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特開2023-39243電子線硬化型インクジェットインク、それを用いた印刷物、および画像形成方法
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  • 特開-電子線硬化型インクジェットインク、それを用いた印刷物、および画像形成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039243
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】電子線硬化型インクジェットインク、それを用いた印刷物、および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/38 20140101AFI20230313BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20230313BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C09D11/38
B41J2/01 501
B41J2/01 127
B41M5/00 120
B41M5/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146305
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川口 彬
(72)【発明者】
【氏名】山本 和義
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EA13
2C056FC01
2C056HA44
2H186FB04
2H186FB11
2H186FB15
2H186FB29
2H186FB36
2H186FB38
2H186FB41
2H186FB44
2H186FB48
2H186FB55
4J039AD21
4J039BC19
4J039BC24
4J039BC31
4J039BC33
4J039BE01
4J039BE22
4J039BE28
4J039CA07
4J039EA08
4J039EA16
4J039EA36
4J039EA46
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】
本発明は、低マイグレーション、耐擦過性に優れ、高画質な印刷画像を、高速で形成可能な電子線硬化型インクジェットインクを提供する。
【解決手段】
分子内に炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する重合性化合物(A)と、成分(A)以外の重合性化合物(B)と、着色剤(C)と、を含有する電子線硬化型インクジェットインク。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する重合性化合物(A)と、成分(A)以外の重合性化合物(B)と、着色剤(C)と、を含有する電子線硬化型インクジェットインク。
【請求項2】
前記成分(A)が、炭素数6以上30以下のカルボン酸(a)と重合性基を有するエポキシ化合物(b)との反応物である請求項1に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
【請求項3】
前記成分(A)が、炭素数6以上30以下のエポキシ化合物(c)と重合性基を有するカルボン酸(d)との反応物である請求項1に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
【請求項4】
電子線硬化型インクジェットインク総量中の前記成分(A)の含有量が0.5~90重量%である、請求項1~3の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
【請求項5】
凝固開始温度が20℃以上100℃未満である請求項1~4の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクを用いた印刷物。
【請求項7】
下記(工程1)~(行程3)を有する画像形成方法。
(工程1)請求項1~5の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクをインクの凝固開始温度以上に加温させる工程
(工程2)請求項1~5の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクの液滴を、吐出ヘッドのノズルから吐出して基材表面に着弾させる工程
(工程3)さらに電子線を照射して、インクを硬化させる工程


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子線硬化型インクジェットインク、それを用いた印刷物、および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタを用いたインクジェット記録方法は、インクの液滴をプリンタから吐出して、これを紙や樹脂フィルム等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この方法は、小型化、高速化が容易であるため近年急速に普及し、産業用途として応用も進んでいる。
【0003】
インクジェットインクの一種として、紫外線を照射することで硬化する紫外線硬化型インクジェットインクが知られている。紫外線硬化型インクジェットインクは、一般に、重合性化合物、光開始剤及び着色剤を含有した組成物である。紫外線硬化型インクジェットインクの液滴を記録媒体の表面に着弾させ、着弾した液滴に紫外線を照射すると、インク中の重合性化合物の反応が進行し、液滴が硬化した硬化膜が記録媒体の表面に形成される。溶剤型、水型と比較して、紫外線硬化型インクジェットインクは高速硬化・基材汎用性といった特徴を備えていることから包装材料への適応が期待されている。
【0004】
しかしながら、紫外線硬化型インクジェットインクを硬化した硬化膜中には未反応の光開始剤や光開始剤の分解物、未反応の重合性化合物等の低分子化合物が残留し、マイグレーションや臭気が問題となっている。そのため、特に、食品包装材料に印刷を行う際は、臭気を発しやすい未反応の光開始剤や光開始剤の分解物の低減が必須となっている。
【0005】
紫外線硬化型インクジェットの優れた高速硬化・基材汎用性を維持したまま、マイグレーションや臭気の問題を解決するインクジェットインクとして、電子線硬化型インクジェットインクがある。
【0006】
電子線硬化型インクジェットインクは、光開始剤を使用することなく、電子線の高エネルギーによってインクの液滴を硬化することができる。したがって、光開始剤由来のマイグレーションや臭気の発生を防止することができる。
【0007】
電子線硬化型インクジェットインクは、このような点を活かすため様々な検討が行われてきた。
【0008】
特許文献1には、着色剤、重合性化合物としてジプロピレングリコールジアクリレート、およびアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルを含有する電子線硬化型インクジェットインクが開示されている。しかし、該インクでカラー印刷を行う場合、各色のインクの液滴を基材に着弾させ、電子線を照射するまでの間に着弾したインクの液滴同士が混ざり、画質の低下が見られた。
【0009】
特許文献2には、電子線硬化型インクジェットインクの着弾したインクの液滴同士が混ざる問題を解決する技術として、三官能以上の多官能化合物を含む光重合性化合物と、炭素数6以上9以下の直鎖アルキルアルデヒド、ゲル化剤とを含有する電子線硬化型インクジェットインクが開示されている。しかし、該インクを食品包装材料に適応すると、反応しない直鎖アルキルアルデヒド及びゲル化剤が食品にマイグレーションする可能性があり、低マイグレーション化が不十分であった。また、直鎖アルキルアルデヒドが重合性化合物の反応性を阻害し、硬化膜の耐擦過性も不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6477113号公報
【特許文献2】特開2019-104845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、低マイグレーション、耐擦過性に優れ、高画質な印刷画像を、高速で形成可能な電子線硬化型インクジェットインクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は以下の[1]~[7]に関する。なお、本願において「(数値1)~(数値2)」は上下限値を含むことを示す。
[1]
分子内に炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する重合性化合物(A)と、成分(A)以外の重合性化合物(B)と、着色剤(C)と、を含有する電子線硬化型インクジェットインク。
[2]
前記成分(A)が、炭素数6以上30以下のカルボン酸(a)と重合性基を有するエポキシ化合物(b)との反応物である前項[1]に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
[3]
前記成分(A)が、炭素数6以上30以下のエポキシ化合物(c)と重合性基を有するカルボン酸(d)との反応物である前項[1]に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
[4]
電子線硬化型インクジェットインク総量中の前記成分(A)の含有量が0.5~90重量%である、前項[1]~[3]の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
[5]
凝固開始温度が20℃以上100℃未満である前項[1]~[4]の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインク。
[6]
前項[1]~[5]の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクを用いた印刷物。
[7]
下記(工程1)~(行程3)を有する画像形成方法。
(工程1)前項[1]~[5]の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクをインクの凝固開始温度以上に加温させる工程
(工程2)前項[1]~[5]の何れか一項に記載の電子線硬化型インクジェットインクの液滴を、吐出ヘッドのノズルから吐出して基材表面に着弾させる工程
(工程3)さらに電子線を照射して、インクを硬化させる工程
【発明の効果】
【0013】
本発明は、低マイグレーション、耐擦過性に優れ、高画質な印刷画像を、高速で形成可能な電子線硬化型インクジェットインクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】合成例1のH-NMRチャートを示す。
図2】実施例1の凝固開始温度測定チャートを示す。
図3】比較例1の凝固開始温度測定チャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「C.I.」とは、カラーインデックスの略語である。また、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。さらに本明細書中、「%」及び「部」数については、特に断りのない限り、いずれも重量基準で記載する。
【0016】
[電子線硬化型インクジェットインク]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、分子内に炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する重合性化合物(A)(以下、単に「成分(A)」ともいう。)と、成分(A)以外の重合性化合物(B)(以下、単に「成分(B)」ともいう。)と、着色剤(C)(以下、単に「成分(C)」ともいう。)を含有する。
【0017】
[分子内に炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する重合性化合物(A)]
成分(A)は、分子内に、6以上30以下の長鎖アルキル基、水素結合性基、および重合性基を有する。本発明の電子線硬化型インクジェットインクの液滴は、成分(A)を含有することで吐出ヘッドのノズルから吐出して基材表面に着弾させた際に、液滴が凝固して液滴同士が混ざりにくくなるため、高精細な画像を形成することができる。さらに成分(A)は重合性基を有していることから、電子線照射により硬化膜内に固定化され、低マイグレーション化も達成することができる。
【0018】
炭素数6以上30以下の長鎖アルキル基は、炭素数12以上22以下の直鎖アルキル基である場合がさらに好ましい。炭素数が6未満のアルキル基は、インクの液滴が基材表面に着弾させた際に、液滴が凝固しにくく、液滴同士が混ざってしまい画質が悪くなる。炭素数が30より多いアルキル基は、硬化膜の耐擦過性が乏しくなる。炭素数6以上であれば、インクの液滴が基材表面に着弾させた際の液滴凝固しやすいため高画質の画像が得られ、炭素数が30以下であれば、硬化膜の耐擦過性が不十分になることもない。また、炭素数6以上のアルキル基であればインクの粘度を下げる効果もある。
【0019】
成分(A)の水素結合性基としては、水酸基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、カルボキシル基、およびエステル基などが挙げられる。水素結合性基の存在によって、インクの液滴が基材表面に着弾した際に液滴が凝固しやすくなる。前記水素結合性基の中では、水酸基、ウレタン基、アミド基が好ましく、硬化性や印刷物の光沢性の観点から水酸基がより好ましい。
【0020】
成分(A)の重合性基としては、電子線照射により重合反応すれば特に制限はないが、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基が挙げられ、生産性の観点から硬化速度の速いアクリル基、メタクリル基が好ましい。
【0021】
成分(A)を得るための方法は特に限定されないが、炭素数6以上30以下のカルボン酸(a)(以下、単に「成分(a)」ともいう。)と重合性基を有するエポキシ化合物(b)(以下、単に「成分(b)」ともいう。)とを反応させる方法、または、炭素数6以上30以下のエポキシ化合物(c)(以下、単に「成分(c)」ともいう。)と重合性基を有するカルボン酸(d)(以下、単に「成分(d)」ともいう。)とを反応させる方法がある。
【0022】
成分(a)と成分(b)とを反応させる場合は、成分(a)に、そのカルボン酸基1当量あたりエポキシ基が1.0~1.2当量、好ましくは1.05~1.1当量になるように成分(b)を混合し、反応温度80~120℃で反応させることで目的とする成分(A)を得ることができる。成分(c)と成分(d)とを反応させる場合は、成分(c)に、そのエポキシ基1当量あたりカルボン酸基が1.0~1.2当量、好ましくは1.05~1.1当量になるように成分(d)を混合し、反応温度80~120℃で反応させることで目的とする成分(A)を得ることができる。
【0023】
上記反応を促進させるために、例えばトリフェニルフォスフィン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエタノールアミン、テトラエチルアンモニウムクロライド、トリメチルグリシン等の触媒を使用するのが好ましく、トリメチルグリシンは人体に安全な天然物であるため特に好ましい。また、反応中、重合を防止するために重合禁止剤として、例えば、パラメトキシフェノール、メチルハイドロキノン、ジブチルヒドロキシトルエン等を使用することもできる。
【0024】
成分(a)としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられ、分岐構造及び不飽和構造を有さないものが好ましい。
【0025】
成分(b)としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタリレート(商品名:GMA、三菱ケミカル社製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(商品名:サイクロマーM-100、ダイセル社製)、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(商品名:4HBAGE、三菱ケミカル社製)、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(商品名:セロキサイド2000、ダイセル社製)、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、エポカリックVNBB-ME等が挙げられる。
【0026】
成分(c)としては、1,2-エポキシヘキサン、1,2-エポキシヘプタン、1,2-エポキシオクタン、1,2-エポキシノナン、1,2-エポキシデカン、1,2-エポキシウンデカン、1,2-エポキシドデカン、1,2-エポキシトリデカン、1,2-エポキシテトラデカン、1,2-エポキシペンタデカン、1,2-エポキシヘキサデカン、1,2-エポキシヘプタデカン、1,2-エポキシオクタデカン、1,2-エポキシノナデカン、1,2-エポキシイコサン、セチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,12-ドデカンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0027】
成分(d)としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレート、クロトン酸、イタコン酸等が挙げられるが、硬化性の観点から、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレートが好ましい。
【0028】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクにおいては、成分(A)は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。成分(A)は本発明の電子線硬化型インクジェットインク総量中の含有量が0.5~90重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1~80重量%、特に好ましくは3~50重量%、最も好ましくは5~20重量%である。0.5重量%より少ないと、インクの液滴が基材表面に着弾させた際に、液滴が凝固しにくく、液滴同士が混ざってしまい画質が悪くなる。90重量%より多いと、硬化膜の耐擦過性が乏しくなる。
【0029】
[成分(A)以外の重合性化合物(B)]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、成分(B)として、成分(A)以外の重合性化合物を含有する。成分(B)としては、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等の炭素数5~25のアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、アリルオキシメチルアクリル酸メチル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、1-アダマンチルメタクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、等の環状骨格を有する(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、等の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイド変性ノニルフェニル(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート等の炭素数5~12の脂肪族炭化水素ジオールのジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及びトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロール炭素数2~10アルカントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシポリプロポキシトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロール炭素数2~10アルカンポリアルコキシトリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクロイルオキシエチル]イソシアヌレ-ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリプロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等の(メタ)アクリレート化合物、ブチルビニルエーテル、ブチルプロペニルエーテル、ブチルブテニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルおよびアダマンチルビニルエーテルなどを含む単官能のビニルエーテル化合物、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレンジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ノルボルニルジメタノールジビニルエーテル、イソバイニルジビニルエーテル、ジビニルレゾルシンおよびジビニルハイドロキノンなどを含む2官能のビニルエーテル化合物、ならびに、グリセリントリビニルエーテル、グリセリンエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数6)、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリビニルエーテルエチレンオキシド付加物トリビニルエーテル(エチレンオキシドの付加モル数3)、ペンタエリスリトールトリビニルエーテルおよびジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテルなどならびにこれらのオキシエチレン付加物などを含む三官能以上のビニルエーテル化合物等のビニルエーテル化合物、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、ビニルナフタレン、インデン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アジピン酸ジビニル等のビニルエステル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル等のアリル化合物が挙げられる。
【0030】
反応性や成分(A)の溶解性の観点からは、アクリロイルモルホリン、アリルオキシメチルアクリル酸メチル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレートが特に好ましい。
【0031】
硬化後のインクの柔軟性付与の観点からは、ラウリルアクリレート、イソデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、セチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、トリデシルアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましい。
【0032】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクにおいて、成分(B)は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。成分(B)は本発明の電子線硬化型インクジェットインク総量中の含有量が10~99.5重量%であることが好ましく、さらに好ましくは20~99重量%、特に好ましくは50~95重量%である。
【0033】
[着色剤(C)]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、成分(C)として、着色剤を含有する。成分(C)としては、染料または顔料などを用いることができ、耐候性の良好な画像を得る観点からは、着色剤は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色彩などに応じて、たとえば、黄(イエロー)顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができ、顔料としては、無機顔料、有機顔料、体質顔料及び中空粒子等が挙げられる。
【0034】
上記無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、水酸化物、硫化物、フェロシアン化物、及び金属塩化物等が挙げられる。
【0035】
上記インクが黒インクであり、かつ、上記顔料が上記無機顔料の場合、該黒インクが含有する無機顔料としてはサーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、及びチャンネルブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SpecIalBlackシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱化学社製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300等が挙げられる。
上記インクが白インクであり、かつ、上記顔料が上記無機顔料の場合、該白インクが含有する無機顔料としては、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、ジルコニウム、等の金属の酸化物、窒化物、酸化窒化物;及び、各種ガラス、シリカ等の無機化合物が挙げられる等が挙げられ、二酸化チタン、酸化亜鉛であることが好ましい。
【0036】
上記有機顔料としては、例えば、アゾ、ジスアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、及びキノフタロン等の各種の顔料が挙げられ、ジスアゾが好ましい。
【0037】
上記有機顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202、213等のイエロー;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、269、272等のレッド;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット;C.I.Pigment Orange 13、16、43、68、69、71、73等のオレンジ;C.I.Pigment Green7、36、54等のグリーン;C.I.Pigment Black 1等のブラックの各色の顔料が挙げられる。
【0038】
上記体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、及びホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の着色剤と併用されることが多い。
【0039】
上記中空粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号明細書、特許第3,562,754号、特許第6026234、特許第5459460号、特開2003-268694、特許第4902216号公報等に記載されている公知の中空粒子を用いることができ、特に、白色顔料として用いることが好ましい。
【0040】
上記分散染料としては、公知の分散染料あるいは公知の油溶性染料が挙げられる。該公知の分散染料としては、C.I.Dispers系分散染料が好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow 9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー;C.I.Dispers Red 60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド;C.I.Dispers Orange 9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ;C.I.Dispers Violet 25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット;C.I.Dispers Blue 27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルーの各色の分散染料が挙げられる。
上記公知の溶剤染料としては、C.I.Solvent系分散染料が好ましい。
【0041】
成分(C)の平均粒径は、30nm~300nmであることが好ましく、50nm~250nmであることがさらに好ましい。本明細書における平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を指す。
【0042】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクにおいて、成分(C)は、1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。成分(C)は本発明の電子線硬化型インクジェットインク総量中の含有量が0.1~40重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.5~20重量%、特に好ましくは1~10重量%、最も好ましくは2~7重量%である。
【0043】
[任意成分]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、適宜、任意成分として、表面張力調整剤、顔料分散剤、紫外線吸収剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン化合物等)、シランカップリング剤、金属密着付与剤等の各種添加剤、有機溶剤を含んでもよい。
【0044】
(表面張力調整剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、表面張力調整剤として、さらに界面活性剤を含んでいても良い。該界面活性剤としては、アニオン系、ノニオン系、シリコン系、及びフッ素系の各界面活性剤が挙げられる。これらの中ではノニオン系、およびシリコン系からなる群から選択されるいずれか界面活性剤であることが好ましい。
【0045】
上記アニオン系界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N-アシルアミノ酸又はその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
【0046】
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル(例えば、花王株式会社製のエマルゲン A-60、A-90、A-500)等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(あるいはアセチレンアルコール)系(例えば、エボニックジャパン株式会社のサーフィノール 104、104PG50、82、420、440、465、485、オルフィン STG等);ポリグリコールエーテル系等が挙げられる。
【0047】
シリコン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール 960、980;日信化学株式会社製のシルフェイス SAG001、SAG002、SAG003、SAG005、SAG503A、SAG008、SAG009、SAG010、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017;及び、BYK Additives & Instruments社製のBYK-306、307、333、347、348、BYK-UV3500、UV-3510,UV-3530、UV3570、345、347、348、349、3455、LP-X23288、LP-X23289、LP-X23347;Evonic Tego Chemie社製のTEGO Twin 4000、TEGO Wet KL 245、250、260、265、270、280、TEGO Rad 2010、2011、2100、2200N、2250、2300、2500、2600、2700等が挙げられる。
【0048】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。市販品として入手できるものの具体例としては、例えば、Capstone FS-30、FS-31(Chemours社製)等が挙げられる。
【0049】
上記界面活性剤の中で、重合性基を含有する界面活性剤がマイグレーションの観点で好ましく、例えば、BYK-UV3500、BYK-UV3510、BYK-UV3530、BYK-UV3570、TEGO Rad 2010、2011、2100、2200N、2250、2300、2500、2600、2700等が挙げられる。
【0050】
(顔料分散剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、顔料分散剤を用いることができる。顔料分散剤としては、例えば、ポリウレタン骨格、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリウレア骨格等が挙げられる。具体的には、ソルスパース24000GR、32000、33000、35000、39000、41000、53000、及びJ180等(Lubrizol社製)、アジスパーPB821、822、824、827、及び711等(味の素ファインテクノ社製)が挙げられる。
【0051】
(紫外線吸収剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、耐候性を向上させるために紫外線吸収剤を含有してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤等が挙げられるが、重合性基を含有する2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタクリロイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンズトリアゾール(商品名:RUVA-93、大塚化学社製)が、マイグレーションリスクが小さく好ましい。
【0052】
(酸化防止剤)
酸化防止剤の具体例としては、例えば、BHT、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル-O-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0053】
(光安定剤)
光安定剤の具体例としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルアルコール、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジルアルコール、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル(メタ)アクリレート、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6-トトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノールおよび3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-ウンデカンオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)カーボネート、2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-〔2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル-メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4-テトラメチル-20-(β-ラウリルオキシカルボニル)エチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン-21-オン、β-アラニン,N,-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N-アセチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ピロリジン-2,5-ジオン、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン-21-オン、2,2,4,4-テトラメチル-21-オキサ-3,20-ジアザジシクロ-〔5,1,11,2〕-ヘネイコサン-20-プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4-メトキシフェニル)-メチレン〕-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド,N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、重合性基を含有する1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル(メタ)アクリレート(商品名:LA-82、アデカ社製)が、マイグレーションリスクが小さく好ましい。
【0054】
(シランカップリング剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、基材密着性を向上させるためにシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤の具体例としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプロプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-(2-(ビニルベンジルアミノ)エチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤;イソプロピル(N-エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p-N-(β-アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤;Zr-アセチルアセトネート、Zr-メタクリレート、Zr-プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m-アミノフェニル)ジルコネート、アンモニウムジルコニウムカーボネート、Al-アセチルアセトネート、Al-メタクリレート、Al-プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤等が挙げられるが、重合性基を含有するビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM-1003、信越化学工業社製)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM-502、信越化学工業社製)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-503、信越化学工業社製)、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(商品名:KBE-503、信越化学工業社製)、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-5103、信越化学工業社製)が、マイグレーションリスクが小さく好ましい。
【0055】
(金属密着付与剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、アルミニウム等の金属基材への密着性を向上させるために金属密着付与剤を含有してもよい。金属密着付与剤の具体例としては、例えば、エチレンオキシド変性フェノキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ブトキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性オクチルオキシ化リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレートが挙げられるが、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート(商品名:KAYAMER PM-2、日本化薬社製)、カプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート(商品名:KAYAMER PM-21、日本化薬社製)が、入手が容易でかつマイグレーションリスクが小さく好ましい。
【0056】
(有機溶剤)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、存安定性、吐出安定性、インキの飛翔性等を調整するために有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、窒素含有化合物類、アミド類等が挙げられる。
【0057】
[電子線硬化型インクジェットインクの調製方法]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクの調製方法は、従来から公知の調製方法を使用することができる。以下、本発明の電子線硬化型インクジェットインクが着色材として顔料を含む場合の好適な調製方法を説明する。分散機を用いて、成分(C)と、成分(B)の一部と、必要に応じて任意の成分(より具体的には、顔料分散剤等)とを予備混合(プレミックス)し、各成分を溶解または分散させることで一次分散体を調製する。分散機としては、たとえば、ディスパ、容器駆動媒体ミル(より具体的には、ボールミル、遠心ミル、および遊星ボールミル等)、高速回転ミル(より具体的には、サンドミル等)、および媒体撹拌ミル(より具体的には、撹拌槽型ミル等)が挙げられる。
【0058】
次いで、得られた一次分散液に、成分(A)と、残りの成分(B)と、必要に応じて上記添加剤を添加し、攪拌機を用いて均一に混合する。攪拌機としては、たとえば、ディスパ、スリーワンモーター、ホモジナイザー、およびマグネチックスターラーが挙げられる。このようにして電子線硬化型インクジェットインクを得ることができる。また、ラインミキサーなどの混合機を用いて、電子線硬化型インクジェットインクを混合してもよい。さらに、電子線硬化型インクジェットインク中の粒子をより微細化する目的でビーズミルおよび高圧噴射ミルのような分散機を用いて、電子線硬化型インクジェットインクを混合してもよい。
【0059】
[物性]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、50℃における粘度が100mPa・s以下であることが好ましく、30mPa・s以下がより好ましい。なお、本発明において、粘度は、E型粘度計(TV-22:東機産業(株)製)を用いて測定することができる。
【0060】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、インクの凝固開始温度が20℃以上100℃未満であることが好ましい。インクの凝固開始温度が20℃以上であると、基材に着弾後、インクが速やかに凝固するため、インクのにじみが抑制される。インクの凝固開始温度が100℃未満であると、加熱により溶融したインクをインクジェットヘッドから吐出できるため、より安定してインクを吐出することができる。インクがより速やかに凝固し、より低温でインクを吐出することができ、エネルギー負荷の観点からは、インクの凝固開始温度は、30℃以上80℃未満であることがより好ましい。
【0061】
インクの凝固開始温度は、示差走査熱量計により、インクの熱量変化を測定することにより求めることができる。本発明では、インクサンプルを90℃で3分間保持し、次いで10℃/分で冷却を行なった際の発熱ピークの立ち上がり温度をインクの凝固開始温度とした。
【0062】
[画像形成方法]
本発明の電子線硬化型インクジェットインクを使用した印刷物の製造工程について説明する。
本発明の印刷物の製造方法においては、下記(工程1)~(工程3)により、基材表面に画像を形成する。
(工程1)電子線硬化型インクジェットインクをインクの凝固開始温度以上に加温させる工程、
(工程2)インクの液滴を、吐出ヘッドのノズルから吐出して基材表面に着弾させる工程、
(工程3)電子線を照射して、インクを硬化させる工程。
【0063】
(工程1)
本工程では、インクタンク、インクジェットヘッド、インクタンクとインクジェットヘッドを繋ぐ流路等を加熱し、インクの凝固開始温度以上にする。インクの凝固開始温度以上であっても、インクがインクジェットヘッドで吐出可能な粘度にならない場合は、吐出可能となる温度まで加熱する。
【0064】
(工程2)
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、インクジェット法により吐出されることが好ましい。
インクジェット法により吐出する手段としては、インクジェットヘッドを用いることが好ましい。インクジェットヘッドとしては、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のヘッドが好ましく用いられ、特にピエゾ素子を用いる圧力パルス方式が好ましい。また、マルチパス方式、シングルパス方式(1パス印刷方式)等を用いることも可能である。
【0065】
基材として具体的には、例えば、ガラス、石英、アルミニウム、紙(例えば、インク受容層を有しない普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア、インク受容層を有するインクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙等)、プラスチックフィルム(例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、酢酸セルロース、アクリル樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。中でも、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂が包装用としては好ましく、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート及びナイロンがさらに好ましい。
【0066】
基材の中では表面が不均一な場合があり、その影響によって画像品質の劣化を生じることがある。そのため、印刷用基材として用いるには、表面改質処理を施すことで、基材の均一化を行うことが好ましく行われる。 表面改質処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、及びフレーム処理から選択される、公知の表面改質処理が好ましい。ここで、表面改質処理の効果は、経時的に減少していくことが一般的に知られている。このため、表面改質処理工程とインクジェット記録工程とは連続して行うことが好ましく、表面改質処理工程をインクジェット記録工程の直前に行うことが好ましい。また、基材の表面に前処理剤などを用いて、最表面の改質を行うことも好ましく行われる。
【0067】
(工程3)
本発明の印刷物の製造方法においては、着弾したインクに電子線を照射して硬化させる。
【0068】
電子線の加速電圧は、インクの内部にまで十分なエネルギーを到達させて重合性化合物の反応を十分に起こし、かつ、基材に顕著な劣化を生じさせない程度がよい。例えば、マイグレーションを最小にしつつ、基材の劣化を抑制する観点から、電子線の加速電圧は10~150kVであることが好ましく、30~120kVであることがより好ましい。
【0069】
電子線は大気中で使用すると酸素を分解しオゾンを大量に発生させてしまう危険があるため、電子線照射装置は低酸素濃度下で使用する。本発明において酸素濃度は、1000ppm以下であることが好ましい。さらには、酸素濃度が50~500ppmであれば、インキを十分に硬化することができる上に、十分な印刷速度を保つことができ、品質と生産性の面からさらに好ましい。
【0070】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、低マイグレーションで耐擦性が高いので、各種パッケージ等の印刷や、その他の種々の印刷に適用することができる。
【実施例0071】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。尚、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは重量基準である。
【0072】
[合成例1]
温度計、冷却管、攪拌装置を備えたフラスコに、トルエン427.12g、ステアリン酸(日油株式会社製NAA-180、中和価196.9mgKOH/g)284.97gと、グリシジルメタクリレート(三菱ガス化学株式会社製GMA)142.15g、ジブチルヒドロキシトルエン1.3g、トリメチルグリシン(旭化成ケミカルズ株式会社製アミノコート)1.3gを仕込み、120℃で24時間反応させた。次いで、トルエンを減圧留去し、固形の反応物(A-1)を得た。得られた反応物(A-1)の1H-NMRチャートを図1に示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl) δ(ppm)=6.15(s,1H),6.12(s,1H),5.62(s,1H),4.26-4.14(m,5H),2.35(t,2H),1.96(s,1H),1.61(br,2H),1.25(br,28H),0.88(t,3H)
【0073】
[調製例1]:分散液の調製
ソルスパース32000(Lubrizol社製)10gと、ジプロピレンクリコールジアクリレート(DPGDA)70gを分散用ベッセルに仕込み、均一の液体になるよう攪拌して調整した。そこに、C.I.Pigmnet Blue15:4(大日精化工業製 CHROMOFINEBLUE 4851)20gを加え、さらに0.3mmガラスビーズ100g加え、サンドミルにて6時間、分散処理を行った。分散処理後、顔料濃度が12%になるように、ジプロピレンクリコールジアクリレートを加え、ガラス繊維ろ紙GA-100(東洋濾紙株式会社製)で濾過することで、分散に用いたガラスビーズを取り除き12%濃度の顔料分散液を調製した。
【0074】
[調製例2]:インクの調製
合成例1で得たA-1、調製例1で得た顔料分散液、BYK-UV3510(BYK Chemie社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)、ジプロピレンクリコールジアクリレート(DPGDA)を使用し、インク中の成分が表1の記載になるように混合した後、3μmのメンブレンフィルターで夾雑物を濾別することにより、実施例1、比較例1のインクジェットインクを得た。
【0075】
【表1】
【0076】
(粘度測定)
E型粘度計(TV-22:東機産業(株)製)を用い、50℃にて測定した。
【0077】
(凝固開始温度測定)
示差走査熱量計(DSC Q2000:TA Instruments社製)を用い、インクサンプル(2mg)を90℃で3分間保持し、次いで10℃/分でマイナス20℃まで冷却することで凝固開始温度を測定した。実施例1の測定チャートを図2に、比較例1の測定チャートを図3に示す。実施例1のインクの凝固開始温度は31℃であった。比較例1のインクは凝固に伴う発熱ピークは観察されなかった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の電子線硬化型インクジェットインクは、低マイグレーション、耐擦過性、画質に優れており、食品・医薬品包装へ有用な電子線硬化型インクジェットインクとなることが期待される。

図1
図2
図3