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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039473
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】スライス食品生産システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 25/06 20060101AFI20230314BHJP
   B65B 35/44 20060101ALI20230314BHJP
   B65B 35/50 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
B65B25/06 B
B65B35/44
B65B35/50
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146585
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】503049427
【氏名又は名称】匠技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(74)【代理人】
【識別番号】100150762
【弁理士】
【氏名又は名称】阿野 清孝
(72)【発明者】
【氏名】今浦 博志
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 郷将
(72)【発明者】
【氏名】根来 充
【テーマコード(参考)】
3E054
【Fターム(参考)】
3E054AA01
3E054DA01
3E054DD01
3E054DE01
3E054DE06
3E054EA01
3E054FA05
3E054FA07
3E054FB01
3E054FB11
3E054HA07
3E054JA03
(57)【要約】
【課題】コンベアのアキューム機能を活かしつつ、コンベア間の移載に伴うスライス食品の配列の乱れを最小限に留めることができるスライス食品生産システムを提供する。
【解決手段】本発明のスライス食品生産システムは、スライサー、包装機、および複数個のコンベアで構成され、スライサーで作製された複数個のスライス食品を、包装用フィルムのポケットの位置に合わせて整列させた後、包装機まで搬送して各ポケットに投入する自動投入装置を備える。自動投入装置は、スライサーから受け取った複数個のスライス食品をアキュームすると共に、包装機に向けて搬送するコンベアを含み、このコンベアは、包装機に向けて送り出されるスライス食品の数に応じて搬送速度が低下し、最終的に、コンベア上が最小ピッチで配列されたスライス食品で満たされる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に配置された複数本の食品原木を移送しながらスライスした後、スライス片を積層して未包装の複数個のスライス食品を作製するスライサーと、
前記複数個のスライス食品を、包装用フィルムに形成された複数個のポケットのそれぞれに収納した後、カバーフィルムで封止する包装機と、
前記スライサーと前記包装機との間に配置された複数個のコンベアで構成され、前記スライサーで作製された複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムのポケットの位置に合わせて整列させた後、前記包装機まで搬送して前記各ポケットに投入する自動投入装置と、を備え、
前記自動投入装置は、前記スライサーから受け取った複数個のスライス食品をアキュームすると共に、前記包装機に向けて搬送する第1のコンベアを含み、
当該第1のコンベアは、前記包装機に向けて送り出されるスライス食品の数が増えるにつれて搬送速度が低下し、最終的に、コンベア上が最小ピッチで配列されたスライス食品で満たされることを特徴とするスライス食品生産システム。
【請求項2】
前記スライサーにおけるスライス食品の生産能力を、前記包装機におけるスライス食品の生産能力よりも高く設定し、前記第1のコンベアにおいてスライス食品の搬送とアキュームを並行して行うことによりコンベア上をスライス食品で満たし、
前記第1のコンベア上がスライス食品で満たされた後は、前記スライサーの生産能力を前記包装機の生産能力と等しくすることにより、前記第1のコンベア上がスライス食品で満たされた状態を維持しながら、前記スライス食品を前記包装機まで搬送する、請求項1に記載のスライス食品生産システム。
【請求項3】
前記食品原木の取り換えに伴って前記スライサーからのスライス食品の供給が中断される間、前記第1のコンベア上にアキュームされたスライス食品を前記包装機まで搬送し、前記包装機へのスライス食品の搬送が途絶えることによって前記包装機の運転が停止するのを防止する、請求項2に記載のスライス食品生産システム。
【請求項4】
前記自動投入装置は、更に、
前記第1のコンベアから移載された前記複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムのポケットに、一度に投入する数だけ整列させる第2のコンベアと、
前記第2のコンベアで整列された複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムの移動に同期して個々のポケットに投入する第3のコンベアと、を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載のスライス食品生産システム。
【請求項5】
前記第1のコンベアの下流側には、当該第1のコンベアから移載された複数のスライス食品のそれぞれの搬送方向の位置を調整する複数の小コンベアが、搬送方向と直交する方向に並置され、
かつそれぞれの小コンベアの上方には、当該小コンベアで搬送されるスライス食品の位置を検出する位置センサが設置されている、請求項4に記載のスライス食品生産システム。
【請求項6】
前記包装機に向けて送り出されるスライス食品の数は、前記位置センサの出力信号に基づいて算出される、請求項5に記載のスライス食品生産システム。
【請求項7】
前記スライサーは、少なくとも、スライス片を受け取ると共に、それを積み重ねてスライス食品を作製する第4のコンベア、および当該スライス食品の搬送方向と直交する方向の位置を調節する第5のコンベアを備える、請求項1乃至6のいずれかに記載のスライス食品生産システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の原木をスライスした後、包装用フィルムのポケットに投入する等の処理を施してスライス食品を生産するスライス食品生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スライスされたハムを包装用フィルムに形成された凹型のポケットに投入・封止してスライス食品を生産する場合、1~2mの長さの円柱状のハム原木を、一定速度で回転する切断刃に対して移送することにより、一定の厚さにスライスして所定枚数積み重ねた後、自動投入装置のコンベアに送り出している。
【0003】
コンベアに送り出された未包装のスライス食品は、包装機まで搬送された後、包装用フィルムのポケットに投入され、更にカバーフィルムで封止されて商品の形態となる。
【0004】
近年では、上述の工程によってスライス食品を生産する場合、生産性を高めるために、複数本(例えば4本)のハム原木を1つの切断刃でスライスしている。またスライスされたハムを包装用フィルムのポケットに正確に投入できるように、搬送方向およびそれと直交する方向の位置を調節して整列させた後、包装機まで搬送している。
【0005】
上述したスライス食品生産システムにおいて、発明者等は先に、スライサーにおけるスライス食品の生産能力と、包装機におけるスライス食品の生産能力との違いを利用することによって、包装機の連続運転を可能にすることを提案した(特許文献1参照)。
【0006】
具体的には、第1に、スライサーにおけるスライス食品の生産能力を、包装機におけるスライス食品の生産能力よりも高く設定することにより、自動投入装置においてスライス食品の搬送とコンベア上へのスライス食品のアキューム(貯め)を並行して行い、コンベア上をスライス食品で満たす。
【0007】
第2に、コンベア上がスライス食品で満たされた後は、スライサーにおけるスライス食品の生産能力を、包装機におけるスライス食品の生産能力と等しくすることにより、コンベア上がスライス食品で満たされた状態を維持しながら、スライス食品を包装機まで搬送する。
【0008】
そして、食品原木の取り換えに伴って、スライサーからのスライス食品の供給が中断される間、コンベア上にアキュームされたスライス食品を包装機まで搬送し、包装機へのスライス食品の供給が途絶えることによって包装機の運転が停止するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2020-66441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した特許文献1に記載の生産システムでは、自動投入装置を、搬送方向に配列した複数台のコンベアで構成している。このような構成を採用した場合、コンベア間でスライス食品を移載する際に、水平面内における食品原木の配列が乱れ、また移載の回数が多い程ずれの程度が大きくなり、包装機におけるスライス食品の円滑な投入が妨げられる。
【0011】
このような場合、包装機に作業者を配置し、ポケットへの投入に失敗したスライス食品を、作業者の手でポケットに押し込む必要があり、コンベアのアキューム機能を活用して稼働率を向上させる意図が十分生かされない。
【0012】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、コンベアのアキューム機能を活かしつつ、コンベア間の移載に伴うスライス食品の配列の乱れを最小限に留めることができるスライス食品生産システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため本発明に係るスライス食品生産システムは、
並列に配置された複数本の食品原木を移送しながらスライスした後、スライス片を積層して未包装の複数個のスライス食品を作製するスライサーと、
前記複数個のスライス食品を、包装用フィルムに形成された複数個のポケットのそれぞれに収納した後、カバーフィルムで封止する包装機と、
前記スライサーと前記包装機との間に配置された複数個のコンベアで構成され、前記スライサーで作製された複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムのポケットの位置に合わせて整列させた後、前記包装機まで搬送して前記各ポケットに投入する自動投入装置と、を備え、
前記自動投入装置は、前記スライサーから受け取った複数個のスライス食品をアキュームすると共に、前記包装機に向けて搬送する第1のコンベアを含み、
当該第1のコンベアは、前記包装機に向けて送り出されるスライス食品の数が増えるにつれて搬送速度が低下し、最終的に、コンベア上が最小ピッチで配列されたスライス食品で満たされることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るスライス食品生産システムにおいて、前記スライサーにおけるスライス食品の生産能力を、前記包装機におけるスライス食品の生産能力よりも高く設定し、前記第1のコンベアにおいてスライス食品の搬送とアキュームを並行して行うことによりコンベア上をスライス食品で満たし、
前記第1のコンベア上がスライス食品で満たされた後は、前記スライサーの生産能力を前記包装機の生産能力と等しくすることにより、前記第1のコンベア上がスライス食品で満たされた状態を維持しながら、前記スライス食品を前記包装機まで搬送することが好ましい。
【0015】
また、前記食品原木の取り換えに伴って前記スライサーからのスライス食品の供給が中断される間、前記第1のコンベア上にアキュームされたスライス食品を前記包装機まで搬送し、前記包装機へのスライス食品の搬送が途絶えることによって前記包装機の運転が停止するのを防止することが好ましい。
【0016】
前記自動投入装置は、更に、前記第1のコンベアから移載された前記複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムのポケットに、一度に投入する数だけ整列させる第2のコンベアと、前記第2のコンベアで整列された複数個のスライス食品を、前記包装用フィルムの移動に同期して個々のポケットに投入する第3のコンベアと、を含むことが好ましい。
【0017】
また前記第1のコンベアの下流側には、当該第1のコンベアから移載された複数のスライス食品のそれぞれの搬送方向の位置を調整する複数の小コンベアが、搬送方向と直交する方向に並置され、かつそれぞれの小コンベアの上方には、当該小コンベアで搬送されるスライス食品の位置を検出する位置センサが設置されていることが好ましい。
【0018】
また前記包装機に向けて送り出されるスライス食品の数は、前記位置センサの出力信号に基づいて算出されることが好ましい。
【0019】
また前記スライサーは、少なくとも、スライス片を受け取ると共に、それを積み重ねてスライス食品を作製する第4のコンベア、および当該スライス食品の搬送方向と直交する方向の位置を調節する第5のコンベアを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスライス食品生産システムでは、基本的に、アキューム機能を備えた搬送路を、搬送速度が可変の1台のコンベアで構成しており、スライス食品を移載する際の配列の乱れを最小限に留めることができる。結果として、包装機におけるスライス食品のポケットへの円滑な投入が可能となるため、投入作業における作業者の補助を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態に係るスライス食品生産システムのうち自動投入装置と包装機の概略正面図である。
図2】同概略平面図である。
図3】同スライス食品生産システムのうちスライサーの概略正面図である。
図4】同スライサーの原木移送ステーションを上方から見た平面図である。
図5】同スライス食品生産システムの制御系の構成を示すブロック図である。
図6】スライス食品の包装用フィルムのポケットへの投入動作を説明する図である。
図7】自動投入装置の搬送動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係るスライス食品生産システムについて、図面を参照して説明する。以下の説明では、円柱状の食品原木をスライスしてスライス食品を生産するものとする。
【0023】
本実施の形態に係るスライス食品生産システムは、スライサー1、自動投入装置2および包装機3の3つの装置で構成されている。図1および図2に自動投入装置2および包装機3の概略構成を示し、図3および図4にスライサー1の概略構成を示す。また図5にスライス食品生産システムの制御系の構成を示す。
【0024】
スライサー1は、食品原木W(以降、「原木W」と略す。)をスライスした後、スライス片を積み重ねてスライス食品Sを作製すると共に、スライス食品の搬送方向と直交する方向の位置を調整する。包装機3は、スライス食品Sを包装用フィルムのポケットに収納した後、表面をフィルムで封止する。自動投入装置2は、スライサー1と包装機3との間に配置された複数のコンベアで構成され、スライサー1で作製されたスライス食品の搬送方向の位置を調整した後、包装機3まで搬送し、包装用フィルムのポケットに自動投入する。
【0025】
図5に示すように、スライサー1、自動投入装置2および包装機3には、それぞれの動作を制御するコントローラ17、24および34が設置されており、位置センサや回転センサで検出した信号に基づいてモータやアクチュエータの動作を制御して、コンベアやその他の部材を駆動する。
【0026】
またコントローラ17とコントローラ24、コントローラ24とコントローラ34は相互に交信を行ない、コンベアやその他の駆動部材の動作タイミングを調節して、スライサー1で作製されたスライス食品Sが包装機3まで円滑に搬送されるよう制御している。
【0027】
<スライサーの構成と機能>
最初に、スライサーの構成と各部材の機能を説明する。図3に、原木Wを所定の幅でスライスするスライサー1の全体構成を示す。
【0028】
スライサー1は、ベース10上に設置された原木移送ステーション11、スライスステーション15および整列・計量ステーション16で構成されている。本実施の形態で用いるスライサー1は、4本の原木Wを同時にスライスする機能を備えている。以下、原木移送ステーション11、スライスステーション15および整列・計量ステーション16の順に、それぞれの構成と各部の機能を説明する。
【0029】
図4は、原木移送ステーション11を上方から見た図である。原木移送ステーション11は、ガイド部111と、その上に設置され、4本の原木Wを、当該原木の軸方向に移送する原木移送機構110とで構成されている。
【0030】
このうち原木移送機構110は、並列に配置された4本の原木Wのそれぞれを移送する第1移送手段120A~120Dと、4台の第1移送手段120A~120Dをまとめて移送する第2移送手段130とで構成されている。
【0031】
一方、ガイド部111は、支柱101および102によってベース10上に傾斜して設置され、ガイド部111には、円柱状の4本の原木Wのそれぞれを収容する、断面が船底状の4本の支持レーン112が形成されている。
【0032】
第1移送手段120A~120D、およびそれぞれの先端に取り付けられたグリッパ140の構成と機能を説明する。なお、第1移送手段120A~120Dの構成と機能は変わらないため、以後、これらを代表して第1移送手段120Aについて説明する。
【0033】
第1移送手段120Aの筐体121から突き出たロッド122は、筐体121内に収容されたリニアアクチュエータによって前進および後退が可能である。ロッド122は金属製の棒で作製され、内部には、グリッパ140に内蔵されたエアーシリンダにエアーを供給する空気孔が軸方向に形成されている。
【0034】
ロッド122は、エアー供給用のコネクタ(図示せず)を介してグリッパ140と連結され、ロッド122の空気孔を介して筐体121側から供給されたエアーは、グリッパ140内のエアーシリンダに供給される。
【0035】
図示しないが、グリッパ140の前部には、対向する2対のツメが直交する状態で配置されており、内部に収容されたエアーシリンダを駆動することで爪を旋回させ、原木Wの後端部を把持する。第1移動手段120Aは、コントローラ17(図5参照)によって筐体121内のリニアアクチュエータを駆動してロッド122を前進または後退させる。
【0036】
一方、第2移送手段130は、図4に示すように、ガイド部111の両側部に設置されたボールねじ131とリニアガイド132、およびこれらを跨ぐように設置された平板状のテーブル133で構成されている。テーブル133は、ボールねじ131のナット(図示せず)と連結されており、モータ134によってボールねじ131が回転すると、テーブル133が切断刃151に向けて(図4の紙面に向かって左側)移動する。
【0037】
4台の第1移送手段120A~120Dは、テーブル133の下面に取付部材(図示せず)を介して固定されており、テーブル133が切断刃151に向けて移送されると、第1移送手段120A~120Dも、テーブル133と一体となって移送される。
【0038】
第2移送手段130に対して第1移送手段120A~120Dの位置を調節できるようにした理由は、原木Wの長さの違いを吸収するためである。一般に原木Wの長さは不揃いであり、第1移送手段120A~120Dがない場合、長さの違いを吸収できない。
【0039】
原木Wのスライスを開始する際、第2移送手段130に対する第1移送手段120A~120Dの位置を調節して、スライスされる4本の原木Wの先端位置を一致させる。その後、第2移送手段130を前進させながら、切断刃151によるスライスを繰り返せば、原木を無駄なくスライスできる。第2移送手段130の移送量、すなわちスライス片の厚みは、コントローラ17(図5参照)によって調節が可能である。
【0040】
次に、スライスステーション15の構成と機能を説明する。図3において、支柱102に支持されたスライスステーション15は、原木Wをスライスする円板状の切断刃151、および切断刃151を自転させながら公転させる切断刃駆動部材152を備えている。
【0041】
切断刃駆動部材152を用いて、切断刃151を自転させながら公転させることにより、支持レーン112上を移送されてきた原木Wは一定の厚さにスライスされる。そのため、切断刃151の回転軸153は、回転板154の一端に、切断刃駆動部材152の回転軸より所定距離離した状態で、回転自在に支承されている。原木Wの移送に同期して、上述の動作を繰り返すことにより、スライス片が連続して作製される。
【0042】
なお、切断に同期した原木の移送には、連続した移送と間欠的な移送がある。一般的に、スライス片の厚みが薄いときは連続した移送が採用され、スライス片の厚みが所定の値を超えると間欠移送が採用される。
【0043】
切断刃151でスライスされたスライス片が落下する位置には、スライス片を受け取ると共に、それを下流側の自動投入装置2まで搬送する整列・計量ステーション16が設置されている。
【0044】
整列・計量ステーション16は、整列用コンベア161、搬送用コンベア162および位置調整用コンベア163で構成されている。コンベア161~163は、所定の間隔を隔てて配置された一対のプーリに平ベルトが捲回されて構成されており、一方のプーリの軸に駆動用モータの回転力が伝達される。
【0045】
前述したように円柱状の原木Wを4本用意し、原木移送機構110を用いて原木Wを連続して、または間欠的に移送すると、原木Wが先端から順次所定の厚さでスライスされ、円形のスライス片が作製される。原木Wは、紙面に向って右側が上、左側が下になるように傾斜しており、切断刃151によってスライスされたスライス片は、整列用コンベア161上に落下する。
【0046】
整列用コンベア161を静止させた状態でスライスを繰り返せば、コンベア上に複数枚のスライス片が重なった状態で積層される。一方、整列用コンベア161を若干移動させながらスライスを繰り返すと、コンベア上にスライス片がずらした状態で(鱗列して)積層される。スライス片をいずれの形態で整列させるかは、包装用フィルムへの実装状態にあわせて決定される。
【0047】
整列用コンベア161上に積層された未包装のスライス食品Sは、次のスライスに備えてコンベア上を空けるため、搬送用コンベア162に移載される。整列用コンベア161と搬送用コンベア162の搬送速度は等しく、かつ隣接して設置され、搬送面の高さがほぼ等しいため、スライス食品Sの円滑な移載が可能である。
【0048】
スライス食品Sは、更に、搬送方向と直交する方向の位置を調整するため、位置調整用コンベア163に移載される。下流に設置された包装機3において、スライス食品Sは搬送方向と直交する方向に4列並んだ状態で包装される。そのため、包装用フィルムには、搬送方向と直交する方向にスライス食品Sを収納する4列のポケットが、均等な位置に形成されている。
【0049】
スライサー1で4本の原木Wをスライスする際には、単一の切断刃151を用いて4本の原木Wを切断する制約上、整列用コンベア161に落下し、積層された4個のスライス食品間のピッチは、フィルムに形成されたポケットのピッチより狭い。このため、位置調整用コンベア163で、スライス食品S間のピッチを拡げると共に、フィルムのポケットの位置と一致させる必要がある。
【0050】
本実施の形態では、位置調整用コンベア163を、搬送方向と直交する方向に分割された4台の小コンベアで構成し、小コンベアで搬送する間に、スライス食品Sの各位置を、搬送方向と直交する方向にずらして、フィルムのポケットの位置と一致させている。
【0051】
コンベア163を構成する4台の小コンベアの下部には、それぞれ計量器164が設置されており、小コンベア上に載置されたスライス食品Sの重さを、小コンベアの重量と共に計量する。計量器164の計量データはコントローラ17に送信される。小コンベアの重量は既知であるため、計量した値から小コンベアの重量を引くことにより、搬送されるスライス食品Sの重さを計量できる。
【0052】
スライス食品Sは、長尺円柱状の原木Wを一定の厚みでスライスすることにより得られる。ハム原木Wの太さは殆ど変わらないが、両端部近傍では若干細くなっている。従って、この部分をスライスした場合、直径が小さく、かつ重量が規格から外れたスライス食品が作製される。このような規格外のスライス食品は、自動投入装置2に引き渡された後、排出ボックスに回収される。
【0053】
なお、サポートステーション11、スライスステーション15および整列・計量ステーション16の各部材の動作は、コントローラ17のメモリに格納されたプログラムによって制御される。図5に示すように、コントローラ17は、各部材に設置された位置センサ181や回転センサ182の出力信号に基づいて、各部材を駆動するモータ191やアクチュエータ192の動作タイミングを調節して、上述の動作を実現する。
【0054】
上述した処理により作製された4個の未包装のスライス食品Sは、自動投入装置2のコンベア211他(図1参照)に移載されて包装機3まで搬送された後、それぞれ、包装用フィルムFの4つのポケットPに投入され、その後、カバーフィルムで密閉される。
【0055】
<自動投入装置および包装機の構成と機能>
次に、図1図2および新たな図6を参照して、自動投入装置2および包装機3の構成と機能を説明する。図6は、自動投入装置2による包装用フィルムFのポケットPへのスライス食品Sの投入動作を説明する図である。
【0056】
自動投入装置2は、7台のコンベア211~217で構成されている。各コンベアの構成は、スライサー1のコンベア161~163と同様である。
【0057】
図2において、コンベア211~217に沿うように配置された筐体22内には、これらのコンベアを回転駆動するモータ、並びにコンベア215の端部を上下に旋回させるアクチュエータが収容されている。煩雑さを避けるため図では省略しているが、コンベア211~217のプーリと筐体22の間には、モータの回転をプーリに伝達する部材およびコンベア215の端部を上下動させる部材が配置されている。
【0058】
自動投入装置2を構成する各コンベアの役割を、スライス食品Sの流れに沿って説明する。コンベア215は、スライサー1のコンベア163から引き渡されたスライス食品Sを、コンベア211または216のいずれかに振り分けるために用いられる。コンベア211を選択した場合は、スライス食品Sは包装機3まで搬送される。
【0059】
ベース20上に設置されたコンベア216および217は、規格外のスライス食品Sを搬送路から排出するために用いられる。スライサー1の計量器164による計量で規格外と判定されたスライス食品Sは、コンベア215を下方に旋回させることによりコンベア216に引き渡される。コンベア216に引き渡されたスライス食品Sは、図2に示すように、搬送方向と直交する方向に搬送されてコンベア217に移載された後、排出ボックス(図示せず)に収容される。
【0060】
自動投入装置2を構成するコンベアのうち長尺のコンベア211は、スライス食品Sを包装機3に搬送する機能と、スライス食品Sをコンベア上にアキュームする(貯める)機能を兼ね備えている。
【0061】
前述したように、本実施の形態では、スライサー1におけるスライス食品の生産能力と、包装機3におけるスライス食品の生産能力との違いを利用することによって、包装機3の連続運転を可能にしている。
【0062】
すなわち、原木Wの取り換えに伴って、スライサー1からのスライス食品Sの供給が中断される間、コンベア上にアキュームされたスライス食品Sを包装機3まで搬送し、包装機3へのスライス食品の供給が途絶えることによって包装機3の運転が停止するのを防止している。
【0063】
本実施の形態では、コンベア211として、原木Wの取り換えの間、アキュームされたスライス食品Sを、途切れることなく包装機3に供給できるコンベアを用い、かつコンベアの搬送速度を可変とすることで、スライス食品を搬送する時間を短縮化して、稼働率の低下を防止している。なお、コンベア211のアキューム機能については、後に図面を参照して詳述する。
【0064】
コンベア211の下流には、4台の小コンベア212が搬送方向と直交する方向に並置されており、上方に設置された位置センサ23の検出信号に基づいて、それぞれのスライス食品Sの位置を調節して、4列のスライス食品Sが搬送方向と直交する方向に揃うように並べた後、下流側のコンベア213に引き渡している。
【0065】
本実施の形態では、コンベア214上に5列に配列された計20個のスライス食品Sを1セットとして、1回の動作で包装用フィルムFのポケットPに投入する。そのための準備動作として、上流側のコンベア213上にポケットPと同じ配列の20個のスライス食品Sを用意し、それを投入用のコンベア214に移し替えている。
【0066】
コンベア212とコンベア213の相互の速度を調整することにより、コンベア213上に、包装用フィルムのポケットと搬送方向およびそれと直行する方向のピッチが一致した20個のスライス商品Sが配列される。
【0067】
コンベア213で搬送方向に5列、搬送方向と直交する方向に4列並んだスライス食品Sは、それぞれの姿勢および相互のピッチを保持したまま、下流側のコンベア214に引き渡され、コンベア214の下方を移動する包装用フィルムFの移動に同期してポケットPに投入される。
【0068】
図6を参照して、スライス食品Sの包装用フィルムFのポケットPへの投入動作を説明する。図6(a)~(c)に示すように、コンベア214の下流側端部は、直径の小さいプーリを用いることによってくさび状に形成されており、コンベア214によって搬送されるスライス食品Sが、フィルムFのポケットPに投入されやすいように構成されている。
【0069】
図6(a)に示すように、フィルムFの搬送方向の位置が調節された状態で、コンベア214とフィルムFを同期して移動させると、図6(b)(c)に示すように、コンベア214の端部から送り出されたスライス食品SがフィルムFのポケットPに投入され、ポケット内に収納される。
【0070】
自動投入装置2を構成するコンベア211~217の動作は、コントローラ24のメモリに格納されたプログラムによって制御される。図5に示したように、コントローラ24は、各コンベアに配置された位置センサ251や回転センサ252の出力信号に基づいて、各コンベアを回転駆動するモータ261や上下左右に移動するアクチュエータ262の動作タイミングを調節して、上述した動作を実現する。
【0071】
次に、包装機3の構成と機能を説明する。なお、包装機3の構成は本発明の生産システムとは直接的に関係しないため、必要最小限の説明に留める。
【0072】
図1に示したように、ベース30上に包装用フィルムFの搬送部材31が設置され、上部に成形部材32が設置されている。成形部材32は、図示しないローラから送り出される合成樹脂製のフィルムを加熱成形して、スライス食品Sを収容するポケットPを形成する。なお、成形部材32の前後に配置された部材321および322は、フィルムを覆う保護カバーである。
【0073】
ポケットPが形成され、更にその中にスライス食品Sが収納されたフィルムFは、搬送部材31によって下流側(紙面に向って左側)に搬送され、封止部材33によって、脱気された状態で、ポケットPの上面が図示しないフィルムにより封止される。その後、フィルムの表面に製造年月日等の印刷がされ、更にフィルムを切断して個々のスライス食品Sに分離され、最終製品となる。
【0074】
包装機3を構成する搬送部材31、成形部材32および封止部材33の動作は、コントローラ34のメモリに格納されたプログラムによって制御される。図5に示すように、コントローラ34は、搬送部材31、成形部材32および封止部材33に設置された位置センサ351および回転センサ352の出力信号に基づいて各部材を駆動するモータ361やアクチュエータ362の動作タイミングを調節して、上述の動作を実現する。
【0075】
<コンベアのアキューム機能>
次に、コンベア211におけるアキューム機能について説明する。
【0076】
前述したように、本発明に係るスライス食品生産システムは、スライサー1におけるスライス食品の生産能力と包装機3におけるスライス食品の生産能力との違いを利用することにより、包装機の連続運転を可能にして、生産システムの稼働率を大幅に向上させている。
【0077】
ここで、「スライサーにおけるスライス食品の生産能力」は、食品原木をスライスした後、それを積み重ねてスライス食品を作製する単位時間当たりの個数と定義する。また「包装機におけるスライス食品の生産能力」は、未包装のスライス食品を包装用フィルムのポケットに投入した後、フィルムで封止する単位時間当たりの個数と定義する。
【0078】
前述したように、スライサー1におけるスライス食品の生産能力は、包装機3におけるスライス食品の生産能力よりも高く設定(例えば10%程度)されている。従って、この状態でスライス食品の生産を続けると、自動投入装置2のコンベア上がスライスハムSであふれるため、スライサー1の駆動を停止せざるを得なくなる。
【0079】
そこで、本実施の形態では、コンベアのアキューム(貯める)機能に着目し、コンベア211上に、スライサー1の余分の生産能力によって作製されたスライス食品をアキュームしている。すなわち、コンベア211において未包装のスライス食品の搬送とコンベア上へのアキュームを並行して行い、コンベア上をスライス食品で満たしている。
【0080】
そして、コンベア上がスライス食品で満たされた後は、スライサー1におけるスライス食品の生産能力を、包装機3におけるスライス食品の生産能力と等しくすることにより、コンベア上がスライス食品で満たされた状態を維持しながら、スライス食品を包装機3まで搬送している。
【0081】
更に、原木Wの取り換えに伴って、スライサー1からのスライス食品の供給が中断される間、コンベア上にアキュームされたスライス食品を包装機3まで搬送し、包装機3へのスライス食品の供給が途絶えることによって包装機3の運転が停止するのを防止している。
【0082】
本実施の形態では、上述の動作を実現する手段として、搬送速度が可変のコンベア211を用い、包装機3に送り出されるスライス食品の数が少ないときには、コンベア211の搬送速度を速めることによって、搬送時間の短縮を図っている。
【0083】
すなわち、コンベア213上が、1セット20個のスライス食品Sで満たされるまでは、コンベア211を最速の速度で駆動し、その後は、コンベア211の速度を徐々に減速させることによって、コンベア211へのスライス食品のアキューム数を増やし、最終的には、コンベア211上をスライス食品で満たしている。
【0084】
以下、自動投入装置2の動作について、図7を参照して説明する。図7(a)~(f)は、コンベア215から包装機3の搬送部材31までの間のスライス食品Sの搬送動作を説明する図である。図中、コンベア上の○はスライス食品Sを示す。また搬送部材31上の内部が灰色の〇は、包装用フィルムFのポケットPにスライス食品Sが収納された状態を示している。
【0085】
生産システムが稼動してスライス食品Sの生産が開始されると、スライサー1によりスライスされ、コンベア161上に積層されたスライス食品Sは、コンベア163で搬送方向と直交する方向に整列(位置が調節)された後、自動投入装置2のコンベア215に引き渡される。
【0086】
この際、スライス食品Sの重さが計量器164で計測される。前述したように、原木Wの先端部は直径が若干小さく、作製されたスライス食品の重量が規格値を下回る。計量器164の計量結果は、コントローラ17を介して自動投入装置2のコントローラ24に通知される。
【0087】
コントローラ17からの通知を受け取ったコントローラ24は、スライス食品Sが、コンベア163からコンベア215に引き渡されたときに、コンベア215の後端部を下方に旋回し、スライス食品Sをコンベア216に引き渡す。コンベア216に引き渡された規格外のスライス食品は、更にコンベア217に引き渡され、最終的に排出ボックス(図示せず)に収容される。
【0088】
スライサー1における原木Wのスライスが進み、原木の直径が太くなると、計量器164での計量でスライス食品Sは規格値を満たす。計量器164の計量結果は、コントローラ14を介してコントローラ24に通知され、スライス食品Sはコンベア215からコンベア211に移載され、下流側に搬送される。
【0089】
自動投入装置2のコントローラ24は、コンベア212の上方に設置された位置センサ23の出力信号を常時監視し、出力信号に基づいて4列のスライス食品Sを横方向に整列させると共に、コンベア213を通過したスライス食品Sの数を数える。
【0090】
なお、スライス食品の位置を検出する手段として、位置センサの代わりにコンベア212の上方にカメラを設置してもよい。その場合、コントローラ24においてカメラの撮影画像からスライス食品の位置データを抽出し、そのデータに基づいて位置の調節やスライス食品の計数を行う。
【0091】
図7を参照して、スライス食品Sの搬送過程を説明する。図7(a)に示すように、コンベア211によるスライス食品Sの搬送当初、コンベア213より下流側にスライス食品Sが存在しない。その状態においては、コントローラ24は、搬送時間を削減するためにコンベア211を最高速度で駆動し、スライス食品Sを下流側に搬送する。この時点では、コンベア211上のスライス食品S間のピッチは最大の値P1となる。
【0092】
図7(b)に示すように、位置センサ23で20個のスライス食品Sの通過を確認した時点において、コントローラ24は、コンベア211の速度を1/2に減速する。この時点では、スライス食品S間のピッチはP1を維持している。
【0093】
図7(c)に示すように、1セット目の20個のスライス食品Sがコンベア213からコンベア214に移載された後、コンベア213において2セット目の20個のスライス食品Sの整列が開始される。この時点では、コンベア211の速度は最大速度の1/2であり、スライス食品をアキュームする機能はほとんど発揮されない。
【0094】
図7(d)に示すように、整列用コンベア213において2セット目の20個のスライス食品Sの整列が終了した時点で、コンベア211の速度は最大速度の1/4に減速する。この時点では、スライス食品S間のピッチはP1/2であり、コンベアのアキューム機能より搬送時間の短縮が優先される。
【0095】
図7(e)に示すように、コンベア211の速度が最大速度の1/4に減速した後、コンベア上のスライス食品S間のピッチはP1/4で最小となり、その後コンベア211は最大速度の1/4の速度を維持する。この時点では、コンベア上のスライス食品S間のピッチはP1/2とP1/4が混在し、アキューム機能が高まってきている。
【0096】
図7(f)に示すように、コンベア211の速度が最大速度の1/4に減速した後、コンベア上は、最小ピッチであるP1/4のスライス食品Sで満たされ、アキューム機能は最大となる。
【0097】
図7(f)に示す状態において、スライサーの生産能力が包装機の生産能力よりも高いと、コンベア215からコンベア211へスライス食品を移載する際にスライス食品が衝突して正常な搬送が妨げられる。
【0098】
コンベア211の上がスライス食品Sで満たされると、自動投入装置2のコントローラ24は、そのことをスライサー1のコントローラ17に通知する。通知信号を受信したコントローラ17は、スライス食品の生産能力を落として、包装機3の生産能力と一致させる。
【0099】
スライス食品の生産能力が包装機3の生産能力と一致した場合、コンベア215からコンベア211への移載の際にスライス食品Sが衝突することはないため、自動投入装置2は、コンベア211を最低速度で駆動しながら、スライス食品Sの包装機3への搬送を継続する。
【0100】
スライサー1におけるスライス食品Sの作製が進んで、スライスが原木Wの後端部に近づくと、スライス片の直径が小さくなるために、作製されたスライス食品Sの重量が規格値よりも軽くなる。
【0101】
そのスライス食品Sがコンベア163で搬送されるときに計量器164によってスライス食品の重量が規格値よりも軽いことが検出され、コントローラ17を介して自動投入装置2のコントローラ24に通知される。
【0102】
原木Wの前端部の場合と同様に、コンベア215は下段の位置に切り換えられ、スライス食品Sはコンベア216に引き渡され、最終的に排出ボックス(図示せず)に収容される。
【0103】
その後、スライサー1の原木Wが支持レーン112から取り外され、新たな原木Wが支持レーン112に取り付けられる(図3参照)。現状、原木Wの交換は自動化されており、10秒強で交換は終了する。原木Wが交換される間、スライサー1の運転は停止する。
【0104】
コンベア215および216を用いて規格外のスライス食品Sを廃棄した後、スライサー1からのスライス食品の供給が停止する。そのままでは、スライサー1から新たなスライス食品Sが供給されるまで、包装機3へのスライス食品の供給が停止することになる。これを避けるため、自動投入装置2は、コンベア211上にアキュームされたスライス食品Sを包装機3まで搬送する。
【0105】
コンベア211の長さを調節してコンベア上にアキュームされるスライス食品の数を増やせば、スライサー1からのスライス食品Sの供給が途絶えている間、包装機3にスライス食品Sを供給し続けることができるため、包装機3の運転が停止するのを防止できる。
【0106】
従ってコンベア211の長さは、コンベア上にアキュームされたスライス食品Sが包装機3に搬送される時間が、スライサー1における原木Wを取り換える時間よりも長くなるように設定すればよい。スライサー1において原木Wが交換された後、図7(a)~(f)に示したコンベア211によるスライス食品のアキュームと搬送が繰り返される。
【0107】
上述したように、本発明に係るスライス食品生産システムでは、スライサー1におけるスライス食品の生産能力を、包装機3におけるスライス食品の生産能力よりも高く設定し、自動投入装置2においてスライス食品の搬送とアキュームを並行して行うことにより、原木の取り換え時に包装機3の運転が停止するのを防止しており、スライス食品生産システムの稼働率を向上させることができる。
【0108】
更に、アキューム機能を備えた搬送路を、基本的に、搬送速度が可変の1台のコンベアで構成しており、搬送路を複数台のコンベアで構成した場合のように、原木を移載する際に、食品原木の配列が乱れることがない。結果として、包装機におけるスライス食品の円滑な投入が可能となるため、投入作業における作業者の補助を大幅に減らすことができる。
【0109】
なお、上述した実施の形態では、自動投入装置を構成するコンベアの搬送速度を、包装機に向けて送り出されるスライス食品の数に応じて、最高速度から1/2ずつ低減するように制御したが、この値に限定されない。実験結果に基づいて、高速搬送とアキューム機能とを両立させる搬送速度を選択すればよい。
【0110】
また、上述した実施の形態では、アキューム機能を備えた搬送路を、搬送速度が可変の1台のコンベアで構成したが、アキューム機能を高めたい場合、搬送路を、上下2段に配置された2台のコンベアで構成し、上流側および下流側に配置されたコンベアを上下に旋回させることで、いずれかの搬送路を選択できるようにしてもよい。
【0111】
また上述した実施の形態においては、円柱状の食品原木をスライスして円形のスライス食品を生産する場合について説明したが、生産される食品の形状や材料は、これに限定されない。例えば、円柱状の食品原木を斜めにスライスして楕円状のスライス食品を生産したり、角柱状の食品原木をスライスして四角形のスライス食品を生産することもできる。
【符号の説明】
【0112】
F 包装用フィルム
P ポケット
S スライス食品
W 原木
1 スライサー
2 自動投入装置
3 包装機
11 原木移送ステーション
15 スライスステーション
16 整列・計量ステーション
17、24、34 コントローラ
22 筐体
23 位置センサ
31 搬送部材
32 成形部材
33 封止部材
110 原木移送機構
120A~120D 第1移送手段
130 第2移送手段
140 グリッパ
151 切断刃
152 切断刃駆動部材
161~163、211~217 コンベア
164 計量器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7