(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039374
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】取引システム、取引方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20230313BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20230313BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q20/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146531
(22)【出願日】2021-09-08
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】515324349
【氏名又は名称】前田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】石田 陽之
(72)【発明者】
【氏名】星野 航
(72)【発明者】
【氏名】前田 充宏
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB21
5L055AA12
(57)【要約】
【課題】アイテムを取引可能とすることができるようにする。
【解決手段】取引システムであって、抽選によりコンテンツを選択する抽選部と、選択したコンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売する販売部と、コンテンツ及びデジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶する状態記憶部と、コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、デジタルアセットを作成していないコンテンツに対応するデジタルアセットを作成する作成部と、購入者を含むユーザ間でのデジタルアセットの取引処理を行う取引処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抽選によりコンテンツを選択する抽選部と、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売する販売部と、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶する状態記憶部と、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成する作成部と、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行う取引処理部と、
を備えることを特徴とする取引システム。
【請求項2】
請求項1に記載の取引システムであって、
前記抽選部は、有償又は無償により前記コンテンツの抽選を行うこと、
を特徴とする取引システム
【請求項3】
請求項2に記載の取引システムであって、
前記取引処理部は、前記抽選のための価格を最低取引額として前記取引処理を行うこと、
を特徴とする取引システム
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の取引システムであって、
前記権利の販売期間を記憶する販売期間記憶部をさらに備え、
前記取引処理部は、前記販売期間中は前記取引処理を実行しないこと、
を特徴とする取引システム
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の取引システムであって、
前記デジタルアセットはノンファンジブルトークンであり、
前記作成部は、ブロックチェーンネットワークにおいて前記コンテンツに対応する前記ノンファンジブルトークンを発行すること、
を特徴とする取引システム
【請求項6】
抽選によりコンテンツを選択するステップと、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売するステップと、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶するステップと、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成するステップと、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行うステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする取引方法。
【請求項7】
抽選によりコンテンツを選択するステップと、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売するステップと、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶するステップと、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成するステップと、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引システム、取引方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アイテムの取引システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、販売対象が抽選により決定されるアイテムを取引することは賭博と解される恐れがある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、アイテムを取引可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、取引システムであって、抽選によりコンテンツを選択する抽選部と、選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売する販売部と、前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶する状態記憶部と、前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成する作成部と、前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行う取引処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アイテムを取引可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る取引システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態の取引システムにおける販売対象を説明する図である。
【
図3】サーバ装置20のハードウェア構成例を示す図である。
【
図4】サーバ装置20のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図5】ユーザ端末10のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図6】一次流通に係る処理の流れを説明する図である。
【
図7】二次流通に係る処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
抽選によりコンテンツを選択する抽選部と、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売する販売部と、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶する状態記憶部と、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成する作成部と、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行う取引処理部と、
を備えることを特徴とする取引システム。
[項目2]
項目1に記載の取引システムであって、
前記抽選部は、有償又は無償により前記コンテンツの抽選を行うこと、
を特徴とする取引システム
[項目3]
項目2に記載の取引システムであって、
前記取引処理部は、前記抽選のための価格を最低取引額として前記取引処理を行うこと、
を特徴とする取引システム
[項目4]
項目1乃至3のいずれか1項に記載の取引システムであって、
前記権利の販売期間を記憶する販売期間記憶部をさらに備え、
前記取引処理部は、前記販売期間中は前記取引処理を実行しないこと、
を特徴とする取引システム
[項目5]
項目1乃至4のいずれか1項に記載の取引システムであって、
前記デジタルアセットはノンファンジブルトークンであり、
前記作成部は、ブロックチェーンネットワークにおいて前記コンテンツに対応する前記ノンファンジブルトークンを発行すること、
を特徴とする取引システム
[項目6]
抽選によりコンテンツを選択するステップと、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売するステップと、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶するステップと、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成するステップと、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行うステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする取引方法。
[項目7]
抽選によりコンテンツを選択するステップと、
選択した前記コンテンツに対応するデジタルアセットを作成する権利を販売するステップと、
前記コンテンツ及び前記デジタルアセットを作成したか否かを対応付けて記憶するステップと、
前記コンテンツの購入者からのリクエストに応じて、前記デジタルアセットを作成していない前記コンテンツに対応する前記デジタルアセットを作成するステップと、
前記購入者を含むユーザ間での前記デジタルアセットの取引処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る取引システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の取引システムは、サーバ装置20を含んで構成される。サーバ装置20は、ユーザ端末10と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0012】
サーバ装置20は、ブロックチェーンネットワーク30とも通信可能に接続される。ブロックチェーンネットワーク30は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク30は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0013】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワーク30によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク30上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク30において記録される。ブロックチェーンネットワーク30の分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0014】
本実施形態の取引システムでは、画像(静止画像及び動画像を含む。)や、ゲームに用いられるキャラクタやアイテムなどのデジタルコンテンツ(以下、単にコンテンツともいう。)に基づいて発行するデジタルアセットを取引しようとするものである。本実施形態では、デジタルアセットはNFTを想定する。本実施形態の取引システムでは、コンテンツを単純にNFTとして販売するのではなく、コンテンツに便益価値を付帯させて販売した後、コンテンツに対応するNFTを発行し、発行したNFTを取引する。
【0015】
図2は、本実施形態の取引システムにおける販売対象を説明する図である。同図に示すように、本実施形態の取引システムでは、コンテンツ41に便益価値42を付帯させて販売対象40とする。
便益価値42には、コンテンツをNFT化する権利(以下、NFT化権という。)421と、NFTに最初の所有者として記録する権利(以下、リスト権という。)422とが含まれる。
【0016】
本実施形態の取引システムにおける販売対象40は、「NFTとして発行し流通することが可能なコンテンツ」であることから、一般消費者にとっての販売対象に係る主たる価値は便益価値42である。したがって、例えば
図2の例において、販売対象の金銭価値である1000円の対価性のほぼ全ては、主たる価値たる便益価値42について把握され、便益価値42を取り除いたコンテンツ41単体に係る従たる価値についての対価性はほとんど把握されない。すなわち、「NFTとして発行し流通することが可能なコンテンツ」として販売された販売対象の価格1000円については、NFT化権421及びリスト権422こそが1000円をかけるべき主たる価値であり、NFT化権421及びリスト権422が付帯されないコンテンツ41、あるいは、NFT化権421及びリスト権422が消尽したコンテンツ41については、把握するべき価値はほぼ0円であるものと考えられる。
【0017】
コンテンツ41をNFT50として発行(コンテンツ41に対応するNFTを発行)した場合、NFT化権421及びリスト権422は消尽する。その一方で、発行されたNFT50には、現在の所有者として記載される権利431という、便益価値42とは異なる別の新しい便益価値43が付帯されることになる。NFT50を二次流通させた場合には、NFT50の価値は変動することになるが、NFT50についても、主たる価値はやはり便益価値43であり、NFTに現在の所有者として記録する権利431が付帯されないコンテンツ41について把握されるべき従たる価値はほぼ0円となる。したがって、コンテンツ41に係るほぼ0円の従たる価値は、NFT50として取引されることにより、常に利得を得ることになり、喪失が発生しない。よって、本実施形態の取引システムにおける販売対象40の販売を抽選により行ったとしても、財物の財産上の利益の得喪を争う行為に該当しない。
【0018】
また、仮に従たる価値であるコンテンツ41単体の価値が0円にならず、コンテンツ41に残存する従たる価値があったとしても、NFT50が発行されることにより新たに付与される便益価値43が主たる価値であることに変わりはない。例えば
図2の例では、販売対象40が1000円で販売される場合に、コンテンツ41の価値が300円、便益価値42を700円である。また、便益価値42の700円のうち、NFT化権421が300円分であり、リスト権422が400円分である。NFT50が発行されると、販売対象の販売価格1000円のうち、コンテンツをNFT化するためのNFT化権421(300円)は消尽する。また、ブロックチェーンネットワーク30においてトークンは改ざん不能(著しく困難)であるから、NFTに最初の所有者として記録するためのリスト権422(400円)も消尽することになる。そして、コンテンツ41に残存する従たる価値は300円と把握することができる。ここで、NFT50の二次流通時における取引価格が300円以上であれば、コンテンツ41の価値300円と比して利得のみが得られることになり、喪失が発生しないことになる。通常のNFT取引において、販売対象の価格が販売時の30%未満になること(1000円の販売対象が300円未満になること)はなく、したがって、本実施形態の取引システムにおける販売対象40の販売を抽選により行ったとしても、やはり財物の財産上の利益の得喪を争う行為に該当しない。
【0019】
さらに本実施形態の取引システムでは、二次流通に係る取引時には、取引最低価格をコンテンツ41の価格と同価又はそれ以上に設定するようにしている。これにより、コンテンツ41の価値が喪失することを確実に防ぐことができる。
【0020】
ユーザ端末10は、コンテンツの一次流通に係る購入者及び二次流通の販売者又は購入者になり得るユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末10は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。ユーザは、ユーザ端末10を利用してコンテンツを購入し、購入したコンテンツについてNFTを発行し、NFTをマーケットで販売することができる。
【0021】
サーバ装置20は、コンテンツの販売、NFTの取引などを行うコンピュータである。サーバ装置20は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0022】
<ハードウェア構成>
図3は、サーバ装置20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。
【0023】
サーバ装置20は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0024】
なお、ユーザ端末10は
図2に示すサーバ装置20と同様のハードウェア構成とすることができる。また、後述するユーザ端末10及びサーバ装置20が備える各機能部は、CPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、後述するユーザ端末10及びサーバ装置20が備える各記憶部は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0025】
<サーバ装置20>
図4は、サーバ装置20のソフトウェア構成例を示す図である。サーバ装置20は、商品記憶部231と、状態記憶部232と、販売期間記憶部233と、最低取引額記憶部234と、抽選部211と、販売部212と、NFT発行部213と、取引処理部214と、を備えることができる。
【0026】
商品記憶部231は、販売対象(すなわち、便益価値を付帯させたコンテンツである。以下、商品という。)に関する情報(以下、商品情報という。)を記憶する。本実施形態では、商品に含まれるコンテンツは抽選で選択されることを想定する。したがって、販売対象は、コンテンツを得る権利(抽選により変動するコンテンツを取得する権利)と、抽選により得たコンテンツに係る便益価値との組み合わせとなりうる。
【0027】
商品情報には、商品を特定する商品IDに対応付けて、抽選条件、販売価格、コンテンツ価格、NFT化権価格、リスト権価格などを含めることができる。
【0028】
抽選条件は、抽選に係るパラメータである。抽選条件には、例えば、選択可能なコンテンツの種類、抽選対象となるコンテンツ群を特定する情報、選択対象となるコンテンツのレアリティ、種類及び/又はレアリティごとの抽選確率、抽選回数(抽選により取得されるコンテンツの個数)などを設定することができる。
【0029】
販売価格は、商品の価格、すなわちコンテンツに便益価値を付帯させた商品の価格であり、
図2の例では1000円が設定される。コンテンツ価格は、コンテンツの価格であり、
図2の例では300円が設定される。NFT化権価格は、商品に含まれるNFT化権の価格であり、
図2の例では300円が設定される。リスト権価格は、商品に含まれるリスト権の価格であり、
図2の例では400円が設定される。
【0030】
なお、商品記憶部231をブロックチェーンネットワーク30に設けるようにして、商品情報を分散台帳で管理するようにしてもよい。
【0031】
状態記憶部232は、販売されたコンテンツの状態を示す情報(以下、状態情報という。)を記憶する。状態情報には、コンテンツを示すコンテンツIDに対応付けて、ユーザID、商品ID、NFT化フラグ、リスト化フラグを含めることができる。ユーザIDは、商品を購入したユーザ(すなわち、NFT化権及びリスト権を有するユーザ)を示す。商品IDは、商品を示す。当該商品IDが示す商品を購入して抽選により決定されたコンテンツを示す情報が、対応するコンテンツIDとなる。NFT化フラグは、コンテンツに対応するNFTを発行したか否かを示す。リスト化フラグは、コンテンツに対応するNFTのメタ情報に、オーナーとして指定されたユーザを設定したか否かを示す。
【0032】
販売期間記憶部233は、商品の販売期間を記憶する。販売期間記憶部233は、商品IDに対応付けて、当該商品の販売期間を記憶する。なお、販売期間記憶部233は、コンテンツIDに対応付けて販売期間を記憶するようにすることもできる。
【0033】
最低取引額記憶部234は、NFTの最低取引額を設定する。最低取引額記憶部234は、商品IDに対応付けて、商品に係るコンテンツ(抽選により選択されたコンテンツ)について発行されたNFTの取引時における最低価格を記憶することができる。
【0034】
抽選部211は、抽選によりコンテンツを選択する。抽選部211は、有償又は無償によりコンテンツの抽選を行うことができる。抽選部211は、商品情報の抽選条件に基づいて抽選を行うことができる。抽選部211は、例えば、コンテンツのレアリティごとの確率を予め設定してコンテンツの抽選を行うことができる。
【0035】
販売部212は、商品を販売する。本実施形態では、コンテンツ、NFT化権及びリスト権を一体化したものを商品として販売する。販売部212は、いわゆる一次流通として商品を販売することができる。販売部212は、複数の商品が販売されている場合には、商品の一覧をユーザ端末10に送信するようにしてもよい。販売部212は、商品の対価のユーザに対する商品の販売価格に係る課金処理を行うこともできる。課金処理は一般的な公知の手法を用いることができる。
【0036】
販売部212は、ユーザ端末10から商品購入の申込リクエストを受信すると、抽選部211に抽選を行わせることができる。販売部212は、抽選部211によりコンテンツが決定されると、決定されたコンテンツのそれぞれについて、コンテンツを示すコンテンツIDと、販売先のユーザを示すユーザIDと、商品を示す商品IDと、偽のNFT化フラグと、偽のリスト化フラグとを含む状態情報を作成して状態記憶部232に登録することができる。販売部212は、決定されたコンテンツ(複数の抽選が行われる場合には、抽選回数分のコンテンツのリスト)をユーザ端末10に送信することができる。
【0037】
NFT発行部213(作成部)は、商品の購入者からのリクエストに応じて、コンテンツに対応する(コンテンツの所有者を証明する)NFTを発行する。NFT発行部213は、ユーザ端末10からのリクエストに指定されているコンテンツIDに対応するNFT化フラグが偽である場合に、ブロックチェーンネットワーク30において商品IDに対応する商品情報のコンテンツに対応するNFTを発行する。発行するNFTには、コンテンツを特定する情報と、オーナーを特定する情報とが含まれる。NFT発行部213は、オーナーとして商品を購入したユーザのユーザIDを設定することができる。
【0038】
NFT発行部213は、リクエストに商品を購入したユーザとは異なるユーザが指定されている場合に、指定されたコンテンツIDに対応するリスト化フラグが偽であれば、指定されたユーザをオーナーとして、発行するNFTのメタ情報に設定するようにしてもよい。
【0039】
NFT発行部213は、発行したNFTを、オーナーであるユーザのウォレットに送ることができる。また、NFT発行部213は、NFTを発行した場合には、当該NFTに対応するコンテンツに対応する状態情報のNFT化フラグ及びリスト化フラグを真に更新することができる。
【0040】
取引処理部214は、購入者を含むユーザ間でのデジタルアセットの取引処理を行う。取引処理部214は、いわゆる二次流通に関する処理を行う。取引処理部214は、例えば、NFTが譲渡された場合に、譲渡先のユーザをNFTのオーナーとして設定するトランザクションをブロックチェーンネットワーク30において発行することができる。取引処理部214は、ユーザ端末10から送信される譲渡リクエストに応じてトランザクションを発行することができる。譲渡リクエストには、NFTを特定する情報と、譲渡元のユーザを示すユーザID(譲渡元ユーザID、アカウント名やウォレットアドレスとすることができる。)、譲渡先のユーザを示すユーザID(譲渡先ユーザID)、譲渡価格などが含まれうる。取引処理部214は、譲渡先のユーザに対して譲渡価格(手数料を加算してもよい。)の課金処理を行うとともに、譲渡元のユーザに対して譲渡価格(手数料を減算してもよい。)を支払う処理を行うことができる。また、取引処理部214は、譲渡元ユーザIDのウォレットから譲渡先ユーザIDのウォレットにNFTを移動させることができる。
【0041】
==(A)二次流通時の最低売却価格は抽選1回分の価格以上とする==
また、取引処理部214は、最低取引額を設定することができる。例えば、取引処理部214は、取引時に、取引対象のNFTに含まれる商品IDに対応する最低取引額を最低取引額記憶部234から取得し、取得した最低取引額未満での取引を行わないようにすることができる。最低取引額は、コンテンツの価格(商品情報の単価)又は1回分の抽選の対価とすることができる。
【0042】
==(B)一次流通の販売期間中は二次流通の取引を実施不可に制限する==
また、取引処理部214は、販売期間中は取引処理を実行しないようにすることができる。
【0043】
==(C)一次流通の運営主体と二次流通の運営主体とを資本関係のない別の事業体にする==
また、販売部212による商品の販売を行う一次流通のマーケットプレイスと、取引処理部214によるNFTの取引を行う二次流通のマーケットプレイスとの運営主体を別事業体とすることができる。
【0044】
==(D)一次流通において購入したNFTを、複数のマーケットにおいて二次流通させる==
また、NFT発行部213により発行されたNFTは、取引処理部214による取引を行うマーケットプレイスのみでなく、他のマーケットプレイスにおいても取引可能とすることができる。NTF発行部213は、例えば、ERC721標準に準拠したNFTを発行することにより、他の市場においてもNFTを流通させるようにすることができる。
【0045】
==(E)異なる複数の運営主体のNFTを二次流通させる==
また、取引処理部214は、他のマーケットプレイスにおいて販売されたNFTを取引することができる。この場合、例えば、ブロックチェーンネットワーク30において、例えばERC721等の規格に準拠したNFTを管理するようにし、他のマーケットプレイスで発行されたERC721準拠のNFTについても、ブロックチェーンネットワーク30において管理するとともに、取引処理部214は、当該NFTについてトランザクションを発行してブロックに取り込むことができる。
【0046】
<ユーザ端末10>
図5は、ユーザ端末10のソフトウェア構成例を示す図である。ユーザ端末10は、購入部111と、NFT化リクエスト送信部112と、ウォレット113と、NFT取引部114と、を備えることができる。
【0047】
購入部111は、商品を購入する処理を行う。購入部111は、例えば、サーバ装置20が提供している商品の一覧を受信してユーザに提示するようにしてもよい。購入部111は、商品IDを指定した商品購入の申込リクエストをサーバ装置20に送信することにより、商品の購入を申し込むことができる。上述したように、申込リクエストに応じてサーバ装置20において抽選が行われ、抽選によりユーザに与えられるコンテンツが決定され、決定されたコンテンツが通知される。購入部111は、当選したコンテンツを取得して表示することができる。
【0048】
NFT化リクエスト送信部112は、コンテンツに対応するNFTを発行するリクエストを送信する。リクエストにはコンテンツIDが設定される。上述したように、当該リクエストに応じてサーバ装置20により、ブロックチェーンネットワーク30において、コンテンツに対応するNFTが発行される。NFTには、当該ユーザがオーナーとして設定される。
【0049】
ウォレット113は、トークンを管理するための手段である。ウォレット113は、例えば、ユーザのアカウント(ユーザID)と、ユーザの秘密鍵とを管理することができる。
【0050】
NFT取引部114は、NFTの取引(販売及び購入)に係る処理を行う。NFTを譲渡する場合、NFT取引部114は、譲渡リクエストをサーバ装置20に送信する。譲渡リクエストには、NFTを特定する情報と、譲渡元(自分自身)を示すユーザID(譲渡元ユーザID)と、譲渡先のユーザを示すユーザID(譲渡先ユーザID)と、譲渡価格とを設定することができる。
【0051】
<処理>
以下、本実施形態の取引システムの処理について説明する。本実施形態の取引システムでは、一次流通(商品の販売)と、二次流通(NFTの取引)とを行うことができる。
【0052】
図6は、一次流通に係る処理の流れを説明する図である。
【0053】
一次流通において、例えば、サーバ装置20は抽選で決定される3つの動画コンテンツをパックにした商品を販売することができる。ユーザは、商品の販売価格を支払って商品を購入することができる。この場合、ユーザ端末10は、商品購入の申込リクエストをサーバ装置20に送信し、サーバ装置20は申込リクエストを受信する(S301)。
【0054】
商品の販売価格は、運営会社が決定することができる。商品の価値は「動画」+「NFT化権」+「リスト権」の合算になる。NFTプロダクトとして考えたときには、「動画」の価値が低く(例えば30%)、かつ「NFT化権」+「リスト権」の便益価値が高く(例えば70%)なるように、コンテンツ価格、NFT化権価格及びリスト権価格が設定される。
【0055】
上述したように、各動画コンテンツは、その動画コンテンツをNFT化するNFT化権及びリスト権が付帯された商品として販売される。動画コンテンツは、ユーザーが購入する際に、サーバ装置20によりランダムで選択される(S302)。
【0056】
選択されたコンテンツは、ユーザに対して付与され、状態情報にコンテンツを示すコンテンツIDとユーザを示すユーザIDとを設定して状態記憶部232に登録される(S303)。
【0057】
ユーザは、NFT化権及びリスト権を行使して、自身が保有する商品(NFT化権が付帯された動画コンテンツ)を自らNFT化することができる。この場合、ユーザ端末10からユーザID及びコンテンツIDを指定したNFT発行のリクエストをサーバ装置20に送信し、サーバ装置20ではリクエストに応じてNFTが発行されてユーザのウォレットに移動される(S304)。
【0058】
図7は、二次流通に係る処理の流れを説明する図である。
【0059】
二次流通において、ユーザAは自身が保有するNFTをマーケットプレイスに出品することができる。本実施形態では、マーケットプレイスもサーバ装置20が提供することを想定している。マーケットプレイスへの出品は、電子商取引やオークションなどの一般的な手法により行うことができる。また、マーケットプレイスにおいて他のユーザBは、当該NFTをユーザAから購入することができる。マーケットプレイスにおける購入処理については、電子商取引やオークションなどに用いられている一般的な手法を用いることができ、ユーザAは、ユーザBから売却価格を受領することができる。なお、マーケットプレイスにおけるNFTとして発行の出品価格(売却価格)は、ユーザAが決定することができる。ここで、サーバ装置20は、最低取引価格以上の取引のみが成約するようにすることができる。
【0060】
ここでユーザ端末10は、コンテンツID、自身のユーザID(譲渡元ユーザID)、譲渡先のユーザIDを指定した譲渡リクエストをサーバ装置20に送信し(S321)、サーバ装置20は、コンテンツIDに対応するNFTのオーナーを、譲渡先のユーザIDに変更するトランザクションを発行する(S322)。これにより、NFTは譲渡元ユーザID(ユーザAのウォレット)から譲渡先ユーザID(ユーザBのウォレット)に移転することになる。
【0061】
以上のようにして、得喪が生じないようにコンテンツを抽選により販売し、取引することができる。
【0062】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0063】
例えば、本実施形態では、販売対象はコンテンツに便益価値を一体的に付帯させたものとしたが、便益価値のみを販売するようにしてもよい。この場合、サーバ装置20の販売部212は、コンテンツの販売とは独立して、少なくともNFT化権を商品として販売するようにすることができる。すなわち、コンテンツについては抽選部211により抽選を行うことに対する対価が支払われるようにして、抽選により選択されたコンテンツにつきNFT化するNFT化権及びリスト権を抽選とは別途販売するようにしてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、商品の販売時にはリスト化フラグをデフォルト値として偽を設定するものとしたが、例えば、NFT化権とリスト権を分離させたくない場合などには、リスト化フラグに真を設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10 ユーザ端末
20 サーバ装置
30 ブロックチェーンネットワーク
40 販売対象
41 コンテンツ
42 便益価値
50 NFT