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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039329
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
D06F58/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146453
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 謙治
(72)【発明者】
【氏名】日吉 政宏
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB24
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA35
3B166CA01
3B166CA04
3B166CA11
3B166CA15
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC45
3B166DE04
3B166EA03
3B166EA15
3B166EB03
3B166EB18
3B166EC44
3B166EE04
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA22
3B166HA11
3B166HA31
3B166HA54
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】排出ダクトから吹き上がる水を溜めることができるリントボックスを有し、またリント付着を少なくする排気ダクトを有する洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】実施形態の洗濯乾燥機は、外胴内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラムと、前記外胴の上面の排気孔に接続される排気ダクトと、底板に前記排気ダクトと連通する連通孔が設けられ、前記底板の上部にリントフィルタが設けられるリントボックスと、を有し、前記リントボックスの前記底板は深さを有し、前記排気ダクトから吹き上がった水を溜めることができることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外胴内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラムと、
前記外胴の上面の排気孔に接続される排気ダクトと、
底板に前記排気ダクトと連通する連通孔が設けられ、前記底板の上部にリントフィルタが設けられるリントボックスと、を有し、
前記リントボックスの前記底板は深さを有し、前記排気ダクトから吹き上がった水を溜めることができる洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記底板と前記リントフィルタの間に中間板が設けられ、前記中間板により前記連通孔から前記リントフィルタに直接温風又は前記水が当たらないようにした請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記排気孔から排出された前記温風を前記排気ダクト、および前記底板と前記中間板の間を経由して前記リントフィルタに当てて排出する請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記排気ダクトは蛇腹形状を有し、
前記排気ダクトの少なくとも蛇腹部の内面には、円筒状の筒部が設けられている請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記円筒状の筒部は、前記底板の前記連通孔に取り付けられている請求項4に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
外胴内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラムと、
前記外胴の上面の排気孔に接続され、蛇腹形状のダクト内面には円筒状の筒部が設けられている排気ダクトと、
底板に前記排気ダクトと連通する連通孔が設けられ、前記底板の上部にリントフィルタが設けられるリントボックスと、
を有する洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記リントボックスの前記底板は深さを有し、前記排気ダクトから吹き上がった水を溜めることができる請求項6に記載の洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
コインランドリー、各種社会福祉施設、病院、社員寮等には、業務用の洗濯乾燥機が多数(コインランドリーでは数十台)設置されている。特に、容量が20Kg以上の大型の洗濯乾燥機は、一般の洗濯物以外に布団の洗濯・乾燥も行うことができる。洗濯乾燥機は、複数の工程を経て被洗濯物に対する処理を行う。洗濯処理においては、洗濯工程、濯ぎ工程、脱水工程等を経て被洗濯物を処理する。乾燥処理においては、乾燥工程、冷却工程等を経て洗濯物を処理する。洗濯・乾燥においては、洗濯工程、濯ぎ工程、脱水工程、乾燥工程、冷却工程を連続実行して、被洗濯物に対して洗濯処理と乾燥処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3311684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、コインランドリーでは、不特定多数の利用者が洗濯乾燥機を使用して、いろんなものを洗濯・乾燥している。したがって、利用頻度にも関係するが、一般的には半年以上使用した洗濯乾燥機には、排気側のダクト内にリント(綿くず)が付着することがある。特に、大型の洗濯乾燥機で布団等を洗濯・乾燥した場合では、排気側のダクト内にリントが多く付着することがある。このような洗濯乾燥機をそのまま使用を続けると、リントの量が増加することが予想されるので、衛生面から洗濯乾燥機を清潔に保つ必要がある。そのため、排気ダクトの洗浄を定期的又は汚れ具合に応じて実施されている。この洗浄動作時には、排気ダクトから吹き上がり水が発生することがあるため、その対策が望まれる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、排出ダクトから吹き上がる水を溜めることができるリントボックスを有し、またリント付着を少なくする排気ダクトを有する洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の洗濯乾燥機は、外胴内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラムと、前記外胴の上面の排気孔に接続される排気ダクトと、底板に前記排気ダクトと連通する連通孔が設けられ、前記底板の上部にリントフィルタが設けられるリントボックスと、を有し、前記リントボックスの前記底板は深さを有し、前記排気ダクトから吹き上がった水を溜めることができることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の洗濯乾燥機の全体を示す正面図および斜視図である。
図2】実施形態の洗濯乾燥機の給排水系統の構成を示す模式図である。
図3】実施形態の洗濯乾燥機の側面から見た一部断面図である。
図4】実施形態の排気機構のリントボックスの形状を示す図である。
図5図4のリントボックスからリントフィルタを省略した状態を示す図である。
図6図5のA-A断面の形状を示す図である。
図7】リントボックスにおける、温風の流れを矢印によって示した図である。
図8】(a)は排気機構の排気ダストの斜視図を示し、同(b)はそのB-B断面の形状を示す図である。
図9】実施形態の洗濯乾燥機の制御回路の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の洗濯乾燥機について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の洗濯乾燥機の全体構成を示す正面図および斜視図である。図2は、同洗濯乾燥機の給排水系統の構成を示す模式図である。図3は、同洗濯乾燥機の側面から見た一部断面図である。図4は、実施形態のリントボックスの形状を示す図である。図5は、図4のリントボックスからリントフィルタを省略した状態を示す図である。図6は、図5のA-A断面の形状を示す図である。図7は、リントボックスにおける温風の流れを矢印によって示した図である。図8は、実施形態の排気ダストの形状を示す図である。これらの図を参照して実施形態の排気機構の構成・機能について説明する。なお、各図において同じ構成については同一の符号を付す。
【0009】
図1に示すように、洗濯乾燥機10は、直方体形の筐体20と、この筐体20の内部に配置された外胴(シェル)30(図2を参照)およびドラム40を備える。外胴30は、横向きの有底円筒体であり、筐体20の内部に配置される。ドラム40も横向きの有底円筒体であり、外胴30に沿ってその内側に配置される。
【0010】
筐体20は、フロントパネル20aのほぼ中央に、円形状のパネル開口20bを有する。外胴30は、衣類やシーツなどの洗濯物を出し入れする投入口60を有し、この投入口60がパネル開口20bに露出するように固定される。フロントパネル20aには、投入口60を開閉する開閉扉70がヒンジ機構を介して設けられる。開閉扉70は、投入口60を閉塞できる円板形を有し、中央部分には内部の被洗濯物の覗き窓が設けられる。開閉扉70と投入口60の縁部との間には、気密性を高めるためのシール材(不図示)が配置される。ドラム40の右側上部には、排気機構の一部を構成するリントボックス400が設けられる。
【0011】
開閉扉70の中央縁部には、ハンドル式の扉ロック80が設けられる。洗濯乾燥機10の利用者は、扉ロック80のハンドルを用いて開閉扉70を開閉したり、開閉扉70をラッチ(空締まり)したり、ラッチを外したりできる。また、扉ロック80は、後述する制御部300(図9を参照)により開閉扉70の施錠と解錠が制御される。すなわち、制御部300は、開閉扉70を閉じてラッチした状態でハンドルを固定することができる。つまり、制御部300は、扉ロック80により開閉扉70を施錠して、投入口60を密閉した状態を維持できる。制御部300が開閉扉70を解錠すると、手動でハンドルを引いてラッチを外すことが可能になり、さらに開閉扉70を開いて投入口60を開放できる。扉ロック80には、開閉扉70を閉じてラッチした状態を検出する開閉センサ340(図9を参照)が設けられる。開閉センサ340は、検出データを制御部300に出力する。
【0012】
図1(b)に示すように、利用者は開閉扉70を開けて、内部に横向きに配置した円筒形のドラム40に被洗濯物を投入し、洗濯・乾燥終了後に開閉扉70を開けて被洗濯物を取り出す。
【0013】
フロントパネル20aの上部には、操作パネル20cが配置される。操作パネル20cは、制御部300に接続されており、利用者が被洗濯物の洗濯乾燥/洗濯/乾燥のいずれかの運転に対する操作を行う。操作パネル20cに隣接して、表示部を配置してもよい。表示部には、被洗濯物の運転に関する情報等が表示される。被洗濯物の運転に関する情報として、例えば洗濯乾燥機の動作(利用)時間、利用料金(超過料金、加重超過料金を含む)が表示される。
【0014】
ここでは操作パネル20cに、使用中であるか否かを示す表示ランプ23、コインランドリーに設けられる集中精算機を利用せず、洗濯乾燥機10側で洗濯・乾燥コースを選ぶコース選択ボタン24等が配置される。また、その下側のフロントパネル20aには、利用料金を現金で支払う、又はクレジットカードやプリペイドカードで支払うための料金入力部25が設けられる。また、開閉扉70を開錠するパスワードを入力する操作入力部26が設けられる。操作入力部26は、パスワード入力だけでなく、利用者認証装置(例えば、指紋認証)を含んでもよい。また、コース選択ボタン24、料金入力部25、及び操作入力部26を洗濯乾燥機10ではなく、不図示の集中精算機に同じ装置を設けて、集中精算機側で行えるようにしてもよい。
【0015】
次に、図2及び図3を参照して、洗濯乾燥機10の内部機構について説明する。
図2に示すように、外胴30は、中央部右の上側に被洗濯物の洗い及び濯ぎに用いる水又は温水又は混合のぬるま湯の給水管90、下側(下流)に洗濯排水を排出する排水管100が接続されている。外胴30は、給水管90から供給された水又は温水又は混合のぬるま湯を貯留して洗濯/濯ぎが行われる。また、洗濯が終わった後又は濯ぎ動作時には、貯留した水又は温水又は混合のぬるま湯を、排水管100を経由して外部に排出する。給水管90には、洗剤ポンプA,B,Cも接続されており、種類に応じた洗剤を外胴30内に供給することができる。外胴30には、水位を検出する水位センサ310が設けられている。水位センサ310は、その検出データを制御部300に出力する。
【0016】
また、図2および図3に示すように、外胴30には、ドラム40と開閉扉70の間に設けられるインポートに乾燥用の温風を供給する温風供給路120が接続されている。温風供給路120には、図2に示すように、ガスバーナで構成される加熱ユニット140や入力温度センサ320、不図示の過熱防止装置や安全装置等が設けられている。また外胴30の上面後方に設けられる排気孔(第1排気孔)190には、温風排出路130が接続されている。温風排出路130には、糸などのごみを捕獲するリントフィルタ150、排気ファン160、逆流防止のチャッキダンパ170、不図示の過熱防止装置等が設けられている。そして、外胴30の上面後方に設けられる排気孔190と温風排出路130と間を接続する排気ダクト180が設けられている。排気ダクト180は、内蔵するドラム40の回転動作の振動が外胴30にも伝達されることから、その振動に対応できる構造(例えば、断面蛇腹形状)となっている。排気ダクト180は、例えばシリコンゴムで制作される。図2の排気孔190から逆流防止のチャッキダンパ170までの間が、実施形態の排気機構を形成している。
【0017】
乾燥運転において、温風排出路130に設けられる排気ファン160を回転させると、図2に示すように、加熱ユニット140により加熱された空気(温風)が温風供給路120に導かれ、外胴30の内部に供給される。これにより、外胴30内で回転するドラム40に収納された被洗濯物が乾燥する。この時、湿気を含んだ空気が外胴30の排気孔190から排気ダクト180を経由して温風排出路130に導かれ、外部に排出される。したがって、排気ダクト180には、その形状からリント(綿くず)が付着することがある。
【0018】
温風排出路130には、図2に示すように出口温度センサ330が配置される。出口温度センサ330は、外胴30から排気ダクト180を経由して温風排出路130に導かれる空気の温度を測定する。そして、出口温度センサ330は、測定データを制御部300に出力する。
【0019】
ドラム40は、図3に示すように、外胴30に対して所定の隙間を隔てつつ、その開口が外胴30の投入口60に一致するように配置される。ドラム40は、後方に向けて延びる回転軸230を有し、この回転軸230が外胴30により支持される。回転軸230の後端には、駆動モータ200等を備える回転駆動部が接続される。回転駆動部は、駆動モータ200の回転をプーリとベルトを介して回転軸230に伝達して、ドラム40を回転駆動する。駆動モータ200は、洗濯乾燥の各工程で、インバーター又は減速機により調整された回転速度でドラム40を回転する。その他、外胴30には、ドラム内部のエアー抜きと、給水のオーバーフローを行う風管210、ドラム内に「ナノイー」を放出するナノイーユニット220等も接続されている。
【0020】
図1に戻り、洗濯乾燥機10のドラム40の側周面には、洗濯用水や乾燥用空気(温風)が通過する多数の開口孔40aが形成されている。さらに、ドラム40の内周面には、被洗濯物を撹拌してほぐす羽根部材40bを周方向に例えば等間隔に間隔を開けて設けている。羽根部材40bは、ドラム40の奥行方向に沿って延びる断面山形の部材である。羽根部材40bは、一例として、周方向に90度間隔で4本設けている。羽根部材40bには、洗濯ネットのフックを掛ける開口穴(不図示)を設けている。
【0021】
利用者は、洗濯運転の開始前に、扉ロック80を解錠するためのパスワードを操作入力部26から入力して設定することができる。パスワードは、例えば四桁程度の数字やアルファベットである。操作入力部26は、入力されたパスワード情報を制御部300に出力する。また、利用者は、洗濯物処理運転の完了後に、パスワードを操作入力部26から入力して、扉ロック80を解錠できる。操作入力部26から入力されたパスワードが、洗濯運転の開始前に設定したパスワードと一致している場合は、操作入力部26は、パスワード一致情報(利用者一致情報)を制御部30に出力する。なお、操作入力部26と制御部300が協働して、パスワードの一致を判断してもよい。
【0022】
図4乃至図7は、実施形態の排気機構内に設けられるリントボックス400の形状を示している。リントボックス400は、図2の排気ダスト180と排気ファン160の間に設けられ、例えば図1に示す右側上部に設置される。
図4の斜視図に示すように、リントボックス400は、前板410、左右の側板420,430、上板440、および背面板450で囲まれた、鉄又はアルミなどの金属で作られたボックスである。なお、図4では、内部が分かるように前板410、左右側板420,430、上板440の各金属壁は省略して示している。そして、リントボックス400内の底板460の上方には隙間470aを有する中間板470が設けられる。その中間板470の上に所定の傾斜角を有するリントフィルタ150が設けられている。リントフィルタ150の傾斜は、前板410側が低く、背面板450に向けて高くなるように設定されている。中間板470の隙間470aは、前板410との間に形成されている。
【0023】
図5は、図4からリントフィルタ150を取り除いた形状を示している。図5に示すように、背面板450には排気孔(第2排気孔)480が形成されている。排気孔480の後側には図2に示した排気ファン160が設けられている。図5から明らかなように、排気孔480を塞ぐだけのフィルタの面積に比べ、リントフィルタ150は斜めに大きく傾斜する構成により大きい面積を有している。従って、大きな面積であることから、フィルタ効果を高め、またフィルタ交換又は清掃の頻度を少なく出来る。
【0024】
図6は、図5のA-A断面を示している。図6に示すように、底板460には、排気ダクト180と連通する連通孔490が設けられている。連通孔490が設けられる底板460は深さを有しており(全体が凹部形状である)、この底板460と中間板470との間は、図2に示した温風排出路130の一部となる。底板460は、全体が凹部形状であるため、例えば排気ダクト180から連通孔490を通じて吹き上がった水を溜めることが出来る。もし、中間板470もなく、底板460に深さが無ければ、連通孔490から吹き上がった水はリントフィルタ150に直接当たる虞がある。そのような場合、リントフィルタ150に付着したリントが吹き上がった水と共に落下して、排気ダクト180を介して外胴30およびドラム40に落ちる虞れがある。実施形態では、底板460と中間板470の機構により、排気ダクト180から連通孔490を通じて吹き上がった水を底板460で溜めることが出来るので、その問題は発生しない。底板460に一時的に溜った水は、乾燥時の温風によって蒸発するので支障はない。なお、底板460に前板410に向けて緩い傾斜を設けて、その傾斜部に溜まった水を排出ホースを用いて外部に排出するようにしても良い。
【0025】
図7は、リントボックス400における、温風の流れを矢印によって示した図である。
図7に示すように、例えば乾燥時において、排気ファン160の回転により、温風供給路120-外胴30(ドラム40内の通過を含む)-排気ダクト180を通じて排気された温風は、連通孔490から底板460へと排出される。そして、温風は、中間板470の隙間470aから前板410によって反転する。反転した温風は、傾斜するリントフィルタ150を通過し、排気孔480から外部に排出される。ドラム40から運ばれた温風にリントが含まれていたとしても、リントフィルタ150によって排除されるので、コインランドリー店舗内には綺麗な空気が排出される。また、中間板470の設置により、排気ダクト180を通過した温風又は水は、リントフィルタ150に直接吹き当ることはないので、リントフィルタ150の劣化の防止を図ることが出来る。リントフィルタ150は、定期的に、又はフィルタの汚れ状態に応じて交換する。又はリントフィルタ150を洗浄して使用しても良い。
【0026】
図8(a)は、連通孔490に接続される排気ダクト180の斜視図を示し、同(b)はそのB-B断面図である。
図8(b)に示すように、蛇腹形状の排気ダクト180の内側にシリコンゴムなどの材料で作られた円柱状の筒部500が設けられる。円柱状の筒部500の上側の先端は、底板460の第1取付部462にクランプリング等のリング状留め具510によって固定して取り付けられる。円柱状の筒部500の下側の他端は、排気ダクト180の蛇腹部の長さを有して構成される。排気ダクト180の上端は、底板460の第2取付部464に固定して取り付けられる。円柱状の筒部500の取り付けは、自由に設計して良い。例えば、排気ダクト180の内側に円柱状の筒部500を取り付ける構造としても良く、排気ダクト180と円柱状の筒部500とを一体的に形成して取り付けても良い。
【0027】
円柱状の筒部500により、排気孔190から排気された温風は、排気ダクト180の内側に設けられた円柱状の筒部500を垂直に通り抜けてリントボックス400に排気される。
もし、円柱状の筒部500が無い場合、排気ダクト180の蛇腹部の内側にリントが溜まる虞がある。実施形態では、排気ダクト180の内側の蛇腹部に対し垂直のガイド板となる円柱状の筒部500を設ける構造になっているので、排気ダクト180の蛇腹部(その内側)に溜まるリント量を少なくすることができ、清潔な洗濯乾燥機10を提供することが出来る。
【0028】
図9は、実施形態の洗濯乾燥機10の制御回路の構成を示すブロック図である。図10に示すように、筐体20の内部には、洗濯乾燥機10を統括的に制御する制御部300が設けられる。制御部300は、例えばCPU,ROM,内部メモリ(RAM)300a等から構成されるマイクロコンピュータである。制御部300は、ドラム40に投入された被洗濯物に対する被洗濯物の洗濯乾燥又は洗濯又は乾燥の運転を、予め設定された複数の運転工程に従って制御する。そして、制御部300には、上述した各種センサからのデータ、各装置からの信号が入力されている。
【0029】
次に、実施形態の洗濯乾燥機10の動作について説明する。
洗濯工程では、外胴30内に洗濯水と洗剤を注入し、駆動モータ200によりドラム40を回転させることによって行う。濯ぎ工程は、外胴30内に洗濯水を注入・排出しながら、ドラム40を回転させることによって行う。脱水工程は、濯ぎ水を外胴30から排出した後、ドラム40を回転させて遠心力の作用によって行う。乾燥工程は、温風を外胴30内に導きながらドラム40を回転させることによって行う。
【0030】
洗濯工程では、利用者は、洗濯乾燥機10の開閉扉70を開いて、投入口60から被洗濯物をドラム40に投入する。そして、利用者は、開閉扉70を閉じて、扉ロック80により開閉扉70をラッチする。さらに、利用者は、コース選択ボタン24を操作して、各種のコースを選択する。次いで、利用者は、利用料金を料金入力部25に投入する。
【0031】
次いで、利用者は、操作入力部26を操作して、任意の数字やアルファベットを入力する。制御部300は、入力された情報を、扉ロック80を解錠するためのパスワードとして設定する。そして、利用者は、操作入力部26の運転開始ボタンを押下する。なお、運転開始ボタンは別な所に設けても良い。
【0032】
操作入力部26の運転開始ボタンが押下されると、制御部300は、開閉扉70の開閉センサ340からの入力信号に基づいて開閉扉70のラッチを確認し、扉ロック80により開閉扉7を施錠する。そして、制御部300は、外胴30の水位センサ310や各温度センサ320,330,350からの入力信号を受信しつつ、給水管90や排水管100の制御弁、駆動モータ200、排気ファン160、加熱ユニット140等を制御して、洗濯乾燥運転、又は洗濯運転、又は乾燥運転を行う。
【0033】
洗濯運転中では、制御部300は、給水管90から外胴30に設定量の水又は温水又は混合のぬるま湯を供給し、駆動モータ200によりドラム40を正逆回転、強弱回転等を制御する。
【0034】
洗濯工程が終了すると、制御部300は、濯ぎ工程を開始する。濯ぎ工程では、排水管100の制御弁を開放して外胴30に貯留された水又は温水又は混合のぬるま湯を排水管100から排出した後、再び給水管90から外胴30に濯ぎ水を供給しながらドラム40を回転させる。濯ぎが終了すると、制御部300は、排水管100の制御弁を開放して外胴30に貯留された濯ぎ水を排水管100から外へ全て排出する。
【0035】
濯ぎ工程が終了すると、制御部300は、脱水工程を開始する。脱水工程では、排水管100の制御弁を開放した状態で、駆動モータ200によりドラム40を一方向(例えば、時計回り)に回転させて、その遠心力により洗濯物の脱水を行う。
【0036】
次に、乾燥工程では、制御部300は、駆動モータ200によりドラム40を一方向(例えば、時計回り)に回転させながら、排気ファン160、加熱ユニット140を動作させる。すなわち、制御部300は、排気ファン160を駆動して、加熱ユニット140により昇温した空気(温風)を、温風供給路120を経由して外胴30に供給する。この温風にドラム40の被洗濯物(脱水された洗濯物)を晒して乾燥させる。そして、制御部300は、排気ファン160を駆動して、被洗濯物から蒸発した水分を含んだ温風を、排気ダクト180を温風排出路130-リントボックス400を経由して外部に排出する。
【0037】
制御部300は、乾燥工程において、洗濯温度センサ350からの入力信号に基づいて洗濯物の乾燥状態を判定する。例えば、洗濯温度センサ350の測定値(温度)が60℃以上になると、洗濯物が乾燥したと判定する。
【0038】
制御部300は、洗濯物が乾燥したと判定したら、冷却工程を行う。冷却工程では、加熱ユニット140を停止させて、駆動モータ200によりドラム40を一方向(例えば、時計回り)に回転させながら、排気ファン160のみを駆動させる。そして、制御部300は、洗濯温度センサ350の測定温度に基づき、利用者が火傷をしない程度の温度まで洗濯物を冷して、洗濯物処理運転を完了させる。このように、制御部300は、洗濯温度センサ350からの入力信号に基づいて洗濯物処理運転の完了を判断する。
【0039】
次に、排気ダクト180に付着したリントを除去するための洗浄処理について説明する。洗濯乾燥機10を清潔に保つために、定期的に又は洗浄スイッチ550(図1を参照)の押下に応じて、排気ダクト180を付着したリントを除去するための洗浄処理を実施しても良い。
【0040】
以下に、排気ダクト180の洗浄処理について簡単に説明する。
例えば、洗浄スイッチ550の操作で洗浄が開始されると、制御部300は排水管100の制御弁を閉塞して、給水管90から外胴30に設定量(例えば、外胴30の垂直な直径の1/4程度)の洗浄水を注入する。そして、制御部300は、駆動モータ200によりドラム40を高速回転させる。ドラム40の回転速度としては、ドラム容量に応じて120rpm~160rpmが好ましい。160rpm以上では、洗浄水が風管210からオーバーフローする虞がある。また120rpm以下では、排気孔190を経由して排気ダクト180内に洗浄水を十分噴出させることができない。高速回転の一例として、ドラムの容量12kgでは154rpm、ドラム容量22kgでは142rpm、ドラム容量32kgでは123rpmである。つまり、ドラム容量が大きくなる程、ドラム40の回転数は小さくする。通常の洗濯モードでのドラム40の回転数は、37rpm(容量大)~54rpm(容量小)であるので、洗浄モード時のドラム40の回転数は通常の洗濯モードより高速回転であると言える。また、ドラム40は、脱水モードの回転方向とは逆の回転方向(反時計回り)に高速回転させる。
【0041】
ドラム40を反時計回りに高速回転させることにより、外胴30内の洗浄水を排気孔190から排気ダクト180に向けて勢いよく噴出させることができる。これにより、排気ダクト180および円筒状の筒部500の内部が洗浄される。なお、排気ダクト180が、洗濯乾燥機を正面から見て外胴30の中央より左側上面に位置する構成とするならば、ドラム40は脱水時の回転方向とは逆の回転方向(時計回り)に回転させで排気ダクト180および円筒状の筒部500を洗浄する。
【0042】
次に、制御部300は、予め設定した洗浄時間が経過したか否かをチェックする。洗浄時間は、短い時間間隔で定期的に洗浄を行っている場合は、例えば2-3分程度でよい。しかしながら、長い期間洗浄していない場合は、更に長い時間を設定することが望ましい。制御部300は、設定した洗浄時間が経過したと判断した場合、外胴30の洗浄水を排水管100から外部に排水し、扉ロック80のロックを解除して終了する。
【0043】
実施形態のリントボックス400では、ドラム40を反時計回りに高速回転させて、洗浄水が排気ダクト-連通孔490から吹き上がったとしても、全体が凹部形状(深さを有する)の底板460に溜めることができるので、内蔵するリントフィルタ150に対し何も影響を与えることはない。また、リントフィルタ150に付着したリントが、水と共に落下して、排気ダクト180を介してドラム40に落ちるような現象も発生する虞れがない。また中間板470の設置により、排気ダクト180を通過した温風又は水は、リントフィルタ150に直接吹き当ることはないので、リントフィルタ150の防止を図ることが出来る。
【0044】
以上説明したように、実施形態の洗濯乾燥機は、外胴30内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラム40と、外胴30の上面の排気孔190に接続される排気ダクト180と、底板460に排気ダクト180と連通する連通孔490が設けられ、底板460の上部にリントフィルタ150が設けられるリントボックス400と、を有し、リントボックス400の底板460は深さを有し、排気ダクト180から吹き上がった水を溜めることができる構造である。これにより、排気ダクト180から水が吹き上がったとしても底板460に溜めることができるので、内蔵するリントフィルタ150に対し何も影響を与えることはない。また、リントフィルタ150に付着したリントが、水と共に落下して、排気ダクト180を介してドラム40に落ちるような現象も発生する虞れがない。
【0045】
実施形態の洗濯乾燥機は、底板460とリントフィルタ150の間に中間板470が設けられ、中間板470により連通孔490からリントフィルタ150に直接温風又は水が当たらないように構成したので、中間板470の設置により、排気ダクト180を通過した温風又は水は、リントフィルタ150に直接吹き当ることはないので、リントフィルタ150の防止を図ることが出来る。
【0046】
実施形態の洗濯乾燥機は、排気孔190から排出された温風を排気ダクト180、および底板460と中間板470の間を経由してリントフィルタ150に当てて排出するように構成したので、内蔵するリントフィルタ150に対し何も影響を与えることはない。中間板470の設置により、排気ダクト180を通過した温風又は水は、リントフィルタ150に直接吹き当ることはないので、リントフィルタ150の防止を図ることが出来る。
【0047】
実施形態の洗濯乾燥機は、排気ダクト180は蛇腹形状を有し、排気ダクト180の少なくとも蛇腹部の内面には、円筒状の筒部500が設けられているので、排気ダクト180の蛇腹部(その内側)にリントが溜まる量を少なくすることが出来るので、清潔な洗濯乾燥機10を提供することが出来る。
【0048】
実施形態の洗濯乾燥機は、円筒状の筒部500は、排気ダクト180の蛇腹部に取り付けられ、又は底板460の連通孔490に取り付けられているので、排気ダクト180の蛇腹部(その内側)にリントが溜まる量を少なくすることが出来る。
【0049】
実施形態の洗濯乾燥機は、外胴30内に設けられ、洗濯/乾燥時に回転駆動されるドラム40と、外胴30の上面の排気孔190に接続され、蛇腹形状のダクト内面には円筒状の筒部500が設けられている排気ダクト180と、底板460に排気ダクト180と連通する連通孔490が設けられ、底板460の上部にリントフィルタ150が設けられるリントボックス400と、を有する機構であるので、排気ダクト180の蛇腹部(その内側)にリントが溜まる量を少なくすることが出来るので、清潔な洗濯乾燥機10を提供することが出来る。
【0050】
実施形態の洗濯乾燥機は、リントボックス400の底板460は深さを有し、排気ダクト180から吹き上がった水を溜めることができる構成であるので、排気ダクト180から水が吹き上がったとしても底板460に溜めることができるので、内蔵するリントフィルタ150に対し何も影響を与えることはない。
【0051】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10…洗濯乾燥機、 20…筐体、 20a…フロントパネル、 20b…パネル開口
23…表示ランプ、 24…コース選択ボタン、 25…料金入力部
26…操作入力部、 30…外胴、 40…ドラム、 40a…開口孔
40b…羽根部材、 60…投入口、 70…開閉扉70、 80…扉ロック
90…給水管、 100…排水管、 110…温風供給路、 120…温風供給路
130…温風排出路、 140…加熱ユニット、 150…リントフィルタ
160…排気ファン、 170…チャッキダンパ、 180…排気ダクト
190…第1排気孔、 200…駆動モータ、210…風管
220…ナノイーユニット、 230…回転軸、 300…制御部
300a…内部メモリ(RAM)、 310…水位センサ、 320…入力温度センサ
330…出力温度センサ、340…開閉センサ、 350…洗濯温度センサ
400…リントボックス、 410…前板、 420,430…側板、 440…上板
450…背面板、 460…底板、 462…第1取付部、 464…第2取付部
470…中間板、 470a…隙間、 480…第2排気孔、 490…連通孔
500…円柱状の筒部、 550…洗浄スイッチ
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9