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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039353
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】間仕切構造
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/00 20060101AFI20230313BHJP
   E06B 7/18 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
E05D15/00 A
E05D15/00 F
E06B7/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146482
(22)【出願日】2021-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】仲田 敬一
【テーマコード(参考)】
2E036
【Fターム(参考)】
2E036BA01
2E036EA02
2E036FA02
2E036FA08
2E036GA01
2E036HB02
(57)【要約】
【課題】製造コストを抑制することができるとともに、側方閉塞部及び上下閉塞部の組付性を向上させることの可能な、間仕切構造を提供する。
【解決手段】間仕切構造1において、端部パネル4は、パネル本体部41と、パネル本体部41の右側端部に設けられる側方閉塞部5と、パネル本体部41の上端部に設けられる上閉塞部6と、を備え、側方閉塞部5は、パネル本体部41の右側端側に進退することにより隙間を閉塞する側方シール部材5Sと、側方シール部材5Sを進退可能とする側方リンク機構5Lと、を備え、上閉塞部6は、パネル本体部41の上側に進退することにより隙間を閉塞する上シール部材6Sと、上シール部材6Sを進退可能とする上リンク機構6Lと、を備え、側方リンク機構5Lと、上リンク機構6Lとは、側方シール部材5Sを介して連係される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられるレールと、前記レールに吊支されるとともに前記レールに沿って移動可能とされるパネル部材と、を備え、
前記パネル部材は、パネル本体部と、前記パネル本体部の一方の側端部に設けられる側方閉塞部と、前記パネル本体部の上端部、及び/又は、下端部に設けられる上下閉塞部と、を備え、
前記側方閉塞部は、前記パネル本体部の一方の側端側に進退することにより隙間を閉塞する側方シール部材と、前記側方シール部材を進退可能とする側方リンク機構と、を備え、
前記上下閉塞部は、前記パネル本体部の上側、及び/又は、下側に進退することにより隙間を閉塞する上下シール部材と、前記上下シール部材を進退可能とする上下リンク機構と、を備え、
前記側方リンク機構と、前記上下リンク機構とは、前記側方シール部材を介して連係される、間仕切構造。
【請求項2】
前記上下シール部材は、前記側方シール部材の進退動作に伴って進退可能とされる、請求項1に記載の間仕切構造。
【請求項3】
前記上下シール部材の進出動作は、前記側方シール部材の進出動作の途中で開始される、請求項2に記載の間仕切構造。
【請求項4】
前記側方リンク機構及び前記上下リンク機構は、それぞれ一体的に構成される、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の間仕切構造。
【請求項5】
前記側方シール部材の進退に伴って前記パネル本体部の一方の側端側に進退するとともに、前記上下シール部材の進退に伴って前記パネル本体部の上側、及び/又は、下側に進退する、コーナーシール部材を備える、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の間仕切構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、パネル本体部と、パネル本体部の側端側を閉塞する側方閉塞部と、パネル本体部の上下側を閉塞する上下閉塞部と、を備える、間仕切構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パネル本体部の側端側を閉塞する側方閉塞部と、パネル本体部の上下側を閉塞する上下閉塞部とを、パネル本体部の内部に収容したリンク機構で連結する構成が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-3402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の間仕切構造によれば、パネルの上下寸法が異なる場合はリンク機構の長さを変更する必要が生じるため、製造コスト増の原因となっていた。また、側方閉塞部と上下閉塞部とを、パネル本体部の内部に収容されたリンク機構で連結する必要があるため、組付性が悪かった。そこで、本開示は、上記に関する課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る間仕切構造は、天井に設けられるレールと、前記レールに吊支されるとともに前記レールに沿って移動可能とされるパネル部材と、を備え、前記パネル部材は、パネル本体部と、前記パネル本体部の一方の側端部に設けられる側方閉塞部と、前記パネル本体部の上端部、及び/又は、下端部に設けられる上下閉塞部と、を備え、前記側方閉塞部は、前記パネル本体部の一方の側端側に進退することにより隙間を閉塞する側方シール部材と、前記側方シール部材を進退可能とする側方リンク機構と、を備え、前記上下閉塞部は、前記パネル本体部の上側、及び/又は、下側に進退することにより隙間を閉塞する上下シール部材と、前記上下シール部材を進退可能とする上下リンク機構と、を備え、前記側方リンク機構と、前記上下リンク機構とは、前記側方シール部材を介して連係される。
【0006】
上記第1観点に係る間仕切構造によれば、側方リンク機構と上下リンク機構とを側方シール部材を介して連係することにより、側方閉塞部と上下閉塞部とをリンク機構で連係する必要がない。このため、パネル部材の上下寸法が異なる場合であっても、リンク機構の長さを変更する必要がなく、製造コストを抑制することが可能となる。また、側方閉塞部と上下閉塞部とを側方シール部材を介して連係することにより、側方閉塞部及び上下閉塞部の組付性を向上させることが可能となる。
【0007】
上記第1観点に係る間仕切構造において、上下閉塞部はパネル本体部の上端部と下端部とのうち何れか一方に設ける構成とすることも、両方に設ける構成とすることも可能である。
【0008】
本発明の第2観点に係る間仕切構造は、第1観点に係る間仕切構造であって、前記上下シール部材は、前記側方シール部材の進退動作に伴って進退可能とされる。
【0009】
上記第2観点に係る間仕切構造によれば、側方シール部材の進退を操作することにより、上下シール部材を進退させることが可能となる。
【0010】
本発明の第3観点に係る間仕切構造は、第2観点に係る間仕切構造であって、前記上下シール部材の進出動作は、前記側方シール部材の進出動作の途中で開始される。
【0011】
上記第3観点に係る間仕切構造によれば、上下シール部材の進出動作の前に側方シール部材の進出動作を開始することが可能となる。
【0012】
本発明の第4観点に係る間仕切構造は、第1観点から第3観点の何れか一に係る間仕切構造であって、前記側方リンク機構及び前記上下リンク機構は、それぞれ一体的に構成される。
【0013】
上記第4観点に係る間仕切構造によれば、側方閉塞部及び上下閉塞部の組付性を向上させることが可能となる。
【0014】
本発明の第5観点に係る間仕切構造は、第1観点から第4観点の何れか一に係る間仕切構造であって、前記側方シール部材の進退に伴って前記パネル本体部の一方の側端側に進退するとともに、前記上下シール部材の進退に伴って前記パネル本体部の上側、及び/又は、下側に進退する、コーナーシール部材を備える。
【0015】
上記第5観点に係る間仕切構造によれば、側方シール部材と上下シール部材との隙間に形成される角部をコーナーシール部材で閉塞することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上における本発明に係る間仕切構造は、以下に示す効果を奏する。
【0017】
第1観点に係る間仕切構造によれば、製造コストを抑制することができるとともに、側方閉塞部及び上下閉塞部の組付性を向上させることができる。
【0018】
第2観点に係る間仕切構造によれば、操作性を向上させることができる。
【0019】
第3観点に係る間仕切構造によれば、シール機能を向上させることができる。
【0020】
第4観点に係る間仕切構造によれば、側方閉塞部及び上下閉塞部の組付性を向上させることができる。
【0021】
第5観点に係る間仕切構造によれば、側方シール部材と上下シール部材との隙間に形成される角部をコーナーシール部材で閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】間仕切構造における端部パネルの閉塞状態を示した斜視図。
図2】間仕切構造における端部パネルの開放状態を示した斜視図。
図3】開放状態における端部パネルの内部構造を示した正面図。
図4】側方リンク機構の構成を示した正面図。
図5】開放状態における上リンク機構を示した正面図。
図6】上コーナー閉塞部の組付構成を示した正面図。
図7】閉塞開始状態における端部パネルの内部構造を示した正面図。
図8】閉塞開始状態における上リンク機構を示した正面図。
図9】上下閉塞状態における端部パネルの内部構造を示した正面図。
図10】上下閉塞状態における上リンク機構を示した正面図。
図11】側方閉塞状態における端部パネルの内部構造を示した正面図。
図12】側方閉塞状態における上リンク機構を示した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[間仕切構造1]
以下では図1及び図2を用いて、本発明の一実施形態に係る間仕切構造1の概略構成について説明する。本実施形態に係る間仕切構造1はレール2が設けられた天井、床面F、壁体Wによって形成された開口を閉塞可能に構成される。間仕切構造1は、例えば、オフィス、学校、病院、店舗等の空間を区切るために用いられる。本明細書においては、図1及び図2における右下側を間仕切構造1の前方とし、図1及び図2における左下側を間仕切構造1の左側方として説明する。
【0024】
本実施形態に係る間仕切構造1は、レール2と、レール2に吊支されるとともにレール2に沿って移動可能とされるパネル部材(複数枚の連続パネル3・3・・・、及び、一枚の端部パネル4)と、を備える。複数の連続パネル3・3・・・と端部パネル4とは、互いの側端部が当接されて連結可能とされる。また、複数の連続パネル3・3・・・と端部パネル4とは、互いの連結を解除した場合は、レール2に沿って右側方に順次移動することにより、厚さ方向に重ねて収容可能とされる。
【0025】
図3に示す如く、端部パネル4は、パネル本体部41、側方閉塞部5、上閉塞部6、下閉塞部7、上コーナー閉塞部8、及び、下コーナー閉塞部9を備える。側方閉塞部5は、パネル本体部41の右側端部に設けられる。上閉塞部6及び下閉塞部7はそれぞれ、本発明に係る上下閉塞部の一実施態様として、パネル本体部41の上端部及び下端部に設けられる。
【0026】
上コーナー閉塞部8は本発明に係るコーナーシール部材の一実施態様として、側方閉塞部5の上側かつ上閉塞部6の右側を閉塞可能に設けられる。下コーナー閉塞部9は本発明に係るコーナーシール部材の一実施態様として、側方閉塞部5の下側かつ下閉塞部7の右側を閉塞可能に設けられる。
【0027】
本実施形態に係る間仕切構造1において、端部パネル4のパネル本体部41からは、側方閉塞部5、上閉塞部6、下閉塞部7、上コーナー閉塞部8、及び、下コーナー閉塞部9が側方及び上下方向のそれぞれに進退可能とされている(図3から図12を参照)。そして、それぞれの閉塞部5~9が延出されることによりパネル本体部41の周囲を閉塞すると、間仕切構造1において端部パネル4は図1に示す如く閉塞状態となる。一方、それぞれの閉塞部5~9が退避することによりパネル本体部41の周囲を開放すると、間仕切構造1において端部パネル4は図2に示す如く開放状態となる。
【0028】
間仕切構造1において、それぞれの連続パネル3の上側及び下側は図示しない閉塞部材によって閉塞可能とされる。このように、連続パネル3の上下側が閉塞部材で閉塞されるとともに、図1に示す如く端部パネル4が閉塞状態とされることにより、天井、床面F、壁体Wによって形成された開口が間仕切構造1により閉塞される。
【0029】
[側方閉塞部5]
図3及び図4に示す如く、本実施形態に係る間仕切構造1において、側方閉塞部5は側方シール部材5Sと側方リンク機構5Lとを備える。側方シール部材5Sはパネル本体部41の右側端側に進退することにより端部パネル4の右側の隙間を閉塞する。側方リンク機構5Lは間仕切構造1の使用者により操作されて、側方シール部材5Sを進退可能とする。
【0030】
側方リンク機構5Lは図4に示す如く、パネル本体部41の内部において、側方リンクベース50、ガイド部材51、操作部材52、第一リンク部材53・53、第二リンク部材54・54、側方ばね55・55、支持リンク部材56・56、及び、回転リンク部材57・57等の各部材が上下方向に対称形状に配置され、一体的に組み合わされたユニットとして設けられる。
【0031】
側方リンクベース50は、上下方向に長手方向を有する板状部材であり、パネル本体部41の右側端部における内面に固定される。側方リンク機構5Lは側方リンクベース50を介してパネル本体部41に一体的に固定される。側方リンクベース50の上下方向中央部には板状のガイド部材51が固定される。ガイド部材51には半円溝形状のガイド孔51aが形成されている。
【0032】
ガイド部材51には操作部材52の中央部が回転可能に取付けられる。操作部材52の中央部には操作孔52aが開口されている。操作部材52は、操作孔52aがパネル本体部41に開口された操作穴4a(図1及び図2を参照)と同じ位置となるように配置される。間仕切構造1の使用者は、図示しないハンドルの端部を、操作穴4aを介して操作孔52aに挿入する。そして、使用者がハンドルを回転させることにより操作部材52を回転操作する。
【0033】
操作部材52の背面にはガイド突起52bが形成されており、操作部材52をガイド部材51に組付けた際に、ガイド突起52bはガイド孔51aに挿入される。これにより、操作部材52はガイド部材51における回転角度が時計回りに0度~約180度の範囲内で規制される(図3及び図11を参照)。本実施形態においては、図3に示す初期の状態(端部パネル4の開放状態)を「操作部材52の回転角度が0度の状態」として説明する。
【0034】
操作部材52の両端部には、それぞれ第一リンク部材53・53の基端部(上側の第一リンク部材53の下端部、及び、下側の第一リンク部材53の上端部)が回転可能に連結される。第一リンク部材53は中途部が屈曲して形成されている。
【0035】
第一リンク部材53・53の先端部は、それぞれ第二リンク部材54・54の基端部(上側の第二リンク部材54の下端部、及び、下側の第二リンク部材54の上端部)に、相対回転可能に連結される。図4に示す如く、第一リンク部材53と第二リンク部材54との連結部を第一連結部P1とする。第一連結部P1は、第二リンク部材54の長手方向に沿ってスライド可能とされる。第二リンク部材54は側方リンクベース50に沿って上下方向にスライド可能に設けられる。
【0036】
第二リンク部材54・54の先端部は、それぞれ回転リンク部材57・57の基端部(上側の回転リンク部材57の下端部、及び、下側の回転リンク部材57の上端部)に、相対回転可能に連結される。図4に示す如く、第二リンク部材54と回転リンク部材57との連結部を第二連結部P2とする。第二連結部P2は第二リンク部材54の長手方向に沿ってスライド可能とされる。回転リンク部材57・57におけるそれぞれの中途部は、側方リンクベース50の上下両端部と、支持リンク部材56・56により連結されている。
【0037】
図4に示す如く、第一連結部P1と第二連結部P2の間には、圧縮ばねである側方ばね55が介挿される。側方ばね55は、図3に示す如く操作部材52の回転角度が0度の状態において自然状態となるように配置されている。一方、図4等に示す如く操作部材52の回転角度が大きくなると、側方ばね55が上下方向に圧縮される。これにより、側方ばね55は第一連結部P1と第二連結部P2とに対して、第一連結部P1と第二連結部P2とが互いに離間する方向に付勢する。
【0038】
側方シール部材5Sは、側方リンク機構5Lにおける回転リンク部材57・57の先端部に設けられる。具体的に、側方シール部材5Sは、側方パネル5Pの内部に設けられる側方シール枠58と、側方パネル5Pの右端部に設けられる側方シール部59と、が一体的に組み合わされて構成される。側方シール部59は端部パネル4の閉塞状態において壁体Wに当接する。そして、側方シール枠58に回転リンク部材57・57の先端部が回転可能に連結されることにより、側方リンク機構5Lに側方シール部材5Sが組付けられる。
【0039】
上記の如く構成された側方リンク機構5Lにおいは、図4中の矢印Rに示す如く、使用者がハンドルを用いて操作部材52を時計回りに約180度回転操作すると、第一リンク部材53・53がそれぞれの先端側に向かって(互いに離間する方向に)変位する。これにより、第二リンク部材54・54が互いに離間する方向にスライド変位し、回転リンク部材57・57の基端部がそれぞれ側方リンクベース50の上下端部方向に変位する。このため、図7図9、及び図11に示す如く、回転リンク部材57・57は側方リンクベース50からの角度が大きくなる方向に回転変位し、回転リンク部材57・57の先端部は側方リンクベース50から離間する右側方に変位する。
【0040】
回転リンク部材57・57の先端部が右側方に変位することにより、側方シール部材5Sが右側方に向かって延出される。これにより、側方シール部59が壁体Wに当接し、端部パネル4の右側の隙間が側方閉塞部5により閉塞される。この際、側方シール部59は壁体Wから左側方に向かって反力を受ける。このため、回転リンク部材57・57の先端部は左側方に押し返され、回転リンク部材57・57は側方リンクベース50からの角度が小さくなる方向に回転変位し、側方ばね55・55が圧縮される。
【0041】
一方、使用者がハンドルを用いて操作部材52を反時計回りに回転操作すると、第一リンク部材53・53が互いに近接する方向に変位する。これにより、第二リンク部材54・54を介して回転リンク部材57・57が側方リンクベース50からの角度が小さくなる方向に回転変位し、回転リンク部材57・57の先端部は側方リンクベース50に近接する左側方に変位する。即ち、側方シール部材5Sが左側方に向かって退避するため、側方シール部59が壁体Wから離間し、端部パネル4の右側の隙間が開放される。
【0042】
端部パネル4の右側が側方閉塞部5により閉塞された状態においては、図11に示す如く第一リンク部材53・53は側方ばね55・55により互いに近接する方向に付勢される。この際、操作部材52は、操作部材52と第一リンク部材53・53との連結部が操作部材52の回転中心を越える(支点越えをする)位置まで回転している。このため、操作部材52には、側方ばね55・55の付勢力により、第一リンク部材53・53を介して回転角度が大きくなる方向(時計回り方向)に力が加わる。即ち、操作部材52が元の回転角度0度の状態に自然に戻ることはないため、側方閉塞部5による閉塞状態は維持される。
【0043】
[上閉塞部6]
図3図5及び図6に示す如く、本実施形態に係る間仕切構造1において、上閉塞部6は上シール部材6Sと上リンク機構6Lとを備える。上シール部材6Sはパネル本体部41の上方に進退することにより端部パネル4の上側の隙間を閉塞する。上リンク機構6Lは側方シール部材5Sの進退に伴って上シール部材6Sを進退可能とする。なお、下閉塞部7(下シール部材7S及び下リンク機構7L)は、以下に説明する上閉塞部6と同様に構成されるため、下閉塞部7については詳細な説明を省略する。
【0044】
上リンク機構6Lは図5及び図6に示す如く、パネル本体部41の内部において、上リンクベース60、回転リンク部材61・61、ローラ支持部材62、ガイドローラ63、スライドリンク部材64・64、上ばね65・65、及び、上シール連結部材66等の各部材が左右方向に対称形状に配置され、一体的に組み合わされたユニットとして設けられる。
【0045】
上リンクベース60はパネル本体部41の上端部における内面に固定される板状部材であり、上リンク機構6Lは上リンクベース60を介してパネル本体部41に一体的に固定される。上リンクベース60の下端部には前方に折り曲げられた支持片60aが形成される。また、上リンクベース60の左右方向中央部には上下方向に沿って第一ガイド孔60bが開口され、第一ガイド孔60bの下方には上下方向に沿って第二ガイド孔60cが開口されている。
【0046】
上リンクベース60には板状の回転リンク部材61・61が左右対称に設けられる。それぞれの回転リンク部材61・61は、中途部に設けられた回転軸61aで上リンクベース60に回転可能に支持される。それぞれの回転リンク部材61・61の内側端部には、長手方向に沿って長孔61bが開口されている。図5に示す如く、回転リンク部材61・61の互いの長孔61b・61bは重なるように配置される。
【0047】
回転リンク部材61・61には、上下方向に長手方向を有するローラ支持部材62が連係される。ローラ支持部材62の上端部にはピン62aが形成され、ピン62aは回転リンク部材61・61の長孔61b・61b及び上リンクベース60の第一ガイド孔60bに挿通される。これにより、ローラ支持部材62は上リンクベース60に対して上下方向にスライド変位可能とされる。
【0048】
ローラ支持部材62の下端部にはガイドローラ63が回動可能に設けられる。ガイドローラ63のローラ支持軸63aは上リンクベース60の第二ガイド孔60cに挿通される。これにより、ガイドローラ63はローラ支持部材62とともに上リンクベース60に対して上下方向にスライド変位可能とされる。
【0049】
それぞれの回転リンク部材61・61の外側端部には、スライドリンク部材64・64の下端部が回転リンク部材61・61と相対回転可能かつ回転リンク部材61・61の長手方向にスライド変位可能に連結される。スライドリンク部材64・64に開口された長孔には上リンクベース60に固定されたピンである第三連結部P3が挿入されている。これにより、スライドリンク部材64・64は上リンクベース60に対して上下方向にスライド変位可能とされる。
【0050】
スライドリンク部材64・64の上端部には、上シール連結部材66が第四連結部P4を介して連結される。上シール連結部材66の上面には上コーナー支持部66aが設けられている。
【0051】
本実施形態においては図5に示す如く、第三連結部P3と第四連結部P4の間には、圧縮ばねである上ばね65・65が介挿される。上ばね65は常に上下方向に圧縮されているため、上ばね65は第三連結部P3と第四連結部P4とに対して、第三連結部P3と第四連結部P4とが互いに離間する方向に付勢する。
【0052】
スライドリンク部材64・64は、上ばね65・65により上方に向けた付勢力を受けて変位する。これにより、回転リンク部材61・61は内側端部が下方に向かう方向に回転変位し、ローラ支持部材62とガイドローラ63には、常に下方に向かう力が加えられる。
【0053】
上シール部材6Sは、上リンク機構6Lにおける上シール連結部材66に連結される。具体的に、上シール部材6Sは、上シール連結部材66に連結される上シール支持部材67、上シール支持部材67の左端面に設けられる左端部材68、及び、上シール支持部材67の上端面に設けられる上シール部69、が一体的に組み合わされて構成される。上シール部69は端部パネル4の閉塞状態においてレール2に当接する。
【0054】
上リンク機構6Lにおける上シール連結部材66が上方に変位することにより、上シール部材6Sが上方に向かって延出される。これにより、上シール部69がレール2に当接し、端部パネル4の上側の隙間が上閉塞部6により閉塞される。この際、上シール部69はレール2から下方に向かって反力を受ける。これにより、上シール連結部材66は下方に押し返されるため、上ばね65・65が圧縮される。
【0055】
本実施形態に係る間仕切構造1において、側方閉塞部5の側方リンク機構5Lと、上閉塞部6の上リンク機構6Lとは、側方シール部材5Sを介して連係される。具体的には図5及び図6に示す如く、側方シール部材5Sの側方シール枠58の上部には、左側方に突出する支持部材58aが設けられる。支持部材58aには、左側方に延出されるスライド部材58bが回動可能に連結される。
【0056】
スライド部材58bは上リンクベース60の支持片60aに載置され、支持片60aに沿って左右方向にスライド可能とされる。スライド部材58bの左側端部には当接部材58cが固定される。当接部材58cには、上端部に形成された水平面として第一当接面58dが形成される。第一当接面58dの左側には、左側方に向かうに従って下方に傾斜する傾斜面として第二当接面58eが形成される。第二当接面58eの左側には、当接部材58cの下端部に形成された水平面として第三当接面58fが形成される。
【0057】
本実施形態においては図5に示す如く、当接部材58cが、上リンク機構6Lにおける支持片60aとガイドローラ63との間に挿入される。これにより、ガイドローラ63は当接部材58cの第一当接面58dに当接した状態で上方に持ち上げられ、ガイドローラ63及びローラ支持部材62は上方に変位する。これにより、回転リンク部材61・61は外側端部が下方に向かう方向に回転変位し、スライドリンク部材64・64は上ばね65・65から受ける付勢力に抗して下方に変位する。即ち、上リンク機構6Lにおける上シール連結部材66が下方に変位することにより、上シール部材6Sが端部パネル4のパネル本体部41の内側に退避する。
【0058】
本実施形態に係る間仕切構造1において、使用者がハンドルを用いて操作部材52を時計回りに回転操作し、側方シール部材5Sが右側方に向かって延出されると、当接部材58cは右側方に向かって順に変位する(図8図10、及び図12を参照)。これにより、ガイドローラ63は当接部材58cの第二当接面58eに当接するため、当接部材58cの右方向への変位に伴って下方に変位する。これにより、回転リンク部材61・61は内側端部が下方に向かう方向に回転変位し、スライドリンク部材64・64は上ばね65・65から受ける付勢力によって上方に変位する。
【0059】
即ち、上リンク機構6Lにおける上シール連結部材66が上方に変位することにより、上シール部材6Sが上方に向かって延出される。これにより、上シール部69がレール2に当接し、端部パネル4の上側の隙間が上閉塞部6により閉塞される。
【0060】
一方、使用者がハンドルを用いて操作部材52を反時計回りに回転操作すると、上リンク機構6Lにおける上シール連結部材66が下方に変位する。即ち、上シール部材6Sが下方に向かって退避するため、上シール部69がレール2から離間し、端部パネル4の上側の隙間が開放される。
【0061】
[上コーナー閉塞部8]
図5及び図6に示す如く、本実施形態に係る間仕切構造1は、コーナーシール部材の一実施態様である上コーナー閉塞部8を備える。上コーナー閉塞部8は、側方閉塞部5の上側かつ上閉塞部6の右側を閉塞する部材であり、側方シール部材5Sと上シール部材6Sとに組付けられる。なお、側方閉塞部5の下側かつ下閉塞部7の右側を閉塞する部材であり、コーナーシール部材の一実施態様である下コーナー閉塞部9は、以下に説明する上コーナー閉塞部8と同様に構成されるため詳細な説明を省略する。
【0062】
図5及び図6に示す如く、上コーナー閉塞部8は、上コーナーベース80、ローラ支持部82、ローラ83、上緩衝部84、及び、側方緩衝部85の各部材が一体的に組み合わされたユニットとして設けられる。
【0063】
上コーナーベース80は上コーナー閉塞部8の本体部を構成する板状の部材である。上コーナーベース80の上部は水平に折り曲げられて載置片81が形成される。また、上コーナーベース80の右端部には、下方に延出されるローラ支持部82が設けられる。ローラ支持部82には二個のローラ83が回転可能に設けられる。上コーナーベース80の上面にはレール2に当接する上緩衝部84が設けられる。また、上コーナーベース80の右側面には壁体Wに当接する側方緩衝部85が設けられる。
【0064】
図5に示す如く、上コーナーベース80は上シール部材6Sにおける上シール支持部材67の内部に挿入され、載置片81が上コーナー支持部66aの上面に載置されることにより左右方向にスライド可能とされる。また、ローラ支持部82及びローラ83は側方シール部材5Sにおける側方シール枠58の内部に挿入され、側方シール枠58の内部で上下方向に変位可能とされる。
【0065】
上コーナー閉塞部8は、上記の如く側方シール部材5Sと上シール部材6Sとに対して、それぞれのシール部材5S・6Sの進退方向と直交する方向に相対的に変位可能とされる。これにより、上コーナー閉塞部8は、側方シール部材5Sの進退に伴ってパネル本体部41の右側端側に進退するとともに、上シール部材6Sの進退に伴ってパネル本体部41の上側に進退する。
【0066】
図12に示す如く、側方シール部59が壁体Wに当接し、端部パネル4の右側の隙間が側方閉塞部5により閉塞された状態において、上コーナー閉塞部8は側方緩衝部85が壁体Wに当接する。また、上シール部69がレール2に当接し、端部パネル4の上側の隙間が上閉塞部6により閉塞された状態において、上コーナー閉塞部8は上緩衝部84がレール2に当接する。このように、端部パネル4の閉塞状態において、上コーナー閉塞部8は側方閉塞部5の上側かつ上閉塞部6の右側を閉塞する。
【0067】
上記の如く、本実施形態に係る間仕切構造1によれば、側方閉塞部5における側方リンク機構5Lと、上閉塞部6における上リンク機構6Lとは、側方シール部材5Sを介して連係されている。これにより、側方リンク機構5Lと上リンク機構6Lとを接続するためのリンク機構を設ける必要がなくなるため、端部パネル4の上下寸法が異なる場合でも、共通の側方リンク機構5L及び上リンク機構6Lを用いることができる。即ち、端部パネル4の長さ寸法ごとにリンク機構を製造する必要がないため、間仕切構造1の製造コストを抑制することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態に係る間仕切構造1によれば、側方リンク機構5Lと上リンク機構6Lとを、パネル本体部41から進退する側方シール部材5Sで連係する構成とすることにより、側方リンク機構5Lと上リンク機構6Lとを連係するリンク機構をパネル本体部41の内部に収容する構成と比較して、組付性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態に係る間仕切構造1において、側方リンク機構5Lと上リンク機構6Lとを側方シール部材5Sで連係することにより、上シール部材6Sが側方シール部材5Sの進退動作に伴って進退可能とされている。これにより、間仕切構造1の使用者は側方シール部材5Sの進退を操作することにより、上シール部材6Sを進退させることが可能となる。即ち、上シール部材6Sを側方シール部材5Sと同時に進退動作させることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る間仕切構造1において、上シール部材6Sの進出動作は、側方シール部材5Sの進出動作の途中で開始される。具体的には図5及び図8に示す如く、側方シール部材5Sが右側方に向かって延出されて当接部材58cが右側方に向かって変位した場合でも、ガイドローラ63はしばらく第一当接面58dに当接し続けるため、上シール部材6Sは下方での退避状態を継続する。そして、側方シール部材5Sの右側方への進出動作の途中で、ガイドローラ63が第二当接面58eに当接し、上シール部材6Sが上方に向かって延出される。このように、間仕切構造1によれば、上シール部材6Sの進出動作の前に側方シール部材5Sの進出動作を開始することを可能としている。
【0071】
また、本実施形態に係る間仕切構造1において、側方リンク機構5L及び上リンク機構6Lは、それぞれ一体的に組み合わされたユニットとして設けられている。これにより、側方閉塞部5及び上閉塞部6を構成する際の工数を低減させることができるため、端部パネル4における側方閉塞部5及び上閉塞部6の組付性を向上させることが可能となる。また、側方リンク機構5L及び上リンク機構6Lをユニット単位で在庫することができるため、在庫管理が容易になるとともにリードタイムを短縮することが可能となる。
【0072】
また、本実施形態に係る間仕切構造1は、側方シール部材5Sの進退に伴ってパネル本体部41の右側端側に進退するとともに、上シール部材6Sの進退に伴ってパネル本体部41の上側に進退するコーナーシール部材として、上コーナー閉塞部8を備える。これにより、側方シール部材5Sと上シール部材6Sとの隙間に形成される角部を上コーナー閉塞部8で閉塞することを可能としている。
【0073】
[変形例]
上記の実施形態は、以下に示す変形例に示すように適宜変形が可能である。なお、本明細書に記載する各変形例は、矛盾が生じない範囲で他の変形例と組み合わせて適用されてもよい。
【0074】
本発明に係る間仕切構造において、上下閉塞部(上記実施形態における上閉塞部6及び下閉塞部7)は、本実施形態の如くパネル本体部41の上端部と下端部との両方に設ける構成とすることも、パネル本体部の上端部と下端部とのうち何れか一方に設ける構成とすることも可能である。
【0075】
また、側方シール部材が上下シール部材の進退動作に伴って進退する構成とすることも可能である。この場合、側方シール部材の進出動作が、上下シール部材の進出動作の途中で開始される構成とすることもできる。
【0076】
また、側方リンク機構及び上下リンク機構を一体的に組み合わされたユニットとせず、いくつかの部品を作業現場で組付ける構成とすることも可能である。また、間仕切構造において、側方シール部材と上下シール部材との隙間に形成される角部を閉塞するコーナーシール部材を設けない構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1 間仕切構造 2 レール
3 連続パネル 4 端部パネル(パネル部材)
4a 操作穴 5 側方閉塞部
5L 側方リンク機構 5S 側方シール部材
5P 側方パネル
6 上閉塞部(上下閉塞部)
6L 上リンク機構 6S 上シール部材
7 下閉塞部(上下閉塞部)
7L 下リンク機構
7S 下シール部材
8 上コーナー閉塞部(コーナーシール部材)
9 下コーナー閉塞部(コーナーシール部材)
41 パネル本体部
50 側方リンクベース 51 ガイド部材
51a ガイド孔 52 操作部材
52a 操作孔 52b ガイド突起
53 第一リンク部材 54 第二リンク部材
55 側方ばね 56 支持リンク部材
57 回転リンク部材 58 側方シール枠
58a 支持部材 58b スライド部材
58c 当接部材 58d 第一当接面
58e 第二当接面 58f 第三当接面
59 側方シール部
60 上リンクベース 60a 支持片
60b 第一ガイド孔 60c 第二ガイド孔
61 回転リンク部材 61a 回転軸
61b 長孔 62 ローラ支持部材
62a ピン 63 ガイドローラ
63a ローラ支持軸 64 スライドリンク部材
65 上ばね 66 上シール連結部材
66a 上コーナー支持部 67 上シール支持部材
68 左端部材 69 上シール部
80 上コーナーベース 81 載置片
82 ローラ支持部 83 ローラ
84 上緩衝部 85 側方緩衝部
F 床面 W 壁体
P 連結部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12