(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039272
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】溶接組立H形鋼及び溶接組立H形鋼の製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 3/06 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
E04C3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146359
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】中安 誠明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭一
(72)【発明者】
【氏名】北岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】桑田 涼平
(72)【発明者】
【氏名】清水 信孝
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB02
(57)【要約】
【課題】隅肉溶接により形成された隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑える溶接組立H形鋼を提供する。
【解決手段】一対のフランジ26,27と、一対のフランジのそれぞれに、隅肉溶接部29,30により接合されたウェブ28と、を備える溶接組立H形鋼25であって、隅肉溶接部のサイズsが、ウェブの厚さ未満であって、サイズsが(1)式を満たす。
[数1]
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のフランジと、
前記一対のフランジのそれぞれに、隅肉溶接部により接合されたウェブと、
を備える溶接組立H形鋼であって、
前記隅肉溶接部のサイズs(mm)が、前記ウェブの厚さ未満であって、
前記サイズsが(1)式及び(2)式を満たす、溶接組立H形鋼。
ただし、τ
y,depoは前記隅肉溶接部のせん断降伏強度(N/mm
2)であり、Iは前記溶接組立H形鋼の強軸回り断面二次モーメント(mm
4)であり、Hは前記溶接組立H形鋼のせい(mm)であり、t
fは前記フランジの厚さ(mm)であり、Wは前記溶接組立H形鋼の幅(mm)であり、τ
crは前記溶接組立H形鋼の弾性せん断座屈強度(N/mm
2)であり、A
wは前記ウェブにおける前記溶接組立H形鋼の材軸方向に直交する断面積(mm
2)である。
【数1】
【請求項2】
一対のフランジと、
前記一対のフランジのそれぞれに、隅肉溶接部により接合されたウェブと、
を備える溶接組立H形鋼であって、
前記ウェブの厚さに対する前記隅肉溶接部のサイズの比率が、0.51以上1.0未満である、溶接組立H形鋼。
【請求項3】
前記ウェブの幅厚比が109以上である、請求項1又は2に記載の溶接組立H形鋼。
【請求項4】
前記隅肉溶接部は、前記一対のフランジのそれぞれに対して、前記ウェブの厚さ方向の片側のみに形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の溶接組立H形鋼。
【請求項5】
一対のフランジのそれぞれにウェブを隅肉溶接により接合して、溶接組立H形鋼を製造する溶接組立H形鋼の製造方法であって、
それぞれの前記隅肉溶接における入熱量が、2.3kJ/cm以上3.2kJ/cm以下である、溶接組立H形鋼の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接組立H形鋼及び溶接組立H形鋼の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨造の建築物における小梁には、耐震性が要求されない。このため、小梁には、大梁と比較して、フランジやウェブの幅厚比が大きな圧延H形鋼が使われる。これは、ウェブの幅厚比を大きく設定すれば、軽量かつ高剛性で、断面効率の良いH形鋼を比較的容易に実現できることによる。
近年、小梁スパン(長さ)の増大に伴い、圧延H形鋼の製造限界であるウェブの幅厚比を70程度まで大きくしたH形鋼が、小梁に使用されている。このH形鋼では、質量比剛性が大きく、断面効率が良い。
さらにH形鋼の断面効率を高める方法として、寸法に関する製造制約の少ない溶接組立H形鋼を用いて、ウェブの幅厚比を大きくする方法が考えられる。
【0003】
一方、ウェブの幅厚比が大きい溶接組立H形鋼では、フランジとウェブの交線の溶接時、H形鋼が冷却された後に、ウェブに、ウェブの厚さ方向に曲がるような変形が生じることがある。このウェブの変形の発生原因は、以下のような機構として説明される。
まず、溶接による入熱に伴ってH形鋼全体が昇温されて、H形鋼全体が部材の長さ方向(材軸方向)に伸びる。次に、入熱部からの距離が遠いウェブにおける幅方向の中央部分が他の部分より先に冷却され始める。続いて、入熱部からの距離が近いフランジや、ウェブのフランジ近傍部分が冷却され始める。後から冷却されるウェブのフランジ近傍部分等が部材の長さ方向に縮み始める際、先に冷却されていたウェブにおける幅方向の中央部分はすでに縮み終わっていることから、後から冷却されるウェブのフランジ近傍部分等が部材の長さ方向に縮もうとする力は、先に冷却されていたウェブにおける幅方向の中央部分に圧縮力として作用する。この圧縮力を受けて、幅厚比が大きいために元々座屈しやすいこともあり、ウェブが曲がるような座屈波形が残留変形として生じることとなる。
【0004】
これらの残留変形は、H形鋼の構造性や、H形鋼を工場で加工する際の製造性、及び建設現場で他の部材と接合する際の施工性を低下させる。このため、これらの残留変形の発生を回避したり、その発生の程度を一定程度以下に抑えるべきである。
また、フランジとウェブの隅肉溶接に関する先行文献として、例えば非特許文献1には、「隅肉溶接のサイズは薄い方の母材の厚さ以下」、または幅厚比が大きくなる傾向にある板厚6mm以下の場合、「隅肉溶接のサイズを薄い方の材の板厚の1.5倍、かつ6mm以下」にする必要がある旨の記述がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日本建築学会、「鋼構造許容応力度設計基準」、第1版、丸善出版株式会社、2019年10月15日、p.33-35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に開示されたこれらの値は、鋼板の材質が受ける熱影響の低減の観点やH形鋼の残留変形抑制の観点から設定されているものであるが、ウェブの幅厚比が大きなH形鋼の残留変形の抑制等を十分に考慮して設定された値ではない。
また、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部のサイズが小さすぎると、ウェブに作用するせん断力をフランジに伝達できない。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑える溶接組立H形鋼、及び溶接組立H形鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の溶接組立H形鋼は、一対のフランジと、前記一対のフランジのそれぞれに、隅肉溶接部により接合されたウェブと、を備える溶接組立H形鋼であって、前記隅肉溶接部のサイズs(mm)が、前記ウェブの厚さ未満であって、前記サイズsが(1)式及び(2)式を満たすことを特徴としている。
ただし、τy,depoは前記隅肉溶接部のせん断降伏強度(N/mm2)であり、Iは前記溶接組立H形鋼の強軸回り断面二次モーメント(mm4)であり、Hは前記溶接組立H形鋼のせい(mm)であり、tfは前記フランジの厚さ(mm)であり、Wは前記溶接組立H形鋼の幅(mm)であり、τcrは前記溶接組立H形鋼の弾性せん断座屈強度(N/mm2)であり、Awは前記ウェブにおける前記溶接組立H形鋼の材軸方向に直交する断面積(mm2)である。
【0009】
【0010】
この発明では、隅肉溶接部のサイズsは、ウェブの厚さ未満である比較的小さい値になり、溶接により隅肉溶接部を形成するときの入熱量が抑制され、ウェブの残留変形が許容値以下となる所定の範囲に抑えられる。
また、弾性せん断座屈強度τcrは、溶接組立H形鋼におけるウェブ及び一対のフランジの連成変形を考慮して、溶接組立H形鋼にせん断力が作用して座屈するときの強度を精緻に求めた値である。従って、(1)式及び(2)式を満たすことにより、例えば、溶接組立H形鋼が梁として用いられたときに、ウェブが弾性せん断座屈しない範囲でウェブに作用するせん断力を確実に伝達できる、精緻に求められた隅肉溶接部のサイズsとなる。
以上のように、隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、溶接組立H形鋼のウェブの残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【0011】
また、本発明の他の溶接組立H形鋼は、前記一対のフランジのそれぞれに、隅肉溶接部により接合されたウェブと、を備える溶接組立H形鋼であって、前記ウェブの厚さに対する前記隅肉溶接部のサイズsの比率が、0.51以上1.0未満であることを特徴としている。
【0012】
この発明では、発明者等は鋭意検討の結果、前記比率が0.51以上の場合に、隅肉溶接部のビードが確実に形成されて、隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達することを見出した。また、前記比率が1.0未満の場合に、溶接により隅肉溶接部を形成するときの入熱量が、ウェブの残留変形が許容値以下となる所定の範囲に抑えられることを見出した。
従って、溶接組立H形鋼において、前記比率を0.51以上1.0未満とすることにより、隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、溶接組立H形鋼のウェブの残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【0013】
また、前記溶接組立H形鋼において、前記ウェブの幅厚比が109以上であってもよい。
この発明では、ウェブの幅厚比が109以上である、比較的断面効率が高い溶接組立H形鋼とすることができる。
【0014】
また、前記溶接組立H形鋼において、前記隅肉溶接部は、前記一対のフランジのそれぞれに対して、前記ウェブの厚さ方向の片側のみに形成されていてもよい。
この発明では、隅肉溶接部を形成するための隅肉溶接を容易に行って、溶接組立H形鋼を製造することができる。
【0015】
また、本発明の溶接組立H形鋼の製造方法は、一対のフランジのそれぞれにウェブを隅肉溶接により接合して、溶接組立H形鋼を製造する溶接組立H形鋼の製造方法であって、それぞれの前記隅肉溶接における入熱量が、2.3kJ/cm以上3.2kJ/cm以下であることを特徴としている。
【0016】
この発明では、発明者等は鋭意検討の結果、それぞれの隅肉溶接における入熱量が2.3kJ/cm以上であることで、隅肉溶接により例えば隅肉溶接部のビードが確実に形成されて、隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達することを見出した。また、それぞれの隅肉溶接における入熱量が3.2kJ/cm以下であることで、隅肉溶接するときの入熱量が抑制され、ウェブの残留変形が許容値以下となる所定の範囲に抑えられることを見出した。
従って、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の溶接組立H形鋼及び溶接組立H形鋼の製造方法では、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の溶接組立H形鋼が用いられる建築物の斜視図である。
【
図3】同溶接組立H形鋼における隅肉溶接部周辺の断面の写真である。
【
図4】同隅肉溶接部のサイズsを説明する図である。
【
図5】せん断力が作用した同溶接組立H形鋼が座屈している状態を模式的に示す斜視図である。
【
図7】ケースNo.1の溶接組立H形鋼の写真である。
【
図8】ケースNo.4の溶接組立H形鋼の写真である。
【
図9】ケースNo.1~4に対して、入熱量と、ウェブの限界許容差に対する溶接時のウェブの変形量の比率(e1/△e1)との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る溶接組立H形鋼の一実施形態が用いられる建築物を、
図1から
図9を参照しながら説明する。
【0020】
〔1.溶接組立H形鋼が用いられた建築物の構成〕
図1に示すように、建築物1は、複数の柱10と、複数の大梁15と、小梁である溶接組立H形鋼25等と、床スラブ35と、を備えている。
なお、
図1では、床スラブ35を二点鎖線で示している。溶接組立H形鋼25は、圧延H形鋼でもよい。
【0021】
柱10は、上下方向に沿って延びている。複数の柱10は、互いに間隔を開けて配置されている。柱10は、鉄骨製、RC(Reinforced Concrete)製、SRC(Steel Reinforced Concrete)製、CFT(Concrete Filled steel Tube)製等である。
例えば、大梁15は、H形鋼製である。大梁15は、第1フランジ16及び第2フランジ17と、フランジ16,17を連結するウェブ18と、を備えている。第2フランジ17は、第1フランジ16よりも上方に配置されている。大梁15のウェブ18等には、図示しないガセットプレートが溶接等により接合されている。
大梁15は、隣り合う柱10の間にかけ渡され、水平面に沿う方向に延びている。大梁15の両端部は、柱10に溶接等でそれぞれ接合されている。
なお、大梁15は、RC製やSRC製でもよい。
【0022】
図1及び
図2に示すように、小梁が溶接組立H形鋼25である場合は、一対のフランジ26,27と、一対のフランジ26,27のそれぞれに、隅肉溶接部29,30により接合されたウェブ28と、を備えている。以下では、一対のフランジ26,27の一方を、第1フランジ26と言い、一対のフランジ26,27の他方を、第2フランジ27と言う場合がある。
第2フランジ27は、第1フランジ26よりも上方に配置されている。
図2に示すように、隅肉溶接部29は、第1フランジ26とウェブ28とを隅肉溶接により接合することで形成された溶接部である。同様に、隅肉溶接部30は、第2フランジ27とウェブ28とを隅肉溶接により接合することで形成された溶接部である。
【0023】
隅肉溶接部29,30は、フランジ26,27のそれぞれに対して、ウェブ28の厚さ方向の片側のみに形成されている。すなわち、隅肉溶接部29は、第1フランジ26とウェブ28とを、ウェブ28の厚さ方向の第1側で隅肉溶接することにより形成されている。隅肉溶接部30は、第2フランジ27とウェブ28とを、ウェブ28の厚さ方向の第1側で隅肉溶接することにより形成されている。なお、隅肉溶接部30は、第2フランジ27とウェブ28とを、ウェブ28の厚さ方向における第1側とは反対側の第2側で隅肉溶接することにより形成されていてもよい。
ウェブ28の幅厚比は、109以上であることが好ましい。
【0024】
図1に示すように、溶接組立H形鋼25は、対向する大梁15の間にかけ渡され、水平面に沿う方向に延びている。溶接組立H形鋼25における材軸方向の両端部は、大梁15のガセットプレートに、図示しない高力ボルト等により接続されている。
図示はしないが、床スラブ35は、例えば、デッキプレートと、コンクリートと、補強鉄筋と、シアコネクタと、を備えている。
デッキプレートは、鋼板を折り曲げること等により形成されている。デッキプレートは、溶接組立H形鋼25の第2フランジ27上に配置されている。デッキプレートと第2フランジ27とは、焼き抜き栓溶接等による接合部により互いに接合されている。
コンクリートは、厚さ方向が上下方向に沿う平板状に形成されている。コンクリートは、デッキプレート上に配置されている。
【0025】
床スラブ35は、補強鉄筋を複数備えている。複数の補強鉄筋の一部である第1鉄筋は、溶接組立H形鋼25の材軸方向に延びている。複数の補強鉄筋の残部である第2鉄筋は、水平面に沿うとともに第1鉄筋に直交する方向に延びている。第1鉄筋及び第2鉄筋は、コンクリート内に埋設されている。
シアコネクタは、例えば、頭付きスタッドである。床スラブ35は、シアコネクタを複数備えている。複数のシアコネクタの下端部は、溶接組立H形鋼25の第2フランジ27の上面に、互いに材軸方向に間隔を空けて固定されている。シアコネクタは、コンクリート内に埋設されている。
【0026】
図3に、溶接組立H形鋼25における隅肉溶接部29周辺の断面の写真を示す。
隅肉溶接部29のサイズs(mm)は、一般社団法人日本建築学会編、「建築工事標準仕様書 JASS6 鉄骨工事」第11版、2018年改定(以下では、JASS6と略して言う)に規定されている。
具体的には、
図4に示すように、第1フランジ26の表面、ウェブ28の表面、及び隅肉溶接部29の表面にそれぞれ接する直角二等辺三角形29aを規定する。このとき、サイズsは、直角二等辺三角形29aの直角を挟む辺の長さである。
隅肉溶接部30等の溶接部についても、同様である。
なお、
図4中には、隅肉溶接部29ののど厚c、脚長bを示している。
【0027】
以下では、溶接組立H形鋼において、隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑えるための検討を行った。その検討にあたり、本実施形態では、特開2021-6787号公報(以下、関連する先願と言う)に開示された、H形鋼にせん断力が作用してH形鋼が座屈するときの、H形鋼の弾性せん断座屈強度(座屈応力度)τcr(N/mm2)を用いている。
以下では、弾性せん断座屈強度τcrの概要について説明する。
【0028】
〔2.H形鋼の弾性せん断座屈強度〕
図5に示すように、溶接組立H形鋼25の材軸方向に沿って、x軸を規定する。ウェブ28は、このx軸、及びウェブ28の板幅方向であるy軸に沿って広がるとする。すなわち、フランジ26,27は、ウェブ28をy軸方向に挟むように配置されている。ウェブ28の板厚方向に延びる軸を、z軸と規定する。
ウェブ28におけるy軸に沿う方向の中心の位置を、y軸の原点とする。第1フランジ26から第2フランジ27に向かう向きを、y軸の正の向きとする。
【0029】
ここで、
図2に示すように、溶接組立H形鋼25の各寸法等を規定する。
第1フランジ26及び第2フランジ27それぞれの厚さを、t
f(mm)とする。溶接組立H形鋼の幅を、W(mm)とする。第1フランジ26及び第2フランジ27それぞれの幅の半分の値を、b
f(mm)とする。このとき、幅Wは、2b
fに等しい。
ウェブ28の厚さを、t
w(mm)とする。溶接組立H形鋼25のせいを、H(mm)とする。y軸に沿う方向における第1フランジ26の中心と第2フランジ27の中心との距離をb
w(mm)とする。ウェブ28における溶接組立H形鋼25の材軸方向に直交する断面積を、A
w(mm
2)とする。
【0030】
溶接組立H形鋼25のヤング係数を、E(N/mm
2)とする。溶接組立H形鋼25のポアソン比を、ν(-)とする。隅肉溶接部29,30のせん断降伏強度を、τ
y,depo(N/mm
2)とする。溶接組立H形鋼25の強軸(z軸)回り断面二次モーメントを、I(mm
4)とする。溶接組立H形鋼のせん断降伏強度を、τ
y(N/mm
2)とする。せん断降伏強度τ
yは、後述する一対のフランジ及びウェブそれぞれの母材の設計基準強度をFとしたときに、例えば(F/√3)の値に等しい。
図5に示すように、溶接組立H形鋼25のx軸方向の端面25aにそれぞれy軸方向にせん断力F1が作用して、溶接組立H形鋼25が座屈すると仮定する。
ウェブ28のx軸に沿う方向の第1端に向かうに従い、z軸の正の向き及びz軸の負の向きに交互に波状に変位するウェブ28の、x軸に沿う方向における半波長をa(mm)とする。
【0031】
このとき、弾性せん断座屈強度τcrは、(6)式から(11)式を用いて、(12)式による弾性せん断座屈強度τcrに最小の正の値を与える実数であるan,bn,λ及び半波長aに基づいて求められる。
【0032】
【0033】
ただし、Nは2以上の自然数であり、a0,an,bn,λは未定係数である。
(11)式の右辺は、関連する先願の(53)式の右辺において、微小要素dx,dzに対応して[]内の分母を変更している。
弾性せん断座屈強度τcrは、溶接組立H形鋼25におけるウェブ28及び一対のフランジ26,27の連成変形を考慮して、溶接組立H形鋼25にせん断力が作用して座屈するときの強度を精緻に求めた値である。
【0034】
〔3.ウェブに作用するせん断力を確実に伝達できる隅肉溶接部のサイズの検討〕
発明者等は鋭意検討の結果、隅肉溶接部29,30のサイズsが(15)式から(17)式をそれぞれ満たす場合に、隅肉溶接部29,30が、ウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達できることを見出した。
【0035】
【0036】
ここで、(17)式において、Aweは、ウェブ28の材軸方向に直交する有効断面積(mm2)である。(16)式において、QMaxは、溶接組立H形鋼25がせん断座屈する際に作用するせん断力(N)である。(15)式の右辺の値は、ウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達するの(ウェブ28のせん断耐力確保)に必要なウェブ28のサイズsreq(mm)である。
(16)式において、ウェブ28の断面積Awでなく、断面積Awに(τcr/τy)を乗じたウェブ28の有効断面積Aweを用いることにより、ウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達できる隅肉溶接部29,30のサイズsの範囲を、(15)式により正確に算出することができる。
【0037】
(16)式及び(17)式は、(18)式のようにまとめることができる。
【0038】
【0039】
なお、フランジ26,27とウェブ28との交線に生じるせん断応力度τw(N/mm2)は、(20)式で得られる。
【0040】
【0041】
〔4.実験結果〕
一対のフランジのそれぞれにウェブを隅肉溶接により接合して、溶接組立H形鋼を製造する実験を行った。
溶接には、サブマージアーク溶接(Submerged Arc Welding)を用いた。
溶接条件としては、JIS Z 3183:2012 炭素鋼及び低合金鋼用サブマージアーク溶着金属の品質区分の、品質区分S501-Hの規定に基づいて行った。
【0042】
表1に示すケースNo.1~4の条件で、溶接組立H形鋼を製造した。
【0043】
【0044】
ケースNo.1~4において、一対のフランジ及びウェブそれぞれの母材の設計基準強度Fは、295N/mm2である。隅肉溶接部の設計基準強度は、295N/mm2である。
例えば、ケースNo.1では、溶接組立H形鋼の断面形状は、700×175×4.5×9.0である。すなわち、ケースNo.1の溶接組立H形鋼のウェブの厚さtwは、4.5mmである。
ウェブの幅厚比は、151.6である。溶接組立H形鋼の長さLは、7,000mmである。隅肉溶接する際の入熱量は、4.4kJ/cmである。
入熱量が4.4kJ/cmの場合、電流が330A、電圧が29V、溶接速度が130cm/minであった。入熱量が2.7kJ/cmの場合、電流が280A、電圧が24V、溶接速度が150cm/minであった。
【0045】
ここで、ウェブの変形e1の、3断面平均による測定方法について説明する。
図6に示すように、溶接組立H形鋼25のある断面において、ウェブ28における、ウェブ28の厚さ方向の撓みである、変形e1を測定する。
変形e1を測定する溶接組立H形鋼の断面は、以下のようである。溶接組立H形鋼を、材軸方向に4等分して、第1部分から第4部分に分ける。第1部分と第2部分との境界の断面、第2部分と第3部分との境界の断面、及び第3部分と第4部分との境界の断面の3断面において、変形e1をそれぞれ測定する。測定した3つの変形e1の平均値を求め、3断面平均とする。
【0046】
ケースNo.1の溶接組立H形鋼の写真を、
図7に示す。溶接組立H形鋼において、ウェブに、ウェブの厚さ方向に曲がるような変形が生じていることが分かる。
ケースNo.4の溶接組立H形鋼の写真を、
図8に示す。溶接組立H形鋼において、ウェブの前記変形が抑えられていることが分かる。
【0047】
実験結果の一部を、表1中に示す。
ケースNo.1の溶接組立H形鋼では、3断面平均の変形e1は、6.7mmであった。
JASS6には、ウェブの変形の限界許容差△e1は、溶接組立H形鋼のせいHを100で除した値、及び6mmのうちの小さい方と規定されている。このため、ケースNo.1における限界許容差△e1は、6.0mmとなる。比率(e1/△e1)は、(6.7/6.0)の式から、1.11となる。
なお、ケースNo.1,2,4の溶接組立H形鋼では、溶接ビードが形成されて隅肉溶接部が構成され、一対のフランジのそれぞれにウェブが隅肉溶接部により接合された。
一方で、ケースNo.3の溶接組立H形鋼では、溶接ビードが形成されず、一対のフランジのそれぞれにウェブが接合されなかった。
【0048】
実験結果の残部を、表2に示す。
【0049】
【0050】
ケースNo.1の溶接組立H形鋼では、各隅肉溶接部において、サイズsは、4.6mmであった。のど厚cは、3.3mmであった。サイズsreqは、1.9mmであった。
ケースNo.3ではサイズsの値が得られず、s≧sreqの関係を満たさないが、ケースNo.1,2,4ではs≧sreqの関係を満たすことが分かった。s≧sreqの関係を満たす、すなわち(15)式を満たす場合、隅肉溶接部が、ウェブに作用するせん断力を確実に伝達できる。
【0051】
また、隅肉溶接部のサイズsが、ウェブの厚さtw未満である(tw>s)ケースNo.4の場合に、溶接により隅肉溶接部を形成するときの入熱量が抑制され、ウェブの残留変形を、例えばJASS6の限界許容差である許容値以下に抑えられることが分かった。
【0052】
本実施形態の課題は、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部がウェブに作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブの残留変形を許容値以下に抑える溶接組立H形鋼を提供することである。
サイズsが(tw>s≧sreq)の式を満たすケースNo.4が実施例となり、サイズsが(tw>s≧sreq)の式を満たさないケースNo.1~3が比較例となることが分かった。
【0053】
ここで、表1及び表2に示したケースNo.1~4の結果について、入熱量と、ウェブの限界許容差に対する溶接時のウェブの変形量の比率(e1/△e1)との関係を、
図9に示す。
図9において、横軸(x軸)は入熱量(kJ/cm)を表し、縦軸(y軸)は比率(e1/△e1)(-)を表す。
断面形状が700×175×4.5×9.0であるケースNo.1,4を、実線の丸印で示す。断面形状が500×150×4.5×4.5であるケースNo.2を、実線の四角印で示す。
ケースNo.1,4(入熱量2.7,4.4kJ/cm)に対して、原点を通る累乗関数(べき関数)で近似した。近似した結果、曲線L1で示される(20)式が得られた。
y=0.012x
3.0545 ・・(20)
【0054】
ケースNo.2に対して、(20)式と同一の指数であって、原点を通る累乗関数で近似した。近似した結果、曲線L2で示される(21)式が得られた。
y=0.0274x3.0545 ・・(21)
(20)式において、yの値が1.0になるとき(ウェブの変形e1が限界許容差△e1に等しくなるとき)のxの値(入熱量)は、4.3kJ/cmであった。
(21)式において、yの値が1.0になるときのxの値は、3.2kJ/cmであった。
【0055】
すなわち、前記2種類の断面形状の場合には、入熱量が3.2kJ/cm以下であれば、ウェブの変形e1が限界許容差△e1以下になる。
ここで、本実施形態の溶接組立H形鋼の製造方法について説明する。
溶接組立H形鋼の製造方法では、一対のフランジ26,27のそれぞれにウェブ28を隅肉溶接により接合して、溶接組立H形鋼25を製造する。溶接組立H形鋼の製造方法では、それぞれの隅肉溶接における入熱量が、2.3kJ/cm以上3.2kJ/cm以下であることが好ましい。
溶接組立H形鋼の製造方法では、例えば、第1フランジ26に対して、ウェブ28の厚さ方向の両側に隅肉溶接部29を形成する場合には、両隅肉溶接部29を同時に形成する場合がある。この場合、両隅肉溶接部29全体における入熱量が、2.3kJ/cm以上3.2kJ/cm以下であることが好ましい。
隅肉溶接部30についても同様である。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の溶接組立H形鋼25では、隅肉溶接部29,30のサイズsは、ウェブ28の厚さtw未満である比較的小さい値になり、溶接により隅肉溶接部29,30を形成するときの入熱量が抑制され、ウェブ28の残留変形が許容値以下となる所定の範囲に抑えられる。
また、弾性せん断座屈強度τcrは、溶接組立H形鋼25におけるウェブ28及び一対のフランジ26,27の連成変形を考慮して、溶接組立H形鋼25にせん断力が作用して座屈するときの強度を精緻に求めた値である。従って、(15)式から(17)式を満たすことにより、溶接組立H形鋼25が小梁として用いられたときに、ウェブ28における幅方向の中央部分に前記圧縮力として作用するせん断力を確実に伝達できる、精緻に求められた隅肉溶接部29,30のサイズsとなる。
以上のように、隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達するとともに、溶接組立H形鋼25のウェブ28の残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【0057】
ウェブ28の幅厚比が109以上である場合には、ウェブ28の幅厚比が109以上である、比較的断面効率が高い溶接組立H形鋼25とすることができる。
隅肉溶接部29,30は、フランジ26,27のそれぞれに対して、ウェブ28の厚さ方向の片側のみに形成されている。このため、隅肉溶接部29,30を形成するための隅肉溶接を容易に行って、溶接組立H形鋼25を製造することができる。
【0058】
また、本実施形態の溶接組立H形鋼の製造方法では、発明者等は鋭意検討の結果、それぞれの隅肉溶接における入熱量が2.3kJ/cm以上であることで、隅肉溶接により隅肉溶接部29,30のビードが確実に形成されて、隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達することを見出した。また、それぞれの隅肉溶接における入熱量が3.2kJ/cm以下であることで、隅肉溶接するときの入熱量が抑制され、ウェブ28の残留変形が、例えばJASS6の限界許容差である許容値以下となる所定の範囲に抑えられることを見出した。
従って、隅肉溶接により形成された隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達するとともに、ウェブ28の残留変形を許容値以下に抑えることができる。
一対のフランジ26,27のそれぞれにウェブ28を隅肉溶接により接合する際の、隅肉溶接部29,30のサイズs及び入熱量を適切に調節することができる。
【0059】
〔5.ウェブに作用するせん断力を確実に伝達するのに必要な隅肉溶接部のサイズ〕
ウェブに作用するせん断力を確実に伝達するのに必要な隅肉溶接部のサイズを試算した。試算した結果を、表3及び表4に示す。
【0060】
【0061】
【0062】
例えば、断面形状が500×150×4.5×4.5の場合について説明する。この場合、溶接組立H形鋼25の断面二次モーメントIは、1.27E+08(1.27×108)mm4である。ウェブ28の断面積Awは、2,210mm2である。溶接組立H形鋼25のせん断降伏強度τyは、170N/mm2である。(6)式から(12)式により、溶接組立H形鋼25の弾性せん断座屈強度τcrは、94N/mm2である。
(17)式により、ウェブ28の有効断面積Aweは、1,219mm2である。
一対のフランジ及びウェブそれぞれの母材の設計基準強度Fは、295N/mm2である。隅肉溶接部の設計基準強度Fは、295N/mm2である。隅肉溶接部29,30のせん断降伏強度τy,depoは、170N/mm2である。
【0063】
(16)式により、溶接組立H形鋼25のせん断力QMaxは、376.3kNである。(20)式により、隅肉溶接部29の(最大)せん断応力度τwは、110N/mm2である。隅肉溶接部29の単位せん断力QMax当りのせん断応力度(τw/QMax)は、2.92E-04(1/mm2)である。
隅肉溶接部29において、溶接組立H形鋼(H形鋼部材)25の材軸方向の単位長さ当りに作用するせん断力Qw,reqは、495N/mm2である。なお、せん断力Qw,reqは、(最大)せん断応力度τwにウェブ28の厚さtwを乗じて求められる。
【0064】
この500×150×4.5×4.5の断面形状の溶接組立H形鋼に対して、隅肉溶接部のサイズsを、2.2mm、2.3mm、2.4mmに変化させて試算を行った。
例えば、サイズsが2.2mmの場合、のど厚cは、1.5mmであった。隅肉溶接部29において、溶接組立H形鋼25の材軸方向の単位長さ当りのせん断耐力Qwは、262.3N/mmである。なお、せん断耐力Qwは、隅肉溶接部29のせん断降伏強度τy,depoに隅肉溶接部29ののど厚cを乗じて求められる。
(Qw,req/Qw)の値が1以下(せん断力Qw,reqがせん断耐力Qw以下)であれば、ウェブに作用するせん断力を確実に伝達できる。従って、ウェブに作用するせん断力を確実に伝達できることを、検定値(Qw,req/Qw)の値が1以下であることにより判断できる。この場合の検定値(Qw,req/Qw)は、1.041であり、ウェブに作用するせん断力を、確実には伝達できないことが分かった。
【0065】
500×150×4.5×4.5の断面形状の溶接組立H形鋼では、検定値が1以下になる最小のサイズsが、2.3mmであることが分かった。一方で、700×175×4.5×9.0の断面形状の溶接組立H形鋼では、検定値が1以下になる最小のサイズsが、1.9mmであることが分かった。
【0066】
〔6.隅肉溶接部のサイズの必要値とウェブの厚さとの比率〕
前記比率を、ウェブ28の厚さtwに対する隅肉溶接部29,30のサイズsの比率(s/tw。以下、サイズ厚比と言う)を用いて検討する。
ウェブ28の残留変形を許容値以下に抑える(変形抑制)に必要な隅肉溶接部29,30のサイズsの上限値は、前記のように隅肉溶接部29,30のサイズsが、ウェブの厚さtw未満であることから、サイズ厚比に関して、(24)式のように求められる。
・s/tw=4.5/4.5=1.0 ・・(24)
【0067】
隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達するため(ウェブのせん断力確保)に必要な隅肉溶接部29,30のサイズs(サイズ厚比)の下限値は、〔5.〕の結果に基づいて、溶接組立H形鋼25の断面形状に応じて(25)式及び(26)式のように求められる。
・断面形状が700×175×4.5×9.0の場合、
s/tw=1.9/4.5=0.42 ・・(25)
・断面形状が500×150×4.5×4.5の場合、
s/tw=2.3/4.5=0.51 ・・(26)
【0068】
すなわち、前記複数の断面形状に対して、サイズ厚比が、0.51以上1.0未満であれば、前記残留変形及びせん断力について望まれている要件を満たすことが分かった。
【0069】
本実施形態の溶接組立H形鋼25では、発明者等は鋭意検討の結果、サイズ厚比が0.51以上の場合に、隅肉溶接部29,30のビードが確実に形成されて、隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達することを見出した。また、サイズ厚比が1.0未満の場合に、溶接により隅肉溶接部29,30を形成するときの入熱量が、ウェブ28の残留変形が許容値以下となる所定の範囲に抑えられることを見出した。
従って、溶接組立H形鋼において、サイズ厚比を0.51以上1.0未満とすることにより、隅肉溶接部29,30がウェブ28に作用するせん断力を確実に伝達するとともに、溶接組立H形鋼のウェブ28の残留変形を許容値以下に抑えることができる。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、隅肉溶接部29は、第1フランジ26に対してウェブ28の厚さ方向の両側に形成されていてもよい。また、隅肉溶接部30は、第2フランジ27に対してウェブ28の厚さ方向の両側に形成されていてもよい。
溶接組立H形鋼25において、ウェブ28の幅厚比は109未満であってもよい。
溶接組立H形鋼は、大梁として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
25 溶接組立H形鋼
26 フランジ(第1フランジ)
27 フランジ(第2フランジ)
28 ウェブ
29,30 隅肉溶接部