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特開2023-39443イオンクロマトグラフィ(IC)のセットアップを切り替えて消耗品の平衡化を容易にするかまたは通常のIC動作を可能にする新規な自動バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039443
(43)【公開日】2023-03-20
(54)【発明の名称】イオンクロマトグラフィ(IC)のセットアップを切り替えて消耗品の平衡化を容易にするかまたは通常のIC動作を可能にする新規な自動バルブ
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20230313BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20230313BHJP
   G01N 30/64 20060101ALI20230313BHJP
【FI】
G01N30/02 E
G01N30/26 M
G01N30/64 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022142824
(22)【出願日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】17/469,579
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】カナン スリニヴァサン
(57)【要約】
【課題】イオンクロマトグラフィ(IC)のセットアップを切り替えて消耗品の平衡化を容易にするかまたは通常のIC動作を可能にする。
【解決手段】クロマトグラフィシステムは、電解溶離液生成器と、電解溶離液生成器の出力を連続再生式トラップカラムに導く動作位置と電解溶離液生成器の出力を廃液に導く廃液位置との間で切り替わるように構成された第1のバルブと、連続再生式トラップカラムと、脱ガス器と、サンプルインジェクタバルブアセンブリを含んでいるサンプルインジェクタであって、サンプルインジェクタバルブアセンブリが、脱ガス器の出力を分離カラムに導く動作モードとサンプルを分離カラム上に装填する装填モードと脱ガス器の出力を再生剤ラインに導く再生剤モードとの間で切り替わるように構成されている、サンプルインジェクタと、分離カラムと、サプレッサと、検出器と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィシステムであって、
溶離液を電解生成するように構成された電解溶離液生成器と、
前記電解溶離液生成器の出力を連続再生式トラップカラムに導く動作位置と、前記電解溶離液生成器の前記出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成された第1のバルブと、
前記溶離液からイオンコンタミナントを除去するように構成されている前記連続再生式トラップカラムと、
前記溶離液から残留ガスを除去するように構成された脱ガス器と、
前記脱ガス器の出力を分離カラムに導く動作モードと、前記分離カラム上にサンプルを装填する装填モードと、前記脱ガス器の前記出力を再生剤ラインに導く再生剤モードと、の間で切り替わるように構成されたサンプルインジェクタバルブアセンブリを含んでいるサンプルインジェクタと、
サンプルの成分をクロマトグラフィで分離するように構成されている前記分離カラムと、
前記溶離液の導電率を低減するように構成されたサプレッサと、
前記サンプルの成分の存在を検出するように構成された検出器と、を備えている、クロマトグラフィシステム。
【請求項2】
前記サンプルインジェクタバルブアセンブリが、前記動作モードに対応する動作位置と、前記装填モードに対応する装填位置と、前記再生剤モードに対応する再生剤位置と、の間で切り替わる3ポジションバルブを含む、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項3】
前記サンプルインジェクタバルブアセンブリが、
前記脱ガス器の出力を第3のバルブに導く第1の動作位置と、前記サンプルを前記分離カラム上に導く装填位置と、の間で切り替わる第2のバルブと、
前記第2のバルブの出力を前記分離カラムに導く第2の動作位置と、前記第2のバルブの前記出力を再生剤ラインに導く再生剤位置と、の間で切り替わる第3のバルブと、を含む、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項4】
前記再生剤ライン上にチェックバルブをさらに備えている、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項5】
前記第1のバルブと廃液との間に流量制限器をさらに備えている、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項6】
コントローラをさらに備えており、前記コントローラが、電解溶離液生成器の平衡化期間中に、前記第1のバルブを前記廃液位置に切り替えるように構成されている、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、連続再生式トラップカラムの平衡化期間中に、前記第2のバルブを前記再生剤位置に切り替えるようにさらに構成されている、請求項6に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項8】
前記分離カラムの前記出力を前記サプレッサに導く動作位置と、前記分離カラムの前記出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成された第3のバルブをさらに備えている、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項9】
コントローラをさらに備えており、前記コントローラが、分離カラムの平衡化期間中に、前記第3のバルブを前記廃液位置に切り替えるように構成されている、請求項8に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項10】
前記サプレッサが、化学的サプレッサである、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項11】
前記サプレッサが、電解サプレッサである、請求項1に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項12】
前記検出器の前記出力を再生剤ラインに導く動作位置と、前記検出器の前記出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成された第4のバルブをさらに備えている、請求項11に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項13】
コントローラをさらに備えており、前記コントローラが、サプレッサの平衡化期間中に、前記第4のバルブを前記廃液位置に切り替えるように構成されている、請求項12に記載のクロマトグラフィシステム。
【請求項14】
方法であって、
第1のバルブを、電解溶離液生成器の出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、
電解溶離液生成器の平衡化期間の間、前記電解溶離液生成器を通して液体を流すことと、
前記第1のバルブを、電解溶離液生成器の出力を連続再生式トラップカラムに導く動作位置に切り替えることと、
前記連続再生式トラップカラムの下流にある第2のバルブを、前記連続再生式トラップカラムからの下流への流れを再生剤ラインに導く再生剤位置に切り替えることと、
連続再生式トラップカラムの平衡化期間の間、前記連続再生式トラップカラムを通して液体を流すことと、
前記第2のバルブを、前記下流への流れを分離カラムに導く動作位置に切り替えることと、
クロマトグラフィシステムの動作を検証することと、を含んでいる方法。
【請求項15】
第3のバルブを、前記分離カラムの出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、
分離カラムの平衡化期間の間、前記分離カラムを通して液体を流すことと、
前記第3のバルブを、前記分離カラムの出力をサプレッサに導く動作位置に切り替えることと、をさらに含んでいる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記サプレッサが、化学的サプレッサである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サプレッサが、電解サプレッサである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第4のバルブを、検出器の出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、
サプレッサの平衡化期間の間、液体をサプレッサを通して前記検出器に流すことと、
前記第4のバルブを、前記検出器の出力を再生剤ラインに導く動作位置に切り替えることと、をさらに含んでいる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記サプレッサの平衡化期間中に、前記サプレッサに代替の再生剤流を提供することをさらに含んでいる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
方法であって、
バルブを、電解消耗品装置の出力を廃液または再生剤ラインに導く平衡化位置に切り替えることと、
電解消耗品装置の平衡化期間の間、前記電解消耗品装置を通して液体を流すことと、
前記第1のバルブを動作位置に切り替えることと、
クロマトグラフィシステムの動作を検証することと、を含んでいる方法。
【請求項21】
前記電解消耗品装置が、電解溶離液生成器を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記電解消耗品装置が、連続再生式トラップカラムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記電解消耗品装置が、分離カラムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記電解消耗品装置が、電解サプレッサを含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、消耗品の平衡化か、または通常のIC動作かのセットアップを切り替える自動バルブ含んでいるイオンクロマトグラフィ(IC)の分野に関する。
【0002】
序論
イオンクロマトグラフィ(IC)は、様々なサンプルマトリックス中のアニオン性およびカチオン性分析物を測定するために広く使用されている分析技術である。イオン交換式の消耗品は、イオンクロマトグラフィのセットアップにおいて動作に展開される前に平衡化する必要がある。これらの消耗品は、溶離液生成器、連続再生式トラップカラム、分析およびガードカラム、サプレッサ、およびイオン交換機能性を有する他の消耗品を含む。適正な平衡化は、特別な配管セットアップを必要とする。消耗品は、典型的には、初回の設置時またはシステムを長時間シャットダウンした後に平衡化する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、クロマトグラフィシステムは、電解溶離液生成器、第1のバルブ、連続再生式トラップカラム、脱ガス器、サンプルインジェクタ、分離カラム、サプレッサ、および検出器を含むことができる。電解溶離液生成器は、溶離液を電解生成するように構成することができる。第1のバルブは、電解溶離液生成器の出力を連続再生式トラップカラムに導く動作位置と、電解溶離液生成器の出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成することができる。連続再生式トラップカラムは、溶離液からイオンコンタミナントを除去するように構成することができる。脱ガス器は、溶離液から残留ガスを除去するように構成することができる。サンプルインジェクタは、サンプルインジェクタバルブアセンブリを含むことができる。サンプルインジェクタバルブアセンブリは、脱ガス器の出力を分離カラムに導く動作モードと、分離カラム上にサンプルを装填する装填モードと、脱ガス器の出力を再生剤ラインに導く再生剤モードと、の間で切り替わるように構成することができる。分離カラムは、サンプルの成分をクロマトグラフィで分離するように構成することができる。サプレッサは、溶離液の導電率を低減するように構成することができる。検出器は、サンプルの成分の存在を検出するように構成することができる。
【0004】
第1の態様の様々な実施形態において、サンプルインジェクタバルブアセンブリは、動作モードに対応する動作位置と、装填モードに対応する装填位置と、再生剤モードに対応する再生剤位置と、の間で切り替わる3ポジションバルブを含むことができる。
【0005】
第1の態様の様々な実施形態において、サンプルインジェクタバルブアセンブリは、脱ガス器の出力を第3のバルブに導く第1の動作位置と、サンプルを分離カラム上に導く装填位置と、の間で切り替わる第2のバルブと、第2のバルブの出力を分離カラムに導く第2の動作位置と、第2のバルブの出力を再生剤ラインに導く再生剤位置と、の間で切り替わる第3のバルブと、を含むことができる。
【0006】
第1の態様の様々な実施形態において、クロマトグラフィシステムは、再生剤ライン上にチェックバルブをさらに含むことができる。
【0007】
第1の態様の様々な実施形態において、クロマトグラフィシステムは、第1のバルブと廃液との間に流量制限器をさらに含むことができる。
【0008】
第1の態様の様々な実施形態において、クロマトグラフィシステムは、コントローラをさらに含むことができ、コントローラは、電解溶離液生成器平衡化期間中に、第1のバルブを廃液位置に切り替えるように構成することができる。特定の実施形態において、コントローラは、連続再生式トラップカラム平衡化期間中に、第2のバルブを再生剤位置に切り替えるようにさらに構成することができる。
【0009】
第1の態様の様々な実施形態において、クロマトグラフィシステムは、分離カラムの出力をサプレッサに導く動作位置と、分離カラムの出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成された第3のバルブをさらに含むことができる。特定の実施形態において、クロマトグラフィシステムは、コントローラをさらに含むことができ、コントローラは、分離カラム平衡化期間中に、第3のバルブを廃液位置に切り替えるように構成することができる。
【0010】
第1の態様の様々な実施形態において、サプレッサは、化学的サプレッサとすることができる。
【0011】
第1の態様の様々な実施形態において、サプレッサは、電解サプレッサとすることができる。特定の実施形態において、クロマトグラフィシステムは、検出器の出力を再生剤ラインに導く動作位置と、検出器の出力を廃液に導く廃液位置と、の間で切り替わるように構成された第4のバルブをさらに含むことができる。特定の実施形態において、クロマトグラフィシステムは、コントローラをさらに含むことができ、コントローラは、サプレッサ平衡化期間中に、第4のバルブを廃液位置に切り替えるように構成することができる。
【0012】
第2の態様では、方法は、第1のバルブを、電解溶離液生成器の出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、電解溶離液生成器平衡化期間中に、電解溶離液生成器を通して液体を流すことと、第1のバルブを、電解溶離液生成器の出力を連続再生式トラップカラムに導く動作位置に切り替えることと、連続再生式トラップカラムの下流にある第2のバルブを、連続再生式トラップカラムからの下流への流れを再生剤ラインに導く再生剤位置に切り替えることと、連続再生式トラップカラム平衡化期間の間、連続再生式トラップカラムを通して液体を流すことと、第2のバルブを、下流への流れを分離カラムに導く動作位置に切り替えることと、クロマトグラフィシステムの動作を検証することと、を含むことができる。
【0013】
第2の態様の様々な実施形態において、方法は、第3のバルブを、分離カラムの出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、分離カラム平衡化期間中に、分離カラムを通して液体を流すことと、第3のバルブを、分離カラムの出力をサプレッサに導く動作位置に切り替えることと、をさらに含むことができる。
【0014】
第2の態様の様々な実施形態において、サプレッサは、化学的サプレッサとすることができる。
【0015】
第2の態様の様々な実施形態において、サプレッサは、電解サプレッサとすることができる。特定の実施形態において、この方法は、第4のバルブを、検出器の出力を廃液に導く廃液位置に切り替えることと、サプレッサ平衡化期間の間、液体をサプレッサを通して検出器に流すことと、第4のバルブを、検出器の出力を再生剤ラインに導く動作位置に切り替えることと、をさらに含むことができる。特定の実施形態において、方法は、サプレッサ平衡化期間中に、サプレッサに代替の再生剤流を提供することをさらに含むことができる。
【0016】
第3の態様において、方法は、バルブを、電解消耗品装置の出力を廃液または再生剤ラインに導く平衡化位置に切り替えることと、電解消耗品装置平衡化期間中に、電解消耗品装置を通して液体を流すことと、第1のバルブを動作位置に切り替えることと、クロマトグラフィシステムの動作を検証することと、を含むことができる。
【0017】
第3の態様の様々な実施形態において、電解消耗品装置は、電解溶離液生成器を含むことができる。
【0018】
第3の態様の様々な実施形態において、電解消耗品装置は、連続再生式トラップカラムを含むことができる。
【0019】
第3の態様の様々な実施形態において、電解消耗品装置は、分離カラムを含むことができる。
【0020】
第3の態様の様々な実施形態において、電解消耗品装置は、電解サプレッサを含むことができる。
【0021】
ここで、本明細書において開示される原理、およびその利点のより完全な理解のために、添付の図面と併せて考慮される以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】様々な実施形態による、例示的なクロマトグラフィシステムを示す。
図2】様々な実施形態による、電解消耗品の一般化されたバルブスキームを示す。
図3】様々な実施形態による、例示的なクロマトグラフィシステムを示す。
図4】様々な実施形態による、例示的なクロマトグラフィシステムを示す。
図5】様々な実施形態による、使用のためのクロマトグラフィシステムを調製する例示的な方法を示す。
図6】様々な実施形態による、電解消耗品を交換する例示的な方法を示す。
【0023】
図は必ずしも縮尺通りに描かれておらず、図内の物体が互いに対する関係において必ずしも縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。図は、本明細書で開示された装置、システム、および方法の様々な実施形態に対する明確さおよび理解をもたらすことを意図した描写である。可能な限り、同じ参照番号が、同じまたは同様の部品を指すように全図面を通じて使用される。さらに、図面が、本発明の教示の範囲をいかようにも限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0024】
イオン分離のためのシステムおよび方法の実施形態について本明細書で説明する。
【0025】
本明細書で使用される節の見出しは、構成目的のためのものであって、記載される主題を多少なりとも限定するものと解釈されるべきでない。
【0026】
様々な実施形態のこの詳細な説明では、説明の目的のために、多くの特定の詳細が、開示された実施形態の全体的な理解を提供するために記載される。しかしながら、これらの様々な実施形態はこれらの特定の詳細の有無にかかわらず実行されてもよいことを当業者は理解するだろう。他の例では、構造および装置はブロック図の形態で示されている。さらに、方法が提示および実行される具体的な順序は例示的なものであり、順序は変更されても依然として本明細書で開示される様々な実施形態の趣旨および範囲内にとどまり得ることが企図されていることを、当業者であれば容易に理解することができる。
【0027】
それらに限定されるものではないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびインターネットウェブページを含んでいる、本出願で引用されたすべての文献および同様の資料が、任意の目的でそれらの全体が参照によって明示的に組み込まれる。別段記載されない限り、本明細書で使用されるすべての技術および科学用語は、本明細書で記載される様々な実施形態が属する当技術分野における当業者によって共通に理解されるものであるという意味を有する。
【0028】
本教示において論じられる温度、濃度、時間、圧力、流量、断面積などの前に暗黙の「約」が存在し、そのため、極めて小さい僅かな偏差が本教示の範囲内にあることが理解されるであろう。本出願において、単数形の使用は、別段具体的に記載されない限り、複数形を含む。また、「備える/含む(comprise)」、「備える/含む(comprises)」、「備えている/含んでいる(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含んでいる(including)」の使用は限定することを意図していない。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本教示を限定するものではないことを理解されたい。
【0029】
本明細書において使用されるとき、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を指すこともある。また、「または」の使用は包括的であり、したがって、「AまたはB」という言い回しは、「A」が真であるとき、「B」が真であり、または「A」および「B」の両方が真であるときに、真ある。さらに、文脈によって別段必要とされない限り、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。
【0030】
「システム」は、各成分が全体内の少なくとも1つの他の成分と相互作用するか、またはそれと関連する全体を備えている、実際であれ抽象であれ、成分のセットを示す。
【0031】
溶離液生成器、連続再生式トラップカラム、分析およびガードカラム、ならびにサプレッサなどの、イオン交換ベースの消耗品の適正な平衡化は、特別な配管セットアップを必要とし、一般に、分析前に、手動で、かつ別個のセットアップとして手動で実装される。消耗品は、典型的には、初回の設置時、およびシステムを長時間シャットダウンした後に、平衡化を必要とする。
【0032】
本明細書で開示されるシステムおよび方法は、イオン交換ベースの消耗品の平衡化に関連する複数の問題を解決する。消耗品に対して規定されたように実行される必要がある様々な平衡化ルーチンに起因して、初回の取り付け時に、システムは、取り付けて許容可能な性能を達成するのに数日を要し得る。ユーザによってその後に消耗品を交換するとなると、消耗品が書かれた手順に従って平衡化されることを確保するために、ハンズオンタイムが必要となろう。加えて、長時間のシャットダウン後にシステムを再始動させると、システム性能が損なわれる可能性がある。良好な性能を達成するには、ある程度の平衡化が必要であり、ハンズオンタイムが増える。さらに、様々な消耗品の圧力寄与は、すぐに明らかにならない可能性があり、診断のためにユーザによる追加の手順を必要とする。
【0033】
図1は、クロマトグラフィシステム100の実施形態を示している。クロマトグラフィシステム100は、ポンプ102、電解溶離液生成器104、連続再生式トラップカラム106、脱ガス器108、サンプルインジェクタ110、クロマトグラフィ分離装置112、電解サプレッサ114、検出器116、およびマイクロプロセッサ118を含み得る。クロマトグラフィ分離装置112は、キャピラリーカラムまたは分析カラムの形態であってもよい。ライン120は、液体を検出器116の出力から電解サプレッサ114の再生剤チャネル入口に移送するために使用され得る。ライン124は、液体を電解サプレッサ114の再生剤チャネルの出口から連続再生式トラップカラム106の再生剤チャネルの入口に移送するために使用され得る。任意選択で、再循環ライン126は、液体を連続再生式トラップカラム106の出口から脱ガス器108の入口に移送するために使用することができるか、または廃液に導くことができる。脱ガス器108の出口からの液体は、連続再生式トラップカラムからの再生剤流からの流れで構成される場合に、廃液128に導くことができる。
【0034】
ポンプ102は、脱イオン水などの、液体源132からの液体をポンプ送りし、かつ電解溶離液生成器104に流体的に接続されるように構成することができる。ポンプ102は、約20PSI~約15,000PSIの範囲の圧力で液体を輸送するように構成することができる。特定の状況下では、15,000PSIを超える圧力が実行されることもある。本明細書に示されている圧力は、周囲圧力(13.7PSI~15.2PSI)を基準として列挙されていることに留意されたい。ポンプ102は、高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)ポンプの形態であってもよい。さらに、ポンプ102は、液体がポンプ102の不活性部分にのみ接触するように構成することもでき、これにより、かなりの量の不純物が浸出することはない。この文脈において、かなりとは、意図された測定を妨げる不純物の量を意味する。例えば、不活性部分は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)で作製することができるか、または少なくとも、液体にさらされたときにかなりの量のイオンを浸出させることがないPEEKライニングでコーティングすることができる。
【0035】
溶離液は、酸、塩基、塩、またはそれらの混合物を含有する液体であり、クロマトグラフィカラムを介して分析物を溶出するために使用することができる。さらに、溶離液は、液体と水混和性有機溶媒との混合物を含むことができ、液体は、酸、塩基、塩、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。電解溶離液生成器104は、ジェネラントを生成するように構成されている。ジェネラントとは、溶離液に加えることができる特定の種類の酸、塩基、または塩を指す。一実施形態では、ジェネラントは、カチオン性水酸化物などの塩基であってもよく、またはジェネラントは、炭酸、リン酸、酢酸、メタンスルホン酸、またはそれらの組み合わせなどの酸であってもよい。
【0036】
図1を参照すると、溶離液生成器104は、ポンプ102から液体を受け取り、次にジェネラントを液体に加えるように構成することができる。ジェネラントを含有している液体は、溶離液生成器104から、連続再生式トラップカラム106の入口へ送出することができる。
【0037】
連続再生式トラップカラム106は、溶離液からカチオン性またはアニオン性のコンタミナントを除去するように構成されている。連続再生式トラップカラム106は、溶離液出口に電極を備えたイオン交換床を含むことができる。イオン交換膜界面は、溶離液を第2の電極から分離させることができ、汚染イオンは、第2の電極に向けてイオン交換膜スタックを通して一掃することができる。イオン交換膜スタックは、1つ以上のイオン交換膜を含むことができる。様々な実施形態において、アニオン除去は、アニオン交換膜によってアノードから分離された溶離液出口にカソードを備えたアニオン交換床を利用することができる。あるいは、カチオン除去は、カチオン交換膜によってカソードから分離された溶離液出口にアノードを備えたカチオン交換床を利用することができる。
【0038】
脱ガス器108は、残留ガスを除去するために使用され得る。一実施形態では、残留ガスは水素および酸素であってもよい。脱ガス器108は、例えば、アモルファスフルオロポリマーまたはより具体的にはテフロンAFなどの、ガス透過性および液体不透過性であるチュービングセクションを含んでもよい。流れる液体は、ガスのかなりの部分が除去された状態で、脱ガス器108からサンプルインジェクタ110へ送出することができる。
【0039】
サンプルインジェクタ110は、液体サンプルのボーラスを溶離液流に注入するために使用することができる。液体サンプルは、複数の化学成分(すなわち、マトリックス成分)および1つ以上の対象の分析物を含み得る。サンプルインジェクタ110は、オートサンプラ134、サンプルループ136、およびマルチポートバルブ138を含むことができる。オートサンプラ134は、サンプル容器からサンプルを引き出すことができる。マルチポートバルブ138は、サンプルがサンプルループ136を所望の容積まで満たすことを可能にする第1の位置にあり得る。サンプルループ136が満たされた後、マルチポートバルブは、第2の位置に切り替えることができ、溶離液流は、サンプルをクロマトグラフィ分離装置112上へと駆動することができる。
【0040】
液体サンプル中に存在する様々なマトリックス成分を対象の分析物から分離するために、クロマトグラフィ分離装置112を使用することができる。典型的には、クロマトグラフィ分離装置112は、詰め込まれた固定相を収容する中空シリンダーの形態であってもよい。液体サンプルがクロマトグラフィ分離装置112を通って流れるとき、マトリックス成分および標的分析物は、クロマトグラフィ分離装置112から溶出するために様々な保持時間を有することができる。標的分析物およびマトリックス成分の特性に応じて、それらは、クロマトグラフィ分離装置112の固定相に対して異なる親和性を有することができる。クロマトグラフィ分離装置112の送出口は、電解サプレッサ114に流体的に接続することができる。
【0041】
再生イオンのための溶離液の対イオンの効率的な交換により、溶離液導電率バックグラウンドを低減し、分析物の応答を向上させるために、電解サプレッサ114を使用することができる。電解サプレッサ114は、イオン交換膜によって分離されたアノードチャンバ、カソードチャンバ、および溶離液抑制床チャンバを含むことができる。アノードチャンバおよび/またはカソードチャンバは、再生イオンを生成するか、または供給された再生イオンを輸送することができる。溶離液抑制床チャンバは、イオン交換バリアによって再生剤から分離された溶離液の流路を含むことができ、溶離液対イオンは、イオン交換バリアを越えて再生イオンと交換することができる。電解サプレッサ114の送出口は、液体サンプルの分離された化学成分の存在を測定するために、検出器116に流体的に接続することができる。
【0042】
検出器116は、紫外可視分光計、蛍光分光計、電気化学検出器、導電率検出器、質量分析検出器、またはそれらの組み合わせの形態であってもよい。
【0043】
電子回路は、マイクロプロセッサ118、タイマー、およびメモリ部分を含んでもよい。さらに、電子回路は、それぞれ制御信号を適用するように構成された電源を含んでもよい。マイクロプロセッサ118は、クロマトグラフィシステム100の動作を制御するために使用することができる。マイクロプロセッサ118は、クロマトグラフィシステム100に統合されてもよく、またはクロマトグラフィシステム100と通信するパーソナルコンピュータの一部であってもよい。マイクロプロセッサ118は、ポンプ102、ポンプ130、溶離液生成器104、サンプルインジェクタ110、および検出器116などのクロマトグラフィシステムの1つ以上の構成要素と通信し、かつそれらを制御するように構成され得る。メモリ部分は、サンプルを注入するサンプルインジェクタ110のスイッチングに関して、電流波形の大きさおよびタイミングを設定するための命令を記憶するために使用され得る。
【0044】
初回設置時または長期保管時のイオン交換材料は、本質的にオリゴマーまたはイオン性であり得る浸出液を放出する可能性がある。これらの化合物は、下流のイオン交換コンポーネントに保持され得るため、システム始動時間の遅延を引き起こす可能性があり、いくつかの例では、下流のコンポーネントの容量を圧倒して、感度を低下させる、対象のピークを保持してピーク形状を悪化させる、バックグラウンドおよびノイズを増加させる、などの性能問題を引き起こす可能性がある。上記の問題の解決策は、所定のプロトコルに従って消耗品を平衡化することであり、通例、消耗品に対して個別に行われ、その後、使用前にシステムに再配管される。これらは、ユーザが実行しなければならない追加の手順であり、ハンズオンタイムを増やす。ICシステムに対して消耗品を交換しなければならないたびに、使用前に交換用消耗品を平衡化する必要があり、この態様はまた、大幅なダウンタイムおよび労力を増やす。必要とされる平衡化手順を実行しないと、下流の消耗品が浸出液で汚染され、重大な性能問題および追加のダウンタイムにつながる可能性がある。所定の手順に従わないと、システムのダウンタイムが増える可能性もある。シャットダウン期間が遅れた後のシステム始動に関する問題も、現場でよく遭遇する問題であり得る。
【0045】
加えて、全システム圧力に対する消耗品の圧力寄与を、その消耗品および損なわれた性能に関する何らかの問題の指標として測定することが望ましい場合がある。電極を含む別個の再生剤経路を有する電解装置では、この経路はまた、消耗品を標準動作のためにシステム上に展開する準備をするために、再配管し、かつ試薬または水を含有している流れでフラッシュする必要がある。再生態様を容易にすることは、配管構成の観点からは別の課題であり、現在、ユーザによるハンズオンタイムを必要とする。これらの問題は、平衡化方法の容易な展開を可能にするバルブ使用スキームで対処することができ、システムは、ICシステムの優れた性能を保証するために必要とされる手順の実行後に、通常の動作を再開することができる。説明された実施形態は、特定のバルブ構成を示しているが、この開示から、業界で入手可能である他のバルブ構成を使用できることは明らかである。
【0046】
図2を参照すると、平衡化することを必要とする消耗品202は、バルブ204から上流にある。第1の位置206では、バルブ204は、流れを消耗品から平衡化セットアップに導き、次に、これを廃液に順送するか、または電解装置の再生剤経路を再生するための水流として順送することができる。バルブの第2の位置208は、ICシステムの通常の配管または動作を再開する。したがって、バルブ使用スキームは、イオンクロマトグラフの自動展開を可能にすることができる。平衡化手順は、消耗品に合わせて調整し、個々の消耗品ごとに特定のセットアップを必要とし得る。任意選択の試薬210は、再生剤経路を再生するための電解消耗品に順送することができる。本明細書に開示されるシステムおよび方法は、システム動作を制御するクロマトグラフィソフトウェアからの方法展開により、自動化された方式でこれらの機能を達成することができる。したがって、これらのセットアップに関連付けられたハンズオンタイムおよび労力が、大幅に低減または排除される。上流の消耗品の平衡化を容易にするバルブ使用セットアップを提供することによって、全平衡化期間を低減して、最小限のダウンタイムでシステムを始動させることができる。
【0047】
図3は、例示的なイオンクロマトグラフィシステム300を示している。示されるように、溶離液生成器104と連続再生式トラップカラム106との間に6ポート2ポジションバルブ340が設置されている。第1の位置(図示せず)では、バルブ340は、溶離液生成器104の出力を連続再生式トラップカラム106に順送する。第2の位置では、バルブ340は、溶離液生成器104の出力を、定格2000psiまたは他のユーザ選択値の流量制限器などの流量制限器342に順送し、次に、これを廃液に方向転換する。溶離液生成器104の所定の平衡化を追求し、廃液に順送することができ、次に、バルブ340を切り替えて、通常動作を再開することができる。様々な実施形態において、バルブ340からの廃液は、任意選択の検出器350に順送することができる。このようにして、溶離液生成器104の平衡化を監視して、溶離液生成器104の十分な平衡化を確保することができる。他の廃液流は、同様に、廃液流を監視し、各成分の申し分ない平衡化を確保するために、検出器350または別個の検出器などの任意選択の検出器に導くことができる。
【0048】
次いで、連続再生式トラップカラム106からの出力流は、脱ガス器108に順送され、次に、サンプルインジェクタ310に順送される。注入バルブ338は、標準の6ポート2ポジションバルブの代わりに7ポート3ポジションバルブとすることができる。追加の7番ポートは、バルブの第3の位置でポンプ流に接続され、消耗品の平衡化中に活用することができる。7番ポートは、再生剤ライン122上で廃液に接続することができる。流れが正しい方向に順送されることを確保するために、チェックバルブ344が、電解サプレッサ114のアウトポートと連続再生式トラップカラム106の再生剤インポートとの間で再生剤ライン上に展開される。したがって、この構成は、電気分解反応のために水を提供するために確立された再生剤流で、連続再生式トラップカラム106を再生するために使用することができる。
【0049】
第1の位置にある注入バルブは、溶離液が直接カラムに順送されている間にサンプルを装填することができる。第2の位置にある注入バルブは、標準セットアップと同様にサンプルを注入することができ、溶離液は、サンプルループを介して分析のためにカラムに順送される。第3の位置では、連続再生式トラップカラム106を通してポンプ送りされる溶離液は、連続再生式トラップカラム106の再生剤側および廃液に順送される。この構成であれば、第1または第2の位置で通常動作を再開する前に、連続再生式トラップカラム106の平衡化に役立つであろう。
【0050】
次いで、溶離液は、クロマトグラフィ分離装置112に順送され、次に、バルブ346に順送され、この実施形態では、バルブ346は、2つの位置を備えた3ポートバルブとして示されている。位置1では、バルブは、溶離液をクロマトグラフィ分離装置112から電解サプレッサ114の溶離液インポートに順送する。第2の位置では、クロマトグラフィ分離装置112からの溶離液が、廃液に順送される。第2の位置は、標準動作の前にクロマトグラフィ分離装置112を平衡化するために使用される。このセットアップの利点は、クロマトグラフィ分離装置112からの任意の浸出液が、下流の消耗品中にではなく、廃液にフラッシュされることである。
【0051】
電解サプレッサ114の溶離液アウトポートからの抑制された溶離液は、検出器116に順送され、次に、3ポート二重ポジションバルブ348に順送される。第1の位置では、抑制された溶離液は、電解サプレッサ114の再生剤チャネルに順送され、電気分解反応に必要とされる水を提供する。第2の位置では、電解サプレッサ114の溶離液アウトポートからの抑制された溶離液は、検出器116を通して順送され、廃液に順送される。設置時に、電解サプレッサ114は、このセットアップで平衡化することができる。任意選択の再生剤流(図示せず)を展開して、サプレッサ再生剤チャネルをフラッシュすることができる。
【0052】
図3の実施形態の別の利益は、各消耗品が廃液に順送されるとき、総システム圧力から減算することによって下流圧力を容易に取得することができることである。したがって、図3の実施形態は、消耗品の圧力寄与を提供し、消耗品の問題に起因してシステム圧力が上昇する場合に、トラブルシューティングの目的で使用することができる。このことは、貴重な診断情報を提供することができる。また、消耗品をすばやくすすぎ、それを廃液に順送することにより、良好なシステム性能を確保することができる。
【0053】
図4は、前に説明したように、溶離液生成器104と連続再生式トラップカラム106との平衡を可能にするために2つのバルブ(バルブ340および338)のみが展開された簡略化されたセットアップを示している。このセットアップは、a)カラムが性能を改変するようには大きく浸出しない場合、b)使用されるサプレッサが図3のセットアップを必要としないものとなる化学的サプレッサである場合に役立ち得る。また、ユーザが手動モードでカラムおよびサプレッサの平衡化を追求することができる場合である。
【0054】
図5は、クロマトグラフィシステムを使用のために準備する方法500を示している。502において、システムの平衡化を開始することができる。様々な実施形態において、ユーザインターフェースは、システムの平衡化のためのオプションをユーザに提供することができる。人間のユーザは、ボタンを押下することなどによって、ユーザインターフェースを介してシステムの平衡化を開始することができる。平衡化は、システムを始動する前に平衡化をプログラミングし、かつ次に、完全に自動化された方式で通常動作を再開することによって、自動化された方式で追求することもできる。
【0055】
図5を参照すると、504において、システムは、図3のバルブ340などの、電解溶離液生成器の後に位置するバルブを平衡化位置に切り替えることができる。様々な実施形態において、平衡化位置は、電解溶離液生成器から出る流れを廃液に導くことができる。506において、電解溶離液生成器を平衡化することができる。様々な実施形態において、ポンプは、確立されたプロトコルに従って、平衡化時間の間、脱イオン水を溶離液生成器に供給することができる。様々な実施形態において、確立されたプロトコルを、クロマトグラフィシステムまたは溶離液生成器の製造元によって提供することができるか、またはプロトコルを、ユーザによって提供することができる。
【0056】
508において、システムは、溶離液生成器の後に位置するバルブを通常動作位置に切り替え、図3のバルブ338などの、連続再生式トラップカラムの後に位置するバルブを、平衡化位置に切り替えることができる。様々な実施形態において、平衡化位置は、連続再生式トラップカラムの下流の流れを、図3のライン122などの、再生剤ラインに導いて、連続再生式トラップカラムに再生剤流を提供することができる。510において、連続再生式トラップカラムを平衡化することができる。様々な実施形態において、ポンプは、確立されたプロトコルに従って平衡化時間の間、連続再生式トラップカラムに溶離液を供給することができる溶離液生成器に、脱イオン水を供給することができる。512において、システムは、連続再生式トラップカラムの後に位置するバルブを、通常動作位置に切り替えることができる。
【0057】
様々な実施形態において、分離カラムおよび/またはサプレッサを平衡化することが望ましい場合がある。他の実施形態では、分離カラムが大きく浸出しない場合、および/またはサプレッサが電解サプレッサではなく化学的サプレッサである場合など、分離カラムおよびサプレッサを平衡化する必要がない場合がある。任意選択で、514において、システムは、図3のバルブ346などの、分離カラムの後に位置するバルブを平衡化位置に切り替えることができる。様々な実施形態において、平衡化位置は、分離カラムの下流の流れを廃液に導くことができる。任意選択で、516において、分離カラムを平衡化することができる。様々な実施形態において、ポンプは、確立されたプロトコルに従って、平衡化時間の間、分離カラムへの溶離液流を生成することができる溶離液生成器に、脱イオン水を供給することができる。
【0058】
任意選択で、518において、システムは、分離カラムの後に位置するバルブを通常動作位置に切り替え、図3のバルブ348などの、電解サプレッサの後に位置するバルブを、平衡化位置に切り替えることができる。様々な実施形態において、平衡化位置は、電解サプレッサから出る流れを廃液に導くことができる。任意選択で、520において、電解溶離液生成器を平衡化することができる。様々な実施形態において、ポンプは、確立されたプロトコルに従って、平衡化時間の間、カラムを通してサプレッサに溶離液流を駆動することができる。任意選択で、522において、システムは、電解サプレッサの後に位置するバルブを通常動作位置に切り替えることができる。
【0059】
524において、システムは、人間のユーザまたはロボットに検証サンプルを装填するよう促すことができ、人間のユーザは、検証サンプルを装填することができる。様々な実施形態において、サンプルは、電解消耗品の平衡化後に装填することができる。他の実施形態では、平衡化が開始される502において、システムは、ユーザに促すことができ、ユーザは、サンプルを装填することができ、こうすれば、人間のユーザが平衡化と検証との間でクロマトグラフィシステムに戻る必要性が解消される。526において、システムは、検証ルーチンを実行して、システムが要件内で動作していることを確保することができる。
【0060】
様々な実施形態において、システムは、各要素の平衡化後に圧力を計測して、の圧力寄与を測定することができる
【0061】
図6は、電解消耗品装置の交換後の使用のためのクロマトグラフィシステムを準備する方法600を示している。電解消耗品装置は、電解溶離液生成器、連続再生式トラップカラム、分離カラム、電解サプレッサなどであり得る。602において、人間のユーザは、電解消耗品装置を交換し、電解消耗品装置の平衡化を開始することができる。様々な実施形態において、システムは、デバイスの平衡化を開始するためのユーザインターフェースを提供することができ、人間のユーザは、デバイスを選択し、かつボタンを押下して平衡化を開始することなどによって、平衡化を開始することができる。
【0062】
604において、システムは、電解消耗品の下流に位置するバルブを平衡化位置に切り替えることができる。様々な実施形態において、平衡化位置は、電解消耗品装置から出る流れを廃液または再生剤ラインに導くことができる。606において、電解消耗品装置を平衡化することができる。様々な実施形態において、システムは、確立されたプロトコルに従って平衡化期間の間、ポンプに、電解消耗品装置を通る流れを駆動させることができる。様々な実施形態において、確立されたプロトコルを、クロマトグラフィシステムまたは溶離液生成器の製造元によって提供することができるか、またはプロトコルを、ユーザによって提供することができる。608において、システムは、電解消耗品の下流に位置するバルブを通常動作位置に切り替えることができる。
【0063】
610において、システムは、人間のユーザに検証サンプルを装填するよう促すことができ、人間のユーザは、検証サンプルを装填することができる。様々な実施形態において、サンプルは、電解消耗品装置の平衡化後に装填することができる。他の実施形態では、平衡化が開始されると、602において、システムは、ユーザに促すことができ、ユーザは、サンプルを装填することができ、こうすれば、人間のユーザが平衡化と検証との間でクロマトグラフィシステムに戻る必要性が解消される。612において、システムは、検証ルーチンを実行して、システムが要件内で動作していることを確保することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】