングを稼働終了時刻として取得する。設備稼働情報生成部110は、第一信号を検出してから次の第一信号を検出するまでの期間をサイクルタイムとして取得する。設備稼働情報生成部110は、サイクルタイムを取得した回数を計数することによって生産数を取得する。設備稼働情報生成部110は、取得した設備稼働情報を生産指標生成部111に出力する。
【0043】
設備稼働情報生成部110は、取得したサイクルタイムが予め定められた閾値を超えた場合には、停止時間を算出する。具体的には、設備稼働情報生成部110は、取得したサイクルタイムが閾値を超えた場合には、サイクルタイムを取得するとともに、さらに、当該サイクルタイム内に第二信号を受信したタイミングから当該次の第一信号を受信するタイミングまでの期間を停止時間として取得する。閾値は、任意の値を用いて設定することができ、例えば、サイクルタイムの工程管理値の上限値を用いて設定することができる。閾値を設けることにより、生産設備30に発生するサイクルタイムのばらつきを許容しつつ、停止時間を取得することができる。閾値は、例えば、生産設備30ごとに予め設定されるサイクルタイムの目標値よりも長い時間を用いて設定されることが好ましい。本実施形態では、閾値は、生産設備30ごとに要求されるサイクルタイムの目標値に、サイクルタイムのばらつきを許容可能な係数を乗じて得られた値を用いて設定されている。これにより簡易な方法で閾値を設定することができる。例えば、第一生産設備31に要求されるサイクルタイムの目標値が10秒である場合に、目標値に予め定められた係数としての1.5倍を乗じた15秒が閾値として設定されている。
【0044】
図8は、第一稼働状態検出装置20aからの検出信号と、設備稼働情報生成部110による処理ルーチンとの関係を示す第1のタイムチャートである。図8に示す横軸は、時間軸であり、縦軸は、検出部25aによるオン信号とオフ信号との生成タイミングを模式的に示している。図8には、サイクルタイムCT1と、サイクルタイムの目標値TGと、停止時間を判定するための閾値TSとが模式的に示されている。サイクルタイムCT1は、閾値TSよりも短い。
【0045】
実線G1で示すタイムチャートは、第一生産設備31が停止時間を発生させることなく正常に処理を完了させた場合の例である。図8の例において、時間T1では、検出部25aが第一生産設備31による処理の開始を検出し、コントローラ23aにより基準状態から立ち上がるオン信号としての第一信号が生成される。時間T2では、検出部25aが第一生産設備31による処理の停止を検出し、オン状態から立ち下がるオフ信号としての第二信号が生成される。時間T3では、第一生産設備31による次の加工対象品に対する処理が開始され、検出部25aによって第一信号が生成されている。設備稼働情報生成部110は、時間T1に第一信号を受信してから、時間T3に次の第一信号を受信するまでの期間をサイクルタイムCT1として取得し、生産数を積算する。
【0046】
図9は、第一稼働状態検出装置20aからの検出信号と、設備稼働情報生成部110による処理ルーチンとの関係を示す第2のタイムチャートである。図9に示す横軸は、時間軸であり、縦軸は、検出部25aによるオン信号とオフ信号との生成タイミングを模式的に示している。図9には、サイクルタイムCT2と、サイクルタイムの目標値TGと、閾値TSと、停止時間STとが模式的に示されている。サイクルタイムCT2は、閾値TSよりも長い。
【0047】
実線G2で示すタイムチャートは、第一生産設備31に停止時間が発生した場合のタイムチャートの例である。図9の例では、時間T2に第一生産設備31が処理を完了した後に停止し、時間T5よりも後の時間T6に次の加工対象品に対する処理が開始される。
【0048】
設備稼働情報生成部110は、時間T1から時間T6までの期間をサイクルタイムCT2として取得し、さらに、サイクルタイムCT2が閾値TSを超えたことにより、停止時間を算出する。設備稼働情報生成部110は、生成したサイクルタイムCT2内において、最後に第二信号を受信した時間T2から次に第一信号を受信した時間T6までの期間を、停止時間STとして取得する。なお、停止時間の算出方法は、これに限定されず、例えば、サイクルタイムの目標値TGを経過した時間T4から時間T6までの期間であってもよく、閾値TSを経過した時間T5から時間T6までの期間であってもよい。なお、設備稼働情報生成部110は、さらに、最初の第一信号を受信した時間T1から第二信号を受信した時間T2するまでの期間を、生産設備による加工対象品の処理の時間を示すマシンサイクルタイムとして取得してもよい。
【0049】
図7のステップS320では、生産指標生成部111は、生産指標を生成する。図10は、生産指標を生成する処理ルーチンを示すフロー図である。本実施形態では、生産指標生成部111は、生産指標として、生産設備の稼働時間、非稼働時間、生産金額、第一逸失金額、第二逸失金額、サイクルタイム達成度、サイクルタイム可動率、および出来高率を生成する。なお、図8に示すステップS321~S328の順序は、図8に示す順序には限らず任意の順序で実行されてよく、複数のステップが並行して実行されてもよい。
【0050】
ステップS321では、生産指標生成部111は、稼働時間を算出する。稼働時間とは、生産設備の稼働開始から稼働完了までの時間を意味する。生産指標生成部111は、例えば、最初に第一信号を受信した稼働開始時刻から、最後に第二信号を受信した稼働終了時刻までの期間を生産設備30の稼働時間として取得する。稼働当日の確認時点での稼働時間として、生産設備30の稼働開始時刻から、表示部14の確認時点までの期間が稼働時間として取得されてもよい。稼働時間は、生産設備が加工対象品の処理を実行する時間である。稼働時間は、製造原価が発生する期間であり、例えば、当該生産設備30による製造にかかわる人員の労務費が発生する時間であると考えることができる。稼働時間が長い生産設備は、改善の対象となり得る。稼働時間が短い生産設備は、いわゆる先行生産の対象、もしくは稼働時間が短い他の生産設備との統合の対象となり得る。
【0051】
ステップS322では、生産指標生成部111は、非稼働時間を算出する。非稼働時間は、例えば、操業時間から稼働時間を差し引いた期間である。操業時間は、例えば、1日(24時間)、8時間、16時間など、任意に設定されてよい。非稼働時間は、生産設備が加工対象品の処理を実行可能な状態であるものの、実際には加工対象品の処理が行われていない期間ということができる。非稼働時間は、製造原価が発生する期間に含まれる。非稼働時間が長い生産設備は、改善の対象となり得る。
【0052】
ステップS323では、生産指標生成部111は、生産金額を算出する。生産金額は、製造した製品がすべて販売された場合の売上高に相当する。生産金額は、例えば、以下の式(1)によって算出することができる。
生産金額=生産数×加工対象品の単価 ・・・式(1)
【0053】
生産金額に代えて、またはそれとともに単位時間あたり生産金額が用いられてもよい。単位時間あたり生産金額は、例えば1時間などの単位時間あたりの生産金額を意味する。単位時間あたり生産金額は、以下の式(2)によって算出することができる。
単位時間あたり生産金額=(生産数×加工対象品の単価)/稼働時間 ・・・式(2)
生産金額ならびに単位時間あたり生産金額は、数値が小さいほど改善の対象となり得る。生産金額の改善の方法としては、例えば、加工対象品の単価増加が上げられる。単位時間あたり生産金額の改善方法としては、単価増加のほか、稼働時間の短縮などが挙げられる。
【0054】
ステップS324では、生産指標生成部111は、第一逸失金額を算出する。第一逸失金額とは、生産設備に停止時間が発生したことにより逸失した金額のことを意味する。逸失した金額には、費用、売上高、利益などが含まれる。第一逸失金額は、停止時間に対する改善の効果を金額で表示した指標と考えることができる。第一逸失金額は、例えば、以下の式(3)によって算出することができる。
第一逸失金額=(停止時間/CT0)×加工対象品の単価 ・・・式(3)
CT0:生産設備ごとに要求されるサイクルタイムの目標値
サイクルタイムの目標値CT0に代えて、サイクルタイムの実測値やその平均値などであってもよい。第一逸失金額は、生産設備が停止していなければ処理できたであろう加工対象品の生産数に基づく売上高に相当する。第一逸失金額が大きい生産設備であるほど改善による費用対効果が高く、改善の優先順位が高いということができる。
【0055】
第一逸失金額は、上記の式(3)に代えて、またはそれとともに、下記の式(4)によって算出されてもよい。
第一逸失金額=(非稼働時間/CT0)×加工対象品の単価 ・・・式(4)
式(4)によれば、生産設備の非稼働時間を解消することによる金額効果を予測することができる。また、上記の式(3)に積算して、第一逸失金額を、停止時間と非稼働時間との総和とすることにより、生産設備が生産に寄与していないことにより逸失した金額を明確にすることができる。
【0056】
第一逸失金額は、上記の式(3)(4)に代えて、以下の式(5)(6)を用いて算出されてもよい。
第一逸失金額=停止時間×従業員の時間あたり労務費 ・・・式(5)
第一逸失金額=非稼働時間×従業員の時間あたり労務費 ・・・式(6)
式(5)および式(6)によれば、生産設備を稼働させることにより有効に活用できる労務費を明確にすることができる。
【0057】
ステップS325では、生産指標生成部111は、第二逸失金額を算出する。第二逸失金額とは、サイクルタイムが目標値に対して遅れたことにより逸失した金額のことを意味する。逸失した金額には、費用、生産金額、利益などが含まれる。第二逸失金額は、サイクルタイムの改善による効果を金額で表示した指標と考えることができる。第二逸失金額は、例えば、以下の式(7)によって算出することができる。
第二逸失金額=加工対象品の単価×{生産数×(CT1-CT0)}/CT0 ・・・式(7)
CT1:サイクルタイムの実測値(ただし、CT0≦CT1)
第二逸失金額は、サイクルタイムの改善の効果を金額で表示した指標と考えることができる。第二逸失金額が大きい生産設備であるほど改善による費用対効果が高く、改善の優先順位が高いということができる。
【0058】
ステップS326では、生産指標生成部111は、サイクルタイム達成度(%)を算出する。サイクルタイム達成度とは、サイクルタイムの目標値CT0に対するサイクルタイムの実測値の比率を意味する。サイクルタイム達成度は、例えば、以下の式(8)を用いて算出することができる。
サイクルタイム達成度=(CT0/CT2)×100 ・・・式(8)
CT2:サイクルタイムの実測値
サイクルタイム達成度が低いほど改善の優先順位が高い生産設備ということができる。100%を超える場合には、目標値よりもサイクルタイムの実測値の方が早いことを示す。サイクルタイムの実測値の方が目標値よりも早い場合には、サイクルタイムの目標値が改善の対象となり得る。また、サイクルタイムの実測値の方が目標値よりも早い場合には、例えば、検査すべき箇所が予定よりも不足しているなど、予定される処理内容に対して実際の処理内容が不足している場合も想定され得る。そのため、サイクルタイムの実測値の方が目標値よりも早い場合には、実際の処理内容が改めて確認されることが好ましい。
【0059】
サイクルタイム達成度は、以下の式(9)を用いて算出されてもよい。
サイクルタイム達成度={(CT0-CT2)/CT0}×100 ・・・式(9)
上記式(9)によれば、サイクルタイムの目標値よりも実測値の方が早ければプラスの値となり、実測値の方が目標値よりも遅ければマイナスの値となるので、サイクルタイムの達成の可否を容易に視認することができる。
【0060】
ステップS327では、生産指標生成部111は、サイクルタイム可動率(%)を算出する。サイクルタイム可動率とは、予め定められた設定時間に対して、生産設備が処理を正常に実行している時間が占める割合を意味する。設定時間は、例えば、1時間などの所定の単位時間、操業時間、稼働時間などを用いて設定することができる。サイクルタイム可動率は、例えば、以下の式(10)を用いて算出することができる。
サイクルタイム可動率=(CT3/設定時間)×100 ・・・式(10)
CT3:設定時間内のサイクルタイムの実測値の合計
サイクルタイム可動率が低い製造設備であるほど、改善の優先順位が高いということができる。
【0061】
サイクルタイム可動率は、以下の式(11)を用いて算出されてもよい。
サイクルタイム可動率={(設定時間-設定時間内の停止時間の合計)/設定時間}×100 ・・・式(11)
上記の式(11)に代えて、サイクルタイムの実測値に対する停止時間の割合を用いて計算してもよい。
【0062】
ステップS328では、生産指標生成部111は、出来高率(%)を算出する。出来高率とは、サイクルタイム目標値通りに製造した場合の出来高に対する実測値で製造した場合の出来高の割合を意味する。出来高率は、例えば、以下の式(12)を用いて算出することができる。
出来高率={生産数/(稼働時間/CT0)}×100 ・・・式(12)
出来高率は、サイクルタイムが目標値よりも遅い場合や、停止時間が長い場合に低くなる。出来高率が低い生産設備は改善の対象となる。生産指標生成部111は、出来高率の算出を終えると、生産指標の生成を終了する。
【0063】
図7に示すように、ステップS330では、生産指標生成部111は、取得した生産指標を用いて、生産指標を統計的に示す数値およびグラフを生成し、その結果を表示部14に表示するための表示用データとして生成する。生成した表示用データは、表示部14ならびに端末装置PD1,PD2および情報処理装置PCに出力される。ステップS340では、表示部14、端末装置PD1,PD2、および情報処理装置PCは、生成された表示用データに基づく画面を表示して、本フローを終了する。
【0064】
図11は、表示部14の表示画面の一例を示す説明図である。図11に示すように、表示部14には、複数の項目表示領域140と、複数の指標表示領域141と、分類別表示領域142,143と、スクロールバー144と、表示領域選択部146とが表示されている。
【0065】
図11に示すように、分類別表示領域142,143は、任意の形状を有する表示領域であり、図11の例では、分類別表示領域142,143は、一方向に沿って長尺な形状を有している。分類別表示領域142,143には、複数の指標表示領域141が並べて表示されている。複数の指標表示領域141のそれぞれには、生成した複数の種類の生産指標が個別に表示される。項目表示領域140は、指標表示領域141のそれぞれに隣接して設けられている。項目表示領域140には、併設される指標表示領域141に表示される生産指標に対応する生産指標の名称が表示される。分類別表示領域142,143の全体が表示部14上に一度に表示しきれない場合には、スクロールバー144を用いて分類別表示領域142,143の任意の位置を表示させることができる。
【0066】
表示領域選択部146は、画面上段に設けられているグラフィカルユーザインタフェースであり、いわゆるタブである。使用者による表示領域選択部146の操作を受け付けた場合には、当該操作に対応する分類別表示領域142および分類別表示領域143のいずれかの表示データが表示部14に表示される。
【0067】
本実施形態では、分類別表示領域142には、生成した複数の生産指標のうち金額に関する生産指標が表示される。また、分類別表示領域143には、設備の稼働状況に関する生産指標が表示される。本実施形態では、金額に関する種類の生産指標には、第一逸失金額、第二逸失金額、単位時間あたり生産金額、生産金額が分類される。設備の稼働状況に関する生産指標には、生産設備の稼働時間、非稼働時間、単位時間あたり出来高、サイクルタイム達成度、サイクルタイム可動率、および出来高率が分類される。設備の稼働状況に関する生産指標であっても、例えば、加工対象品の単価や労務費等を乗じることによって金額に関する種類の生産指標とされてもよい。なお、図11の例では、分類別表示領域142には、「経営ダッシュボード」と、分類別表示領域143には、「設備ダッシュボード」という名称が付されている。これにより、各分類別表示領域の表示内容を容易に想起することができる。
【0068】
本実施形態では、分類別表示領域142ならびに分類別表示領域143のそれぞれにおいて、生産指標の種類ごとに優先順位が設定されている。優先順位は、任意に設定されてよく、例えば、改善の必要性が高い生産指標ほど高い。生産指標生成部111は、分類別表示領域142ならびに分類別表示領域143の上部から下方に向かって、改善の優先順位が高い順序で生産指標を配列する。図11の例では、分類別表示領域142において、第一逸失金額と第二逸失金額との総計(以下、単に「逸失金額」とも呼ぶ。)が最も優先順位が高い生産指標であり、生産金額が次に優先順位が高い生産指標となるように設定されている。分類別表示領域142に表示する優先順位は、例えば、取得した生産指標の結果に基づいて順次に更新されてもよい。例えば、改善される金額が高い生産指標を優先順位が高い生産指標と設定することができる。優先順位を算出するために、生産指標毎に重み付けが行われてもよい。
【0069】
図11に示すように、指標表示領域141は、さらに予め定められた複数の領域AR1~AR6に区分されている。各領域AR1~AR6には、生産指標を統計的に示す数値またはグラフがそれぞれ表示される。領域AR1には、単位期間あたりの生産指標の累計が数値またはグラフによって表示される。本実施形態では、指定日の一日の累計が表示される。ただし、単位期間は、一日に限らず、任意に設定されてよく、例えば、任意の日時が指定されてよく、1時間ごと、月ごと、年ごとなどであってよく、当日の稼働開始から生産指標の閲覧時点までの累計であってもよい。領域AR2には、生産指標の過去最高値が数値またはグラフによって表示される。
【0070】
領域AR3には、横軸を月日とし、縦軸を生産指標の結果とするグラフであり、生産指標のひと月あたりにおける日次推移を示すグラフが表示される。領域AR4には、横軸を生産指標の結果とし、縦軸を生産設備の数とするグラフであり、生産指標の結果に対する生産設備の数の分布を示すグラフが表示されている。領域AR5には、横軸を生産指標の結果とし、縦軸に改善の優先順位が低い設備情報がグラフもしくは設備名により表示される。領域AR6には、横軸を生産指標の結果とし、縦軸に改善の優先順位が高い設備情報がグラフもしくは設備名により表示される。領域AR1~AR6の配置位置は、上記の例には限定されず、任意に設定されてよい。
【0071】
図12は、生産指標の一例としての逸失金額が表示される例を示す説明図である。図12に示すように、領域AR1には、所定の日の逸失金額の累計が数値により表示されている。累計を示すことにより、例えば、改善効果の最大値など、製造ラインL1~Lnが有するすべての生産設備の全体の状況を認識することが容易になる。領域AR2には、逸失金額の過去最高値、およびその最高値を記録した日にちが示されている。領域AR3には、逸失金額の日次推移がグラフにより示されている。具体的には、第一逸失金額を示す棒グラフPG1と、第二逸失金額を示す棒グラフPG2と、第一逸失金額と第二逸失金額との合計である逸失金額の累計を示す線グラフPG3とが示されている。棒グラフPG2は、棒グラフPG1の上部に異なる色を付して積み重ねられており、逸失金額の内訳を容易に視認することができる。
【0072】
領域AR4には、逸失金額に対する生産設備の数の分布がグラフにより示されている。これにより、改善すべき生産設備の数を容易に視認することができる。領域AR5には、すべての生産設備のうち逸失金額が小さい生産設備が、逸失金額が小さい順に表示されている。すなわち、領域AR5には、生産指標に対して良好な結果を示す上位の生産設備が示されている。これにより、改善の目標となり得る生産設備を容易に把握することができる。領域AR6には、すべての生産設備のうち逸失金額が大きい生産設備が、逸失金額が大きい順に表示されている。すなわち、領域AR6には、生産指標に対して改善の優先順位が高い生産設備が示されている。これにより、改善を優先すべき生産設備を容易に把握することができる。
【0073】
図13は、生産指標の一例としてのサイクルタイム達成度が表示される例を示す説明図である。領域AR1には、所定の日のサイクルタイム達成度の累計平均が円グラフを用いて示されている。具体的には、サイクルタイムの一日の実測値の累計に対するサイクルタイムの一日の目標値の比率が数値とグラフとによって表示されている。サイクルタイム達成度の一日の平均値が表示されてもよい。
【0074】
領域AR3には、サイクルタイム達成度の日次推移ならびに累積平均を示すグラフが表示されている。具体的には、サイクルタイム達成度の一日あたりの累積が棒グラフPG4により示され、日次の累積平均が線グラフPG5によって示されている。このように、累積値は、積算値に限らず累積平均で示されてもよい。領域AR4には、サイクルタイム達成度に対する生産設備の数の分布がグラフにより示されている。領域AR5には、すべての生産設備のうちサイクルタイム達成度が高い生産設備が、サイクルタイム達成度が高い順にグラフにより表示されている。領域AR5には、サイクルタイム達成度に対して良好な結果を示す上位の生産設備が示されている。領域AR6には、すべての生産設備のうちサイクルタイム達成度が低い生産設備が、サイクルタイム達成度が低い順に表示されており、サイクルタイム達成度に対して改善を優先すべき生産設備を容易に把握することができる。
【0075】
以上、説明したように、本実施形態の生産管理装置10によれば、生産設備30による処理の開始タイミングを取得する取得部としての送信・受信部13と、取得した開始タイミングを用いて、設備のサイクルタイムおよび設備の停止時間を含む設備稼働情報を生成する設備稼働情報生成部110と、設備稼働情報を用いて停止時間の発生により生じた第一逸失金額を含む複数の生産指標を生成し、生成した複数の生産指標を含む表示用データを生成する生産指標生成部111と、を備えている。したがって、複数の生産設備30の生産状況の表示方法として、生産指標を用いることにより一覧性を向上し、複数の生産設備全体の生産状況を容易に把握することができる。生産指標として、第一逸失金額を用いることにより、生産設備30の停止時間の改善による効果を金額として視認することができ、使用者の改善意欲を喚起することができる。
【0076】
本実施形態の生産管理装置10によれば、生産指標生成部111は、さらに、サイクルタイムの遅れにより生じた第二逸失金額を含む複数の生産指標を生成する。生産指標として、第二逸失金額を用いることにより、サイクルタイムの改善による効果を金額として視認することができ、使用者の改善意欲を喚起することができる。
【0077】
本実施形態の生産管理装置10によれば、さらに、生産指標生成部111は、生産指標において改善の優先順位が高い設備情報を含む表示用データを生成する。したがって、複数の生産設備30のうち、改善すべき生産設備を容易に把握することができる。
【0078】
本実施形態の生産管理装置10によれば、生産指標生成部111は、さらに、生産指標を統計的に示す数値およびグラフを含む表示用データを生成する。これにより、複数の生産設備30の生産状況を多角的に評価することが容易となる。
【0079】
本実施形態の生産管理装置10によれば、生産指標生成部111は、生産指標を統計的に示す数値またはグラフとして、単位期間あたりにおける生産指標の累計と、生産指標の日次推移とを生成する。単位期間あたりにおける生産指標の累計を示すことにより、複数の生産設備全体の生産状況を把握することが容易となる。生産指標の日次推移を示すことにより、改善や問題発生による生産指標に対する変化点を把握することが容易となる。
【0080】
本実施形態の生産管理装置10によれば、生産指標生成部111は、金額に関する生産指標を含む表示用データと、設備の稼働状況に関する生産指標を含む表示用データとのうちいずれを表示するかの選択操作を受け付けた場合に、選択操作に対応する表示用データを生成する。したがって、生産指標を金額と設備の稼働状況とに分類し、分類別表示領域142および分類別表示領域143の異なる表示領域に集約することにより、複数の種類の生産指標に対する一覧性を向上することができる。また、本実施形態の生産管理装置10によれば、分類別表示領域142と、分類別表示領域143とのうちいずれを表示するかの選択操作を受け付けた場合に、選択操作に対応する分類別表示領域142および分類別表示領域143のいずれかを表示する。したがって、使用者は、所望する生産指標を容易に閲覧することができる。
【0081】
本実施形態の生産管理装置10によれば、送信・受信部13は、さらに、生産設備30による処理の停止タイミングを取得し、設備稼働情報生成部110は、さらに、取得した停止タイミングを用いて設備稼働情報を生成する。したがって、より正確な停止タイミングを取得することができ、サイクルタイムや停止時間などの設備稼働情報をより正確に生成することができる。
【0082】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、稼働状態検出装置20a~20fは、PLCに接続されておらず、生産設備31~36に後付けにより装着されている例を示した。これに対して、稼働状態検出装置20a~20fは、後付けによらず、PLCに接続されてもよい。この場合には、例えば、検出部25aがPLCに接続される。稼働状態検出装置20a~20fでは、取得部としての送信・受信部13が、設備の動作を制御するためにPLCから出力される指令信号を受信し、受信したPLCからの指令信号に基づいて、設備による処理の開始タイミングと、処理の停止タイミングとを取得する。
【0083】
(B2)上記実施形態では、検出部25aのみが検出部として機能する例を示した。これに対して、検出部25aとコントローラ23aとによって検出部が実現されてもよい。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を記憶装置に格納しておき、生産管理装置10から受信した実行命令に応じて、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する処理を実行してもよい。
【0084】
(B3)上記実施形態においては、生産管理装置10および各稼働状態検出装置20a,20bは、無線通信にて通信を行っているが、有線通信によって行われてもよい。例えば、生産設備31~36の近傍に有線ローカルエリアネットワーク(LAN)接続ポートが備えられている場合には、接続ポートを利用することによって新たな配線の手間を省くことができ、無線通信と同様にして簡易に第1の実施形態に係る生産管理システム100を導入することができる。
【0085】
(B4)第一逸失金額と第二逸失金額との総額は、上記の式(3)~(7)による算出結果を用いる場合には限らず、以下の式(13)によっても算出することができる。
第一逸失利益と第二逸失金額との総額={(稼働時間/CT0)-生産数}×加工対象品の単価 ・・・式(13)
上記の式(13)によれば、簡易な方法により、サイクルタイムの既定値に対する逸失金額の総額を算出することができる。
【0086】
(B5)上記実施形態では、生産指標生成部111は、複数の指標表示領域141を、分類別表示領域142および分類別表示領域143内に並べて表示する例を示した。これに対して、生産指標生成部111は、生成した複数の指標表示領域141を分類別表示領域142のみに並べて表示してもよい。したがって、分類別表示領域142に複数の種類の生産指標の結果を集約することにより、複数の種類の生産指標に対する一覧性を向上することができる。
【0087】
(B6)生産指標には、さらに、出来高、時間あたり出来高が用いられてもよい。単位時間あたり出来高は、例えば1時間などの単位時間あたりに処理される加工対象品の個数を意味する。出来高、時間あたり出来高が大きい生産設備であるほど改善による費用対効果が高く、改善の優先順位が高いということができる。
【0088】
(B7)上記実施形態では、稼働状態検出装置20が、生産設備30による処理の開始タイミングに対応する第一信号と、処理の停止タイミングに対応する第二信号とを生産管理装置10に送信し、生産管理装置10が第一信号と第二信号とを用いて、設備稼働情報および生産指標を生成する例を示した。これに対して、生産管理装置10は、生産設備30による処理の開始タイミングのみ、すなわち第一信号のみを取得して、開始タイミングのみを用いて設備稼働情報および生産指標を生成する構成であってもよい。この場合には、稼働状態検出装置20において、検出部25aは、生産設備30による処理の開始タイミングを検出し、コントローラ23aが検出部25aから受信したパルス信号を用いて第一信号のみを生成してよい。稼働状態検出装置20は、第一信号を生産管理装置10に送信するための第一送受信部21aと、第二送受信部22aとのいずれか一方のみを備えてよい。このようにすることで稼働状態検出装置20を簡易な構成とすることができ、生産管理装置10での処理を簡易な構成とすることができる。なお、生産管理装置10は、第二信号のみを取得し、停止タイミングのみを用いて設備稼働情報および生産指標を生成する構成であってもよい。
【0089】
開始タイミングのみを用いて設備稼働情報および生産指標を生成する場合において、設備稼働情報生成部110は、第一信号からその次の第一信号を受信するまでの期間をサイクルタイムとして取得し、取得したサイクルタイムが閾値を超えた場合には、取得したサイクルタイムからサイクルタイムの目標値を差し引いた時間、換言すれば、第一信号を受信してからサイクルタイムの目標値が経過した時点から、次の第一信号を受信するタイミングまでの期間を停止時間として取得してよい。また、この場合において、設備稼働情報生成部110は、最後に第一信号を受信してからサイクルタイムの目標値が経過したタイミングを生産設備30の稼働終了時刻として取得してもよく、もしくは、最後に第一信号を受信したタイミングを生産設備30の稼働終了時刻として取得してもよい。
【0090】
(B8)上記実施形態では、生産金額、第一逸失金額、第二逸失金額などの生産指標において、加工対象品の単価もしくは従業員の労務費が用いられる例を示した。これに対して、加工対象品の単価もしくは従業員の労務費に代えて、利益額、加工対象品の売価、原価、ならびに付加価値額などが用いられてもよい。付加価値額は、例えば、売価から原価を差し引くことで算出することができる。また、同一の加工対象品を処理するために複数の生産設備が存在する場合には、付加価値額は、各工程に予め定められた比率で各工程に按分されてもよい。このようにすることで、付加価値額を用いて各工程を相対的に評価することができ、どの工程を優先して改善するべきかを容易に把握することができる。
【0091】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0092】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
10…生産管理装置、11…CPU、12…記憶装置、13…送信・受信部、14…表示部、15…入力装置、16…タイマ、17…バス、20…稼働状態検出装置、20a…第一稼働状態検出装置、20b…第二稼働状態検出装置、20c…第三稼働状態検出装置、20d…第四稼働状態検出装置、20e…第五稼働状態検出装置、20f…第六稼働状態検出装置、21a,21b…第一送受信部、22a,22b…第二送受信部、23a,23b…コントローラ、25a,25b…検出部、30…生産設備、31…第一生産設備、32…第二生産設備、33…第三生産設備、34…第四生産設備、35…第五生産設備、36…第六生産設備、40…シグナルタワー、41…搬送機構、100…生産管理システム、110…設備稼働情報生成部、111…生産指標生成部、120…設備稼働情報記憶部、121…生産指標記憶部、140…項目表示領域、141…指標表示領域、142,143…分類別表示領域、144…スクロールバー、146…表示領域選択部、310…筐体、321…開閉ドア、322…磁石、L1…第一製造ライン、L2…第二製造ライン、Ln…製造ライン、PC…情報処理装置、PD1,PD2…端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13