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特開2023-39382高流動性TLCP材料及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039382
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】高流動性TLCP材料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/85 20060101AFI20230313BHJP
   C08G 63/60 20060101ALI20230313BHJP
   C07C 49/83 20060101ALI20230313BHJP
   C07C 45/45 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
C08G63/85
C08G63/60
C07C49/83 A
C07C45/45
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021172578
(22)【出願日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】202111064624.6
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521463768
【氏名又は名称】寧夏清研高分子新材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGXIA QINGYAN POLYMER MATERIALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Office 324, Office Bldg. of the Management Committee of Shizuishan ETDZ, Ningxia Hui Autonomous Region 753000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 東宝
(72)【発明者】
【氏名】于 冉
(72)【発明者】
【氏名】徐 良
【テーマコード(参考)】
4H006
4J029
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC44
4H006BA66
4J029AA05
4J029AB01
4J029AB04
4J029AC02
4J029AD01
4J029AD06
4J029AD09
4J029BB04A
4J029BE05A
4J029CB06A
4J029EB05A
4J029HB03A
4J029JA091
4J029JB171
4J029JF181
4J029JF471
4J029KB02
4J029KD01
4J029KD02
4J029KD05
4J029KD07
4J029KD17
4J029KE03
4J029KE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】溶融温度が低く、溶融ピークが少ない高流動性熱可塑性液晶ポリマー(以下TLCP)材料及びその調製方法を提供する。
【解決手段】(1)4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テレフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、レゾルシノールを混合し、混合モノマーを得る、(2)混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸を混合し、保護雰囲気下で重合反応を行い、プレポリマーを得る、(3)前記プレポリマーを負圧で加熱し、高流動性TLCP材料を得る、の3ステップを含む、TLCPの製造方法、及びそれにより得られるTLCPを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テレフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、レゾルシノールを混合し、混合モノマーを得るステップ、
(2)混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸を混合し、保護雰囲気下で重合反応を行い、プレポリマーを得るステップ、及び
(3)前記プレポリマーを負圧で加熱し、高流動性TLCP材料を得るステップ
を含むことを特徴とする高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項2】
前記混合モノマーにおいて、p-ヒドロキシ安息香酸:テレフタル酸:(4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン+レゾルシノール)のモル比=2~5:1:0.5~2であり、
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンとレゾルシノールのモル比は0~10:1であることを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項3】
前記混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸のモル比は2~5:0.5~1:1~1.5:2~4であることを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項4】
前記重合反応は、200~230℃の塩浴で2~4h還流し、0.5~1℃/minで250~280℃まで昇温し、0.5~2h還流攪拌し、さらに0.5~1℃/minで300~320℃まで昇温し、1~3h還流攪拌することを含むことを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項5】
前記負圧での加熱の真空圧力は0.7~0.8kPaであり、加熱温度は240~280℃であり、加熱時間は6~8hであることを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項6】
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンの調製方法は
(1)フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸を混合し、攪拌しながら加熱還流し、冷却し、氷水浴で攪拌し、固体生成物を得、前記固体生成物を水とアルカリ性溶液で洗浄し、初期生成物を得るステップ、及び
(2)前記初期生成物を水と混合し、清澄透明になるまで加熱還流し、活性炭と亜硫酸ナトリウムを加え、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得るステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項7】
前記フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸のモル比は1:1~2:10~15であることを特徴とする請求項6に記載の前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(1)における加熱還流温度は180~220℃であり、時間は8~10hであり、
前記アルカリ性溶液は、重炭酸ナトリウム溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウム溶液のうちの一種であり、アルカリ性溶液のpH値は7~9であることを特徴とする請求項6に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項9】
前記活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1:10~20であることを特徴とする請求項6に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の方法により調製され、溶融温度が380℃より低いことを特徴とする高流動性TLCP材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶高分子の技術分野に関し、具体的には、高流動性TLCP材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリマー(LCP)とは、一定の条件下で液晶相として存在できる高分子材料であり、固形結晶と液体の間の中間状態のポリマーであり、その分子配列は、固体結晶状態のように三次元的に規則的ではないが、液体のように無規則でもなく、一定の(一次元又は二次元)の規則性を有する。LCP材料は、優れた機械的性能、寸法安定性、電気性能、耐薬品性、難燃性に加えて、耐熱性が良く、熱膨脹係数が小さいなどの特徴を有する。
【0003】
LCPは、主にサーモトロピック液晶ポリマー(TLCP)、リオトロピック液晶ポリマー(LLCP)、ピエゾトロピック液晶ポリマーの3種類に分類される。サーモトロピック液晶ポリマーの液晶状態は、溶融状態またはガラス転移温度以上で形成され、リオトロピック液晶ポリマーの液晶状態は、溶液中で形成され、ピエゾトロピック液晶ポリマーの液晶状態は、圧力の下で形成される。
【0004】
LCP材料の重合方法は溶融重合を主として、全芳香族LCPは固相重合を主として、高分子量ポリマーを調製する。非全芳香族LCPは通常1段階又は2段階で溶融重合する。近年、連続溶融重合により高分子量LCPを調製する技術が急速に発展している。
【0005】
サーモトロピック液晶芳香族ポリエステルは、典型的なTLCP材料として、広く研究報告されている。サーモトロピック液晶コポリエステルは、サーモトロピック液晶特性を有するコポリエステルである。それらは一般的に芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族二塩基酸、二価フェノール又は/及びポリエチレンテレフタレート、ジエチレンテレフタレートの多成分共縮合によって形成される。
【0006】
サーモトロピック液晶芳香族ポリエステルのようなTLCP材料について多く報告されている。このようなTLCP材料は、比較的高い溶融温度と複数の溶融ピーク(複数の融点)を有し、構造型材料として良好な耐熱性を有するが、過度に高い溶融温度と複数の溶融ピークによりTLCP材料の成型加工過程に困難が生じ、主に材料の流動性能が悪いことに現れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術の欠点に鑑みて、本発明の目的は、溶融温度が低く、溶融ピークが少ない高流動性TLCP材料及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は以下の技術的解決策により実現される。
【0009】
以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法。
(1)4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テレフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、レゾルシノールを混合し、混合モノマーを得る。
(2)混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸を混合し、保護雰囲気下で重合反応を行い、プレポリマーを得る。
(3)前記プレポリマーを負圧で加熱し、高流動性TLCP材料を得る。
【0010】
前記混合モノマーにおいて、p-ヒドロキシ安息香酸:テレフタル酸:(4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン+レゾルシノール)のモル比=2~5:1:0.5~2であり、
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンとレゾルシノールのモル比は0~10:1である前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0011】
前記混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸のモル比は2~5:0.5~1:1~1.5:2~4である前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0012】
前記重合反応は、200~230℃の塩浴で2~4h還流し、0.5~1℃/minで250~280℃まで昇温し、0.5~2h還流攪拌し、さらに0.5~1℃/minで300~320℃まで昇温し、1~3h還流攪拌することを含む前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0013】
前記負圧での加熱の真空圧力は0.7~0.8kPaであり、加熱温度は240~280℃であり、加熱時間は6~8hである前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0014】
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンの調製方法は以下のステップを含む前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0015】
(1)フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸を混合し、攪拌しながら加熱還流し、冷却し、氷水浴で攪拌し、固体生成物を得る。前記固体生成物を水とアルカリ性溶液で洗浄し、初期生成物を得る。
【0016】
(2)前記初期生成物を水と混合し、清澄透明になるまで加熱還流し、活性炭と亜硫酸ナトリウムを加え、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥し、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
【0017】
前記フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸のモル比は1:1~2:10~15である前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0018】
前記ステップ(1)における加熱還流の温度は180~220℃であり、時間は8~10hであり、
【0019】
前記アルカリ性溶液は、重炭酸ナトリウム溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウム溶液のうちの一種であり、アルカリ性溶液のpH値は7~9である前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0020】
前記活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1:10~20である前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【0021】
同時に、本発明は、前記方法により調製され、溶融温度が380℃より低い高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、高流動性TLCP材料の調製方法を開示し、剛性連結基を含む4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを主モノマーとして導入し、p-ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、レゾルシノールと四元共重合することにより、主鎖分子の新構造を構築する。4’4-ジヒドロキシベンゾフェノンの純度を高め、モノマー比を最適化して調製プロセスのパラメーターを改善することにより、TLCP材料の溶融温度の低下と溶融ピークの減少を実現し、この材料が他のエンプラと同等の成型加工温度範囲を有し、比較的高い材料流動性を有することを保証することで、TLCP材料の加工性能を向上させる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、高流動性TLCP材料及びその調製方法を提供する。本発明の目的、技術的解決策および効果をよりはっきり、明確にするために、本発明を以下でさらに詳しく説明する。ここで説明される具体的な実施例は単に本発明を説明するものであり、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0024】
具体的には、本発明は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0025】
以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法。
【0026】
(1)フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸をモル比で1:1~2:10~15となるようにフラスコに入れて混合し、攪拌しながら180~220℃に加熱して8~10h還流し、室温まで冷却し、固体が析出するまで氷水浴で攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。前記固体生成物を水とアルカリ性溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0027】
(2)前記初期生成物を水と混合し、清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥し、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、アルカリ性溶液は、重炭酸ナトリウム溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウム溶液のうちの一種である。アルカリ性溶液のpH値は7~9である。
活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1:10~20である。
【0028】
(3)4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テレフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、レゾルシノールをフラスコに入れ、混合モノマーを得る。
ただし、p-ヒドロキシ安息香酸:テレフタル酸:(4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン+レゾルシノール)のモル比=2~5:1:0.5~2であり、
4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンとレゾルシノールのモル比は0~10:1である。
【0029】
(4)混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸をモル比で2~5:0.5~1:1~1.5:2~4となるように混合し、保護雰囲気下で200~230℃の塩浴で2~4h還流し、0.5~1℃/minで250~280℃まで昇温し、0.5~2h還流攪拌し、さらに0.5~1℃/minで300~320℃まで昇温し、1~3h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0030】
(5)前記プレポリマーを負圧で加熱し、高流動性TLCP材料を得る。
ただし、負圧での加熱の真空圧力は0.7~0.8kPaであり、加熱温度は240~280℃であり、加熱時間は6~8hである。
【0031】
同時に、本発明はさらに、前述方法により調製され、溶融温度が380℃より低い高流動性TLCP材料を提供する。
【0032】
以下、具体的な実施例により本発明の高流動性TLCP材料及びその調製方法をさらに説明する。
【実施例0033】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0034】
(1)0.1molのフェノール、0.2molのp-ヒドロキシ安息香酸、1.4molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに入れ、攪拌しながら220℃に加熱して10h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが8の重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0035】
(2)初期生成物を水と混合し、反応液が清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1: 20である。
【0036】
(3)0.011molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.045molのレゾルシノール、0.08mmolの三酸化アンチモン、0.11mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、210℃の塩浴で2.5h還流し、0.5℃/minで260℃まで昇温し、1h還流攪拌し、さらに0.67℃/minで310℃まで昇温し、2h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0037】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.8kPa、オーブン温度は260℃、オーブン加熱時間は7hである。高流動性TLCP材料を得る。
【0038】
本発明の別の実施例は、実施例1の方法により調製され、実施例1の高流動性TLCP材料の溶融温度が255℃と378℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【実施例0039】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0040】
(1)0.1molのフェノール、0.1molのp-ヒドロキシ安息香酸、1molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに入れ、攪拌しながら220℃に加熱して10h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが9の水酸化ナトリウム溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0041】
(2)初期生成物を水と混合し、反応液が清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1: 10である。
【0042】
(3)0.011molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.28molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.045molのレゾルシノール、0.05mmolの三酸化アンチモン、0.15mmolの酢酸亜鉛、0.4molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、230℃の塩浴で2h還流し、1℃/minで280℃まで昇温し、0.5h還流攪拌し、さらに1℃/minで320℃まで昇温し、1h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0043】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.8kPa、オーブン温度は240℃、オーブン加熱時間は8hである。高流動性TLCP材料を得る。
【0044】
本発明の別の実施例は、実施例2の方法により調製され、実施例2の高流動性TLCP材料の溶融温度が256℃と356℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【実施例0045】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0046】
(1)0.1molのフェノール、0.2molのp-ヒドロキシ安息香酸、1.5molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに加え、攪拌しながら220℃に加熱して10h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが7のアンモニア水溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0047】
(2)初期生成物を水と混合し、反応液が清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1: 20である。
【0048】
(3)0.028molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.028molのレゾルシノール、0.1mmolの三酸化アンチモン、0.15mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、210℃の塩浴で2.5h還流し、1℃/minで260℃まで昇温し、1h還流攪拌し、さらに0.67℃/minで310℃まで昇温し、2h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0049】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.8kPa、オーブン温度は260℃、オーブン加熱時間は7hである。高流動性TLCP材料を得る。
【0050】
本発明の別の実施例は、実施例3の方法により調製され、実施例3の高流動性TLCP材料の溶融温度が258℃と344℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【実施例0051】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0052】
(1)0.1molのフェノール、0.2molのp-ヒドロキシ安息香酸、1.4molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに入れ、攪拌しながら220℃に加熱して10h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが8の重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0053】
(2)初期生成物を水と混合し、反応液清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1: 10である。
【0054】
(3)0.045molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.011molのレゾルシノール、0.08mmolの三酸化アンチモン、0.11mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、200℃の塩浴で4h還流し、0.5℃/minで250℃まで昇温し、2h還流攪拌し、さらに0.67℃/minで300℃まで昇温し、3h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0055】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.7kPa、オーブン温度は280℃、オーブン加熱時間は8hである。高流動性TLCP材料を得る。
【0056】
本発明の別の実施例は、実施例4の方法により調製され、実施例4の高流動性TLCP材料の溶融温度が255℃と286℃である高流動性TLCP材料を提供する。
【実施例0057】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0058】
(1)0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.056molのレゾルシノール、0.08mmolの三酸化アンチモン、0.11mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、210℃の塩浴で2.5h還流し、0.67℃/minで260℃まで昇温し、1h還流攪拌し、さらに1℃/minで260℃まで昇温し、2h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0059】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.7kPa、オーブン温度は280℃、オーブン加熱時間は8hである。高流動性TLCP材料を得る。
【0060】
本発明の別の実施例は、実施例5の方法により調製され、実施例5の高流動性TLCP材料の溶融温度が262℃と325℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【実施例0061】
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含む高流動性TLCP材料の調製方法を提供する。
【0062】
(1)0.1molのフェノール、0.2molのp-ヒドロキシ安息香酸、1.4molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに入れ、攪拌しながら180℃に加熱して8h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが8の重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、初期生成物を得る。
【0063】
(2)初期生成物を水と混合し、反応液が清澄透明になるまで加熱還流し、温度を下げて活性炭と亜硫酸ナトリウムを加えた後、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
ただし、活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1: 20である。
【0064】
(3)0.045molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.011molのレゾルシノール、0.08mmolの三酸化アンチモン、0.11mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で通入窒素保護、210℃の塩浴で2.5h還流し、0.5℃/minで260℃まで昇温し、1h還流攪拌し、さらに1℃/minで310℃まで昇温し、2h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0065】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.7kPa、オーブン温度は280℃、オーブン加熱時間は8hである。高流動性TLCP材料を得る。
本発明の別の実施例は、実施例6の方法により調製され、実施例6の高流動性TLCP材料の溶融温度が294℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
<比較例>
本発明の1つの実施例は、以下のステップを含むTLCP材料の調製方法を提供する。
【0066】
(1)0.1molのフェノール、0.2molのp-ヒドロキシ安息香酸、1.4molのメタンスルホン酸を250mlフラスコに加え、攪拌しながら220℃に加熱して10h還流し、反応終了後に室温まで冷却し、反応生成物を氷水浴に移して固体が析出するまで攪拌し、濾過し、固体生成物を得る。固体生成物を水とpHが8の重炭酸ナトリウム溶液で数回洗浄して濾過し、乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得る。
【0067】
(2)0.011molの4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、0.056molのテレフタル酸、0.112molのp-ヒドロキシ安息香酸、0.045molのレゾルシノール、0.08mmolの三酸化アンチモン、0.11mmolの酢酸亜鉛、0.3molの無水酢酸を還流コンデンサー付きの四ツ口フラスコに入れ、反応過程で窒素を導入して保護し、210℃の塩浴で2.5h還流し、0.5℃/minで260℃まで昇温し、1h還流攪拌し、さらに0.67℃/minで310℃まで昇温し、2h還流攪拌し、プレポリマーを得る。
【0068】
(3)プレポリマーを真空オーブンに移し加熱する。真空オーブン圧力は0.8kPa、オーブン温度は260℃、オーブン加熱時間は7hである。TLCP材料を得る。
【0069】
本発明の別の比較例は、比較例の方法により調製され、比較例の高流動性TLCP材料の溶融温度が255℃と378℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する。
【0070】
上記からわかるように、p-ヒドロキシ安息香酸:テレフタル酸:(4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン+レゾルシノール)のモル比=2:1:1、且つ4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン:レゾルシノール=4:1であるとき、調製されたTLCP材料の融点は1つのみであり、他の実施例におけるTLCP材料の溶融温度よりも低く、この材料は良好な流動性と加工可能性を有する。
【0071】
本発明の適用は上記の例に限定されることはなく、当業者にとって、上記の説明に応じて改善または変換することが可能であり、これらのすべての改善および変換は本発明の特許請求の範囲に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン、テレフタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、レゾルシノールを混合し、混合モノマーを得るステップ、
(2)混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸を混合し、保護雰囲気下で重合反応を行い、プレポリマーを得るステップ、及び
(3)前記プレポリマーを負圧で加熱し、高流動性TLCP材料を得るステップ
を含む、高流動性TLCP材料の調製方法であって、
前記混合モノマーにおいて、p-ヒドロキシ安息香酸:テレフタル酸:(4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン+レゾルシノール)のモル比=2~5:1:0.5~2であり、
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンとレゾルシノールのモル比は4:1であり、
前記4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンの調製方法は
(a)フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸を混合し、攪拌しながら加熱還流し、冷却し、氷水浴で攪拌し、固体生成物を得、前記固体生成物を水とアルカリ性溶液で洗浄し、初期生成物を得るステップ、及び
(b)前記初期生成物を水と混合し、清澄透明になるまで加熱還流し、活性炭と亜硫酸ナトリウムを加え、淡黄色の濾液が得られるまで加熱還流し、冷却して固形結晶を析出させ、洗浄乾燥させ、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンを得るステップを含むことを特徴とする、高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項2】
前記混合モノマー、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、無水酢酸のモル比は2~5:0.5~1:1~1.5:2~4であることを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項3】
前記重合反応は、200~230℃の塩浴で2~4h還流し、0.5~1℃/minで250~280℃まで昇温し、0.5~2h還流攪拌し、さらに0.5~1℃/minで300~320℃まで昇温し、1~3h還流攪拌することを含むことを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項4】
前記負圧での加熱の真空圧力は0.7~0.8kPaであり、加熱温度は240~280℃であり、加熱時間は6~8hであることを特徴とする請求項1に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項5】
前記フェノール、p-ヒドロキシ安息香酸、メタンスルホン酸のモル比は1:1~2:10~15であることを特徴とする請求項に記載の前記高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項6】
前記ステップ()における加熱還流温度は180~220℃であり、時間は8~10hであり、
前記アルカリ性溶液は、重炭酸ナトリウム溶液、アンモニア水、水酸化ナトリウム溶液のうちの一種であり、アルカリ性溶液のpH値は7~9であることを特徴とする請求項に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【請求項7】
前記活性炭、亜硫酸ナトリウム、初期生成物の質量比は1:1:10~20であることを特徴とする請求項に記載の高流動性TLCP材料の調製方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
(4)プレポリマーを真空オーブンに移して加熱する。真空オーブン圧力は0.7kPa、オーブン温度は280℃、オーブン加熱時間は8hである。高流動性TLCP材料を得る。
本発明の別の実施例は、実施例6の方法により調製され、実施例6の高流動性TLCP材料の溶融温度が294℃である高流動性TLCP材料をさらに提供する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0067
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】削除
【補正の内容】