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特開2023-39357出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039357
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01C 21/00 20060101AFI20230313BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20230313BHJP
   G01C 5/00 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
E01C21/00
G01C15/00 103A
G01C5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146487
(22)【出願日】2021-09-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)証明書の別紙1に記載の各日に、証明書の別紙1に記載の各取引先にて公開 (2)令和3年5月12日に、東亜道路工業(株)岩本様にメールにて公開 (3)令和3年8月10日に、日東道路(株)下川重光社長にZOOMにて公開
(71)【出願人】
【識別番号】516225913
【氏名又は名称】株式会社エムアールサポート
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】草木 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】森 誉光
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA32
2D053AA36
2D053FA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の厚さの出来形管理を適正に行う出来形管理方法を提供する。
【解決手段】第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより第1層表面上にある各点の現況位置を計測する第1計測ステップと、第1層の設計面データと第1層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出ステップと、第1層の上方に第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより第2層表面上にある各点の現況位置を計測する第2計測ステップと、第2層の設計面データと第2層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出ステップと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理する出来形管理方法であって、
前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを取得する設計データ取得ステップと、
前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより前記第1層表面上にある各点の現況位置を計測する第1計測ステップと、
前記設計データ取得ステップにより取得された前記第1層の設計面データと前記第1計測ステップにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出ステップと、
前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより前記第2層表面上にある各点の現況位置を計測する第2計測ステップと、
前記設計データ取得ステップにより取得された前記第2層の設計面データと前記第2計測ステップにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出ステップと、
前記第1算出ステップにより算出された第1標高差と前記第2算出ステップにより算出された第2標高差と前記設計データ取得ステップにより取得された前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出ステップとを備えることを特徴とする出来形管理方法。
【請求項2】
前記第1計測ステップにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出ステップと
前記第2計測ステップにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出ステップとを備えることを特徴とする請求項1に記載の出来形管理方法。
【請求項3】
前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示ステップと、
トータルステーションにより前記起点/終点の現況位置を計測する第3計測ステップとを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の出来形管理方法。
【請求項4】
第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理する出来形管理装置であって、
前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを記憶する設計データ記憶手段と、
前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置を記憶する第1位置データ記憶手段と、
前記設計データ記憶手段に記憶された前記第1層の設計面データと前記第1位置データ記憶手段に記憶された現況位置とに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出手段と、
前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置を記憶する第2位置データ記憶手段と、
前記設計データ記憶手段に記憶された前記第2層の設計面データと前記第2位置データ記憶手段に記憶された現況位置とに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出手段と、
前記第1算出手段により算出された第1標高差と前記第2算出手段により算出された第2標高差と前記設計データ記憶手段に記憶された前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出手段とを備えることを特徴とする出来形管理装置。
【請求項5】
前記第1位置データ記憶手段に記憶された前記第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出手段と、
前記第2位置データ記憶手段に記憶された前記第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載の出来形管理装置。
【請求項6】
前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御手段と、
トータルステーションにより計測された前記起点/終点の現況位置を記憶する第3位置データ記憶手段と、
前記第3位置データ記憶手段に記憶された前記起点/終点の現況位置に基づいて、前記起点/終点に前記第2層が敷設されていることを示す情報を表示する情報表示手段とを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の出来形管理装置。
【請求項7】
第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理するための出来形管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを受け付ける設計データ受付手段、
前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第1位置データ受付手段、
前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第1層の設計面データと前記第1位置データ受付手段により受け付けられた前記第1層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出手段、
前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第2位置データ受付手段、
前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第2層の設計面データと前記第2位置データ受付手段により受け付けられた前記第2層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出手段、
前記第1算出手段により算出された第1標高差と前記第2算出手段により算出された第2標高差と前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出手段として機能させることを特徴とする出来形管理プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、さらに、
前記第1位置データ受付手段により受け付けられた前記第1層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出手段、
前記第2位置データ受付手段により受け付けられた前記第2層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出手段として機能させることを特徴とする請求項7に記載の出来形管理プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、さらに、
前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御手段、
前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記起点/終点の現況位置データを受け付ける第3位置データ受付手段、
前記第3位置データ受付手段により受け付けられた前記起点/終点の現況位置データに基づいて、前記起点/終点に前記第2層が敷設されていることを示す情報を表示する情報表示手段として機能させることを特徴とする請求項7または8に記載の出来形管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、道路の舗装修繕工事を行ったときの出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、道路の表層を構成するアスファルト舗装の表面にひび割れ(クラック)などの損傷が発生した場合、道路の舗装修繕工事が行われる。アスファルト道路の舗装修繕工事として、例えば所定深さまで切削することにより切削層を形成し、切削層の上面に基層を敷設して、基層の上面に表層を敷設して構成される場合がある。切削オーバーレイ工またはオーバーレイ工などの舗装修繕工事を行った場合、基層及び表層についての厚さ、幅、延長(長さ)の出来形管理を行う必要がある。
【0003】
基層及び表層の厚さの出来形管理を行う方法として、従来、道路上に張設された水糸を利用する方法が一般的である(例えば特許文献1参照)。この方法では、切削された範囲の上方に水糸を張設し、この水糸から切削面や基層までの距離(下がり量)を計測し、その計測された下がり量に基づいて基層厚さの出来形管理が行われる。なお、表層厚さの出来形管理も同様に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-84521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の各層厚さの出来形管理方法では、水糸の設置及び移設、下がり量の計測など作業量が多く、非常に煩雑な作業である。また、水糸を使用する場合、水糸の弛みによる誤差や下がり量の目測に伴う誤差により精度が非常に低い。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、作業量が少なく且つ精度が高い出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る出来形管理方法は、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理する出来形管理方法であって、前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを取得する設計データ取得ステップと、前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより前記第1層表面上にある各点の現況位置を計測する第1計測ステップと、前記設計データ取得ステップにより取得された前記第1層の設計面データと前記第1計測ステップにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出ステップと、前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより前記第2層表面上にある各点の現況位置を計測する第2計測ステップと、前記設計データ取得ステップにより取得された前記第2層の設計面データと前記第2計測ステップにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出ステップと、前記第1算出ステップにより算出された第1標高差と前記第2算出ステップにより算出された第2標高差と前記設計データ取得ステップにより取得された前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る出来形管理装置は、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理する出来形管理装置であって、前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを記憶する設計データ記憶手段と、前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置を記憶する第1位置データ記憶手段と、前記設計データ記憶手段に記憶された前記第1層の設計面データと前記第1位置データ記憶手段に記憶された現況位置とに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出手段と、前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置を記憶する第2位置データ記憶手段と、前記設計データ記憶手段に記憶された前記第2層の設計面データと前記第2位置データ記憶手段に記憶された現況位置とに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出手段と、前記第1算出手段により算出された第1標高差と前記第2算出手段により算出された第2標高差と前記設計データ記憶手段に記憶された前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る出来形管理プログラムは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に前記第2層の厚さの出来形を管理するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、前記第1層の設計面データ、前記第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを受け付ける設計データ受付手段、前記第1層の表面が現れた状態においてトータルステーションにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第1位置データ受付手段、前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第1層の設計面データと前記第1位置データ受付手段により受け付けられた前記第1層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、前記第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出手段、前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第2位置データ受付手段、前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第2層の設計面データと前記第2位置データ受付手段により受け付けられた前記第2層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出手段、前記第1算出手段により算出された第1標高差と前記第2算出手段により算出された第2標高差と前記設計面データ受付手段により受け付けられた前記第2層の設計厚さとに基づいて、前記第2層表面上にある各点について前記第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出手段として機能させることを特徴とする。
【0011】
これにより、本発明に係る出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の厚さの出来形管理を適正に行うことができる。
【0012】
本発明に係る出来形管理方法において、前記第1計測ステップにより計測された前記第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出ステップと、前記第2計測ステップにより計測された前記第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出ステップとを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る出来形管理装置において、前記第1位置データ記憶手段に記憶された前記第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出手段と、前記第2位置データ記憶手段に記憶された前記第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る出来形管理プログラムにおいて、コンピュータを、さらに、前記第1位置データ受付手段により受け付けられた前記第1層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出手段、前記第2位置データ受付手段により受け付けられた前記第2層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出手段として機能させることを特徴とする。
【0015】
これにより、本発明に係る出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の幅の出来形管理を適正に行うことができる。
【0016】
本発明に係る出来形管理方法において、前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示ステップと、トータルステーションにより前記起点/終点の現況位置を計測する第3計測ステップとを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る出来形管理装置において、前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御手段と、トータルステーションにより計測された前記起点/終点の現況位置を記憶する第3位置データ記憶手段と、前記第3位置データ記憶手段に記憶された前記起点/終点の現況位置に基づいて、前記起点/終点に前記第2層が敷設されていることを示す情報を表示する情報表示手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る出来形管理プログラムにおいて、コンピュータを、さらに、前記第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御手段、前記第1層の上方に前記第2層が敷設された状態においてトータルステーションにより計測された前記起点/終点の現況位置データを受け付ける第3位置データ受付手段、前記第3位置データ受付手段により受け付けられた前記起点/終点の現況位置データに基づいて、前記起点/終点に前記第2層が敷設されていることを示す情報を表示する情報表示手段として機能させることを特徴とする。
【0019】
これにより、本発明に係る出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の延長(長さ)の出来形管理を適正に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明によれば、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の出来形管理を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る出来形管理システム1の概略構成を示す図である。
図2図1の出来形管理システム1の電気的構成を示すブロック図である。
図3】舗装修繕工事の舗装計画範囲及び舗装修繕範囲を示す図である。
図4】舗装修繕工事の舗装修繕方法を示す図である。
図5】舗装修繕工事の舗装修繕方法を示す図である。
図6】表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われる際の手順を示すフローチャートである。
図7】表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われる際の手順を示すフローチャートである。
図8】表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われる際の手順を示すフローチャートである。
図9】道路の舗装修繕範囲において切削層表面が現れた状態の幅方向断面の模式図である。
図10】道路の舗装修繕範囲において基層が敷設された状態の幅方向断面の模式図である。
図11】基層厚さの出来形管理表である。
図12】道路の舗装修繕範囲において表層が敷設された状態の幅方向断面の模式図である。
図13】表層厚さの出来形管理表である。
図14】表層厚さ及び基層厚さの出来形管理方法を説明する図である。
図15】表層厚さ及び基層厚さの出来形管理プログラムを説明する図である。
図16】の舗装修繕幅の出来形管理方法を説明する図である。
図17】舗装修繕幅の出来形管理方法を説明する図である。
図18】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図19】設計面データに含まれる設計情報を説明する図である。
図20】表示画面5aに表示される舗装計画領域の終点周辺の道路を示す図である。
図21】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図22】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図23】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図24】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図25】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
図26】舗装修繕延長の出来形管理方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態の出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムについて、図面を参照して説明する。
【0023】
本発明の実施形態に係る出来形管理システム1は、既知点(例えば基準点)に設置されるトータルステーション2と、トータルステーション2と共に使用されるプリズム3と、出来形管理装置としての端末装置5とを有している。
【0024】
トータルステーション2は、道路の路面における各点について、既知点に対する各点の3次元座標を取得する。プリズム3は、リモートキャッチャであり、トータルステーション2と無線で接続される。
【0025】
そのため、トータルステーション2により計測を行う場合、トータルステーション2は、作業者により道路の路面における各点に設置されたプリズム3に向けて測距光を出射し、プリズム3において反射した反射光を受光し、出射から受光までに光波が発振した回数に基づいて、既知点に対する各点の3次元座標を取得する。
【0026】
端末装置5は、表示画面5aを有する携帯情報端末であり、トータルステーション2と無線で接続される。そのため、トータルステーション2により各点の3次元座標が取得されると、その3次元座標がトータルステーション2から端末装置5に供給される。
【0027】
また、図2に示すように、端末装置5は、パソコン6と無線で接続可能であり、パソコン6から端末装置5に対して各種のデータが供給される。各種のデータとして、例えば表層及び基層が敷設される舗装修繕工事が行われる場合、表層表面の設計面データや、各層の設計厚さなどが含まれる。
【0028】
上述した表層表面の設計面データとは、LAND-XML形式の3次元設計データ(三次元TINモデル)であり、道路の路面表面にある任意の各点についての3次元データを含んでいる。そのため、舗装修繕工事は、表層表面の設計面データに基づいて作成される各層の設計面データと、各層の設計厚さとに基づいて行われる。
【0029】
本実施形態では、図3に示すように、道路上に20mおきに付された番号0~5の舗装計画範囲(図3で点線で囲まれた範囲)の舗装修繕工事が行われる場合について説明する。図4(a)は、実際に舗装修繕工事が行われた後の道路の延長方向に沿った断面(図3のa-a線における断面)を示し、図4(b)は、実際に舗装修繕工事が行われた後の道路の幅方向に沿った断面(図3のa-a線における断面)を示している。
【0030】
なお、図3に示すように、実際の舗装修繕工事は、舗装計画範囲よりも広い舗装修繕範囲(図3で実線で囲まれた範囲)に対して実施されるのが一般的である。図3に示すように、舗装計画幅はA(mm)で、舗装計画延長C(mm)である。
【0031】
本実施形態の舗装修繕工事は、舗装修繕範囲において、図5(a)に示すように道路表面が切削されて切削層が形成され、図5(b)に示すように切削層の上面に基層が敷設され、図5(c)に示すように基層の上面に表層が敷設される。図4(a)及び図4(b)に示すように、表層の設計厚さ(計画厚さ)はT1(mm)で、基層の設計厚さ(計画厚さ)はT2(mm)とする。
【0032】
端末装置5は、例えばマイクロコンピュータなどで構成されており、CPUと、出来形管理装置としての端末装置5の動作を制御する出来形管理プログラムが格納されたROMと、上記出来形管理プログラムを実行する際に用いられるデータ等が一時的に記憶されるRAMとを備えている。本実施形態の出来形管理プログラムは、ハードウエア資源と協働することによって、出来形管理(使用目的)に応じた特有の情報処理又はその動作方法を構築する。
【0033】
端末装置5は、図2に示すように、設計データ受付部10と、第1位置データ受付部11と、第1算出部12と、第2位置データ受付部13と、第2算出部14と、舗装厚さ算出部15と、管理表作成部16と、舗装幅算出部17と、設計データ記憶部18と、位置データ記憶部19と,表示制御部30と有している。
【0034】
端末装置5は、表示画面5aを有しており、トータルステーション2及びパソコン6と無線で接続される。
【0035】
設計データ受付部10は、パソコン6から供給される各種の設計データを受け付ける。具体的には、設計データ受付部10は、切削層、基層及び表層についての設計面データと、切削層及び基層についての設計厚さのデータを受け付ける。
【0036】
表層についての設計面データは、舗装修繕工事が行われる際に使用される表層表面の設計面データであり、別途、パソコン6に供給されたものである。表層についての設計面データは、舗装修繕工事の計画面を示すデータであり、舗装修繕工事が行われた後の表層表面にある各点の3次元データ、すなわち、平面位置を示す(x座標,y座標)と標高(高さ)を示す(z座標)とを含んでいる。
【0037】
基層についての設計面データは、パソコン6により表層の設計面データを直下に向かって表層の設計厚さ分移動させることにより作成される。本実施形態において、表層の設計厚さはT1であるため、表層の設計面データの各点の高さをT1の高さ分低くすることにより、基層の設計面データが作成される。
【0038】
同様に、切削層の設計面データは、パソコン6により表層の設計面データを直下に向かって表層及び基層の設計厚さ分移動させることにより作成される。本実施形態において、表層の設計厚さはT1であり、基層の設計厚さはT2であるため、表層の設計面データの各点の高さをT1+T2の高さ分低くすることにより、切削層の設計面データが作成される。なお、切削層の設計面データは、パソコン6により基層の設計面データを直下に向かって基層の設計厚さ分移動させて作成することも可能である。
【0039】
切削層、基層及び表層についての設計厚さのデータは、別途、パソコン6に供給されたものである。
【0040】
第1位置データ受付部11は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、切削層の表面が現れる状態においてトータルステーション2により計測された切削層の表面のある各点についての3次元座標を受け付ける。また、基層の上方に表層が敷設される場合に、基層の表面が現れる状態においてトータルステーション2により計測された基層の表面のある各点についての3次元座標を受け付ける。
【0041】
第1算出部12は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、トータルステーション2により計測された切削層の表面のある各点についての3次元座標と、切削層についての設計面データに含まれる各点についての3次元座標とに基づいて、切削層の表面のある各点について現況高さと基準高との差を算出する。なお、各層の基準高は、各層の設計面データに含まれる各点についての3次元座標で特定される標高(高さ)である。
【0042】
また、第1算出部12は、基層の上方に表層が敷設される場合に、トータルステーション2により計測された基層の表面のある各点についての3次元座標と、基層についての設計面データに含まれる各点についての3次元座標とに基づいて、基層の表面のある各点について現況高さと基準高との差を算出する。
【0043】
第2位置データ受付部13は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、基層の表面が現れる状態においてトータルステーション2により計測された基層の表面のある各点についての3次元座標を受け付ける。また、基層の上方に表層が敷設される場合に、表層の表面が現れる状態においてトータルステーション2により計測された表層の表面のある各点についての3次元座標を受け付ける。
【0044】
第2算出部14は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、トータルステーション2により計測された基層の表面のある各点についての3次元座標と、基層についての設計面データに含まれる各点についての3次元座標とに基づいて、基層の表面のある各点について現況高さと基準高との差を算出する。
【0045】
また、第2算出部14は、基層の上方に表層が敷設される場合に、トータルステーション2により計測された表層の表面のある各点についての3次元座標と、表層についての設計面データに含まれる各点についての3次元座標とに基づいて、各点の現況高さと基準高との差を算出する。
【0046】
舗装厚さ算出部15は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、第1算出部12により算出された各点の基準高との標高差と、第2算出部14により算出された各点の基準高との差とに基づいて、基層の設計厚さとの標高差を算出し、その標高差を基層の設計厚さに加算することにより、基層の舗装厚さを算出する。
【0047】
また、舗装厚さ算出部15は、基層の上方に表層が敷設される場合に、第1算出部12により算出された各点の基準高との標高差と、第2算出部14により算出された各点の基準高との差とに基づいて、表層の設計厚さとの標高差を算出し、その標高差を表層の設計厚さに加算することにより、表層の舗装厚さを算出する。
【0048】
出来形管理表作成部16は、切削層の上方に基層が敷設される場合に、基層厚さの出来形管理表を作成する。また、出来形管理表作成部16は、基層の上方に表層が敷設される場合に、表層厚さの出来形管理表を作成する。各層の出来形管理表とは、例えば、第1算出部12により算出された各点の基準高との標高差と、第2算出部14により算出された各点の基準高との差と、設計厚さとの標高差と、設計厚さと、舗装厚さとが記載されたものである。
【0049】
舗装幅算出部17は、切削層の表面が現れる状態において、トータルステーション2により計測された切削層の表面のある各点についての3次元座標に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部と他端部との間の幅方向距離を算出する。
【0050】
また、舗装幅算出部17は、基層の表面が現れる状態において、トータルステーション2により計測された基層の表面のある各点についての3次元座標に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部と他端部との間の幅方向距離を算出する。
【0051】
また、舗装幅算出部17は、表層の表面が現れる状態において、トータルステーション2により計測された表層の表面のある各点についての3次元座標に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部と他端部との間の幅方向距離を算出する。
【0052】
このように、舗装幅算出部17は、各層の幅方向に沿った断面において舗装修繕範囲の一端部と他端部との間の幅方向距離を算出する。
【0053】
設計データ記憶部18は、設計データ受付部10により受け付けた各種の設計データを記憶する。
【0054】
位置データ記憶部19は、位置データ受付部11により受け付けた位置データを記憶する。
【0055】
表示制御部30は、表示画面5aに表示される内容を制御する。表示制御部30は、例えばトータルステーション2により計測された各点の3次元座標を表示したり、出来形管理表作成部16により作成された出来形管理表を表示する。
【0056】
また、表示制御部30は、各層の設計面データに基づいて舗装計画領域の起点・終点周辺の道路を表示して、舗装計画領域の起点及び終点の位置を表示する。なお、舗装計画領域の起点・終点周辺の道路が表示画面5aに表示された状態で、その表示された領域においてトータルステーション2により所定点についての計測が行われると、表示制御部30は、その計測位置を表示画面5aに表示する。
【0057】
さらに、表示制御部30は、各層の舗装計画領域の起点及び終点の現況位置データに基づいて、起点及び終点に各層が敷設されていることを示す情報を表示する。起点及び終点に各層が敷設されていることを示す情報とは、例えば各層の舗装計画領域の起点及び終点の現況位置データに含まれる標高(高さ)である。
【0058】
(厚さ管理)
出来形管理システム1において、表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われる際の手順について、図6図14に基づいて説明する。
【0059】
表層厚さ及び基層厚さの管理とは、表層及び基層が設計面データ及び設計厚さにしたがって適正な厚さに敷設されているかを管理することである。
【0060】
ステップS1において、舗装修繕工事が行われる際の表層の設計面データが取得される。表層の設計面データは、ICT工事が行われる場合、発注者へ提出するために必ず作成されるものである。そのため、舗装修繕工事を行う際に作成しなくても、ICT工事で作成されたものを使用することができる。
【0061】
ステップS2において、表層の設計面データに基づいて、切削層の設計面データ及び基層の設計面データが作成される。
【0062】
ステップS3において、ステップS2で作成された切削層の設計面データ及び基層の設計面データがパソコン6から端末装置5に入力される。端末装置5の制御部5Cは、切削層の設計面データ及び基層の設計面データを設計データ受付部10で受け付けて、その後、設計データ記憶部17に記憶する。
【0063】
ステップS4において、図4(a)に示すように、道路の舗装修繕範囲が切削層の設計面データに基づいて表層及び基層の設計厚さ分、切削される。すると、道路の舗装修繕範囲は、切削層が現れた状態となる。
【0064】
ステップS5において、トータルステーション2により切削層表面にある各点の3次元座標が計測される。すなわち、作業者は、道路の舗装修繕範囲近傍にトータルステーション2を設置し、トータルステーション2により切削層表面にある各点に設置されたプリズム3に向けて測距光を出射し、各点の3次元座標を計測する。
【0065】
ステップS6において、ステップS5で計測された切削層表面にある各点の3次元座標がトータルステーション2から端末装置5に入力されると、端末装置5の制御部5Cは、切削層表面にある各点の3次元座標を位置データ受付部11で受け付けて、その後、位置データ記憶部18に記憶する。
【0066】
ステップS7において、端末装置5の制御部5Cは、切削層表面にある各点について、現況高さと基準高との標高差を算出する。
【0067】
図9は、道路の舗装修繕範囲において切削層表面が現れた状態の幅方向に沿った断面の模式図である。図のCLは、道路の中央部を示し、L2は道路の左端部を示し、L1は道路の左端部と中央部との中間位置を示し、R2は道路の右端部を示し、R1は道路の右端部と中央部との中間位置を示す。以下の図においても同様である。
【0068】
図9においては、切削層の現況面データが切削層の設計面データより標高が低い場合を示している。すなわち、作業者が、切削層の設計面データに基づいて道路の表面を切削したが、設計面データよりも標高が低くなるまで切削したことを意味する。
【0069】
切削層の現況高さと基準高との標高差は、L2では-a1(mm)であり、L1では-a2(mm)であり、CLでは-a3(mm)であり、R1では-a4(mm)であり、R2では-a5(mm)である。なお、a1~a5は正数である。
【0070】
ステップS8において、図5(b)に示すように、道路の舗装修繕範囲において、基層の設計面データに基づいて切削層の上方に基層がその設計厚さ分、敷設される。すると、道路の舗装修繕範囲は、基層が現れた状態となる。
【0071】
ステップS9において、トータルステーション2により基層表面にある各点の3次元座標が計測される。すなわち、作業者は、道路の舗装修繕範囲近傍にトータルステーション2を設置し、トータルステーション2により基層表面にある各点に設置されたプリズム3に向けて測距光を出射し、各点の3次元座標を計測する。
【0072】
ステップS10において、ステップS9で計測された基層表面にある各点の3次元座標がトータルステーション2から端末装置5に入力されると、端末装置5の制御部5Cは、基層表面にある各点の3次元座標を位置データ受付部11で受け付けて、その後、位置データ記憶部18に記憶する。
【0073】
ステップS11において、端末装置5の制御部5Cは、基層表面にある各点について、基層の現況高さと基準高との標高差を算出する。
【0074】
図10は、道路の舗装修繕範囲において基層が敷設された状態の幅方向に沿った断面の模式図である。図10においては、基層の現況面データが基層の設計面データより標高が高い場合を示している。すなわち、作業者が、基層の設計面データに基づいて基層を敷設したが、設計面データよりも標高が高くなったことを意味する。
【0075】
基層の現況高さと基準高との標高差は、L2では+b1(mm)であり、L1では+b2(mm)であり、CLでは+b3(mm)であり、R1では+b4(mm)であり、R2では+b5(mm)である。なお、b1~b5は正数である。
【0076】
ステップS12において、端末装置5の制御部5Cは、ステップS7、S11で算出された標高差を足し合わして、実際に敷設された基層の舗装厚さと基層の設計厚さとの標高差を算出する。基層の設計厚さとの標高差は、図11に示すように、L2ではa1+b1(mm)であり、L1ではa2+b2(mm)であり、CLではa3+b3(mm)であり、R1ではa4+b4(mm)であり、R2ではa5+b5(mm)である。
【0077】
ステップS13において、端末装置5の制御部5Cは、基層の設計厚さに対してステップS12で算出された標高差を加算して、実際に敷設された基層の舗装厚さを算出する。基層の舗装厚さは、図11に示すように、L2ではa1+b1+T1(mm)であり、L1ではa2+b2+T1(mm)であり、CLではa3+b3+T1(mm)であり、R1ではa4+b4+T1(mm)であり、R2ではa5+b5+T1(mm)である。
【0078】
ステップS14において、端末装置5の制御部5Cは、図11に示すように、実際に敷設された基層厚さの出来形管理表を作成する。
【0079】
なお、本実施形態では、道路の舗装修繕範囲の延長方向に所定距離おきに(例えば40mおきに)、幅方向に沿った断面のL2、L1、CL、R1、R2の5か所の舗装厚さが管理される。さらに、本実施形態では、後で詳述するように、道路の舗装計画範囲の延長(長さ)の出来形管理を行うために、道路の舗装修繕範囲の起点及び終点においても、幅方向に沿った断面のL2、L1、CL、R1、R2の5か所の舗装厚さが管理される。
【0080】
ステップS15において、図4(c)に示すように、道路の舗装修繕範囲において、表層の設計面データに基づいて基層の上方に表層がその設計厚さ分、敷設される。すると、道路の舗装修繕範囲は、表層が現れた状態となる。
【0081】
ステップS16において、トータルステーション2により表層表面にある各点の3次元座標が計測される。すなわち、作業者は、道路の舗装修繕範囲近傍にトータルステーション2を設置し、トータルステーション2により表層表面にある各点に設置されたプリズム3に向けて測距光を出射し、各点の3次元座標を計測する。
【0082】
ステップS17において、ステップS16で計測された表層表面にある各点の3次元座標がトータルステーション2から端末装置5に入力されると、端末装置5の制御部5Cは、表層表面にある各点の3次元座標を位置データ受付部11で受け付けて、その後、位置データ記憶部18に記憶する。
【0083】
ステップS18において、端末装置5の制御部5Cは、表層表面にある各点について、表層の現況高さと基準高との標高差を算出する。
【0084】
図12は、道路の舗装修繕範囲において表層が敷設された状態の幅方向に沿った断面の模式図である。図12においては、表層の現況面データが表層の設計面データより標高が高い場合を示している。すなわち、作業者が、表層の設計面データに基づいて表層を敷設したが、設計面データよりも標高が高くなったことを意味する。
【0085】
表層の現況高さと基準高との標高差は、L2では+c1(mm)であり、L1では+c2(mm)であり、CLでは+c3(mm)であり、R1では+c4(mm)であり、R2では+c5(mm)である。なお、c1~c5は正数である。
【0086】
ステップS19において、端末装置5の制御部5Cは、ステップS12、S18で算出された標高差を足し合わして、実際に敷設された表層の舗装厚さと表層の設計厚さとの標高差を算出する。基層の設計厚さとの標高差は、図13に示すように、L2ではb1+c1(mm)であり、L1ではb2+c2(mm)であり、CLではb3+c3(mm)であり、R1ではb4+c4(mm)であり、R2ではb5+c5(mm)である。
【0087】
ステップS20において、端末装置5の制御部5Cは、表層の設計厚さに対してステップS19で算出された標高差を加算して、実際に敷設された表層の舗装厚さを算出する。表層の舗装厚さは、図13に示すように、L2ではb1+c1+T2(mm)であり、L1ではb2+c2+T2(mm)であり、CLではb3+c3+T2(mm)であり、R1ではb4+c4+T2(mm)であり、R2ではb5+c5+T2(mm)である。
【0088】
ステップS21において、端末装置5の制御部5Cは、図13に示すように、実際に敷設された表層厚さの出来形管理表を作成する。
【0089】
以上説明したように、図14(a)に示すように、トータルステーション2により切削層表面にある所定点(例えばCL上の点)の現況位置を計測し、切削層の上方に基層を敷設した後で、図14(b)に示すように、トータルステーション2により切削層表面の所定点の真上にある基層表面上の点の現況位置を計測することで、基層の舗装厚さを算出することができる。
【0090】
例えば、基層の舗装厚さについて、CLの舗装厚さa3+b3+T1(mm)が設計厚さ(T1)よりも大きければ、基層の設計厚さが確保されていることになる。これに対して、CLの舗装厚さa3+b3+T1(mm)が設計厚さ(T1)よりも小さければ、基層の設計厚さが確保されていないことになる。なお、L2,L1、R1、R2の舗装厚さについても同様である。また同様にして、道路の舗装修繕範囲内の任意の位置について基層の舗装厚さ管理を行うことができる。
【0091】
同様に、基層の上方に表層を敷設した後で、図14(c)に示すように、トータルステーション2により切削層表面の所定点の真上にある表層表面上の点の現況位置を計測することで、表層の舗装厚さを算出することができる。
【0092】
例えば、表層の舗装厚さについて、CLの舗装厚さb3+c3+T2(mm)が設計厚さ(T2)よりも大きければ、基層の設計厚さが確保されていることになる。これに対して、CLの舗装厚さb3+c3+T2(mm)が設計厚さ(T2)よりも小さければ、表層の設計厚さが確保されていないことになる。なお、L2,L1、R1、R2の舗装厚さについても同様である。また同様にして、道路の舗装修繕範囲内の任意の位置について表層の舗装厚さ管理を行うことができる。
【0093】
このように、本実施形態の出来形管理プログラムを使用することにより、図15に示すように、切削層の設計面データ、切削層表面の各点の現況位置データ、基層の設計面データ、基層表面の各点の現況位置データ、表層の設計面データ及び表層表面の各点の現況位置データを端末装置5に入力すると、基層厚さの出来形管理表及び表層厚さの出来形管理表が作成される。
【0094】
(幅管理)
出来形管理システム1において、表層幅及び基層幅の出来形管理について、図16図17に基づいて説明する。
【0095】
表層幅及び基層幅の管理とは、表層及び基層が設計面データ及び設計厚さにしたがって適正な幅に適正に敷設されているかを管理することである。
【0096】
上述のようにして表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われるが、その工程において、トータルステーション2により計測された各点の3次元座標に基づいて、道路幅方向両端部間の距離を算出して、その距離を舗装修繕幅として管理される。
【0097】
具体的には、図16に示すように、例えば切削層の表面が現れた状態において、トータルステーション2により計測された切削層表面の左端部及び右端部の現況位置に基づいて、切削層の幅が算出される。その後、基層の表面が現れた状態及び表層の表面が現れた状態においても同様に、トータルステーション2により計測された基層表面及び表層表面の左端部及び右端部の現況位置に基づいて、基層の幅及び表層の幅が算出される。これにより、図17に示すように、各層の幅を管理することができる。
【0098】
(延長管理)
出来形管理システム1において、表層の延長及び基層の延長の出来形管理について、図18図21に基づいて説明する。
【0099】
表層の延長(長さ)及び基層の延長の管理とは、表層及び基層が設計面データ及び設計厚さにしたがって適正な延長に適正に敷設されているかを管理することである。
【0100】
具体的には、図18に示すように、例えば切削層の上方に基層が敷設される場合、切削層の起点及び終点の位置に基層が適正に敷設されていると、舗装計画領域の延長方向全体にわたって基層が適正に敷設されていると考えられる。基層の上方に表層が敷設される場合も同様である。
【0101】
各層の設計面データは、「路線」という設計情報を有しており、その設計情報は、図19に示すように、道路の幅方向中央において道路の延長方向に沿って延びる「線形」と、「線形」の長さを特定する「起点・終点」と有している。図19(a)は、直線状の道路の場合であり、図19(b)は、曲線状の道路の場合である。そこで、舗装計画領域の起点・終点の位置に、各層が適正に敷設されているか否かにより、各層が舗装計画領域の延長方向全体にわたって適正に敷設されているかを確認することができる。
【0102】
例えば、基層の上方に表層が敷設された場合に、舗装計画領域の終点に表層が適正に敷設されているかを確認する場合について説明する。作業者は、表層が敷設された後、端末装置5の表示画面5aに、図20(a)に示すように、舗装計画領域の終点周辺の道路を表示させる。その際、表示画面5aに表示された舗装計画領域の終点周辺の道路上に、舗装計画領域の終点を示すマークと、舗装計画領域の終端(舗装計画領域の幅方向に沿った線)とが表示される。
【0103】
その後、作業者は、表層が敷設された状態において、表層表面にある点にプリズム3を設置して、その点の現況位置をトータルステーション2により計測する。すると、トータルステーション2から端末装置5に計測した現況位置データが供給されて、表示画面5aには、計測した位置が図20(b)に示すように丸印(〇)で表示される。そのため、作業者は、表示画面5aにより計測位置を確認し、プリズム3の設置個所を変えながら、舗装計画領域の終点近傍においてトータルステーション2により表層表面の現況位置を計測する。なお、図20(b)は、トータルステーション2により舗装計画領域の終点の現況位置が計測された場合を示している。
【0104】
トータルステーション2により舗装計画領域の終点近傍の現況位置を計測すると、その現況位置が端末装置5の表示画面5aに表示される。そのため、作業者は、舗装計画領域の終点近傍の現況位置を示す3次元座標に含まれる標高(高さ)により、舗装計画領域の終点に表層が適正に敷設されているかを確認することができる。なお、本実施形態では、終点に表層が適正に敷設されていることを示す情報として、舗装計画領域の終点近傍の現況位置を示す3次元座標に含まれる標高(高さ)が端末装置5の表示画面5aに表示される。
【0105】
本実施形態では、トータルステーション2により現況位置を計測した表層表面の計測位置が、表層の設計面データに含まれる終点の位置と同一または近い場合に、舗装計画領域の終点に表層が適正に敷設されているかを確認可能としている。これに対して、表層表面の計測位置が舗装計画領域の終点から離れすぎていると、舗装計画領域の終点に表層が適正に敷設されていることを確認するのが困難である。
【0106】
そのため、本実施形態では、図21に示す計測位置A1のように、トータルステーション2により現況位置を計測した表層表面の計測位置が、終点から規定値(例えば±50mm)以内の範囲にある場合に、舗装計画領域の終点に表層が適正に敷設されていることを確認可能としている。
【0107】
これに対して、図21に示す計測位置A2のように、トータルステーション2により現況位置を計測した表層表面の計測位置が、終点から規定値(例えば±50mm)よりも離れている場合は、プリズム3の設置個所を舗装計画領域の終点に近づけて、トータルステーション2により計測をやり直す必要がある。
【0108】
なお、上述と同様にして、基層の上方に表層が敷設された場合に、舗装計画領域の起点に表層が適正に敷設されているかを確認することができる。また、切削層の上方に基層が敷設される場合に、舗装計画領域の起点及び終点に表層が適正に敷設されているかを確認する場合も同様である。
【0109】
また、表層の延長及び基層の延長の管理する際に、各層の設計面データを使用することも可能である。
【0110】
まず、各層の設計面データと道路設計の線形(路線)情報を用意する。設計面データは、図22において点線で囲んだ範囲にある任意の各点の座標を含む面データ(三次元TINモデル)である。道路設計の線形の起点と終点との間には、線形の変化点が複数あり、線形は、その複数の変化点の座標を直線または曲線で接続したものである。線形の総延長を、設計延長とする。
【0111】
舗装計画領域の起点近傍及び終点近傍において舗装修繕領域の起点及び終点の現況位置が計測された場合を考える。舗装計画領域の平面図である図23に示すように、計測した起点の現況位置が、設計面データの範囲(図23において点線で囲んだ範囲)の外側にある場合、舗装修繕領域の延長が増加したと考えられる。同様に、計測した終点の現況位置が、設計面データの範囲(図23において点線で囲んだ範囲)の外側にある場合、舗装修繕領域の延長が増加したと考えられる。
【0112】
例えば、舗装修繕領域の出来形の延長が、起点近傍でn1増加し、終点近傍でn2増加した場合、
出来形の延長=設計延長+n1+n2
である。
【0113】
なお、設計面データは、舗装計画領域の範囲内の任意の各点について、x座標、y座標、z座標を有しているが、舗装計画領域の平面図において、計測した現況位置のx座標及びy座標を使用して、舗装計画領域の範囲内にあるか否かを判定することができる。
【0114】
これに対して、舗装計画領域の平面図である図24に示すように、計測した起点の現況位置が、設計面データの範囲(図24において点線で囲んだ範囲)の内側にある場合、舗装修繕領域の延長が減少したと考えられる。同様に、計測した終点の現況位置が、設計面データの範囲(図24において点線で囲んだ範囲)の内側にある場合、舗装修繕領域の延長が減少したと考えられる。
【0115】
例えば、舗装修繕領域の出来形の延長が、起点近傍でn3減少し、終点近傍でn4減少した場合、
出来形の延長=設計延長-n3-n4
である。
【0116】
なお、舗装修繕領域の起点及び終点の現況位置を計測する際に、道路内に立ち入るのが危険な場合、図25に示すように、起点の幅員両端部(L,R)の現況位置を計測し、その点を接続した線の中点を、道路の幅方向中央の点(線形の起点)とすることも可能である。同様に、終点の幅員両端部(L,R)の現況位置を計測し、その点を接続した線の中点を、道路の幅方向中央の点(線形の終点)とすることも可能である。そのため、道路内に立ち入るのが危険な場合でも、延長の過不足を算出できる。
【0117】
上述したように、例えば計測した起点の現況位置が、設計面データの範囲の外側にある場合、舗装修繕領域の延長が増加したと考えられるが、図26の示すように、起点の現況位置が、設計面データの範囲の外側にある場合、起点の現況位置が適正に計測されてないため、計測エラーとする。
【0118】
そのため、計測した起点の現況位置が、設計面データの範囲の伸延方向について外側にある場合、舗装修繕領域の延長が増加したと考えられるが、起点の現況位置が、設計面データの範囲の横方向について外側にある場合、起点の現況位置が適正に計測されてないため、計測エラーとする。
【0119】
すなわち、計測した起点の現況位置が、設計面データの範囲の外側にあり、且つ、設計起点と計測した点を結んだ直線が設計面データの範囲上にかかる場合、道路を折り曲げて延長を計測しているため、計測エラーとする。
【0120】
なお、表層の延長及び基層の延長の管理する際に使用する道路設計の線形情報は、出来形管理用に新たに作成した線形情報のデータでも、既存の線形情報のデータでもよい。
【0121】
本実施形態において、切削層の上方に基層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合、切削層が本発明の「第1層」であり、基層が本発明の「第2層」である。基層の上方に表層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合、基層が本発明の「第1層」であり、表層が本発明の「第2層」である。
【0122】
以上説明したように、本実施形態の出来形管理方法は、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に第2層の厚さの出来形を管理する出来形管理方法であって、第1層の設計面データ、第2層の設計厚さ及び第2層の設計面データを取得する設計データ取得ステップと、第1層の表面が現れた状態においてトータルステーション2により第1層表面上にある各点の現況位置を計測する第1計測ステップと、設計データ取得ステップにより取得された第1層の設計面データと第1計測ステップにより計測された第1層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出ステップと、第1層の上方に第2層が敷設された状態においてトータルステーション2により第2層表面上にある各点の現況位置を計測する第2計測ステップと、設計データ取得ステップにより取得された第2層の設計面データと第2計測ステップにより計測された第2層表面上にある各点の現況位置とに基づいて、第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出ステップと、第1算出ステップにより算出された第1標高差と第2算出ステップにより算出された第2標高差と設計データ取得ステップにより取得された第2層の設計厚さとに基づいて、第2層表面上にある各点について第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出ステップとを備える。
【0123】
本実施形態の出来形管理装置(端末装置5)は、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に第2層の厚さの出来形を管理する端末装置5であって、第1層の設計面データ、第2層の設計厚さ及び第2層の設計面データを記憶する設計データ記憶部18(設計データ記憶手段)と、第1層の表面が現れた状態においてトータルステーション2により計測された第1層表面上にある各点の現況位置を記憶する位置データ記憶部19(第1位置データ記憶手段)と、設計データ記憶部18に記憶された第1層の設計面データと位置データ記憶部19に記憶された現況位置とに基づいて、第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出部12(第1算出手段)と、第1層の上方に第2層が敷設された状態においてトータルステーション2により計測された第2層表面上にある各点の現況位置を記憶する位置データ記憶部19(第2位置データ記憶手段)と、設計データ記憶部18に記憶された第2層の設計面データと位置データ記憶部19に記憶された現況位置とに基づいて、第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出部14(第2算出手段)と、第1算出部12により算出された第1標高差と第2算出部14により算出された第2標高差と設計データ記憶部18に記憶された第2層の設計厚さとに基づいて、第2層表面上にある各点について第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出部15(舗装厚さ算出手段)とを備える。
【0124】
本実施形態の出来形管理プログラムは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に第2層の厚さの出来形を管理するための出来形管理プログラムであって、コンピュータを、第1層の設計面データ、第2層の設計厚さ及び前記第2層の設計面データを受け付ける設計データ受付部10(設計データ受付手段)、第1層の表面が現れた状態においてトータルステーション2により計測された第1層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第1位置データ受付部11(第1位置データ受付手段)、設計面データ受付部10により受け付けられた第1層の設計面データと第1位置データ受付部11により受け付けられた第1層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、第1層表面上にある各点について現況高さと基準高との第1標高差を算出する第1算出部12(第1算出手段)、第1層の上方に第2層が敷設された状態においてトータルステーション2により計測された第2層表面上にある各点の現況位置データを受け付ける第2位置データ受付部13(第2位置データ受付手段)、設計面データ受付部10により受け付けられた第2層の設計面データと第2位置データ受付部13により受け付けられた第2層表面上にある各点の現況位置データとに基づいて、第2層表面上にある各点について現況高さと基準高との第2標高差を算出する第2算出部14(第2算出手段)、第1算出部12により算出された第1標高差と第2算出部14により算出された第2標高差と設計面データ受付部10により受け付けられた第2層の設計厚さとに基づいて、第2層表面上にある各点について第2層の舗装厚さを算出する舗装厚さ算出部15(舗装厚さ算出手段)として機能させる。
【0125】
これにより、本実施形態の出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の厚さの出来形管理を適正に行うことができる。
【0126】
本実施形態の出来形管理方法において、第1計測ステップにより計測された第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第1舗装幅算出ステップと、第2計測ステップにより計測された第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する第2舗装幅算出ステップとを備える。
【0127】
本実施形態の出来形管理装置(端末装置5)において、第1位置データ記憶手段に記憶された第1層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する舗装幅算出部17(第1舗装幅算出手段)と、第2位置データ記憶手段に記憶された第2層表面上にある各点の現況位置に基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する舗装幅算出部17(第2舗装幅算出手段)とを備える。
【0128】
本実施形態の出来形管理プログラムにおいて、コンピュータを、さらに、第1位置データ受付手段により受け付けられた第1層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する舗装幅算出部17(第1舗装幅算出手段)、第2位置データ受付手段により受け付けられた第2層表面上にある各点の現況位置データに基づいて、舗装修繕範囲の幅方向について一端部の現況位置と他端部の現況位置との間の幅方向距離を算出する舗装幅算出部17(第2舗装幅算出手段)として機能させる。
【0129】
これにより、本実施形態の出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の幅の出来形管理を適正に行うことができる。
【0130】
本実施形態の出来形管理方法において、第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示ステップと、トータルステーション2により起点/終点の現況位置を計測する第3計測ステップとを備える。
【0131】
本実施形態の出来形管理装置(端末装置5)において、第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御部30(表示制御手段)と、トータルステーション2により計測された起点/終点の現況位置を記憶する位置データ記憶部19(第3位置データ記憶手段)と、位置データ記憶部19に記憶された起点/終点の現況位置に基づいて、起点/終点に第2層が敷設されていることを示す情報を表示する表示制御部30(情報表示手段)とを備える。
【0132】
本実施形態の出来形管理プログラムにおいて、コンピュータを、さらに、第2層の設計面データに含まれる舗装計画領域の起点/終点の位置を表示画面に表示する表示制御部30(表示制御手段)、第1層の上方に第2層が敷設された状態においてトータルステーション2により計測された起点/終点の現況位置データを受け付ける第2位置データ受付部13(第3位置データ受付手段)、第2位置データ受付部13により受け付けられた起点/終点の現況位置データに基づいて、起点/終点に第2層が敷設されていることを示す情報を表示する表示制御部30(情報表示手段)として機能させる。
【0133】
これにより、本実施形態の出来形管理方法、出来形管理装置及び出来形管理プログラムでは、第1層の上方に第2層を敷設する舗装修繕工事が行われた場合に、第2層の延長(長さ)の出来形管理を適正に行うことができる。
【0134】
以上、本発明の実施形態を説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0135】
上記実施形態では、道路の舗装修繕範囲の延長方向に所定距離おきに(例えば40mおきに)、幅方向に沿った断面のL2、L1、CL、R1、R2の5か所の舗装厚さが管理される場合を説明したが、それに限られない。例えば、道路の舗装修繕範囲の延長方向の任意の位置において、舗装厚さが管理されてもよい。また、幅方向に沿った断面のL2、L1、CL、R1、R2の5か所以外の位置において、舗装厚さが管理されてもよい。
【0136】
上記実施形態では、各層の舗装厚さの出来形管理をするために、トータルステーション2により道路の舗装修繕範囲の起点を含む起端及び終点を含む終端においても各点の現況位置が計測されて舗装厚さの出来形が管理され、その際に計測された各点の現況位置を使用して、道路の舗装計画範囲の延長(長さ)の出来形管理を行う場合を説明したが、それに限られない。例えば、舗装厚さの出来形管理を行うために、道路の舗装修繕範囲の起点を含む起端及び終点を含む終端において各点の現況位置が計測されない場合、道路の舗装計画範囲の延長(長さ)の出来形管理を行うために、別途、トータルステーション2により道路の舗装修繕範囲の起点端及び終点において現況位置が計測されてもよい。
【0137】
上記実施形態では、舗装修繕工事として、舗装修繕範囲において基準面となる切削層の上方に基層及び表層の2層が敷設される場合を説明したが、それに限られない。例えば、基準面の上方に表層の1層のみが敷設されてもよい。また、基準面の上方に表層を含む3層以上の層が敷設されてもよい。
【0138】
上記実施形態では、出来形管理システム1において表層厚さ及び基層厚さの出来形管理が行われる際の手順の例を説明したが、それに限られない。例えば、図6のステップS2において、パソコンにより表層の設計面データに基づいて切削層及び基層の設計面データが作成され、それらが図6のステップS3において、端末装置5に入力されているが、切削層の設計面データ及び基層の設計面データは異なる手順において、端末装置5に入力されてもよい。
【0139】
上記実施形態では、舗装厚さの出来形管理表の例を示したが、それに限られない。例えば、舗装厚さの出来形管理表に記載される内容は異なってもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 出来形管理システム
2 トータルステーション
3 プリズム
5 端末装置(出来形管理装置)
5a 表示画面
6 パソコン
10 設計データ受付部(設計データ受付手段)
11 第1位置データ受付部(第1位置データ受付手段)
12 第1算出部(第1算出手段)
13 第2位置データ受付部(第2位置データ受付手段;第3位置データ受付手段)
14 第2算出部(第2算出手段)
15 舗装厚さ算出部(舗装厚さ算出手段)
16 管理表作成部(管理表作成手段)
17 舗装幅算出部(第1舗装幅算出手段;第2舗装幅算出手段)
18 設計データ記憶部(設計データ記憶手段)
19 位置データ記憶部(第1位置データ記憶手段;第2位置データ記憶手段;第3位置データ記憶手段)
30 表示制御部(表示制御手段;情報表示手段)
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