(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039106
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】エネルギーマネージメントシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20230313BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20230313BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J13/00 B
H02J13/00 301B
H02J3/14
H04Q9/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146100
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508047071
【氏名又は名称】株式会社ブルーマウステクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】野村 啓幸
(72)【発明者】
【氏名】平下 英里
(72)【発明者】
【氏名】三浦 武
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5K048
【Fターム(参考)】
5G064AA09
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB21
5G064DA05
5G066KA01
5K048AA11
5K048AA16
5K048BA34
5K048BA51
5K048DC06
5K048EB02
5K048EB10
5K048HA01
5K048HA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導入及び運用を容易に行うエネルギーマネージメントシステムを提供する。
【解決手段】エネルギーマネージメントシステム100は、検出器1に対して設けられた検出子機2と、制御対象設備3に対して設けられた制御子機4と、検出子機から検出情報を受信し、当該検出情報に基づいて制御子機へ制御情報を送信する親機6と、検出子機、制御子機及び親機を含む設備システム101に対し、管理者が各種設定及び監視を行う管理者用の管理部7と、設備システムに対し、ユーザーが操作、及び監視を行うユーザー用のユーザーインタフェース部8と、を備える。検出子機及び制御子機と、親機との間では電力線通信が行われ、管理部及びユーザーインタフェース部と、親機との間では遠隔通信が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出器に対して設けられた検出子機と、
制御対象設備に対して設けられた制御子機と、
前記検出子機から検出情報を受信し、当該検出情報に基づいて前記制御子機へ制御情報を送信する親機と、
前記検出子機、前記制御子機、及び前記親機を含む設備システムに対し、管理者が各種設定、及び監視を行う管理者用の管理部と、
前記設備システムに対し、ユーザーが操作、及び監視を行うユーザー用のユーザーインタフェース部と、を備え、
前記検出子機及び前記制御子機と、前記親機との間では電力線通信が行われ、
前記管理部及び前記ユーザーインタフェース部と、前記親機との間では遠隔通信が行われる、エネルギーマネージメントシステム。
【請求項2】
前記制御子機は、前記親機からの制御情報に基づいて、前記制御対象設備の出力の強弱を調整する、請求項1に記載のエネルギーマネージメントシステム。
【請求項3】
前記管理部は、前記検出子機、前記制御子機、及び前記親機のアドレスを紐付けて認識する、請求項1又は2に記載のエネルギーマネージメントシステム。
【請求項4】
前記管理部は、複数の前記制御対象設備の制御上のまとまりに基づいたグループ分けを設定する、請求項1~3の何れか一項に記載のエネルギーマネージメントシステム。
【請求項5】
前記管理部は、複数の前記検出子機及び前記制御子機の少なくとも何れかの間で信号のホッピング経路を設定する、請求項1~4の何れか一項に記載のエネルギーマネージメントシステム。
【請求項6】
前記親機は、外部情報受信部を備え、受信した外部情報に基づいて、前記制御対象設備を制御する、請求項1~5の何れか一項に記載のエネルギーマネージメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーマネージメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の制御対象設備を備えるエリアのエネルギーを管理するエネルギーマネージメントシステムが知られている。このエネルギーマネージメントシステムは、建物の中に設けられた照明や電気機器などの制御対象設備に対し、無線で制御信号を送受信できる制御装置を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、対象となるエリアに対してエネルギーマネージメントシステムを導入する時には、コスト低減、工期短縮の観点から、容易に導入可能であることが求められる。また、エネルギーマネージメントシステムの設定を行う作業が、現地のみで行われる場合、手間がかかるという問題がある。以上より、導入及び運用が容易なエネルギーマネージメントシステムが求められていた。
【0005】
本発明は、導入及び運用を容易に行うことができるエネルギーマネージメントシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るエネルギーマネージメントシステムは、検出器に対して設けられた検出子機と、制御対象設備に対して設けられた制御子機と、検出子機から検出情報を受信し、当該検出情報に基づいて制御子機へ制御情報を送信する親機と、検出子機、制御子機、及び親機を含む設備システムに対し、管理者が各種設定、及び監視を行う管理者用の管理部と、設備システムに対し、ユーザーが操作、及び監視を行うユーザー用のユーザーインタフェース部と、を備え、検出子機及び制御子機と、親機との間では電力線通信が行われ、管理部及びユーザーインタフェース部と、親機との間では遠隔通信が行われる。
【0007】
本発明に係るエネルギーマネージメントシステムでは、検出子機が検出器に対して設けられ、制御子機が制御対象設備に対して設けられている。また、検出子機及び制御子機と、親機との間では電力線通信が行われる。このような構成によれば、管理対象エリアにおける既存の電力線のシステムに対し、親機及び子機(または子機付きの制御対象設備、検出器)を設置するだけで、容易にエネルギーマネージメントシステムを導入することが可能となる。また、管理部及びユーザーインタフェース部と、親機との間では遠隔通信が行われる。そのため、管理者は、遠隔地から、設備システムに対して各種設定、及び監視を行うことができる。また、ユーザーは、遠隔地から操作、及び監視を行うことができる。このように、管理者及びユーザーが、現地まで行くこと無く、遠隔地から容易に運用を行うことができる。以上より、エネルギーマネージメントシステムの導入及び運用を容易に行うことができる。
【0008】
制御子機は、親機からの制御情報に基づいて、制御対象設備の出力の強弱を調整してよい。この場合、制御子機は、制御対象設備のON/OFFの切替の制御のみならず、例えば照明の明るさの調整、空調の強度の調整、または蓄電池の放電や充電の調整などを行うことができる。
【0009】
管理部は、検出子機、制御子機、及び親機のアドレスを紐付けて認識してよい。この場合、管理者は、遠隔地から、管理対象となる親機、及び子機をまとめて監視することが可能となる。
【0010】
管理部は、複数の制御対象設備の制御上のまとまりに基づいたグループ分けを設定してよい。この場合、管理部は、グループ分けを自由に設定することで、管理対象エリアの状況に合わせて、複数の制御対象設備をまとめて制御することができる。
【0011】
管理部は、複数の検出子機及び制御子機の少なくとも何れかの間で信号のホッピング経路を設定してよい。ここで、ホッピングとは、電力線通信信号の強度が十分でないときに、信号を受けた制御子機あるいは、検出子機が十分な強度で、通信のリピータを行う機能である。従って、管理部がホッピング経路を設定することで、電力線上での信号の混線、減衰などを抑制することができる。
【0012】
親機は、外部情報受信部を備え、受信した外部情報に基づいて、制御対象設備を制御してよい。この場合、親機は、外部の状況に応じて、制御対象設備を適切に制御することができる。なお、親機は、ホッピングの制御子機、検出子機に対する設定も、電力線通信を使って行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導入及び運用を容易に行うことができるエネルギーマネージメントシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るエネルギーマネージメントシステムを示すブロック構成図である。
【
図2】
図2は、設備システムの一例を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は検出子機のブロック構成図、
図3(b)は制御子機のブロック構成図、
図3(c)は親機のブロック構成図である。
【
図4】
図4(a)(b)は、照明のグループ分けを説明するための概念図である。
【
図5】
図5は、ホッピング経路を説明するための概念図である。
【
図6】
図6は、変形例に係るエネルギーマネージメントシステムを示すブロック構成図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るエネルギーマネージメントシステムを示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係るエネルギーマネージメントシステム100を示すブロック構成図である。
図1に示されるように、エネルギーマネージメントシステム100は、所定の制御対象設備3を備える管理対象エリア内におけるエネルギーを管理するシステムである。エネルギーマネージメントシステム100は、検出器1と、検出子機2と、制御対象設備3と、制御子機4と、親機6と、管理部7と、ユーザーインタフェース部8と、を備える。また、エネルギーマネージメントシステム100は、設備システム101、及びネットワークシステム102によって構成される。
【0017】
設備システム101は、エネルギーマネージメントシステム100の管理対象を構成するシステムである。設備システム101は、検出器1、検出子機2、制御対象設備3、制御子機4、及び親機6を含むシステムである。設備システム101において、検出器1と検出子機2とは配線W1で接続される。検出子機2と親機6とは電力線W2で接続される。制御対象設備3と制御子機4とは配線W3で接続される。制御子機4と親機6とは電力線W4で接続される。設備システム101内では、電力線通信(PLC通信:Power Line Communication)によって機器間の情報伝達が行われる。電力線通信は、例えば、商用周波数の電力波形に商用周波数と異なる周波数の通信信号を重畳して送信すると共にこの電力波形から異なる周波数の通信信号を分離して受信することによって、電力線を用いて通信信号を送受信する通信方式である。なお、電力線通信は、その周波数帯域により、電波法の適用を受ける場合がある。ただし、本実施形態に係るエネルギーマネージメントシステム100では、屋内及び屋外でも使用でき、なおかつ、ある程度のまとまったデータ転送を実現するために、例えば100KHz~450KHzの周波数帯域の電力線通信を用いてよい。ただし、それ以上、または、それ以下の周波数帯域の電力線通信も利用可能である。例えば、周波数帯域は、10KHz以下としてよいし、2MHz以上としてもよい。また、100KHz~450KHzの周波数帯域の電力線通信を用いるとして、その変調方式も特に限定されず、OFDM方式が採用されてもよいし、DCSK方式が採用されてもよい。電力線は、主目的として、商用周波数の交流電力を供給するための配線であり、電力線通信を行うに当たってはその伝送路となる。具体的に、検出子機2及び制御子機4と、親機6との間では電力線通信が行われる。電力線通信では、AC100VやAC200Vなどの交流配電に対して通信信号を重畳するだけではなく、直流配電においても交流同様に通信信号を重畳できる。検出器1が、例えば人感センサであったり、照度計であるとき、それらの検出器1からの信号は、いったん親機6を経由し、親機6の判断によって制御子機4へ電力線通信が行われる場合もある。ただし、親機6のプログラムによっては、検出子機2が電力線通信を使って親機6を経由せずに制御子機4へコマンドのやり取りを行うことも可能である。
【0018】
図2に設備システム101の一例を示す。
図2は、複数の階層F1~FNを有する建物BDに対して、エネルギーマネージメントシステム100が採用された場合の例を示す。なお、階層FNにのみ各機器が設けられている様子が示されているが、他の階層においても同様に機器が設けられている。
図2に示す設備システム101において、親機6は、電力線W5Aを介して、建物BD全体に対する分電盤10と接続される。また、分電盤10は、各階層F1~FNに対して電力を供給する電力線W5Bと接続されている。電力線W5Bからは、各階層F1~FNに設けられた各検出子機2に対する電力線W2、及び各制御子機4に対する電力線W4が分岐する。なお、電力線W5A,W5Bは、親機6と検出子機2及び制御子機4とを接続する電力線であるため、
図1に示す「電力線W2」「電力線W4の一部として機能する。なお、各階層F1~FNには、各階層内で電力を分配する分電盤が設けられているが、ここでは省略されている。
【0019】
図1に戻り、ネットワークシステム102は、設備システム101を遠隔で管理、監視、操作するためのシステムである。ネットワークシステム102は、親機6、管理部7、及びユーザーインタフェース部8を含むシステムである。ネットワークシステム102では、インターネットなどのネットワークによって各機器が通信を行う。例えば、ネットワークシステム102は、クラウド・コンピューティングを用いて構築されてよい。これにより、管理部7及びユーザーインタフェース部8と、親機6との間では遠隔通信が行われる。
【0020】
検出器1は、各種情報を検出する機器であり、計測器やセンサなどによって構成される。検出器1としては、例えば、人の存在を検出する人感センサ、室内の明るさを検出する照度計、及び電流値を検出する電流計などが採用される(
図2参照)。検出器1は、配線W1を介して、検出情報を検出子機2へ出力する。なお、検出器1は、上述の機器に限定されず、他の計測器やセンサを採用してもよい。例えば、太陽電池などの再生エネルギーに係る発電量を監視する計測器を検出器1として採用してもよい。また、固定蓄電池や車搭載の蓄電池などのパワーコントローラに装置された、電池残量データ出力部を検出器1としてもよい。また、二酸化炭素検出器、一酸化炭素検出器、ダスト検出器などを検出器1としてもよい。
【0021】
検出子機2は、検出器1に対して設けられた子機である。検出子機2は、検出器1から受信した検出情報を電力線通信の信号に変換し、電力線W2を介して親機6へ出力する。検出子機2は、一つの検出器1に対して、一対一の対応関係にて設けられる。例えば、階層FN内に複数の検出器1が存在している場合、各検出器1に対して一個ずつ検出子機2が設けられる。
図2に示す例では、電流計に対して専用の検出子機2が設けられ、人感センサに対して専用の検出子機2が設けられ、照度計に対して専用の検出子機2が設けられる。人感センサが複数存在している場合、それぞれの人感センサに対して、一個ずつ専用の検出子機2が設けられる。検出子機2は、対象となる検出器1に近接する位置に設けられる。検出子機2は、対象となる検出器1に接続された電力線上に設けられることで、対象となる検出器1との間で、物理的に一対一の関係が成り立っている。なお、検出子機2と検出器1とは、一つの機器として構築されていてもよい。この場合、一つの機器の中に、検出子機2として機能するユニットと、検出器1として機能するユニットが設けられている。また、両者が、一つの機器内で配線W1で接続される。検出器1と検出子機2とを接続する配線W1は、信号線によって構成される。なお、検出子機2と検出器1は必ずしも一対一の関係でなくともよく、例えば、複数の検出器1から一つの検出子機2へ情報を送信する構成が採用されてもよい。
【0022】
図3(a)を参照して、検出子機2の詳細なブロック構成について説明する。検出子機2は、通信部11と、処理部12と、記憶部13と、を備える。通信部11は、親機6及び検出器1と通信を行うユニットである。通信部11は、検出器1からの検出情報を受信する回路を有する。また、通信部11は、検出器1からの検出情報を親機6に対する電力線通信の信号に変換するための回路を有する。処理部12は、検出子機2全体の動作を制御するユニットである。処理部12は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。
【0023】
記憶部13は、検出子機2の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部13は、例えばROM(Read Only Memory)などの不揮発性の記憶素子、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの書換え可能な不揮発性の記憶素子、及び、ワーキングメモリとなる例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶素子を備えて構成される。例えば、記憶部13は、建物BD内における検出子機2の位置を示すアドレスを記憶している。
【0024】
制御対象設備3は、エネルギーマネージメントシステム100による制御の対象となる設備である。制御対象設備3としては、例えば、室内の照度を調整可能な照明(LED照明など)、及び室内の温度を調整する空調などが採用される(
図2参照)。制御対象設備3は、配線W3を介して、制御子機4から制御情報を受信する。なお、制御対象設備3は、上述の機器に限定されず、他の設備を採用してもよい。
【0025】
制御子機4は、制御対象設備3に対して設けられた子機である。制御子機4は、親機6から受信した電力線通信の信号による制御情報を制御対象設備3で処理可能な信号に変換し、配線W3を介して制御対象設備3へ出力する。制御子機4は、一つの制御対象設備3に対して、一対一の対応関係にて設けられる。例えば、階層FN内に複数の制御対象設備3が存在している場合、各制御対象設備3に対して一個ずつ制御子機4が設けられる。
図2に示す例では、複数の照明に対してそれぞれ専用の制御子機4が一個ずつ設けられ、複数の空調に対してそれぞれ専用の制御子機4が一個ずつ設けられる。制御子機4は、対象となる制御対象設備3に近接する位置に設けられる。制御子機4は、対象となる制御対象設備3に接続された電力線上に設けられることで、対象となる制御対象設備3との間で、物理的に一対一の関係が成り立っている。なお、制御子機4と制御対象設備3とは、一つの機器として構築されていてもよい。例えば、子機付きのLED照明などが採用されてよい。この場合、一つの機器の中に、制御子機4として機能するユニットと、制御対象設備3として機能するユニットが設けられている。また、両者が、一つの機器内で配線W3で接続される。制御子機4は、対象となる制御対象設備が接続されたものと同一の電力線上に設けられてよく、この場合、配線W3は、電力線によって構成される。あるいは、制御子機4は、対象となる制御対象設備とは別の電力線に接続されてよく、この場合、配線W3は、信号線によって構成される。なお、制御子機4と制御対象設備3は必ずしも一対一の関係でなくともよく、例えば、複数の制御対象設備3が一つの制御子機4から制御情報を受信する構成が採用されてもよい。
【0026】
制御子機4は、親機6からの制御情報に基づいて、制御対象設備3の出力の強弱を調整する。例えば、制御子機4は、照明の照度の強弱を調整するように、照明に対する指令信号を生成することができる。制御子機4は、空調の出力の強弱を調整するように、空調に対する指令信号を生成することができる。
【0027】
図3(b)を参照して、制御子機4の詳細なブロック構成について説明する。制御子機4は、通信部14と、処理部16と、記憶部17と、を備える。通信部14は、親機6及び制御対象設備3と通信を行うユニットである。通信部14は、親機6からの電力線通信の信号による制御情報を受信する回路を有する。また、通信部14は、親機6からの電力線通信の信号を制御対象設備3で処理可能な信号に変換するための回路を有する。処理部16は、制御子機4全体の動作を制御するユニットである。処理部16は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。記憶部17は、制御子機4の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部17は、記憶部13で例示したものと同様な記憶素子を備えてよい。例えば、記憶部17は、建物BD内における制御子機4の位置を示すアドレスを記憶している。
【0028】
親機6は、検出子機2から検出情報を受信し、当該検出情報に基づいて制御子機4へ制御情報を送信する機器である。親機6は、電力線通信の信号による検出情報を、電力線W2を介して検出子機2から受信する。親機6は、電力線通信の信号による制御情報を、電力線W4を介して制御子機4へ出力する。親機6は、管理部7によって設定された設定内容、ユーザーインタフェース部8から受信したユーザーの操作内容、及び検出器1で検出された検出情報の少なくともいずれかに基づいて、各制御対象設備3の制御情報を演算する。
【0029】
図3(c)を参照して、親機6の詳細なブロック構成について説明する。親機6は、通信部21と、処理部22と、記憶部23と、を備える。通信部21は、検出子機2、制御子機4、管理部7、及びユーザーインタフェース部8と通信を行うユニットである。通信部21は、検出子機2及び制御子機4と電力線通信を行う回路を有する。また、通信部21は、管理部7、及びユーザーインタフェース部8とクラウドを用いた遠隔通信を行う回路を有する。すなわち、親機6の通信部21は、検出子機2と制御子機4との電力線通信をつかさどるPLC通信部と、クラウド側とのネットワーク通信をつかさどる、LTEなどの無線通信部を含む。処理部22は、親機6全体の動作を制御するユニットである。処理部22は、マイクロプロセッサ、及びその周辺回路などを備えて構成される。処理部22は、各照明及び空調のON/OFFの切替、及び出力の強弱の調整などを制御するための制御情報を演算する。また、処理部22は、管理部7及びユーザーインタフェース部8に対して出力する情報を演算する。
【0030】
記憶部23は、親機6の動作に必要なプログラム、動作に必要な情報などを記憶するユニットである。記憶部23は、記憶部13で例示したものと同様な記憶素子を備えてよい。例えば、記憶部23は、建物BD内における親機6、各検出子機2、及び各制御子機4の位置を示すアドレスを互いに紐付けた状態で記憶している。また、記憶部23は、後述の制御対象設備3のグループ分けの設定情報、及びホッピング経路の設定情報を記憶する。
【0031】
管理部7及びユーザーインタフェース部8は、例えば、PC、スマートフォン、タブレット端末などの通信端末によって構成される。管理部7及びユーザーインタフェース部8は、CPU(Central Processing Unit)、記憶部13と同趣旨の記憶素子、通信用インターフェース、及び入出力インターフェース等から構成される。記憶素子には、各種プログラム又はデータが格納されている。管理部7は、上述のような通信端末に管理者用ソフトをインストールすることによって、管理部7としての機能を発揮することができる。ユーザーインタフェース部8は、上述のような通信端末にユーザー用ソフトをインストールすることによって、ユーザーインタフェース部8としての機能を発揮することができる。ユーザーインタフェース部8は、顧客が見るためのツールとして用いることができる。一方、管理部7は、工事業者、設置業者、販売者側が見るためのツールとして用いることができ、あらゆる細かな制御子機4、検出子機2、親機6の設定変更を可能とするツールである。
【0032】
管理部7は、検出子機2、制御子機4、及び親機6を含む設備システム101に対し、管理者が各種設定、及び監視を行う管理者用のユニットである。管理部7は、管理者がエネルギーマネージメントシステム100の監視、及び各種設定・変更を行うことができるユニットである。管理部7は、LTEなどの無線を通じて、ネットワークを介して親機6から、設備システム101内における各検出器1による検出情報、及び各制御対象設備3に対して行った制御情報を受信する。管理部7は、設備システム101内の各制御対象設備3に対する制御内容を設定すると共に、制御内容を変更することができる。管理部7は、管理者の入力に基づいて、設定する制御内容、又は変更する制御内容の情報を、ネットワークを介して親機6へ出力する。
【0033】
管理部7は、検出子機2、制御子機4、及び親機6のアドレスを紐付けて認識することができる。管理部7は、建物BD内にどのような検出器1、及び制御対象設備3が何個存在するかを管理者に表示することができる。また、管理部7は、各階層にどのような検出器1、及び制御対象設備3が何個存在するかを管理者に表示することができる。また、管理部7は、アドレスを付与された子機2,4が正常に動作、通信できているかを確認する情報を表示することができる。
【0034】
例えば、管理部7は、ディスプレイに管理者用設定画面を表示することができる。管理部7は、初期設定用の画面として、各制御対象設備に対する、ON/OFF条件、及び出力の強弱の調整条件などを個別に入力可能な画面を表示する。また、管理部7は、制御内容、及び各子機2,4の状態を確認できると共に、制御内容の変更内容を入力できる画面を表示する。例えば、管理者は、電力の使用状況を把握し、省エネを図ることができるように、各制御対象設備の制御内容を変更してよい。
【0035】
管理部7は、複数の制御対象設備3の制御上のまとまりに基づいたグループ分けを設定することができる。制御上のまとまりとは、例えばON/OFFの切替、及び出力の強弱の調整をまとめて一括で制御することである。管理部7は、このような一括制御の対象となる制御対象設備3のグループを形成することができる。また、管理部7は、このようなグループ分けを容易に変更することができる。具体的に、管理部7は、
図4に示すように、階層FNのデスクの集合のレイアウトに応じて、複数の制御対象設備3の照明3A~3Hを自由にグループ分けすることができる。
【0036】
図4(a)に示すように、デスクの集合Aが照明3A,3Eに対応する位置に配置され、デスクの集合Bがデスクの集合Aと対向して照明3B,3Fに対応する位置に配置される。また、デスクの集合Cが照明3C,3Gに対応する位置に配置され、デスクの集合Dがデスクの集合Cと対向して照明3D,3Hに対応する位置に配置される。この場合、管理部7は、照明3A,3B,3E,3Fを制御上まとめられたグループG1として設定する。管理部7は、照明3C,3D,3G,3Hを制御上まとめられたグループG2として設定する。この場合、管理部7は、グループG1内の複数の照明3A,3B,3E,3Fを同じ制御内容にて、一括で制御されるように設定することができる。また、管理部7は、グループG2内の複数の照明3C,3D,3G,3Hを同じ制御内容にて、且つ、グループG1から独立して、一括で制御されるように、設定することができる。
【0037】
図4(b)に示すように、デスクの集合Aが照明3A,3Bに対応する位置に配置され、デスクの集合Bがデスクの集合Aと長手方向に隣合うように照明3C,3Dに対応する位置に配置される。また、デスクの集合Cが照明3E,3Fに対応する位置に配置され、デスクの集合Dがデスクの集合Cと長手方向に隣合うように照明3G,3Hに対応する位置に配置される。この場合、管理部7は、照明3A,3B,3C,3Dを制御上まとめられたグループG1として設定する。管理部7は、照明3E,3Fを制御上まとめられたグループG2として設定する。また、管理部7は、デスクの集合Dに対応する照明3G,3Hを制御上、独立した照明として設定する。この場合、管理部7は、グループG1内の複数の照明3A,3B,3C,3Dを同じ制御内容にて、一括で制御されるように設定することができる。また、管理部7は、グループG2内の複数の照明3E,3Fを同じ制御内容にて、且つ、グループG1から独立して、一括で制御されるように、設定することができる。また、管理部7は、照明3G,3Hを他の照明から独立した制御内容にて制御されるように、設定することができる。
【0038】
管理部7は、複数の検出子機2及び制御子機4の少なくともいずれかの間において、信号のホッピング経路を設定する。ホッピング経路とは、特定の子機2,4に対して、他の子機2,4が中継点として信号を送信することで形成される経路である。ホッピングは、親機6から子機2,4へデータが届かないとき、または子機2,4から親機6にデータが届かないときに用いられる、子機2,4及び親機6に備えられた機能である。ホッピングが必要となるときには、管理者が遠隔で親機6内のパラメータを変更したり、親機6から更に電力線通信でデータが届く範囲でデータホッピングをするためのフラグを立てることによってホッピングの設定を行う。例えば、
図5に示す例では、制御子機4A,4B間にホッピング経路HP1が形成され、制御子機4B,4C間にホッピング経路HP2が形成され、制御子機4C,4D間にホッピング経路HP3が形成される。なお、
図5では、理解を容易にするために、ホッピング経路HP1~HP3を仮想的な矢印線で示しているが、ホッピング経路HP1~HP3を流れる信号は、制御子機4間の電力線W4を流れる。
【0039】
例えば、親機6が制御子機4Dへ制御情報の信号を送信するとき、親機6は、電力線W4を介して直接制御子機4Dへ信号を送信することに代えて、制御子機4D用の制御情報の信号を制御子機4Aへ送信する。そして、制御子機4Aは、制御子機4Bへ信号を送信する(ホッピング経路HP1)。次に、制御子機4Bは、制御子機4Cへ信号を送信する(ホッピング経路HP2)。次に、制御子機4Cは、制御子機4Dへ信号を送信する(ホッピング経路HP3)。これにより、制御子機4Dは、他の制御子機4A,4B,4Cを中継点として、親機6からの制御情報の信号を受信することができる。親機6は、他の制御子機4B,4Cに対しても同趣旨の方法にて、制御情報の信号を送信することができる。
【0040】
検出子機2に対しても同趣旨のホッピング経路が設定される。この場合、特定の検出子機2が検出情報の信号を出力したら、他の検出子機2を中継点として、ホッピング経路を介して、親機6へ送信される。なお、管理部7は、制御子機4間にホッピング経路を設定し、且つ、検出子機2間にホッピング経路を設定してもよく、一方のホッピング経路を省略してもよい。また、管理部7は、いずれかの制御子機4と、何れかの検出子機2との間でホッピング経路を設定してもよい。
【0041】
ユーザーインタフェース部8は、設備システム101に対し、ユーザーが操作、及び監視を行うことを可能とするユニットである。ユーザーインタフェース部8は、ユーザーがエネルギーマネージメントシステム100の監視、及び各種操作を行うことができるユニットである。ユーザーインタフェース部8は、ネットワークを介して親機6から、設備システム101に関するユーザー用情報を受信する。ユーザーインタフェース部8は、設備システム101に対する操作内容の情報を、ネットワークを介して親機6へ出力する。ユーザーインタフェース部8は、設備システム101に関する情報をユーザー用にカスタムして、ディスプレイに表示する。
【0042】
例えば、ユーザーインタフェース部8は、建物BD(または各階層)での電力消費量の推移を表示してよい。このとき、ユーザーインタフェース部8は、日、月、年単位での電力消費量を表示してよい。また、ユーザーインタフェース部8は、特定の制御対象設備3の制御開始と制御終了のタイミングを表示してよい。ユーザーインタフェース部8は、太陽電池の発電量、建物BDでの電力使用量、充電量などを表示してもよい。ユーザーが、制御内容のうち、ユーザーによる変更が許容されている部分について変更する旨の操作を行った場合、ユーザーインタフェース部8は、当該変更内容を親機6に送信する。
【0043】
次に、本実施形態に係るエネルギーマネージメントシステム100の作用・効果について説明する。
【0044】
本実施形態に係るエネルギーマネージメントシステム100では、検出子機2が検出器1に対して設けられ、制御子機4が制御対象設備3に対して設けられている。また、検出子機2及び制御子機4と、親機6との間では電力線通信が行われる。このような構成によれば、管理対象エリア(建物BD)における既存の電力線のシステムに対し、親機6及び子機2,4(または子機付きの制御対象設備)を設置するだけで、容易にエネルギーマネージメントシステム100を導入することが可能となる。
【0045】
例えば、比較例として、建物BD内の全ての照明を調光対応の専用の照明に入れ替え、且つ、既存の電力線とは別の通信線を敷設して、当該通信線によって照明と親機を接続するエネルギーマネージメントシステムを挙げる。このようなエネルギーマネージメントシステムは、全ての照明を入れ替え、且つ、全ての照明に対する通信線の敷設が必要となるため、施工費用が増大し、工事期間も長期化してしまう。別の比較例として、建物BD内の全ての照明を無線対応の専用の照明に入れ替え、且つ、各フロアに無線の送信機を設置し、既存の電力線とは別の通信線を敷設して、当該通信機で各フロアの送信機と親機を接続するエネルギーマネージメントシステムを挙げる。このようなエネルギーマネージメントシステムは、全ての照明を高価な無線用の照明に入れ替え、且つ、各フロアに送信機を設置し、通信線の敷設が必要となるため、施工費用が増大し、工事期間も長期化してしまう。これに対し、本実施形態に係るエネルギーマネージメントシステムは、分電盤10と検出器1及び制御対象設備3とを接続する既設の電力線に対して、親機6及び子機2,4を設置するだけで導入可能である。よって、施工費用及び工事期間を短縮することができる。この作業は、照明の交換と合わせて子機を取り付けるだけの簡単な作業で完了する。
【0046】
また、管理部7及びユーザーインタフェース部8と、親機6との間では遠隔通信が行われる。そのため、管理者は、遠隔地から、設備システム101に対して各種設定、及び監視を行うことができる。また、ユーザーは、遠隔地から操作、及び監視を行うことができる。このように、管理者及びユーザーが、現地まで行くこと無く、遠隔地から容易に運用を行うことができる。以上より、エネルギーマネージメントシステム100の導入及び運用を容易に行うことができる。
【0047】
制御子機4は、親機6からの制御情報に基づいて、制御対象設備3の出力の強弱を調整してよい。この場合、制御子機4は、制御対象設備3のON/OFFの切替の制御のみならず、例えば照明の明るさの調整、空調の強度の調整、または蓄電池の放電や充電の調整などを行うことができる。
【0048】
管理部7は、検出子機2、制御子機4、及び親機6のアドレスを紐付けて認識してよい。この場合、管理者は、遠隔地から、管理対象となる親機6、及び子機2,4をまとめて監視することが可能となる。
【0049】
管理部7は、複数の制御対象設備3の制御上のまとまりに基づいたグループ分けを設定してよい。この場合、管理部7は、グループ分けを自由に設定することで、管理対象エリア(建物BD)の状況に合わせて、複数の制御対象設備3をまとめて制御することができる。
【0050】
管理部7は、複数の検出子機2及び制御子機4の少なくとも何れかの間で信号のホッピング経路を設定してよい。ここで、ホッピングとは、電力線通信信号の強度が十分でないときに、信号を受けた制御子機4あるいは、検出子機2が十分な強度で、通信のリピータを行う機能である。従って、管理部7がホッピング経路を設定することで、電力線上での信号の混線、減衰などを抑制することができる。
【0051】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、エネルギーマネージメントシステム100の構成は、
図1に示すような構成に限定されるものではない。例えば、
図1では、ユーザーインタフェース部8は、直接親機6と情報のやりとりを行っているが、これに代えて、管理部7を経由して、親機6と情報のやりとりを行ってもよい。
【0053】
親機6は、外部情報受信部を備え、受信した外部情報に基づいて、制御対象設備3を制御してよい。
図3(c)の通信部21によって外部情報受信部が構成されてよい。この場合、親機6は、外部の状況に応じて、制御対象設備3を適切に制御することができる。なお、親機6は、ホッピングの制御子機4、検出子機2に対する設定も、電力線通信を使って行うことができる。
【0054】
例えば、
図6に示すエネルギーマネージメントシステム100が採用されてもよい。このエネルギーマネージメントシステム100では、電力会社200(または新電力会社)が、その日の電力使用量、発電量を予測し、各戸に節電や蓄電の要請を送る。各戸では、親機6が、電力会社からの要請に応じて制御対象設備を制御する。
【0055】
また、
図7に示すエネルギーマネージメントシステム100が採用されてもよい。このエネルギーマネージメントシステム100では、複数のグリッドが1つのクラウドで連携して電力使用量、発電量情報を共有している。グリッドGR1の親機6は、他グリッドGR2,GR3…での状況に応じて、制御対象設備3を制御する。
【符号の説明】
【0056】
1…検出器、2…検出子機、3…制御対象設備、4…制御子機、6…親機、7…管理部、8…ユーザーインタフェース部、100…エネルギーマネージメントシステム、101…設備システム。