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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039614
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】視野角測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/26 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
G01B11/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146824
(22)【出願日】2021-09-09
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年6月8日に、エントラスト株式会社が、下記刊行物に掲載した。 エントラスト株式会社 「CORPORATE PROFILE」会社紹介パンフレット、第7頁
(71)【出願人】
【識別番号】513163579
【氏名又は名称】エントラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100163706
【弁理士】
【氏名又は名称】釜谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】藤井 寛
(72)【発明者】
【氏名】西川 金弥
(72)【発明者】
【氏名】大輪 道彦
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 登
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA31
2F065BB01
2F065DD02
2F065DD03
2F065LL28
2F065MM08
2F065PP01
2F065SS11
(57)【要約】
【課題】 コンパクトな構造で、精度よく測定することが可能な視野角測定装置を提供する。
【解決手段】 平面ディスプレイに対して、光学測定器をローリング回動させたり面回動させたりして測定させるようにした視野角測定装置であって、視野角測定装置は、遮光部と、光学測定器についてローリング回動と面回動を可能に保持する回動保持部を有し、遮光部は、遮光板部とスペーサー部を有し、回動保持部は略リング状で遮光部の裏面側を平面ディスプレイに平行に回動可能にガイドされるリングガイド部と、光学測定器を面回動可能に保持しリングガイド部に固定された面回動ガイド部を有し、平面ディスプレイにスペーサー部を当接させて一体に保持し、リングガイド部を回動させることにより光学測定器をローリング回動させ、面回動ガイド部により光学測定器を面回動させて測定するように構成したので、コンパクトな構造で、精度よく測定をすることができるものとなった。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面ディスプレイ上の測定ポイントに対して、光学測定器の測定距離である所定距離において前記光学測定器を所定角度で保持し、前記測定ポイントを通る前記平面ディスプレイに対して垂直な軸を中心にして前記所定角度で前記光学測定器を前記平面ディスプレイに対して相対的に回動させるローリング回動をさせて測定させ、前記垂直な軸と前記光学測定器の光軸を含む平面に沿って、前記測定ポイントを中心として前記所定距離で前記光学測定器を前記平面ディスプレイに対して相対的に回動させる面回動をさせて測定させるように構成された視野角測定装置であって、
前記視野角測定装置は、前記平面ディスプレイからの不要な光を遮るための遮光部と、前記光学測定器について前記ローリング回動と前記面回動を可能に保持する回動保持部を有し、
前記遮光部は、前記測定ポイントを中心とした所定の大きさの遮光穴部を有する遮光板部と、前記平面ディスプレイと前記遮光板部を平行に所定の長さ離間させるためのスペーサー部を有し、
前記回動保持部は、略リング状であって前記測定ポイントを中心として前記遮光部の裏面側を前記平面ディスプレイと平行に回動可能にガイドされるリングガイド部と、前記リングガイド部に固定され、前記測定ポイントを中心として前記輝度計を面回動可能に保持する面回動ガイド部を有し、
前記平面ディスプレイに前記スペーサー部を当接し、前記リングガイド部を回動させることにより前記光学測定器をローリング回動させ、前記面回動ガイド部により前記光学測定器を面回動させて測定するように構成されている
ことを特徴とする視野角測定装置。
【請求項2】
前記面回動ガイド部は面回動係止部を有し、前記光学測定器を面回動させるときに、第1の所定角度毎に係止されるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の視野角測定装置。
【請求項3】
前記視野角測定装置はローリング回動係止部を有し、前記光学測定器をローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止されるよう構成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の視野角測定装置。
【請求項4】
前記視野角測定装置は、前記視野角測定装置を縦置きに保持するための縦置き保持部を有し、
前記縦置き保持部は、前記遮光部の裏面に密着して固定され、前記遮光穴部よりも大きいかまたは同じ大きさの前板穴部を有する前板と、前記後部回動支持部を回動可能に保持する後板と、前記前板と前記後板の下部を連結する下部連結部と、前記前板と前記後板の上部を連結する上部連結部を有し、
前記回動保持部は、前記面回動ガイド部の後部の前記測定ポイントと対向する位置に後部回動支持部を有していて、
前記回動保持部は、前記リングガイド部が前記遮光部の裏面側を、前記前板を介して回動可能にガイドされて摺動し、前記後部回動支持部が前記後板に回動可能に保持されることにより、前記縦置き保持部により縦置きに保持されてローリング回動するよう構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3記載の視野角測定装置。
【請求項5】
前記面回動ガイド部の後部には、前記後部回動支持部を中心に回動する後部回転板を有し、
前記後板には、前記ローリング回動係止部が設けられており、前記後部回転板を前記ローリング回動係止部が係止することにより、前記光学測定器をローリング回動させるときに、前記第2の所定角度毎に係止するよう構成されている
ことを特徴とする請求項4記載の視野角測定装置。
【請求項6】
前記後部回転板の背面には、基準角からどの位ローリング回動したかの角度であるローリング回動角を表示するローリング回動角表示部を有し、
前記後板には、ローリング回動角表示窓が設けられ、前記ローリング回動角表示窓から、前記ローリング回動角表示部の一部が表示されることによって、前記視野角測定装置の背面側から前記ローリング回動角を確認できるように構成されている
ことを特徴とする請求項5記載の視野角測定装置。
【請求項7】
前記平面ディスプレイを上方に向けて平らに設置し、前記視野角測定装置を前記スペーサー部が下向きになるようにした横置きの状態で前記平面ディスプレイ上に載置して、輝度を測定するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3記載の視野角測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視野角測定装置に関する。より詳細には、表示画面に対する角度を変えて光学測定器で測定するときに用いられる視野角測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数人でも見やすい平面ディスプレイの開発等のために、表示画面に対する角度を変えて光学測定器で測定するときに用いられる装置が求められている。
【0003】
すなわち、液晶表示ディスプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の平面ディスプレイでは、正面から見ている人に対して、斜めから見ている人は画面が見にくくなってしまうことがある。また、大人や子供では目の高さも異なってくるので、上下左右斜めからの見え方が大切になる。そのため、液晶表示ディスプレイ等では視野角改善フィルム等を用いて改善を行ったりしている。そして、これらの評価のため、画面の表示が正しく見える角度の範囲である視野角を測定することのできる、表示画面に対する角度を変えて光学測定器で測定するときに用いられる装置が求められている。
【0004】
このような光学測定器には輝度計や色度計等があるが、表示画面の測定ポイントに対して、光学測定器を所定の長さの測定距離に保つ必要がある。そして、この測定ポイントに対して、光学測定器を所定角度で保持し、測定ポイントを通る表示画面に対して垂直な軸を中心にして所定角度で相対的に回動させたり、この垂直な軸と光学測定器の光軸を含む平面に沿って、測定ポイントを中心として相対的に回動させたりすることができる装置が求められている。
【0005】
このような装置として、特許文献1にて開示された広範囲・広角度輝度測定装置がある。この装置は、画面の輝度を測定する際に、被測定画面上の測定ポイントのあらゆる方向から輝度を測定するようにして、輝度の測定精度を向上させたものである。
【0006】
すなわち、被測定画面上の任意の位置に中心位置を有する円弧状のガイド部材を、被測定画面に対してXY軸方向に移動させて測定ポイントの位置決めをし、ガイド部材上を自走することができ且つ焦点を中心位置に設定した輝度計を測定ポイントに対して所定角度傾斜させるように設定し、ガイド部材を回転させて傾斜した輝度計により測定ポイントの輝度を360°に亘って測定するよう構成されたものである。
【0007】
この広範囲・広角度輝度測定装置によれば、被測定画面の測定ポイントに対して傾斜角度を持たせた輝度計により360°に亘って測定できるようにしたことにより、画面から発生する輝度を全方向、全角度位置から正確に測定することができるようになり、且つ自動化を図ることが可能となる。
【0008】
また、このような装置として、特許文献2にて開示された特性測定装置がある。この装置は、平面表示型ディスプレイの大きさや形状および搭載部品の影響を受けずに簡単に基準平面にディスプレイ表示面を配置し、指定あるいは任意の位置での特性測定が可能なものである。
【0009】
この特性測定装置は平面表示型ディスプレイの視野角測定に用いられるものであって、ディスプレイの基準面の中央部を通る垂直方向揺動軸を設定し、垂直方向揺動軸に直交する水平方向揺動軸を基準面の中央部に設定し、ディスプレイを基準面近傍において基準平面設定用保持手段で保持し、ディスプレイの表示表面から任意の距離離間している距離測定器により該ディスプレイの表示表面の任意の3点の距離を測定し、各点の距離からあおり角及びディスプレイと基準面との距離を算出し、保持手段を移動して基準面との距離を縮め、垂直方向揺動軸と水平方向揺動軸との交点を中心に垂直方向揺動軸及び水平方向揺動軸周りにディスプレイを揺動して基準面との平行に近づけ、3点の距離の再測定から、垂直方向揺動軸及び水平方向揺動軸周りのディスプレイの再揺動までを繰り返して該ディスプレイを基準面に配置し、距離測定器を視野角観察手段に替え、垂直方向揺動軸及び水平方向揺動軸周りにディスプレイを揺動して視野角を調整特定するというものである。
【0010】
すなわち、この特性測定装置は、視野角観察手段に対して、平面表示型ディスプレイを垂直軸方向揺動手段と水平軸方向揺動手段により揺動させて、視野角の調整特定を行うというものである。ここで、垂直軸方向揺動手段では、水平軸方向揺動手段の一部であるアームの先端部に垂直方向揺動軸が組み付けられており、この垂直方向揺動軸の上端部に支持板が回動自在かつ任意の位置を保持可能に軸支されており、この支持板にはディスプレイ支持軸が固定され、このディスプレイ支持軸に平面表示型ディスプレイを保持する保持手段であるクランプが組み付けられている。また、垂直軸方向揺動手段は基台に取り付けられ、距離測定器または視野角観察手段は、基台に対して上下、左右、前後に移動可能に支持されている。
【0011】
また、このような装置として、非特許文献1にて開示された垂直回転型視野角変角装置がある。この装置は、特許文献2にて開示された特性測定装置と同様、計測用カメラに対して、フラットパネルを首振りさせ揺動させて計測する装置であり、更に、フラットパネルを回転させることもできるように構成されているものである。
【0012】
すなわち、この装置によれば、目的の計測点であるパネル面の任意のポイントを設定し、そのポイントからの距離および、仰角、俯角を任意に設定することで、自動的に適切な位置に移動するので、フラットパネルの表示性能評価試験をすることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000-292256公報
【特許文献2】特開2007-271350公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】垂直回転型視野角変角装置、[令和3年7月30日検索]、インターネット〈http://www.osk.ecweb.jp/sub2.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、測定装置を被測定画面に対して、測定距離であって、真正面の対向する位置に相対的になるように設置しなければならないが、何のガイドもなく正確に設置するのが難しいという不都合があった。また、平面表示型ディスプレイと測定装置は離間して載置されており、測定精度を上げるために、輝度計を保持する円弧ガイド部や回転機構部等、測定装置を頑強な構造に構成しなければならず、装置を移動するのが簡単でないという不都合があった。
【0016】
また、特許文献2に記載の技術では、水平軸方向の揺動にはアームを用いているため、水平軸方向に揺動させると視野角観察手段との距離と上下位置が変わってしまう。そうすると、視野角観察手段の焦点位置がずれてしまうことになり、その度毎に、視野角観察手段を平面表示型ディスプレイに対して前後・上下させて所定の位置になるよう調整しなければならないという不都合があった。また、平面表示型ディスプレイと視野角観察手段のそれぞれを精度よく保持する必要があり、装置の基台等を頑強な構造にしなければならず、持ち運んだりするのが難しいという不都合があった。また、平面表示型ディスプレイを垂直軸方向揺動やと水平軸方向揺動は可能ではあるが、平面表示型ディスプレイを相対的に回転させておこなう測定をすることは難しいという不都合があった。
【0017】
また、非特許文献1に記載の技術では、フラットパネルの画面を回転させながらの測定も可能ではあるが、フラットパネルと特性測定装置のそれぞれを精度よく保持する必要があり、装置全体が極めて頑強で剛性のある構造となり、大きな場所において設置しなければならないという不都合があった。また、画面のどんどん大きなものが近年登場しているが、画面の大きさが巨大になれば、これに対応させて装置全体も大きなものにしなくてはならないという不都合があった。
【0018】
本発明の目的は、コンパクトな構造で、精度よく測定することが可能な視野角測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。
【0020】
本発明は、平面ディスプレイ上の測定ポイントに対して、光学測定器の測定距離である所定距離において光学測定器を所定角度で保持し、測定ポイントを通る平面ディスプレイに対して垂直な軸を中心にして所定角度で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させるローリング回動をさせて測定させ、垂直な軸と光学測定器の光軸を含む平面に沿って、測定ポイントを中心として所定距離で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させる面回動をさせて測定させるように構成された視野角測定装置に関する。
そして、視野角測定装置は、平面ディスプレイからの不要な光を遮るための遮光部と、光学測定器についてローリング回動と面回動を可能に保持する回動保持部を有し、遮光部は、測定ポイントを中心とした所定の大きさの遮光穴部を有する遮光板部と、平面ディスプレイと遮光板部を平行に所定の長さ離間させるためのスペーサー部を有し、回動保持部は、略リング状であって測定ポイントを中心として遮光部の裏面側を平面ディスプレイと平行に回動可能にガイドされるリングガイド部と、リングガイド部に固定され、測定ポイントを中心として輝度計を面回動可能に保持する面回動ガイド部を有し、平面ディスプレイにスペーサー部を当接し、リングガイド部を回動させることにより光学測定器をローリング回動させ、面回動ガイド部により光学測定器を面回動させて測定するように構成されていることを特徴とする。
【0021】
また、面回動ガイド部は面回動係止部を有し、光学測定器を面回動させるときに、第1の所定角度毎に係止されるよう構成されていることを特徴とする。
【0022】
また、視野角測定装置はローリング回動係止部を有し、光学測定器をローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止されるよう構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、視野角測定装置は、視野角測定装置を縦置きに保持するための縦置き保持部を有し、縦置き保持部は、遮光部の裏面に密着して固定され、遮光穴部よりも大きいかまたは同じ大きさの前板穴部を有する前板と、後部回動支持部を回動可能に保持する後板と、前板と後板の下部を連結する下部連結部と、前板と後板の上部を連結する上部連結部を有し、回動保持部は、面回動ガイド部の後部の測定ポイントと対向する位置に後部回動支持部を有していて、回動保持部は、リングガイド部が遮光部の裏面側を、前板を介して回動可能にガイドされて摺動し、後部回動支持部が後板に回動可能に保持されることにより、縦置き保持部により縦置きに保持されてローリング回動するよう構成されていることを特徴とする。
【0024】
また、面回動ガイド部の後部には、後部回動支持部を中心に回動する後部回転板を有し、後板には、ローリング回動係止部が設けられており、後部回転板をローリング回動係止部が係止することにより、光学測定器をローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止するよう構成されていることを特徴とする。
【0025】
また、後部回転板の背面には、基準角からどの位ローリング回動したかの角度であるローリング回動角を表示するローリング回動角表示部を有し、後板には、ローリング回動角表示窓が設けられ、ローリング回動角表示窓から、ローリング回動角表示部の一部が表示されることによって、視野角測定装置の背面側からローリング回動角を確認できるように構成されていることを特徴とする。
【0026】
そして、平面ディスプレイを上方に向けて平らに設置し、視野角測定装置をスペーサー部が下向きになるようにした横置きの状態で平面ディスプレイ上に載置して、輝度を測定するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上述の特徴を有することから、下記に示すことが可能となる。
【0028】
平面ディスプレイ上の測定ポイントに対して、光学測定器の測定距離である所定距離において光学測定器を所定角度で保持し、測定ポイントを通る平面ディスプレイに対して垂直な軸を中心にして所定角度で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させるローリング回動をさせて測定させ、垂直な軸と光学測定器の光軸を含む平面に沿って、測定ポイントを中心として所定距離で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させる面回動をさせて測定させるように構成された視野角測定装置であって、視野角測定装置は、平面ディスプレイからの不要な光を遮るための遮光部と、光学測定器についてローリング回動と面回動を可能に保持する回動保持部を有し、遮光部は、測定ポイントを中心とした所定の大きさの遮光穴部を有する遮光板部と、平面ディスプレイと遮光板部を平行に所定の長さ離間させるためのスペーサー部を有し、回動保持部は、略リング状であって測定ポイントを中心として遮光部の裏面側を平面ディスプレイと平行に回動可能にガイドされるリングガイド部と、リングガイド部に固定され、測定ポイントを中心として輝度計を面回動可能に保持する面回動ガイド部を有し、平面ディスプレイにスペーサー部を当接し、リングガイド部を回動させることにより光学測定器をローリング回動させ、面回動ガイド部により光学測定器を面回動させて測定するように構成されているので、コンパクトな構造で、精度よく測定することが可能な視野角測定装置を得ることができる。
【0029】
また、面回動ガイド部は面回動係止部を有し、光学測定器を面回動させるときに、第1の所定角度毎に係止されるよう構成されているので、面回動させるときに容易に第1の所定角度毎に係止させて測定をすることが可能となる。
【0030】
また、視野角測定装置はローリング回動係止部を有し、光学測定器をローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止されるよう構成されているので、ローリング回動させるときに容易に第2の所定角度毎に係止させて測定をすることが可能となる。
【0031】
また、視野角測定装置は、視野角測定装置を縦置きに保持するための縦置き保持部を有し、縦置き保持部は、遮光部の裏面に密着して固定され、遮光穴部よりも大きいかまたは同じ大きさの前板穴部を有する前板と、後部回動支持部を回動可能に保持する後板と、前板と後板の下部を連結する下部連結部と、前板と後板の上部を連結する上部連結部を有し、回動保持部は、面回動ガイド部の後部の測定ポイントと対向する位置に後部回動支持部を有していて、回動保持部は、リングガイド部が遮光部の裏面側を、前板を介して回動可能にガイドされて摺動し、後部回動支持部が後板に回動可能に保持されることにより、縦置き保持部により縦置きに保持されてローリング回動するよう構成されているので、平面ディスプレイを縦置きに配置し、視野角測定装置を平面ディスプレイに当接するようにして、精度よく測定することが可能となる。
【0032】
また、面回動ガイド部の後部には、後部回動支持部を中心に回動する後部回転板を有し、後板には、ローリング回動係止部が設けられており、後部回転板をローリング回動係止部が係止することにより、光学測定器をローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止するよう構成されているので、容易にローリング回動させての測定をすることが可能となる。
【0033】
また、後部回転板の背面には、基準角からどの位ローリング回動したかの角度であるローリング回動角を表示するローリング回動角表示部を有し、後板には、ローリング回動角表示窓が設けられ、ローリング回動角表示窓から、ローリング回動角表示部の一部が表示されることによって、視野角測定装置の背面側からローリング回動角を確認できるように構成されているので、ローリング回動角を確認しながらローリング回動させての測定をすることが可能となる。
【0034】
そして、平面ディスプレイを上方に向けて平らに設置し、視野角測定装置をスペーサー部が下向きになるようにした横置きの状態で平面ディスプレイ上に載置して、輝度を測定するように構成されているので、簡単な構成で制度の良い視野角測定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の使用例を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示し、(A)は背面方向から見た斜視図、(B)は前面方向から見た斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示す背面方向から見た分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の要部の構成を示し、(A)は上面方向から見た斜視図、(B)は下面方向から見た斜視図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の要部の構成を示し、(A)は背面方向から見た分解斜視図、(B)は前面方向から見た斜視図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示し、(A)は参考斜視図、(B)は正面図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示し、(C)は背面図、(D)は上面図、(E)は底面図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示し、(F)は左側面図、(G)は右側面図、(H)は参考斜視図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る視野角測定装置の使用例を示す上面方向から見た斜視図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る視野角測定装置の構成を示す上面方向から見た斜視図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る視野角測定装置の要部の構成を示す上面方向から見た斜視図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る視野角測定装置の要部の構成を示す上面方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、視野角測定装置を平面ディスプレイに設置した状態における、測定を行う測定者側から見た状態での前後方向、上下方向、左右方向を示し、平面ディスプレイのある方向を前方向(前面方向)、その反対の方向を後方向(背面方向)と呼ぶこととする。
但し、以下に示す前後、上下、左右等の方向は、説明の便宜上示すものであり、本技術はこれらの方向に限定して適用されることはない。
【0037】
ここで、本発明の視野角測定装置は、平面ディスプレイ上の測定ポイントに対して、光学測定器の測定距離である所定距離において光学測定器を所定角度で保持し、測定ポイントを通る平面ディスプレイに対して垂直な軸を中心にして所定角度で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させるローリング回動をさせて測定させ、この垂直な軸と光学測定器の光軸を含む平面に沿って、測定ポイントを中心として所定距離で光学測定器を平面ディスプレイに対して相対的に回動させる面回動をさせて測定させることができるように構成されているものであり、以下、その詳細を説明する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1乃至図8を参照して、本発明の第1の実施形態の視野角測定装置1について説明する。
図1は視野角測定装置1の使用例を示す斜視図、図2(A)及び(B)は視野角測定装置1の構成を示す斜視図、図3は斜視分解図である。そして、図4(A)及び(B)は視野角測定装置1の部分の構成を示す斜視図、図5(A)は視野角測定装置1の別の部分の構成を示す斜視分解図であって図5(B)はその部分の構成を示す斜視図、図6乃至図8の(A)乃至(H)は視野角測定装置1の外形を意匠的に表現した図である。
また、本実施形態では、光学測定器として輝度計Lを用いて輝度を測定する場合について説明する。
【0039】
図1は、平面ディスプレイ100に対して、置台200上に固定した視野角測定装置1を用いて、画面上の測定ポイントPにおける輝度を輝度計Lにより、測定者が測定している状況を示す使用図である。図1に示すように、床に対して垂直に設置された平面ディスプレイ100の画面の所定の位置において、視野角測定装置1は平面ディスプレイ100の画面に当接されて一体となって、位置出しされて設置される。
【0040】
図1に示すように、置台200は、保持脚部210、上下伸縮部220、上部プレート部230と固定金具部240、240、240、240を有している。置台200は保持脚部210により床に安定して載置される。保持脚部210の上部に固定された上下伸縮部220は、ジャッキのようなパンタグラフ機構により上下に伸縮自在に構成され、上部プレート部230を床に対して平行に保持する。固定金具部240、240、240、240により上部プレート部230に固定された視野角測定装置1は、置台200により平面ディスプレイ100の画面の所定位置に保持される。
【0041】
それでは、図2及び図3を用いて、視野角測定装置1の構成について説明する。
図2(A)は視野角測定装置1を背面方向から見た斜視図、(B)は前面方向から見た斜視図であり、図3は視野角測定装置1を背面方向から見た斜視分解図である。なお、図1図2(A)及び(B)は、輝度計Lを視野角測定装置1の右寄りに寄せた図を示しているが、図3では、輝度計Lを左側に寄せた状態の図を示している。
【0042】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、視野角測定装置1は、平面ディスプレイ100からの不要な光を遮るための遮光部10(遮光部)と、輝度計Lを回動可能に保持する回動保持部20(回動保持部)と、視野角測定装置1を縦置きに保持する縦置き保持部30(縦置き保持部)を有している。輝度計Lは輝度計保持部40を介して、回動保持部20に保持される。
【0043】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、遮光部10は、樹脂板からなる遮光板部11(遮光板部)とゴムやエラストマ等の柔軟な材質からなるスペーサー部12、12、12、12(スペーサー部)を有している。遮光板部11は測定ポイントPを通り平面ディスプレイ100の画面に垂直な軸(以下、測定ポイントP軸と呼ぶことにする)を中心とした所定の大きさの遮光穴部13(遮光穴部)を有した穴あき円板形であって、下部が四角く膨出した形状をしている。そして、遮光穴部13は、輝度計Lを傾斜させて測定したときに遮光板部11が測定の邪魔にならないような大きさに構成されている。スペーサー部12、12、12、12は、遮光板部11の前部の上下左右の縁部近傍に設けられ、平面ディスプレイ100の画面に当接して、遮光板部11を画面に対して所定の距離の位置で平行に保つよう構成されている。
【0044】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、縦置き保持部30は、前フレーム部50、後フレーム部60、上部連結部31(上部連結部)と下部連結部32(下部連結部)を有し、金属板等で構成されている。回動保持部20は前フレーム部50と後フレーム部60に前と後ろから回動可能に保持されている。前フレーム部50と後フレーム部60の上部と下部は、それぞれ上部連結部31と下部連結部32により連結され固定されている。下部連結部32は、上部プレート部230等の平らな面に載置可能に構成され、前フレーム部50と後フレーム部60は下部連結部32に対して垂直になるよう構成されている。
【0045】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、前フレーム部50は、平板の前板部51(前板)と後述するように回動保持部20を前板部51裏面に回動可能に固定するための回動固定部52、52、52を有している。前板部51は遮光板部11の外形と略同じ外形を有しており、外径から細い略所定幅内側には測定ポイントP軸を中心とした大きな前板穴部53を持つ略リング状であって、その下部が四角く膨出した形状に形成されている。前板部51裏面の前板穴部53の縁部は全周に亘って所定幅段差状に薄く形成され、後述するように回動保持部20をガイドする前板ガイド部54を構成している。
【0046】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、後フレーム部60は平板で略台形の形状の後板部61(後板)と後板部61の前面上部表面をスライドする後板スライド板部62(ローリング回動係止部)を有している。後板部61の測定ポイントP軸との交点には、回動保持部20を回動可能に保持するための後部保持穴部63が設けられている。後板スライド板部62の動き等の詳細については、別途後述により説明がされる。
【0047】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、回動保持部20は、平板のリング形状をしたローリング回動ガイド部21(リングガイド部)と、後部が四角く膨出した半円形状の面回動ガイド部22(面回動ガイド部)と、平板の円板形状のローリング回動表示部23(後部回転板)を有して、金属板等で構成されている。
【0048】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、ローリング回動ガイド部21は、前板部51裏面の前板ガイド部54の段差の中にすっぽりと収納され、回動固定部52、52、52が前板部51に固定されることにより、前板ガイド部54内を摺動するよう構成されている。また、回動固定部52、52、52はそれぞれ図示されないローラーを有し、ローリング回動ガイド部21の外径部を三方から保持している。すなわち、ローリング回動ガイド部21は、前板部51の裏面に沿って摺動しながら、測定ポイントP軸を中心として回動可能に構成されている。
【0049】
図2(A)、(B)及び図3に示すように、輝度計Lの光軸が測定ポイントPを通るように、ローリング回動ガイド部21に面回動ガイド部22が、少しオフセンターの位置に垂直に固定されている。面回動ガイド部22の後部にはローリング回動表示部23が、その中心が測定ポイントP軸を通るように、垂直に固定されている。ローリング回動表示部23の背面中心には、後部保持軸部24(後部回動支持部)が背面方向に突出して固定されており、後板部61の後部保持穴部63のより、回動可能に保持される構成となっている。
【0050】
すなわち、回動保持部20は、ローリング回動ガイド部21が前フレーム部50により、後部保持軸部24が後フレーム部60により、上下及び左右方向が位置出しされ回動可能に保持される。ここで、回動保持部20の前後関係の位置出しは、前フレーム部50が前板部51背面を摺動することによって行われ、後部保持軸部24は前後方向に少しクリアランスが設けられており、前後の位置出しには関与しない構成となっている。
【0051】
それでは、図4(A)及び(B)を用いて、面回動ガイド部22を輝度計Lが輝度計保持部40を介して、どのように面回動可能に保持されているかを説明する。図4(A)は面回動ガイド部22関連を上面方向から見た斜視図、図4(B)は下面方向から見た斜視図である。なお、図4(A)及び(B)では、輝度計Lを視野角測定装置1の右寄りに寄せた図を示している。
【0052】
図4(A)及び(B)に示すように、面回動ガイド部22は、面回動ガイド板部25と面回動ラチェット板部26と面回動ガイド板把手部27、27を有している。また、輝度計保持部40は、輝度計固定部41、輝度計固定ローラー部42、42、輝度計保持スライド板部43(面回動係止部)及び輝度計保持部把手部44、44を有している。面回動ラチェット板部26の外周縁部は、第1の所定角度である5度置きに凹凸が形成されている。
【0053】
図4(A)及び(B)に示すように、面回動ガイド板部25には測定ポイントPを中心とする円弧状の輝度計保持部ガイド穴部28が設けられ、外径下部の縁部には円弧状の面回動ラチェット板部26が固定されている。輝度計固定部41は、輝度計Lが固定されるとともに、面回動ラチェット板部26が固定された面回動ガイド板部25の上面と下面を挟むようにして、面回動ガイド板部25の上面を摺動するよう構成されている。略十字形状をした輝度計保持スライド板部43は、面回動ガイド板部25の下面を内径方向にスライド可能に図示されないバネ等の付勢手段により付勢されて保持され、外形方向先端には図示されないローラーを有している。
【0054】
図4(A)及び(B)に示すように、輝度計固定部41の輝度計固定ローラー部42、42は所定の幅分離間しており、面回動ラチェット板部26の内周縁部に当接している。また、輝度計保持スライド板部43の図示されないローラーは面回動ラチェット板部26の凹凸のある外周縁部に内周方向に付勢されて当接されている。すなわち、輝度計固定部41は、輝度計固定ローラー部42、42と輝度計保持スライド板部43の図示されないローラーにより面回動ラチェット板部26は挟持され凹凸により係止されながらガイドされる。そうすると、輝度計Lは輝度計固定部41を介して、面回動ガイド板部25の上面を摺動して、第1の所定角度毎に係止されながら、測定ポイントPを中心とした面回動を行うことになる。
【0055】
なお、面回動ガイド板把手部27、27は、回動保持部20を測定者が回動保持部20をローリング回動させるときに使用されるものである。また、輝度計保持部把手部44、44は輝度計Lを測定者が面回動させるときに使用されるものである。そして、図4(A)に示すように、面回動ガイド板部25上面には、面回動の角度を示す目盛りと文字が付されており、輝度計固定部41は図示されない面回動指示部を有していて、測定者が面回動角を読めるような構成となっている。
【0056】
それでは、図5(A)、(B)等を用いて、ローリング回動表示部23と後フレーム部60との関係について説明する。図5(A)は後フレーム部60関連を背面方向から見た分解図、図5(B)は前面方向から見た斜視図である。
図5(A)及び(B)に示すように、後部保持穴部63の上部には円弧状の穴であるローリング回動角度表示窓部64(ローリング回動角表示窓)、更にその上部には上下に長い長穴である後板スライド板摘み穴部65が形成されている。後板スライド板部62は、図示されないバネ等の付勢手段により下方方向に付勢され、後板部61の前面上部を上下にスライド可能に構成されている。
【0057】
図5(A)及び(B)に示すように、ローリング回動表示部23の外周縁部は第2の所定角度毎、ここでは22.5度毎に凹部が形成され、背面の内周側にはローリング回動の角度を示す目盛りと文字(ローリング回動角表示部)が付されている。また、後板スライド板部62の上端部には背面方向に突出する後板スライド板摘み部66が形成され、下端部にはローリング回動表示部23の凹部に嵌合可能な後板スライド板突起部67が形成されている。
【0058】
図5(A)、(B)及び図2(A)に示すように、回動保持部20をローリング回動させるとローリング回動表示部23も回動し、ローリング回動表示部23背面の目盛りと文字がローリング回動角度表示窓部64に表示される。また、後板スライド板突起部67がローリング回動表示部23の凹部に嵌合するため、回動保持部20を第2の所定角度毎に係止させながらローリング回動させることができる。なお、後板スライド板摘み部66は後板スライド板摘み穴部65から背面方向に突出されるので、視野角測定装置1の背面から、後板スライド板摘み部66を持ち上げて回動保持部20を回動させるように構成されている。これは、所定のローリング回動角度で確実に係止させた状態で、面回動させて測定を行うことができるようにするためである。
【0059】
図2(A)に示すように、測定者は視野角測定装置1の背面のローリング回動角度表示窓部64からローリング回動角を視認して確認が可能となる。また、後板スライド板摘み部66を一方の手で持ち上げて、他方の手で面回動ガイド板把手部27を持ってローリング回動させることができるので、ローリング回動角を視認しながらの効率の良い測定が可能となる。
【0060】
図6乃至図8は、視野角測定装置1の外形を意匠図的に表現したものである。すなわち、図6(A)は視野角測定装置1を前面方向から見た参考斜視図、図6(B)は正面図、図7(C)は背面図、図7(D)は上面図、図7(E)は下面図、図8(F)は左側面図、図8(G)は右側面図、図8(H)は背面報告から見た参考斜視図を示している。
【0061】
以上説明したように、本発明の視野角測定装置1は、平面ディスプレイ100の画面を、スペーサー部12、12、12、12で直接当接することにより、遮光板部11を所定距離で平行な位置に配置させるようにしている。そして、遮光板部11の背面側を広い面積のリングであるローリング回動ガイド部21を摺動させているので、ローリング回動ガイド部21も平面ディスプレイ100の平行な位置に精度よく保持される。ローリング回動ガイド部21に、輝度計Lを面回動可能に保持する面回動ガイド部22が固定されているので、輝度計Lは平面ディスプレイ100の画面を基準とした位置に一体となって、精度よく保持されることになる。すなわち、コンパクトな構造で、精度よく測定することが可能な視野角測定装置1を構成することが可能となった。
【0062】
このようにして、平面ディスプレイ100の測定ポイントPに対して、測定者は視野角測定装置1を用いることにより、輝度計Lを所定のローリング回動角や面回動角において、容易に測定することができる。特に、輝度計Lをローリング回動させたり面回動させたりするときに、所定角度毎に係止するよう構成したので、測定者は手動での測定であっても、極めて効率よく測定を行うことが可能となる。すなわち、視野角測定装置1に面回動係止部やローリング回動角係止部がない場合を考えると、ある角度で測定するときは、測定者は目盛りと文字を見ながらその角度に合わせて回動を固定し、それから測定をする必要が生じる。しかも、これを所定角度毎に繰り返すことになり、大きな手間と時間がかかってしまうことになる。
ここで、測定ポイントPとは輝度計Lの測定対象エリアの中心のポイントを指すものとする。
【0063】
本発明の視野角測定装置1は、コンパクトな構造でありながら、精度よく測定することが可能なものであり、この視野角測定装置1を用いることにより、平面ディスプレイの視野角を改良する開発に、多大な貢献をなすものであると考えられる。
特に従来は、測定装置を設置してある場所に平面ディスプレイを持ち込んで測定する必要があったと考えられるが、視野角測定装置1の場合はコンパクトであり、平面ディスプレイのある場所に手軽に持ち運んで、測定をすることが可能となる。
【0064】
ここで、例えば床面に凹凸があれば、平面ディスプレイ100に対して視野角測定装置1を一体に保持することが妨げられるが、実際の室内においては、実用的に十分測定できることが確認されている。なお、必要に応じ、置台200の保持脚部210と床面との間にスペーサーを入れたり、保持脚部210に高さ調節機構を設けたり、または首振り機構のようなものを設けたりしてもよいことは、勿論である。
【0065】
なお、本実施形態では、ローリング回動表示部23の背面中心の後部保持軸部24を後部回動支持部として、後板部61の後部保持穴部63により、回動可能に保持される構成としたが、これに限定されない。例えば、ローリング回動表示部23の背面中心に軸ではなく穴を設け、これを後板部61に設けた軸により回動可能に保持される構成してもよいことは、勿論である。
【0066】
またなお、ローリング回動をするときの係止構造として、後板スライド板突起部67がローリング回動表示部23の凹部に嵌合するようにしている。そして、後板スライド板摘み部66を持ち上げることにより、回動保持部20を回動させることができるように構成しているが、これに限定されない。面回動するときの係止構造と同様に、単なるクリック感を与えるような構成にしてもよいことは、勿論である。ここで、ローリング回動時に強く係止させるようにしたことにより、前述したように、所定のローリング角度でしっかりと係止させ、その角度で輝度計Lを面回動させて測定を行うことができるという効果を有している。
【0067】
またなお、輝度計を面回動またはローリング回動させたとき、第1の所定の角度として5度毎、第2の所定の角度として22.5度毎に係止されるとしたが、これに限定されない。2.5度毎にしたり、10度毎や30度毎にしたりしてもよいことは、勿論である。また、凹部の深さ等を変えて、大きな角度、例えば90度毎に強いクリック感を得られるようにしてもよいことは、勿論である。
【0068】
またなお、本実施形態の視野角測定装置1は、手動で動かして測定を行うように構成されているが、これに限定されず、ギヤードモーターや角度センサー、位置センサー等を加えて、ローリング回動や面回動を電動で行うように構成してもよいことは、勿論である。また、置台200も電動化して、上下伸縮させたり、床面を自走させたりするよう構成して、平面ディスプレイ100の画面の所定位置を自動で測定できるようにしてもよいことは、勿論である。
【0069】
またなお、本実施形態の光学測定器として輝度計Lを用いて輝度を測定する場合について説明したが、色度計を用いて色度を測定したり、いろいろな光学測定をしたりする場合に、視野角測定装置1を用いてもよいことは勿論である。またこの場合、使用する光学測定器に合わせて測定距離を変えたりして、輝度計保持部40や回動保持部20の構成を変えてもよいことは、勿論である。
【0070】
またなお、平面ディスプレイ100には、一般にVESA(登録商標)(Video Electronics Standards Association)規格により、背面の所定の位置に複数のネジ穴が設けられている。そして、このネジ穴を用いることにより、平面ディスプレイ100を床面に対して垂直に保持するよう構成することは簡単に可能となる。更に、平面ディスプレイ100の画面の大きさが巨大になっていった場合でも、同様にすれば床面に対して垂直に保持することはできるので、置台200を大きくするだけで、本発明の視野角測定装置1により測定することが可能となる。
【0071】
(第2の実施形態)
図9乃至図12を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態では、視野角測定装置1は第1の実施形態と同様な構成を有しているが、第1の実施形態では視野角測定装置1を縦置きの状態で測定するようにしたのに対し、視野角測定装置1を下向きにした横置きの状態で測定するよう構成したものである。以下、第1の実施形態と同じ部分は同一符号を付し、説明を省略し、異なっている部分のみを説明する
なお、本実施形態においても、光学測定器として輝度計Lを用いて輝度を測定する場合について説明する。
【0072】
図9は第2の実施形態における視野角測定装置1の使用例を示す斜視図、図10は視野角測定装置1の構成を示す斜視図、図11は視野角測定装置1の部分の構成を示す斜視図、図12は視野角測定装置1の別の部分の構成を示す斜視図である。
【0073】
図9に示すように、第2の実施形態では、平面ディスプレイ100を上方に向けて平らに設置し、視野角測定装置1をスペーサー部12、12(スペーサー部)が下向きになるようにした横置きの状態で平面ディスプレイ100の画面上に載置して、輝度が測定される。遮光板部11(遮光部)の左右両端部には上方に突出した視野角測定装置把手部14、14が設けられている。これは、視野角測定装置把手部14、14を両手で掴んで視野角測定装置1を載置できるようにしたものである。また、スペーサー部12は第1の実施形態と比べて広い面積となっている。これは、広いスペーサー部12、12で重さを分散させて、平面ディスプレイ100の画面の一部に強い力が加わることのないようしたものである。
【0074】
それでは、図10乃至図12を用いて、視野角測定装置1の詳細について説明する。
図10に示すように、視野角測定装置1は遮光部10と回動保持部20(回動保持部)と輝度計保持部40を有しており、第1の実施形態のように縦置き保持部30を有していない。横置きなので、視野角測定装置1を縦置きに保持する縦置き保持部30が不要であるからである。また、重力により、視野角測定装置1を平面ディスプレイ100の画面に、回動保持部20を遮光部10に、それぞれより強く密着させることが可能となる。
【0075】
図10に示すように、遮光部10は遮光板部11、スペーサー部12、12と視野角測定装置把手部14、14の他に、遮光穴部13(遮光穴部)、回動固定部15、15、15、ローリング回動スライド板部16(ローリング回動係止部)及びローリング回動角指示板部17を有している。遮光板部11は、艶消し塗装されたアルミ等の軽い金属の一枚板から構成される。また、スペーサー部12、12は矩形形状をしたゴムやエラストマ、または発泡ゴム等の柔軟な素材からなり、平面ディスプレイ100上に載置したとき、画面に傷を付けず、また視野角測定装置1が測定中簡単に画面上をずれないように構成されている。
【0076】
図10に示すように、回動保持部20は金属板等からなり、所定幅の平板のリング形状をしたローリング回動ガイド部21(リングガイド部)と、ローリング回動ガイド部21に両端を固定された面回動ガイド部22(面回動ガイド部)を有している。ローリング回動ガイド部21は、外径部が円形をして、内径部に凹凸を有している。ローリング回動ガイド部21は、遮光板部11上面に載置されて、回動固定部15、15、15が遮光板部11に固定されることにより、遮光板部11上面を摺動するよう構成されている。また、回動固定部15、15、15はそれぞれ図示されないローラーを有し、ローリング回動ガイド部21の外径部を三方から保持している。すなわち、ローリング回動ガイド部21は、遮光板部11上面を摺動しながら、測定ポイントP軸を中心として回動可能に構成されている。
【0077】
図10に示すように、面回動ガイド部22は、半円形のアーチ形状をなし、外周側が開いた略コの字形状の断面をしており、外周部端部には凹凸が形成されている。面回動ガイド部22は輝度計保持部40を回動可能に保持し、輝度計Lを面回動させる働きをするが、その詳細は後述する。
【0078】
図11は、本実施形態のローリング回動係止構造を示すものである。
図11に示すように、ローリング回動ガイド部21は内周側に第2の所定角度、ここでは5度毎に凹部を有し、この凹部に合わせて、上面にはローリング回動の角度を示す目盛りと文字が付されている。また、遮光板部11上面にはローリング回動の角度を読むためのローリング回動角指示板部17が固定され、ローリング回動スライド板部16が外周方向にスライド可能に設けられている。ローリング回動スライド板部16は外周方向先端にはローラーを有し、図示されないバネ等の付勢手段により、外周方向に付勢されている。そして、ローリング回動スライド板部16のローラーとローリング回動ガイド部21の凹部が係合することにより、ローリング回動させるときに、第2の所定角度毎に係止されるよう構成されている。
【0079】
図12は、本実施形態の面回動係止構造を示すものである。
図12に示すように、輝度計保持部40は、輝度計固定部41、輝度計固定ローラー部42、42、輝度計保持スライド板部43、43(面回動係止部)と輝度計保持スライド板ローラー部45を有している。また、背面側の輝度計保持スライド板部43には面回動角度表示窓部46が形成されている。輝度計固定部41は角筒状となっており、輝度計Lが角筒状の内側の部分にすっぽりと収納され、固定される構成となっている。輝度計固定部41上部は左右方向にアーム状に突出しており、輝度計固定ローラー部42、42を回転可能に保持する構成となっている。また、輝度計固定部41の前後の面には法線方向にスライド可能で内径方向にバネ等の付勢手段で付勢されたローリング回動スライド板部43、43が設けられ、外形方向の先端部には輝度計保持スライド板ローラー部45が回転可能に保持されている。
【0080】
図12に示すように、輝度計固定部41の輝度計固定ローラー部42、42は鍔付きのローラーであり、所定の幅分左右に離間しており、面回動ガイド部22の内周面に当接している。また、輝度計保持スライド板部43、43に保持された輝度計保持スライド板ローラー部45は面回動ガイド部22の凹凸のある外周縁部に内周方向に付勢されて当接されている。すなわち、輝度計固定部41は、輝度計固定ローラー部42、42と輝度計保持スライド板ローラー部45により面回動ガイド部22は挟持され、面回動ガイド部22の外周部の凹凸により係止されながらガイドされる。そうすると、輝度計Lは輝度計固定部41を介して、面回動ガイド部22を移動して、第1の所定角度である5度毎に係止されながら、測定ポイントPを中心とした面回動を行うことになる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の視野角測定装置1は、平面ディスプレイ100を上方に向けて平らに設置し、その上に直接載置するよう構成したので、重力により密接して、遮光板部11は所定距離で平行な位置に配置される。そして、遮光板部11の上面側を広い面積のリングであるローリング回動ガイド部21を摺動させているので、ローリング回動ガイド部21も平面ディスプレイ100の平行な位置に精度よく保持される。ローリング回動ガイド部21に、輝度計Lを面回動可能に保持する面回動ガイド部22が固定されているので、輝度計Lは平面ディスプレイ100の画面を基準とした位置に一体となって、精度よく保持されることになる。すなわち、コンパクトな構造で、精度よく測定することが可能な視野角測定装置1を構成することが可能となった。また、視野角測定装置1を横置きにしたので、第1の実施形態に用いた縦置き保持部30が不要となり、更にコンパクトで簡単な構造にすることができた。
【0082】
このようにして、平面ディスプレイ100の測定ポイントPに対して、測定者は視野角測定装置1を用いることにより、輝度計Lを所定のローリング回動角や面回動角において、容易に測定することができる。特に、輝度計をローリング回動させたり面回動させたりするときに、所定角度毎に係止されるよう構成したので、測定者は手動での測定であっても、極めて効率よく測定を行うことが可能となる。
【0083】
本実施形態の視野角測定装置1は、コンパクトな構造でありながら、精度よく測定することが可能なものであり、この視野角測定装置1を用いることにより、平面ディスプレイの視野角を改良する開発に、多大な貢献をなすものであると考えられる。
特に従来は、測定装置を設置してある場所に平面ディスプレイを持ち込んで測定する必要があったと考えられるが、本実施形態の視野角測定装置1の場合は更にコンパクトであり、平面ディスプレイのある場所に手軽に持ち運んで、測定をすることが可能となる。
【0084】
なお、視野角測定装置1は、遮光板部11とスペーサー部12、12を別体で構成しているが、これに限定されず一体に構成するようにしてもよい。例えば、遮光穴部13を中央部に設けた厚い一枚の樹脂板を用いて、これを遮光部10として、樹脂板の下面をそのまま平面ディスプレイ100に載置するように構成してもよい。
【0085】
またなお、本実施形態の視野角測定装置1は横置きの状態で使用されると説明したが、これに限定されない。例えば、視野角測定装置把手部14、14をL字形の構造体等のフレームの置台に固定すれば、第1の実施形態と同様、縦置き用として使用してもよいことは、勿論である。また、平面ディスプレイ100の載置角度に合わせて、斜め置き等の状態で使用できるように構成してもよいことは、勿論である。
【0086】
またなお、第1の実施形態では、面回動ガイド板把手部27、27や輝度計保持部把手部44、44を用いて、ローリング回動や面回動を行うようにしていたが、第2の実施形態では把手等は用いられていない。第2の実施形態においても、適宜、このような把手等を付けて、ローリング回動や面回動を行うようにしてもよいことは、勿論である。
【0087】
またなお、本実施形態の視野角測定装置1は、手動で動かして測定を行うように構成されているが、これに限定されず、ギヤードモーターや角度センサー、位置センサー等を加えて、ローリング回動や面回動を電動で行うように構成してもよいことは、勿論である。また、視野角測定装置1に更に電動車輪等を加えて、平面ディスプレイ100の画面の所定の位置について、自動で自走して移動し自動測定を行うように構成してもよいことは、勿論である。このような自動測定により、巨大な平面ディスプレイにも対応が可能となる。
【0088】
またなお、本実施形態の光学測定器として輝度計Lを用いて輝度を測定する場合について説明したが、第1の実施形態と同様、色度計を用いて色度を測定したり、いろいろな光学測定をしたりする場合に、視野角測定装置1を用いてもよいことは勿論である。またこの場合、使用する光学測定器に合わせて測定距離を変えたりして、輝度計保持部40や回動保持部20の構成を変えてもよいことは、勿論である。
【0089】
本発明の視野角測定装置は、前述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施の形態においては、輝度測定される平面ディスプレイは、スペーサー部が当接できるくらいの大きな画面のものとして説明したが、これに限定されない。小さな画面の平面ディスプレイの場合には、平板にこの平面ディスプレイがすっぽり入るような穴をあけて、平面ディスプレイを平板の面と同一面に固定し、この平板にスペーサー部を当接すれば、測定が可能となる。勿論、視野角測定装置に治具を取り付け、小さな画面の平面ディスプレイを治具に固定して、測定をするように構成してもよい。
【符号の説明】
【0090】
L 輝度計
P 測定ポイント
1 視野角測定装置
10 遮光部
11 遮光板部
12 スペーサー部
13 遮光穴部
14 視野角測定装置把手部
15 回動固定部
16 ローリング回動スライド板部
17 ローリング回動角指示板部
20 回動保持部
21 ローリング回動ガイド部
22 面回動ガイド部
23 ローリング回動表示部
24 後部保持軸部
25 面回動ガイド板部
26 面回動ラチェット板部
27 面回動ガイド板把手部
28 輝度計保持部ガイド穴部
30 縦置き保持部
31 上部連結部
32 下部連結部
40 輝度計保持部
41 輝度計固定部
42 輝度計固定ローラー部
43 輝度計保持スライド板部
44 輝度計保持部把手部
45 輝度計保持スライド板ローラー部
46 面回動角度表示窓部
50 前フレーム部
51 前板部
52 回動固定部
53 前板穴部
54 前板ガイド部
60 後フレーム部
61 後板部
62 後板スライド板部
63 後部保持穴部
64 ローリング回動角度表示窓部
65 後板スライド板摘み穴部
66 後板スライド板摘み部
67 後板スライド板突起部
100 平面ディスプレイ
200 置台
210 保持脚部
220 上下伸縮部
230 上部プレート部
240 固定金具部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12