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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039483
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】光学系及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/00 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
G02B13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146601
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 嘉人
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA01
2H087MA07
2H087MA09
2H087PA08
2H087PA09
2H087PA18
2H087PA20
2H087PB09
2H087PB10
2H087PB11
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA21
2H087QA26
2H087QA37
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA32
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】小型の撮像システムに好適な小型軽量、高性能、且つ、開放Fnoが2.0より明るい光学系及び撮像装置を提供する。
【解決手段】光学系は、物体側から順に合焦時に光軸方向に固定の物体側レンズ群GFと、中央群GMと、合焦時に光軸方向に固定の像側レンズ群GRとから構成され、中央群GMは、合焦時に光軸方向に移動する負の屈折力を有する負合焦レンズ群GNと合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する正合焦レンズ群GPとをそれぞれ少なくとも1つ有し、像側レンズ群GRは、物体側に凹面を向けたレンズを少なくとも1枚有し、軸上光束の径を決定するための開口絞りSが物体側に凹面を向けたレンズより物体側に配置され、所定の条件式を満足する。また、当該光学系と、撮像素子とを備えた撮像装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、合焦時に光軸方向に固定の物体側レンズ群と、中央群と、合焦時に光軸方向に固定の像側レンズ群とから構成され、前記中央群は、合焦時に光軸方向に移動する負の屈折力を有する負合焦レンズ群と合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する正合焦レンズ群とをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記像側レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを有し、軸上光束の径を決定するための開口絞りが前記物体側に凹面を向けたレンズより物体側に配置され、
以下の条件式を満足することを特徴とする光学系。
0.23 <(FB×tanθm)/(f×tanω)< 0.50 ・・・(1)
0.50 < Dr/(f×tanω)< 1.80 ・・・(3)
0.60 < f/Fno/Ds < 2.50 ・・・(4)
-1.00 < Crn/f < -0.10 ・・・(13)
但し、
FB :当該光学系の最も像側の面から像面までの空気換算長
θm :当該光学系の無限遠合焦時の最小Fnoにおける軸上マージナル光線の像面への入射角度
f :当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
ω :当該光学系の無限遠合焦時の最大画角
Fno:前記光学系の無限遠合焦時の開放Fno
Ds :前記光学系の無限遠合焦時の開放Fnoにおける前記開口絞りの直径
Dr :前記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面から結像面までの距離
Crn:前記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径
【請求項2】
前記物体側に凹面を向けたレンズの物体側に配置されるレンズが負の屈折力を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
最も像側のレンズが、前記物体側に凹面を向けたレンズであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学系。
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光学系。
0.00 < f/fs < 1.20 ・・・(5)
但し、
fs:前記開口絞りより物体側に配置されるレンズの無限遠合焦時における合成焦点距離
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光学系。
1.20 < βN < 4.00 ・・・(6)
但し、
βN:前記負合焦レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光学系。
-3.00 < fN/f < -0.30 ・・・(7)
但し、
fN:前記負合焦レンズ群の焦点距離
【請求項7】
前記負合焦レンズ群が最も物体側の最も像側の面が像側に凹の形状を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項8】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光学系。
0.40 < fP/f < 10.00 ・・・(8)
但し、
fP:前記正合焦レンズ群の焦点距離
【請求項9】
前記像側レンズ群は負の屈折力の空気レンズを有し、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の光学系。
-0.50 <(Crf+Crr)/(Crf-Crr)<4.50 ・・・(2)
但し、
Crf:前記空気レンズの物体側面の曲率半径
Crr:前記空気レンズの像側面の曲率半径
【請求項10】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の光学系。
-1.00 < f/fr < 3.00 ・・・(9)
但し、
fr:前記像側レンズ群の焦点距離
【請求項11】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の光学系。
0.50 < ff/f < 3.50 ・・・(10)
但し、
ff:前記物体側レンズ群の焦点距離
【請求項12】
前記物体側レンズ群は、像側面に像側に凹面の形状を有し負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、前記負の屈折力を有するレンズの中で最も屈折力の強いレンズより物体側が正の屈折力を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項13】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の光学系。
0.30 < CrL1f/f ・・・(11)
但し、
CrL1f:当該光学系の最も物体側の面の曲率半径
【請求項14】
最も物体側のレンズは正の屈折力を有することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の光学系。
【請求項15】
前記像側レンズ群は以下の条件を満足する正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の光学系。
1.73 < Ndrp < 2.50 ・・・(12)
但し、
Ndrp:前記正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の撮像レンズと、当該撮像レンズが形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、光学系及び撮像装置に関し、特に、固体撮像素子等を用いた小型の撮像装置に好適な光学系及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等の固体撮像素子を用いた撮影装置が普及している。これらの撮像装置に用いられる固体撮像素子の高画素化に伴い、光学系には小型軽量を維持しつつ、高い解像性能が求められるようになってきている。
【0003】
また、固体撮像素子の大型化に伴い、大きなボケが求められるようになってきている。そのため、光学系には被写界深度の浅い、開放Fnoが2.0より明るい大口径レンズが求められている。
【0004】
高い解像性能を有する大口径レンズとして、例えば、第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群と、正の屈折力を有する第3レンズ群とで構成され、Fnoが1.8より明るい光学系が提案されている(「特許文献1」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-161646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示の撮像装置は高い光学性能を実現しているものの、特許文献1に開示の光学系では、フランジバックが長く、合焦群の重量も重いため、鏡筒全体を小型化する点で好ましくない。
【0007】
本件発明の課題は、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、開放Fnoが2.0より明るい大口径の光学系及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学系は、物体側から順に合焦時に光軸方向に固定の物体側レンズ群と、中央群と、合焦時に光軸方向に固定の像側レンズ群とで構成され、前記中央群は、合焦時に光軸方向に移動する負の屈折力を有する負合焦レンズ群と合焦時に光軸方向に移動する正の屈折力を有する正合焦レンズ群とをそれぞれ少なくとも1つ有し、前記像側レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを少なくとも1枚有し、軸上光束の径を決定するための開口絞りが前記物体側に凹面を向けたレンズより物体側に配置され、以下の条件式を満足することを特徴とする。
0.23 <(FB×tanθm)/(f×tanω)< 0.50 ・・・(1)
0.50 < Dr/(f×tanω)< 1.80 ・・・(3)
0.60 < f/Fno/Ds < 2.50 ・・・(4)
-1.00 < Crn/f < -0.10 ・・・(13)
但し、
FB :当該光学系の最も像側の面から像面までの空気換算長
θm :当該光学系の無限遠合焦時最小Fnoにおける軸上マージナル光線の像面への入射角度
f :当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
ω :当該光学系の無限遠合焦時の最大画角
Fno:前記光学系の無限遠合焦時の開放Fno
Ds :前記光学系の無限遠合焦時の開放Fnoにおける前記開口絞りの直径
Dr :前記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面から結像面までの距離
Crn:前記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径
【0009】
また、上記課題を解決するため、本件発明に係る撮像装置は、上記記載の光学系と、当該光学系が形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、開放Fnoが2.0より明るい大口径の光学系及び撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本件発明の実施例1の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図2】本件発明の実施例1の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図3】本件発明の実施例2の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図4】本件発明の実施例2の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図5】本件発明の実施例3の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図6】本件発明の実施例3の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図7】本件発明の実施例4の光学系のレンズ構成例を示す断面図である。
図8】本件発明の実施例4の無限遠被写体撮影時の球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係わる光学系及び撮像装置の実施の形態を説明する。
【0013】
1.光学系
1-1.光学系の光学構成
まず、本発明に係る光学系の実施の形態を説明する。本実施の形態の光学系は、物体側から順に配置される、物体側レンズ群と、中央群と、像側レンズ群とから構成される。
【0014】
当該光学系では、無限遠物体から有限距離物体への合焦を中央群で行う。また、物体側レンズ群と像側レンズ群は合焦時に光軸方向に固定される。大口径レンズの物体側に配置されるレンズは径が大きくなる傾向がある。また、像面に近いレンズも比較的径が大きくなる傾向がある。そのため、径の大きくなる傾向があるレンズ群は、合焦時に光軸方向に固定し、比較的径の小さな中央群で合焦を行う方が、当該光学系の鏡筒構成含めた全体の小型化及び軽量化を図ることが容易となる。
【0015】
当該光学系では、中央群は、合焦時に光軸に沿って移動する負の屈折力を有する負合焦レンズ群と合焦時に光軸に沿って移動する正の屈折力を有する正合焦レンズ群とを少なくとも1つずつ有する。中央群を異なる符号の屈折力を有する合焦群をそれぞれ少なくとも1つ含む構成とすることで、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に収差の打ち消しあいを起こすことが可能となり、合焦時の収差変動を小さくすることができ、それにより高性能化が容易となる。また、合焦時に光軸に沿って移動するレンズ群(以下、「合焦群」と称する。)を複数用いて合焦することにより、合焦時の各合焦群の移動量を小さくすることが可能となり、当該光学系の小型化を実現することが容易となる。
【0016】
当該光学系では、軸上光束の径を決定するための開口絞りが、像側レンズ群に含まれる物体側に凹面を向けたレンズより物体側に配置される。それにより、メリジオナル断面において軸外光線の主光線が開口絞りより物体側で光軸の下側を通り、開口絞りより像側で光軸の上側を通る。その結果、開口絞りの物体側と像側で収差の打ち消しあいを起こしやすくなる。また、上記物体側に凹面を向けたレンズに軸外光線が入射する角度が強くならないためコマ収差の発生を抑えることが可能となる。それらにより高性能化を達成することが容易となる。また、上記物体側に凹面を向けたレンズが像側に寄れば寄るほど軸外光線の高さが高くなる傾向にあるため、軸外補正能力が高くなる。よって上記物体側に凹面を向けたレンズは当該光学系の最も像側に配置されることが好ましい。
【0017】
以下、当該光学系の光学構成に関してより詳細に説明する。
【0018】
(1)物体側レンズ群
物体側レンズ群は、中央群より物体側に配置され、合焦時に光軸方向に固定される。物体側レンズ群全体の屈折力は正であってもよく、負であってもよい。正の屈折力を有する場合、中央群に集光した光線が入射することになるので、中央群の径の小型化が容易となる。また、負の屈折力を有する場合、物体側での拡散作用が生じて、入射瞳位置がより物体側になることとなり、広角化と外径の小型化の両立を実現することが容易となる。
【0019】
物体側レンズ群の具体的な構成は特に限定されないが、像側面が像側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、負の屈折力を有するレンズの中で最も屈折力の強いレンズより物体側が、合成すると正の屈折力を有する構成とすることが好ましい。それにより、物体側レンズ群内でテレフォト系の構成とすることができる。その結果、望遠化と大口径化の両立を実現することが容易となる。
【0020】
物体側レンズ群の最も物体側に正の屈折力を有するレンズを配置すると、光学系の最も物体側で集光作用を有することとなるため、光線高さを低くする作用が生じることとなる。その結果、製造誤差により発生する収差量を小さくすることが容易となり、光学系の良好な結像性能を実現することが容易となる。
【0021】
物体側レンズ群の最も物体側に、物体側の面が物体側に凸面を向けたレンズを配置すると、光学系の最も物体側で集光作用が生じるため、光線高さを低くする作用が生じることとなる。その結果、製造誤差により発生する収差量を小さくすることが容易となり、光学系の良好な結像性能を実現することが容易となる。
【0022】
(2)中央群
中央群は、物体側レンズ群と像側レンズ群の間に配置される。中央群全体の屈折力は正であってもよく、負であってもよい。中央群全体で正の屈折力を有する場合、中央群は集光作用を有するため、当該光学系の大口径化が容易となる。中央群全体で負の屈折力を有する場合、合焦時の移動量を小さくすることが容易となり、小型化の点で好ましい。
【0023】
中央群は、負の屈折力を有する合焦群である負合焦レンズ群と正の屈折力を有する合焦群である正合焦レンズ群とをそれぞれ少なくとも1つ有する点を除いて、中央群の具体的な構成は特に限定されない。中央群を、互いに異なる符号の屈折力を有する合焦群をそれぞれ少なくとも1つ含む構成とすることで、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に収差の打ち消しあいを起こすことが可能となり、合焦時の収差変動を小さくすることができ、高性能化が容易となる。また、複数の合焦群により合焦することで、合焦時の各合焦群の移動量を小さくすることが可能となり、小型化を実現することが容易となる。
【0024】
中央群には、無限遠物体から有限距離物体への合焦を行う際に像側に移動する合焦群が少なくとも1つ配置されることが好ましい。合焦群の横倍率をβN、合焦群より像側の合成横倍率をβRとすると、合焦群のピント敏感度は、(1-βN)×βRと表すことができる。従って、合焦群が無限遠物体から有限距離物体への合焦時に像側に移動する場合は合焦群の横倍率が1より大きくなる。1よりも大きな横倍率を有する合焦群を用いて合焦することで、望遠化及び小型化が図られ、望遠比の小さな光学系を実現することが容易となる。
【0025】
また、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に像側に移動する合焦群より像側に位置するレンズの合成横倍率は1より小さいことが好ましい。上記像側に移動する合焦群より像側に配置されるレンズの合成横倍率が1より小さくなることで、光学系の像側で明るくする作用を有することとなり、大口径化を実現することが容易となる。
【0026】
中央群内には、合焦時に光軸方向に固定のレンズ群が配置されてもよい。但し、物体側レンズ群と中央群との間隔及び中央群と像側レンズ群との間隔が合焦時に変化することから、中央群の最も物体側のレンズ群と中央群の最も像側のレンズ群は合焦群である。
【0027】
合焦群のうち少なくともいずれか1つは、最も像側の面が像側に凹の形状を有することが好ましい。また、最も物体側の面と最も像側の面で作られる形状がメニスカス形状であることが好ましい。すなわち、合焦群のうち少なくともいずれか1つでは最も物体側の面と最も像側の面が同じ符号の曲率半径を持つことを意味する。曲率半径の符号が同じであれば、その符号はプラスでもマイナスでも限定はない。またさらに、最も物体側の面が物体側に凸の形状を有し、最も像側の面が像側に凹の形状を有することがさらに好ましい。このような形状のいずれかを有することで、合焦時の軸外の収差変動を小さくすることが出来るため、高性能化を実現することが容易となる。
【0028】
各合焦群のレンズ枚数に制限はないが、各合焦群(若しくは少なくとも1つの合焦群)は1つの単レンズユニットで構成されることが好ましい。ここで、単レンズユニットとは、1枚の単レンズ、或いは、複数の単レンズを空気間隔を介することなく一体化した接合レンズなどのレンズユニットをいう。すなわち、単レンズユニットは、複数の光学面を有する場合であっても、その最物体側面及び最像側面のみ空気と接し、その他の面は空気とは接していないものとする。また、当該明細書において、単レンズは、球面レンズ及び非球面レンズのいずれであってもよい。また、非球面レンズには、表面に非球面層が貼設されたいわゆる複合非球面レンズも含まれるものとする。このような構成をとることで、偏芯誤差や、単レンズ間の間隔の誤差等、種々の製造誤差を小さくすることができる。そのため、製造誤差に起因する光学性能の低下を小さくすることができ、製品毎の性能のバラツキを小さくすることができる。その結果、高性能化を実現することが容易となる。さらに好ましくは、合焦群は単レンズ、すなわち1枚の単レンズや1枚の非球面レンズで構成することで、製造誤差に起因する光学性能の低下をさらに小さくすることができ、高性能化を実現することが容易となる。
【0029】
(3)像側レンズ群
像側レンズ群は、中央群より像側に配置され、合焦時に光軸方向に固定される。像側レンズ群全体の屈折力は正であってもよく、負であってもよい。正の屈折力を有する場合、最も像側が集光作用を有することとなり、大口径化が容易となる。また、負の屈折力を有する場合、当該光学系の像側で拡散作用が生じることとなり、射出瞳位置がより像側になる。その結果、像側レンズ群の径方向の小型を実現することが容易となる。
【0030】
像側レンズ群は、物体側に凹面を向けたレンズを少なくとも1枚有する限り、像側レンズ群内の構成は限定されないが、少なくとも負の屈折力の空気レンズを有することが好ましい。空気レンズを有するということは、像側レンズ群中にレンズを少なくとも2枚有するということであり、また、負の屈折力の空気レンズを有するということは、像側レンズ群中に凸形状の空気レンズを有するということである。像面に近い像側レンズ群中に負の屈折力の空気レンズを有することで、光線を発散させる作用が生じることとなり、像側レンズ群の径の小型化を実現することが容易となる。
【0031】
また、光線を発散させる作用を有する負の屈折力の空気レンズから射出する軸外光線は、跳ね上げられる傾向にある。ここで、軸外コマ収差の抑制するためには、空気レンズの像側面は物体側に凹面を向けた形状が好ましい。すなわち、上記像側レンズ群に含まれる物体側に凹面を向けたレンズにより当該空気レンズの像側面が構成されることが好ましい。
【0032】
また、負の屈折力の空気レンズを形作る像側のレンズは、負の屈折力を有することが好ましい。像側のレンズが負の屈折力を有することで、軸外のコマ収差と像面湾曲の補正が容易となり、高性能化を実現することが容易となる。
【0033】
また、負の屈折力の空気レンズを形作る物体側のレンズは、負の屈折力を有することが好ましい。物体側のレンズが負の屈折力を有することで、射出瞳位置がより像側になる。その結果、像側レンズ群の径方向の小型を実現することが容易となる。
【0034】
像側レンズ群内の構成は限定されないが、正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有することが好ましい。像側レンズ群に集束作用を有する成分を配置することで、光学系を明るくする作用が像面側で生じることとなり、像側レンズ群より物体側の合成Fnoを暗くすることができる。その結果、像側レンズ群より物体側のレンズ枚数の削減が可能となり、低コスト化と大口径化の両立を実現することが容易となる。
【0035】
像側レンズ群の具体的な構成は特に限定されないが、正の屈折力を有するレンズ、負の屈折力を有するレンズ、負の屈折力を有するレンズが物体側から順に並んでいることが好ましい。さらには、2枚の負の屈折力を有するレンズで空気レンズが形成されることがさらに好ましい。このような構成を像側レンズ群内に有することで、大口径化と小型化の両立を実現することがさらに容易となる。また、像側レンズ群において最も像側に配置されるレンズ、すなわち当該光学系において最も像側に配置されるレンズが上記物体側に凹面を向けたレンズであることが好ましい。
【0036】
(4)開口絞り
当該光学系の開口絞りは、像側レンズ群に含まれる物体側に凹面を向けたレンズより物体側に配置される。それにより、メリジオナル断面において軸外光線の主光線が開口絞りより物体側で光軸の下側を通り、開口絞りより像側で光軸の上側を通る。その結果、開口絞りの物体側と像側で収差の打ち消しあいを起こしやすくなり、高性能化を達成することが容易となる。
【0037】
当該光学系の開口絞りは、合焦時に光軸方向に位置が固定されていることが好ましい。大口径レンズの開口絞りは径が大きいため、それを駆動させるためのメカ部材はさらに大型化する。よって、合焦時に光軸方向に位置を固定することでメカ部品含めた径の小型化を実現することが容易となる。
【0038】
当該光学系の開口絞りは、物体側レンズ群内に配置されることが好ましい。交換レンズの場合、レンズマウントや電子基盤、フォーカス駆動のための部材等が像面に近い位置に集まって配置されている。そのためメカ部品含めた配置の効率性の点から、開口絞りを物体側レンズ群内に配置することで、小型化を実現することが容易となる。
【0039】
1-2.条件式
当該光学系では、上述した構成を採用すると共に、次に説明する条件式を満足することが好ましい。
【0040】
1-2-1.条件式(1)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.23 <(FB×tanθm)/(f×tanω)< 0.50 ・・・(1)
但し、
FB:光学系の最も像側の面から結像面までの空気換算長
θm:無限遠合焦時の開放Fnoにおける軸上マージナル光線の像面への入射角度
f :当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
ω :当該光学系の無限遠合焦時の最大画角
【0041】
上記条件式(1)は、当該光学系の最も像側面における開放Fno時の軸上光線高さと像面の高さの比を規定する式である。ここで、θmは像面の垂線と軸上マージナル光線がなす角度であり、絶対値で表される。フランジバックが長い光学系で大口径化すると、像側レンズ群内の軸上光線高さが高くなってしまう。軸上光線高さが高い場合、軸外性能の補正を行うと軸上の性能にも影響が及ぶ。また、軸上光線高さが低すぎると大口径化が困難になる。そこで、像側レンズ群内の軸上光線高さをある範囲に規定することで、像面性の補正に対しより効果的となりながら大口径化が達成できる。ここで、上記条件式(1)を満足する場合、大口径化が達成されると共に軸外性能の高い光学系が達成できる。
【0042】
これに対し、上記条件式(1)の数値が上限以上となると、像面高さに対して最も像側面における軸上光線高さが高くなりすぎ像面湾曲やコマ収差の補正が不足となり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(1)の数値が下限以下となると、像面高さに対して最も像側面における軸上光線高さが低くなりすぎ、大口径化の点で好ましくない。
【0043】
上記効果を得る上で、上記条件式(1)の上限値は0.48であることが好ましく、0.46であることがより好ましく、0.44であることがさらに好ましく、0.42であることがよりさらに好ましく、0.40であることが一層好ましい。また、上記条件式(1)の下限値は0.24であることが好ましく、0.25であることがより好ましく、0.26であることがさらに好ましい。
【0044】
1-2-2.条件式(2)
当該光学系は、像側レンズ群に含まれる負の屈折力の空気レンズが以下の条件式を満足することが好ましい。
-0.50 <(Crf+Crr)/(Crf-Crr)< 4.50 ・・・(2)
但し、
Crf:上記空気レンズの物体側面の曲率半径
Crr:上記空気レンズの像側面の曲率半径
なお、曲率半径の符号は、そのレンズ面の頂点(レンズ面と光軸との交点)が、そのレンズ面の球面中心に対して物体側に位置する場合は正、像側に位置する場合は負とする。
【0045】
上記条件式(2)は、像側レンズ群に含まれる負の屈折力の空気レンズの形状を規定する式である。空気レンズの形状が両凸に近い形状の場合、条件式(2)がゼロに近い値となり、条件式(2)が正の値である場合、物体側の曲率半径の絶対値が像側の曲率半径の絶対値より大きくなる。また条件式(2)が正の値である場合、空気レンズの像側面は物体側に凹面を向けた形状となる。ここで、負の屈折力の空気レンズは、像側レンズ群に光線を発散させる作用を有する。それにより、射出瞳位置がより像側になる。その結果、像側レンズ群の径方向の小型に効果的である。また、負の屈折力の空気レンズから射出する軸外光線は、跳ね上げられる傾向にある。ここで、軸外コマ収差の抑制するためには、空気レンズの像側面は物体側に凹面を向けた形状が好ましい。ここで、負の屈折力の空気レンズの形状が条件式(2)を満足する場合、小型化と高性能な光学系の両立が達成できる。
【0046】
これに対し、上記条件式(2)の数値が上限以上となると、すなわち空気レンズの像側面の曲率半径が大きくなる場合、軸外コマ収差が補正不足となるため、高性能化の点で好ましくない。さらに、空気レンズは負の屈折力が弱くなることになるので、射出瞳位置が像面から遠くなり、小型化の点で好ましくない。上記条件式(2)の数値が下限以下となると、すなわち空気レンズの物体側面の曲率半径が正の方向に大きくなる場合、物体側面の負の屈折力が強くなることになるため、軸外コマ収差が過補正となると共に、像面湾曲がオーバーに倒れるため、高性能化の点で好ましくない。
【0047】
上記効果を得る上で、上記条件式(2)の上限値は4.20であることが好ましく、3.90であることがより好ましく、3.50であることがさらに好ましく、3.10であることがよりさらに好ましく、2.80であることが一層好ましい。また、上記条件式(2)の下限値は-0.40であることが好ましく、-0.20であることがより好ましく、-0.10であることがさらに好ましく、0.03であることがよりさらに好ましく、0.15であることが一層好ましい。
【0048】
1-2-3.条件式(3)
当該光学系は、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.50 < Dr/(f×tanω)< 1.80 ・・・(3)
但し、
Dr:上記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面から結像面までの距離
f:当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
ω:当該光学系の無限遠合焦時の最大画角
【0049】
上記条件式(3)は、当該光学系の像側レンズ群に含まれる上記物体側に凹面を向けたレンズの物体側面から結像面までの距離と像面高さを規定する式である。ここで、光学系の最も像側の面から像面までは空気換算長である。上記物体側に凹面を向けたレンズは開口絞りより像側に配置されるため、メリジオナル断面において軸外光線の主光線が光軸の上側を通る。上記物体側に凹面を向けたレンズが像面から遠くなると、軸外光線高さが低くなり、軸外性能の補正効果が小さくなり、高性能化が困難になると共に、フランジバックの大型化を招き、全長方向も小型化が困難となる。また、上記物体側に凹面を向けたレンズが像面に近くなりすぎても、上記物体側に凹面を向けたレンズの径の大型化を招く。よって条件式(3)を満足すると、小型化と高性能化の両立が達成できる。
【0050】
これに対し、上記条件式(3)の数値が上限以上となると、コマ収差の補正効果が小さくなり、高性能化が困難になると共に、全長方向も大型化を招くため、高性能化と小型化の点で好ましくない。上記条件式(3)の数値が下限以下となると、上記物体側に凹面を向けたレンズの径の大型化を招くため、小型化の点で好ましくない。
【0051】
上記効果を得る上で、上記条件式(3)の上限値は1.70であることが好ましく、1.60であることがより好ましく、1.45であることがさらに好ましく、1.30であることがよりさらに好ましく、1.25であることが一層好ましい。また、上記条件式(3)の下限値は0.60であることが好ましく、0.65であることがより好ましく、0.70であることがさらに好ましく、0.75であることがよりさらに好ましく、0.84であることが一層好ましい。
【0052】
1-2-4.条件式(4)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.60 < f/Fno/Ds < 2.50 ・・・(4)
但し、
f :当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
Fno:当該光学系の無限遠合焦時の最小Fno
Ds :当該光学系の無限遠合焦時の最小Fnoにおける開口絞りの直径
【0053】
上記条件式(4)は、当該光学系の入射瞳径と開口絞りの直径(絞り径)の比を規定する式である。ここで、条件式(4)を満足する位置に開口絞りを配置することで、絞り径の大きさと当該光学系の径方向の大きさのバランスが良くなり、小型化が達成できると共に、高性能化が達成される。
【0054】
これに対し、上記条件式(4)の数値が上限以上となると、開口絞りより物体側の屈折力が強くなりすぎ、開口絞りより物体側で収差発生量が大きくなり、高性能化の点で好ましくない。上記条件式(4)の数値が下限以下となると、絞り径が大きくなるため、小型化の点で好ましくない。
【0055】
上記効果を得る上で、上記条件式(4)の上限値は2.30であることが好ましく、2.12であることがより好ましく、2.02であることがさらに好ましく、1.89であることがよりさらに好ましく、1.79であることが一層好ましい。また、上記条件式(4)の下限値は0.70であることが好ましく、0.90であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましく、1.10であることがよりさらに好ましく、1.20であることが一層好ましい。
【0056】
1-2-5.条件式(5)
当該光学系は、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.00 < f/fs < 1.20 ・・・(5)
但し、
f :当該光学系の無限遠合焦時の焦点距離
fs:開口絞りより物体側に配置されるレンズの無限遠合焦時における合成焦点距離
【0057】
上記条件式(5)は、当該光学系の焦点距離と、開口絞りより物体側のレンズの無限遠合焦時における合成焦点距離との比を規定する式である。開口絞りより物体側のレンズの合成焦点距離が無限の場合、開口絞りが製造上光軸方向にずれて配置されても、位置誤差によるFno誤差は発生しない。一方、開口絞りより物体側のレンズの合成焦点距離が小さい場合、開口絞りが製造上光軸方向にずれて配置されると、位置誤差によるFno誤差が大きくなる。また、絞り径を小型化するためには、開口絞りより物体側のレンズで集光作用を持つことが好ましい。ここで、条件式(5)を満足する場合、製造によるFno誤差が小さく、小型な光学系が達成できる。
【0058】
これに対し、上記条件式(5)の数値が上限以上となると、開口絞りより物体側のレンズで集光作用強くなりすぎ、開口絞りが製造上光軸方向にずれて配置された場合に、開口絞りの光軸方向位置誤差によるFno誤差が大きくなる点で好ましくない。上記条件式(5)の数値が下限以下となると、開口絞りに発散された光線が入射することとなり、絞り径の大型化を招くため、小型化の点で好ましくない。
【0059】
上記効果を得る上で、上記条件式(5)の上限値は1.10であることが好ましく、1.05であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましく、0.95であることがよりさらに好ましく、0.90であることが一層好ましい。また、上記条件式(5)の下限値は0.05であることが好ましく、0.10であることがより好ましく、0.15であることがさらに好ましく、0.19であることがよりさらに好ましい。
【0060】
1-2-6.条件式(6)
当該光学系は、以下の条件式を満足することが好ましい。
1.20 < βN < 4.00 ・・・(6)
但し、
βN:負合焦レンズ群の無限遠合焦時の横倍率
【0061】
上記条件式(6)は、負合焦レンズ群の無限遠合焦時の横倍率を規定する式である。合焦群の横倍率をβN、合焦レンズ群より像側の合成横倍率をβRとすると、合焦群のピント敏感度は、(1-βN)×βRと表すことができる。合焦群の横倍率が1より大きくなると、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に合焦群が像側に移動することを意味する。また、1より大きな横倍率を持つことで、焦点距離を伸ばし、全長を短縮することが可能となる。負合焦レンズ群が条件式(6)を満足する場合、負合焦レンズ群の横倍率が適正な範囲となり、小型化が達成できる。
【0062】
これに対し、上記条件式(6)の数値が上限以上となると、負合焦レンズ群の無限遠合焦時の横倍率が大きくなり、最も物体側のレンズから負合焦レンズ群までの合成Fnoが暗くなり、大口径化の点で好ましくない。一方、上記条件式(6)の数値が下限以下となると、負合焦レンズ群の無限遠合焦時の横倍率が小さくなるため、望遠化と小型化を図ることが困難となる点で好ましくない。
【0063】
上記効果を得る上で、上記条件式(6)の上限値は3.80であることが好ましく、3.60であることがより好ましく、3.50であることがさらに好ましく、3.40であることがよりさらに好ましく、3.30であることが一層好ましい。また、上記条件式(6)の下限値は1.30であることが好ましく、1.40であることがより好ましく、1.50であることがさらに好ましく、1.60であることがよりさらに好ましく、1.70であることが一層好ましい。
【0064】
1-2-7.条件式(7)
当該光学系において負合焦レンズ群は以下の条件式を満足することが好ましい。
-3.00 < fN/f < -0.30 ・・・(7)
但し、
fN:負合焦レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
【0065】
上記条件式(7)は、負合焦レンズ群の焦点距離と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。この負合焦レンズ群は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に移動する方向の限定はない。負の屈折力を有するレンズ群を、合焦群とすると、横倍率を1より大きくしやすいため、この負合焦レンズ群が無限遠物体から有限距離物体への合焦時に移動する方向は、像側であることが好ましい。条件式(7)を満足する場合、負合焦レンズ群の屈折力が適正な範囲内となるため、合焦時の収差変動を抑制し、被写体との距離によらず、少ないレンズ枚数でも良好な結像性能を得ることができ、小型、且つ、高性能な光学系を得ることが容易になる。
【0066】
これに対し、上記条件式(7)の数値が上限以上となると、負合焦レンズ群の屈折力が強くなり、少ないレンズ枚数で良好な結像性能を得ることが困難となるため、当該光学系の低コスト化を図る上で好ましくない。さらには、負合焦レンズ群の重量が増えることとなり、負合焦レンズ群を駆動するためのメカ部材も大型化し、小型化と軽量化を図ることが困難となる点で好ましくない。一方、上記条件式(7)の数値が下限以下となると、負合焦レンズ群の屈折力が弱くなり、合焦時の移動量が大きくなるため、当該光学系の小型化を図ることが困難となる点で好ましくない。
【0067】
上記効果を得る上で、上記条件式(7)の上限値は-0.40であることが好ましく、-0.50であることがより好ましく、-0.60であることがさらに好ましく、-0.70であることがよりさらに好ましく、-0.75であることが一層好ましい。また、上記条件式(7)の下限値は-2.75であることが好ましく、-2.60であることがより好ましく、-2.35であることがさらに好ましく、-2.10であることがよりさらに好ましく、-1.95であることが一層好ましい。
【0068】
1-2-8.条件式(8)
当該光学系において正合焦レンズ群は、以下の条件式を満足することが好ましい。
0.40 < fP/f < 10.00 ・・・(8)
但し、
fP:正合焦レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
【0069】
上記条件式(8)は、正合焦レンズ群の焦点距離と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。条件式(8)を満足することにより、正合焦レンズ群の移動量を小さくすることができ、光学全長方向における当該光学系の小型化を図ることができる。また、条件式(8)を満足する場合、正合焦レンズ群の焦点距離、すなわち屈折力が適正な範囲内となり、合焦時における正合焦レンズ群の位置変化に伴う収差変動を抑制することができ、より少ないレンズ枚数で物体距離によらず良好な結像性能を実現することができる。
【0070】
これに対し、上記条件式(8)の数値が上限以上となると、正合焦レンズ群の屈折力が弱くなる。その結果、合焦時における正合焦レンズ群の移動量が大きくなり、光学全長方向における当該光学系の小型化が困難となる。一方で上記条件式(8)の数値が下限以下になると、合焦時における正合焦レンズ群の屈折力が強くなりすぎて、球面収差の補正が困難となると共に、少ないレンズ枚数で良好な結像性能を得ることが困難となるため、高性能化や低コスト化の点で好ましくない。
【0071】
上記効果を得る上で、上記条件式(8)の上限値は8.00であることが好ましく、7.00であることがより好ましく、6.00であることがさらに好ましい。また、上記条件式(8)の下限値は0.45であることが好ましく、0.49であることがより好ましく、0.52であることがさらに好ましく、0.55であることがよりさらに好ましく、0.59であることが一層好ましい。
【0072】
1-2-9.条件式(9)
当該光学系は、以下の条件式を満足することが好ましい。
-1.00 < f/fr < 3.00 ・・・(9)
但し、
fr:像側レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
【0073】
上記条件式(9)は、像側レンズ群の焦点距離と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。条件式(9)を満足させることにより像側レンズ群の焦点距離が最適な範囲となり、大口径化と高性能化の両立を図ることが容易となる。
【0074】
これに対し、上記条件式(9)の数値が上限以上となると、像側レンズ群の正の屈折力が強くなるため、大口径化は容易となるが、球面収差やコマ収差の発生量が増大し、高性能化の点で好ましくない。一方で、上記条件式(9)の数値が下限以下となると、像側レンズ群の負の屈折力が強くなるため、光学系が暗くなり、大口径の点で好ましくない。
【0075】
上記効果を得る上で、上記条件式(9)の上限値は2.30であることが好ましく、1.80であることがより好ましく、1.45であることがさらに好ましく、1.39であることがよりさらに好ましく、1.25であることが一層好ましい。また、上記条件式(9)の下限値は-0.90であることが好ましく、-0.80であることがより好ましく、-0.72であることがさらに好ましく、-0.60であることがよりさらに好ましく、-0.50であることが一層好ましい。
【0076】
1-2-10.条件式(10)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.50 < ff/f < 3.50 ・・・(10)
但し、
ff:物体側レンズ群の焦点距離
f :当該光学系の焦点距離
【0077】
上記条件式(10)は、前記物体側レンズ群の焦点距離と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。条件式(10)を満足させることにより、物体側レンズ群の焦点距離が最適な範囲となり、当該光学系の小型化、高性能化、大口径化を図ることが容易となる。
【0078】
これに対し、上記条件式(10)の数値が上限以上となると、すなわち物体側レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して大きくなりすぎ、光学全長方向における当該光学系の小型化が困難となる。上記条件式(10)の数値が下限以下となると、すなわち物体側レンズ群の焦点距離が当該光学系の焦点距離に対して小さくなりすぎ、球面収差、軸上色収差、コマ収差の補正が困難となるため、高性能化の点で好ましくない。
【0079】
上記効果を得る上で、上記条件式(10)の上限値は2.90であることが好ましく、2.60であることがより好ましく、2.30であることがさらに好ましく、1.900であることがよりさらに好ましく、1.50であることが一層好ましい。また、上記条件式(10)の下限値は0.55であることが好ましく、0.60であることがより好ましく、0.65であることがさらに好ましく、0.70であることがよりさらに好ましく、0.75であることが一層好ましい。
【0080】
1-2-11.条件式(11)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
0.30 < CrL1f/f ・・・(11)
但し、
CrL1f:当該光学系の最も物体側の面の曲率半径
f :当該光学系の焦点距離
【0081】
上記条件式(11)は、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。当該光学系の最も物体側の面は、物体側に凸面もしくは平面となる。条件式(11)を満足させることにより、当該光学系の最も物体側の面が物体側に凸面もしくは平面となり、コマ収差や歪曲の発生を小さくすることが容易となり、結像性能の高い光学系が達成できる。
【0082】
また、当該光学系に入射した光線が像面において反射し、その反射光が当該光学系の最も物体側の面で再反射し、その再反射光線が像面に到達することをより有効に防ぐことを可能とするために、上記条件式(11)に上限を設けることが好ましい。以下に示す条件式(11)’を満足させることにより、最も物体側の面の物体側曲率半径が最適な範囲となるため、コマ収差の発生を小さくすると共に、ゴースト光の発生を良好に抑制することが可能となる。
0.30 < CrL1f/f < 2000.00 ・・・(11)’
【0083】
これに対し、上記条件式(11)’の数値が上限以上となると、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径が平面に近くなり、像面で反射した光線が当該光学系の最も物体側の面で再反射し、像面で再結像するような共役の関係となり、ゴーストの発生を有効に抑制することが困難になる。一方で、上記条件式(11)もしくは条件式(11)’の数値が下限以下となると、当該光学系の最も物体側の面の曲率半径が小さくなりすぎて、コマ収差が増大し、高性能化の点で好ましくない。
【0084】
上記効果を得る上で、上記条件式(11)’の上限値は1000.00であることが好ましく、200.00であることがより好ましく、100.00であることがさらに好ましく、10.00であることがよりさらに好ましく、3.00であることが一層好ましい。また、上記条件式(11)もしくは条件式(11)’の下限値は0.35であることが好ましく、0.40であることがより好ましく、0.45であることがさらに好ましく、0.50であることがよりさらに好ましく、0.55であることが一層好ましい。
【0085】
1-2-12.条件式(12)
当該光学系は像側レンズ群が正の屈折力を有するレンズを少なくとも1枚有し、以下の条件式を満足することが好ましい。
1.73 < Ndrp < 2.50 ・・・(12)
但し、
Ndrp:当前記正の屈折力を有するレンズのd線における屈折率
【0086】
上記条件式(12)は、像側レンズ群に含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率を規定する式である。像側レンズ群に集束作用を有する成分を配置することで、光学系を明るくする作用が像面側で生じることとなり、像側レンズ群より物体側の合成Fnoを暗くすることができる。その結果、像側レンズ群より物体側のレンズ枚数の削減が可能となり、低コスト化と大口径化の両立を実現することが容易となる。条件式(12)を満足させることにより、像側のレンズに含まれる正の屈折力を有するレンズの屈折率が最適な範囲となり、低コスト化と大口径化が達成される。
【0087】
これに対し、上記条件式(12)の数値が上限以上となると、正の屈折力を有するレンズが高価な材料となるため、低コスト化が困難となり好ましくない。一方で、上記条件式(12)の数値が下限以下となると、正の屈折力を有するレンズの屈折力を強くするために曲率半径を小さくすることに繋がり、球面収差やコマ収差の補正が困難となり、好ましくない。また、レンズ枚数の増加につながり、低コスト化を図ることが困難となり、好ましくない。
【0088】
上記効果を得る上で、上記条件式(12)の上限値は2.20であることが好ましく、2.11であることがより好ましく、2.06であることがさらに好ましく、2.01であることがよりさらに好ましい。また、上記条件式(12)の下限値は1.76であることが好ましく、1.78であることがより好ましく、1.80であることがさらに好ましく、1.82であることがよりさらに好ましい。
【0089】
1-2-13.条件式(13)
当該光学系は以下の条件式を満足することが好ましい。
-1.00 < Crn/f < -0.10 ・・・(13)
但し、
Crn:物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径
f :当該光学系の焦点距離
【0090】
上記条件式(13)は、像側レンズ群に含まれる物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径と、当該光学系の焦点距離の比を規定する式である。条件式(13)を満足させることにより、物体側に凹面を向けたレンズに入射する光線の入射角が最適となり、コマ収差の発生を小さくすることが容易となり、結像性能の高い光学系が達成できる。
【0091】
これに対し、上記条件式(13)の数値が上限以上となると、すなわち物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径が当該光学系の焦点距離に対して小さくなりすぎ、コマ収差が過補正となり高性能化が困難となる。上記条件式(13)の数値が下限以下となると、すなわち物体側に凹面を向けたレンズの物体側面の曲率半径が当該光学系の焦点距離に対して大きくなりすぎ、コマ収差の補正が困難となるため、高性能化の点で好ましくない。
【0092】
上記効果を得る上で、上記条件式(13)の上限値は-0.15であることが好ましく、-0.18であることがより好ましく、-0.21であることがさらに好ましく、-0.24であることがよりさらに好ましく、-0.28であることが一層好ましい。また、上記条件式(13)の下限値は-0.98であることが好ましく、-0.96であることがより好ましく、-0.94であることがさらに好ましく、-0.92であることがよりさらに好ましい。
【0093】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る光学系と、当該光学系が形成する光学像を受光して電気的画像信号に変換する撮像素子とを備えることを特徴とする。
【0094】
ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ、監視カメラ、車載カメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよいし、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0095】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例0096】
(1)光学系のレンズ構成
図1は、本件発明に係る実施例1の光学系の構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に物体側レンズ群GF、中央群GM、像側レンズ群GRで構成されている。物体側レンズ群GFは物体側から順に、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第1レンズL1と、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第2レンズL2と、負の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凹面である両凹形状の第3レンズL3と、開口絞りSと、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第4レンズL4とで構成されている。中央群GMは、負の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凹面である両凹形状の第5レンズL5と、正の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凸面である両凸形状の第6レンズL6とで構成されている。像側レンズ群GRは物体側から順に、負の屈折力を有する第7レンズL7と正の屈折力を有する第8レンズL8と負の屈折力を有する第9レンズL9とが接合された接合レンズと、負の屈折力を有し物体側面が物体側に凹面であるメニスカス形状の第10レンズL10とで構成されている。
【0097】
ここで、中央群GMに含まれる第5レンズL5は、負合焦レンズ群GNに相当する。第5レンズL5の像側面は、像側に凹の形状を有する。負合焦レンズ群GNである第5レンズL5は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において像側に移動する。また、中央群GMに含まれる第6レンズL6は、正合焦レンズ群GPに相当する。正合焦レンズ群GPである第6レンズL6は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において物体側に移動する。第3レンズL3が、物体側レンズ群GFに含まれる像側面に像側に凹面の形状を有し負の屈折力を有するレンズに相当し、第3レンズL3の物体側に位置するレンズは、第1レンズL1と第2レンズL2であり、合成すると正の屈折力を有する。第8レンズL8が、像側レンズ群GRに含まれる正の屈折力を有するレンズに相当する。第10レンズL10が、物体側に凹面を向けたレンズに相当する。
【0098】
なお、図中の「IMG」は像面を示す。上述した、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面である。当該光学系の物体側から入射した光は、像面に結像する。固体撮像素子は受光した光学像を電気的画像信号に変換する。撮像装置等が備える画像処理部(画像処理プロセッサ等)により、撮像素子から出力された電気的画像信号に基づき、被写体の像に対応したデジタル画像が生成される。当該デジタル画像は、例えば、HDD(Hard Disk Device)やメモリカード、光ディスク、磁気テープなどの記録媒体に記録することが可能である。なお、像面は、銀塩フィルムのフィルム面であってもよい。
【0099】
また、図中の「CG」は像面を示す。光学ブロックである。当該光学ブロックCGは、光学フィルタや、フェースプレート、水晶ローパスフィルタ、赤外カットフィルタ等に相
当する。これらの符号(IMG、CG)は、他の実施例で示す各図においても同様のものを示すため、以下では説明を省略する。
【0100】
(2)数値実施例
実施例1で採用した光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表1に当該撮像レンズのレンズデータを示す。表1において、「面番号」は物体側から数えたレンズ面の番号、「r」はレンズ面の曲率半径(mm)(但し、rの値がINFである面は、その面が平面であることを示す。)、「d」は物体側からi番目(iは自然数)のレンズ面と、i+1番目のレンズ面とのレンズ面の光軸上の間隔(mm)、「Nd」はd線(波長λ=587.56nm)に対する屈折率、「νd」はd線に対するアッベ数、「h」は有効半径(mm)、を示している。
【0101】
表2に、当該光学系の諸データを示す。具体的には、当該撮像レンズの焦点距離(mm)、Fナンバー(F値)、半画角(°)、像高(mm)、レンズ全長(mm)、バックフォーカス(BF(in air))(mm)を示している。ここで、レンズ全長は、第1レンズの物体側面から像面までの光軸上の距離である。また、バックフォーカスは最も像側に配置された第nレンズの像側面から像面までの光軸上の距離を空気換算した値である。
【0102】
表3に、当該光学系の可変間隔データを示す。D0は被写体から最も物体側の面までの距離である。
【0103】
表4に、当該光学系を構成する各レンズの焦点距離を示す。
【0104】
表5に、当該光学系を構成する各レンズ群の焦点距離を示す。
【0105】
また、表21に当該光学系の各条件式の数値を示す。これらの各表に関する事項は、他の実施例で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0106】
図2に、当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図を示す。図2に示す縦収差図は、図面に向かって左側から順に、球面収差(mm)、非点収差(mm)、歪曲収差(%)である。球面収差を表す図において、縦軸は開放F値(Fno)を表す。実線はd線(波長587.56nm)における球面収差、点線はC線(波長656.27nm)における球面収差、一点鎖線はg線(波長435.84nm)における球面収差を示している。非点収差を表す図において、縦軸は像高(mm)を表す。実線はd線(波長587.56nm)におけるサジタル方向を示し、点線はd線におけるメリディオナル方向を示している。歪曲収差を表す図において、縦軸に像高(mm)を取り、d線(波長587.56nm)における歪曲収差(%)を示している。これらの縦収差図に関する事項は、他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0107】
[表1]
面番号 r d Nd vd h
1 62.0586 8.980 1.80420 46.50 26.900
2 893.0019 0.336 26.061
3 47.5037 4.330 1.72916 54.67 23.205
4 82.0672 6.440 22.531
5 -12299.2665 1.776 1.78472 25.72 20.709
6 39.2187 9.680 18.840
7 S INF 2.653 18.400
8 59.4538 4.616 1.80420 46.50 18.221
9 564.0375 D9 17.901
10 -2792.5999 1.220 1.48749 70.44 16.774
11 35.6836 D11 15.734
12 77.4054 5.588 1.72916 54.67 15.000
13 -76.7059 D13 15.433
14 -82.8462 1.492 1.78472 25.72 15.874
15 40.9008 13.464 1.98113 32.69 16.989
16 -36.2936 1.538 1.60026 45.25 17.512
17 -185.3912 3.979 17.484
18 -45.4182 1.335 1.85883 30.00 17.395
19 -124.0495 19.603 17.932
20 INF 2.500 1.51633 64.15 21.280
21 INF 1.000 21.542
【0108】
[表2]
焦点距離 75.830
Fナンバー 1.458
半画角 16.269
像高 21.630
レンズ全長 111.780
BF(in air) 22.252
【0109】
[表3]
可変間隔データ
D0 INF 2519.137 1083.967 664.211
D9 2.573 5.073 9.084 13.783
D11 16.342 13.501 9.352 4.406
D13 2.336 2.678 2.816 3.063
【0110】
[表4]
レンズ 面番号 焦点距離
L1 1-2 82.534
L2 3-4 146.926
L3 5-6 -49.816
L4 8-9 82.305
L5 10-11 -72.265
L6 12-13 53.658
L7L8L9 14-17 103.934
L10 18-19 -84.089
【0111】
[表5]
群 面番号 焦点距離
GF 1-9 80.875
GM 10-13 105.923
GR 14-19 -442.481
GN 10-11 -72.265
GP 12-13 53.658
【実施例0112】
(1)光学系のレンズ構成
図3は、本件発明に係る実施例2の光学系の構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に物体側レンズ群GF、中央群GM、像側レンズ群GRで構成されている。前群GFは物体側から順に、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第1レンズL1と、正の屈折力を有し両凸形状の第2レンズL2と負の屈折力を有し両凹形状の第3レンズL3とが接合された接合レンズと、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第4レンズL4と、負の屈折力を有し両凹形状の第5レンズL5と正の屈折力を有し両凸形状の第6レンズL6とが接合された接合レンズと、開口絞りSとで構成されている。中央群GMは、負の屈折力を有し像側面が像側に凹面であるメニスカス形状の第7レンズL7と、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第8レンズL8とで構成されている。像側レンズ群GRは物体側から順に、正の屈折力を有する第9レンズL9と負の屈折力を有する第10レンズL10とが接合された接合レンズと、負の屈折力を有し物体側面が物体側に凹面であるメニスカス形状の第11レンズL11で構成されている。
【0113】
ここで、中央群GMに含まれる第7レンズL7は、負合焦レンズ群GNに相当する。第7レンズL7の像側面は、像側に凹の形状を有する。負合焦レンズ群GNである第7レンズL7は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において像側に移動する。また、中央群GMに含まれる第8レンズL8は、正合焦レンズ群GPに相当する。正合焦レンズ群GPである第8レンズL8は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において物体側に移動する。第3レンズL3が、物体側レンズ群GFに含まれる像側面に像側に凹面の形状を有し負の屈折力を有するレンズに相当し、第3レンズL3の物体側に位置するレンズは、第1レンズL1と第2レンズL2であり、合成すると正の屈折力を有する。第9レンズL9が、像側レンズ群GRに含まれる正の屈折力を有するレンズに相当する。第11レンズL11が、物体側に凹面を向けたレンズに相当する。
【0114】
(2)数値実施例
次に実施例2で採用した光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表6~表10に、当該光学系のレンズデータ、当該光学系の諸データ、可変間隔データ、各レンズの焦点距離、各レンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。また、図4に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図を示す。
【0115】
[表6]
面番号 r d Nd vd h
1 66.4384 5.022 1.80610 33.27 26.320
2 155.4249 0.840 25.885
3 59.0388 10.043 1.49700 81.61 24.987
4 -96.4986 1.500 1.69895 30.05 24.613
5 37.2272 1.651 22.070
6 42.0739 7.104 1.78800 47.49 22.172
7 114.0819 6.910 21.628
8 -61.0198 1.797 1.74950 35.04 21.449
9 206.6899 5.942 2.00100 29.13 21.847
10 -70.7550 4.500 21.896
11 S INF D11 19.880
12 82.8478 0.900 1.48749 70.44 18.500
13 33.7450 D13 17.512
14 35.6623 5.798 1.49700 81.61 16.441
15 204.3133 D15 15.880
16 104.0545 10.273 1.83481 42.72 18.023
17 -37.5664 1.874 1.48749 70.44 17.979
18 652.9120 5.774 16.992
19 -34.9682 1.426 1.92286 20.88 16.721
20 -221.7201 14.996 17.500
21 INF 2.500 1.51633 64.15 21.096
22 INF 1.000 21.468
【0116】
[表7]
焦点距離 75.563
Fナンバー 1.443
半画角 16.366
像高 21.630
レンズ全長 112.239
BF(in air) 17.645
【0117】
[表8]
可変間隔データ
D0 INF 2416.705 1083.767 872.818
D11 2.566 4.650 4.923 5.626
D13 11.504 7.503 3.251 1.193
D15 8.318 10.235 14.214 15.569
【0118】
[表9]
レンズ 面番号 焦点距離
L1 1-2 140.418
L2L3 3-5 -89.569
L4 6-7 81.066
L5L6 8-10 267.418
L7 12-13 -117.499
L8 14-15 85.948
L9L10 16-18 61.898
L11 19-20 -45.152
【0119】
[表10]
群 面番号 焦点距離
GF 1-10 97.486
GM 11-15 241.436
GR 16-20 -398.279
GN 12-13 -117.499
GP 14-15 85.948
【実施例0120】
(1)光学系のレンズ構成
図5は、本件発明に係る実施例3の光学系の構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に物体側レンズ群GF、中央群GM、像側レンズ群GRで構成されている。物体側レンズ群GFは物体側から順に、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第1レンズL1と、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第2レンズL2と、負の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凹面である両凹形状の第3レンズL3と、開口絞りSと、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第4レンズL4とで構成されている。中央群GMは、負の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凹面である両凹形状の第5レンズL5と、正の屈折力を有し像側面が像側に凸面であるメニスカス形状の第6レンズL6とで構成されている。像側レンズ群GRは物体側から順に、正の屈折力を有する第7レンズL7と負の屈折力を有する第8レンズL8とが接合された接合レンズと、負の屈折力を有し物体側面が物体側に凹面であるメニスカス形状の第9レンズL9で構成されている。
【0121】
ここで、中央群GMに含まれる第5レンズL5は、負合焦レンズ群GNに相当する。第5レンズL5の像側面は、像側に凹の形状を有する。負合焦レンズ群GNである第5レンズL5は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において像側に移動する。また、中央群GMに含まれる第6レンズL6は、正合焦レンズ群GPに相当する。正合焦レンズ群GPである第6レンズL6は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において物体側に移動する。第3レンズL3が、物体側レンズ群GFに含まれる像側面に像側に凹面の形状を有し負の屈折力を有するレンズに相当し、第3レンズL3の物体側に位置するレンズは、第1レンズL1と第2レンズL2であり、合成すると正の屈折力を有する。第7レンズL7が、像側レンズ群GRに含まれる正の屈折力を有するレンズに相当する。第9レンズL9が、物体側に凹面を向けたレンズに相当する。
【0122】
(2)数値実施例
次に実施例3で採用した光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表11~表15に、当該光学系のレンズデータ、当該光学系の諸データ、可変間隔データ、各レンズの焦点距離、各レンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。また、図6に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図を示す。
【0123】
[表11]
面番号 r d Nd vd h
1 59.9541 8.370 1.90201 42.58 26.400
2 685.6447 0.636 25.742
3 51.3779 5.000 1.74412 58.51 23.184
4 79.8054 6.296 21.978
5 -3878.5326 1.800 1.84666 23.78 20.072
6 36.9083 9.008 18.199
7 S INF 2.464 17.950
8 51.0456 5.019 1.80420 46.50 18.225
9 1038.2992 D9 18.091
10 -333.6868 1.130 1.48749 70.44 16.500
11 35.6367 D11 16.155
12 -379.5118 4.481 1.59349 67.00 17.000
13 -149.7005 D13 18.181
14 66.4021 13.160 1.99802 40.61 22.339
15 -46.7195 1.740 1.48890 31.50 22.361
16 -190.9183 4.203 21.164
17 -53.3536 1.800 1.84666 23.78 20.739
18 -1853.6962 19.532 20.880
19 INF 2.500 1.51633 64.15 21.560
20 INF 1.000 21.617
【0124】
[表12]
焦点距離 76.090
Fナンバー 1.461
半画角 16.175
像高 21.630
レンズ全長 114.314
BF(in air) 22.181
【0125】
[表13]
可変間隔データ
D0 INF 2395.240 1081.545 640.062
D9 2.772 5.535 9.083 13.831
D11 20.981 17.886 13.863 7.717
D13 2.421 2.754 3.228 4.626
【0126】
[表14]
レンズ 面番号 焦点距離
L1 1-2 72.377
L2 3-4 180.302
L3 5-6 -43.173
L4 8-9 66.605
L5 10-11 -65.983
L6 12-13 413.541
L7L8 14-16 36.926
L9 17-18 -64.914
【0127】
[表15]
群 面番号 焦点距離
GF 1-9 76.595
GM 10-13 -84.769
GR 14-18 64.976
GN 10-11 -65.983
GP 12-13 413.541
【実施例0128】
(1)光学系のレンズ構成
図7は、本件発明に係る実施例4の光学系の構成を示すレンズ断面図である。当該光学系は、物体側から順に物体側レンズ群GF、中央群GM、像側レンズ群GRで構成されている。物体側レンズ群GFは物体側から順に、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第1レンズL1と、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第2レンズL2と、負の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第3レンズL3と、開口絞りSと、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第4レンズL4とで構成されている。中央群GMは、負の屈折力を有し像側面が像側に凹面であるメニスカス形状の第5レンズL5と、正の屈折力を有し物体側面が物体側に凸面であるメニスカス形状の第6レンズL6と、正の屈折力を有し物体側面と像側面がともに凸面である両凸形状の第7レンズL7とで構成されている。像側レンズ群GRは物体側から順に、負の屈折力を有する第8レンズL8と正の屈折力を有する第9レンズL9と負の屈折力を有する第10レンズL10とが接合された接合レンズと、負の屈折力を有し物体側面が物体側に凹面であるメニスカス形状の第11レンズL11とで構成されている。
【0129】
ここで、中央群GMに含まれる第5レンズL5は負合焦レンズ群GNに相当する。第5レンズL5の像側面は、像側に凹の形状を有する。負合焦レンズ群GNである第5レンズL5は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において像側に移動する。また、中央群GMに含まれる第6レンズL6は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向に移動しない。また、中央群GMに含まれる第7レンズL7は、正合焦レンズ群GPに相当する。正合焦レンズ群GPである第7レンズL7は、無限遠物体から有限距離物体への合焦時に光軸方向において物体側に移動する。第3レンズL3が、物体側レンズ群GFに含まれる像側面に像側に凹面の形状を有し負の屈折力を有するレンズに相当し、第3レンズL3の物体側に位置するレンズは、第1レンズL1と第2レンズL2であり、合成すると正の屈折力を有する。第9レンズL9が、像側レンズ群GRに含まれる正の屈折力を有するレンズに相当する。第10レンズL10が、物体側に凹面を向けたレンズに相当する。
【0130】
(2)数値実施例
次に実施例4で採用した光学系の具体的数値を適用した数値実施例について説明する。表16~表20に、当該光学系のレンズデータ、当該光学系の諸データ、非球面データ、各レンズの焦点距離、各レンズ群の焦点距離をそれぞれ示す。また、図8に当該光学系の無限遠合焦時における縦収差図を示す。
【0131】
[表16]
面番号 r d Nd vd h
1 60.8231 8.898 1.80420 46.50 26.900
2 723.4945 0.320 26.089
3 48.0053 4.280 1.72916 54.67 23.281
4 84.5273 6.320 22.600
5 12646.5964 1.757 1.78472 25.72 20.755
6 39.2354 9.660 18.869
7 S INF 2.550 18.400
8 62.2575 4.563 1.80420 46.50 18.206
9 553.0732 D9 17.879
10 159196.6360 1.200 1.48749 70.44 16.758
11 36.1336 D11 15.751
12 77.4716 1.298 1.72916 54.67 15.104
13 90.4790 D13 15.018
14 82.9791 4.730 1.69680 55.46 15.000
15 -89.8273 D15 15.358
16 -94.7217 1.352 1.78472 25.72 15.916
17 38.8992 12.870 1.99427 32.31 17.061
18 -36.7128 1.453 1.57307 41.58 17.497
19 -210.0840 4.086 17.397
20 -43.2484 1.335 1.85883 30.00 17.303
21 -120.3514 19.553 17.870
22 INF 2.500 1.51633 64.15 21.269
23 INF 1.000 21.535
【0132】
[表17]
焦点距離 75.729
Fナンバー 1.457
半画角 16.394
像高 21.630
レンズ全長 111.931
BF(in air) 22.202
【0133】
[表18]
可変間隔データ
D0 INF 2583.498 1082.824 664.019
D9 2.548 5.073 9.337 14.058
D11 15.344 12.820 8.556 3.834
D13 2.089 1.676 1.496 1.065
D15 2.226 2.638 2.818 3.249
【0134】
[表19]
レンズ 面番号 焦点距離
L1 1-2 82.083
L2 3-4 145.198
L3 5-6 -50.158
L4 8-9 86.875
L5 10-11 -74.139
L6 12-13 709.220
L7 14-15 62.606
L8L9L10 16-19 85.719
L11 20-21 -79.237
【0135】
[表20]
群 面番号 焦点距離
GF 1-9 82.466
GM 10-15 123.629
GR 16-21 -1609.540
GN 10-11 -74.139
GP 14-15 62.606
【0136】
[表21]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
(1) (FB×tanθm)/(f×tanω) 0.367 0.294 0.365 0.364
(2) (Crf+Crr)/(Crf-Crr) 1.649 0.898 1.776 1.518
(3) Dr/(f×tanω) 1.066 0.859 1.087 1.056
(4) f/Fno/Ds 1.413 1.317 1.451 1.412
(5) f/fs 0.315 0.775 0.224 0.328
(6) βN 3.035 2.215 3.174 3.019
(7) fN/f -0.953 -1.555 -0.867 -0.979
(8) fP/f 0.708 1.137 5.435 0.827
(9) f/fr -0.171 -0.190 1.171 -0.047
(10)ff/f 1.067 1.290 1.007 1.089
(11)CrL1f/f 0.818 0.879 0.788 0.803
(12)Ndrp 1.981 1.835 1.998 1.994
(13)Crn/f -0.599 -0.463 -0.701 -0.571

実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
FB 22.252 17.645 22.181 22.202
θm 20.067 20.271 19.983 20.073
f 75.830 75.563 76.090 75.729
ω 16.269 16.366 16.175 16.394
Crf -185.391 652.912 -190.918 -210.084
Crr -45.418 -34.968 -53.354 -43.248
Dr 23.587 19.071 23.981 23.537
Fno 1.458 1.443 1.461 1.457
Ds 36.800 39.760 35.900 36.800
fs 241.015 97.486 339.381 230.373
fN -72.265 -117.500 -65.983 -74.139
fP 53.658 85.948 413.541 62.606
fr -442.480 -398.279 64.976 -1609.54
ff 80.8747 97.486 76.595 82.466
CrL1f 62.059 66.438 59.954 60.823
Crn -45.418 -34.968 -53.354 -43.248
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明によれば、小型の撮像システムに好適な小型、高性能、且つ、開放Fnoが2.0より明るい大口径の光学系及び撮像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0138】
GF ・・・ 物体側レンズ群
GM ・・・ 中央群
GR ・・・ 像側レンズ群
GN ・・・ 負合焦レンズ群
GP ・・・ 正合焦レンズ群
L1 ・・・ 第1レンズ
L2 ・・・ 第2レンズ
L3 ・・・ 第3レンズ
L4 ・・・ 第4レンズ
L5 ・・・ 第5レンズ
L6 ・・・ 第6レンズ
L7 ・・・ 第7レンズ
L8 ・・・ 第8レンズ
L9 ・・・ 第9レンズ
L10・・・ 第10レンズ
L11・・・ 第11レンズ
S ・・・ 開口絞り
CG ・・・ 光学ブロック
IMG・・・ 像面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8