(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039414
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20230313BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230313BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230313BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20230313BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20230313BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230313BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230313BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230313BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230313BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230313BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230313BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20230313BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
A61K31/05
A61K47/44
A61K47/34
A61K47/06
A61K47/46
A61K47/12
A61K47/10
A61P25/08
A61P25/00
A61P17/00
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132117
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021145959
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】稲冨 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】中島 千絵
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA14
4C076AA37
4C076AA56
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD29
4C076DD34N
4C076DD40N
4C076DD41N
4C076DD43N
4C076DD46
4C076DD67
4C076EE17N
4C076EE31
4C076EE57N
4C076EE58N
4C076FF34
4C076FF68
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA72
4C206NA10
4C206NA11
4C206ZA01
4C206ZA06
4C206ZA89
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カンナビジオールの吸収促進作用に優れた経口組成物を提供すること。
【解決手段】キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
【請求項2】
カンナビジオールと、ポリアミン、アスタキサンチン及びオキアミから選ばれる少なくとも1種を含有する経口組成物。
【請求項3】
キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分と、カンナビジオールとを含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
【請求項4】
サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンナビジオールを含有する経口組成物に関し、特に、カンナビジオールの吸収が高められた経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
新たな薬理作用を期待した成分として、カンナビジオール(CBD)が注目されている。カンナビジオールとは、麻に含まれるカンナビノイドの一種であり、例えばてんかん発作の治療薬や、結節性硬化症の治療用組成物などが開発されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
このようなカンナビジオールの薬理効果を期待し、様々な研究がなされている。しかしながら、カンナビジオールは油溶性であることから体内で吸収されにくく、十分な薬理効果を得ることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2013-523708号公報
【特許文献2】特表2017-537064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、体内におけるカンナビジオールの吸収促進作用を高めることを課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、本発明者らは、カンナビジオールとともに特定成分の機能性成分を配合することにより、カンナビジオールの吸収が促進された経口組成物の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
<2>カンナビジオールと、ポリアミン、アスタキサンチン及びオキアミから選ばれる少なくとも1種を含有する経口組成物。
<3>キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分と、カンナビジオールとを含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
<4>キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、オキアミ、サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
<5>キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、オキアミ、サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分と、カンナビジオールとを含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
<6>サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分を含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
<7>サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分と、カンナビジオールとを含有することを特徴とするカンナビジオールの吸収促進用経口組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カンナビジオールと共に特定成分の機能性成分を含有することにより、カンナビジオールの吸収を高め、カンナビジオールの有する様々な生理活性効果を効率的に享受することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の固形組成物について詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0010】
<カンナビジオール>
カンナビジオールは、カンナビノイドの一種であり、麻に含まれることが知られている。カンナビジオールは、同じカンナビノイドの一種であるテトラヒドロカンナビノールとはその薬理効果が異なることが知られている。本発明において、カンナビジオールは麻や柑橘類の果皮など植物から抽出、精製したものや、合成したものを使用することができるが、安全性、安定性を高め、長期間継続的に経口摂取可能な点から、合成したものを使用することが好ましい。
【0011】
本発明の経口組成物におけるカンナビジオールの含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは0.01質量%以上である。また、99.9質量%以下が好ましく、99.5質量%以下がより好ましい。なお、本明細書における固形分とは、組成物から水分を除いた量である。
【0012】
本発明において、経口組成物中のカンナビジオールの含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量することができる。HPLCの条件としては、例えば、インタクト株式会社製Unison UK-C18HT(粒径3μm)φ4.6×150 mmのカラムを用い、移動相の液媒として、水/アセトニトリル混合液を用い、グラジエント条件は以下の表1とし、カラム温度は55℃、流量1.0ml/分とすることで分析することができる。
【0013】
【0014】
<機能性成分>
本発明の経口組成物は、キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、米、肝油、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ヘマトコッカス藻、オキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分を含有することを特徴とする。これらの機能性成分を含有することにより、生体内へのカンナビジオールの吸収を促進することが可能となる。本発明においては、機能性成分はカンナビジオールの吸収性を高める観点から、カンナビジオールと共に同一組成物中に配合されることが好ましい。また、本発明において、これら機能性成分は1種又は2種以上を使用することができる。特に、機能性成分としてサフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油を配合する場合は、吸収促進性向上の観点から機能性成分を2種以上使用することが好ましい。
【0015】
(キバナオウギ)
キバナオウギ(黄花黄耆;学名 Astragalus membranaceus)とは、マメ科ゲンゲ属の多年生植物である。キバナオウギには、フラボノイドやサポニンが含まれることが知られている。キバナオウギの使用部位としては、全体を使用してもよく、植物の葉、花、茎、種子、芽、根、地下茎(根茎、球茎、塊茎、鱗茎)等の特定の部位を用いてもよく、特に制限はないが、簡便に利用できる点、サポニンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、葉、花、茎といった地上部が好ましい。
【0016】
本発明において、キバナオウギの処理方法は特に制限はないが、簡便に利用できる点、サポニンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、粉砕物、搾汁物、抽出物が好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出物の場合、抽出溶媒は通常経口組成物に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、水、エタノール、又はその混合物が好ましい。キバナオウギの処理物は、例えば、後述する方法により得ることができる。
【0017】
(サンシチニンジン)
サンシチニンジン(三七人参;学名 Panax notoginseng)とは、ウコギ科トチバニンジン属の植物であり、別名をデンシチニンジン(田七人参)とも言う。サンシチニンジンには、サポニンが含まれることが知られている。サンシチジンジンの部位としては、全体を使用してもよく、植物の葉、花、茎、種子、芽、根、地下茎(根茎、球茎、塊茎、鱗茎)等の特定の部位を用いてもよく、特に制限はないが、簡便に利用できる点、サポニンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、根、地下茎、葉、花、茎が好ましく、葉、花、茎といった地上部が特に好ましい。
【0018】
本発明において、サンシチニンジンの処理方法は特に制限はないが、簡便に利用できる点、サポニンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、粉砕物、搾汁物、抽出物が好ましく、抽出物が特に好ましい。抽出物の場合、抽出溶媒は通常経口組成物に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、水、エタノール、又はその混合物が好ましい。サンシチニンジンの処理物は、例えば、後述する方法により得ることができる。
【0019】
(ダイダイ)
ダイダイ(橙;学名 Citrus Aurantium)とは、ミカン科ミカン属の緑葉樹の植物である。ダイダイの果実には、シフネリンが含まれることが知られている。ダイダイの使用部位としては、全体を使用してもよく、植物の葉、花、茎、種子、芽、根、地下茎(根茎、球茎、塊茎、鱗茎)等の特定の部位を用いてもよく、特に制限はないが、簡便に利用できる点、シフネリンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、果実が好ましい。
【0020】
本発明において、ダイダイの処理方法は特に制限はないが、簡便に利用できる点、シフネリンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、粉砕物、搾汁物、抽出物が好ましく、抽出物がより好ましい。抽出物の場合、抽出溶媒は通常経口組成物に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、水、エタノール、又はその混合物が好ましい。ダイダイの処理物は、例えば、後述する方法により得ることができる。
【0021】
(ポリアミン)
ポリアミンとは、第一級アミノ基が3つ以上結合した直鎖脂肪族炭化水素の総称であり、例えば、スペルミン、スペルミジン、プトレシンが挙げられる。ポリアミンは、白子、貝類、豆類、イネ等の植物に含まれることが知られている。本発明において、ポリアミンの由来は特に限定されないが、簡便に利用できる点、ポリアミンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、イネが好ましく、米胚芽が特に好ましい。イネ(稲;学名 Oryza sativa)とは、イネ科イネ属の植物である。イネの胚芽(米胚芽)にはポリアミンが含まれることが知られている。
【0022】
本発明において、イネの処理方法は特に制限はないが、簡便に利用できる点、ポリアミンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、粉砕物、搾汁物、抽出物が好ましく、抽出物がより好ましく、クエン酸水溶液の抽出物が特に好ましい。イネの処理物は、例えば、後述する方法により得ることができる。
【0023】
(スクワレン)
スクワレンとは、トリテルペンに属する油性物質である。スクワレンは、肝油、オリーブ油に含まれることが知られている。本発明において、スクワレンの由来は特に限定されないが、簡便に利用できる点、スクワレンが多く含まれる点から、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、肝油が好ましい。肝油とは、タラ、サメ、エイの肝臓に含まれる液体、又は、その液体から抽出した脂肪分である。本発明においてスクワレンとして肝油を使用する場合、サメ肝油が特に好ましい。肝油は、そのまま、又は抽出したもの、いずれも用いることができるが、スクワレンを多く含む点から肝油又はその抽出物を精製したものを用いるのが好ましい。
【0024】
(有胞子性乳酸菌)
有胞子性乳酸菌とは、胞子を形成する乳酸菌であり、乾燥状態、熱及び酸に強いという特徴を有する。有胞子性乳酸菌としては、例えばバチルス(Bacillus)属、スポロラクトバチルス(Sporolactobacillus)属に属する菌が挙げられる。本発明においては、簡便に利用できる点、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、バチルス属が好ましく、バチルス・コアギュランス(Bacillus coagulans)が特に好ましい。本発明においては、通常食品原料として入手できる市販品を使用することができる。
【0025】
(酒石酸)
酒石酸とは、(CH(OH)COOH)2で示されるヒドロキシ酸である。本発明においては、通常食品原料として入手できる市販品を使用することができる。
【0026】
(ドコサヘキサエン酸)
ドコサヘキサエン酸とは、不飽和脂肪酸であるω-3脂肪酸の一種であり、6つの二重結合を含む22個の炭素鎖をもつカルボン酸の総称である。DHAとも呼ばれる。必須脂肪酸の一種である。
【0027】
(エイコサペンタエン酸)
エイコサペンタエン酸とは、不飽和脂肪酸であるω-3脂肪酸の一種であり、5つのシス型二重結合をもつ20炭素のカルボン酸である。EPA、イコサペンタエン酸とも呼ばれる。必須脂肪酸の一種である。
【0028】
(アスタキサンチン)
アスタキサンチンとは、赤色の色素物質である。カロテノイドの一種であり、キサントフィルに分類される。アスタキサンチンは、ヘマトコッカス藻や、エビ、カニ等の甲殻類、サケ等に含まれることが知られている。本発明で使用できるアスタキサンチンとしては特に限定されないが、簡便に利用できる点、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、ヘマトコッカス藻由来のアスタキサンチンが好ましい。ヘマトコッカス(Haematococcus pluvialis)とは、微細藻類の一種である。
【0029】
(オキアミ)
オキアミとは、軟甲綱真軟甲亜綱ホンエビ上目オキアミ目に属する甲殻類である。オキアミとしては、例えば、ナンキョクオキアミ(Euphausia superba)、ツノナシオキアミ(イサダ、Euphausia pacifica)、コオリオキアミ(Euphausia crystallorophias)、マルエリオキアミ(Thysanopoda obtusifrons)、ヒベブトオキアミ(Stylocheiron carinatum)等が知られている。本発明においては、オキアミの抽出物が好ましく、簡便に利用できる点、また、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から、オキアミ油がより好ましく、クリルオイルが特に好ましい。
【0030】
(サフラワー油)
サフラワー油とは、キク科ベニバナ属ベニバナの種子から採取される植物油であり、紅花油、サフラワーオイルとも呼ばれる。
【0031】
(オリーブ油)
オリーブ油とは、モクセイ科オリーブ属オリーブの果実から得られる植物油である。
【0032】
(中鎖脂肪酸油)
中鎖脂肪酸油とは、炭素数8~12の飽和脂肪酸から構成されるグリセリドである。中鎖脂肪酸油を構成する脂肪酸としては、炭素数8~10がより好ましい。また、本発明で使用される中鎖脂肪酸油としては、中鎖脂肪酸のトリグリセリド、ジグリセリド及びモノグリセリドから選ばれる1種以上が好ましく、中鎖脂肪酸トリグリセリド(Medium Chain Triglycerides:MCT)を必須とするものが特に好ましい。
【0033】
(アマニ油)
アマニ油とは、アマ科アマ属アマの種子から採取される植物油であり、亜麻仁油、アマニオイル、フラックスシードオイルとも呼ばれる。
【0034】
(植物の処理方法)
植物処理物は、例えば、植物体を乾燥処理及び粉砕処理して得られる乾燥粉末(以下、「乾燥粉砕末」ともいう)、植物体の細片化物及びその乾燥物、植物体の搾汁及びその乾燥粉末、植物体の抽出物及びその乾燥粉末などが挙げられるが、これらに限定されない。ただし、加工、貯蔵、運搬などの容易性や使用形態の汎用性といった観点から、最終的に粉末の形態をしていることが好ましい。本明細書で単に粉末という場合、通常、乾燥粉砕末、細片化物の乾燥粉末、搾汁の乾燥粉末及び抽出物の乾燥粉末のいずれをも含む。また、植物処理物は、植物体の発酵物やその乾燥粉末であってもよい。植物体の発酵物とは、植物体又はその粉砕物、搾汁、抽出物若しくは細片化物を発酵させたものである。
【0035】
植物処理物は、従来公知の方法により加工することができる。例えば、植物体を乾燥粉砕末化する方法としては、植物体に対して、乾燥処理及び粉砕処理を組み合わせた方法を用いることができる。乾燥処理及び粉砕処理はいずれを先に行ってもよいが、乾燥処理を先に行うことが好ましい。乾燥粉砕末化は、この方法に、さらに必要に応じて殺菌処理などの処理から選ばれる1種又は2種以上の処理を組み合わせてもよい。また、粉砕処理を行う回数は1回又は2回以上の処理を組み合わせてもよいが、粗粉砕処理を行った後に、より細かく粉砕する微粉砕処理を組み合わせることが好ましい。
【0036】
乾燥処理は特に限定されないが、例えば、植物体の水分含量が10%以下、好ましくは8%以下となるように乾燥する処理が挙げられる。乾燥処理は、例えば、熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により行われ得る。加熱による乾燥は、例えば、40℃~140℃、好ましくは80℃~130℃にて加温により植物体が変色しない温度及び時間で行われ得る。
【0037】
粉砕処理は特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ミル、ブレンダー、石臼などの粉砕用の機器や器具などを用いて、当業者が通常使用する任意の方法により植物体を粉砕する処理が挙げられる。粉砕された植物体は、必要に応じて篩にかけられ、例えば、30~250メッシュを通過するものを植物体の粉末として用いることが好ましい。粒径が250メッシュ通過のもの以下とすることで、さらなる加工時に植物体の粉末が取り扱いやすくなり、粒径が30メッシュ通過以上のものとすることで、植物体の粉末と他の素材との均一な混合が容易になる。
【0038】
植物体を細片化する方法は特に限定されないが、例えば、スライス、破砕、細断などの当業者が植物体を細片化する際に通常使用する方法を用いることができる。細片化の一例として、スラリー化してもよい。スラリー化は、植物体をミキサー、ジューサー、ブレンダー、マスコロイダーなどにかけ、どろどろした粥状(液体と固体との懸濁液)にすることにより行う。種子の細片化物を加熱する場合は、この液に水を入れて煮詰めた後、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去して液分を用いてもよい。
【0039】
植物体を搾汁する方法は特に限定されないが、例えば、植物体又はその細片化物を圧搾する方法、植物体の細片化物を遠心やろ過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。
【0040】
植物体の抽出物(エキス)を得る方法は特に限定されないが、例えば、植物体又はその細片化物或いは乾燥物等に、エタノール、水、酸、含水エタノール、酸水溶液などの当業者が通常用いる抽出溶媒を加え、必要に応じて攪拌又は/及び加温して抽出する方法などを挙げることができる。その後の篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去して抽出物を得てもよい。例えば、大豆の細片化物(磨砕物)に水を加えて煮詰めた後固形物をろ過して得られる抽出液は、豆乳として知られている。抽出物は、必要に応じて濃縮してもよい。
【0041】
植物体を発酵する方法は、植物体又はその粉砕物、搾汁、抽出物若しくは細片化物に対して、乳酸菌、酵母、麹菌、納豆菌、酢酸菌等を添加して行うことができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせてもよい。ここでいう乳酸菌はビフィズス菌であってもよく、ビフィズス菌を除く一般乳酸菌であってもよい。
【0042】
上記の細片化処理で得られた搾汁や抽出処理で得られた液状抽出物、発酵後の液状物やスラリー等はいずれも熱風乾燥、高圧蒸気乾燥、電磁波乾燥、凍結乾燥などの当業者に公知の任意の方法により乾燥粉末化されうる。この際にデキストリン等の賦形剤を添加してもよい。
【0043】
本実施形態の経口用組成物において、植物処理物は固体状であってもよく、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
【0044】
本発明の経口組成物における機能性成分の含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.0001質量以上が好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上であり、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、99.9質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、95質量%以下が特に好ましい。なお、機能性成分を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0045】
本発明の経口組成物におけるカンナビジオールと機能性成分の含有比は特に制限はなく、例えば、固形分量で、カンナビジオールに対する機能性成分の比は1:0.00001以上が好ましく、より好ましくは1:0.0001以上であり、カンナビジオールの吸収促進作用に優れる点から好ましくは1:0.001以上である。また、1:1000以下が好ましく、1:200以下がより好ましく、1:10以下が特に好ましい。なお、機能性成分を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0046】
<その他成分>
本発明の経口組成物には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維等の食物繊維、タンパク質、各種ビタミン類やミネラル類、藻類、酵母等の微生物等を配合することができる。更に、必要に応じて、通常食品分野で用いられる、甘味料、酸味料、栄養補助剤、安定剤、結合剤、光沢剤、増粘剤、着色料、希釈剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0047】
<吸収促進用組成物>
本発明の経口組成物は、カンナビジオールの吸収促進効果を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。
【0048】
本発明の吸収促進用組成物は、キバナオウギ、サンシチニンジン、ダイダイ、ポリアミン、スクワレン、有胞子性乳酸菌、酒石酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、アスタキサンチン、及びオキアミから選ばれる少なくとも1種の機能性成分を含有することを特徴とする。これらの機能性成分は、カンナビジオールとは別の組成物として使用しても良いが、カンナビジオールの吸収促進作用の観点から、カンナビジオールを含む組成物として使用することが好ましい。
【0049】
また、本発明の吸収促進用組成物は、サフラワー油、オリーブ油、中鎖脂肪酸油、アマニ油から選ばれる少なくとも2種の機能性成分を含有することを特徴とする。これらの機能性成分は、カンナビジオールとは別の組成物として使用しても良いが、カンナビジオールの吸収促進作用の観点から、カンナビジオールを含む組成物として使用することが好ましい。
【0050】
本発明において機能性成分をカンナビジオールとは別の組成物とする場合、機能性成分を配合した組成物を摂取する方法としては特に限定されないが、例えば、カンナビジオール摂取の3時間前~3時間後が好ましく、2時間前~2時間後がより好ましく、1時間前~1時間後が特に好ましく、カンナビジオールと同時摂取がとりわけ好ましい。
【0051】
本発明の経口組成物は、経口的な使用に適した形態であれば特に限定されないが、摂取のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
【0052】
本発明の経口組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の経口組成物の1日の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.01~1000mg/kgであり、より好ましくは0.1~500mg/kgであり、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは1~100mg/kg である。
【0053】
本発明の経口組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の経口組成物の1回の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.001~2000mg/kgであり、より好ましくは0.01~1000mg/kgであり、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.1~100mg/kg である。
【0054】
また、本発明の経口組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.001~20g、より好ましくは0.005~10g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.01~5g とすることができる。
【0055】
本発明の経口組成物の1回の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.00001~20g、より好ましくは0.00005~10g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.0001~5g とすることができる。
【0056】
また、本発明の経口組成物1日の使用量におけるカンナビジオールの含有量は特に限定されず、例えば、好ましくは0.00001~1g、より好ましくは0.00005~0.5g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.0001~0.1g とすることができる。
【0057】
本発明の本発明の経口組成物1日の使用量におけるカンナビジオールの含有量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、0.000001~1g、より好ましくは0.000005~0.5g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.00001~0.1g とすることができる。
【0058】
本発明の経口組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0059】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。ただし、本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。
【0060】
カンナビジオールの吸収促進作用(1)
<被験物質>
被験物質として以下のものを用いた。
・カンナビジオール:市販の合成品を用いた
・キバナオウギ:キバナオウギ地上部の含水エタノール抽出物(サポニン含有)を用いた
・サンシチニンジン:サンシチニンジン地上部の含水エタノール抽出物(サポニン含有)を用いた
・ダイダイ:ダイダイ果皮の含水エタノール抽出物(シフネリン6%以上含有)を用いた
・ポリアミン:米胚芽のクエン酸水抽出物(ポリアミン0.2%含有)を用いた
・スクワレン:サメ肝油の精製物を用いた
・有胞子性乳酸菌:市販のバチルス・コアギュランスを用いた
・DHA:精製魚油(DHA8.5%以上)を用いた
・EPA:精製魚油(EPA1.2%以上)を用いた
・アスタキサンチン:ヘマトコッカス藻由来アスタキサンチンを用いた
・オキアミ:クリルオイルを用いた
・サフラワー油:ベニバナ種子由来の油を用いた
・オリーブ油:オリーブ果実由来の油を用いた
・中鎖脂肪酸油:MCTパウダーを用いた
・アマニ油:アマの種子由来の油を用いた
・オレイン酸:市販の標準試薬を用いた
・デオキシコール酸:市販の標準試薬を用いた
なお、実施例1においては、キバナオウギ抽出物とサンシニジンジン抽出物の混合物(1:1)、実施例DHAとEPAを含有する精製魚油を用いた。
【0061】
<カンナビジオールの吸収促進作用>
1.HBSS(+)HEPES Buffer(以下、「バッファー」とも言う)の調製
HEPES 2.38g、10×HBSS(-)100mL、NaHCO3 350mg、CaCl2 140mg、MgCl2・6H2O 100mg、MgSO4・7H2O 100mgを850mLの超純水に溶解し、1M NaOHでpH7.4に調製後、全量を1Lにしてバッファーを調製した。
【0062】
2.細胞培養および被験物質の添加
(1)37℃、5%CO2インキュベーター内で、75cm2フラスコを用いて、ヒト大腸癌由来細胞(Caco-2)を培養した。培地は1%NEAA(MEM Non-Essential Amino Acids Solution)-10%FBS-DMEMを用いた。
(2)24ウェルプレートに培地を600μL添加し、インサートウェルを移した。
(3)トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cm2フラスコからインサートウェルに4.0×104cells/wellの細胞密度となるように100μL播種した。
(4)37℃、5%CO2インキュベーター内で培養し、2-3日毎に培地交換を実施した。培地交換は、インサートウェル外側(基底膜側ウェル)を1600μL、インサートウェル内側(管腔側ウェル)を350μlの1%NEAA-10%FBS-DMEMで行った。Millicell ERS-2にて電気抵抗値を測定し、1500Ω以上になるまで培養し、試験に使用した。
(5)バッファーでインサートウェルを2回洗浄し、24ウェルプレートに移し、管腔側ウェルに350μL、基底膜側ウェルに1600μLのバッファーを加えた。
(6)CO2インキュベーター内で30分間培養し、細胞をバッファーに順化させた。
(7)インサートウェル内側のバッファーを175μL除いた後、被験物質溶液を175μLずつ添加し、インキュベーター内で2時間振とうした。
カンナビジオールは界面活性剤(PEG40-水添ヒマシ油)に溶解し、機能性成分はDMSOまたは0.5%DMSO含有バッファーに溶解した。細胞へ添加後にカンナビジオールが500μg/mL(界面活性剤(PEG40-水添ヒマシ油):0.5%)、機能性成分が2.5μg/mL(DMSO:0.125%)になるように調製し細胞へ添加した。
(8)2時間振とう後、管腔側ウェルのサンプルを1.5mLチューブに全量回収した。
【0063】
3.ジニトロフェノールを用いたカンナビジオール濃度の測定
(1)上記2(8)で回収した管腔側ウェルサンプル、細胞に添加する前のカンナビジオールを500μg/mL含む溶液および検量線サンプル50μLを1.5mLチューブに移し、4M水酸化ナトリウム溶液を250μL添加した。さらに0.1(W/V)%ジニトロフェノール溶液を200μL添加し混合した。検量線はエタノールで溶解したカンナビジオールを段階希釈したものを使用した。
(2)100℃で50分間加温し、ボルテックスにて混合後、遠心した(室温、10分、20,000g)。
(3)遠心後の上清を96ウェルアッセイプレートに移し、吸光度を測定した(500nm、650nm(濁度))。
(4)500nmの吸光度から650nmの吸光度(濁度)を差し引いた値を用いて、検量線から各サンプルにおけるカンナビジオール濃度を評価した。(測定方法参考:T Aman et al. Spectrophotometric Determination of Cannabidiol. ANALYTICAL LETTERS (1993) 26(10))
細胞に添加する前のカンナビジオールを500μg/mL含む溶液および管腔側ウェルサンプルのカンナビジオールの濃度から、カンナビジオールの減少量(μg)を算出した。機能性成分を含まない(カンナビジオールのみ)比較例1の減少量を1としたときの相対値を算出した。結果を表2及び表3に示す。
【0064】
【0065】
【0066】
Caco-2細胞は一般的に腸管のモデル細胞として、被験物質の腸管吸収性を評価するために使用されている。Caco-2細胞をインサートウェルで単層に分化させ、管腔側の培養上清に被験物質を添加すると、被験物質が受動的あるいは能動的に細胞内に取り込まれ、一部は代謝・分解を受けた後、基底膜側の透過液に分泌されるため、透過液に含まれる被験物質量を測定することによって、被験物質の腸管吸収性を評価することができる。この評価系において、培養上清中の被験物質の減少と透過液中の被験物質の増加は相関する(参考:食品機能性評価マニュアル集第III集『Caco-2細胞層を用いた物質透過実験法』 清水誠ほか)。このことから、培養上清中の被験物質の減少量は細胞内への取り込み量を反映していると考えられる。
単層細胞に分化させたCaco-2細胞にミセル化したカンナビジオールを添加したところ、培養上清中のカンナビジオール量が減少していた。透過液からはカンナビジオールが検出されなかったが、カンナビジオールが細胞表面に付着していないこと、カンナビジオールが培地中で分解されないことが確認できたことから、培養上清で減少したカンナビジオールは細胞内に取り込まれていると考えられる。したがって、培養上清中のカンナビジオールの減少量は、カンナビジオールの細胞内取り込み量(カンナビジオールの吸収量)として評価することができる。
カンナビジオールと共に機能性成分を添加した実施例1~13は、機能性成分を添加していない比較例1と比べて1.2倍以上のカンナビジオールが吸収されていることがわかった。また、カンナビジオールの吸収促進作用を高めることが知られているオレイン酸やデオキシコール酸と比較しても、カンナビジオールの吸収が高められていることがわかった。
したがって、本発明の経口組成物は、特定の機能性成分を含有することにより、腸管細胞においてカンナビジオールの吸収を促進することが示唆された。
【0067】
カンナビジオールの吸収促進作用(2)
<被験物質>
被験物質として以下のものを用いた。
・カンナビジオール:市販の合成品を用いた
・スクワレン:サメ肝油の精製物を用いた
・ピペリン:黒コショウ由来のピペリンを用いた
【0068】
雄性SDラットを5日間以上馴化後、3群に群分けした。群分け後、被験物質を強制経口投与した。投与2時間後に抗凝固剤(ヘパリンNa)が入ったシリンジを用いて頸静脈より採血し、遠心して血漿を採取した。前処理として除タンパクを行った後、血漿中のカンナビジオール濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0069】
(分析条件)
カラム:インタクト株式会社製Unison UK-C18HT(粒径3μm)φ4.6×150 mm
移動相:水/アセトニトリル混合液
グラジエント条件:表4
カラム温度:55℃
流量:1.0ml/分
【0070】
【0071】
被験物質の投与量、及び、被験物質投与2時間後の血漿中のカンナビジオール量を表5に示す。
【0072】
【0073】
表5から明らかなように、カンナビジオールとスクワレンを用いた実施例14は、カンナビジオール単独である比較例4と比較して血漿中のカンナビジオール量が大幅に増加しており、スクワレンが体内へのカンナビジオールの吸収を高めていることがわかった。この結果は「カンナビジオールの吸収促進作用(1)」において、比較例1に対して実施例4が高い吸収促進作用を示したことからも裏付けられており、本発明の組成物はカンナビジオールと共に特定の機能性成分を使用することで体内へのカンナビジオールの吸収を高めることを示唆するものであった。また、カンナビジオールの吸収を高めることが知られているピペリンとカンナビジオールとを併用した場合(比較例5)と比べても本発明の組成物はカンナビジオールの吸収が高められていることがわかった。
【0074】
<製造例1>
下記表6に記載の組成に従って、錠剤(1粒250mg)を製造した。表に記載の配合量は質量%を表す。下記製造例にて得られた経口組成物は、カンナビジオールの吸収促進作用が高いことから、1日1回、1回あたり2粒服用することでカンナビジオールの有する優れた効果を享受できる。
【0075】
【0076】
<製造例2>
下記表7に記載の組成に従って、錠剤(1粒200mg)を製造した。表に記載の配合量は質量%を表す。下記製造例にて得られた経口組成物は、カンナビジオールの吸収促進作用が高いことから、1日1回、1回あたり3粒服用することでカンナビジオールの有する優れた効果を享受できる。
【0077】
【0078】
<製造例3>
下記表8に記載の組成に従って、ソフトカプセル内容液を製造した。表に記載の配合量は質量%を表す。得られた内容液をゼラチン皮膜で包み、ソフトカプセル(1粒300mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、カンナビジオールの吸収促進作用が高いことから、1日1回、1回あたり1粒服用することでカンナビジオールの有する優れた効果を享受できる。
【0079】
【0080】
<製造例4>
下記表9に記載の組成に従って、経口用オイルを製造した。表に記載の配合量は質量%を表す。下記製造例にて得られた経口組成物は、カンナビジオールの吸収促進作用が高いことから、1日1回、1回あたり0.1mL服用することでカンナビジオールの有する優れた効果を享受できる。
【0081】
本発明の経口組成物は、特定の機能性成分を含有することにより、カンナビジオールの吸収促進作用に優れた経口組成物を提供することができることから、産業上の利用の可能性が高いものである。