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  • 特開-猛禽類用ケージ 図1
  • 特開-猛禽類用ケージ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039472
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】猛禽類用ケージ
(51)【国際特許分類】
   A01K 45/00 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A01K45/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146581
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】521398002
【氏名又は名称】株式会社YAMAMOTO
(74)【代理人】
【識別番号】100151208
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 吉伸
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
(57)【要約】
【課題】簡便に脂粉の処理を可能とする動物飼育用ケージを提供することである。
【解決手段】猛禽類用ケージ10は、フクロウ2が居住するために閉じられた居住空間11を内部に有する箱部12と、箱部12の居住空間11に幅方向に沿って架設され、フクロウ2が止まるための止まり木部20と、箱部12の天井側に設けられ、箱部12外の空気を箱部12内に取り込むための給気口部22と、箱部12の底面側に設けられ、フクロウ2の脂粉を捕獲しつつ、箱部12内の空気を箱部12外に排出するためのフィルターを有する排気口部24と、給気口部22から取り込んだ空気を居住空間11内に循環させて排気口部24から排出するようにファンを作動させるファン部25と、を備え、箱部12は、正面側に設けられ、透明性を有する材質で構成された透明部18を含む開閉扉14を有する。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
猛禽類が居住するために閉じられた居住空間を内部に有する箱部と、
前記箱部の前記居住空間に幅方向に沿って架設され、前記猛禽類が止まるための止まり木部と、
前記箱部の天井側に設けられ、前記箱部外の前記空気を前記箱部内に取り込むための給気口部と、
前記箱部の底面側に設けられ、前記猛禽類の脂粉を捕獲しつつ前記箱部内の前記空気を前記箱部外に排出するためのフィルターを有する排気口部と、
前記給気口部から取り込んだ前記空気を前記排気口部から排出するように前記居住空間内に前記空気の流路を形成するファン部と、
を備え、
前記箱部は、正面側に設けられ、前記止まり木部に止まる前記猛禽類を飼い主が外部から視認可能なように透明性を有する材質で構成された透明部を含む開閉扉を有することを特徴とする猛禽類用ケージ。
【請求項2】
請求項1に記載の猛禽用ケージにおいて、
前記透明部は、前記猛禽類が識別可能な網目部材が設けられていることを特徴とする猛禽類用ケージ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の猛禽用ケージにおいて、
前記箱部の下部に設けられ、排水口を有する流し台部と、
前記流し台部の下方に設けられ、前記排水口に接続される排水ホース部と、
前記流し台部の下方に設けられ、前記排水ホース部を介して流れてきた排水を溜める排水タンク部と、
を備えることを特徴とする猛禽用ケージ。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、猛禽類用ケージに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、犬や猫などの一般的な動物の他に、ペットとして飼育する動物の種類が増えつつある。例えば、鳥類では十姉妹、文鳥などの小型の鳥の他に、フクロウなどの猛禽類を飼う人が増加している。
【0003】
本発明に関連する技術として、例えば、所定深さを有する有底箱状のトレー体と、該トレー体の上部に配置される所定の開口を有する簀子と、該簀子の上部に配置されて簀子上部に所定の飼育空間を形成するパネル体とを備え、トレー体は、該トレー体内の水平方向一方から他方に向けて所定の傾斜角度で配設した受板と、該受板の傾斜上側に位置するトレー体の側部から該受板の上面に洗浄水を供給する洗浄水供給部と、受板の傾斜下側に位置するトレー体の内部で受板上面に供給した洗浄水を該受板下端に具備させた排水開口から受ける洗浄水受部と、受板の傾斜に沿って設けた移動開口に沿って移動して受板の上面を掃除する掃除具と、を有していることを特徴とする動物飼育用ケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3142669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の動物飼育用ケージは、小型動物のための小さなケージが中心であり、ケージ本体部が金属製の網目の箱で構成されている。鳥類が身体を震わせたとき等に落ちる粉は脂粉と呼ばれており、金属製の網目の箱からは脂粉が排出されてしまうことがある。
【0006】
フクロウなどのように大型の鳥は、脂粉の量が多い。一般家庭でフクロウを飼育しようとすると、大量の脂粉を清掃することが極めて困難であり、場合によっては脂粉アレルギーを発症してしまうといった課題がある。
【0007】
本発明の目的は、脂粉の処理を簡便に行うことを可能とする動物飼育用ケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る猛禽類用ケージは、猛禽類が居住するために閉じられた居住空間を内部に有する箱部と、前記箱部の前記居住空間に幅方向に沿って架設され、前記猛禽類が止まるための止まり木部と、前記箱部の天井側に設けられ、前記箱部外の前記空気を前記箱部内に取り込むための給気口部と、前記箱部の底面側に設けられ、前記猛禽類の脂粉を捕獲しつつ前記箱部内の前記空気を前記箱部外に排出するためのフィルターを有する排気口部と、前記給気口部から取り込んだ前記空気を前記排気口部から排出するように前記居住空間内に前記空気の流路を形成するファン部と、を備え、前記箱部は、正面側に設けられ、前記止まり木部に止まる前記猛禽類を飼い主が外部から視認可能なように透明性を有する材質で構成された透明部を含む開閉扉を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る猛禽用ケージにおいて、前記透明部は、前記猛禽類が識別可能な網目部材が設けられていることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る猛禽用ケージにおいて、前記箱部の下部に設けられ、排水口を有する流し台部と、前記流し台部の下方に設けられ、前記排水口に接続される排水ホース部と、前記流し台部の下方に設けられ、前記排水ホース部を介して流れてきた排水を溜める排水タンク部と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、脂粉の処理を簡便に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る実施形態の猛禽類用ケージの正面図である。
図2】本発明に係る実施形態の猛禽類用ケージにおいて、開閉扉と排水側扉を開いた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、本文中の説明においては、必要に応じそれ以前に述べた符号を用いるものとする。
【0014】
図1は、本発明に係る実施形態の猛禽類用ケージ10の正面図である。図2は、猛禽類用ケージ10において、開閉扉13と排水側扉16を開いた様子を示す図である。
【0015】
猛禽類用ケージ10は、猛禽類が居住するために閉じられた居住空間11を内部に有する装置である。ここでは、猛禽類は、フクロウ2であるものとして説明するが、もちろん、フクロウ2以外であってもよく、例えば、鷲、鷹、コンドルでもよく、また、大型又は中型のインコも含む。
【0016】
フクロウ2は、大型の鳥類であるため、鳥類が身体を震わせたとき等に落ちる脂粉の量や抜ける羽根の量が多い。脂粉は、粉綿羽という羽が崩れ、尾脂腺から分泌される脂が粉になったもので、人間でいうところの頭垢のようなものである。
【0017】
猛禽類用ケージ10は、箱部12と、止まり木部20と、給気口部22と、排気口部24と、ファン部25と、流し台部15と、排水ホース部17と、排水タンク部17aとを備えて構成される。
【0018】
箱部12は、フクロウ2が居住するために必要な広さを有する居住空間11を有する箱部材である。箱部12は、適度な強度を有する材質、例えば、木材を含んで構成することができる。
【0019】
箱部12は、左側面、右側面、天井面が閉じられ、正面側に蝶番を回動軸として開閉可能な開閉扉13を有する。開閉扉13は、図示しない施錠ロックを用いて施錠することが出来る。
【0020】
止まり木部20は、箱部12の居住空間11に幅方向に沿って架設され、フクロウ2が止まるための部材である。止まり木部20は、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。
【0021】
止まり木部20は、断面が円形状の棒状部材であり、箱部12の内側面に設けられるU字状の受け部に係合される。止まり木部20は、フクロウ2の係留紐を係留させるための係留リングが挿通されている。係留リングは、適度な強度を有する材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。
【0022】
開閉扉13は、箱部12の居住空間11の止まり木部20に止まるフクロウの2の飼い主が外部からフクロウ2を視認可能な透明部18を含む。
【0023】
透明部18は、透明性を有する材質で構成された材質、例えば、ガラス、アクリル、プラスチックなどで構成することができる。透明部18は、図1の拡大図に示されるように、格子状の網を構成する金属線が設けられている。
【0024】
フクロウ2は、透明部18に金属線が存在することを認識することが出来る。透明部18に金属線がない場合には、フクロウ2は、透明部18を開口と勘違いし、箱部12から飛び出そうとして透明部18に衝突してしまう可能性がある。
【0025】
しかしながら、金属線が存在する透明部18は、フクロウ2が金属線の存在を認識することが出来るため、箱部12から飛び出ようとして衝突してしまうことを防ぐことが出来る。
【0026】
給気口部22は、図2に示されるように、箱部12の天井面側に設けられ、箱部12外の空気を箱部12内に取り込むための孔部を有する。給気口部22は、箱部12の天井面の中央部において、複数のスリットが形成されている。給気口部22は、適度な強度を有する材質、例えば、プラスチックなどで構成することが出来る。
【0027】
排気口部24は、箱部12の背面のうち底面側に設けられる貫通孔24cと、フクロウ2から排出される脂粉を捕獲しつつ、箱部12内の空気を箱部12外に排出するためのフィルター24aとを有する。
【0028】
ファン部25は、給気口部22から取り込んだ空気を箱部12の居住空間11内に空気の流路を形成して排気口部24から排出するように作動するファンを含んで構成される。ファンは、商用電源から供給される電力を用いて動作する。
【0029】
なお、給気口部22が天井側に設けられ、排気口部24が底面側に設けられている為、空気の流れは重力方向にほぼ沿った形となるため、脂粉や抜け落ちた羽根も底面側に移動させやすい。
【0030】
排気口部24と居住空間11との間には、図2の拡大図に示される仕切り板部19が設けられている。ファン部25によって流される空気は開口部19aを通過して排気口部24に流れ込む。
【0031】
流し台部15は、箱部12の下部に設けられるシンク部材である。流し台部15は、凹部を有しており、流し台部15の下方側に貫通するための排水口15aが設けられている。流し台部15は、適度な強度を有しつつ、清掃しやすい材質、例えば、ステンレスで構成することが出来る。
【0032】
排水ホース部17は、流し台部15の下方の空間領域16aに設けられ、排水口15aに接続されるホースである。排水ホース部17は、可撓性と柔軟性に優れ、ポリ塩化ビニルで構成される蛇腹ホースであることが好ましいが、もちろん、その他のホースを用いても良い。
【0033】
排水タンク部17aは、流し台部15の下方の空間領域16aに設けられ、排水ホース部17を介して流れてきた排水を溜めるためのタンクである。排水タンク部17aは、排水ホース部17を挿入するための孔部を有し、排水を貯留して運搬するためのポリエチレンの容器である。
【0034】
なお、通常時は、排水側扉16が閉じてられており、排水ホース部17と排水タンク部17aとが隠れている状態であるが、図2に示されるように排水側扉16が開いた状態では、排水ホース部17と排水タンク部17aが露出した状態となる。
【0035】
続いて、上記構成の猛禽類用ケージ10の作用について説明する。十姉妹や文鳥などの小型の鳥は、脂粉の排出が大きな問題となることは少なかったが、フクロウ2などの猛禽類は体が大きく、脂粉の量や抜け落ちる羽根の量が大きい。
【0036】
近年のペットブームに伴い、フクロウ2などを飼う人が増えているが、ペットを飼育する環境を整えずに購入すると、脂粉アレルギーなどが発症し、また、清掃に苦労するため、飼育を放棄してしまう人が存在する。
【0037】
しかしながら、猛禽類用ケージ10によれば、従来の動物飼育ケージのように網目の箱ではなく、閉じられた空間であるため、脂粉や羽根が猛禽類用ケージ10外に飛び散らない。これにより、脂粉や抜け落ちた羽根によって部屋が汚れることがなく、脂粉アレルギーに悩まされることがないという顕著な効果を奏する。
【0038】
そして、猛禽類用ケージ10によれば、ファン部25によって給気口部22から取り込んだ空気を箱部12の居住空間11内に循環させて排気口部24から排出するように作動するため、例えば、暑い夏場にエアコンで室温調節している際に、調整された空気を居住空間11内に取り込むことができ、フクロウ2は快適に生活することができるという利点がある。
【0039】
また、脂粉や抜けた羽根が空気の流れに沿って排気口部24側に流れ着いたとしても、フィルター24aによって脂粉や羽根が捕獲されるため、猛禽類用ケージ10外に排出されることがない。
【0040】
そして、循環する空気の流れに沿って運ばれてきた脂粉、羽根、糞は、流し台部15に蓄積されることが多いため、必要に応じて水やお湯などを使って流し台部15内を清掃することで、排水ホース部17を介して排水タンク部17aに溜めることが出来る。
【0041】
清掃を終えた後は、排水タンク部17aを取り出して汚物を捨てるだけでよい。このように、猛禽類用ケージ10によれば簡便に清掃することが出来るというメリットがある。
【0042】
上記のように、猛禽類用ケージ10によれば、フクロウ2の飼い主は、正面側の透明部18からフクロウ2を観賞することができるとともに、脂粉や羽根がケージ外に排出されることもなく、また、簡便に清掃することができる。
【符号の説明】
【0043】
2 フクロウ、10 猛禽類用ケージ、11 居住空間、12 箱部、14 開閉扉、15 流し台部、15a 排水口、16 排水側扉、16a 空間領域、17 排水ホース部、17a 排水タンク部、18 透明部、19 板部、19a 開口部、20 止まり木部、22 給気口部、24 排気口部、24a フィルター、24c 貫通孔、25 ファン部。
図1
図2