(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039284
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】給油台車
(51)【国際特許分類】
F16N 3/04 20060101AFI20230313BHJP
F16N 5/02 20060101ALI20230313BHJP
F16N 7/02 20060101ALI20230313BHJP
F16N 7/16 20060101ALI20230313BHJP
F16N 9/00 20060101ALI20230313BHJP
F16N 37/00 20060101ALI20230313BHJP
B67D 7/04 20100101ALI20230313BHJP
【FI】
F16N3/04
F16N5/02
F16N7/02
F16N7/16
F16N9/00
F16N37/00
B67D7/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146383
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】角谷 優介
【テーマコード(参考)】
3E083
【Fターム(参考)】
3E083AA20
3E083AE01
3E083AG31
3E083AJ01
3E083AK01
(57)【要約】
【課題】容易に設備機器の貯留槽に給油することが可能な給油台車を提供すること。
【解決手段】本実施の形態の給油台車1は、台車本体11と、載置部12と、タンク13と、供給管14と、ポンプ15と、を備える。台車本体11は、車輪33を有する。載置部12は、台車本体11に配置され、油を貯留するポリタンク17が載置される。タンク13は、台車本体11の載置部12よりも高い位置に配置され、油を貯留する。供給管14は、載置部12に載置されるポリタンク17からタンク13に油を供給する。ポンプ15は、車輪33の回転によって駆動し、載置部12に載置されたポリタンク17から供給管14を介してタンク13に油を移動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する台車本体と、
前記台車本体に配置され、油を貯留する第1貯留槽が載置される載置部と、
前記台車本体の前記載置部よりも高い位置に配置され、油を貯留する第2貯留槽と、
前記載置部に載置される前記第1貯留槽から前記第2貯留槽に油を供給する供給管と、
前記車輪の回転によって駆動し、前記載置部に載置された前記第1貯留槽から前記供給管を介して前記第2貯留槽に油を移動するポンプと、
を備えた、給油台車。
【請求項2】
前記第2貯留槽の内側において所定の高さに配置された入口を有し、前記第2貯留槽の油を前記入口から前記第1貯留槽に戻す排出管を更に備えた、
請求項1に記載の給油台車。
【請求項3】
前記第2貯留槽における前記供給管の油の出口は、前記排出管の入口よりも高い位置に配置されている、
請求項2に記載の給油台車。
【請求項4】
設備機器の貯留槽に前記第2貯留槽から油を供給する給油ホースと、
前記給油ホースの先端に配置された給油ガンと、を更に備えた、
請求項1~3のいずれか1項に記載の給油台車。
【請求項5】
前記供給管は、前記載置部に載置された前記第1貯留槽に上方から挿入される先端部を有し、
前記先端部を支持する支持部と、
前記支持部を上下方向にスライド可能に支持する支持棒と、を更に備えた、
請求項1~4のいずれか1項に記載の給油台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給油台車に関する。
【背景技術】
【0002】
製造業等では、製品を製造する際に機械加工を行う必要があり、設備機器として数多くの工作機器が用いられている。これらの設備機器では、例えば摺動面を保護するために油が用いられており、定期的に給油を行う必要がある。
【0003】
給油を行う際には、油が入った容器を設備機器のタンクまで運搬する必要があり、例えば、特許文献1には、ポリタンクの運搬に用いるキャリーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のキャリーを使って設備機器のタンクまでポリタンクを運んだ場合であっても、ポリタンクを持ち上げて設備機器のタンクに給油する必要があるため重労働であった。
【0006】
本開示は、容易に設備機器の貯留槽に給油することが可能な給油台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の開示の給油台車は、台車本体と、載置部と、第2貯留槽と、供給管と、ポンプと、を備える。台車本体は、車輪を有する。載置部は、台車本体に配置され、油を貯留する第1貯留槽が載置される。第2貯留槽は、台車本体の載置部よりも高い位置に配置され、油を貯留する。供給管は、載置部に載置される第1貯留槽から第2貯留槽に油を供給する。ポンプは、車輪の回転によって駆動し、載置部に載置された第1貯留槽から供給管を介して第2貯留槽に油を移動する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、容易に設備機器の貯留槽に給油することが可能な給油台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る実施の形態における給油台車の外観斜視図。
【
図2】本開示に係る実施の形態における給油台車の背面図。
【
図3】本開示に係る実施の形態における給油台車の側面図。
【
図4】本開示に係る実施の形態における給油台車の内部構成を示す側面図。
【
図5】本開示に係る実施の形態における給油台車のタンクの平面図。
【
図6】本開示に係る実施の形態における給油台車の供給管および排出管を示す側面図。
【
図7】本開示に係る実施の形態における給油台車のケースの内部を示す背面側から視た断面図
【
図8】本開示に係る実施の形態における給油台車の支持機構を示す側面図。
【
図9】本開示に係る実施の形態における給油台車の支持機構を示す平面図。
【
図10】本開示に係る実施の形態における給油台車の支持機構を示す正面図。
【
図11】(a)本開示に係る実施の形態の給油台車において支持部が支持棒の上部位置でロックされている状態を示す側面図、(b)
図11(a)における支持棒と係止部材の位置関係を示す平面図。
【
図12】(a)本開示に係る実施の形態の給油台車において支持部がロック解除されている状態を示す側面図、(b)
図12(a)における支持棒と係止部材の位置関係を示す平面図。
【
図13】本開示に係る実施の形態における給油台車から設備機器のタンクに給油している状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示の一実施形態に係る給油台車について説明する。
【0011】
(給油台車の概要)
図1は、実施形態に係る給油台車1の斜視図である。
図2は、給油台車1の正面図である。
図3は、給油台車1の側面図である。
図4は、給油台車1の内部構成を示す側面図である。
【0012】
給油台車1は、例えば、設備機器のタンクに給油を行う際に用いられる。
図1に示すように、給油台車1は、台車本体11と、載置部12と、タンク13(第2貯留槽の一例)と、供給管14と、ポンプ15(
図2参照)と、伝達機構16(
図4参照)と、を備える。台車本体11に配置されている載置部12には、油の入ったポリタンク17(第1貯留槽の一例)が載置される。作業者が給油台車1を移動すると、台車本体11に配置されている複数の車輪32、33が回転する。車輪33の回転が伝達機構16を介してポンプ15に伝達されてポンプ15が駆動し、ポリタンク17から供給管14を通って、ポリタンク17よりも上方に位置するタンク13に油が供給される。タンク13から設備のタンクの油の移動は、重力によって行われる。
【0013】
また、給油台車1は、排出管18と、支持機構19と、ロック機構20(後述する
図9参照)と、給油管部21と、を更に備える。排出管18は、油がタンク13に供給されすぎてタンク13から溢れることを防ぐために、タンク13から油をポリタンク17に戻す。支持機構19は、供給管14および排出管18を支持する。ロック機構20は、ポリタンク17を入れ替えやすくするために、供給管14の入口部42および排出管18の出口部62(後述する)を上方位置にてロックする。給油管部21は、タンク13から設備機器のタンクに油を移動する。
【0014】
(台車本体11)
台車本体11は、
図2および
図3に示すように、下部フレーム31と、複数の車輪32と、車輪33と、一対の側方フレーム34と、上部フレーム35と、把手36と、を有する。ここで、把手36が設けられている側を後方向Bとし、後方向Bの反対方向を前方向Fとする。また、前方向Fを向いて左側を左方向Lとし、前方向Fを向いて右側を右方向Rとする。
【0015】
下部フレーム31は、平面視矩形状であり、矩形状の底面31aと、底面のそれぞれの辺から上方に向かって配置された側面31bとを有している。下部フレーム31の内側には載置部12が配置されている。
【0016】
車輪32は、下部フレーム31の底面31aの四隅に配置されている。左右一対の車輪32が下部フレーム31の前端と後端に配置されている。
図2に示すように、車輪32の左右には、軸支持板37が配置されている。軸支持板37は、下部フレーム31の底面31aに固定されている、一対の軸支持板37が車輪32の車軸を回転可能に支持する。
【0017】
車輪33は、後端の一対の車輪32の間に配置されている。車輪33は、
図2に示すように、車軸33aを有する。車輪33の左右には、軸支持板38が配置されている。軸支持板38は、下部フレーム31の底面31aに固定されている、一対の軸支持板38が車軸33aを回転可能に支持する。詳しくは後述するが、車輪33の回転によってポンプ15が駆動する。
【0018】
一対の側方フレーム34は、下部フレーム31の後端の左端と右端のそれぞれから上方に向かって配置されている。
【0019】
上部フレーム35は、側方フレーム34の上部に配置されており、側方フレーム34によって支持されている。上部フレーム35には、タンク13が配置される。上部フレーム35は、後述するタンク13の底面13aの4辺に沿って枠状に形成されている。
【0020】
把手36は、一対の側方フレーム34に亘って配置されている。把手36は、左右方向に沿って配置されている。作業者は把手36を把持して給油台車1を押す。
【0021】
(載置部12)
載置部12は、下部フレーム31の内側に配置されている。載置部12には、
図1に示すように、2つのポリタンク17が配置可能である。2つのポリタンク17は、
図1に示すように、左右方向に並んで配置される。載置部12は、矩形状の底面12a(
図4参照)と、側面部12bと、仕切り部12c(
図1参照)と、を有する。側面部12bは、底面12aの左右前後の端から上方に向かって配置されている。仕切り部12cは、2つのポリタンク17の間において前後方向に沿って配置されている。載置部12の底面12aは、前端が後端よりも低くなるように位置している。これにより、載置部12に載置されたポリタンク17は、傾斜して配置される。
【0022】
(タンク13)
タンク13は、直方体形状である。タンク13は、上部フレーム35によって支持されている。タンク13は、載置部12に載置されたポリタンク17よりも上方に配置されている。タンク13は、ポリタンク17から供給される油を貯める。
【0023】
図4に示すように、タンク13は、底面13aと、側面13bと、蓋13cと、スロッシング抑制板13dと、を有する。底面13aは、上述した上部フレーム35の上に固定されている。側面13bは、底面13aの前後左右の辺から上方に向かって配置されている。蓋13cは、側面13bの上端に配置されており、着脱可能に構成されている。
【0024】
スロッシング抑制板13dは、給油台車1を移動させた際に生じるスロッシングを抑制する。
図5は、タンク13の平面図であって、蓋13cを取り除いた状態を示す図である。
【0025】
図5に示すように、スロッシング抑制板13dは、側面13bのうち左方向L側の左側面13bLと右方向R側の右側面13bRとの間に、左側面13bLと右側面13bRのそれぞれに接触するように配置されている。スロッシング抑制板13dは、
図4に示すように、本体部13daと、上端部13dbとを有する。本体部13daは、前後方向に対して垂直であって、上下方向に沿って配置されている。上端部13dbは、本体部13daの上端に配置されている。上端部13dbは、本体部13daから前後方向に突出している。スロッシング抑制板13dの下端は、底面13aから所定の間隔を空けて配置されている。
【0026】
底面13aには、貫通孔13e、13f、13gが形成されている。貫通孔13eは、下方から供給管14が挿入されている、貫通孔13fは、後述する排出管18が挿入されている。貫通孔13gには、後述する給油ホース91が接続されている。
【0027】
(供給管14)
図3では、供給管14と排出管18は側面視において重なっており、供給管14と排出管18が見難い。そのため、供給管14と排出管18を意図的に前後方向および上下方向にずらした
図6を用いて、供給管14および排出管18について説明する。
図6では、供給管14を右上方から左下方に向かう斜線でハッチングし、排出管18を左上方から右下方に向かう斜線でハッチングしている。なお、供給管14と排出管18は、他の構成よりも最前面に図示している。
【0028】
供給管14は、タンク13とポリタンク17の内側とを繋ぐ。供給管14は、出口部41と、入口部42と、可撓部43と、を有する。
【0029】
出口部41は、例えば金属製のパイプ等によって形成することができる。出口部41は、上下方向に配置されている。出口部41は、タンク13の貫通孔13eに挿入されている。出口部41の先端には開口41aが形成されており、開口41aから油がタンク13内に排出される。出口部41の下端41bは、タンク13の下方に位置しており、後述するポンプ15に接続されている。
【0030】
入口部42は、例えば金属製のパイプ等によって形成することができる。入口部42は、ポリタンク17の開口17a(
図4に二点鎖線で示す)に上方から挿入される。入口部42は、
図6に示すように、第1部分421と、第2部分422と、第3部分423と、を有する。第1部分421は、下端に油の入口を有し、上下方向に沿うように配置されている。第2部分422は、第1部分421の上端から、略後方に向かって配置されている。第2部分422は、第1部分421に向かうに従って下がるように傾斜している。第3部分423は、第2部分422の後端から下方に向かうように配置されている。なお、ポリタンク17から油を出来るだけ残さず吸い上げるために、第1部分421の下端に可撓性の管等を配置してもよい。
【0031】
可撓部43は、可撓性を有しており、ゴム等の弾性部材のホースによって形成することができる。可撓部43は、ポンプ15と第3部分423の下端423aとを接続する。
【0032】
(ポンプ15、伝達機構16)
ポンプ15は、ポリタンク17内の油をタンク13にくみあげる。ポンプ15は、上述したように供給管14の出口部41と可撓部43の間に配置されている。ポンプ15は、例えば手回しポンプを用いることができる。
【0033】
【0034】
伝達機構16は、車輪33の回転をポンプ15に伝達する。伝達機構16は、
図7に示すように、ケース50と、第1ギア51と、第2ギア52と、シャフト53と、カップリング54と、ローラチェーン55と、テンションギア56と、を有している。
【0035】
ケース50は、第2ギア52、シャフト53、およびローラチェーン55を囲むように配置されている。ケース50は、
図2に示すように、下部フレーム31に固定されている。ケース50は、側方フレーム34や上部フレーム35に固定されていてもよい。ケース50は、下面に開口を有する直方体形状である。ポンプ15は、ケース50の左側面にブラケット57を介して固定されている。
【0036】
第1ギア51は、
図7に示すように、車輪33の車軸33aに固定されている。第1ギア51は、車輪33の回転とともに回転する。第2ギア52は、ケース50の内側であって、ポンプ15の右方向R側に配置されている。第2ギア52は、左右方向を軸として回転する。第2ギア52は、シャフト53に固定されている。
【0037】
シャフト53は、ケース50に回転可能に支持されている。シャフト53は、左右方向に沿って配置されている。シャフト53は、ケース50の左側面50aと右側面50bに回転可能に支持されている。シャフト53は、ケースの左側面50aから左側に突出している。
【0038】
カップリング54は、シャフト53とポンプ15とを連結する。カップリング54の左側面50aから左側に突出したシャフト53の端と、ポンプ15の右方向に伸びた軸15aとを連結する。
【0039】
ローラチェーン55は、
図4および
図7に示すように、第1ギア51と第2ギア52の間に巻き掛けられている。これによって、第1ギア51の回転とともに第2ギア52が回転する。
【0040】
テンションギア56は、
図4に示すように、ローラチェーン55にテンションをかける。テンションギア56は、ケース50の前面50cにブラケットを介して固定されている。テンションギア56は、ケース50の上下方向における中央近傍に配置されている。テンションギア56は、ローラチェーン55よりも後側に配置されている。テンションギア56は、ローラチェーン55を外側から内側に向けて押している。テンションギア56は、巻き掛けられているローラチェーン55の後側の部分を後側から前方に向かって押している。なお、図示していないが、テンションギア56は前後方向に位置を調整できる方が、ローラチェーン55のテンションを調整することができるため好ましい。
【0041】
(ポリタンク17)
ポリタンク17は、ポリエチレン製のタンクである。ポリタンク17には、油が貯められる。ポリタンク17は、蓋を締めることが可能な開口17aを有している。ポリタンク17は、開口17aが前方に位置するように載置部12に載置される。
図4に示すように、載置部12に載置した状態において、ポリタンク17は、前後方向において前側(開口17a側)が反対側よりも低くなるように配置されている。これにより、ポリタンク17内の油を出来る限り残さずにタンク13に組み上げることができる。
【0042】
(排出管18)
排出管18は、タンク13とポリタンク17の間を繋ぐ。排出管18は、
図6に示すように、入口部61と、出口部62と、可撓部63と、を有する。入口部61は、例えば金属製のパイプ等によって形成することができる。入口部61は、上下方向に配置されている。入口部61は、タンク13の貫通孔13fに挿入されている。入口部61の先端には開口61aが形成されており、開口61aから排出管18に油が排出される。上下方向において、排出管18の開口61aは、供給管14の開口41aよりも下方に配置されている。これにより、供給管14の開口41aから油が逆流することを防ぐことができる。入口部61の下端61bは、タンク13の下方に位置しており、可撓部63に繋がる。
【0043】
出口部62は、例えば金属製のパイプ等によって形成することができる。出口部62は、ポリタンク17の開口17aに上方から挿入される。出口部62は、第1部分621と、第2部分622と、第3部分623と、を有する。第1部分621は、下端に油の出口を有し、上下方向に沿うように配置されている。第2部分622は、第1部分621の上端から、略後方に向かって配置されている。第2部分622は、第1部分621に向かうに従って下がるように傾斜している。第3部分623は、第2部分622の後端から下方に向かうように配置されている。
【0044】
可撓部63は、可撓性を有しており、ゴム等の弾性部材のホースによって形成することができる。可撓部63は、入口部61の下端61bと、出口部62の第3部分623の下端623aとを接続する。
【0045】
なお、
図6では説明のためにずらしているが、
図4に示すように、供給管14の第3部分423と、排出管18の第3部分623は水平方向において並んで配置されており、略同じ大きさである。また、供給管14の第2部分422と、排出管18の第2部分622は水平方向において第2支持部材722を介して第2支持部材722を介して並んで配置されており、略同じ大きさである。一方、供給管14の第1部分421と排出管18の第1部分621は第2支持部材722を介して水平方向に並んで配置されているが、第1部分421の方が第1部分621よりも下方に向かって延びている。
【0046】
(支持機構19)
図8は、支持機構19の側面図である。
図8では、支持機構19を示すため、供給管14,排出管18、および給油管部21等の構成は省略している。
図9は、支持機構19の平面図である。
図10は、支持機構19の正面図(前方向から視た図)である。
図10では、説明のために、後述する突出部分724を省略している。
【0047】
支持機構19は、
図8に示すように、支持棒71と、支持部72と、を有している。支持棒71は、上下方向に沿って配置されている。支持棒71の上端は、上ブラケット73を介して上部フレーム35に固定されている。支持棒71の下端は、下ブラケット74を介してケース50に固定されている。支持棒71の上部には、後述するロック機構20によって支持部72をロックするためのロック用溝71cが周方向に形成されている。
【0048】
支持部72は、
図9に示すように、供給管14の入口部42と排出管18の出口部62とを支持する。支持部72は、第1支持部材721と、第2支持部材722と、を有する。
【0049】
第1支持部材721は、支持棒71に水平方向に回転可能に取り付けられている。第1支持部材721は、
図8に示すように、円筒部分723と、板状の突出部分724と、把手部725(
図10参照)と、を有する。円筒部分723には、支持棒71が挿入されている。円筒部分723は、支持棒71の周囲に配置されている。円筒部分723は、支持棒71に対して上下方向にスライド可能である(
図8に示す矢印A参照)。円筒部分723は、支持棒71を軸として水平方向に回転可能である(
図8および
図9に示す矢印C参照)。
【0050】
図10に示すように、円筒部分723には、把手部725が配置されている。作業者は、把手部725を把持して円筒部分723を上下方向にスライド可能である。
【0051】
突出部分724は、
図8に示すように、円筒部分723の外側面から外側に向かって突出している。突出部分724は、主面が上下方向に平行に配置されている。突出部分724の先端には、第2支持部材722が上下方向を軸(
図8のD参照)に回転可能に接続されている(
図9の矢印E参照)。
【0052】
第2支持部材722は、
図8および
図9に示すように、板状の部材であって、主面が上下方向に平行に配置されている。第2支持部材722は、突出部分724の先端に突出部分724に対して軸D(
図8参照)を中心に左右方向に揺動可能に取り付けられている(
図9の矢印E参照)。第2支持部材722の両側に、供給管14の入口部42と排出管18の出口部62が配置されている。第2支持部材722の右方向側の主面に、排出管18の出口部62が固定されている。第2支持部材722の左方向側の主面に、供給管14の入口部42が固定されている。
【0053】
このように、支持部72が、支持棒71に対して上下方向にスライド可能であるため、供給管14の入口部42および排出管18の出口部62をポリタンク17に出し入れすることができる。
【0054】
また、支持部72が支持棒71を軸に回転可能であり、更に、第1支持部材721が第2支持部材722に対して上下方向の軸Dを中心に揺動可能である。そのため、
図1に示すように左右方向に並んで配置された2つのポリタンク17の間を、供給管14の入口部42および排出管18の出口部62が移動することができる。
【0055】
(ロック機構20)
ロック機構20は、支持棒71の上部位置で支持部72をロックする。
図11(a)は、支持部72が上部位置でロックされている状態を示す側面図である。
図11(b)は、支持部72が上部位置でロックされている状態における支持棒71と係止部材81の位置関係を示す平面図である。
図12(a)は、支持部72がロック解除されている状態を示す側面図である。
図12(b)は、支持部72がロック解除されている状態における支持棒71と係止部材81の位置関係を示す平面図である。
【0056】
ロック機構20は、
図11(a)に示すように、係止部材81と、バネ部材82と、突起83と、を有する。係止部材81は、板状の部材であって、貫通孔81aが形成されている。貫通孔81aには、支持棒71が通されている。係止部材81は、押圧部分811と、取付部分812と、を有する。押圧部分811は、支持部72を支持棒71に対して上下方向にスライドさせる際に、作業者によって下方に押圧される部分である。取付部分812には、バネ部材82が取り付けられる部分である。取付部分812は、貫通孔81aを挟んで押圧部分811の反対側に配置されている。
【0057】
バネ部材82は、例えば、コイルバネであって、円筒部分723の側面に沿って上下方向に配置されている。バネ部材82の上端は、係止部材81の取付部分812に取り付けられている。バネ部材82の下端は、円筒部分723の側面に配置された突起83に取り付けられている。
【0058】
バネ部材82によって係止部材81の取付部分812が下方に付勢されているため、作業者によって押圧部分811が下方に押圧されていない状態では、
図11(a)に示すように、押圧部分811が上方に向かって移動している。このため、貫通孔81aの縁部81aeが、支持棒71に当接する。上述したロック用溝71cが配置されている部分において縁部81aeが支持棒71に当接すると、
図11(a)および
図11(b)に示すように、ロック用溝71cに縁部81aeが嵌まり込むことになる。この状態では、係止部材81がロック用溝71cに係止しているため、支持部72の位置を固定することができる。
【0059】
一方、矢印Fに示すように、作業者が係止部材81の押圧部分811を上方から下方に向かって押すことによって、
図12(a)に示すように押圧部分811が下方に下がる。また、
図12(b)に示すように、ロック用溝71cから係止部材81の縁部81aeが離間する。そのため、ロック用溝71cに係止部材81が干渉することなく、支持部72を支持棒71に対して上下方向にスライドすることができる。
【0060】
(給油管部21)
給油管部21は、
図1および
図3に示すように、給油ホース91と、給油ガン92とを有する。給油ホース91の一端は、タンク13の底面13aに形成された貫通孔13gに接続されている。給油ホース91の他端は、給油ガン92に接続されている。給油ガン92は、引き金を引くことにより、油を給油ガン92から放出することができる。給油ガン92は、上部フレーム35に取り付けられたガンホルダ93に挿入されている。
【0061】
設備機器のタンクは、タンク13よりも下方に配置されているため、設備機器のタンクに給油ガン92を挿し込み、引き金を引くことによって重力によって、タンク13から設備機器のタンクに向かって油を移動させることができる。
【0062】
<動作>
本実施の形態の給油台車1の動作について説明する。
【0063】
はじめに、ロック機構20の係止部材81の押圧部分811を下方に押し下げた状態で、把手部825を把持して支持部72を上方に移動させる(
図12(a)参照))。押圧部分811の押圧を解除して係止部材81の貫通孔81aの縁部81aeをロック用溝71cに係止させることによって、支持部72が支持棒71の上部の位置でロックされる(
図11(a)参照)。
【0064】
支持部72を上方でロックした状態で、油の入った2つのポリタンク17が載置部12に載置される。
【0065】
次に、ロック機構20の係止部材81の押圧部分811を下方に押し下げた状態で、把手部825を把持して支持部72を下方に移動させて、供給管14の入口部42と排出管18の出口部62が、いずれか一方のポリタンク17の開口17aに上方から挿入される(
図1参照)。
【0066】
次に、作業者が把手36を把持して、給油台車1を設備のタンクまで移動する。給油台車1に移動に伴って、車輪32とともに車輪33も回転する(
図4および
図7参照)。車輪33が回転すると、車軸33aに固定されている第1ギア51も回転し、ローラチェーン55も回転する。ローラチェーン55の回転によって第2ギア52とともにシャフト53が回転する。シャフト53の回転によってカップリング54で接続されているポンプ15の軸15aが回転し、ポンプ15が駆動する。ポンプ15の駆動によってポリタンク17内の油が供給管14を通ってタンク13に移動する。なお、油の量が、排出管18の入口部61の開口61aよりも高くなった場合には、タンク13内の余剰の油は排出管18を介してポリタンク17に戻される。
【0067】
設備機器100まで給油台車1を移動すると、給油ガン92をガンホルダ93から引き抜き、
図13に示すように、設備機器100のタンク110に挿入する。その状態で、給油ガン92の引き金を引くことによって、タンク13から重力によって設備機器100のタンク110まで油が移動する。
【0068】
なお、一方のポリタンク17の油がなくなった場合には、押圧部分811を押し下げてから支持部72を上方に移動することによって、供給管14の入口部42と排出管18の出口部62が、一方のポリタンク17から上方に引き抜かれる。そして、
図9に示すように、支持部72を支持棒71に対して回転させるとともに、第1支持部材721を第2支持部材722に対して左右方向に揺動させることによって、他方のポリタンク17の上方に供給管14の入口部42と排出管18の出口部62を配置することができる。そして、ロック機構20の係止部材81の押圧部分811を下方に押し下げた状態で、把手部825を把持して支持部72を下方に移動させることによって、供給管14の入口部42と排出管18の出口部62が、他方のポリタンク17の開口17aに上方から挿入される。
【0069】
(特徴等)
(1)
本実施の形態の給油台車1は、台車本体11と、載置部12と、タンク13(第2貯留槽の一例)と、供給管14と、ポンプ15と、を備える。台車本体11は、車輪33(車輪の一例)を有する。載置部12は、台車本体11に配置され、油を貯留するポリタンク17(第1貯留槽の一例)が載置される。タンク13は、台車本体11の載置部12よりも高い位置に配置され、油を貯留する。供給管14は、載置部12に載置されるポリタンク17からタンク13に油を供給する。ポンプ15は、車輪33の回転によって駆動し、載置部12に載置されたポリタンク17から供給管14を介してタンク13に油を移動する。
【0070】
給油台車1を移動させると、車輪33が回転してポンプ15が駆動し、ポリタンク17からタンク13に油が持ち上げられる。このため、設備機器のタンクには、重力によってタンク13から油を移動させるだけでよいため、容易に設備機器のタンクに給油を行うことが可能となる。
【0071】
(2)
本実施の形態の給油台車1は、排出管18を更に備える。排出管18は、タンク13の内側において所定の高さに配置された開口61a(入口の一例)を有し、タンク13の油を開口61a(入口の一例)からポリタンク17に戻す。
【0072】
これにより、タンク13から油があふれることを防止することができる。
【0073】
(3)
本実施の形態の給油台車1では、タンク13における供給管14の開口41a(油の出口)は、排出管18の開口61aよりも高い位置に配置されている。
【0074】
これにより、供給管14から油がポリタンク17へと逆流することを防止することができる。
【0075】
(4)
本実施の形態の給油台車1は、給油ホース91と、給油ガン92と、を更に備える。給油ホース91は、設備に配置されている貯留槽にタンク13から油を供給する。
【0076】
これにより、給油ホース91および給油ガン92を介して設備機器のタンクに油を補充することができる。
【0077】
(5)
本実施の形態の給油台車1では、供給管14は、載置部12に載置されたポリタンク17に上方から挿入される入口部42(先端部の一例)を有する。給油台車1は、支持部72と、支持棒71と、を更に備える。支持部72は、入口部42を支持する。支持棒71は、支持部72を上下方向にスライド可能に支持する。
【0078】
これによって、ポリタンク17に入口部42を上方から挿入しやすく、またポリタンク17から入口部42を抜きやすい。
【0079】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0080】
(A)
上記実施の形態では、第2貯留槽の一例としてタンク13が用いられているが、上部フレーム35に固定されていなくてもよく、取り外し可能であってもよい。
【0081】
(B)
上記実施の形態では、第1貯留槽の一例としてポリタンク17を挙げたが、ポリタンクに限らなくてもよく、金属製のタンクであってもよい。
【0082】
(C)
上記実施の形態では、排出管18が設けられているが、カップリング54による接続を解除する等の手段によって車輪33からポンプ15への伝達を解除できる場合には、排出管18が設けられていなくてもよい。
【0083】
(D)
上記実施の形態では、第1ギア51と第2ギア52の間にローラチェーン55が巻き掛けられているが、ローラチェーンに限らずベルト等が用いられてもよい。
【0084】
(E)
上記実施の形態では、載置部12にポリタンク17が2つ載置されているが、2つに限らなくてもよく、1つであってもよいし、3つ以上載置されていてもよい。
【0085】
(F)
上記実施の形態では、車輪32とは別にポンプ15を駆動するための車輪33が設けられているが、設けられていなくてもよく、車輪32の回転によってポンプ15が駆動してもよい。
【0086】
(G)
上記実施の形態では、タンク13は載置部12に載置されたポリタンク17よりも上方に配置されているが、タンク13の高さ位置は、設備機器100のタンク110の位置によって適宜変更すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示の給油台車によれば、容易に設備機器の貯留槽に給油することが可能な効果を有し、給油が必要な複数の設備機器を有する工場等に対して有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 :給油台車
11 :台車本体
12 :載置部
13 :タンク
14 :供給管
15 :ポンプ
17 :ポリタンク