(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039267
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04694 20160101AFI20230313BHJP
H01M 8/008 20160101ALI20230313BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20230313BHJP
H01M 8/04664 20160101ALI20230313BHJP
【FI】
H01M8/04694
H01M8/008
H01M8/04313
H01M8/04664
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146353
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】南 和徹
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126DD01
5H127AB23
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA13
5H127BA18
5H127BA19
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
(57)【要約】
【課題】残寿命を有する燃料電池モジュール及びその部品の廃棄を抑え、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】燃料電池運用管理装置2は、取得部231、回収判定部233、検査結果取得部234及び利用判定部235を備える。取得部231は、燃料電池モジュール31において計測された物理量のデータ又は燃料電池モジュール31についての回収フラグを取得する。回収判定部233は、燃料電池モジュール31を回収するか否かを判定する。検査結果取得部234は、回収されて検査された燃料電池モジュール31の検査結果を取得する。利用判定部235は、燃料電池モジュール31を、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池モジュールにおいて計測された物理量のデータ又は前記燃料電池モジュールについての回収フラグを取得する取得部と、
前記取得部において取得した前記物理量のデータ又は前記回収フラグに基づいて、前記燃料電池モジュールを回収するか否かを判定する回収判定部と、
回収されて検査された前記燃料電池モジュールの検査結果を取得する検査結果取得部と、
前記検査結果に基づいて、この燃料電池モジュールを、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、あるいは保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択する利用判定部と、を備える、
燃料電池運用管理装置。
【請求項2】
故障判定部を更に備え、
前記故障判定部は、
前記取得部において取得した前記物理量のデータに基づいて、取得した前記物理量のデータに係る前記燃料電池モジュールが故障しているか否かを判定するものであり、
前記故障判定部において前記燃料電池モジュールが故障していると判定された場合に、前記回収判定部は、前記燃料電池モジュールを回収すると判定する、
請求項1に記載の燃料電池運用管理装置。
【請求項3】
適合判定部を更に備え、
前記適合判定部は、
前記取得部において前記回収フラグが取得された後、回収されて検査され、前記利用判定部により前記第1判定がなされた前記燃料電池モジュールが、
前記故障判定部において故障していると判定された前記燃料電池モジュールの代替として適合しているか否かを判定する、
請求項2に記載の燃料電池運用管理装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池運用管理装置と、
複数の前記燃料電池モジュールと、
前記燃料電池運用管理装置と前記複数の燃料電池モジュールとを接続する通信ネットワークと、を備える、
燃料電池運用管理システム。
【請求項5】
燃料電池モジュールにおいて計測された物理量のデータ又は前記燃料電池モジュールについての回収フラグを取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記物理量のデータ又は前記回収フラグに基づいて、前記燃料電池モジュールを回収するか否かを判定する回収判定ステップと、
前記回収判定ステップにおいて前記燃料電池モジュールを回収すると判定した場合に、この燃料電池モジュールを回収する回収ステップと、
前記回収ステップにおいて回収された前記燃料電池モジュールを検査する検査ステップと、
前記検査ステップにおいて検査された前記燃料電池モジュールの検査結果を取得する検査結果取得ステップと、
前記検査結果に基づいて、この燃料電池モジュールを、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、あるいは保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択する利用判定ステップと、を備える、
燃料電池運用管理方法。
【請求項6】
故障判定ステップを更に備え、
前記故障判定ステップは、
前記取得ステップにおいて取得した前記物理量のデータに基づいて、取得した前記物理量のデータに係る前記燃料電池モジュールが故障しているか否かを判定するステップであり、
前記故障判定ステップにおいて前記燃料電池モジュールが故障していると判定された場合に、前記回収判定ステップにおいて、前記燃料電池モジュールを回収すると判定する、
請求項5に記載の燃料電池運用管理方法。
【請求項7】
適合判定ステップを更に備え、
前記適合判定ステップは、
前記取得ステップにおいて前記回収フラグが取得された後、前記回収ステップにおいて回収され、前記検査ステップにより検査されて、前記利用判定ステップにより前記第1判定がなされた前記燃料電池モジュールが、
前記故障判定ステップにおいて故障していると判定された前記燃料電池モジュールの代替として適合しているか否かを判定するステップである、
請求項6に記載の燃料電池運用管理方法。
【請求項8】
請求項5~7のいずれか一項に記載の燃料電池運用管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、燃料電池メンテナンス運転処理システムが開示されている。このシステムは、機器情報記憶手段及び使用実態計測記憶手段を備えている。機器情報記憶手段は、燃料電池特有の性能、仕様、機器等による発電効率の劣化特性を記憶している。使用実態計測記憶手段は、燃料電池の運転状態や運転時間等を記憶している。燃料電池は、主に運転状態や運転時間等により性能の劣化や寿命が決まる。
【0003】
このシステムでは、使用実態計測記憶手段より、燃料電池の運転状態や運転時間等を得て、燃料電池及び付随する機器の性能の低下の予測を行って、燃料電池の最適なメンテナンスを実現することができる。また、システムが故障状態調査手段を備えることにより、燃料電池が故障したときに、故障状態によって修理を自動的に通報して、修理及びメンテナンスを迅速にかつ効率的に処理できる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたシステムにあっては、回収された燃料電池を再利用することについては特に記載されていない。再利用可能な燃料電池を廃棄することは、環境への負荷が増大して好ましくないと共に、運用コストの低減を阻むものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされた発明であり、残寿命を有する燃料電池モジュール及びその部品の廃棄を抑え、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る燃料電池運用管理装置は、取得部と、回収判定部と、検査結果取得部と、利用判定部と、を備える。前記取得部は、燃料電池モジュールにおいて計測された物理量のデータ又は前記燃料電池モジュールについての回収フラグを取得する。前記回収判定部は、前記取得部において取得した前記物理量のデータ又は前記回収フラグに基づいて、前記燃料電池モジュールを回収するか否かを判定する。前記検査結果取得部は、回収されて検査された前記燃料電池モジュールの検査結果を取得する。前記利用判定部は、前記検査結果に基づいて、この燃料電池モジュールを、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、あるいは保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択する。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、前記燃料電池運用管理装置は、故障判定部を更に備える。前記故障判定部は、前記取得部において取得した前記物理量のデータに基づいて、取得した前記物理量のデータに係る前記燃料電池モジュールが故障しているか否かを判定するものである。前記故障判定部において前記燃料電池モジュールが故障していると判定された場合に、前記回収判定部は、前記燃料電池モジュールを回収すると判定する。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明に従属する発明であって、前記燃料電池運用管理装置は、適合判定部を更に備える。前記適合判定部は、前記取得部において前記回収フラグが取得された後、回収されて検査され、前記利用判定部により前記第1判定がなされた前記燃料電池モジュールが、前記故障判定部において故障していると判定された前記燃料電池モジュールの代替として適合しているか否かを判定する。
【0010】
請求項4に係る燃料電池運用管理システムは、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料電池運用管理装置と、複数の前記燃料電池モジュールと、前記燃料電池運用管理装置と前記複数の燃料電池モジュールとを接続する通信ネットワークと、を備える。
【0011】
請求項5に係る燃料電池運用管理方法は、取得ステップと、回収判定ステップと、回収ステップと、検査ステップと、検査結果取得ステップと、利用判定ステップと、を備える。前記取得ステップは、燃料電池モジュールにおいて計測された物理量のデータ又は前記燃料電池モジュールについての回収フラグを取得するステップである。前記回収判定ステップは、前記取得ステップにおいて取得した前記物理量のデータ又は前記回収フラグに基づいて、前記燃料電池モジュールを回収するか否かを判定するステップである。前記回収ステップは、前記回収判定ステップにおいて前記燃料電池モジュールを回収すると判定した場合に、この燃料電池モジュールを回収するステップである。前記検査ステップは、前記回収ステップにおいて回収された前記燃料電池モジュールを検査するステップである。前記検査結果取得ステップは、前記検査ステップにおいて検査された前記燃料電池モジュールの検査結果を取得するステップである。前記利用判定ステップは、前記検査結果に基づいて、この燃料電池モジュールを、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、あるいは保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択するステップである。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項5に係る発明に従属する発明であって、前記燃料電池運用管理方法は、故障判定ステップを更に備える。前記故障判定ステップは、前記取得ステップにおいて取得した前記物理量のデータに基づいて、取得した前記物理量のデータに係る前記燃料電池モジュールが故障しているか否かを判定するステップである。前記故障判定ステップにおいて前記燃料電池モジュールが故障していると判定された場合に、前記回収判定ステップにおいて、前記燃料電池モジュールを回収すると判定する。
【0013】
請求項7に係る発明は、請求項6に係る発明に従属する発明であって、前記燃料電池運用管理方法は、適合判定ステップを更に備える。前記適合判定ステップは、前記取得ステップにおいて前記回収フラグが取得された後、前記回収ステップにおいて回収され、前記検査ステップにより検査されて、前記利用判定ステップにより前記第1判定がなされた前記燃料電池モジュールが、前記故障判定ステップにおいて故障していると判定された前記燃料電池モジュールの代替として適合しているか否かを判定するステップである。
【0014】
請求項8に係るプログラムは、請求項5~7のいずれか一項に記載の燃料電池運用管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明にあっては、検査により、従来廃棄されていた燃料電池モジュールの再利用や部品の再生利用の可能性が見い出されて、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい。
【0016】
請求項2に係る発明にあっては、故障判定部により、再利用又は再生利用すべき燃料電池モジュールが適切に見い出だされて、多数の燃料電池モジュールの運用にあたって、効率の良い燃料電池モジュールの再利用又は再生利用を行うことが可能となる。
【0017】
請求項3に係る発明にあっては、適合判定部により、複数の燃料電池モジュールの再利用又は再生利用をうまく組み合わせて、効率の良い燃料電池モジュールの運用を行うことが可能となる。
【0018】
請求項4に係る発明にあっては、検査により、従来廃棄されていた燃料電池モジュールの再利用や部品の再生利用の可能性が見い出されて、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい。
【0019】
請求項5に係る発明にあっては、検査により、従来廃棄されていた燃料電池モジュールの再利用や部品の再生利用の可能性が見い出されて、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい。
【0020】
請求項6に係る発明にあっては、故障判定ステップにより、再利用又は再生利用すべき燃料電池モジュールが適切に見い出だされて、多数の燃料電池モジュールの運用にあたって、効率の良い燃料電池モジュールの再利用又は再生利用を行うことが可能となる。
【0021】
請求項7に係る発明にあっては、適合判定ステップにより、複数の燃料電池モジュールの再利用又は再生利用をうまく組み合わせて、効率の良い燃料電池モジュールの運用を行うことが可能となる。
【0022】
請求項8に係る発明にあっては、検査により、従来廃棄されていた燃料電池モジュールの再利用や部品の再生利用の可能性が見い出されて、燃料電池モジュールの再利用及びその部品の再生利用を促進しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る燃料電池運用管理システム及び給湯システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、同上の実施形態における燃料電池運用管理システム及び燃料電池運用管理装置の概略構成図である。
【
図3】
図3は、同上の実施形態における燃料電池運用管理方法の前半部分のフロー図である。
【
図4】
図4は、同上の実施形態における燃料電池運用管理方法の後半部分のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムに関する。燃料電池モジュールは、燃料電池本体及びこれに付随する機器を有する。従来、燃料電池モジュールは、設計寿命を経過する前に故障が発生した場合、回収されて廃棄されることが多かった。また、燃料電池モジュールは、設計寿命を経過する前に利用者による利用が終了した場合も、回収されて廃棄されることが多かった。
【0025】
燃料電池モジュールに故障が発生した場合、少なくとも燃料電池モジュールの部品(燃料電池本体及び付随する機器)の一部に故障が発生しているが、部品全てに故障が発生していることは少なく、故障が発生していない残りの部品は残寿命を有している。また、燃料電池モジュールは、利用が終了して回収された場合には、燃料電池モジュール自体が残寿命を有している。このような残寿命を有する燃料電池モジュールやその部品の廃棄を抑えるため、発明者は、燃料電池モジュール自体の再利用、及び故障が発生した燃料電池モジュールのうちの故障が発生していない部品の再生利用を促進しやすい、燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムを発明した。以下、本発明に係る燃料電池運用管理装置、燃料電池運用管理システム、燃料電池運用管理方法及びプログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1に示すように、燃料電池運用管理システム1は、燃料電池運用管理装置2と、複数の燃料電池ユニット3と、通信ネットワーク4と、を備える。まず、燃料電池ユニット3について説明する。
【0027】
(燃料電池ユニット)
燃料電池ユニット3は、燃料電池モジュール31と燃料電池本体32とで主体が構成される。燃料電池モジュール31は、ガスから水素を製造するためのもので、上流側から順に脱硫器33と改質器34とを備えている。脱硫器33はガスを脱硫するためのもので、脱硫器33で脱硫されたガスには、水蒸気を混合するようになっており、脱硫され且つ水蒸気が混合されたガスは改質器34に送られる。改質器34は、バーナを有しており、バーナを燃焼させることで、改質触媒を加熱しながら水蒸気が混合されたガスを水蒸気改質反応により改質するようになっている。脱硫器33及び改質器34には、ガス流路を介してガスが供給される。なお、改質器34がCO変成及びCO除去の機能を有してもよい。
【0028】
燃料電池本体32は、アノード(燃料極)と電解質とカソード(空気極)が層となって構成されるセルを、セパレータを介して多数積層して構成してある。そして、改質器34で製造した水素リッチの改質ガスをアノードに供給し、カソードにブロアから空気(酸素)を供給することで、水素と酸素が電気化学的反応をして発電する。
【0029】
燃料電池ユニット3は、パワーコンディショナ6(電力変換装置)を備えており、燃料電池本体32で発生した電力は、パワーコンディショナ6により直流-交流変換等を行って負荷機器7に供給される。
【0030】
燃料電池ユニット3は、ガスを搬送するためのブロアやポンプ、バルブといった様々な機器を備える。これらブロア等の機器や、燃料電池モジュール31等が、燃料電池ユニット3の部品となっている。また、燃料電池ユニット3は、燃料電池ユニット3における物理量を計測する計測装置37を有する。計測する物理量としては、燃料電池モジュール31へ供給されるガスの流量及び圧力、脱硫器33に供給されるガスの流量及び圧力、改質器34へ供給されるガスの流量及び圧力、改質器34における加熱量、燃料電池本体32へ供給する改質ガス及び空気の流量及び圧力、燃料電池本体32における出力(電力、電流及び電圧等)及び温度、燃料電池本体32の起動日時、停止日時、運転時間及び発停回数等、ブロアやポンプにおける搬送流体の流量、圧力及び羽根車の回転数等が例示されるが、これらに限定されない。計測装置37は、物理量を計測するための適宜のセンサ類を有しており、上述した物理量は既知のセンサ類により計測可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0031】
燃料電池ユニット3は、制御部30を備えており、この制御部30により制御される。制御部30は、各種の機器を制御することにより、燃料電池モジュール31における発電量を制御する。制御部30は、各種の運転パターンに沿った運転を行うことが可能であり、燃料電池モジュール31の最適な運転を行うことが可能である。また、制御部30は、燃料電池モジュール31の故障を検知する簡易的な機能を有している。また、制御部30は、計測装置37により計測した物理量を、通信ネットワーク4を介して燃料電池運用管理装置2に送信する。
【0032】
燃料電池ユニット3は、給湯システム5の主体となる給湯タンク51を備えている。給湯システム5については後述する。
【0033】
(燃料電池ユニットの利用形態)
本実施形態では、燃料電池ユニット3の利用形態として、利用者は燃料電池ユニット3を購入せず、所有しない利用形態とする。利用者は、電力(及び熱)エネルギーの提供を受ける契約を、燃料電池ユニット3及び燃料電池運用管理システム1の管理者との間で行うものとする。契約は、有期であるとするが、更新を繰り返すことにより実質的に無期となるものであってもよいし、無期であってもよい。燃料電池ユニット3は、利用者の居住地の敷地内に設置される。
【0034】
燃料電池ユニット3は、給湯システム5を構成している。給湯システム5について概略説明する。
【0035】
(給湯システム)
給湯システム5は、発電装置及び発熱装置となる燃料電池ユニット3と、主熱媒が循環する主熱媒回路と、暖房用熱媒が循環する暖房用熱媒回路と、給湯タンク51と、暖房用端末52と、を備えている。給湯タンク51は、主熱媒回路の途中に接続されている。燃料電池モジュール31で発生した熱は、主熱媒に回収される。給湯システム5は、燃料電池モジュール31と給湯タンク51とを備えるコージェネレーションシステムである。給湯システム5の主熱媒回路及び主熱媒が、燃料電池モジュール31で発生した熱を回収する熱回収装置を構成する。
【0036】
給湯タンク51には、出湯管が接続され、出湯管の途中から給湯利用の給湯管と風呂の湯張り用の湯張り管とが分岐している。暖房用熱媒は、主熱媒との間で熱交換される。暖房用熱媒回路には、暖房用端末52が接続される。暖房用端末52として、温水床暖房装置及び浴室暖房乾燥機が設けられている。
【0037】
また、主熱媒回路又は出湯管の途中に、バックアップ熱源が設けられてもよい。
【0038】
暖房用端末52は、制御部30により制御される。制御部30は、暖房操作部で設定入力された各暖房用端末52の設定情報を基に、各暖房用端末52を制御する。なお、各暖房用端末52を制御する給湯システム制御部が、制御部30とは別に設けられ、有線及び無線により制御部30と互いに通信可能に構成されてもよい。給湯システム5は上述した構成に限定されない。
【0039】
(通信ネットワーク)
通信ネットワーク4は、燃料電池運用管理装置2と複数の燃料電池ユニット3とを接続するネットワークである。通信ネットワーク4は、インターネットを含み得る。通信ネットワーク4は、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信ネットワーク4は、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0040】
(端末装置)
端末装置10は、通信ネットワーク4を介しての燃料電池運用管理装置2への情報の入力、及び、燃料電池運用管理装置2からの情報の表示に利用される。端末装置10は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又は、携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等)により実現され得るもので、形態は特に限定されない。なお、端末装置10は、通信ネットワーク4を介してではなく、直接的に燃料電池運用管理装置2に接続されてもよい。
【0041】
(燃料電池運用管理装置)
図2に基づいて燃料電池運用管理装置2について説明する。燃料電池運用管理装置2は、通信部21と、記憶部22と、処理部23とを備える。燃料電池運用管理装置2は、1以上のサーバにより実現され得る。
【0042】
通信部21は、通信インターフェースである。通信部21は、通信ネットワーク4に接続可能であり、通信ネットワーク4を通じた通信を行う機能を有する。通信部21は、例えば、トランスミッタとレシーバを含む。通信部21は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。
【0043】
記憶部22は、処理部23が利用する情報を記憶するために用いられる。記憶部22は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0044】
処理部23は、燃料電池運用管理装置2の動作を制御する制御回路である。処理部23は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のコンピュータプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部23として機能する。プログラムは、ここでは処理部23のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0045】
処理部23は、取得部231、故障判定部232、回収判定部233、検査結果取得部234、利用判定部235、適合判定部236及び補正運転指令部237を備える。取得部231、故障判定部232、回収判定部233、検査結果取得部234、利用判定部235、適合判定部236及び補正運転指令部237は実体のある構成を示しているわけではなく、処理部23によって実現される機能を示している。
【0046】
(取得部)
取得部231は、燃料電池モジュール31において計測装置37により計測された物理量のデータ、あるいは、燃料電池モジュール31についての回収フラグを、通信ネットワーク4を介して取得する。物理量のデータは、燃料電池本体32の運転時間をはじめとする上述した各種の物理量のデータであり、制御部30により通信ネットワーク4を介して送信され、取得部231に取得される。取得部231に取得された物理量のデータや回収フラグ等は、記憶部22に記憶される。
【0047】
回収フラグは、燃料電池モジュール31の利用者が燃料電池モジュール31の利用を終了した場合等、特に故障が発生していなくても燃料電池モジュール31を回収する必要が生じた場合にONとなる。回収フラグは、燃料電池モジュール31の利用者か、あるいは燃料電池運用管理システム1の管理者により、端末装置10等より通信ネットワーク4を介して送信される。
【0048】
(故障判定部)
故障判定部232は、取得部231において取得した物理量のデータに基づいて、取得した物理量のデータに係る燃料電池モジュール31が故障しているか否かを判定するものである。
【0049】
例えば、故障判定部232は、燃料電池モジュール31へ供給されるガスの流量及び圧力や燃料電池モジュール31に関する物理量が平常値であるにもかかわらず、燃料電池本体32の出力が異常値である場合、燃料電池本体32にて故障が発生していると判定する。また、制御部30にて簡易に検知された燃料電池モジュール31の故障の情報を取得部231にて受信した場合に、燃料電池モジュール31において故障が発生していると判定してもよい。故障判定部232における判定に用いられる、各物理量の平常値や異常値の範囲、あるいは複数の物理量を組み合わせて判定する場合の物理量の組の平常値や異常値の範囲の組み合わせの故障判定基準データは、記憶部22に記憶されている。
【0050】
(回収判定部)
回収判定部233は、取得部231において取得した物理量のデータ又は回収フラグに基づいて、燃料電池モジュール31を回収するか否かを判定する。
【0051】
取得部231において回収フラグが取得された場合には、回収判定部233は、燃料電池モジュール31を回収すると判定する。また、取得部231において取得した物理量のデータに基づいて、故障判定部232において燃料電池モジュール31が故障していると判定された場合(故障フラグがONの場合)、回収判定部233は、燃料電池モジュール31を回収すると判定する。
【0052】
また、回収判定部233は、回収判定基準データに基づき、故障の観点とは別の観点から、燃料電池モジュール31を回収するか否かを判定してもよい。例えば、取得された物理量のデータからは、故障判定とはならないものの、近い将来において故障が発生する可能性が高いと認められる場合に、回収判定部233は燃料電池モジュール31を回収すると判定してもよい。回収判定基準データは、記憶部22に記憶されている。
【0053】
(検査結果取得部)
検査結果取得部234は、回収されて検査された燃料電池モジュール31の検査結果を取得する。回収された燃料電池モジュール31の検査は、検査装置11により行われる。燃料電池モジュール31の検査については後述する。
【0054】
(利用判定部)
利用判定部235は、検査結果取得部234にて取得された検査結果に基づいて、この燃料電池モジュール31をどのように処理するかの判定(第1判定~第3判定)を行う。
【0055】
第1判定は、回収した燃料電池モジュール31を分解せずに、基本的にもとの燃料電池モジュール31のまま再利用するという判定である。なお、検査結果に基づいて、燃料電池モジュール31の分解を行い、燃料電池モジュール31の一部の部品を取り替えたり修理したりしてもよい。
【0056】
第2判定は、回収した燃料電池モジュール31をもとの燃料電池モジュール31のまま利用するのではなく、燃料電池モジュール31を分解して部品を再生利用するという判定である。再生利用する部品としては、燃料電池モジュール31やこれに含まれる脱硫器33や改質器34等の機器、燃料電池本体32といった機器であってもよい。
【0057】
第3判定は、回収した燃料電池モジュール31を保管又は廃棄するという判定である。第3判定にあっては、更に判定を行い、燃料電池モジュール31を保管するか、あるいは廃棄するかが決められる。例えば、回収した燃料電池モジュール31において見込まれる修理費用、見込まれる保管費用、検査費用及び配送費用が、新品の燃料電池モジュール31を導入した場合の燃料電池モジュール31本体の費用、配送費用等を含めた費用よりも上回る場合、回収した燃料電池モジュール31を廃棄すると判定する。
【0058】
利用判定部235における判定結果は、燃料電池運用管理システム1の管理者の端末装置10に受信され、管理者に確認される。また、利用判定部235の判定に用いられる利用判定基準データは、記憶部22に記憶されている。
【0059】
(適合判定部)
適合判定部236は、取得部231において回収フラグが取得された後、回収されて検査され、利用判定部235により第1判定がなされた燃料電池モジュール31が、故障判定部232において故障していると判定された燃料電池モジュール31の代替として適合しているか否かを判定する。
【0060】
具体例として、利用者が有期の利用契約を結んでいる場合に、故障していると判定されて回収された燃料電池モジュール31の契約期間の残期間と、回収フラグにより回収されて検査された燃料電池モジュール31の検査結果から分かる残寿命とを比較して、残寿命が残期間以上である場合に、適合すると判定される。適合判定部236の判定に用いられる適合判定基準データは、記憶部22に記憶されている。
【0061】
(補正運転指令部)
補正運転指令部237は、第1判定がなされた再利用された新たな燃料電池モジュール31、あるいは、第2判定がなされて部品が再生利用され組み込まれた新たな燃料電池モジュール31について、運転を行う際に、運転の補正の指令を行う。新たな燃料電池モジュール31について、検査装置11による検査において、様々な運転条件に対して出力値が取得される。運転条件に対して正常な出力値が取得されていれば、補正運転指令部237は、運転の補正の指令を行う必要はない。
【0062】
しかしながら、新たな燃料電池モジュール31について、運転条件に対して正常な出力値が取得されていない場合、補正運転指令部237は、運転の補正の指令を行う。補正の指令は、通信ネットワーク4を介して制御部30に取得され、制御部30は、補正の指令に従って燃料電池モジュール31を補正運転する。具体例としては、ガスの流量が所定の流量であるにもかかわらず、出力として前記所定の流量に応じた所定の電力が得られない場合、ガスの流量を所定の流量よりも増加させる。補正に必要な入力-出力の相関関係は、予め求められており、記憶部22に記憶されている。
【0063】
(検査装置)
検査装置11は、回収された燃料電池モジュール31の検査を行う。検査装置11は、検査として、燃料電池モジュール31についてのI-V特性(電流-電圧特性)の測定、OCV(開回路電圧)の測定、Ua特性の測定、Uf特性の測定、を行う。検査装置11は通信ネットワーク4に接続されており、検査装置11にて検査された検査結果は、燃料電池運用管理装置2に送信される。
【0064】
(燃料電池運用管理方法)
燃料電池運用管理装置2において実行される燃料電池運用管理方法について
図3及び
図4に基づいて説明する。
【0065】
燃料電池運用管理方法は、取得ステップと、故障判定ステップと、回収判定ステップと、回収ステップと、検査ステップと、検査結果取得ステップと、利用判定ステップと、適合判定ステップと、利用ステップと、を備える。処理部23が、燃料電池運用管理方法を実行する。
【0066】
燃料電池運用管理方法の開始後、まず、取得部231が取得ステップを実行する。取得ステップは、燃料電池モジュール31において計測された物理量のデータ又は燃料電池モジュール31についての回収フラグを取得するステップである。本実施形態では、ステップS1において、取得部231が、複数の燃料電池モジュール31より、通信ネットワーク4を介して、計測装置37により計測された物理量のデータ又は回収フラグを取得する。次に、ステップS2において、燃料電池モジュール31についての回収フラグを取得したか否かが判定される。回収フラグを取得したと判例された場合、ステップS3において、取得部231の実行プログラムにおける回収フラグをONとし、ステップS4に移行する。ステップS2において、回収フラグを取得してないと判定された場合、ステップS4に移行する。
【0067】
次に、ステップS4において、故障判定部232が故障判定ステップを実行する。故障判定ステップは、取得ステップにおいて取得した物理量のデータに基づいて、取得した物理量のデータに係る燃料電池モジュール31が故障しているか否かを判定するステップである。故障判定ステップにおいて燃料電池モジュール31が故障していると判定されると、ステップS5において、故障フラグをONとし、ステップS6に移行する。ステップS4において、故障してないと判定された場合、ステップS6に移行する。
【0068】
次に、回収判定部233が回収判定ステップを実行する(ステップS6~S8)。回収判定ステップは、取得ステップにおいて取得した物理量のデータ、回収フラグ又は故障フラグに基づいて、燃料電池モジュール31を回収するか否かを判定するステップである。ステップS6において、回収フラグがONの場合には、ステップS7において、燃料電池モジュール31を回収すると判定し、ステップS9に移行する。
【0069】
また、故障フラグがONの場合には、回収判定ステップにおいて、燃料電池モジュール31を回収すると判定する。本実施形態では、ステップS6において、回収フラグがONとなっていない場合に、ステップS8に移行して、故障フラグがONか否かが判定され、故障フラグがONと判定された場合に、ステップS7に移行して燃料電池モジュール31を回収すると判定する。ステップS8において、故障フラグがONとなっていない場合、終了する。なお、故障フラグは、燃料電池運用管理装置2においてONとなるフラグであり、計測装置37に直接計測された物理量のデータではないが、計測装置37に計測された物理量のデータに基づいて故障フラグがONとなる。このため、回収判定ステップにおける故障フラグに基づく判定は、計測装置37に計測された物理量のデータに間接的に基づいているといえる。
【0070】
次に、ステップS9において、回収ステップを実行する。回収ステップは、回収判定ステップにおいて燃料電池モジュール31を回収すると判定した場合に、この燃料電池モジュール31を回収するステップである。回収ステップは、燃料電池モジュール31を検査場まで配送(運搬)する作業を伴うものであり、処理部23ではなく作業者が行う。
【0071】
次に、ステップS10において、検査ステップを実行する。検査ステップは、回収ステップにおいて回収された燃料電池モジュール31を検査するステップである。作業者は、回収した燃料電池モジュール31と検査装置11とを組み合わせて、燃料電池モジュール31の検査を実行可能な状態とし、検査装置11による検査を開始させる。検査装置11による検査結果の取得は、検査装置11が自動で行う。検査結果は、検査装置11より燃料電池運用管理装置2に送信される。
【0072】
次に、ステップS11において、検査結果取得ステップを実行する。検査結果取得ステップは、検査ステップにおいて検査された燃料電池モジュール31の検査結果を取得するステップである。本実施形態では、検査結果取得部234が、検査装置11より通信ネットワーク4を介して検査結果を取得する。
【0073】
次に、ステップS12において、利用判定ステップを実行する。利用判定ステップは、利用判定部235が、検査結果に基づいて、この燃料電池モジュール31を、再利用するという第1判定、分解して部品を再生利用するという第2判定、あるいは保管又は廃棄するという第3判定のいずれかを選択するステップである。
【0074】
次に、適合判定ステップを実行する。適合判定ステップであるステップS13において、利用判定ステップにより第1判定がなされた、回収フラグがONとなっている燃料電池モジュール31が、故障フラグがONとなっている燃料電池モジュール31の代替として適合しているか否かを判定する。
【0075】
次に、利用ステップを実行する(ステップS14~S20)。利用ステップは、利用判定ステップにおける判定結果(第1判定~第3判定)に基づいて、作業者が実際に再利用、再生利用又は廃棄等の作業を行うステップである。
【0076】
ステップS14において、第1判定がなされたか否かが判定され、第1判定がなされた燃料電池モジュール31は、ステップS15において、基本的には分解せずに再利用する。ステップS14において、第1判定がなされなかった場合、ステップS16において、第2判定がなされたか否かが判定される。ステップS16において、第2判定がなされた燃料電池モジュール31は、ステップS17において、分解されて、部品が再生利用される。ステップS16において、第2判定がなされなかった場合、第3判定がなされているため、第3判定がなされた燃料電池モジュール31は、ステップS18において、保管又は廃棄のいずれかが選択される。なお、ステップS18における保管又は廃棄の選択は、適宜の基準により行われる。ステップS18において保管が選択されると、燃料電池モジュール31はステップS19において保管され、ステップS13の適合判定ステップに移行する。また、ステップS18において保管が選択されず廃棄が選択されると、ステップS20において燃料電池モジュール31は廃棄される。
【0077】
利用ステップは、取り出しステップ及び取り替えステップを備えている。取り替えステップは、回収された燃料電池モジュール31について利用判定ステップにおいて第1判定又は第2判定がなされた場合に、燃料電池モジュール31が有していた所定の種類の部品を別の所定の種類の部品に取り替えるステップである。
【0078】
取り出しステップは、回収された燃料電池モジュール31について、利用判定ステップにおいて第2判定がなされた場合に、燃料電池モジュール31を分解して、残寿命を有する所定の種類の部品を取り出すステップである。
【0079】
取り替えステップにおいては、利用判定ステップにおいて第1判定がなされて再利用される燃料電池モジュール31か又は第2判定がなされて再生利用される燃料電池モジュール31が有していた所定の種類の部品を、利用判定ステップにおいて第2判定がなされて再生利用される燃料電池モジュール31から取り出しステップにおいて取り出された所定の種類の部品に取り替えてもよい。また、取り替えステップにおいては、利用判定ステップにおいて第1判定がなされて再利用される燃料電池モジュール31か又は第2判定がなされて再生利用される燃料電池モジュール31が有していた所定の種類の部品を、新品の所定の種類の部品に取り替えてもよい。
【0080】
(効果)
上述した燃料電池運用管理システム1及び燃料電池運用管理方法にあっては、燃料電池モジュール31に故障が発生した場合や、利用者が燃料電池モジュール31の利用を終了した場合、少なくとも一部の部品が残寿命を有する可能性の高い燃料電池モジュール31が検査される。検査後、燃料電池モジュール31が分解せずに再利用可能と判定された場合(第1判定)、廃棄されることなく利用され、残寿命を有効に活かすことができる。また、検査後、燃料電池モジュール31が一部の部品について再生利用可能と判定された場合(第2判定)、分解されて一部の部品が廃棄されることなく利用され、残寿命を有効に活かすことができる。このように、従来廃棄されていた燃料電池モジュール31の再利用や部品の再生利用が促進され、環境への負荷及び運用コストの低減化を図ることができる。
【0081】
また、故障判定部232による故障判定ステップを実行することにより、再利用又は再生利用すべき燃料電池モジュール31が適切に見い出だされて、多数の燃料電池モジュール31の運用にあたって、効率の良い燃料電池モジュール31の再利用又は再生利用を行うことが可能となる。
【0082】
また、適合判定部236による適合判定ステップを実行することにより、複数の燃料電池モジュール31の再利用又は再生利用をうまく組み合わせて、効率の良い燃料電池モジュール31の運用を行うことが可能となる。
【0083】
(変形例)
燃料電池モジュール31の利用形態としては、利用者が燃料電池モジュール31を購入して所有し、燃料電池モジュール31の設置や実際の運用を燃料電池運用管理システム1の管理者が行う利用形態でもよい。
【0084】
燃料電池モジュール31は、給湯システム5を構成しなくてもよい。
【0085】
故障判定部232、適合判定部236及び補正運転指令部237は、燃料電池運用管理装置2における任意の構成であり、必ずしも燃料電池運用管理装置2に備えられなくてもよい。
【0086】
なお、上述した実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎず、本発明は上述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0087】
1 燃料電池運用管理システム
10 端末装置
11 検査装置
2 燃料電池運用管理装置
21 通信部
22 記憶部
23 処理部
231 取得部
232 故障判定部
233 回収判定部
234 検査結果取得部
235 利用判定部
236 適合判定部
237 補正運転指令部
3 燃料電池ユニット
30 制御部
31 燃料電池モジュール
32 燃料電池本体
33 脱硫器
34 改質器
37 計測装置
4 通信ネットワーク
5 給湯システム
51 給湯タンク
52 暖房用端末
6 パワーコンディショナ
7 負荷機器