(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039351
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】塗布装置および塗布装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20230313BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20230313BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230313BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20230313BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B25J13/08 A
B25J13/08 Z
B05C11/10
B05B12/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146480
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小河路 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【テーマコード(参考)】
3C707
4F035
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3C707AS13
3C707BS09
3C707KS03
3C707KS33
3C707KT03
3C707KX06
3C707LT06
4F035AA03
4F035BC02
4F041AB01
4F041BA23
4F041BA34
4F042AB00
4F042BA08
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】塗布面が乱れることを防ぐことを目的とする。
【解決手段】ロボットアーム(4)と、ロボットアーム(4)に取り付けられ、ワーク(W)から離間した状態で液体を吐出してワーク(W)に塗布する塗布ハンド(20)と、ロボットアーム(4)又は塗布ハンド(20)に設けられ、ワーク(W)と当接可能な支持体(10)と、ロボットアーム(4)又は塗布ハンド(20)に設けられ、支持体(10)を、ワーク(W)から離間させる方向に駆動する駆動機構(30)と、を備えていることを特徴とする塗布装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームと、
前記ロボットアームに取り付けられ、ワークから離間した状態で液体を吐出して当該ワークに塗布する塗布ハンドと、
前記ロボットアーム又は前記塗布ハンドに設けられ、前記ワークと当接可能な支持体と、
前記ロボットアーム又は前記塗布ハンドに設けられ、前記支持体を、前記ワークから離間させる方向に駆動する駆動機構と、
を備えていることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、更に、前記支持体を、前記ワークの塗布面に対して垂直な軸を中心として回転する方向に駆動することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
【請求項3】
前記ワークの形状を画像解析するための3Dカメラと、制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記3Dカメラからの画像解析結果に基づいて、前記駆動機構を制御して前記支持体を駆動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項4】
制御部を更に備え、
前記制御部は、ユーザにより設定されたティーチングデータに基づいて前記駆動機構を制御して前記支持体を駆動する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の塗布装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像解析結果又は前記ティーチングデータに基づいて、前記塗布ハンドが前記ワークに液体を塗布した塗布箇所から予め定められた範囲内に前記支持体が位置したことを条件として、前記駆動機構を制御し、前記支持体を前記塗布箇所から離間させる方向に駆動することを特徴とする請求項3または4に記載の塗布装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記画像解析結果又は前記ティーチングデータに基づいて、前記支持体が前記ワークの端部から予め定められた範囲内に前記支持体が位置したことを条件として、前記駆動機構を制御し、前記支持体を前記ワークの端部から離間させる方向に駆動することを特徴とする請求項3または4に記載の塗布装置。
【請求項7】
前記塗布ハンドに設けられ、前記支持体を介してワークから受ける力およびモーメントを検出するための力覚センサと、制御部と、を更に備え、
前記支持体は、前記塗布ハンドに設けられ、
前記制御部は、前記力覚センサの出力信号から算出されたパラメータに基づいて、前記ロボットアームの動作を制御する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の塗布装置。
【請求項8】
ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられ、ワークから離間した状態で当該ワークに液体を塗布する塗布ハンドと、前記塗布ハンドに設けられ、前記ワークと当接する支持体と、前記ロボットアーム又は前記塗布ハンドに設けられ、前記支持体を、前記ワークから離間させる方向に駆動する駆動機構と、を備えた塗布装置の制御方法であって、
予め定められた条件に基づいて、前記塗布ハンドに対して前記支持体を駆動するように前記駆動機構を制御する
ことを特徴とする塗布装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットを使用する塗布装置が知られている。例えば、特許文献1には、ロボットアームの先端に塗布ハンドが設けられている塗布装置が開示されている。当該塗布装置は、塗布ハンドから吐出された液体をワークに塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークに液体を均一に塗布するためには、塗布ハンドとワークとの距離を一定に保つ必要がある。塗布ハンドとワークとの距離を一定に保つ方法の一つとして、塗布ハンドに支持体を設ける方法が考えられる。この方法では、支持体をワークに当接させることにより、塗布ハンドとワークとの間の距離を一定に保つ。支持体は、塗布ハンドと共にワーク上を移動する。
【0005】
しかしながら、上記の方法では、支持体がワークに当接しているため、支持体がワーク上の既に液体が塗布された箇所に接触する可能性がある。支持体がワーク上の既に液体が塗布された箇所に接触すると、液体が意図せぬ箇所まで広がってしまったり、塗布された液体の表面が荒らされてしまったりするという問題を生じる。
【0006】
本発明の一態様は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、既に塗布した箇所に支持体が接触し塗布面が乱れることを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る塗布装置は、ロボットアームと、前記ロボットアームに取り付けられ、ワークから離間した状態で液体を吐出して当該ワークに塗布する塗布ハンドと、前記ロボットアーム又は前記塗布ハンドに設けられ、前記ワークと当接可能な支持体と、前記ロボットアーム又は前記塗布ハンドに設けられ、前記支持体を、前記ワークから離間させる方向に駆動する駆動機構と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、既に塗布した箇所に支持体が接触し塗布面が乱れることを防ぐことできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る塗布装置の全体構造を示す図である。
【
図2】
図1に示す塗布装置の支持体の回転駆動を示す図である。
【
図3】
図1に示す塗布装置の支持体の上下駆動を示す図である。
【
図4】
図1に示す塗布装置のシリンジの上下移動を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態1に係る塗布装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態1に係る塗布装置の制御方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図6に示す制御方法の回避工程を示すフローチャートである。
【
図8】
図6に示す制御方法の維持工程を示すフローチャートである。
【
図9】
図1に示す塗布装置の支持体の回避方法の流れを示す図である。
【
図10】
図1に示す塗布装置の支持体の回避方法の流れを示す図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係る塗布装置の塗布ハンドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~5を用いて詳細に説明する。
図1は、塗布装置1の全体構造を示す図である。
図2は、塗布装置1の支持体10の回転駆動を示す図である。
図3は、塗布装置1の支持体10の上下の駆動を示す図である。
図4は、塗布装置1のシリンジ22の上下移動を示す図である。
図5は、塗布装置1のハードウェア構成を示す図である。塗布装置1の各構成および位置関係等を説明するにあたり、
図1等に示すようなX(X1-X2)方向、Y(Y1-Y2)方向、Z(Z1-Z2)方向という三方向の座標軸を用いて説明する。
【0011】
<塗布装置1>
図1に示すように、塗布装置1は、塗布ロボット2と、液体供給機構5と、3Dカメラ6と、制御装置40とを備える。
【0012】
塗布ロボット2は、基台3と、ロボットアーム4と、塗布ハンド20とを備える。
【0013】
基台3は、床面に固定されている。なお、基台3は車輪を有し、移動可能なものであってもよい。
【0014】
ロボットアーム4は、基台3に設けられている。ロボットアーム4は、基台3に対して回動可能に取り付けられている。ロボットアーム4の基端が基台3に取り付けられる。ロボットアーム4は、複数のリンクを有している。ロボットアーム4のリンクは、隣接するリンクと接続する関節部分において、回動可能に取り付けられている。ロボットアーム4の先端には、塗布ハンド20が設けられる。
【0015】
塗布ハンド20は、液体をワークWに塗布するためのハンドである。塗布ハンド20には取付部材24が設けられている。塗布ハンド20は、取付部材24により、ロボットアーム4に取り付けられる。
【0016】
塗布ハンド20は、ディスペンサ21と、シリンジ22と、力覚センサ27と、支持体10と、駆動機構30とを有する。
【0017】
ディスペンサ21は、シリンジ22からワークWに向けて液体を吐出するための駆動機構である。ディスペンサ21には、駆動モータ等が含まれる。ディスペンサ21のZ1方向にはシリンジ22が設けられている。シリンジ22には、吐出する液体が充填されている。シリンジ22に充填される液体は、液体供給機構5からシリンジ22に供給される。シリンジ22には吐出口が設けられ、吐出口からワークWに向けて液体が吐出される。接続部材23は、シリンジ22と力覚センサ27との間に配置されている部材である。接続部材23には貫通孔が設けられている。接続部材23の貫通孔には、ディスペンサ21及びシリンジ22が挿通されている。接続部材23のワークW側の面にシリンジ22が取り付けられている。接続部材23のディスペンサ21側の面に力覚センサ27が取り付けられている。
【0018】
力覚センサ27は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の荷重(Fx、Fy、Fz)を検出すると共に、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のモーメント(Mx、My、Mz)を同時に検出することができる6軸力覚センサである。力覚センサ27は、起歪体を有する歪ゲージ式のセンサである。なお、力覚センサ27は歪ゲージ式のセンサに限らず、圧電式、光学式等の力覚センサを用いてもよい。
【0019】
力覚センサ27は、ディスペンサ21とシリンジ22との間に配置されている。力覚センサ27の中心部分には、貫通孔が設けられている。力覚センサ27の貫通孔にディスペンサ21及びシリンジ22が挿通される。力覚センサ27は、支持体10を介してワークWから受ける力およびモーメントを検出する。より詳細には、力覚センサ27は、支持体10及び駆動機構30を介して、接続部材23に作用する力およびモーメントを検出する。なお、力覚センサ27は、ディスペンサ21とロボットアーム4の先端との間に設けてもよい。
【0020】
力覚センサ27は、支持体10を介してワークWから受ける力である垂直抗力を検出する。垂直抗力は、ワークWの塗布面に対して直交する方向に働く力である。換言すれば、支持体10がワークWから離間する方向又はワークWに当接する方向である。図面上、Z方向に働く力が垂直抗力となる。力覚センサ27は、支持体10を介してワークWから受けるモーメントである第1回転モーメント及び第2回転モーメントを検出する。第1回転モーメントは、ワークWの塗布面に対して水平な軸であり、かつ塗布ハンド20の進行方向に対して直交する軸を回転軸とするモーメントである。第2回転モーメントは、ワークWの塗布面に対して水平な軸であり、かつ塗布ハンド20の進行方向に沿う軸を回転軸とするモーメントである。第1回転モーメントの回転軸は、第2回転モーメントの回転軸に対して直交する。例えば、図面上、塗布ハンド20がX1方向に進行している場合、第1回転モーメントはY方向(Y1-Y2)を回転軸とするモーメントであり、第2回転モーメントはX方向(X1-X2)を回転軸とするモーメントである。
【0021】
支持体10は、塗布ハンド20に設けられている。支持体10は、ワークWと当接することにより、塗布ハンド20とワークとの距離を一定に保つための部材である。また、支持体10をワークWに当接させることにより、力覚センサ27によるロボットアーム4の動作の制御を行うことが可能となる。
【0022】
支持体10は、ローラ11と、本体部12と、突部13とを有する。支持体10は、L字状の部材である。ローラ11は、本体部12のワークW側の先端に設けられている。支持体10のローラ11がワークWと当接する。本体部12のロボットアーム側には、突部13が設けられている。突部13は、本体部12の延伸方向と交差する方向に延伸する。
図1において、突部13は、X2方向に向かって延伸する。突部13には、駆動機構30の回転機構31が設けられている。なお、支持体10はローラ11を有さない構成としてもよい。一例として、支持体10の先端を曲面化し、支持体10の先端がワークW上を摺動するような構成としてもよい。
【0023】
駆動機構30は、回転機構31と、上下機構32と、シリンジ上下機構33と、駆動機構本体34とを有する。駆動機構30は、制御装置40により制御される。
【0024】
回転機構31は、支持体10をワークWの塗布面に対して垂直な軸を中心として回転する方向に駆動する機構である。換言すれば、回転機構31は、支持体10をワークWの塗布面上において弧を描くようにして回転駆動する機構である。回転機構31は、支持体10と駆動機構本体34との間に設けられている。回転機構31は、駆動機構本体34のワークW側に設けられている。回転機構31のワークW側には、支持体10が取り付けられている。回転機構31が駆動すると、回転機構31の動力が支持体10に伝達される。動力が伝達された支持体10は、回転機構31の回転軸Dを中心に回転する。
【0025】
図2を用いて、回転機構の一例について説明する。
図2の100には、回転機構31が駆動する前の支持体10の位置が示されている。
図2の101には、回転機構31が駆動した後の支持体10の位置が示されている。
図2の101に示すように、回転機構31が駆動すると、支持体10が回転軸Dを中心に回転する。支持体10は、Z方向(Z1-Z2)の軸を中心として回転している。支持体10のローラ11は、回転機構31の回転軸Dから離れた位置に設けられている。そのため、回転機構31が駆動すると、塗布ハンド20のシリンジ22に対する支持体10の相対的な位置が変更される。回転機構31により、支持体10のシリンジ22に対する相対的な位置を調整することができる。
【0026】
このように、回転機構31を用いることによりワーク上の支持体10の位置を調整することができ、ロボットアーム4の動作の制御により支持体10の位置を調整しなくてもよくなる。その結果、連続した塗布作業を継続することができ、均一な塗布面を形成することができる。なお、回転機構31は、支持体10をワークWの塗布面に対して垂直な軸を中心として回転する方向に駆動する機構であればどのような態様のものでも良い。また、回転機構31は、塗布ハンド20をロボットアーム4に対して回転駆動するような機構であってもよい。
【0027】
図1に戻り、上下機構32は、支持体10をワークWから離間させる方向又はワークWに当接させる方向に駆動する機構である。換言すれば、上下機構32は、塗布ハンド20のシリンジ22に対して支持体10をZ方向(上下方向)に駆動する機構である。上下機構32は、シリンジ上下機構33と駆動機構本体34との間に設けられている。上下機構32は、駆動機構本体34を上下機構32に対してスライドさせる。駆動機構本体34がZ方向にスライドすると、駆動機構本体34と共に支持体10がZ方向にスライドする。
【0028】
図3を用いて、上下機構32の一例について説明する。
図3の102には、上下機構32が駆動する前の支持体10の位置が示されている。
図3の103には、上下機構32が駆動した後の支持体10の位置が示されている。
図3の102に示すように、上下機構32が駆動される前においては、支持体10はワークWに当接した状態である。制御装置40の制御に基づいて上下機構32が駆動されると、
図3の103に示すように、駆動機構本体34が上下機構32に対してワークWから離間する方向(Z2方向)にスライドする。駆動機構本体34がZ2方向にスライドすると共に、支持体10はワークWから離間する方向(Z2方向)に駆動される。これにより、支持体10はワークWから離間した状態となる。また、上下機構32が駆動すると、支持体10の塗布ハンド20のシリンジ22に対する相対的な位置が変更される。これにより、シリンジ22とワークWとの距離を変えることなく、支持体10をワークWから離間する方向に駆動することができる。
【0029】
このように、上下機構32を用いることにより、支持体10をワークWから離間する方向に駆動することができる。そのため、支持体10が既にワークWに液体を塗布した箇所を走行する際、支持体10をワークWから離間させることができる。これにより、既に塗布した箇所に支持体が接触し塗布面が乱れることを防ぐことできる。また、ロボットアーム4の動作を制御することがないため、塗布作業を継続した状態において支持体10をワークから離間する方向に駆動することができる。なお上下機構32は、支持体10をワークWから離間させる方向又はワークWに当接させる方向に駆動する機構であれば、どのような態様のものでも良い。
【0030】
シリンジ上下機構33は、シリンジ22をワークWから離反させる方向又はワークWに接近させる方向に移動させる機構である。換言すれば、シリンジ上下機構33は、シリンジ22をZ方向に移動させる機構である。シリンジ上下機構33は、上下機構32と接続部材23との間に設けられている。シリンジ上下機構33は、一例としてマイクロゲージである。ユーザがマイクロゲージを操作することにより、ワークWとシリンジ22との間の距離を任意の距離に合わせることができる。これにより、ユーザはワークWの材料に合わせて距離を設定変更することが可能となる。
【0031】
図4を用いて、シリンジ上下機構33の一例について説明する。
図4の104には、シリンジ上下機構33が操作される前のシリンジ22の位置が示されている。
図4の105には、シリンジ上下機構33が操作された後のシリンジ22の位置が示されている。
図4の104に示されているように、シリンジ上下機構33が操作される前は、シリンジ22がワークWに接近した状態である。ユーザがシリンジ上下機構33を操作すると、
図4の105に示すように、接続部材23がシリンジ上下機構33に対してワークWから離反する方向(Z2方向)にスライドする。接続部材23がZ2方向にスライドすると共に、シリンジ22がワークWから離反する方向(Z2方向)に移動する。
【0032】
図1に戻り、液体供給機構5は、ワークに吐出する液体をシリンジ22に供給する機構である。制御装置40に制御され、シリンジに供給する液体量が制御される。液体供給機構5には、ポンプ、駆動モータ等が含まれる。
【0033】
3Dカメラ6は、ワークWの形状を画像解析するためのカメラである。3Dカメラ6は、ワークWの画像を撮影できる位置に設けられている。3Dカメラ6は、1台以上のカメラが使用される。なお、3Dカメラ6は、塗布ロボット2に設けてもよいし、塗布ロボット2以外の作業用スペースに設けてもよい。3Dカメラ6が撮影した画像データは、制御装置40に送信される。なお、3Dカメラ6が撮影する画像データは、静止画によるものであってもよいし、又は動画によるものであってもよい。
【0034】
制御装置40は、塗布装置1の全体を制御する装置である。
図5は、塗布装置1のハードウェア構成を示した図である。
図5に示すように、制御装置40は、プロセッサ41、メモリ42、および入出力IF43を含む。制御装置40は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、またはPLC(programmable logic controller)等により実現される。プロセッサ41、メモリ42、および入出力IF43は、バスを介して互いに電気的に接続されている。
【0035】
プロセッサ41は、メモリ42に格納された種々のプログラムを実行することで、種々の制御および種々の演算を行う。プロセッサ41としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、又は、これらの組み合わせを用いることができる。プロセッサ41は、例えば、ロボットアーム4、駆動機構30の動作を制御する。
【0036】
メモリ42は、プロセッサ41により実行される種々のプログラムを格納している。塗布作業に関するプログラムは、メモリ42に格納されている。塗布作業に関するプログラムとは、塗布装置1全体の動作および制御ルーチンを記述したプログラムである。メモリ42としては、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を用いることができる。
【0037】
入出力IF43は、ロボットアーム4、液体供給機構5、3Dカメラ6、力覚センサ27、及び駆動機構30と通信を行うインタフェースである。入出力IF43として、例えばUSB(Universal Serial Bus)、ATA(Advanced Technology Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、シリアル通信等を用いることができる。
【0038】
<塗布装置の制御方法>
塗布装置1の制御方法について、
図6~8を用いて説明する。
図6は、塗布装置1の制御方法を示すフローチャートである。
図7は、
図6に示す制御方法の回避工程S3を示すフローチャートである。
図8は、
図6に示す制御方法の維持工程S5を示すフローチャートである。
【0039】
移動工程S1は、制御装置40が塗布ロボット2のロボットアーム4を制御する工程である。ステップS1において、プロセッサ41によって塗布作業に関するプログラムが実行されると、制御装置40はロボットアーム4の動作を制御する。制御装置40の制御に従って、塗布ハンド20のワークWに対する位置が予め定められた条件を満たすようにロボットアーム4の動作が調整される。ワークWに対する塗布ハンドの位置は、維持工程S5において、予め定められた条件を維持するように調整される。この維持工程S5については、後で詳述する。
【0040】
塗布工程S2は、制御装置40が液体供給機構5及び塗布ハンド20を制御することにより、ワークWに液体を塗布する工程である。ステップS2において、液体供給機構5は、制御装置40の制御に従って、塗布ハンド20のシリンジ22に液体を供給する。制御装置40は、ディスペンサ21を駆動する。ディスペンサ21が駆動されると、シリンジ22からワークWに向けて液体が吐出される。これにより、ワークWに液体が塗布される。
【0041】
回避工程S3は、制御装置40が駆動機構30の動作を制御して支持体10を駆動する工程である。ステップS3において、制御装置40は、3Dカメラ6から送信された画像データを画像解析する。制御装置40は、画像解析データに基づいて、支持体10を特定の位置に駆動する。
【0042】
図7を用いて、回避工程S3の詳細について説明する。ステップS3において、制御装置40は、3Dカメラ6から取得した画像データを基に画像解析を行う(S6)。次に、制御装置40は、画像解析データを基に支持体10のローラ11がワークWの端部から予め定められた範囲内に位置しているか否かを判定する(S7)。ローラ11がワークWの端部から予め定められた範囲内に位置していない場合(S7でNO)、ステップS9に進む。ローラ11がワークWの端部から予め定められた範囲内に位置している場合(S7でYES)、制御装置40は駆動機構30を駆動させ支持体10を特定の位置に変更させる(S8)。ステップS8において、制御装置40は、回転機構31を駆動させ、支持体10の位置を特定の位置に変更させる。ステップS8により支持体10の位置を変更した後、ステップS9に進む。
【0043】
このように、ワークWの端部を検知した後、制御装置40は回転機構31を駆動する。従って、支持体10のみ回転駆動することができる。そのため、ロボットアーム4の動作の制御の工程を減らすことができる。これにより、作業時間を短縮することができる。
【0044】
次に、制御装置40は、画像解析データを基にローラ11が既に液体が塗布された箇所T(以下、塗布箇所Tと称する)から予め定められた範囲内に位置しているか否かを判定する(S9)。ローラ11が塗布箇所Tから予め定められた範囲内に位置していない場合(S9でNO)、回避工程S3は終了する。ローラ11が塗布箇所Tから予め定められた範囲内に位置している場合(S9でYES)、制御装置40は駆動機構30を駆動させ支持体10を特定の位置に変更させる(S10)。ステップS10において、制御装置40は、上下機構32を駆動させて、支持体10の位置を特定の位置に変更する。ステップS10により支持体10の位置を変更した後、回避工程S3は終了する。
【0045】
このように、ワークTの塗布箇所Tを検知した後、制御装置40は上下機構32を駆動させ、支持体10をワークWから離間させた状態にする。そのため、支持体10のローラ11は塗布箇所Tに接触することがない。また、制御装置40はロボットアーム4の動作の制御を必要としない。これにより、ワークWに液体を塗布する塗布作業を継続しつつ、塗布面が乱れることを防ぐことができる。
【0046】
また、3Dカメラ6からの画像データを用いることで、刻々と変化するワークWの塗布面上の情報を取得することができる。そのため、塗布ハンド20の進行方向において、支持体10にとって障害となる情報(ワークの端部、塗布箇所T)を検知することができ、当該障害を避けることができる。そのため、ワークWに塗布された液体の塗布面が乱れることを防ぐことができる。
【0047】
上述したステップ1~3は、塗布作業に関するプログラムが終了するまで繰り返して行われる。
【0048】
ステップS1~S3と並行して、ステップS4およびステップS5が繰り返して行われている。
【0049】
検出工程S4は、力覚センサ27が支持体10を介してワークWから受ける力およびモーメントを検出する工程である。ステップS4において、力覚センサ27は、支持体10を介してワークWから受ける力およびモーメントを検出する。力覚センサ27が検出した力およびモーメントの値は、入出力IF43を介して制御装置40に入力される。
【0050】
維持工程S5は、塗布ハンド20のワークWに対する位置および角度が予め定められた条件を維持するように、制御装置40がロボットアーム4の動作を制御する工程である。ステップS5において、制御装置40は、ステップ4において検出された力およびモーメントに基づいて、ロボットアーム4の動作を制御する。
【0051】
図8を用いて、維持工程S5の詳細について説明する。
図8に示すように、ステップS5において、制御装置40は、支持体10を介してワークWから受ける垂直抗力の値が予め定められた範囲内であるか否かを判定する(S11)。垂直抗力の値が予め定められた範囲内である場合(S11でYES)、ステップS7に進む。垂直抗力の値が予め定められた範囲内でない場合(S11でNO)、制御装置40は検出される垂直抗力の値が予め定められた範囲内となるようにロボットアーム4の動作を補正する(S12)。制御装置40は、塗布ハンド20をワークWから離間させる方向又はワークWに接近させる方向にロボットアーム4の動作を補正する。ステップS12によりロボットアーム4の動作を補正した後、ステップS7に進む。
【0052】
次に、制御装置40は、支持体10を介してワークWから受ける第1回転モーメントの値が予め定められた範囲内であるか否かを判定する(S13)。第1回転モーメントの値が予め定められた範囲内である場合(S13でYES)、ステップS15に進む。第1回転モーメントの値が予め定められた範囲内でない場合(S7でNO)、制御装置40は検出される第1回転モーメントの値が予め定められた範囲内となるようにロボットアーム4の動作を補正する(S8)。制御装置40は、塗布ハンド20の第1回転モーメント方向の傾きを調整することにより、ロボットアーム4の動作を補正する。ステップS14によりロボットアーム4の動作を補正した後、ステップS15に進む。
【0053】
次に、制御装置40は、支持体10を介してワークWから受ける第2回転モーメントの値が予め定められた範囲内であるか否かを判定する(S15)。第2回転モーメントの値が予め定められた範囲内である場合(S15でYES)、維持工程S5は終了する。第2回転モーメントの値が予め定められた範囲内でない場合(S15でNO)、制御装置40は、検出される第2回転モーメントMXの値が所定の範囲内となるようにロボットアーム4の動作を補正する(S16)。ステップS10によりロボットアーム4の動作を補正した後、維持工程S5は終了する。
【0054】
維持工程S5において、制御装置40は、塗布ハンド20のワークWに対する位置および角度が予め定められた条件を満たすようにロボットアーム4の動作を補正する。そのため、塗布ハンド20のワークWに対する位置および角度が予め定められた範囲内となるように維持される。これにより、ワークWに液体を均一に塗布することができる。また、塗布装置1は、3Dカメラ6と力覚センサ27を備えている。3Dカメラ6によればワークWの端部や塗布箇所Tを検知することができ、力覚センサ27によればワークW上の微細な凹凸を検知することができる。そのため、塗布作業に関するプログラムを作成する際、ティーチングによりワークWの形状に合わせてロボットアーム4の細かな動作プログラムを作成する必要がない。つまり、ティーチングによるロボットアーム4の動作プログラムを容易に作成することができる。これにより、ユーザのティーチング技量の差によるワークWに塗布される液体のムラを少なくすることができる。
【0055】
<塗布装置の支持体の回避方法の流れ>
図9及び
図10を用いて、回避工程S3における塗布装置1の支持体10の回避方法の流れを説明する。
図9及び
図10は、塗布装置1の支持体10の回避方法の流れを示す図である。
【0056】
図9には、塗布箇所Tを回避する支持体10について図示されている。
図9に示すように、塗布作業を行っている際、塗布ハンド20の進行方向においてシリンジ22よりも前方を支持体10が走行している。支持体10が塗布箇所Tに差し掛かると、制御装置40が上下機構32を駆動する。上下機構32の駆動により支持体10はワークWから離間する。塗布ハンド20はプログラムに従ってそのまま走行を続ける。支持体10が塗布箇所Tを通りすぎると、制御装置40は上下機構を駆動させ支持体10をワークWと当接させる。
【0057】
図10は、ワークWの端部を回避する支持体10の動きの流れについて図示されている。
図10の106に示すように、塗布作業を行っている際、塗布ハンド20の進行方向においてシリンジ22よりも前方を支持体10が走行している。
図10の106において、シリンジ22はワークWの位置A´から液体の塗布を開始する。ローラ11は位置B´に位置する。プログラムに従い、シリンジ22はワークWの辺縁に沿って液体をワークWに塗布していく。シリンジ22が位置Aまで移動すると、ローラ11はワークWの端部から予め定められた範囲内である位置Bに到達する。
【0058】
次に
図10の107を用いて説明する。ワークWの端部から予め定められた範囲内である位置B´にローラ11が到達すると、制御装置40は回転機構31を駆動することによりローラ11を特定の位置Bまで移動させる。特定の位置Bは位置B´よりもワークの内側に位置する。この際、シリンジ22はプログラムに従って位置Aに到達するまで塗布作業を継続する。なお、シリンジ22の塗布作業は、支持体10が回転している際は、中断してもよい。
【0059】
次に
図10の108を用いて説明する。シリンジ22が位置A´に到達し、かつローラ11が位置B´に位置すると、制御装置40はロボットアーム4を制御することにより塗布ハンド20の進行方向を変更させる。シリンジ22はA´からAの方向に、ローラ11はB´からBの方向に進む。
【0060】
〔変形例1〕
上述の実施形態の変形例について説明する。本変形例において、制御装置40はユーザにより設定されたティーチングデータに基づいて駆動機構30を駆動する。
【0061】
ユーザは、予め塗布ロボット2のティーチングデータを作成し、当該ティーチングデータを制御装置40のメモリ42に格納する。プロセッサ41が各種プログラムを実行すると、塗布装置1は塗布作業を開始する。
【0062】
制御装置40は、上述した回避工程S3において、メモリ42に格納されたティーチングデータに基づいて、駆動機構30の動作を制御して支持体10を駆動する。制御装置40は、支持体10のローラ11がワークWの端部から予め定められた範囲に位置すると、回転機構31を駆動する。制御装置40は、回転機構31を駆動することにより、ローラ11を特定の位置に変更する。さらに、制御装置40は、ローラ11が塗布箇所Tから予め定められた範囲に位置すると、上下機構32を駆動する。制御装置40は、上下機構32を駆動することにより、ローラ11を特定の位置に変更する。
【0063】
このように、ティーチングデータを用いることにより、3Dカメラを使用せずに特定の条件にしたがって駆動機構30を駆動することができる。これにより、部品点数を削減することができる。また、本変形例における塗布装置1は、力覚センサ27を備えている。ユーザが作成したティーチングデータによればワークWの端部や塗布箇所Tを検知することができ、力覚センサ27によればワークW上の微細な凹凸を検知することができる。そのため、塗布作業に関するプログラムを作成する際、ティーチングにおいてワークWの形状に合わせてロボットアーム4の細かな動作プログラムを作成する必要がない。つまり、ティーチングによるロボットアーム4の動作プログラムを容易に作成することができる。これにより、ユーザのティーチング技量の差によるワークWに塗布される液体のムラを少なくすることができる。
【0064】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、
図11を用いて、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
図11は、本発明の実施形態2に係る塗布装置の塗布ハンド20aを示す図である。本実施形態において、力覚センサ27は支持体10aに設けられている。
【0065】
図11に示すように、ロボットアームの先端に塗布ハンド20aが設けられている。支持体10aは駆動機構30に取り付けられている。支持体10aは、ローラ11aと、第1本体部12aと、第2本体部12bとを有する。ローラ11aは、第1本体部12aのワークW側に設けられている。第1本体部12aと第2本体部12bとは、力覚センサ27を介して接続されている。第2本体部12bのロボットアーム側には駆動機構30の上下機構32が設けられている。
【0066】
第1本体部12aと第2本体部12bとの間に力覚センサ27が設けられている。力覚センサ27の一方側の面が、第1本体部12aのロボットアーム側に取り付けられている。力覚センサ27の他方側の面が、第2本体部12bのワーク側に取り付けられている。力覚センサ27は、第1本体部12aに作用する力およびモーメントを検出する。
【0067】
駆動機構30は、上下機構32と、シリンジ上下機構33とを有する。制御装置40により、上下機構32が駆動すると、支持体10aの第2本体部12bがワークWから離間する方向(Z方向)にスライドする。第2本体部12bがZ方向にスライドすることにより、支持体10aはワークWから離間する駆動する。
【0068】
なお、本実施形態において、更に回転機構を設け、ワークWの塗布面に対して垂直な軸を中心として回転する方向に支持体10aを駆動させてもよい。
【0069】
なお、上述した実施形態において塗布ハンド20に支持体10及び駆動機構30を設けたが、これに限られない。支持体10及び駆動機構30はロボットアーム4の先端側に設けてもよい。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 塗布装置
2 塗布ロボット
3 基台
4 ロボットアーム
5 液体供給機構
6 3Dカメラ
10、10a 支持体
11、11a ローラ
12 本体部
12a 第1本体部
12b 第2本体部
13 突部
20、20a 塗布ハンド
21 ディスペンサ
22 シリンジ
23 接続部材
24 取付部材
27 力覚センサ
30 駆動機構
31 回転機構
32 上下機構
33 シリンジ上下機構
34 駆動機構本体
40 制御装置