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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039196
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】デジタルエンボスの作成方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 59/00 20060101AFI20230313BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20230313BHJP
   C09D 11/30 20140101ALI20230313BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 3/06 20060101ALI20230313BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230313BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230313BHJP
   B41M 3/06 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
B29C59/00 D
C09D11/101
C09D11/30
B05D7/24 301M
B05D7/24 301T
B05D1/26 Z
B05D3/00 D
B05D3/06 Z
B41M5/00 120
B41J2/01 129
B41J2/01 501
B41J2/01 401
B41M3/06 C
B41M5/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146236
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】金城 潤
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 光紀
(72)【発明者】
【氏名】中島 興範
(72)【発明者】
【氏名】明瀬 拓哉
【テーマコード(参考)】
2C056
2H113
2H186
4D075
4F209
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC14
2C056EC36
2C056EC72
2C056EE17
2C056FC01
2C056HA44
2H113AA01
2H113BA18
2H113BA29
2H113BB02
2H113BB07
2H113BB10
2H113BB12
2H113BC02
2H113DA03
2H113DA06
2H113DA15
2H113DA35
2H113DA47
2H113DA52
2H113DA53
2H113DA56
2H113DA57
2H113DA62
2H113FA10
2H113FA23
2H113FA43
2H113FA45
2H186AB11
2H186BA08
2H186DA09
2H186FA08
2H186FB04
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB34
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB44
2H186FB46
2H186FB48
4D075AC06
4D075AC09
4D075AC91
4D075AC92
4D075AC94
4D075AC96
4D075AE03
4D075BB42Z
4D075CA47
4D075CA48
4D075CB21
4D075CB34
4D075DC38
4D075EA21
4D075EA33
4D075EB14
4D075EB22
4D075EB24
4D075EB35
4D075EB37
4D075EB38
4D075EB43
4D075EB51
4D075EC35
4F209AA44
4F209AC05
4F209AF01
4F209AG05
4F209PA11
4F209PB01
4F209PJ06
4F209PN01
4F209PN09
4J039AD21
4J039BC19
4J039BC31
4J039BC33
4J039BE22
4J039EA48
4J039GA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エンボス表面を形成させるために、エッチング工程やブラッシング工程を必要とせず、オンデマンドにより、かつ、公知の装置によるインクジェット印刷によって、任意の範囲及び凸部形状にでき、更により繊細でシャープな凸部を形成でき、凹凸部が明確なエンボス模様を形成できる方法を提供する。
【解決手段】活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物によるデジタルエンボスの作成方法であって、下記条件1及び条件2を満たすデジタルエンボスの作成方法。
条件1:第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、14.0cps(25℃)以上
条件2:(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物によるデジタルエンボスの作成方法であって、
基材表面上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴によって第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第一層を形成し、
次いで、第一層上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第二層を形成する、
デジタルエンボスの形成方法であり、
更に、下記条件1及び条件2を満たすデジタルエンボスの作成方法。
条件1:第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、14.0cps(25℃)以上
条件2:(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上
【請求項2】
条件3:(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(基材表面の表面張力)が-15.0mN/m以上である請求項1に記載のデジタルエンボスの作成方法。
【請求項3】
基材表面の表面張力が22.0~40.0mN/m、硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力が22.0~29.0mN/m、硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力が26.0~34.0mN/mである請求項1又は2に記載のデジタルエンボスの作成方法。
【請求項4】
第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物をそれぞれ着弾させた後、それぞれの塗膜に対して活性エネルギー線を照射しピニング硬化するまでの時間が0.5秒以内である請求項1~3のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
【請求項5】
第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、それぞれ独立して、単官能光重合性化合物、多官能光重合性化合物、及び界面活性剤を含有する請求項1~4のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
【請求項6】
第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の膜厚と、第二層活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の膜厚の合計が、80.0μm以上である請求項1~5のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
【請求項7】
第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物が、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、及びアミン変性アクリレートモノマーから選ばれた1種以上を含有する請求項1~6のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルエンボスの作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷物に立体的に加飾印刷して、箔や部分コートニス、テクスチャをグラフィックデザインに追加することにより、視角及び触覚により、更に艶やかで輝きがあり、触れた際には特に立体感を感じることができ、ダイナミックで人目を引いて、触れたくなるような画像が得られることは知られている。
例えば、特許文献1には、硬化性のインク組成物によるものではないものの、クリアインクにより簡易に本物らしい木目柄を表現することが記載されている。
しかし、この場合、クリアニスの厚膜形成に制限がある。
また、特許文献2には、硬化性ゲル組成物を使用して隆起画像を形成し、デジタルエンボス加工する方法が記載されている。そして、得られた隆起画像の高さが40~60μmである旨、更に実施例及びその結果を示す図1及び2によれば、特定の組成の組成物を使用して、高さ2mm程度の凸部も形成できることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009―173003号公報
【特許文献2】特開2019-181937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、エンボス表面を形成させるために、エッチング工程やブラッシング工程を必要とせず、オンデマンドにより、かつ、公知の各種のインクジェット印刷装置によって、任意の範囲及び凸部形状にでき、更により繊細でシャープな凸部を形成でき、凹凸部が明確なエンボス模様を形成できる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物によるデジタルエンボスの作成方法であって、
基材表面上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴によって第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第一層を形成し、
次いで、第一層上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第二層を形成する、
デジタルエンボスの形成方法であり、
更に、下記条件1及び条件2を満たすデジタルエンボスの作成方法。
条件1:第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、14.0cps(25℃)以上
条件2:(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上
2.条件3:(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(基材表面の表面張力)が-15.0mN/m以上である1に記載のデジタルエンボスの作成方法。
3.基材表面の表面張力が22.0~40.0mN/m、硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力が22.0~29.0mN/m、硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力が26.0~34.0mN/mである1又は2に記載のデジタルエンボスの作成方法。
4.第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物をそれぞれ着弾させた後、それぞれの塗膜に対して活性エネルギー線を照射しピニング硬化するまでの時間が0.5秒以内である1~3のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
5.第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、それぞれ独立して、単官能光重合性化合物、多官能光重合性化合物、及び界面活性剤を含有する1~4のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
6.第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の膜厚と、第二層活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の膜厚の合計が、80.0μm以上である1~5のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
7.第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物が、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、及びアミン変性アクリレートモノマーから選ばれた1種以上を含有する1~6のいずれかに記載のデジタルエンボスの作成方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、エンボス表面を形成させるために、エッチング工程やブラッシング工程を行うのではなく、重ねたインク組成物により、繊細でドットの高さが十分に高いデジタルエンボスを得ることができる。なお、デジタルエンボスとは、インクジェット方式による塗布装置を使用して対象の基材上に凸部を形成する方法をいう。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物によるデジタルエンボスの作成方法であって、以下の要件を満たすことを必須とする。
活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物によるデジタルエンボスの作成方法であって、
基材表面上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴によって第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第一層を形成し、
次いで、第一層上に1滴あたりの量が10.0pl以上の液滴の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、活性エネルギー線を照射しピニング硬化し第二層を形成する、
デジタルエンボスの形成方法であり、
更に、下記条件1及び条件2を満たすデジタルエンボスの作成方法。
条件1:第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度は、14.0cps(25℃)以上
条件2:(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上
【0008】
<粘度>
本発明における粘度は、B型粘度計を用い、25℃で、60rpmの条件で粘度(単位cps)を測定した値である。
【0009】
<表面張力>
協和界面化学株式会社 自動表面張力計DY-300にて測定した。
本発明における表面張力は、25℃におけるものである。
【0010】
<活性エネルギー線>
本発明における活性エネルギー線は、下記の活性エネルギー線硬化性成分を硬化できる光線であれば良く、紫外線、電子線、α線、β線及びγ線等である。
【0011】
<活性エネルギー線硬化性成分>
本発明中の第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物が含有する活性エネルギー線硬化性成分(全重合性成分)は、下記の各化合物のいずれか1種以上である。
そして、下記の各化合物のなかでも、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、及びアミン変性アクリレートモノマーから選ばれた1種以上を含有することが好ましい。さらにこれらの化合物を含有することが、さらに良好な接着性と凹凸が大きいエンボスを形成しやすくなる。またオリゴマーを含有しても良く、含有しなくても良い。
また上記脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートとして、イソボルニルアクリレート及び/又はtert-ブチルシクロヘキシルアクリレートを含有することが好ましい。このときの全重合性成分中のイソボルニルアクリレート及びtert-ブチルシクロヘキシルアクリレートの合計含有量としては、25.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましい。また90.0質量%以下が好ましく、85.0質量%以下がより好ましい。
全重合性成分中の脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートの合計含有量としては、15.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以上がより好ましく、60.0質量%以上が更に好ましく、80.0質量%以上が最も好ましい。また93.0質量%以下が好ましく、90.0質量%以下がより好ましい。
さらにアミン変性アクリレートモノマーを含有するときの、全重合性成分中のアミン変性アクリレートモノマーの含有量は、8.0質量%以上が好ましく、30.0質量%以下がより好ましく、25.0質量%以下がさらに好ましい。
そして、本発明における第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物が含有する活性エネルギー線硬化性成分は、同じ化合物のモノマー及びオリゴマーであることが、第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を硬化させてデジタルエンボスを作成する際に、より細かい凸部を形成させることができる点において好ましい。そしてこの際には、第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、重合性成分以外の成分の化合物や含有量の点において異なる。
【0012】
-不飽和カルボン酸系化合物-
不飽和カルボン酸系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩及びそれらの酸無水物等が挙げられる。
【0013】
-アルキル(メタ)アクリレート系化合物-
アルキル(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、さらに、脂環式アルキル基含有(メタ)アクリレートとして、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
-ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-エチルヘキシルEO変性(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールEO変性アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール変性(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0015】
-ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物-
ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノール3EO(エチレンオキサイド)付加(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
-エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、1,3-ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO繰返し単位数400、700等)、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート(エトキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート(エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート等)、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、等のアルコキシ及び又はフェノキシ系(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0017】
-カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキ
シエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲ
ンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタ
レート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート
等が挙げられる。
【0018】
-ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸-2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル等が挙げられる。
【0019】
-その他の(メタ)アクリレート系化合物-
その他の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、アクリロイルモルホリン、アミン変性アクリレートモノマーとして、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等や、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-メタクリロキシプロパン、アクリロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イミドアクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、マレイミド等が挙げられる。
【0020】
-スチレン系化合物-
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p-ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-t-ブトキシスチレン、p-t-ブトキシカルボニルスチレン、p-t-ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
-N-ビニル系化合物-
N-ビニル系化合物としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニルカルバゾール等が挙げられる。
-アリレート系化合物-
アリレート系化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート等が挙げられる。
【0021】
-その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物-
エチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物として、前記化合物以外の「その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物」を用いることができる。
そのような化合物としては、例えば、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、三員環化合物類(例えば、ビニルシクロプロパン類、1-フェニル-2-ビニルシクロプロパン類、2-フェニル-3-ビニルオキシラン類、2,3-ジビニルオキシラン類等)、環状ケテンアセタール類(例えば、2-メチレン-1,3-ジオキセパン、ジオキソラン類、2-メチレン-4-フェニル-1,3-ジオキセパン、4,7-ジメチル-2-メチレン-1,3-ジオキセパン、5,6-ベンゾ-2-メチレン-1,3-ジオキセパン等)等が挙げられる。
【0022】
(エチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、公知のエチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物を用いることができる。
このようなエチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物としては、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(100)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(700)ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールビス(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノベンゾエート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、(メタ)アクリル酸ビニロキシアルキル、ビニロキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、例えば、エトキシ化1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートであってもよい前記エチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物のアルコキシ化物(例えば、エトキシ化、プロポキシ化、ブトキシ化物等)等が挙げられる。
【0023】
また、例えば、エチレンオキサイド(EO)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)ア
クリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、PO変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールPO(プロピレンオキサイド)変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であってもよい前記エチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物のアルキレンオキサイド変性物(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)の1種以上を用いることができる。
また、例えば、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上であってもよい前記エチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物のカプロラクトン変性物の1種以上を用いることができる。
【0024】
(エチレン性不飽和結合を3つ備えた化合物)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、公知のエチレン性不飽和結合を3つ備えた化合物を含有させることができる。
このようなエチレン性不飽和結合を3つ備えた化合物としては、公知のものを制限なく使用することができ、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、1,3,5-トリ(メタ)アクリロイルヘキサヒドロ-s-ト
リアジン、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリプロピオネート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート等が挙げられる。
また、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε-カプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の前記3官能モノマーのエトキシ化、プロポキシ化、ブトキシ化等のアルコキシ化物、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性物、カプロラクトン変性物等が挙げられる。
【0025】
(エチレン性不飽和結合を4つ以上備えた化合物)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、公知のエチレン性不飽和結合を4つ以上備えた化合物を用いることができる。
このようなエチレン性不飽和結合を4つ以上備えた化合物としては、公知のものを制限
なく使用することができ、例えば、エチレン性不飽和結合を4つ備えた化合物、エチレン性不飽和結合を5つ備えた化合物、エチレン性不飽和結合を6つ備えた化合物及びエチレン性不飽和結合を7つ以上備えた化合物が挙げられる。
エチレン性不飽和結合を4つ以上備えた化合物としては、例えば、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステルテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の前記4官能以上のモノマーのエトキシ化、プロポキシ化、ブトキシ化等のアルコキシ化物、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド変性物、カプロラクトン変性物等が挙げられる。
【0026】
<エポキシ化植物油(メタ)アクリレート化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物には、公知のエポキシ化植物油(メタ)アクリレート化合物を含有させることもできる。エポキシ化植物油(メタ)アクリレートは、植物油を由来とするものであることから、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物におけるバイオマス成分の量を増加させることが可能である。
エポキシ化植物油(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ化植物油を(メタ)アクリル変性することにより得られるものであって、例えば、不飽和植物油の二重結合を過酢酸、過安息香酸等の酸化剤によりエポキシ化したエポキシ化植物油のエポキシ基に、(メタ)アクリル酸を開環付加重合させた化合物等が挙げられる。
【0027】
(オリゴマー又はポリマー)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、公知のエチレン性不飽和結合を備えたポリマー又はオリゴマーを含有することができる。
エチレン性不飽和結合を備えたポリマー又はオリゴマーとしては、(メタ)アクリロイル基やビニル基等からなる群より選ばれる1種以上のエチレン性不飽和結合を1つ以上有するものが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を備えたポリマー又はオリゴマーとしては、例えば、ポリジアリルフタレート、ネオペンチルグリコールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、ポリエステルウレタンジアクリレートオリゴマー等のウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等のポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル系樹脂、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン、アクリル変性フェノール系樹脂、アクリル化アミン化合物のオリゴマー等が挙げられる。
なお、植物油変性多官能ポリエステルオリゴマーを含有させてもさせなくても良い。
【0028】
(その他のエチレン性不飽和結合を有しない樹脂)
その他のエチレン性不飽和結合を有しない樹脂としては、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に付与する特性、特に、適度な粘弾性特性やインク組成物構成時の印刷特性等に応じて、性能が低下しない範囲で公知のものを特に制限なく用いることができる。
その他のエチレン性不飽和結合を有しない樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、ブロックポリマー、グラフトポリマー(コアシェルポリマー)、アクリル変性フェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、ロジン変性アルキド系樹脂、ロジン変性石油系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル系樹脂、脂肪酸変性ロジン系樹脂、石油系樹脂変性フェノール系樹脂、アルキド系樹脂、植物油変性アルキド系樹脂、石油系樹脂、炭化水素系樹脂(ポリブテン及びポリブタジエン等)、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂ワックス等)、ケトン樹脂等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
特に好ましくは、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル-スチレン共重合体系樹脂等)、スチレン系樹脂(スチレン-アクリル酸エステル共重合体系樹脂等)、ロジン変性フェノール系樹脂、ロジン変性アルキド系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンエステル系樹脂、脂肪酸変性ロジン系樹脂、アルキド系樹脂、植物油変性アルキド系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
このような樹脂としては、重量平均分子量は500~300,000のものが好ましい。また、活性エネルギー線を照射した際の速乾性の観点等から、酸価が1~100mgKOH/gであることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物が上記の樹脂成分を含む場合には、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物中の樹脂成分の含有量を0~30.0質量%、好ましくは0~20.0質量%とすることができる。
なお、シリコーン構造を有するアクリレートプレポリマーを含有させても良く、含有させなくても良い。
【0029】
<重合開始剤>
活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、公知の重合開始剤を含んでいてもよい。
重合開始剤は、活性エネルギー線の照射を受けてラジカル等の活性種を発生させ、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の重合を開始させるものであれば特に限定されず、例えば、レドックス開始剤、熱重合開始剤、光重合開始剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。なお、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を電子線により硬化させる際には、必ずしも重合開始剤を含有させる必要はない。
レドックス開始剤は、過酸化物と還元剤を組み合わせることで温和な条件下の酸化還元反応によって重合開始機能を発揮するものである。
熱重合開始剤又は光重合開始剤は、それぞれ、活性エネルギー線(赤外線、紫外線、LED、電子線等)の照射を受けてラジカルを発生させて重合開始機能を発揮するものである。
【0030】
重合開始剤は、用途や目的等に応じて適宜選択され、通常は、光重合開始剤を用いることが好ましいが、毒性について検討が必要な場合には、潜在的な毒性が高い熱重合開始剤及び光重合開始剤よりも、比較的毒性が低いレドックス開始剤を用いることもできる。
これらの中でも、発光ダイオード(LED)を光源とした紫外線に対する硬化性を良好にすることができる点から、450~300nmの波長にわたって光吸収特性を有し、その範囲の波長の光により硬化反応(ラジカル重合)の開始剤機能を発現することができる光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、トリアジン系化合物、芳香族ケトン系化合物、芳香族オニウム塩系化合物、有機過酸化物、チオキサントン系化合物、チオフェニル系化合物、アントラセン系化合物、ヘキサアリールビスイミダゾール系化合物、ケトオキシムエステル系化合物、ボレート系化合物、アジ
ニウム系化合物、メタロセン系化合物、活性エステル系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物及びアルキルアミン系化合物、ヨードニウム塩系化合物及びスルフォニウム塩系化合物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドやビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン及び2,4-トリクロロメチル(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
更に、例えば、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
このような光重合開始剤として、例えば、BASF社のイルガキュア907、369、184、379、819等、Lamberti社のTPO、DETX等、みどり化学社のTAZ-204等を用いることができる。
インク組成物中における光重合開始剤の含有量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の成分等に応じて適宜定めることができ、例えば活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物中に0.1~25.0質量%、好ましくは0.1~15.0質量%、より好ましくは1.0~15.0質量%である。
インク組成物中における光重合開始剤の含有量が上記の範囲であることにより、インク組成物の十分な硬化性と、良好な内部硬化性やコストとを両立できるので好ましい。
【0031】
<増感剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、本発明による効果を毀損しない範囲において、硬化性を向上させる観点から、増感剤を含んでいてもよい。前記増感剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
その他の増感剤は特に限定されないが、チオキサントン系、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、アントラキノン系、クマリン系などが挙げられる。これらの中でも、特に2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物や、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセンなどのアントラセン系化合物、ミヒラーケトン、4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなど4,4’-ジアルキルアミノベンゾフェノン類等が挙げられる。
また、高分子増感剤でも良く、チオキサントン系高分子増感剤やアシルフォスフィン系高分子増感剤として、Omnipol-TX((2-カルボキシメトキシチオキサントン)-(ポリテトラメチレングリコール250)ジエステル)(数平均分子量:660)(IGM Resins B.V.社製)、及び、SpeedCure 7010(分子量1839)(ランブソン社製)や、Genopol TX-1(数平均分子量:820)(RaHN社製)等、更に、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパン)(Lamberti社製、「ESACURE KIP 150」、「ESACURE1」)、ポリエチレングリコール200-ジ(β-4(4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル)ピペラジン)(IGM社製、「Omnipol 910」)、(2-カルボキシメトキシチオキサントン)-(ポリテトラメチレングリコール250)ジエステル(IGM社製、「Omnipol TX」)、(カルボキシメトキシメトキシベンゾフェノン)-(ポリエチレングリコール250)ジエステル(IGM社製、「Omnipol BP」)等があげられる。これらは単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の全重合性成分の合計量100質量部に対して、増感剤を0.5~10.0質量部となるように含有することが好ましい。そして、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上、最も好ましくは2.0質量部以上であり、より好ましくは6.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、最も好ましくは3.5質量部以下である。
【0032】
<顔料及び染料>
本発明の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物には、それぞれ独立して、顔料や染料を含有させても良く、含有させなくてもよい。含有させない場合には、無色のクリア組成物となる。
顔料としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物で一般的に用いられている各種無機顔料、有機顔料等が使用できる。又はこれらの顔料を含有することなくクリアな組成物でも良い。
具体的には無機顔料として、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。更に、有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等を挙げることができる。酸化チタンや、シリカ及び/又はアルミナからなる処理層を有するルチル型酸化チタン等の白色顔料及びその他の着色顔料でもよい。顔料を含有する際の含有量は、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の総質量に対して1~50質量%である。本発明は、無機顔料である酸化チタンに有用である。
染料としては、各種の公知の染料を含有させることができる。
【0033】
<顔料分散剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物が顔料を含有する場合には、顔料分散剤を使用することが好ましい。
前記顔料分散剤は、顔料の分散性、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の保存安定性を向上させるために使用するもので、従来から使用されているものを特に制限なく使用できるが、その中でも高分子顔料分散剤を使用することが好ましい。前記顔料分散剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
前記高分子顔料分散剤としては、例えば、カルボジイミド系分散剤、ポリエステルアミン系分散剤、脂肪酸アミン系分散剤、変性ポリアクリレート系分散剤、変性ポリウレタン系分散剤、多鎖型高分子非イオン系分散剤、高分子イオン活性剤などが挙げられる。
そのような高分子顔料分散剤としては、BYKJET-9150、BYKJET-9151、BYKJET-9170、DISPERBYK-168、DISPERBYK-190、DISPERBYK-198、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2012、DISPERBYK-2015(BYK社)、SMA1440、SMA2625、SMA17352、SMA3840、SMA1000、SMA2000、
SMA3000(CrayValley社)、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL-JDX5050、EFKA4550、EFKA4560、EFKA4585、EFKA4701、EFKA5220、EFKA6230(BASF社)、SOLSPERSE20000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE36000、SOLSPERSE41000、SOLSPERSE41090、SOLSPERSE43000、SOLSPERSE44000、SOLSPERSE46000、SOLSPERSE47000、SOLSPERSE54000、SOLSPERSE56000(ルーブリゾール社)、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824、アジスパーPB881(味の素ファインテクノ社)等が挙げられる。
【0035】
顔料分散剤の含有量は、顔料の分散性及び活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の貯蔵安定性を高める観点から、顔料合計質量に対して、1.0質量%以上が好ましく、5.0質量%以上がより好ましく、また、100質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましい。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、その他の成分として、重合禁止剤、界面活性剤、有機溶剤、重合禁止剤、保存性向上剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤、増粘剤、保湿剤、pH調整剤等の各種添加剤を含有してもよい。
【0037】
(重合禁止剤)
本発明の光硬化型インクジェット用インク組成物には、保存時の重合を防止する目的で、公知の重合禁止剤を含んでいてもよい。
重合禁止剤としては、例えば、p-メトキシフェノール、カテコール、tert-ブチルカテコール、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール化合物や、ハイドロキノン、アルキル置換ハイドロキノン、フェノチアジン、酢酸トコフェロール、ニトロソアミン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン等が挙げられる。
【0038】
(界面活性剤)
本発明の光硬化型インクジェット用インク組成物には、使用するインクジェットヘッドに応じて、光硬化型インクジェット用インク組成物に使用される公知の界面活性剤が特に制限なく使用でき、例えば、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤が挙げられる。前記界面活性剤の具体例としては、例えば、水酸基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン等のポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサンなどのシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレン系界面活性剤などが挙げられる。前記界面活性剤は単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でもシリコーン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤が含有される場合において、その含有量は特に限定されず、硬化前の第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の表面張力が22.0~35.0mN/mとなる含有量が好ましく、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中に0.10~1.50質量%がより好ましい。
【0039】
前記シリコーン系界面活性剤としては、BYK-307、BYK-315、BYK-331、BYK-333、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-345、BYK-377、BYK-378、BYK-3455(BYK社)などが挙げられる。
【0040】
前記フッ素系界面活性剤としては、F-410、F-444、F-553(DIC社)、FS-65、FS-34、FS-35、FS-31、FS-30(デュポン社)などが挙げられる。
【0041】
前記アセチレン系界面活性剤としては、ダイノール607、ダイノール609、オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020、オルフィンPD-001、オルフィンPD-002W、オルフィンPD-004、オルフィンPD-005、オルフィンEXP.4001、オルフィンEXP.4200、オルフィンEXP.4123、オルフィンEXP.4300(日信化学社)、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG-50、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465(EVONIK社)などが挙げられる。
【0042】
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物中、前記界面活性剤の割合は、インク組成物の表面張力を低下させ、インクジェットヘッドからの吐出安定性を高める観点から、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、そして、配合中に発生するインク組成物中の泡を抑制し、吐出安定性を高める観点から、1.5質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
【0043】
(溶剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は無溶剤で良いが、必要に応じて溶剤を配合できる。前記溶剤としては、エステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤などが挙げられる。また、前記溶剤としては、1気圧下における沸点が150~220℃であるものが挙げられる。前記溶剤は、インク組成物の硬化性、環境問題などの観点から、極力使用されないことが好ましい。前記溶剤の割合は、インク組成物中、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
【0044】
<添加剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物には、必要に応じて種々の機能性を発現させるため、各種の添加剤を添加することができる。具体的には、光安定化剤、紫外線吸収剤、表面処理剤、保存性向上剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、重合禁止剤、可塑剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、保湿剤等が挙げられる。また、ビヒクルとして機能するが硬化性ではない樹脂を配合しても良く、配合しなくても良い。また、溶媒を含有させても良いが、含有しなくても良い。またワックスを添加しても良く、しなくても良い。
【0045】
(保存性向上剤)
保存性向上剤として、N-CH3タイプ、N-Hタイプ、N-ORタイプ等のヒンダードアミンを使用できる。
【0046】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等である。
【0047】
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等である。
【0048】
(消泡剤)
消泡剤は、シリコーン系消泡剤、プルロニック(登録商標)系消泡剤等である。
【0049】
<第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物>
本発明における第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物としては、活性エネルギー線の照射により十分な硬化性を発揮できることに加えて、デジタルエンボスを形成させる対象の基材に対して十分な接着性を有すること、及びその上の層の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物との十分な接着性を有することが必要である。
その上で、条件1である第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度が、14.0cps(25℃)以上であることを満足することが必要である。さらに、30.0cps(25℃)以上が好ましい。また、80.0cps(25℃)以下が好ましく、70.0cps(25℃)以下がより好ましく、60.0cps(25℃)以下が更に好ましい。
及び、基材に対して、条件3である(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(基材表面の表面張力)が-15.0mN/m以上、を満たすことが好ましい。
更に、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に対して、条件2である(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上であることを満たすことが必要である。
第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、これらの条件を満たすことができるように、上記の活性エネルギー線硬化性成分から選択された化合物を含有する。中でも、単官能光重合性化合物、多官能光重合性化合物、及び界面活性剤を含有することが好ましい。
更に、硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力は、22.0mN/m以上であることが好ましく、23.0mN/m以上であることがより好ましく、24.0mN/m以上であることが更に好ましい。また、29.0mN/m以下が好ましく、27.0mN/m以下がより好ましい。
また、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、その塗膜に対して活性エネルギー線を照射しピニング硬化するまでの時間が0.5秒以内であることが好ましい。
【0050】
<第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物>
本発明における第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物としては、活性エネルギー線の照射により十分な硬化性を発揮できることに加えて、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層に対して、十分な接着性を有することが必要である。
また第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層は1層のみである場合もあるが、複数層が形成される場合もある。このときには、積層された第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層同士が十分な密着性を有することも必要である。また、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層を複数層から形成させる場合には、本発明の要件を満たす範囲において、この複数層を構成する各組成物の組成や物性が互いに異なっていても良い。また、複数層を構成する各組成物の少なくとも一部が、同じ組成や物性を有しても良い。
いずれにしても、条件1である第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の粘度が、14.0cps(25℃)以上であることを満足することが必要である。さらに、30.0cps(25℃)以上が好ましくい。また、80.0cps(25℃)以下が好ましく、70.0cps(25℃)以下がより好ましく、60.0cps(25℃)以下が更に好ましい。
更に、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に対して、条件2である(硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)が4.0mN/m以上であることを満たすことが必要であり、6.0mN/m以上であることが好ましく、8.0mN/m以上であることがより好ましく、10.0mN/m以上であることが更に好ましい。4.0mN/m以上であると、条件第1及び2を満たすことと総合して、第一及び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を1回ずつインクジェット印刷して、基材表面からの80μm以上の高さの高いドットを得ることができる。
第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、これらの条件を満たすことができるように、上記の活性エネルギー線硬化性成分から選択された化合物を含有する。中でも、単官能光重合性化合物、多官能光重合性化合物、及び界面活性剤を含有することが好ましい。
更に、硬化前の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力は、26.0mN/m以上であることが好ましく、27.0mN/m以上であることがより好ましく、28.0mN/m以上であることが更に好ましい。また、34.0mN/m以下が好ましく、33.0mN/m以下がより好ましく、32.0mN/m以下が更に好ましい。
また、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、その塗膜に対して活性エネルギー線を照射しピニング硬化するまでの時間が0.5秒以内であることが好ましい。
【0051】
<活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の調製方法>
次に、これらの材料を用いて本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物を製造する方法について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、例えば、湿式サーキュレーションミル、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、DCPミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、ジーナスPY、DeBEE2000等)、パールミル等の分散機を使用して各成分を分散混合し、必要により活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物の粘度を調整して得ることができる。なお、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物は、染料や、顔料と上記顔料分散剤及び上記光重合性モノマーを混合することにより、予めベースインク組成物を得て、そこに所望の組成となるよう上記の成分の残余の分を添加して調製してもよい。又はクリアな組成物にすることもできる。
また、前記の各成分を混合した後にビーズミルや3本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合開始剤、重合禁止剤、ワックス等のその他の添加剤等)を加え、更に他の成分の添加により粘度調整することもできる。
【0052】
<基材表面>
本発明により、デジタルエンボスが作成される対象である基材は、プラスチック、金属、紙、金属以外の無機材料等の1種以上からなる基材であり、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物により塗布(印刷)できる基材であれば良い。また基材には、公知の手段により印刷層、塗膜層、プライマー等の下地層等が形成されていても良く、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の前処理や、化成処理等の下地処理がなされていても良い。またこれらの下地層の形成や下地処理のうち、複数を組み合わせてなされていても良い。本明細書において、基材表面は、直接的に第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層が形成される層であり、上記の基材に対して、任意に上記の印刷層等や下地層が形成されたり、下地処理等がなされた結果の表面である。
中でも印刷層等により、予め模様が形成された基材を採用する場合には、本発明のデジタルエンボスの作成によって、その模様とデジタルエンボスを同調させる等の美観等を向上させることができる。
このような印刷層の形成は、基材の特性や材質等に応じて、任意の手段の印刷方法により行うことができる。
【0053】
そして基材表面であって、直接第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層と接する層の表面は、その表面張力が任意で良い。そして、直接第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層の硬化前の表面張力との関係が、条件3((硬化前の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の表面張力)-(基材表面の表面張力)が-15.0mN/m以上)を満たすことが好ましい。この条件3を満たすことにより、基材表面に対して、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層が十分に馴染んで、同時に十分な接着力により接着できる傾向が強くなる。
そして、基材表面の表面張力は、22.0~40.0mN/mであることが好ましい。なお、このとき、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物からなる層、つまり、インクジェット方式による塗布装置から吐出されて、基材表面に付着し、硬化された層を、さらに十分な高さをもって形成されたものにすることができる。
【0054】
上記の基材の中で使用されるプラスチックとしては、例えば、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系ポリマー(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等)、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、塩化ビニル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィンポリマー、エチレン・プロピレン共重合体ポリマー等)、ポリアミド系ポリマー(例えば、ナイロン、芳香族ポリアミドポリマー等)、ポリスチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体ポリマー等)、ポリイミド系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニルスルフィド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルブチラール系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、及びポリエポキシ系ポリマー、これらのポリマーのブレンド物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
上記の基材の中で使用される金属としては、例えば、アルミニウム、鉄、亜鉛、ニッケル、銅、錫、チタン等の印刷対象として公知の金属や、それらの合金等を採用できる。
上記の基材の中で使用される紙としては、例えば、非コート紙、コート紙、ダンボール紙等、印刷基材として使用されることが公知の紙を採用できる。
上記の基材の中で使用される金属以外の無機基材としては、印刷基材として使用されることが可能な公知のセラミック、陶器、石膏等を採用できる。
【0055】
<デジタルエンボスの形成方法>
本発明におけるデジタルエンボスの形成方法は、基材表面に対して、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物をインクジェット方式による塗布装置(以下「インクジェット印刷できる装置」ともいう)により印刷し、次いでこの印刷層に対してエネルギー線を照射して硬化させる。但し、本発明の方法における1つ1つの液滴を大きくして、事務用や通常の印刷用の装置を使用しないこともできる。
続いて、硬化された第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の印刷層表面に対して、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物をインクジェット印刷できる装置により印刷し、次いでこの印刷層に対してエネルギー線を照射して硬化させる。
このようにして、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を、インクジェット印刷できる装置により1回のみ印刷して、本発明のデジタルエンボスを作成しても良い。しかしながら、より凸部が高い立体模様を得る際には、さらに硬化された第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の印刷層表面に対して、再び第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物をインクジェット印刷できる装置により印刷し、次いでこの印刷層に対してエネルギー線を照射して硬化させる。そしてこのような操作を1~10回繰り返したり、必要により第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を、合計15回まで印刷して第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物により形成された硬化層を重ねて、さらに凸部が高いデジタルエンボスを作成できる。
第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を印刷する際の1つの液滴の大きさは10.0pl以上であり、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物により形成された印刷層の上に、1回以上積層させる第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を印刷する際の1つの液滴の大きさは10.0pl以上である。
さらに、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に関して、それぞれ独立して、インクジェット印刷時の1つの液滴の大きさは、15.0pl以上が好ましく、20.0pl以上がより好ましく、25.0pl以上が更に好ましく、30.0pl以上が最も好ましい。また120.0pl以下が好ましい。
【0056】
このようにしてデジタルエンボスを形成することにより、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の1層分の膜厚と、第二層活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化層の1層分の膜厚の合計を、10.0μm以上にすることができる。
エンボスの凸部の形状は、インクジェット印刷の制御によって任意に形成できる。しかしながら、本発明では、特定の条件でエンボスを形成させることにより、最小の凸部として、その平面の大きさが120μm以下であることが好ましい。
さらに、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物、及び、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を用いたインクジェット印刷により形成されたデジタルエンボスの高さは、基材上の各点に、各インクジェット印刷で吐出された1つ当たりの液滴の容量の合計(pl(ピコリットル))の数値自体に対する、形成されたデジタルエンボスのドット高さ(μm)の数値は、80~110%の範囲という極めて高い値にすることができる。
【0057】
<デジタルエンボスの用途>
本発明により得たデジタルエンボスは、床材や壁材等の内装材、家具、自動車の内装、収納容器等、滑り止め、美観を要する物品等に採用できる。
【実施例0058】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する(表に記載の数値は質量部)。
使用された原料及びその調製方法を以下に示す。
【0059】
<実施例1~7、比較例1~4のデジタルエンボス作成>
表1に示す組成に基づいて、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を得た。さらに表2に示す組成に基づいて、第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を得た。
表1の実施例1の第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物により、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上(表面張力が36mN/m)に第1層のインクジェット印刷を行い、この層に対して紫外線を照射してピニングした。第1層形成時のインク液滴は、液滴1つの容積が35plであった。
次いで、表2の実施例1の第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物により、基材上に第2層のインクジェット印刷を行って、紫外線を照射して、この層を硬化した。この第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物による積層を2回行った。第2層形成時のインク液滴は、液滴1つの容積の平均が35plであった。第2層は2回のインクジェット印刷により積層したので、第2層の各印刷箇所は合計で2回の重ね印刷により積層された箇所であり、35pl×2=70pl分のインク組成物により形成された。結果的に、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物と第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を合計で3層積層した。
同様にして実施例2以降の実施例及び各比較例を行った。
また実施例8は、第1層および第2層で使用したそれぞれのインク組成物が実施例1の場合と同じであるが、第2層を形成するための重ね印刷の回数を上記の2回から7回に増加させ、同時にその7回のインクジェット印刷の各印刷回における液滴を、1滴あたり10plとした例である。
各実施例及び各比較例ともに、ドット状に印刷を行った。
【0060】
IBXA:イソボルニルアクリレート
ACMO:アクリロイルモルフォリン
CN371:アミン変性アクリレートモノマー(サートマー社)
SR217:4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート(サートマー社)
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
CN991:ポリエステルウレタンジアクリレートオリゴマー(サートマー社)
CN2271:ポリエステルアクリレートオリゴマー(サートマー社)
TPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Omnirad-TPO(IGM社))
BYK-377:水酸基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社)
BYK-331:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK社)
BYK-315:ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン(固形分25%)(BYK社)
BYK-381:アクリル系重合体(BYK社)
【0061】
<ドット高さ>
デジタルエンボス後の基材を、基材表面に垂直な面で切断した。その切断面を顕微鏡でみて、100個のエンボスについて、目視にてそれぞれのエンボスの高さ、つまり、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物と第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物の硬化物が積層した部分の高さを測定し、その平均値を求めた。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
各実施例によれば、十分に高い硬化したドットを得ることができた。実施例8のように、第2層を形成させるために、より多くのインクジェットインク組成物により積層させても同様であった。それに対して、条件2を満たさない比較例1、2及び4、及び、第一の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた後、ピニングせずに第二の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物を着弾させた比較例3によれば、十分な高さのドットを得ることができなかった。