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特開2023-39306道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039306
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230313BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230313BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20230313BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20230313BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230313BHJP
   E01C 11/26 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 7/02 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20230313BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/02
C09D5/00
C09D7/40
C09D7/61
E01C11/26 Z
B05D5/00 B
B05D5/00 G
B05D7/24 303A
B05D7/02
B05D7/00 L
B05D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146420
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】512212955
【氏名又は名称】株式会社アマケンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100169133
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】米田 賢史
【テーマコード(参考)】
2D051
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AD01
2D051AD03
4D075AC57
4D075AC88
4D075AE03
4D075BB16X
4D075BB56X
4D075BB91X
4D075BB92Y
4D075CA02
4D075CA39
4D075CA47
4D075CA48
4D075DB32
4D075DC05
4D075EA06
4D075EA41
4D075EB56
4D075EB57
4D075EC07
4D075EC11
4D075EC13
4D075EC24
4D075EC31
4D075EC54
4J038EA011
4J038JA01
4J038KA07
4J038KA08
4J038KA12
4J038KA21
4J038LA07
4J038MA08
4J038MA10
4J038NA11
4J038NA14
4J038PA07
4J038PB05
(57)【要約】
【課題】特に屋外の路上に使用されることによる耐候性と、車両のタイヤ等による摩擦に耐える硬度の向上が望まれていた。また、施工の安全性、作業者の健康面を鑑み、水性塗料でこのような性能を有するものへの要望は非常に高かった。更に、冬季の道路交通に於いて路面の凍結によるスリップは事故に直結するので、凍結抑制機能を有する塗料へのニーズも大きかった。
【解決手段】路用の塗膜等に用いる塗料に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路用の塗膜等に用いる塗料に於いて、
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなることを特徴とする、
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項2】
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
減圧脱気を行いながら撹拌分散を行うことによりエマルジョン径を10μm以下に調製されてなることを特徴とする、
請求項1記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項3】
該塗料に用いられる蓄熱剤は、
パラフィンを内包したマイクロカプセルを含んでなることを特徴とする、
請求項1又は2記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項4】
該塗料は、
該顔料成分は着色顔料であることを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項5】
該塗料は、
更に分散剤を含んでなることを特徴とする、
請求項1乃至4の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項6】
該塗料に含まれる樹脂成分の含有率は、
50重量部乃至85重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項1乃至5の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項7】
該塗料は、
その固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる水性エマルジョン塗料成分の他に、硬質骨材を添加されてなることを特徴とする、
請求項1乃至6の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項8】
該塗料に含まれる蓄熱剤の含有率は、
10重量部乃至25重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項1乃至7の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項9】
該塗料に含まれる顔料成分の含有率は、
5重量部乃至20重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項4乃至8の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項10】
該塗料に含まれる分散剤の含有率は、
0.3重量部乃至2重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項5乃至9の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料。
【請求項11】
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法に於いて、
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
樹脂成分を含む第一の原材料と、
顔料成分を含む第二の原材料と、
凍結抑制剤として蓄熱剤を含む第三の原材料とを混合し、
撹拌機により攪拌混合して製造したことを特徴とする、
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項12】
該塗料の攪拌混合工程に於いて、
減圧脱気を行いながら撹拌分散を行うことによりエマルジョン径を10μm以下に調製されてなることを特徴とする、
請求項11記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項13】
該塗料に用いられる蓄熱剤は、
パラフィンを内包したマイクロカプセルを含んでなることを特徴とする、
請求項11又は12記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項14】
該塗料は、
該顔料成分は着色顔料であることを特徴とする、
請求項11乃至13の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項15】
該塗料は、
更に分散剤を含んでなることを特徴とする、
請求項11乃至14の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項16】
該塗料に含まれる樹脂成分の含有率は、
50重量部乃至85重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項11乃至15の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項17】
該塗料は、
その固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる水性エマルジョン塗料成分の他に、硬質骨材を添加されてなることを特徴とする、
請求項11乃至16の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項18】
該塗料に含まれる蓄熱剤の含有率は、
10重量部乃至25重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項11乃至17の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項19】
該塗料に含まれる顔料成分の含有率は、
5重量部乃至20重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項14乃至18の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項20】
該塗料に含まれる分散剤の含有率は、
0.3重量部乃至2重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項15乃至19の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法。
【請求項21】
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、
アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、
該塗料を塗布してトップコートを形成する第二の工程と、
を経て塗膜を形成することを特徴とする、
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項22】
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
減圧脱気を行いながら撹拌分散を行うことによりエマルジョン径を10μm以下に調製されてなることを特徴とする、
請求項21記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項23】
該塗料に用いられる蓄熱剤は、
パラフィンを内包したマイクロカプセルを含んでなることを特徴とする、
請求項21又は22記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項24】
該塗料は、
該顔料成分は着色顔料であることを特徴とする、
請求項21乃至23の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項25】
該塗料は、
更に分散剤を含んでなることを特徴とする、
請求項21乃至24の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項26】
該塗料に含まれる樹脂成分の含有率は、
50重量部乃至85重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項21乃至25の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項27】
該塗料は、
その固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる水性エマルジョン塗料成分の他に、硬質骨材を添加されてなることを特徴とする、
請求項21乃至26の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項28】
該塗料に含まれる蓄熱剤の含有率は、
10重量部乃至25重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項21乃至27の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項29】
該塗料に含まれる顔料成分の含有率は、
5重量部乃至20重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項24乃至28の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項30】
該塗料に含まれる分散剤の含有率は、
0.3重量部乃至2重量部の範囲であることを特徴とする、
請求項25乃至29の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項31】
該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、
該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程に於いて、
塗布量は夫々1平方メートル当たり0.5kg乃至2kgの範囲とすることを特徴とする、
請求項21乃至30の何れか一に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項32】
請求項1乃至10に記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、
該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、
該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、
アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、
該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程と、
更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程と、
を経て塗膜を形成することを特徴とする、
道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【請求項33】
該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、
該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程及び、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程とに於いて、
塗布量は夫々1平方メートル当たり0.3kg乃至0.7kgの範囲とすることを特徴とする、
請求項32記載の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗料の用途は多岐に亘っており、そこで要求される特性も様々である。その中で、道路用塗料は中央線、路側帯線、横断歩道の標示をはじめとして、さまざまな指示等を運転者や歩行者等に知らせるため非常に重要な役割を果たす。
【0003】
かかる用途に於いては、特に屋外の路上に使用されることによる耐候性と、車両のタイヤ等による摩擦に耐える硬度の向上が望まれていた。また、施工の安全性、作業者の健康面を鑑み、水性塗料でこのような性能を有するものへの要望は非常に高かった。更に、冬季の道路交通に於いて路面の凍結によるスリップは事故に直結するので、凍結抑制機能を有する塗料へのニーズも大きい。しかし、水性塗料においては、材料の分離沈降によるポットライフの問題及び塗膜強度の問題から、実用的な硬度と耐摩耗性を有し、且つ凍結抑制機能を有する道路用塗料は存在しなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008ー56592号公報
【特許文献2】特開2014ー37483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、ポットライフが長く、且つ実用的な塗膜形成条件でもって成膜出来、、実用的な硬度と耐摩耗性を有し、且つ凍結抑制機能を有する道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの課題を解決するため、筆者らは、塗料に道路用途に必要な機能材料を添加するにあたり、塗料の調整工程を鋭意検討し、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる塗料を開発した。本発明に係る塗料は、成膜特性に優れ、硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料であった。
【0007】
本発明は、道路用の塗膜等に用いる塗料に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料である。
【0008】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、樹脂成分を含む第一の原材料と、顔料成分を含む第二の原材料と、凍結抑制剤として蓄熱剤を含む第三の原材料とを混合し、撹拌機により攪拌混合して製造したことを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法である。
【0009】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、該塗料を塗布してトップコートを形成する第二の工程と、を経て塗膜を形成することを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0010】
また本発明は、該塗料が溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、減圧脱気を行いながら撹拌分散を行うことによりエマルジョン径を10μm以下に調製されてなることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、該塗料に用いられる蓄熱剤がパラフィンを内包したマイクロカプセルを含んでなることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、該顔料成分は着色顔料であることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、該塗料が更に分散剤を含んでなることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、該塗料に含まれる樹脂成分がの含有率が50重量部乃至85重量部の範囲であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、該塗料が、その固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる水性エマルジョン塗料成分の他に、硬質骨材を添加されてなることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、該塗料に含まれる蓄熱剤の含有率が10重量部乃至25重量部の範囲であることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、該塗料に含まれる顔料成分の含有率が5重量部乃至20重量部の範囲であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、該塗料に含まれる分散剤の含有率が0.3重量部乃至2重量部の範囲であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程に於いて、塗布量は夫々1平方メートル当たり0.5kg乃至2kgの範囲とすることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0020】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程と、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程と、を経て塗膜を形成することを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0021】
また本発明は、該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程及び、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程とに於いて、塗布量は夫々1平方メートル当たり0.3kg乃至0.7kgの範囲とすることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法は、実用的な塗膜形成条件でもって成膜出来、成膜特性に優れ、硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られる、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法を実現するという利点がある。本発明にかかる塗料は水性であり安全性が高く、低温で成膜使用可であり硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られ、もって道路用用途に活用出来、我が国産業の発展に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた施工の様子を示す図面代用写真である。
図2図2は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた施工試験の結果を示す図面代用写真である。
図3図3は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた施工試験の結果を示す図面代用写真である。
図4図4は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の一実施例における製造に用いる減圧撹拌分散装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、道路用の塗膜等に用いる塗料に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料である。
【0025】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、樹脂成分を含む第一の原材料と、顔料成分を含む第二の原材料と、凍結抑制剤として蓄熱剤を含む第二の原材料とを混合し、撹拌機により攪拌混合して製造したことを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法である。
【0026】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程と、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程と、を経て塗膜を形成することを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0027】
また本発明は、該塗料が溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、減圧脱気を行いながら撹拌分散を行うことによりエマルジョン径を10μm以下に調製されてなることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、該塗料に用いられる蓄熱剤がパラフィンを内包したマイクロカプセルを含んでなることを特徴とする。係る材料を用いることで、塗装された路面の温度低下が緩和され、降雪時等の凍結を遅延させ、安全性を向上させる効果がある。
【0029】
また本発明は、該顔料成分は着色顔料であることを特徴とする。これにより、横断歩道等の路面上の表示を構成する部分にも使用が可能となる。
【0030】
また本発明は、該塗料が更に分散剤を含んでなることを特徴とする。
【0031】
また本発明は、該塗料に含まれる樹脂成分がの含有率が50重量部乃至85重量部の範囲であることを特徴とする。
【0032】
また本発明は、該塗料が、その固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなる水性エマルジョン塗料成分の他に、硬質骨材を添加されてなることを特徴とする。硬質骨材を添加することで、耐摩耗性が向上し、更にスリップの防止にも効果がある。ここで、硬質骨材の粒径の選択により、1回の塗布により形成される塗膜の膜厚に差が生じるため、トップコートを1回塗布或いは2回塗布の何れかを選択する。
【0033】
また本発明は、該塗料に含まれる蓄熱剤の含有率が10重量部乃至25重量部の範囲であることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、該塗料に含まれる顔料成分の含有率が5重量部乃至20重量部の範囲であることを特徴とする。
【0035】
また本発明は、該塗料に含まれる分散剤の含有率が0.3重量部乃至2重量部の範囲であることを特徴とする。
【0036】
また本発明は、該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程に於いて、塗布量は夫々1平方メートル当たり0.5kg乃至2kgの範囲とすることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0037】
また本発明は、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた塗膜形成方法に於いて、該塗料は溶剤等を含まない水性エマルジョン塗料であり、該塗料は少なくともその固形分として樹脂成分、顔料成分及び凍結抑制剤として蓄熱剤を含有してなるものを用い、アスファルト路面上にプライマー層を塗布する第一の工程と、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程と、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程と、を経て塗膜を形成することを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0038】
また本発明は、該道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法に於いて、該塗料を塗布して一層目のトップコートを形成する第二の工程及び、更に該塗料を塗布して二層目のトップコートを形成する第三の工程とに於いて、塗布量は夫々1平方メートル当たり0.3kg乃至0.7kgの範囲とすることを特徴とする、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法である。
【0039】
本発明の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法は、実用的な塗膜形成条件でもって成膜出来、成膜特性に優れ、硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られる、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法を実現するという利点がある。本発明にかかる塗料は水性であり安全性が高く、低温で成膜使用可であり硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られ、もって道路用用途に活用出来、我が国産業の発展に資するものである。
【実施例0040】
以下、本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法を、実施例に基づいて説明する。
【0041】
まず、本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を製造した。樹脂成分を70重量部、蓄熱剤としてパラフィンを内包したマイクロカプセルを20重量部、 顔料成分として粉砕された着色顔料を9重量部、分散剤を1重量部用意し、これらを投入して撹拌機にて攪拌混合した。
【0042】
ここで、樹脂成分の含有率は50重量部乃至85重量部の範囲であることが望ましく、蓄熱剤の含有率は10重量部乃至25重量部の範囲であることが望ましく、料成分の含有率は5重量部乃至20重量部の範囲であることが望ましい。
【0043】
次に、出来上がった道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を実際に道路上に塗布してその効果を確認する実験を行なった。図1は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた施工の様子を示す図面代用写真である。本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料は溶剤等を含まない水性であるから、安全で労働衛生上も非常に優れた塗料であった。なお、塗布はレーキを用いて行ったが、刷毛・ローラー、ゴムレーキなどを使用して簡便に塗布することが可能である。
【0044】
施工は、まず通常のアスファルト舗装面上にプライマー層を形成した。プライマー層の塗布量は1平方メートル当たり0.4kgとした。その後、本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を2層重ねて形成して、道路用水性耐摩耗性凍結抑制舗装を形成した。2層の塗布量は夫々1平方メートル当たり0.5kgとした。ここで、本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の塗布量は夫々1平方メートル当たり0.3kg乃至0.7kgの範囲とすることが望ましい。
【0045】
本実施例に於いては、粒径の小さい硬質骨材を添加して用いているため、トップコートは2回塗布を行なっている。硬質骨材を添加することで、耐摩耗性が向上し、更にスリップの防止にも効果がある。ここで、硬質骨材として粒径の大きいものを選択することにより、1回の塗布のみでトップコートを形成することも可能である。
【0046】
形成された水性耐摩耗性凍結抑制舗装は、塗料の剥がれ抵抗性試験に於いて10%であったが、これは東京都建設局の規格値である20%以下に十分入っており、耐摩耗性の高い塗膜が得られていることがわかった。また、振子式スキッドレジスタンステスタにより路面の滑り抵抗性試験を行なったところ、64BPNを計測し、これも東京都建設局の規格値(60BPN以上)をクリアしていた。
【0047】
その後、降雪環境を待ち、凍結抑制効果の確認を行った。図2及び図3は本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を用いた施工試験の結果を示す図面代用写真である。図2は、降雪後に施工部分の凍結が抑制されていることを示しており、また図3は積雪が多くなった場合にも施工部分の凍結が抑制されているため簡単に剥離できることが確認された。
【0048】
本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法に於いては、エマルジョン塗料組成物を減圧撹拌分散装置に投入して、減圧撹拌分散を行うことにより、ナノオーダー分散型水性塗料とすることも有効である。
【0049】
本実施例に用いた減圧撹拌分散装置の概念図が、図2に示される。減圧撹拌分散装置は、フランジを有して容器部と蓋部が開閉出来るようになっており、前記原料を容器部に投入後フランジを密着させて容器部と蓋部を締め付け、容器体内を減圧出来るようになっている。
【0050】
前記原料を容器部に投入後してフランジの締め付けを行った後、真空ポンプを作動させて容器体内を減圧し、またプロペラを回転させて撹拌分散を行った。なお、本発明に係るセルロースナノファイバーを含むナノオーダー分散型水性道路用塗料の製造方法に於いては、撹拌分散工程中の容器体内の圧力は1Pa乃至50000Paに調整することが望ましい。容器体内の圧力は1Pa乃至5000Paに調整することがさらに望ましく、1Pa乃至500Paに調整することがより望ましい。本実施例においては、工程中でエマルジョン中に残留する空気の量により容器体内の圧力は変動するが、適宜容器体内のエマルジョンの発泡の程度を観察して、バルブにより減圧度を調整した。
【0051】
容器体内に設置されたプロペラは、エマルジョン粒子を切断分散させる形状であることが撹拌分散に有効である。また、撹拌分散工程中のプロペラの回転数は200rpm乃至5000rpmの範囲に維持することが望ましい。減圧及び/又は撹拌分散工程は、トータルで5分以上24時間以下の範囲で行うことが望ましい。減圧及び/又は撹拌分散工程は、トータルで30分以上12時間以下の範囲で行うことがさらに望ましく、1時間以上6時間以下の範囲で行うことがより望ましく、2時間以上4時間以下の範囲で行うことがより望ましい。また、本発明に係る道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法に於いては、工程中で超音波を印加することも有効であり、分散性をさらに向上させることができる、超音波印加は減圧撹拌分散工程中のいずれの期間に印加することも有効であり、20kHz以上の高周波を印加することが有効である。
【0052】
容器体内に設置されたプロペラを回転させて撹拌分散を行う工程と減圧工程は交互に繰り返して行うか、或いは同時に行われる。特に好ましいナノ化工程は、減圧工程と撹拌分散工程を交互に繰り返すことである。本実施例においては、まずフランジを密封後、プロペラを1000rpm以下で低速回転させながら10分間の減圧を行い、その後プロペラの回転速度を1500rpm以上に上げて30分間の減圧撹拌分散を行った。その後、再度低速回転で10分間の減圧を行い、さらに高速回転で1時間の減圧撹拌分散を行った。最後に、低速回転で10分間の減圧撹拌分散を行い、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料を得た。
【0053】
ナノ化された塗料組成物は、水性塗料の弱点である固形物の沈降などが抑制されてポットライフが延長され、使い勝手が向上する。本発明に係る道路用の塗膜等に用いるナノオーダー分散型水性高硬度塗料は環境負荷が低く、非常にエコロジカルな道路用塗料として用いることが出来る。
【0054】
また、本発明に係る道路用の塗膜等に用いる道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料は水性であるため、環境負荷が低く、非常にエコロジカルな道路用塗料として用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法は、実用的な塗膜形成条件でもって成膜出来、成膜特性に優れ、硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られる、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料、道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の製造方法及び道路用水性耐摩耗性凍結抑制塗料の使用方法を実現するという利点がある。本発明にかかる塗料は水性であり安全性が高く、低温で成膜使用可であり硬度の高い塗膜を得られ、さらに凍結抑制機能を有する塗膜が得られ、もって道路用用途に活用出来、産業上の利用可能性は大であると言える。
【符号の説明】
【0056】
1 容器体部
2 撹拌分散用プロペラ
3 高速回転軸
4 低速回転軸
5 真空ポンプ
6 操作盤
図1
図2
図3
図4