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  • 特開-性能比較システム及び性能比較方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039349
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】性能比較システム及び性能比較方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B25J13/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146478
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小河路 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS10
3C707JU02
3C707KS33
3C707KT01
3C707KT06
3C707KX06
3C707MS15
(57)【要約】
【課題】ビジョンセンサを用いたロボットアームの制御、及び、力覚センサを用いたロボットアームの制御について、それらの性能を比較することが可能な性能比較システムを実現する。
【解決手段】コントローラ(15)は、力覚センサ(13)の出力信号を参照してロボットアーム(11)を制御することにより、ワーク(W)に対する予め定められた作業を実演する第1実演工程と、ビジョンセンサ(14)の出力信号を参照してロボットアーム(11)を制御することにより、ワーク(W)に対する前記予め定められた作業を実演する第2実演工程と、を実施する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられたロボットハンドであって、ワークを保持するロボットハンドと、前記ワークに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記ワークの位置を検出するビジョンセンサと、前記ロボットアームを制御するコントローラと、を含み、
前記コントローラは、前記力覚センサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する予め定められた作業を実演する第1実演工程と、前記ビジョンセンサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する前記予め定められた作業を実演する第2実演工程と、を実施する、
ことを特徴とする性能比較システム。
【請求項2】
前記ワークに外乱光を照射する光源を更に備え、
前記コントローラは、前記光源が点灯している状態で前記第1実演工程及び前記第2実演工程を実施する、
ことを特徴とする請求項1に記載の性能比較システム。
【請求項3】
セレクタを更に備え、
前記コントローラは、前記第1実演工程を実施するか前記第2実演工程を実施するかを前記セレクタの出力信号を参照して選択する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の性能比較システム。
【請求項4】
ディスプレイを更に備え、
前記コントローラは、前記第1実演工程を実施中に前記ワークに作用する力及びモーメントの一方又は両方の時間変化を表すグラフを前記力覚センサの出力信号を参照して作成すると共に、作成したグラフを前記ディスプレイに表示する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の性能比較システム。
【請求項5】
前記予め定められた作業は、嵌合作業、螺合作業、又は、これらの作業を含む一連の作業である、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の性能比較システム。
【請求項6】
ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられたロボットハンドであって、ワークを保持するロボットハンドと、前記ワークに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記ワークの位置を検出するビジョンセンサと、を用い、
前記力覚センサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する予め定められた作業を実演する第1実演工程と、前記ビジョンセンサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する前記予め定められた作業を実演する第2実演工程と、を含む、
ことを特徴とする性能比較方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームを制御するために利用されるセンサの性能を比較する性能比較システム及び性能比較方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種作業を自動化するために、ロボットアームが広く用いられている。ロボットアームは、事前に教示されたとおり動作するが、それだけでは繊細な作業を完遂できないことがある。このような場合、センサからの出力情報を参照してロボットアームの動作を制御する。ロボットアームの制御に利用されるセンサとしては、ワークの位置を検出するビジョンセンサ、及び、ワークに作用する力及び/又はモーメントを検出する力覚センサが典型的である。
【0003】
特許文献1には、ビジョンセンサの出力信号を参照して動作するロボットが開示されている。特許文献2には、力覚センサを備えたロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-240166号
【特許文献2】特開2021-20264号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビジョンセンサを用いたロボットアームの制御、及び、力覚センサを用いたロボットアームの制御について、それらの性能を分かりやすい形で比較したいというニーズがある。例えば、ビジョンセンサを製造するメーカは、ビジョンセンサを用いたロボットアームの制御性能の方が優れていることを、展示会等において来場者に分かりやすい形で示したい。逆に、力覚センサを製造するメーカは、力覚センサを用いたロボットアームの制御性能の方が優れていることを、展示会等において来場者に分かりやすい形で示したい。しかしながら、このようなニーズに応えるシステムは、存在していなかった。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ビジョンセンサを用いたロボットアームの制御、及び、力覚センサを用いたロボットアームの制御について、それらの性能を比較することが可能な性能比較システム及び性能比較方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る性能比較システムは、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられたロボットハンドであって、ワークを保持するロボットハンドと、前記ワークに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記ワークの位置を検出するビジョンセンサと、前記ロボットアームを制御するコントローラと、を含む。そして、当該性能比較システムが備える前記コントローラは、前記力覚センサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する予め定められた作業を実演する第1実演工程と、前記ビジョンセンサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する前記予め定められた作業を実演する第2実演工程と、を実施する。
【0008】
本発明の一態様に係る性能比較方法は、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられたロボットハンドであって、ワークを保持するロボットハンドと、前記ワークに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記ワークの位置を検出するビジョンセンサと、を用いる。そして、当該性能比較方法は、前記力覚センサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する予め定められた作業を実演する第1実演工程と、前記ビジョンセンサの出力信号を参照して前記ロボットアームを制御することにより、前記ワークに対する前記予め定められた作業を実演する第2実演工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビジョンセンサを用いたロボットアームの制御、及び、力覚センサを用いたロボットアームの制御について、それらの性能を比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る性能比較システム1の構成を示す斜視図である。
図2図1に示す性能比較システムがディスプレイに表示するグラフを示す図である。
図3図1に示す性能比較システムが実施する性能比較方法の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(性能比較システムの基本構成)
本発明の一実施形態に係る性能比較システム1の基本構成について、図1を参照して説明する。図1は、性能比較システム1の構成を示す斜視図である。
【0012】
性能比較システム1は、図1に示すように、ロボットアーム11と、ロボットハンド12と、力覚センサ13と、ビジョンセンサ14、及びコントローラ15を含んでいる。
【0013】
本実施形態においては、ロボットアーム11として、垂直多関節型ロボットアームを用いている。また、ロボットハンド12として、ワークWを把持する把持ハンドを用いている。なお、ロボットハンド12は、ワークWを把持以外の方法で保持するものであってもよい。把持以外の保持方法としては、例えば、吸着による保持、磁力による保持、静電気力による保持などが挙げられる。
【0014】
力覚センサ13は、ワークWに作用する力及びモーメントを検出する。力覚センサ13は、検出した力及びモーメントを表す出力信号を、コントローラ15に提供する。ビジョンセンサ14は、ワークWの位置を検出する。ビジョンセンサ14は、検出した位置を表す出力信号を、コントローラ15に提供する。
【0015】
本実施形態においては、力覚センサ13として、6軸力覚センサを用いている。力覚センサ13は、ロボットアーム11とロボットハンド12との間に介在し、ワークWに作用するx軸方向の力Fx、y軸方向の力Fy、z軸方向の力Fz、x軸周りのモーメントMx、y軸周りのモーメントMy、及び、z軸周りのモーメントMzを検出する。ここで、z軸は、ロボットアーム11の最終リンクの中心軸と平行な軸であり、x軸は、z軸と直交する軸であり、y軸は、z軸及びx軸と直交する軸である。
【0016】
コントローラ15は、(1)力覚センサ13の出力信号に基づくロボットアーム11の制御(以下、「力覚センサ制御」とも記載する)により、予め定められた作業を実演する第1実演工程、及び、(2)ビジョンセンサ14の出力信号に基づくロボットアーム11の制御(以下、「ビジョンセンサ制御」とも記載する)により、予め定められた作業を実演する第2実演工程を実施する。
【0017】
なお、本実施形態においては、予め定められた作業として、円柱状のワークWを別のワークW’に設けられた断面が円形である孔Hに嵌合する嵌合作業を想定する。ただし、第1実演工程及び第2実演工程において実演される作業は、これに限定されない。例えば、外側面にネジ山が形成された円柱状のワークWを別のワークW’に設けられた断面が円形であり、内側面にネジ山が形成された孔Hに螺合する螺合作業を、第1実演工程及び第2実演工程において実演してもよい。また、嵌合作業と螺合作業とを含む一連の作業を、第1実演工程及び第2実演工程において実演してもよい。
【0018】
以上のように、性能比較システム1によれば、力覚センサ制御による作業、及び、ビジョンセンサ制御による作業を、それぞれ実演することができる。このため、性能比較システム1は、例えば、ビジョンセンサ制御に対する力覚センサ制御の優位性、又は、ビジョンセンサ制御に対する力覚センサ制御の優位性を示す展示物として、好適に利用することができる。例えば、ワークW’の位置に不確定性がある場合、ビジョンセンサ制御よりも力覚センサ制御の方が有利である。この場合、性能比較システム1は、ビジョンセンサ制御に対する力覚センサ制御の優位性を示す展示物として、好適に利用することができる。
【0019】
(性能比較システムのその他の構成1)
性能比較システム1のその他の構成について、引き続き図1を参照して説明する。
【0020】
性能比較システム1は、更に、光源16を含んでいる。光源16は、ワークWに外乱光を照射するための光源である。コントローラ15は、光源16が点灯している状態で第1実演工程及び第2実演工程を実施する。これにより、力覚センサ制御による作業、及び、ビジョンセンサ制御による作業を、外乱光が存在する作業環境において、それぞれ実演することができる。
【0021】
外乱光が存在する作業環境においては、ビジョンセンサ14によるワークW1の位置の特定が困難になる場合がある。この場合、ビジョンセンサ14の出力信号に基づくロボットアーム11の制御が困難になる。その結果、力覚センサ制御は、ビジョンセンサ制御よりも有利になる。このため、光源16を含む性能比較システム1は、例えば、外乱光が存在する作業環境におけるビジョンセンサ制御に対する力覚センサ制御の優位性を示す展示物として、好適に利用することができる。
【0022】
(性能比較システムのその他の構成2)
性能比較システム1のその他の構成について、引き続き図1を参照して説明する。
【0023】
性能比較システム1は、更に、セレクタ17を含んでいる。セレクタ17は、第1実演工程を実施するか、第2実演工程を実施するかを、ユーザに選択させるための構成である。本実施形態においては、セレクタ17として、「力覚センサ」ボタン17a、「ビジョンセンサ」ボタン17b、及び「スタート」ボタン17cを有するセレクタを用いている。セレクタ17の出力信号は、これらのボタンの状態を示す信号であり、コントローラ15に提供される。
【0024】
コントローラ15は、第1実演工程を実施するか、第2実演工程を実施するかを、セレクタ17の出力信号に基づいて選択する。例えば、「力覚センサ」ボタン17aが押下された状態で「スタート」ボタン17cが押下されると、コントローラ15は、第1実演工程を実施する。一方、「ビジョンセンサ」ボタン17bが押下された状態で「スタート」ボタン17cが押下されると、コントローラ15は、第2実演工程を実施する。このため、セレクタ17を含む性能比較システム1を展示物として利用した場合、来場者は、力学センサ制御による作業の実演を見学するか、ビジョンセンサ制御による作業の実演を見学するかを、自由に選択することが可能になる。
【0025】
(性能比較システムのその他の構成3)
性能比較システム1のその他の構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
性能比較システム1は、更に、ディスプレイ18を含んでいる。ディスプレイ18は、第1実演工程を実施中にワークWに作用する力及び/又はモーメントの時間変化を表すグラフを表示するための構成である。コントローラ15は、上述したグラフを力覚センサ13の出力信号を参照して作成すると共に、作成したグラフをディスプレイ18に表示する。
【0027】
ディスプレイ18に表示されるグラフの一例を、図2に示す。図2に示すグラフは、第1実演工程を実施中にワークWに作用する力Fzの時間変化を示すグラフである。図2に示すグラフには、噛込判定のための閾値Thが示されている。ワークWに作用する力Fzが閾値Thを超えた場合、ワークWがワークW’に噛み込んで、ワークW及びワークW’の一方又は両方が損傷を受けるリスクがある。図2に示すグラフでは、第1実演工程を実施中にワークWに作用する力Fzが閾値Thを超えていない。このため、性能比較システム1を展示物として利用した場合、来場者は、力覚センサ制御による嵌合作業が噛み込みを生じることなく行い得ることを、容易に理解することができる。
【0028】
なお、ディスプレイ18に表示するグラフは、第1実演工程を実施中にワークWに作用する力Fzの時間変化を示すグラフに限定されない。以下のグラフ、又は、以下のグラフの組み合わせをディスプレイ18に表示してもよい。
【0029】
(1)第1実演工程を実施中にワークWに作用する力Fzの時間変化を示すグラフ、
(2)第1実演工程を実施中にワークWに作用するモーメントMxの時間変化を示すグラフ、
(3)第1実演工程を実施中にワークWに作用するモーメントMyの時間変化を示すグラフ。
【0030】
(性能比較方法の流れ)
性能比較システム1を用いて実施される性能比較方法S1の流れについて、図3を参照して説明する。図3は、性能比較方法S1の流れを示すフロー図である。
【0031】
性能比較方法S1は、例えば、セレクタ17の「スタート」ボタン17cが押下されたときに実施される性能比較方法であり、点灯工程S11、選択工程S12、第1実演工程S13、第2実演工程S14、消灯工程S15を含んでいる。
【0032】
点灯工程S11は、コントローラ15が、光源16を点灯する工程である。点灯工程S11が実施されてから消灯工程S15が実施されるまでの間、光源16は、ワークWに外乱光を照射し続ける。
【0033】
選択工程S12は、コントローラ15が、セレクタ17の出力信号を参照して、第1実演工程S13を実施するか、第2実演工程S14を実施するかを選択する工程である。例えば、セレクタ17の「力覚センサ」ボタン17aが押下されている場合、コントローラ15は、第1実演工程S13を実施する。また、セレクタ17の「ビジョンセンサ」ボタン17bが押下されている場合、コントローラ15は、第2実演工程S14を実施する。
【0034】
第1実演工程S13は、コントローラ15が、力覚センサ13の出力信号を参照してロボットアーム11を制御することにより、予め定められた作業を実演する工程である。第1実演工程S13において、コントローラ15は、ワークWに作用する力及び/又はモーメントの時間変化を表すグラフを作成すると共に、作成したグラフをディスプレイ18に表示する。第2実演工程S14は、コントローラ15が、ビジョンセンサ14の出力信号を参照してロボットアーム11を制御することにより、予め定められた作業を実演する工程である。
【0035】
消灯工程S15は、コントローラ15が、光源16を点灯する工程である。消灯工程S15を実施することによって、性能比較方法S1が完了する。
【0036】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1 性能比較システム
11 ロボットアーム
12 ロボットハンド
13 力覚センサ
14 ビジョンセンサ
15 コントローラ
16 光源
17 セレクタ
18 ディスプレイ
図1
図2
図3