IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリーン・テクノロジー株式会社の特許一覧

特開2023-39391物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置
<>
  • 特開-物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置 図1
  • 特開-物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置 図2
  • 特開-物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置 図3
  • 特開-物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置 図4
  • 特開-物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039391
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 47/06 20060101AFI20230313BHJP
【FI】
B01D47/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022020163
(22)【出願日】2022-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2021145868
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501274584
【氏名又は名称】クリーン・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】淡路 敏夫
【テーマコード(参考)】
4D032
【Fターム(参考)】
4D032AC05
4D032AC10
4D032BA03
4D032BB19
4D032CA01
(57)【要約】
【課題】高濃度の粉塵含有気体の処理を円滑に行うことができ、かつ、装置構成を簡易にすることができるとともに、気体の流量と粉塵除去能力のバランスを取りやすい、独立して設置して使用する粉塵含有気体処理装置を提供すること。
【解決手段】回転ブラシからなる捕集体2の回転により発生する気流のみの作用により、気体導入部7から処理室1に気体を導入し、処理室1から気体排出部8を通して気体を排出するようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の処理室と、該処理室内に配置された回転ブラシと、該回転ブラシを回転させる回転駆動機構と、処理室に物質を導入する物質導入部と、処理室から物質を排出する物質排出部とを備えてなる物質の流動化装置において、前記回転ブラシの回転により発生する気圧のみの作用により、物質導入部から処理室に物質を導入し、処理室から物質排出部を通して物質を排出するようにしてなることを特徴とする物質の流動化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の物質の流動化装置を備えた気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置であって、粉塵を含有する気体を導入し、該気体から粉塵を除去する筒状の処理室と、該処理室内に配置され、気体に含有されている粉塵を捕集する、回転ブラシからなる捕集体と、処理室に配設した液体の散布機構と、処理室内を流下した液体の貯留部と、捕集体を回転させる回転駆動機構と、処理室に粉塵を含有する気体を導入する気体導入部と、処理室から粉塵を除去した気体を排出する気体排出部とを備え、前記回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流のみの作用により、気体導入部から処理室に気体を導入し、処理室から気体排出部を通して気体を排出するようにしてなることを特徴とする粉塵含有気体処理装置。
【請求項3】
前記処理室に、回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流による気圧差が生じさせる気流ガイド板を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の粉塵含有気体処理装置。
【請求項4】
前記処理室の中心部に気体導入部の処理室側の開口を形成するとともに、処理室の外周部に気体排出部の処理室側の開口を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の粉塵含有気体処理装置。
【請求項5】
前記処理室に、回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流の動圧が作用しない方向に向けて気体導入部の処理室側の開口を形成するとともに、気流の動圧が作用する方向に向けて気体排出部の処理室側の開口を形成するようにしたことを特徴とする請求項2に記載の粉塵含有気体処理装置。
【請求項6】
前記気体排出部を、エルボ形状に形成し、処理室から気体排出部を介して気体を上方に向けて排出されるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の粉塵含有気体処理装置。
【請求項7】
前記液体の貯留部に回収した液体を、液体の散布機構に循環させるようにしたことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の粉塵含有気体処理装置。
【請求項8】
前記液体の貯留部に液体の散布機構のポンプを設置し、該ポンプを捕集体の支持体に連結して、捕集体を回転させる回転駆動機構により駆動するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の粉塵含有気体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質の流動化装置及びこの物質の流動化装置を備えた粉塵を含有する気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉塵を含有する気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置として、乾式や湿式の種々の装置が提案されている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【0003】
ところで、従来の粉塵含有気体処理装置は、半導体製造装置から排出される排ガスなどの比較的低濃度の粉塵含有気体の処理を行うことを目的とするもの多く、高濃度の粉塵含有気体の処理に適用した場合、処理を円滑に行うことができないという問題があった。
【0004】
この問題に対処するため、本件出願人は、先に、高濃度の粉塵含有気体の処理を円滑に行うことができる粉塵含有気体処理装置を提案した(特許文献3参照。)。
【0005】
この粉塵含有気体処理装置は、図5に示すように、粉塵を含有する気体を導入し、この気体から粉塵を除去する筒状の処理室1と、処理室1内に配置され、気体に含有されている粉塵を捕集する、支持体21に毛22を植設したブラシからなる捕集体2と、処理室1に配設した液体の散布機構3と、処理室1の下部に形成した撹拌体4を備えた液体の貯留部5と、捕集体2及び撹拌体4を回転させる回転駆動機構6と、処理室1に粉塵を含有する気体を導入する気体導入部7と、処理室1から粉塵を除去した気体を排出する気体排出部8と、気体から除去した粉塵を含む液体を排出する液体排出部9とを備えるようにしている。
そして、この粉塵含有気体処理装置においては、気体排出部8から排出される気体を、液体の散布機構3のノズル31の配設位置より上方位置Z2で、毛を疎水性(撥水性)の材料で構成したブラシからなる捕集体2によって、液体をふるい落とすことによって、ドライな状態で排出するようにすることができるとともに、液体の散布機構3のノズル31の配設位置より下方位置Z1で、毛を親水性の材料で構成したブラシからなる捕集体2によって、粉塵を絡め捕るようにすることによって、粉塵の除去効率を向上することができるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-140546号公報
【特許文献2】実開平4-65114号公報
【特許文献3】特許第6739085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献3に記載の粉塵含有気体処理装置は、主に、気体が流通するダクトの途中に介在させて設置して使用することを前提としたもので、この粉塵含有気体処理装置を独立して設置して使用する場合、気体を流動させるためのファンを別途設ける必要がある。
そして、ファンの動力を捕集体2(及び撹拌体4)を回転させる回転駆動機構6と共用する場合にしても、別途駆動機構を設けるにしても、装置構成が複雑になるとともに、気体の流量(処理量)とウイルス除去能力のバランスが取りにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の粉塵含有気体処理装置の有する問題点に鑑み、特許文献3に記載の粉塵含有気体処理装置が有する、高濃度の粉塵含有気体の処理を円滑に行うことができるという利点を享有しながら、装置構成を簡易にすることができるとともに、気体の流量と粉塵除去能力のバランスを取りやすい、独立して設置して使用することができる物質の流動化装置及びこの物質の流動化装置を備えた粉塵含有気体処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の物質の流動化装置は、筒状の処理室と、該処理室内に配置された回転ブラシと、該回転ブラシを回転させる回転駆動機構と、処理室に物質を導入する物質導入部と、処理室から物質を排出する物質排出部とを備えてなる物質の流動化装置において、前記回転ブラシの回転により発生する気圧のみの作用により、物質導入部から処理室に物質を導入し、処理室から物質排出部を通して物質を排出するようにしてなることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の粉塵含有気体処理装置は、上記物質の流動化装置を備えた気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置であって、粉塵を含有する気体を導入し、該気体から粉塵を除去する筒状の処理室と、該処理室内に配置され、気体に含有されている粉塵を捕集する、回転ブラシからなる捕集体と、処理室に配設した液体の散布機構と、処理室内を流下した液体の貯留部と、捕集体を回転させる回転駆動機構と、処理室に粉塵を含有する気体を導入する気体導入部と、処理室から粉塵を除去した気体を排出する気体排出部とを備え、前記回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流のみの作用により、気体導入部から処理室に気体を導入し、処理室から気体排出部を通して気体を排出するようにしてなることを特徴とする。
このため、より具体的には、以下の構成を採用することができる。
(1)前記処理室に、回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流による気圧差が生じさせる気流ガイド板を形成する。
(2)前記処理室の中心部に気体導入部の処理室側の開口を形成するとともに、処理室の外周部に気体排出部の処理室側の開口を形成する。
(3)前記処理室に、回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流の動圧が作用しない方向に向けて気体導入部の処理室側の開口を形成するとともに、気流の動圧が作用する方向に向けて気体排出部の処理室側の開口を形成する。
(4)前記気体排出部を、エルボ形状に形成し、処理室から気体排出部を介して気体を上方に向けて排出されるようにする。
【0011】
この場合において、前記液体の貯留部に回収した液体を、液体の散布機構に循環させるようにすることができる。
【0012】
また、前記液体の貯留部に液体の散布機構のポンプを設置し、該ポンプを捕集体の支持体に連結して、捕集体を回転させる回転駆動機構により駆動するようにすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物質の流動化装置によれば、回転ブラシの回転により発生する気圧のみの作用により、物質導入部から処理室に物質を導入し、処理室から物質排出部を通して物質を排出するようにすることにより、独立して設置して使用する物質の流動化装置として、装置構成を簡易にすることができるとともに、物質の流動化を簡易に制御することができる。
【0014】
また、本発明の粉塵含有気体処理装置によれば、粉塵を含有する気体を導入し、該気体から粉塵を除去する筒状の処理室と、該処理室内に配置され、気体に含有されている粉塵
を捕集する、回転ブラシからなる捕集体と、処理室に配設した液体の散布機構と、処理室内を流下した液体の貯留部と、捕集体を回転させる回転駆動機構と、処理室に粉塵を含有する気体を導入する気体導入部と、処理室から粉塵を除去した気体を排出する気体排出部とを備えてなるようにすることにより、捕集体によって捕集された粉塵を、散布機構から散布される液体によって洗い落とし、処理室内を流下した液体の貯留部に回収するようにすることにより、高濃度の粉塵含有気体の処理を、圧損の小さい低負荷環境で、大量の液体を使用することなく、メンテナンスフリーで、円滑に行うことができる。
また、気体に含まれる粉塵の除去と併せて、散布機構から散布される液体によって、気体に含まれる有害ガスの無害化処理を同時に行うことができる。
さらに、回転ブラシからなる捕集体の回転により発生する気流のみの作用により、気体導入部から処理室に気体を導入し、処理室から気体排出部を通して気体を排出するようにすることにより、独立して設置して使用する粉塵含有気体処理装置として、装置構成を簡易にすることができるとともに、気体の流量と粉塵除去能力のバランスを取りやすくすることができる。
【0015】
また、液体の貯留部に回収した液体を、液体の散布機構に循環させるようにすることにより、液体の使用量及び排水量を低減することができる。
【0016】
また、液体の貯留部に液体の散布機構のポンプを設置し、該ポンプを捕集体の支持体に連結して、捕集体を回転させる回転駆動機構により駆動するようにすることにより、液体の散布機構のポンプの駆動機構を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の粉塵含有気体処理装置の第1実施例を示す説明図で、(a)は全体正面図、(b)は(a)のX-X断面図、(c)は(a)のY-Y断面図である。
図2】本発明の粉塵含有気体処理装置の第2実施例を示す説明図で、(a)は全体正面図、(b)は(a)のX-X断面図、(c)は(a)のY-Y断面図である。
図3】本発明の粉塵含有気体処理装置の第3実施例を示す説明図で、(a)は全体正面図、(b)は(a)のC-C断面図、(c)は(a)のD-D断面図、(d)は(a)のA-A矢視図、(e)は(a)のB-B断面図、(f)は(a)のE-E断面図、(g)は(f)のF矢視図、(h)は(g)のG矢視図である。
図4】本発明の粉塵含有気体処理装置の第4実施例を示す全体正面図である。
図5】従来の粉塵含有気体処理装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に、本発明の物質の流動化装置を備えた気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置の第1実施例を示す。
この粉塵含有気体処理装置は、粉塵を含有する気体から粉塵を除去するためのもので、粉塵を含有する気体を導入し、この気体から粉塵を除去する筒状、好ましくは、円筒状の処理室1と、処理室1内に配置され、気体に含有されている粉塵を捕集する、回転ブラシからなる捕集体2と、処理室1に配設した液体の散布機構3と、処理室1の下部に形成した液体の貯留部5と、捕集体2を回転させる回転駆動機構6と、処理室1に粉塵を含有する気体を導入する気体導入部7と、処理室1から粉塵を除去した気体を排出する気体排出部8と、気体から除去した粉塵を含む液体を排出する液体排出部9とを備えるようにしている。
【0020】
捕集体2を構成する回転ブラシは、支持体21に毛22を植設したブラシからなり、毛
22が支持体21の局部に植設されるブラシと、毛22が支持体21のほぼ全体にわたって分散して植設されるブラシとが含まれる。
毛22が支持体21の局部に集中して植設されるブラシとしては、螺旋ブラシ(本実施例)、円盤ブラシなどが含まれる。
【0021】
捕集体2を構成する回転ブラシは、支持体21に植設した毛22の先端が、筒状の処理室1の内周面に接触するようにすることが好ましい。
これにより、捕集体2を構成する回転ブラシによって、処理室1の内周面を常に清浄な状態に維持することができる。
【0022】
回転ブラシの支持体21及び毛22の材質は、特に限定されることはないが、処理温度を斟酌して、例えば、処理温度が常温あるいは室温程度から百数十℃程度と比較的低温の場合には、比較的耐熱性が低いポリエチレンテレフタレート樹脂やポリアミド樹脂などの各種合成樹脂や、この合成樹脂に金属などの電気良導体の粉末を配合した導電性合成樹脂などを用いることができる。また、これよりも処理温度が高い場合には、耐熱性が高い合成樹脂や、この高耐熱性合成樹脂に金属などの電気良導体の粉末を配合した高耐熱導電性合成樹脂や、金属が用いられる。処理温度を高くする場合には、特に熱伝導率の高い材質、例えば、銅、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼などの金属やセラミックウール、さらに、金属とセラミックの混合物で形成された繊維を選択することにより、処理室内の熱を効率よく捕集体に吸収することができるので、また、この捕集体を加熱する加熱手段を設ける場合には、加熱手段の発熱を効率よく捕集体の表面まで伝導させることができるので、装置の始動時の処理能力の立ち上がりを急峻にできるとともに、捕集体の表面で化学処理を活発に進行させて、化学処理により生成する固形物を容易に、かつ、効率よく捕集体に捕集させることができる。
【0023】
処理室1に配設した液体の散布機構3は、処理室1内に液体を均一に散布することができるように、液体の散布機構3のノズル31を処理室1の中間位置に配設するようにしている。
そして、ノズル31を配設位置より上方位置の捕集体2の毛を、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の合成樹脂や金属等の疎水性(撥水性)の材料で、下方位置の捕集体2の毛を、ポリアミド樹脂ナイロン、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等の親水性の材料で、それぞれ構成するようにすることが好ましい。
これにより、気体排出部8から排出される気体を、液体の散布機構3のノズル31の配設位置より上方位置で、毛を疎水性(撥水性)の材料で構成した捕集体2によって、液体をふるい落とすことによって、ドライな状態で排出するようにすることができるとともに、液体の散布機構3のノズル31の配設位置より下方位置で、毛を親水性の材料で構成した捕集体2によって、粉塵を絡め捕るようにすることによって、粉塵の除去効率を向上することができる。
【0024】
液体の散布機構3から散布する液体は、水のほか、処理対象の粉塵含有気体の性状や処理室1内で行われる化学処理、具体的には、酸化、還元、分解、中和などに応じた液体を用いることができる。
【0025】
処理室1の下部に形成した液体の貯留部5は、捕集体2によって捕集され、散布機構3から散布される液体によって洗い落とされた粉塵を含む液体を回収、貯留し、液体排出部9を介して順次排出するようにしたものである。
ここで、処理対象の粉塵含有気体の性状や処理内容によって、貯留部5に貯留された粉塵を含む液体を撹拌し、濃度を均一化させる撹拌体(図示省略)を設けることもできる。
【0026】
液体の貯留部5は、処理室1の下部に一体に形成するほか、メンテナンスや大量の粉塵の処理のために、処理室1に取り外し可能に配設することもできる。
【0027】
捕集体2(及び撹拌体)を回転させる回転駆動機構6は、捕集体2(及び撹拌体)を回転させることで、捕集体2による粉塵の捕集効果、及び、撹拌体による液体の貯留部5に貯留された粉塵を含む液体の濃度の均一化効果を高めるためのものである。
また、捕集体2の回転軸(回転ブラシの支持体21)は、両端に軸受を設けることによって、例えば、1000rpm以上の高速回転運転を可能にしたが、上端のみに軸受を設けるようにすることもできる。
ここで、捕集体2の回転軸の回転数は、捕集体2による粉塵の捕集効果、消費エネルギ等を勘案して、100~3600rpm、好ましくは、300~2400rpm、より好ましくは、600~1800rpm程度に設定するようにする。
【0028】
また、液体の貯留部5に回収した液体を、液体排出部9を介して、液体の散布機構3に循環させるようにすることにより、液体の使用量及び排水量を低減することができる。
この場合、液体の循環路には、必要に応じて、濾過器を設けることができる。
具体的には、直径200mmの処理室1を備えた粉塵含有気体処理装置において、液体の散布機構3からは、通常、数L/min~数百L/min、好ましくは、数十L/minの液体を散布するようにするが、このように、液体を循環使用することによって、液体の使用量及び排水量を散布する液体の1/10以下に低減することができる。
【0029】
ところで、この粉塵含有気体処理装置は、独立して設置して使用することができるもので、このため、回転ブラシからなる捕集体2の回転により発生する気流のみの作用により、気体導入部7から処理室1に気体を導入し、処理室1から気体排出部8を介して気体を排出するようにすることができるようにしている。
【0030】
このため、気体導入部7及び気体排出部8を形成する処理室1の外周部に形成した開口の位置には、回転ブラシからなる捕集体2の回転により発生する気流による気圧差が生じるように、気流ガイド板11、12を形成し、気体導入部7から処理室1に気体が導入され、処理室1から気体排出部8を介して気体が排出されるようにする。
【0031】
この場合において、回転ブラシからなる捕集体2は、螺旋ブラシ(本実施例)のほか、円盤ブラシ、毛22が支持体21のほぼ全体にわたって分散して植設されるブラシ等を用いることができる。螺旋ブラシの場合、回転ブラシからなる捕集体2の回転方向により、処理室1の気体の流動方向(下から上方向)と、螺旋ブラシの送り方向を一致させることで気体の流量(処理量)を増大させることができる。
【0032】
ここで、気流ガイド板11に代えて、図2に示す第2実施例に示すように、回転ブラシからなる捕集体2の回転により発生する気流の作用により低圧となる処理室1の中心部に気体導入部7の処理室1側の開口を形成するとともに、高圧となる処理室1の外周部に気体排出部8の処理室1側の開口を形成するようにしたり、図3に示す第3実施例に示すように、回転ブラシからなる捕集体(図示省略)の回転により発生する気流(図3(h)の矢印)の動圧が作用しない方向に向けて気体導入部7の処理室1側の開口を形成するとともに、気流の動圧が作用する方向に向けて気体排出部8の処理室1側の開口を形成するようにしたり、気流ガイド板12に代えて、図3に示す第3実施例に示すように、回転ブラシからなる捕集体(図示省略)の回転により発生する気流(図3(d)の矢印)の動圧が作用する方向に向けて気体排出部8の処理室1側の開口を形成したりすることで、気体導入部7から処理室1に気体が導入され、処理室1から気体排出部8を介して気体が排出されるようにすることもできる。
さらに、気体排出部8を、図3に示す第3実施例に示すように、エルボ形状に形成し、
処理室1から気体排出部8を介して気体を上方に向けて排出されるようにすることができる。
【0033】
また、上記実施例においては、液体の散布機構3のポンプを、液体の貯留部5の外に設置するようにしていたが、図4に示す第4実施例に示すように、液体の貯留部5に液体の散布機構3のポンプ32を設置し、このポンプ32を捕集体2の支持体21に連結して、捕集体2を回転させる回転駆動機構6により駆動するようにすることができる。
この場合、捕集体2の支持体21にポンプ32を直結するほか、減速機構を介して連結することもできる。
これにより、液体の散布機構3のポンプ32の駆動機構を簡略化することができる。
【0034】
この粉塵含有気体処理装置は、捕集体2によって捕集された粉塵を、散布機構3から散布される液体によって洗い落とし、処理室1の下部に形成した液体の貯留部5に回収するようにすることにより、高濃度の粉塵含有気体の処理を、圧損の小さい低負荷環境で、大量の液体を使用することなく、メンテナンスフリーで、円滑に行うことができる。
また、気体に含まれる粉塵の除去と併せて、散布機構3から散布される液体によって、気体に含まれる有害ガスの無害化処理を同時に行うことができる。
さらに、捕集体2(及び必要に応じて配設することができる撹拌体)を回転させる回転駆動機構6の駆動力のみで、作動するように構成することができ、装置構成を簡易にすることができるとともに、気体を流動させるためのファンを設ける場合と比較して、気体の流量(処理量)とウイルス除去能力のバランスを取りやすくすることができる。
【0035】
以上、本発明の物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置について、物質の流動化装置を備えた気体から粉塵を除去する粉塵含有気体処理装置の複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせたり、気体導入部を処理室の上部(上面)に、気体排出部を処理室の下部に形成するようにしたり、気体導入部及び気体排出部を処理室の同じ高さ位置に形成するようにしたり、処理室及び捕集体(回転ブラシ)の軸を鉛直方向以外の水平方向や斜め方向に設ける等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の物質の流動化装置及び粉塵含有気体処理装置は、高濃度の粉塵含有気体の処理を円滑に行うことができ、かつ、装置構成を簡易にすることができるとともに、気体の流量と粉塵除去能力のバランスを取りやすい特性を有していることから、独立して設置して使用する粉塵含有気体処理装置として、気体の洗浄、空気清浄、除菌、脱臭等の用途に広く用いることができる。
また、本発明の物質の流動化装置は、粉塵含有気体以外の各種気体や粉体等の固体を流動化する用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 処理室
11 気流ガイド板
12 気流ガイド板
2 捕集体(回転ブラシ)
21 支持体
22 毛
3 液体の散布機構
31 ノズル
32 ポンプ
4 撹拌体
5 液体の貯留部
6 回転駆動機構
7 気体導入部
8 気体排出部
9 液体排出部
図1
図2
図3
図4
図5