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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039562
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】接続相判定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/26 20060101AFI20230314BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20230314BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H02J3/26
H02J3/00 170
H02J13/00 311R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146735
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 輝
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 裕之
(72)【発明者】
【氏名】柏木 哲也
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064CB13
5G064DA03
5G066AA03
5G066AE04
5G066AE09
5G066GA01
(57)【要約】
【課題】電圧不平衡を軽減でき、かつ接続相替えをする回数を低減する。
【解決手段】接続相判定装置は、高圧配電線に接続される変圧器が、高圧配電線が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する推定部と、それぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す不平衡指数であって、変圧器が現在接続されていると推定される相における不平衡指数と、異なる相に接続された際の不平衡指数とを算出する不平衡指数算出部と、不平衡指数を比較する比較部と、変圧器が現在接続されていると推定される相から、変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、不平衡指数が改善する場合に、変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する判定部と、判定部により判定された結果を出力する出力部とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相三線式により電力を送電する高圧配電線に接続される変圧器が、前記高圧配電線が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する推定部と、
前記高圧配電線が有する三相のそれぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す不平衡指数であって、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを算出する不平衡指数算出部と、
前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを比較する比較部と、
前記変圧器が現在接続されていると推定される相から、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、前記不平衡指数が改善する場合に、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する判定部と、
前記判定部により判定された結果を出力する出力部と
を備える接続相判定装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記不平衡指数がより改善される相に接続相替えを行うと判定する
請求項1に記載の接続相判定装置。
【請求項3】
前記不平衡指数算出部は、前記高圧配電線に接続される複数の前記変圧器について、所定の優先順位に基づいて順に算出し、
前記比較部は、前記高圧配電線に接続される複数の前記変圧器について前記不平衡指数を比較する
請求項1又は請求項2に記載の接続相判定装置。
【請求項4】
前記不平衡指数算出部は、前記判定部により接続相替えを行うと判定された前記変圧器については、接続相替えが行われたとみなして前記不平衡指数を算出する
請求項3に記載の接続相判定装置。
【請求項5】
前記所定の優先順位とは、平均使用電力量の多い順である
請求項3又は請求項4に記載の接続相判定装置。
【請求項6】
前記不平衡指数は、複数の単位期間を含む所定の期間において電力量が互いに不平衡である程度を示し、
前記不平衡指数算出部は、前記複数の単位期間のうち、前記不平衡指数が最大であった単位期間における前記不平衡指数に基づいて、前記不平衡指数を算出する
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接続相判定装置。
【請求項7】
前記所定の期間とは、1年のうち電力使用量が最も小さくなる期間と、電力使用量が最も大きくなる期間とを含む
請求項6に記載の接続相判定装置。
【請求項8】
前記不平衡指数算出部は、前記判定部により接続相替えを行うと判定された前記変圧器について、接続相替えが行われたとみなすことと、接続相替えが行われなかったとみなすことを交互に採用しながら前記不平衡指数を算出する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の接続相判定装置。
【請求項9】
コンピュータに、
三相三線式により電力を送電する高圧配電線に接続される変圧器が、前記高圧配電線が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する推定ステップと、
前記高圧配電線が有する三相のそれぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す不平衡指数であって、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを算出する不平衡指数算出ステップと、
前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを比較する比較ステップと、
前記変圧器が現在接続されていると推定される相から、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、前記不平衡指数が改善する場合に、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより判定された結果を出力する出力ステップと
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続相判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光パネル等の分散型電源の設置が増加している。三相三線式の配電線は、第一相の電流、第二相の電流及び第三相の電流が互いに平衡になるように各設備が接続されている。このような状態は、三相平衡と呼ばれる。
しかしながら、分散型電源がこれら三つの相のうちの特定の相に偏って連系され、負荷への順潮流や分散型電源から配電線へ逆潮されること等により、三相平衡でなくなってしまう場合がある。また、需要家の負荷の変動によっても、三相平衡でなくなってしまう場合がある。このような状態は、三相平衡に対して、三相不平衡と呼ばれる。三相不平衡が発生した場合、配電線から電力の供給を受けている需要家の機器に不具合を発生させてしまうことがある。
【0003】
従来、三相不平衡が発生してしまうような事態を回避するために、配電線に接続されている複数の負荷のうち、三相不平衡が解消されるように特定の負荷を移動させることが知られている。特に、三相不平衡を解消するために必要な負荷の移動量を算出するための技術があった。このような技術の一例としては、例えば、特許文献1に記載されている不平衡解消支援装置が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-124913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような不平衡解消支援装置によれば、電圧不平衡を軽減できる負荷移動量を算出することができるかもしれないが、実際に算出された負荷を移動させることは容易でない。例えば、配電線に接続された変圧器の接続相替えをする場合、工事に要する手間や時間、コスト又はリスク等を軽減する観点からも接続相替えを行う変圧器の数は少ない方が好ましい。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、電圧不平衡を軽減でき、かつ接続相替えをする回数を低減可能な接続相判定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る接続相判定装置は、三相三線式により電力を送電する高圧配電線に接続される変圧器が、前記高圧配電線が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する推定部と、前記高圧配電線が有する三相のそれぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す不平衡指数であって、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを算出する不平衡指数算出部と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを比較する比較部と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相から、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、前記不平衡指数が改善する場合に、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する判定部と、前記判定部により判定された結果を出力する出力部とを備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記判定部は、前記不平衡指数がより改善される相に接続相替えを行うと判定する。
【0009】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記不平衡指数算出部は、前記高圧配電線に接続される複数の前記変圧器について、所定の優先順位に基づいて順に算出し、前記比較部は、前記高圧配電線に接続される複数の前記変圧器について前記不平衡指数を比較する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記不平衡指数算出部は、前記判定部により接続相替えを行うと判定された前記変圧器については、接続相替えが行われたとみなして前記不平衡指数を算出する。
【0011】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記所定の優先順位とは、平均使用電力量の多い順である。
【0012】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記不平衡指数は、複数の単位期間を含む所定の期間において電力量が互いに不平衡である程度を示し、前記不平衡指数算出部は、前記複数の単位期間のうち、前記不平衡指数が最大であった単位期間における前記不平衡指数に基づいて、前記不平衡指数を算出する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記所定の期間とは、1年のうち電力使用量が最も小さくなる期間と、電力使用量が最も大きくなる期間とを含む。
【0014】
また、本発明の一態様に係る接続相判定装置において、前記不平衡指数算出部は、前記判定部により接続相替えを行うと判定された前記変圧器について、接続相替えが行われたとみなすことと、接続相替えが行われなかったとみなすことを交互に採用しながら前記不平衡指数を算出する。
【0015】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、三相三線式により電力を送電する高圧配電線に接続される変圧器が、前記高圧配電線が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する推定ステップと、前記高圧配電線が有する三相のそれぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す不平衡指数であって、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを算出する不平衡指数算出ステップと、前記変圧器が現在接続されていると推定される相における前記不平衡指数と、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の前記不平衡指数とを比較する比較ステップと、前記変圧器が現在接続されていると推定される相から、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、前記不平衡指数が改善する場合に、前記変圧器が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する判定ステップと、前記判定ステップにより判定された結果を出力する出力ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電圧不平衡を軽減でき、かつ接続相替えをする回数を低減可能な接続相判定装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る配電網の一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係る接続相変更パターンについて説明するための図である。
図3】第1の実施形態に係る接続相判定装置の一連の動作について説明するための図である。
図4】第1の実施形態に係る相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。
図5】第1の実施形態に係る接続相判定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る不平衡指数の算出方法について説明するための図である。
図7】第1の実施形態に係る相替え対象変圧器候補リストの一例を示す図である。
図8】第1の実施形態に係る接続相判定装置が行う相替えの有無について説明するための図である。
図9】第2の実施形態に係る接続相判定装置が解決しようとする問題について説明するための図である。
図10】第2の実施形態に係る相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。
図11】従来技術による相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。
図12】従来技術による隣接変圧器による接続相の推定について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
まず、図1から図8を参照しながら、第1の実施形態に係る接続相判定装置10について説明する。接続相判定装置10は、配電網1において、配電線3に接続された単相変圧器群4の電圧不平衡を軽減するような接続相の接続相替えを判定する。
本実施形態の前提として、配電網1について説明する。
【0019】
図1は、第1の実施形態に係る配電網の一例を示す図である。図1に示すように、配電網1は、変電所2と、配電線3と、単相変圧器群4と、低圧需要家群5と、高圧需要家群6と、発電事業者群7と、開閉器8とを含む。
【0020】
変電所2は、送電線を経由して発電所から送電されてきた三相交流の電圧を所定の電圧、例えば、6600Vに変換し、配電線(高圧配電線)3に三相交流を提供する施設である。
【0021】
配電線3は、第一配電線31と、第二配電線32と、第三配電線33とを備え、三相三線式により電力を送電する。第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33は、例えば電柱に架線されている架空配電線、又は地中に埋設されている地中配電線であってもよい。第一配電線31は、変電所2により供給される三相交流電力の第一相の電流を流す。同様に、第二配電線32は、変電所2により供給される三相交流電力の第二相の電流を流す。また、第三配電線33は、変電所2により供給される三相交流電力の第三相の電流を流す。
以降の説明において、第一相、第二相及び第三相を、それぞれU相、V相及びW相と記載する場合がある。
【0022】
単相変圧器群4は、複数の単相変圧器(以下、単に変圧器と記載する場合がある。)、すなわち、単相変圧器41、…、単相変圧器4k(k:2以上の自然数)を含む。以降の説明において、単相変圧器41、…、単相変圧器4kを区別しない場合、単相変圧器41と記載する場合がある。
単相変圧器41は、例えば、6600Vの三相電力を200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換する柱上変圧器である。また、単相変圧器41は、変電所2により供給される三相交流電力の第一相、第二相及び第三相のうち、いずれか二つの相に接続されている。
【0023】
低圧需要家群5は、低圧需要家51、…、低圧需要家5kを含む。以降の説明において、低圧需要家51、…、低圧需要家5kを区別しない場合、低圧需要家51と記載する場合がある。
低圧需要家51は、単相変圧器41に接続された設備を有しており、6600Vの三相電力を単相変圧器41により200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換した電力を使用する需要家である。同様に、低圧需要家52、…、低圧需要家5kは、それぞれ単相変圧器42、…、単相変圧器4kに接続された設備を有しており、6600Vの三相電力を単相変圧器41、…、単相変圧器4kにより200Vの単相電力又は100Vの単相電力に変換した電力を使用する需要家である。低圧需要家51、…、低圧需要家5kの一例としては、例えば、一般家庭が挙げられる。
【0024】
また、図1に示すように、低圧需要家51は、スマートメータ511と、分散型電源521と、負荷531とを備える。同様に、低圧需要家52、…、低圧需要家5kは、それぞれスマートメータ512、…、スマートメータ51kと、分散型電源522、…、分散型電源52kと、負荷532、…、負荷53kとを備える。
なお、低圧需要家51、…、低圧需要家5kは、分散型電源521、…、分散型電源52k、又は負荷531、…、負荷53kのうち、少なくともいずれか一方を備えていればよい。
【0025】
スマートメータ511は、通信機能を有していてもよい。スマートメータ511は、例えば、低圧需要家51に電力を供給する単相変圧器41の二次側の線間電圧を測定し、当該線間電圧を示す変圧器電圧データを生成する。そして、スマートメータ511は、当該変圧器電圧データをスマートメータ51kの内部又は外部に設けられている記憶装置に格納する。
【0026】
例えば、スマートメータ511により生成された変圧器電圧データにより示される線間電圧は、いずれも所定の期間における線間電圧の平均値であってもよい。所定の期間とは、例えば、1分、10分、30分等であってもよい。
【0027】
なお、スマートメータ511は、電力量のみならず、電圧についても所定期間(例えば、30分)の平均値を保存可能な次世代型のスマートメータであってもよい。
【0028】
分散型電源521、…、分散型電源52kは、例えば、太陽光パネル等の分散型電源であり、自身が発電した電力を第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33のうちの二つに逆潮する。なお、低圧需要家51、…、低圧需要家5kの少なくとも一つは、それぞれ分散型電源521、…、分散型電源52kを有していなくてもよい。分散型電源521、…、分散型電源52kを有していない低圧需要家51、…、低圧需要家5kは、負荷531、…、負荷53kを有する。
【0029】
高圧需要家群6は、高圧需要家61、…、高圧需要家6m(m:2以上の自然数)を含む。高圧需要家61、…、高圧需要家6mは、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に接続された設備を有しており、6600Vで受電した三相電力を所望の電圧に変換して使用する需要家である。
高圧需要家61、…、高圧需要家6mの一例としては、例えば、工場、大規模なマンション等が挙げられる。また、高圧需要家61、…、高圧需要家6m各々は、モータ等の負荷を、三相電力を使用して稼働させる。
【0030】
発電事業者群7は、発電事業者71、…、発電事業者7n(n:2以上の自然数)を含む。発電事業者71、…、発電事業者7nは、再生可能エネルギーを利用して発電し、配電線3に逆潮する。再生可能エネルギーの一例としては、例えば、太陽光、風力、地熱、水力、バイオマス等が挙げられる。
【0031】
開閉器8は、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に三相交流を流す場合と、第一配電線31、第二配電線32及び第三配電線33に三相交流を流さない場合とを切り替えるスイッチである。
【0032】
また、開閉器8は、変電所2が流す三相交流の第一相と第二相との間の線間電圧、第二相と第三相との間の線間電圧及び第三相と第一相との間の線間電圧各々を計測する不図示の電圧計を含む。この電圧計は、例えば、第一相と第二相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第一線間電圧データを生成する。また、この電圧計は、第二相と第三相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第二線間電圧データを生成する。また、この電圧計は、第三相と第一相との間の線間電圧を計測し、当該線間電圧を示す第三線間電圧データを生成する。
第一線間電圧データ、第二線間電圧データ及び第三線間電圧データは、例えば、開閉器8の内部又は外部に設けられる不図示の記憶装置に格納される。
【0033】
また、これらの第一線間電圧データにより示される線間電圧、第二線間電圧データにより示される線間電圧及び第三線間電圧データにより示される線間電圧は、いずれも所定の期間における線間電圧の平均である。所定の期間とは、例えば10分、30分等であってもよい。
なお、所定の期間とは、変圧器電圧データに関する所定の期間と同じ長さであり、始期及び終期が上述した変圧器電圧データに関する所定の期間の始期及び終期と一致していることが好ましい。
【0034】
また、開閉器8は、不図示の計器用変流器(CT:Current Transformer)及び不図示の計器用変圧器(VT:Voltage Transformer)を含んでいてもよい。計器用変流器は、開閉器8に含まれている電流計が測定可能な電流の範囲を拡大させるために使用される装置である。計器用変圧器は、高電圧を上述した電圧計等が使用可能な電圧まで降圧する装置である。
計器用変流器及び計器用変圧器は、開閉器8のうち変電所2側に取り付けられていてもよい。
【0035】
図2は、第1の実施形態に係る接続相変更パターンについて説明するための図である。同図を参照しながら、単相変圧器41の接続相替えの一例について説明する。
図2(A)は、単相変圧器41がU-V相間に接続されている場合の一例を、図2(B)は、単相変圧器41がW-U相間に接続されている場合の一例を、図2(C)は、単相変圧器41がV-W相間に接続されている場合の一例を、それぞれ示す。
【0036】
図2に示す一例において、単相変圧器41は二次側巻線411を備える。単相変圧器41は、100Vの単相電力を負荷P1及び負荷P2に供給し、200Vの単相電力を負荷P3に供給する。
【0037】
図2(A)に示すように、単相変圧器41がU-V相間に接続されている場合、単相変圧器41の二次側巻線411はU-V相間に接続される。二次側巻線411がU-V相間に接続されている状態からW-U相間に接続相替えを行う場合、図2(B)に示すように、U相に接続されている一端を維持したまま、V相に接続されている他端をW相に接続相替えする。この場合、単相変圧器41が電力を供給する負荷1、負荷2及び負荷3はいずれも単相負荷のため、接続相替えによる影響は無い。
【0038】
また、二次側巻線411がU-V相間に接続されている状態からV-W相間に接続相替えを行う場合、図2(C)に示すように、V相に接続されている一端を維持したまま、U相に接続されている他端をW相に接続相替えする。この場合、単相変圧器41が電力を供給する負荷1、負荷2及び負荷3はいずれも単相負荷のため、接続相替えによる影響は無い。
【0039】
以下の実施形態においては、現在単相変圧器41がU-V相間に接続されている場合、U-V相間に接続されている状態からU-V相間の接続を維持する場合、U-V相間に接続されている状態からW-U相間に接続相替えを行う場合、U-V相間に接続されている状態からV-W相間に接続相替えを行う場合のそれぞれについて不均衡状態を計算し、好適な接続相替えを判定する。
【0040】
図3は、第1の実施形態に係る接続相判定装置の一連の動作について説明するための図である。同図を参照しながら、接続相判定装置10の一連の動作について説明する。
(ステップS110)まず、接続相判定装置10は、入力データ処理を行う。接続相判定装置10は、入力データ処理として、配電設備データ、IT開閉器データ、スマートメータデータ等の接続相判定に用いる複数のデータを取得する。
配電設備データとは、配電線3に接続される単相変圧器群4に関する情報を含む。IT開閉器データとは、開閉器8により取得された三相分の電圧・電流に関する情報を含む。スマートメータデータとは、スマートメータ511により取得された単相変圧器41の二次側の線間電圧等を含む。
【0041】
(ステップS120)接続相判定装置10は、変圧器接続相判定を行う。例えば、VV手法、PI手法等により行う。VV手法とは、IT開閉器により取得された電圧と、スマートメータ511の線間電圧との相関性から接続相を判別する手法である。PI手法とは、IT開閉器により取得された電流と、スマートメータ511の電力量との相関性から、接続相を判別する手法である。
【0042】
(ステップS130)接続相判定装置10は、接続相替え変圧器候補のリストを作成する。接続相替え変圧器候補のリストとは、配電線3に接続された単相変圧器41、…、単相変圧器4kを、所定の順に並べ替えたリストである。所定の順とは、例えば対象期間中における平均使用電力量が大きい順であってもよい。
ここで、対象期間とは、例えば1年であってもよい。対象期間は、1年のうち電力使用量が最も小さくなる期間と、電力使用量が最も大きくなる期間とを含んでいることが好ましい。また、並び替えに用いられる平均使用電力量は、接続相替えの対象となる単相変圧器41、…、単相変圧器4kが全て設置された後に取得されたデータであることが好ましい。
【0043】
(ステップS140)接続相判定装置10は、接続相替えの対象となる単相変圧器の、接続相の変更パターンを設定する。具体的には、U-V相間、W-U相間、V-W相間の3パターンを設定する。
【0044】
(ステップS150)接続相判定装置10は、対象期間中における不平衡指数の最大値(不平衡指数最大値U)を、単相変圧器ごとに算出する。不平衡指数の最大値とは、ステップS140において設定されたパターン(U-V相間、W-U相間、V-W相間)における最大不平衡指数である。詳細には、最大不平衡指数とは、対象となる単相変圧器が、U-V相間に接続された場合の不平衡指数、W-U相間に接続された場合の不平衡指数、V-W相間に接続された場合の不平衡指数のうち、最大となる不平衡指数である。
ここで、不平衡指数とは、U-V相間において使用される電力量、W-U相間において使用される電力量、V-W相間において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す指数である。より詳細には、最大不平衡指数を算出するための期間は、対象期間中の単位期間ごとの不平衡指数のうち、不平衡指数が最大となる期間であってもよい。
【0045】
(ステップS160)接続相判定装置10は、ステップS150において接続された3パターンの不平衡指数のうち、現在接続されている接続相(既設接続相)の不平衡指数が最大値Uである場合、接続相を変更する。既設接続相の不平衡指数最大値Uが最大である場合とは、すなわち、現在接続されている接続相から、現在接続されていないいずれの接続相に接続相替えを行ったとしても、不平衡指数が減少する場合である。
【0046】
(ステップS170)接続相判定装置10は、接続相替えを行った結果、不平衡指数最大値Uが既定値以上であるか否かを判定する。既定値とは、すなわち、不平衡指数の目標値である。接続相判定装置10は、不平衡指数最大値Uが既定値以上の場合(すなわち、ステップS170;YES)、処理を終了する。接続相判定装置10は、不平衡指数最大値Uが既定値以下である場合(すなわち、ステップS170;NO)、処理をステップS180に進める。
【0047】
(ステップS180)接続相判定装置10は、次に判定すべき単相変圧器の候補があるか否かを判定する。次に判定すべき単相変圧器の候補がない場合とは、すなわち、配電線3に接続されている全ての単相変圧器についての判定が終了した場合である。この場合、接続相判定装置10は、不平衡指数の目標値を達成することができない場合がある。接続相判定装置10は、次に判定すべき単相変圧器の候補がある場合(すなわち、ステップS180;YES)、処理をステップS140に進める。接続相判定装置10は、次に判定すべき単相変圧器の候補がない場合(すなわち、ステップS180;NO)、処理を終了する。
【0048】
図4は、第1の実施形態に係る相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。同図を参照しながら、接続相替えの一例について説明する。同図には、配電線3に接続される複数の単相変圧器が、U-V相間、W-U相間、V-W相間いずれの相間に接続されるかを示す。この一例では、配電線3に、単相変圧器T1から単相変圧器T9の9つの単相変圧器が接続されている場合の一例について説明する。
図4(A)は、接続相替え前の状態を示し、図4(B)は、接続相替え後の状態を示す。
【0049】
図4(A)に示すように、W-U相間には、単相変圧器T1が接続されている。また、U-V相間には、単相変圧器T2、単相変圧器T3及び単相変圧器T4が接続されている。また、V-W相間には、単相変圧器T5、単相変圧器T6、単相変圧器T7、単相変圧器T8及び単相変圧器T9が接続されている。
【0050】
ここで、接続相判定装置10は、不平衡が解消するよう単相変圧器の接続相替えについて判定する。例えば、接続相判定装置10は、単相変圧器T1から単相変圧器T9の順に判定を行う。判定の結果、単相変圧器T5及び単相変圧器T6をV-W相間からW-U相間に接続相替えさせることにより不平衡が解消すると判定した場合、図4(B)に示すように、接続相替えを行う。
もっとも、実際に不平衡が解消されるためには、現場において単相変圧器の接続相替えを行うことを要する。
【0051】
図5は、第1の実施形態に係る接続相判定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。同図を参照しながら、接続相判定装置10の機能構成の一例について説明する。接続相判定装置10は、推定部11と、不平衡指数算出部12と、比較部13と、判定部14と、出力部15と、記憶部16とを備える。
【0052】
推定部11は、三相三線式により電力を送電する配電線(高圧配電線)3に接続される変圧器である単相変圧器41、…、単相変圧器4kが、それぞれ配電線3が有する三相のうちいずれの相に現在接続されているかを推定する。具体的には、推定部11は、単相変圧器41、…、単相変圧器4kが、それぞれU-V相間、W-U相間、V-W相間のいずれの相間に接続されているかを判定する。
例えば、推定部11は、VV手法、PI手法等の手法により推定する。
推定部11は、判定した結果を推定情報ESIとして不平衡指数算出部12に出力する。
【0053】
不平衡指数算出部12は、単相変圧器ごとの不平衡指数を算出する、具体的には、不平衡指数算出部12は、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相における不平衡指数と、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の不平衡指数とを算出する。
ここで、不平衡指数とは、配電線(高圧配電線)3が有する三相のそれぞれの相において使用される電力量が互いに不平衡である程度を示す。
不平衡指数算出部12は、判定した結果を算出情報CAIとして比較部13に出力する。
【0054】
比較部13は、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相における不平衡指数と、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続された際の不平衡指数とを比較する。
比較部13は、例えば単相変圧器41がU-V相間に接続されていると推定される場合、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相であるU-V相間における不平衡指数と、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相とは異なる相であるW-U相間、及びV-W相間に接続された際の不平衡指数とを比較する。
比較部13は、比較した結果を比較情報COIとして判定部14に出力する。
【0055】
判定部14は、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相から、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相とは異なるいずれの相に接続相替えされたとしても、不平衡指数が改善する場合に、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相とは異なる相に接続相替えを行うことを判定する。
判定部14は、例えば単相変圧器41がU-V相間に接続されていると推定される場合、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相であるU-V相間から、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相であるW-U相間、及びV-W相間のいずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善する場合に、単相変圧器41が現在接続されていると推定される相であるU-V相間とは異なる相であるW-U相間、又はV-W相間に接続相替えを行うことを判定する。
判定部14は、判定した結果を判定情報JUIとして出力部15に出力する。
【0056】
また、判定部14は、不平衡指数がより改善される相に接続相替えを行うと判定する。
この場合、判定部14は、例えば単相変圧器41がU-V相間に接続されていると推定される場合であって、W-U相間、及びV-W相間のいずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善する場合に、W-U相間、及びV-W相間のうち、不平衡指数がより改善される相に接続相替えを行うと判定する。すなわち、判定部14は、より効果がある接続相に接続相替えを行うと判定する。
【0057】
ここで、判定部14は、判定した結果である判定情報JUIを、不平衡指数算出部12にも出力する。不平衡指数算出部12は、判定部14により接続相替えが行われると判定された変圧器については、接続相替えが行われたものとみなして、他の変圧器の不平衡指数を算出する。
【0058】
不平衡指数算出部12は、記憶部16に記憶される記憶情報MEIに基づき、所定の既定値を取得する。所定の既定値とは、不平衡指数の目標値である。不平衡指数算出部12は、不平衡指数が所定の既定値に達していない場合、接続相替え変圧器候補のリストに従い次の変圧器について不平衡指数の算出を行う。不平衡指数算出部12は、不平衡指数が所定の既定値に達している場合、処理を終了してもよい。
【0059】
出力部15は、判定部14により判定された結果を出力する。
【0060】
図6は、第1の実施形態に係る不平衡指数の算出方法について説明するための図である。同図を参照しながら、不平衡指数の算出方法について説明する。同図には、不平衡指数を縦軸、時間を横軸として、時間ごとの不平衡指数の変化を示す。
ここで、不平衡指数算出部12が不平衡指数を算出するにあたり、評価対象とする計算対象コマを設定する。同図を参照しながら。評価対象とする計算対象コマの選定について説明する。計算対象コマとは、例えば30分であってもよい。
【0061】
評価対象とする計算対象コマの選定にあたり、まず、所定の期間(例えば、1年)の、計算対象コマ毎に不平衡指数を算出する。
ここで、不平衡指数とは、具体的には、計算対象コマにおける最大電流値から最小電流値を減算した値を、三相平均電流値で除算することによって得られる値である。すなわち、不平衡指数とは、複数の単位期間(計算対象コマ)を含む所定の期間において、電力量が互いに不平衡である程度を示す。接続相判定装置10は、このように計算対象コマごとに不平衡指数を算出していき、最大値となる計算対象コマを、評価対象期間として選定する。
不平衡指数算出部12は、選定された評価対象期間となる計算対象コマにおける不平衡指数を算出する。すなわち、不平衡指数算出部12は、複数の単位期間(計算対象コマ)のうち、不平衡指数が最大であった単位期間(計算対象コマ)における不平衡指数に基づいて、不平衡指数を算出する。
【0062】
なお、所定の期間とは、1年のうち電力使用量が最も小さくなる期間と、電力使用量が最も大きくなる期間とを含む期間であればよく、上述した1年の例に限定されない。
【0063】
図7は、第1の実施形態に係る相替え対象変圧器候補リストの一例を示す図である。同図を参照しながら、相替え対象となる変圧器の候補と、優先順位について説明する。同図には、配電線3に接続される単相変圧器ごとの、30分あたりの平均電力使用量[kWh/30min]と、接続相判定結果と、現地調査結果有無とを示す。平均電力使用量とは、評価対象とする計算対象コマにおける平均電力使用量である。接続相判定結果とは、推定部11により推定された結果である。現地調査結果有無とは、作業者等により、実際に現地において変圧器の接続相が調査された事実の有無を示す。
【0064】
現地における接続相の調査とは、例えば変電所から配電線3を辿って、単相変圧器がいずれの相に接続されているかを特定する調査をいう。現地において接続相の調査がされていれば、推定部11による接続相判定は行われなくてもよい。
すなわち、本実施形態においては、調査結果が有る単相変圧器と、調査結果が無い単相変圧器が混在していてもよい。
【0065】
図7に示す一例においては、具体的には、相替え対象となる単相変圧器の候補として変圧器T1から変圧器T5について示されている。変圧器T1の平均電力使用量は“7.1[kWh/30min]”、接続相判定結果は“W-U相”であって、変圧器T2の平均電力使用量は“4.5[kWh/30min]”、接続相判定結果は“U-V相”であって、変圧器T3の平均電力使用量は“3.3[kWh/30min]”、接続相判定結果は“U-V相”であって、変圧器T4の平均電力使用量は“2.5[kWh/30min]”、接続相判定結果は“U-V相”であって、変圧器T5の平均電力使用量は“2.2[kWh/30min]”、接続相判定結果は“V-W相”である。変圧器T1から変圧器T5のうち、変圧器T5のみ現地調査結果が“有”である。
【0066】
図7に示す一例においては、変圧器T1から変圧器T5の順に優先順位が定められている。この優先順位は、例えば、平均電力使用量の多い順であってもよい。
この場合、不平衡指数算出部12は、配電線3に接続される複数の変圧器について、所定の優先順位である平均電力使用量の多い順に算出する。比較部13は、配電線3に接続される複数の変圧器について、平均電力使用量の多い順に不平衡指数を比較する。
優先順位は、この一例に限定されず、例えば工事の容易さ等を考慮して定められてもよい。
【0067】
図8は、第1の実施形態に係る接続相判定装置が行う相替えの有無について説明するための図である。同図を参照しながら、接続相判定装置10が行う相替えの一例について説明する。
図8に示す図は、それぞれの図がそれぞれの単相変圧器に対応する。各図には、それぞれの接続相ごとの不平衡指数を示す。また、各図には、不平衡指数から判定された、接続相替えの有無を示す。
【0068】
図8(A)は変圧器T1についての判定の一例を示し、図8(B)は変圧器T2についての判定の一例を示し、図8(C)は変圧器T3についての判定の一例を示し、図8(D)は変圧器T4についての判定の一例を示す。
優先順位は、変圧器T1から順に変圧器T4であるとして説明する。
【0069】
図8(A)に示すように、変圧器T1は、現在W-U相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.35であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.37であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.39である。
この場合、現在接続されているW-U相からU-V相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.37から0.35となり改善するものの、V-W相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.37から0.39となり改善しない。
したがって、接続相判定装置10は、V-W相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が改善しないため、変圧器T1の接続相替えを行わないと判定する。
【0070】
図8(B)に示すように、変圧器T2は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.37であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.35であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.34である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.37から0.35となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.37から0.34となり改善する。
したがって、接続相判定装置10は、いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、変圧器T2の接続相替えを行うと判定する。具体的には、接続相判定装置10は、より不平衡指数が改善するV-W相に接続相替えを行うと判定する。
【0071】
ここで、変圧器T2についてはV-W相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10は、以降の判定において、変圧器T2については、V-W相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0072】
図8(C)に示すように、変圧器T3は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.34であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.33であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.32である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.34から0.33となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.34から0.32となり改善する。
したがって、接続相判定装置10は、いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、変圧器T3の接続相替えを行うと判定する。具体的には、接続相判定装置10は、より不平衡指数が改善するV-W相に接続相替えを行うと判定する。
【0073】
ここで、変圧器T3についてはV-W相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10は、以降の判定において、変圧器T3については、V-W相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0074】
図8(D)に示すように、変圧器T4は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.32であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.29であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.31である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.32から0.29となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.32から0.31となり改善する。
したがって、接続相判定装置10は、いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、変圧器T4の接続相替えを行うと判定する。具体的には、接続相判定装置10は、より不平衡指数が改善するW-U相に接続相替えを行うと判定する。
【0075】
ここで、変圧器T4についてはW-U相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10は、以降の判定において、変圧器T4については、W-U相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0076】
なお、変圧器T4の判定が終了した時点において、不平衡指数が0.3を下回っている。例えば、接続相判定装置10は、不平衡指数が0.3を下回ることを終了条件としている場合、変圧器T4の判定が終了した時点で処理を終了し、残りの変圧器については判定を行わなくてもよい。
所定の終了条件は、例えば記憶部16に記憶されていて、不平衡指数算出部12により取得されてもよい。
【0077】
[第1の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、接続相判定装置10は、不平衡指数算出部12を備えることにより単相変圧器がU-V相間、W-U相間、V-W相間のそれぞれの相間に接続されたと仮定した場合における不平衡指数を算出し、比較部13を備えることにより現在接続されている相における不平衡指数と異なる相に接続相替えされた場合における不平衡指数とを比較し、判定部14を備えることによりいずれの相に接続相替えされたとしても改善する場合に接続相替えを行うことを判定し、出力部15を備えることにより判定された結果を出力する。したがって、接続相判定装置10によれば、電圧不平衡を軽減することができる単相変圧器の接続相替えを判定することができ、接続相判定装置10により判定された結果に基づいて単相変圧器の接続相替えを行えば、電圧不平衡を軽減することができる。
【0078】
ここで、従来技術によれば、一方の接続相に接続相替えを行う場合には不平衡指数が改悪される場合であっても、他方の接続相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が改善されると判定された場合には、接続相替えを行っていた。この場合、接続相替えを行う回数が増えてしまうという問題があった。
図11は、従来技術による相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。同図を参照しながら、従来技術の一例について説明する。同図には、配電線3に接続される複数の単相変圧器が、U-V相間、W-U相間、V-W相間いずれの相間に接続されるかを示す。この一例では、配電線3に、単相変圧器T1から単相変圧器T9の9つの単相変圧器が接続されている場合の一例について説明する。
図11(A)は、接続相替え前の状態を示し、図11(B)は、接続相替え後の状態を示す。
【0079】
図11(A)に示すように、W-U相間には、単相変圧器T1が接続されている。また、U-V相間には、単相変圧器T2、単相変圧器T3及び単相変圧器T4が接続されている。また、V-W相間には、単相変圧器T5、単相変圧器T6、単相変圧器T7、単相変圧器T8及び単相変圧器T9が接続されている。
従来技術によれば、例えば図11(B)に示すような、接続相替えが行われる。このように3つの接続相間において、単相変圧器の接続替えが行われることとなった結果、接続増替えの回数が増えてしまう。このように、従来技術によれば、接続相替えを行う回数が増えてしまうという問題があった。
【0080】
本実施形態によれば、いずれの相に接続相替えされたとしても改善する場合に接続相替えを行うため、接続相替えをする回数を低減することができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、電圧不平衡を軽減することができるため、電力品質の維持、向上をすることができる。更に、電圧不平衡の軽減により、設備利用の不平衡が改善され、電力供給能力を向上させることができる。その結果として、設備有効利用による電力供給コスト低減をすることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、接続相替えをする回数を低減することができるため、作業者の作業量を減らすことができる。
ここで、単相変圧器の接続相替えをするには、低圧需要家への電力の供給を一旦停止しなければならない場合がある。したがって、本実施形態によれば、接続相替えをする回数を低減することができるため、単相変圧器が電力を供給する先の低圧需要家への負担を減らすことができる。
更に、接続相替えをする回数が増えれば事故のリスクが高まることにもつながる。したがって、本実施形態によれば、接続相替えをする回数を低減することができるため、事故のリスクをも低減することができる。
【0083】
また、以上説明した実施形態によれば、判定部14は不平衡指数がより改善される相に接続相替えを行うと判定する。したがって、本実施形態によれば、電圧不平衡を効率的に改善することができる。
【0084】
また、以上説明した実施形態によれば、不平衡指数算出部12は、配電線3に接続される複数の変圧器について、所定の優先順位に基づいて順に算出し、比較部13は、配電線3に接続される複数の変圧器について不平衡指数を比較する。すなわち、接続相判定装置10は、配電線3に接続される複数の変圧器について判定を行う。したがって、本実施形態によれば、電圧不平衡を効率的に改善することができる。
【0085】
また、以上説明した実施形態によれば、不平衡指数算出部12は、判定部14により接続相替えを行うと判定された変圧器については、接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。すなわち、本実施形態によれば、判定後の変圧器については、接続相替えが行われた状態で、次の変圧器の不平衡指数を算出する。したがって、本実施形態によれば、配電線3に接続された複数の変圧器全体の不平衡を軽減することができる。
【0086】
また、以上説明した実施形態によれば、接続相判定装置10は、平均使用電力量の多い順に、複数の変圧器の接続相判定をしていく。すなわち、本実施形態によれば、接続相替えをした際の効果が大きい変圧器から順に接続相替えをしていく。したがって、本実施形態によれば、接続相替えをする回数を減らすことができ、効率的に電圧不平衡を軽減することができる。
【0087】
また、以上説明した実施形態によれば、不平衡指数は、複数の単位期間のうち、不平衡指数が最大であった単位期間における不平衡指数に基づいて算出される。したがって、本実施形態によれば、不平衡指数が大きくなる期間においても、電圧不平衡を軽減することができる。
【0088】
また、以上説明した実施形態によれば、1年のうち電力使用量が最も小さくなる期間と、電力使用量が最も大きくなる期間とを含む期間に基づいて、不平衡指数を算出するための期間が特定される。したがって、本実施形態によれば、不平衡指数が大きくなる期間においても、電圧不平衡を軽減することができる。
【0089】
[第2の実施形態]
次に、図9図10及び図12を参照しながら、第2の実施形態に係る接続相判定装置10Aについて説明する。
図9は、第2の実施形態に係る接続相判定装置が解決しようとする問題について説明するための図である。まず、同図を参照しながら、第2の実施形態に係る接続相判定装置10Aが解決しようとする問題について説明する
【0090】
図9(A)は、現状、変圧器T2が接続されている接続相を示す。現状、変圧器T2はU-V相間に接続されている。
図9(B)は、接続相替えの候補となる接続相を示す。ここで、単相変圧器の接続相替えを行う作業者は、変圧器T2がU-V相間に接続されていることを判別することはできるが、いずれの配電線3がU相であるのか、又はV相であるのかを判別することは容易でない場合がある。したがって、U相又はV相のいずれかをW相に接続相替えをすることになる。U相をW相に接続相替えした場合、変圧器T2はV-W相間に接続される。V相をW相に接続相替えした場合、変圧器T2はW-U相間に接続される。
【0091】
図9(C)は、接続相替えを行った後の変圧器T2が接続されている接続相を示す。作業者は、いずれの配電線3がU相であるのか、又はV相であるのかを判別することは容易でないため、接続相替えを行った結果、変圧器T2がV-W相間又はW-U相間のいずれに接続相替えがされたかは判然としない。すなわち、接続相替えの結果、V-W相間に接続されているであろう確率は50%であり、はW-U相間に接続されているであろう確率は50%である。
【0092】
したがって、第1の実施形態において説明した判定方法により、接続相判定装置10が判定した結果に基づいて単相変圧器の接続相替えを行った場合であっても、作業者は、単相変圧器を接続相替えするための相を特定でない場合があるため、目標とした不平衡指数を達成できない場合がある。そこで、本実施形態においては、作業者が単相変圧器を接続相替えするための相を特定でない場合であっても、目標とした不平衡指数を達成できるようにすることを目的とする。
【0093】
ここで、作業者が単相変圧器を接続相替えするための相を特定でない場合であっても、従来技術によれば、隣接変圧器における情報に基づいて、ある程度の推定をすることはできた。
図12は、従来技術による隣接変圧器による接続相の推定について説明するための図である。同図を参照しながら、隣接変圧器における情報に基づく接続相の推定について説明する。図12(A)は、実際に変圧器が接続されている相を示し、図12(B)は、その予測結果を示す。
【0094】
接続相替えの工事の対象となる変圧器を変圧器Bとして、変圧器Bの両端に隣接する変圧器を、変圧器A及び変圧器Cとして記載する。
図12(A)に示すように、変圧器AはU-V相間に接続され、変圧器BはW-U相間に接続され、変圧器CはV-W相間に接続されている。
現場においては、それぞれの配電線がいずれの相であるかを判別することは容易でないため、従来、建物側に存在する配電線を「家」、道路側に存在する配電線を「道」、建物側に存在する配電線と道路側に存在する配電線との間に存在する配電線を「中」として、区別していた。
【0095】
ここで、接続相の推定により、図12(B)に示すような結果が得られたとする。具体的には、変圧器AはU-V相間に接続され、変圧器BはW-U相間に接続され、変圧器CはV-W相間に推定されているとの結果が得られたとする。
変圧器Aは、「道」-「中」間に接続されているため、「道」又は「中」のいずれか一方がU相であり、他方がV相であると推定できる。また、変圧器Bは、「家」-「道」間に接続されているため、「家」又は「道」のいずれか一方がU相であり、他方がW相であると推定できる。また、変圧器Cは、「家」-「中」間に接続されているため、「家」又は「中」のいずれか一方がV相であり、他方がW相であると推定できる。
これらの結果を総合勘案すると、「家」がW相であり、「中」がV相であり、「道」がU相であることが分かる。
【0096】
このように、従来技術においても、隣接する変圧器が複数ある場合には、接続相替えの対象となる工事対象変圧器と、それに隣接する変圧器の接続相(家、中、道)と接続相判定結果(U-V相、V-W相、W-U相)とを組み合わせることにより、工事対象変圧器の接続相の内訳を判別することはできた。
また、架空線の場合は、「中」がV相である確率が高いことも参考にされていた。
しかしながら、隣接する変圧器がない場合は、従来技術による手法を用いることができないといった問題があった。
【0097】
図10は、第2の実施形態に係る相替え対象変圧器負荷の接続例について説明するための図である。同図を参照しながら、第2の実施形態に係る接続相判定装置10Aが判定する相替え対象変圧器の接続例について説明する。
接続相判定装置10Aが判定を行う際の終了条件は、接続相判定装置10と同様に不平衡指数が0.3を下回ることとして説明する。接続相判定装置10Aは、不平衡指数が0.3を下回時点で処理を終了し、残りの変圧器については判定を行わない。
【0098】
図10(A)は変圧器T5についての判定の一例を示し、図10(B)は変圧器T6についての判定の一例を示し、図10(C)は変圧器T7についての判定の一例を示す。
優先順位は、変圧器T5から順に変圧器T7であるとして説明する。
【0099】
図10(A)に示すように、変圧器T5は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.34であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.33であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.31である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.34から0.33となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.34から0.31となり改善する。
【0100】
いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、接続相判定装置10Aは、接続相替えを行うと判定する。
ここで、接続相判定装置10Aは、いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善する場合に接続相替えを行うと判定する点において接続相判定装置10と共通するが、必ずしも、より不平衡指数が改善する接続相に接続相替えを行わない点において、接続相判定装置10とは異なる。接続相判定装置10Aは、例えば、より不平衡指数が改善する接続相に接続相替えを行う場合と、より不平衡指数が改善する接続相ではない接続相に接続相替えを行う場合とを、交互に繰り返す。
【0101】
すなわち、第2の実施形態に係る不平衡指数算出部12は、判定部14により接続替えを行うと判定された変圧器について、接続替えが行われたとみなすことと、接続替えが行われなかったとみなすことを交互に採用しながら不平衡指数を算出する。
【0102】
具体的には、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合と比べて、V-W相に接続相替えを行った場合のほうが、より不平衡指数が改善する。しかし、接続相判定装置10Aは、より不平衡指数が改善する接続相ではないW-U相に接続相替えを行う。
変圧器T5についてはW-U相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10Aは、以降の判定において、変圧器T5については、W-U相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0103】
図10(B)に示すように、変圧器T6は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.33であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.31であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.32である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.33から0.31となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.33から0.32となり改善する。
【0104】
いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、接続相判定装置10Aは、接続相替えを行うと判定する。
ここで、接続相判定装置10Aは、前回の判定(変圧器T5の判定)において、より不平衡指数が改善する接続相ではない接続相に接続相替えを行った。したがって、今回の判定(変圧器T6の判定)においては、より不平衡指数が改善する接続相に接続相替えを行う。
【0105】
具体的には、現在接続されているU-V相からV-W相に接続相替えを行った場合と比べて、W-U相に接続相替えを行った場合のほうが、より不平衡指数が改善する。しかし、接続相判定装置10Aは、より不平衡指数が改善する接続相であるW-U相に接続相替えを行う。
変圧器T6についてはW-U相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10Aは、以降の判定において、変圧器T6については、W-U相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0106】
図10(C)に示すように、変圧器T7は、現在U-V相に接続されている。U-V相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.31であり、W-U相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.29であり、V-W相に接続したと仮定した場合の不平衡指数は、0.28である。
この場合、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合には不平衡指数が0.31から0.29となり改善し、更にV-W相に接続相替えを行った場合にも不平衡指数が0.31から0.28となり改善する。
【0107】
いずれの相に接続相替えされたとしても不平衡指数が改善するため、接続相判定装置10Aは、接続相替えを行うと判定する。
ここで、接続相判定装置10Aは、前回の判定(変圧器T6の判定)において、より不平衡指数が改善する接続相に接続相替えを行った。したがって、今回の判定(変圧器T7の判定)においては、より不平衡指数が改善する接続相ではない接続相に接続相替えを行う。
【0108】
具体的には、現在接続されているU-V相からW-U相に接続相替えを行った場合と比べて、V-W相に接続相替えを行った場合のほうが、より不平衡指数が改善する。しかし、接続相判定装置10Aは、より不平衡指数が改善する接続相ではないW-U相に接続相替えを行う。
変圧器T7についてはW-U相に接続相替えを行うと判定されたため、接続相判定装置10Aは、以降の判定において、変圧器T7については、W-U相に接続相替えが行われたとみなして不平衡指数を算出する。
【0109】
なお、変圧器T7の判定が終了した時点において、終了条件である不平衡指数が0.3を下回ることを満たしている。したがって、接続相判定装置10Aは、変圧器T7の判定が終了した時点で処理を終了し、残りの変圧器については判定を行わなくてもよい。
【0110】
本実施形態においては、より不平衡指数が改善する接続相に接続相替えを行う場合と、より不平衡指数が改善する接続相ではない接続相に接続相替えを行う場合とを交互に繰り返すことにより、作業者が単相変圧器を接続相替えするための相を特定でない場合であっても、目標とした不平衡指数を達成できるようにした。
上述した実施形態に代えて、終了条件とする不平衡指数を目標値より小さい値とすることにより、目的を達成してもよい。この場合、例えば不平衡指数の目標値が0.3である場合、0.3より小さい0.28に設定してもよい。
また、接続相替えをした後の不平衡指数を、2つの接続相の不平衡指数の中間値とすることにより、目標を達成してもよい。
【0111】
[第2の実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、不平衡指数算出部12は、判定部14により接続替えを行うと判定された変圧器について、接続替えが行われたとみなすことと、接続替えが行われなかったとみなすことを交互に採用しながら不平衡指数を算出する。したがって、本実施形態によれば、作業者により目的とする接続相に接続相替えが行われた場合と、目的とは異なる接続相に接続相替えが行われた場合とを考慮しながら、最終的な不平衡指数の目標値を達成したか否かを判定することができる。
したがって、本実施形態によれば、作業者によりいずれの接続相に接続相替えされるか分からない場合であっても、不平衡指数の目標値を達成することができる。
【0112】
なお、上述した実施形態における接続相判定装置10が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0113】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0114】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明したが、具体的な構成が上述した実施形態に限られるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1…配電網、10…接続相判定装置、11…推定部、12…不平衡指数算出部、13…比較部、14…判定部、15…出力部、16…記憶部、2…変電所、3…配電線、31…第一配電線、32…第二配電線、33…第三配電線、41…単相変圧器、5…低圧需要家群、51…低圧需要家、6…高圧需要家群、61…高圧需要家、7…発電事業者群、71…発電事業者、8…開閉器
図1
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