(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039633
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】親水化処理方法及び燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 4/86 20060101AFI20230314BHJP
H01M 8/1004 20160101ALI20230314BHJP
H01M 8/1233 20160101ALI20230314BHJP
H01M 8/0444 20160101ALI20230314BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20230314BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20230314BHJP
【FI】
H01M4/86 H
H01M8/1004
H01M8/1233
H01M8/0444
H01M8/04746
H01M8/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146853
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(71)【出願人】
【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻口 拓也
(72)【発明者】
【氏名】古橋 資丈
(72)【発明者】
【氏名】中井 基生
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 利幸
(72)【発明者】
【氏名】久保 厚
(72)【発明者】
【氏名】武田 恭英
(72)【発明者】
【氏名】武井 智行
(72)【発明者】
【氏名】河内 達磨
(72)【発明者】
【氏名】仲曽根 歩
(72)【発明者】
【氏名】中根 淳志
(72)【発明者】
【氏名】林 裕二
【テーマコード(参考)】
5H018
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H018BB16
5H018HH05
5H018HH10
5H126BB06
5H127AC05
5H127BA01
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DB82
5H127DC02
(57)【要約】
【課題】簡便な方法によりアノード拡散層の表面及び内部の親水性を向上させることができるアノード拡散層の親水化処理方法及びこの方法を実施できるように構成された燃料電池システムを提供する。
【解決手段】親水化処理方法は、電解質膜111と、電解質膜111上に設けられたアノード112及びカソード113と、アノード112上に設けられたアノード拡散層114と、を備えた膜電極接合体11を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池1における、アノード拡散層114に適用される。アノード拡散層114に濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を接触させることにより、アノード拡散層114におけるギ酸に接触した領域の親水性を高めることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜と、前記電解質膜上に設けられたアノード及びカソードと、前記アノード上に設けられたアノード拡散層と、を備えた膜電極接合体を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池における、前記アノード拡散層の親水化処理方法であって、
前記アノード拡散層に濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を接触させることにより、前記アノード拡散層における前記ギ酸に接触した領域の親水性を高める、アノード拡散層の親水化処理方法。
【請求項2】
前記アノード拡散層と前記ギ酸との接触時間が10秒以上4時間以下である、請求項1に記載のアノード拡散層の親水化処理方法。
【請求項3】
電解質膜と、前記電解質膜上に設けられたアノード及びカソードと、前記アノード上に設けられたアノード拡散層と、を備えた膜電極接合体を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池と、
濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を前記燃料電池に供給可能に構成されたギ酸タンクと、を備え、
前記ギ酸タンク内のギ酸を前記アノード拡散層に供給することにより請求項1または2に記載のアノード拡散層の親水化処理方法を実施することができるように構成された燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池システムは、前記ギ酸タンク内のギ酸を前記燃料電池に直接供給することができるように構成されている、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池システムは、さらに、
前記ギ酸タンク内のギ酸の濃度を測定可能に構成された濃度計と、
前記ギ酸タンクから前記燃料電池に至るギ酸の経路上に配置され、前記燃料電池へギ酸を送出可能に構成されたギ酸ポンプと、
前記濃度計及び前記ギ酸ポンプに接続された制御装置と、を有しており、
前記制御装置は、前記濃度計から取得したギ酸の濃度に基づいて前記ギ酸ポンプから前記燃料電池への前記ギ酸の送出量を設定することができるように構成されている、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池に燃料としてのギ酸を供給可能に構成された燃料タンクを有しており、前記ギ酸タンクは前記燃料電池及び前記燃料タンクにギ酸を供給可能に構成されている、請求項4または5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池システムは、さらに、前記燃料電池に燃料としてのギ酸を供給可能に構成された燃料タンクを有しており、前記燃料タンクを介して前記ギ酸タンク内のギ酸を前記燃料電池に供給可能に構成されている、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池システムは、さらに、
ギ酸の経路上における前記ギ酸タンクと前記燃料タンクとの間に配置され、前記ギ酸タンク内のギ酸を前記燃料タンクへ送出可能に構成されたギ酸ポンプと、
前記燃料タンク内のギ酸の濃度を測定可能に構成された濃度計と、
ギ酸の経路上における前記燃料タンクと前記燃料電池との間に配置され、前記燃料タンク内のギ酸を前記燃料電池へ送出可能に構成された燃料ポンプと、
前記濃度計、前記ギ酸ポンプ及び前記燃料ポンプに接続された制御装置と、を有しており、
前記制御装置は、前記濃度計から取得したギ酸の濃度に基づいて前記ギ酸ポンプから前記燃料タンクへの前記ギ酸の送出量及び前記燃料タンクから前記燃料電池への前記ギ酸の送出量を設定することができるように構成されている、請求項7に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水化処理方法及び燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池等の燃料電池は、電解質膜と、電解質膜の一方の面上に設けられたアノードと、電解質膜の他方の面上に設けられたカソードと、を含む膜電極接合体(いわゆるMEA)を有している。燃料電池は、MEAのアノードに燃料を供給するとともに、カソードに酸化剤を供給することにより、各電極において電極反応を生じさせることができる。そして、これらの電極反応の結果、アノードとカソードとの間に起電力を生じさせ、発電を行うことができる。
【0003】
MEAにおけるアノードは、細孔や隙間を有する材料からなるアノード拡散層により覆われていることがある。アノード拡散層としては、例えば、紫外線やプラズマを照射することにより親水性を高めたカーボンクロスやカーボンペーパー等が用いられている。また、特許文献1には、ガス拡散層を、水に浸漬する浸漬工程、および、膜・電極接合体に接触するように、ガス拡散層を積層する積層工程を備えることを特徴とする、直接メタノール形燃料電池の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、燃料電池のエネルギー密度を向上させる観点から、アノードに供給する燃料としてギ酸を用いる直接ギ酸形燃料電池が注目されている。直接ギ酸形燃料電池の燃料であるギ酸は、直接メタノール形燃料電池の燃料であるメタノールに比べてアノード拡散層との親和性が低いため、直接ギ酸形燃料電池に用いられるアノード拡散層は、直接メタノール形燃料電池に用いられるアノード拡散層よりもさらに親水性を高くする必要がある。それ故、特許文献1に記載された直接メタノール形燃料電池の製造方法を、そのまま直接ギ酸形燃料電池の製造方法に適用することは難しい。
【0006】
また、紫外線やプラズマ等を用いてアノード拡散層に親水化処理を施す場合、紫外線等がアノード拡散層の内部まで到達しにくいため、アノード拡散層における細孔や隙間の内部における親水性を向上させることが難しい。一方、紫外線等をアノード拡散層の内部まで到達させるために紫外線などの照射強度を高くすると、アノード拡散層の劣化を招くおそれがある。さらに、紫外線やプラズマなどをアノード拡散層に照射する処理を行うに当たっては、専用の設備を用いて親水化処理を行う必要があり、燃料電池の製造工程が煩雑になりやすいという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、アノード拡散層の劣化を抑制しつつ、アノード拡散層の表面及び内部の親水性を向上させることができるアノード拡散層の親水化処理方法及びこの方法を実施できるように構成された燃料電池システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電解質膜と、前記電解質膜上に設けられたアノード及びカソードと、前記アノード上に設けられたアノード拡散層と、を備えた膜電極接合体を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池における、前記アノード拡散層の親水化処理方法であって、
前記アノード拡散層に濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を接触させることにより、前記アノード拡散層における前記ギ酸に接触した領域の親水性を高める、アノード拡散層の親水化処理方法にある。
【0009】
本発明の他の態様は、電解質膜と、前記電解質膜上に設けられたアノード及びカソードと、前記アノード上に設けられたアノード拡散層と、を備えた膜電極接合体を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池と、
濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を前記燃料電池に供給可能に構成されたギ酸タンクと、を備え、
前記ギ酸タンク内のギ酸を前記アノード拡散層に供給することにより前記の態様のアノード拡散層の親水化処理方法を実施することができるように構成された燃料電池システムにある。
【発明の効果】
【0010】
前記アノード拡散層の親水化処理方法においては、濃度が前記特定の範囲であるギ酸をアノード拡散層に接触させる。ギ酸は液体であるため、アノード拡散層における細孔や隙間等の内部まで容易に浸透することができる。また、アノード拡散層に濃度が前記特定の範囲であるギ酸を接触させることにより、アノード拡散層の劣化を抑制しつつアノード拡散層の表面及び内部を改質することができる。
【0011】
また、前記の態様の燃料電池システムは、前記燃料電池と、前記燃料電池に前記ギ酸を供給可能に構成されたギ酸タンクと、を有している。それ故、ギ酸タンクから燃料電池に濃度が前記特定の範囲であるギ酸を供給することにより、アノード拡散層を容易に親水化することができる。
【0012】
以上のように、前記の態様によれば、アノード拡散層の劣化を抑制しつつアノード拡散層の表面及び内部の親水性を向上させることができるアノード拡散層の親水化処理方法及びこの方法を実施できるように構成された燃料電池システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1における燃料電池の要部を示す一部断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態1における、親水化処理後のアノード拡散層の水分保持量を示す説明図である。
【
図3】
図3は、実施形態1における、親水化処理後のアノード拡散層を用いた燃料電池の出力密度-電流密度特性を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態2における燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態3における、ギ酸タンクと燃料タンクとを備えた燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態4における、ギ酸タンク、燃料タンク及び水タンクを備えた燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態5における、ギ酸タンクが燃料タンクを介して燃料電池に接続された燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態6における、ギ酸タンク、燃料タンク及び水タンクを備えた燃料電池システムの全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
前記アノード拡散層の親水化処理に係る実施形態について、
図1~
図3を参照して説明する。本実施形態におけるアノード拡散層の親水化処理方法は、
図1に示すような、電解質膜111と、電解質膜111上に設けられたアノード112及びカソード113と、アノード112上に設けられたアノード拡散層114と、を備えた膜電極接合体11(以下、膜電極接合体を「MEA」という。)を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池1におけるアノード拡散層114に適用することができる。アノード拡散層114の親水化処理方法においては、アノード拡散層114に濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を接触させる。これにより、アノード拡散層114におけるギ酸に接触した領域の親水性を高めることができる。
【0015】
前記親水化処理方法において親水化処理が施されるアノード拡散層114としては、直接ギ酸形燃料電池に適用可能なアノード拡散層114を用いることができる。より具体的には、アノード拡散層114としては、例えば、導電性炭素繊維と炭素との複合材料であるカーボンペーパーや導電性炭素繊維からなるカーボンクロス等の、細孔や隙間を有する導電性炭素材料を用いることができる。
【0016】
前記親水化処理方法に用いられるギ酸の濃度は20質量%以上98質量%以下である。アノード拡散層114に濃度20質量%以上のギ酸を接触させることにより、アノード拡散層114の表面及び内部を速やかに改質し、親水化処理に要する時間を短縮することができる。親水化処理に要する時間をより短縮する観点からは、ギ酸の濃度は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。親水化処理方法に用いられるギ酸の濃度が20質量%未満の場合には、アノード拡散層の親水化処理に要する時間が長くなるおそれがある。
【0017】
一方、アノード拡散層114に接触されるギ酸の濃度が過度に高くなると、アノード拡散層114がギ酸によって過度に酸化されやすくなり、アノード拡散層114の劣化を招くおそれがある。アノード拡散層114に接触させるギ酸の濃度を98質量%以下とすることにより、かかる問題を容易に回避することができる。同様の観点から、アノード拡散層114に接触させるギ酸の濃度は90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。また、濃度が90質量%以下であるギ酸は、より濃度の高いギ酸に比べて取扱性に優れている。そのため、前記親水化処理方法に濃度90%以下のギ酸を用いることにより、前記親水化処理方法をより簡便に実施することができる。
【0018】
前記親水化処理方法において、アノード拡散層114とギ酸との接触時間は10秒以上4時間以下であることが好ましい。アノード拡散層114とギ酸との接触時間を前記特定の範囲とすることにより、アノード拡散層114の親水性を高めつつ、アノード拡散層114の劣化を容易に回避することができる。アノード拡散層114の親水性をより高め、直接ギ酸形燃料電池の性能を簡便かつ短時間に発揮させるという観点からは、アノード拡散層114とギ酸との接触時間は1分以上2時間以下であることがより好ましく、1分以上1時間以下であることがさらに好ましく、1分以上30分以下であることが特に好ましい。
【0019】
本実施形態におけるアノード拡散層114の親水化処理方法は、燃料電池1に組み込まれる前のアノード拡散層114及び燃料電池1に組み込まれた後のアノード拡散層114のいずれに対しても適用することができる。すなわち、アノード拡散層114の親水化処理方法は、燃料電池1の組立工程の一環として、燃料電池1に組み込まれる前のアノード拡散層114に対して適用することができる。また、アノード拡散層114の親水化処理方法は、例えば燃料電池1の運転を開始する前に行うコンディショニングの一環として、燃料電池1に組み込まれたアノード拡散層114に対して適用することもできる。
【0020】
また、例えば、親水化されたアノード拡散層114を有する燃料電池1を長期間運転せずに保管した場合等に、何らかの理由でアノード拡散層114の親水性が低下することが考えられる。このような場合においても、前記親水化処理方法によれば、燃料電池1に濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を供給することにより、燃料電池1の設置場所においてアノード拡散層114に親水化処理を施すことができる。
【0021】
燃料電池1の製造過程における工程数の増加を抑制し、燃料電池1の生産性を向上させる観点からは、燃料電池1に組み込まれた後のアノード拡散層114に対して前記アノード拡散層114の親水化処理方法を施すことが好ましい。
【0022】
次に、アノード拡散層114が組み込まれる燃料電池1について説明する。燃料電池1は、燃料としてギ酸を使用する直接ギ酸形燃料電池として構成されていればよい。直接ギ酸形燃料電池は、アノード112に燃料としてのギ酸を供給するとともに、カソード113に酸化剤を供給することにより発電することができる。なお、アノード112に供給される燃料としてのギ酸の濃度は、通常、前記親水化処理方法に用いられるギ酸の濃度よりも低い。燃料として用いられるギ酸の濃度は、例えば5質量%以上50質量%未満である。また、燃料電池1に供給される酸化剤としては、例えば空気や酸素ガス等を使用することができる。
【0023】
燃料電池1は、その構成単位となる単セル14を1個以上有している。燃料電池1が複数の単セル14を有している場合、これらの単セル14は、互いに積層されることによりセルスタックを構成していてもよい。また、燃料電池1が複数の単セル14を有している場合、各単セル14は、他の単セル14と電気的に直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。
【0024】
燃料電池1の単セル14は、例えば
図1に示すように、MEA11、アノード側セパレータ12及びカソード側セパレータ13を有している。MEA11は、電解質膜111と、電解質膜111の一方の面上に設けられたアノード112と、電解質膜111の他方の面上に設けられたカソード113と、アノード112上に設けられたアノード拡散層114と、を有している。電解質膜111は、電気絶縁性を有し、水素イオン(H
+)等のカチオンを選択的に透過可能に構成されたカチオン交換樹脂からなる。カチオン交換樹脂としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸系ポリマー(例えば、デュポン社製「ナフィオン(登録商標)」)等を使用することができる。
【0025】
アノード112及びカソード113は、電解質膜111の中央部に配置されており、電解質膜111上に層状に形成されている。アノード112及びカソード113は、電極反応を触媒可能に構成されている。例えば、アノード112及びカソード113には、パラジウム(Pd)や白金(Pt)などの貴金属触媒を担持した触媒担持カーボンが含まれていてもよい。また、アノード112及びカソード113には、触媒担持カーボンを保持可能に構成されたバインダが含まれていてもよい。
【0026】
MEA11におけるアノード112上には、アノード拡散層114が設けられている。アノード拡散層114は、電気伝導性を有するとともに、微小な空隙を有している。アノード拡散層114として電気伝導性を有する材料を用いることにより、アノード112とアノード側セパレータ12とを電気的に接続し、MEA11で発電した電力を外部に取り出すことができる。また、アノード拡散層114に微小な空隙を設けることにより、単セル14内に供給された燃料をアノード拡散層114内において拡散させつつアノード112に導くことができる。その結果、燃料をアノード112とより効率よく接触させ、発電効率を向上させることができる。
【0027】
MEA11は、さらに、カソード113上に配置されたカソード拡散層115を有していてもよい。カソード拡散層115としては、例えば、導電性炭素繊維と炭素との複合材料であるカーボンペーパーや導電性炭素繊維からなるカーボンクロス等の、細孔や隙間を有する導電性炭素材料を用いることができる。カソード拡散層115として電気伝導性を有する材料を用いることにより、カソード113とカソード側セパレータ13とを電気的に接続し、MEA11で発電した電力を外部に取り出すことができる。また、カソード拡散層115に微小な空隙を設けることにより、単セル14内に供給された酸化剤をカソード拡散層115内において拡散させつつカソード113に導くことができる。その結果、酸化剤をカソード113とより効率よく接触させ、発電効率を向上させることができる。
【0028】
アノード側セパレータ12は、MEA11におけるアノード112を有する側の面上に設けられている。アノード側セパレータ12は、金メッキが施されたステンレス鋼等の金属材料や、導電性カーボンなどの導電性非金属材料、導電性複合材料等の電気伝導体から構成されていてもよい。電気伝導性を有するアノード側セパレータ12は、MEA11での電極反応によって生じた電子を集める集電体として機能し、MEA11で発電した電力を外部へ導くことができる。
【0029】
アノード側セパレータ12における、アノード拡散層114と当接する電極当接面121には、アノード112に燃料を供給可能に構成された燃料流路122が設けられている。燃料流路122の形状や配置などは、種々の態様を採り得る。例えば、燃料流路122は、矩形状、三角形状及び半円状などの断面形状を有し、アノード側セパレータ12に設けられた溝であってもよい。また、燃料流路122は、例えば、互いに平行に並んだ複数の直線部と、各直線部の端部と当該直線部に隣接する直線部の端部とを接続する折り返し部とを有しており、当接面側から見た平面視において、蛇行するように配置されていてもよいが、これ以外の配置も取り得る。
【0030】
MEA11におけるカソード113を有する側の面上には、カソード側セパレータ13が設けられている。カソード側セパレータ13は、アノード側セパレータ12と同様に、金メッキが施されたステンレス鋼等の金属材料や、導電性カーボンなどの導電性非金属材料、導電性複合材料等の電気伝導体から構成されていてもよい。電気伝導性を有するカソード側セパレータ13は、MEA11での電極反応によって生じた電子を集める集電体として機能し、MEA11で発電した電力を外部へ導くことができる。
【0031】
カソード側セパレータ13における、カソード拡散層115と当接する電極当接面131には酸化剤流路132が設けられている。酸化剤流路132の形状や配置などは、燃料流路122と同様に種々の態様を採り得る。例えば、酸化剤流路132は、矩形状、三角形状及び半円状などの断面形状を有し、アノード側セパレータ12に設けられた溝であってもよい。また、酸化剤流路132は、例えば、互いに平行に並んだ複数の直線部と、各直線部の端部と当該直線部に隣接する直線部の端部とを接続する折り返し部とを有しており、当接面側から見た平面視において、蛇行するように配置されていてもよいが、これ以外の配置も取り得る。
【0032】
単セル14におけるMEA11の電解質膜111とアノード側セパレータ12との間、及び、電解質膜111とカソード側セパレータ13との間にはシール材15が設けられていてもよい。このようにシール材15を設けることにより、MEA11とアノード側セパレータ12との隙間及びMEA11とカソード側セパレータ13との隙間を封止し、これらの隙間からの燃料及び酸化剤の漏出を抑制することができる。
【0033】
本実施形態におけるアノード拡散層114の親水化処理方法においては、濃度が前記特定の範囲であるギ酸をアノード拡散層114に接触させる。ギ酸は液体であるため、アノード拡散層114における細孔や隙間等の内部まで容易に浸透することができる。それ故、アノード拡散層114とギ酸とを接触させるという簡便な方法により、アノード拡散層114の表面及び内部を親水化することができる。
【0034】
以下に前記親水化処理方法の具体的な例を説明するとともに、親水化処理を施したアノード拡散層114の水分保持量及びアノード拡散層114を組み込んだ燃料電池1の出力密度-電流密度特性の例を説明する。
【0035】
・アノード拡散層114の水分保持量
アノード拡散層114として用いられるカーボンクロス(厚み0.38mm、嵩密度1.75g/cm3)を十分に乾燥させた後、カーボンクロスを切り抜いて直径25mmの円形を有する試験片を準備する。この試験片を、濃度20質量%(5mol/L)のギ酸、濃度40質量%(10mol/L)または濃度60質量%(15mol/L)のギ酸のいずれかに浸漬する。そして、浸漬開始から所定の時間が経過した時点で試験片をギ酸から取り出す。蒸留水を用いて試験片を3回水洗してギ酸を除去し、試験片に蒸留水を十分に含ませる。
【0036】
以上により得られる、蒸留水を含ませた後の試験片の質量と、乾燥状態の試験片の質量との差を、試験片に保持された水分の量とする。
図2に、浸漬開始からの時間を種々変化させた場合の各試験片の水分保持量の変動を示す。なお、
図2の縦軸は試験片の水分保持量(単位:g)であり、横軸は親水化処理の処理時間(単位:分)、つまり、試験片とギ酸との接触時間である。また、
図2に示すデータ点は、同一の条件で親水化処理を行った
3個の試験片の水分保持量の平均値であり、エラーバーはこれらの試験片における水分保持量の最大値及び最小値を示す。
【0037】
・出力密度-電流密度特性
出力密度-電流密度特性の測定には、燃料電池評価装置(北斗電工株式会社製電気化学計測システム「HZ-7000」)が用いられる。まず、MEA11におけるアノード112及びカソード113の上に、親水化処理が施されていないカーボンクロス(厚み0.38mm、嵩密度1.75g/cm3)を重ね合わせ、アノード拡散層114及びカソード拡散層115とする。次いで、このMEA11を用いて評価用セルを構成する。
【0038】
次に、評価用セルの燃料流路122に60質量%のギ酸を30分間供給し、アノード拡散層114における燃料流路122に面した部分をギ酸と接触させることにより親水化処理を行う。親水化処理が完了した後、燃料流路122に濃度10質量%のギ酸を燃料として供給するとともに、酸化剤流路132に酸化剤としての空気を供給し、出力密度-電流密度特性の評価を行う。
【0039】
また、親水化処理を施したアノード拡散層114との比較のため、親水化処理を施していないアノード拡散層114を用いた以外は前記した構成と同様の構成を有する評価用セルを準備し、この評価用セルを用いて出力密度-電流密度特性の評価を行う。
図3に、各評価用セルの出力密度-電流密度特性を示す。なお、
図3の縦軸は出力密度(単位:mW/cm
2)であり、横軸は電流密度(単位:mA/cm
2)である。
【0040】
水分保持量の測定及び出力密度-電流密度特性の評価に用いたカーボンクロスは、親水化処理を施す前においては親水性が低いため、蒸留水に浸漬しようとしてもほとんど水を含まない。これに対し、
図2に示すように、濃度20質量%以上60質量%以下のギ酸を用いて親水化処理を行うことにより、カーボンクロスの親水性が向上し、カーボンクロスが水分を保持することができるようになる。また、
図2によれば、濃度20質量%以上60質量%以下のギ酸を用いて親水化処理を行う場合には、アノード拡散層114とギ酸とを少なくとも15分間接触させることにより、アノード拡散層114の親水性を向上可能であることが理解できる。さらに、
図2によれば、ギ酸の濃度が高いほどアノード拡散層114の親水化に必要な時間が短くなること、及び、濃度20質量%以上60質量%以下のギ酸を用いる場合には、アノード拡散層114とギ酸との接触時間を1時間以上とすることによりアノード拡散層114の親水性を十分に高めることが可能であることが理解できる。
【0041】
また、
図3に示すように、親水化処理が施されたカーボンクロスをアノード拡散層114として用いた評価用セルは、親水化処理を施す前のカーボンクロスをアノード拡散層114として用いた評価用セルに比べて出力密度が格段に上昇する。これは、親水化処理を行うことにより、燃料がアノード拡散層114に濡れ広がりやすくなり、燃料とアノード拡散層114との接触面積が広くなるとともにアノード112に到達する燃料の量が多くなったためと考えられる。また、
図3によれば、濃度が前記特定の範囲であるギ酸を用いて親水化処理を行う場合には、アノード拡散層114の劣化を抑制できることが理解できる。
【0042】
以上のように、濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を用いてアノード拡散層114に親水化処理を施すことにより、アノード拡散層114の劣化を抑制しつつアノード拡散層114の親水性を向上させることができる。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態においては、前記親水化処理方法を実施することができるように構成された燃料電池システム2の一例を説明する。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0044】
本実施形態の燃料電池システム2は、
図4に示すように、電解質膜と、電解質膜上に設けられたアノード及びカソードと、アノード上に設けられたアノード拡散層と、を備えたMEA11を含み、ギ酸を燃料として使用可能に構成された燃料電池1と、濃度が20質量%以上98質量%以下であるギ酸を燃料電池1に供給可能に構成されたギ酸タンク3と、を有している。燃料電池システム2は、ギ酸タンク3内のギ酸をアノード拡散層に供給することにより前記の態様のアノード拡散層の親水化処理方法を実施することができるように構成されている。なお、
図4においては、便宜上、電解質膜、アノード、カソード及びアノード拡散層の記載を省略した。
【0045】
本実施形態の燃料電池1は、
図4に示すように、複数の単セル14が互いに積層されてなるセルスタック16を有している。セルスタック16を構成する単セル14は、各単セル14のアノード側セパレータ12と、当該単セル14に隣接する単セル14のカソード側セパレータ13とが互いに当接するように配置されている。これにより、複数の単セル14がアノード側セパレータ12及びカソード側セパレータ13を介して電気的に直列に接続されている。
【0046】
セルスタック16における積層方向の両端には、セルスタック16を保持するための一対の保持板161(161a、161b)が配置されていてもよい。本実施形態の燃料電池1においては、一対の保持板161のうち一方の保持板161aに締結部材162が挿入されている。締結部材162はセルスタック16を単セル14の積層方向に貫通しており、一方の保持板161aと他方の保持板161bとが締結部材162によって締結されている。これにより、セルスタック16が一対の保持板161の間に保持されている。また、各保持板161は、燃料電池1から生じた電力を外部回路に取り出すための端子163を有している。
【0047】
燃料電池システム2は、ギ酸タンク3内のギ酸を燃料電池1に直接供給することができるように構成されていてもよいし、ギ酸タンク3内のギ酸を、他のタンクなどを介して燃料電池1に間接的に供給することができるように構成されていてもよい。ギ酸タンク3と燃料電池1との接続の態様がどのような態様であっても、濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を燃料電池1のアノード拡散層114に供給することができれば、前記親水化処理方法を実施することができる。
【0048】
本実施形態の燃料電池システム2は、ギ酸タンク3内のギ酸を燃料電池1に直接供給することができるように構成されている。具体的には、
図4に示すように、燃料電池システム2はギ酸を保持可能に構成されたギ酸タンク3を有しており、ギ酸タンク3はギ酸供給配管31を介してセルスタック16に接続されている。また、ギ酸タンク3から燃料電池1に至るギ酸の経路上、つまり、ギ酸供給配管31上には、燃料電池1へギ酸を送出可能に構成されたギ酸ポンプ32が設けられている。ギ酸タンク3には、ギ酸タンク3内のギ酸の濃度を測定可能に構成された濃度計33が設けられている。
【0049】
濃度計33及びギ酸ポンプ32には制御装置4が接続されており、制御装置4は、ギ酸ポンプ32の動作を制御することができるように構成されている。制御装置4は、例えば、濃度計33から取得したギ酸の濃度に基づいてギ酸ポンプ32から燃料電池1へのギ酸の送出量を設定することができるように構成されていてもよい。
【0050】
より具体的には、制御装置4は、例えば、濃度計33から取得したギ酸の濃度が前記特定の範囲内である場合に、ギ酸ポンプ32を予め設定した時間動作させ、ギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸を供給して親水化処理を施すことができるように構成されていてもよい。ギ酸ポンプ32を動作させる時間は、例えば、制御装置4内に予め保持された値であってもよいし、制御装置4に外部から入力された値であってもよい。このような動作は、例えば、制御装置4に設けられた電子回路や制御装置4を動作させるためのプログラム等によって実現することができる。
【0051】
本実施形態のギ酸タンク3は、アノード拡散層の親水化処理が完了した後に、燃料電池1に燃料としてのギ酸を供給するための燃料タンクとして使用することができる。ギ酸タンク3を燃料タンクとして使用する場合には、ギ酸タンク3内に水を加えてタンク内のギ酸を希釈することにより、ギ酸タンク3内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整すればよい。
【0052】
また、本実施形態の燃料電池システム2は、セルスタック16から排出されたギ酸及び燃料を回収するギ酸回収タンク21と、セルスタック16を構成する各単セル14に酸化剤としての空気を供給するためのブロア22と、各単セル14での電極反応によって生じた生成水を回収するドレインタンク23とを有している。ギ酸回収タンク21、ブロア22及びドレインタンク23は、それぞれ、ギ酸回収配管211、酸化剤供給配管221及び水回収配管231を介してセルスタック16に接続されている。
【0053】
本実施形態の燃料電池システム2を用いて前記親水化処理方法を実施するに当たっては、ギ酸タンク3内に予め濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を入れておく。この状態で制御装置4を動作させ、ギ酸タンク3内のギ酸をギ酸ポンプ32によって燃料電池1に送出する。燃料電池1内に進入したギ酸は、燃料流路を経由してアノード拡散層と接触し、アノード拡散層の表面及び内部を改質する。制御装置4において予め設定された時間が経過すると、ギ酸ポンプ32が停止する。これにより、アノード拡散層の親水化処理が完了する。
【0054】
アノード拡散層の親水化処理が完了した後、ギ酸タンク3から燃料電池1に燃料を供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給することにより、MEA11において発電を行うことができる。発電を行うに当たっては、例えば、ギ酸タンク3内に水や希釈されたギ酸等を入れ、ギ酸タンク3内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整する。その後、ギ酸ポンプ32を動作させてギ酸タンク3内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給すればよい。
【0055】
なお、本実施形態においては、燃料電池1を通過した後のギ酸及び燃料をギ酸回収タンク21に回収する態様を説明したが、燃料電池1を通過した後のギ酸及び燃料をギ酸タンク3に戻し、燃料電池1に供給するギ酸または燃料として再利用することも可能である。また、本実施形態においては、燃料電池1から排出された生成水をドレインタンク23に回収する態様を説明したが、ドレインタンク23とギ酸タンク3とを接続し、燃料電池1から排出された生成水をギ酸の希釈に用いることも可能である。なお、燃料電池1から排出された生成水は無害であるため、本実施形態のように生成水を回収せず、燃料電池1の外部に放出してもよい。
【0056】
(実施形態3)
本実施形態においては、親水化処理に用いるギ酸を燃料電池1に供給するためのギ酸タンク3と、燃料として用いるギ酸を燃料電池1に供給するための燃料タンク5とが別々に設けられている燃料電池システム203の例を説明する。
図5に示すように、本実施形態の燃料電池システム203は、燃料電池1と、ギ酸タンク3と、燃料電池1に燃料としてのギ酸を供給可能に構成された燃料タンク5とを有している。燃料電池システム203は、ギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸を直接供給することができるように構成されているとともに、ギ酸タンクから燃料タンク5にもギ酸を供給することができるように構成されている。
【0057】
より具体的には、本実施形態の燃料電池システム203は、ギ酸タンク3、ギ酸ポンプ32、燃料タンク5、燃料ポンプ52、制御装置403、三方弁34及びブロア22を有している。ギ酸タンク3には、ギ酸供給配管31を介してギ酸ポンプ32が接続されている。また、ギ酸ポンプ32には、ギ酸供給配管311を介して三方弁34が接続されている。三方弁34の他の接続口には、ギ酸供給配管312を介して燃料電池1が接続されているとともに、ギ酸供給配管313を介して燃料タンク5が接続されている。三方弁34は、個々の接続口の開閉状態を切り替えることができるように構成されている。
【0058】
燃料タンク5には、燃料供給配管51を介して燃料ポンプ52が接続されている。また、燃料タンク5には、燃料タンク5内のギ酸の濃度を測定可能に構成された濃度計53が設けられている。燃料ポンプ52は、燃料タンク5から燃料電池1に燃料を送出可能に構成されている。燃料ポンプ52における燃料の送出口は、三方弁34と燃料電池1とを接続するギ酸供給配管312に接続されている。これにより、燃料ポンプ52から送出された燃料をギ酸供給配管312において合流させ、燃料電池1に供給することができる。
【0059】
燃料電池システム203の制御装置403は、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52、三方弁34及び濃度計53にそれぞれ接続されており、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52及び三方弁34の動作を制御することができるように構成されている。制御装置403は、例えば、ギ酸ポンプ32と燃料電池1とが接続されるように三方弁34の開閉状態を制御するとともに、ギ酸ポンプ32を予め設定した時間動作させてギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸を供給することができるように構成されていてもよい。ギ酸ポンプ32を動作させる時間は、例えば、制御装置403内に予め保持された値であってもよいし、制御装置403に外部から入力された値であってもよい。このような動作は、例えば、制御装置403に設けられた電子回路や制御装置403を動作させるためのプログラム等によって実現することができる。
【0060】
また、制御装置403は、例えば、濃度計53から取得した燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいて、ギ酸ポンプ32と燃料タンク5とが接続されるように三方弁34の開閉状態を制御するとともに、ギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量及び燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量を設定することができるように構成されていてもよい。このように、燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいてギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量及び燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量を制御することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として適正な範囲に調整し、燃料電池1の発電効率を高めることができる。
【0061】
本実施形態の燃料電池システム203は、セルスタック16におけるギ酸及び燃料の出口と燃料タンク5とを接続するギ酸回収配管164、及び、セルスタック16における生成水の出口と燃料タンク5とを接続する水回収配管165を有している。ギ酸回収配管164は、セルスタック16から排出されたギ酸及び燃料を燃料タンク5に流入させることができる。ギ酸回収配管164を介して回収されたギ酸及び燃料は、燃料として再利用される。また、水回収配管165は、セルスタック16から排出された生成水を燃料タンク5に流入させることができる。水回収配管165を介して回収された生成水は、燃料タンク5内のギ酸の濃度を調整するために用いられる。
【0062】
本実施形態の燃料電池システム203を用いて前記親水化処理方法を実施するに当たっては、ギ酸タンク3内に予め濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を入れておく。この状態で制御装置403を動作させてギ酸タンク3と燃料電池1とが接続されるように三方弁34の開閉状態を制御し、次いでギ酸ポンプ32を動作させることにより、ギ酸タンク3内のギ酸を燃料電池1に送出する。このようにしてギ酸タンク3から燃料電池1に直接供給されたギ酸がアノード拡散層(図示略)と接触することにより、アノード拡散層の表面及び内部を改質することができる。ギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸が供給された後、予め設定された時間が経過すると制御装置403がギ酸ポンプ32を停止させる。これにより、アノード拡散層の親水化処理が完了する。
【0063】
アノード拡散層の親水化処理が完了した後、燃料タンク5から燃料電池1に燃料を供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給することにより、MEA(図示略)において発電を行うことができる。発電を行うに当たっては、例えば、予め燃料タンク5に燃料として好適な範囲の濃度を有するギ酸を入れておき、燃料タンク5内のギ酸を燃料ポンプ52によって燃料電池1に供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給する方法を採用することができる。
【0064】
また、燃料タンク5には、水や希薄なギ酸などを予め入れておくこともできる。この場合、制御装置403を動作させてギ酸ポンプ32と燃料タンク5とが接続されるように三方弁34の開閉状態を切り替え、次いでギ酸タンク3から燃料タンク5にギ酸を供給することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整することができる。燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲となった後、燃料ポンプ52を動作させて燃料タンク5内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給することにより、MEAにおいて発電を行うことができる。
【0065】
燃料電池1において発電を行うと、燃料中のギ酸が消費されるため、燃料電池1から排出された燃料におけるギ酸の濃度は、燃料電池1に供給される前のギ酸の濃度よりも低くなる。また、燃料タンク5には、燃料電池1において発電に伴って生じた生成水が流入する。従って、燃料電池システム203の運転を継続すると、燃料タンク5内の燃料に含まれるギ酸の濃度が次第に低下する。燃料タンク5内のギ酸の濃度が低下した場合には、ギ酸ポンプ32を動作させて燃料タンク5へ高濃度のギ酸を送出することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整することができる。
【0066】
(実施形態4)
本実施形態では、実施形態3の燃料電池システム203に、さらに水タンク6を設けた燃料電池システム204の例を説明する。
図6に示すように、本実施形態の燃料電池システム204は、燃料電池1、ギ酸タンク3、ギ酸ポンプ32、燃料タンク5、燃料ポンプ52、制御装置404、三方弁34、ブロア22、水タンク6及び水ポンプ62を有している。
【0067】
水タンク6及び水ポンプ62は、燃料タンク5に水を供給可能に構成されている。例えば、水タンク6及び水ポンプ62は、
図6に示すように、燃料電池1から燃料タンク5に至る生成水の経路上、つまり、水回収配管165上に配置されていてもよい。このように接続された水タンク6は、燃料電池1から排出された生成水を貯留することができる。また、水ポンプ62は、水タンク6内の水を燃料タンク5に送出することができるように構成されている。水タンク6内の水を燃料タンク5に送出し、燃料タンク5内のギ酸と混合することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を調節することができる。
【0068】
本実施形態における制御装置404は、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52、三方弁34、濃度計53及び水ポンプ62にそれぞれ接続されており、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52、三方弁34及び水ポンプ62の動作を制御することができるように構成されている。制御装置404は、例えば、実施形態3の制御装置403と同様に、ギ酸ポンプ32と燃料電池1とが接続されるように三方弁34の開閉状態を制御するとともに、ギ酸ポンプ32を予め設定した時間動作させてギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸を供給することができるように構成されていてもよい。
【0069】
また、制御装置404は、例えば、濃度計53から取得した燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいて、ギ酸ポンプ32と燃料タンク5とが接続されるように三方弁34の開閉状態を制御するとともに、ギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量、燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量及び水ポンプ62から燃料タンク5への水の送出量を設定することができるように構成されていてもよい。このように、燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいてギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量、燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量及び水タンク6から燃料タンク5への水の送出量を制御することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として適正な範囲に調整し、燃料電池1の発電効率を高めることができる。本実施形態の燃料電池システム204のその他の部分の構成は実施形態3の燃料電池システム203と同様である。
【0070】
本実施形態の燃料電池システム204を用いて前記親水化処理方法を実施する方法は、実施形態3の燃料電池システム203を用いる場合と同様である。
【0071】
アノード拡散層の親水化処理が完了した後、燃料タンク5から燃料電池1に燃料を供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給することにより、MEA(図示略)において発電を行うことができる。より具体的には、例えば、予め燃料タンク5に燃料として好適な範囲の濃度を有するギ酸を入れておき、燃料タンク5内のギ酸を燃料ポンプ52によって燃料電池1に供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給する方法を採用することができる。
【0072】
また、例えば、予め水タンク6に水を入れておき、ギ酸タンク3内のギ酸と水タンク6内の水とを燃料タンク5において混合する方法や、発電に伴って水タンク6内に回収される生成水とギ酸タンク3内のギ酸とを燃料タンク5において混合する方法等により、燃料タンク5内において燃料を調製することもできる。燃料タンク5内において燃料を調製するに当たっては、例えば、制御装置404によりギ酸ポンプ32と燃料タンク5とが接続されるように三方弁34の開閉状態を切り替えた後、ギ酸タンク3から燃料タンク5にギ酸を供給するとともに水タンク6から燃料タンク5に水を供給する。これにより、燃料タンク5内においてギ酸を希釈し、ギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整することができる。燃料タンク5内のギ酸の濃度が燃料として好適な範囲に調整された後、燃料ポンプ52を動作させて燃料タンク5内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給することにより、MEAにおいて発電を行うことができる。
【0073】
(実施形態5)
本実施形態においては、ギ酸タンク3が燃料タンク5を介して燃料電池1に接続された燃料電池システム205の例を説明する。
図7に示すように、本実施形態の燃料電池システム205は、ギ酸タンク3、ギ酸ポンプ32、燃料タンク5、燃料ポンプ52、制御装置405及びブロア22を有している。ギ酸ポンプ32はギ酸の経路上におけるギ酸タンク3と燃料タンク5との間に配置され、ギ酸を燃料タンク5へ送出可能に構成されている。
【0074】
燃料タンク5には、燃料タンク5内のギ酸の濃度を測定可能に構成された濃度計53が設けられている。燃料ポンプ52はギ酸の経路上における燃料タンク5と燃料電池1との間に配置され、燃料タンク5内のギ酸を燃料電池1へ送出可能に構成されている。制御装置405は、濃度計53、ギ酸ポンプ32及び燃料ポンプ52に接続されており、ギ酸ポンプ32及び燃料ポンプ52の動作を制御することができるように構成されている。
【0075】
より具体的には、ギ酸タンク3は、ギ酸供給配管31を介してギ酸ポンプ32に接続されている。また、ギ酸ポンプ32は、ギ酸供給配管311を介して燃料タンク5に接続されており、ギ酸タンク3内のギ酸を燃料タンク5に送出することができるように構成されている。燃料タンク5は、燃料供給配管51を介して燃料ポンプ52に接続されている。また、燃料ポンプ52は、燃料供給配管511を介して燃料電池1に接続されており、燃料タンク5内の燃料及びギ酸タンク3から供給されたギ酸を燃料電池1に送出することができるように構成されている。
【0076】
また、本実施形態の燃料電池システム205は、セルスタック16におけるギ酸及び燃料の出口と燃料タンク5とを接続するギ酸回収配管164、及び、セルスタック16における生成水の出口と燃料タンク5とを接続する水回収配管165を有している。ギ酸回収配管164は、セルスタック16から排出されたギ酸及び燃料を燃料タンク5に流入させることができる。ギ酸回収配管164を介して回収されたギ酸及び燃料は、燃料として再利用される。また、水回収配管165は、セルスタック16から排出された生成水を燃料タンク5に流入させることができる。水回収配管165を介して回収された生成水は、燃料タンク5内のギ酸の濃度を調整するために用いられる。
【0077】
本実施形態の制御装置405は、濃度計53から取得した燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいてギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量及び燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量を設定することができるように構成されている。より具体的には、制御装置405は、例えば、燃料タンク5内のギ酸の濃度が前記特定の範囲内である場合にギ酸ポンプ32及び燃料ポンプ52を予め設定した時間動作させ、ギ酸タンク3内のギ酸を燃料タンク5を経由して燃料電池1に供給することができるように構成されていてもよい。このように、燃料タンク5を経由してギ酸を供給する場合であっても、燃料タンク5から燃料電池に送出するギ酸の濃度が前記特定の範囲内であれば、アノード拡散層に親水化処理を施すことができる。
【0078】
燃料ポンプ52を動作させる時間は、例えば、制御装置405内に予め保持された値であってもよいし、制御装置405に外部から入力された値であってもよい。このような動作は、例えば、制御装置405に設けられた電子回路や制御装置405を動作させるためのプログラム等によって実現することができる。
【0079】
また、制御装置405は、例えば、燃料タンク5内のギ酸の濃度が前記特定の範囲よりも低い場合にギ酸ポンプ32を動作させ、ギ酸タンク3から燃料タンク5にギ酸を供給することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を親水化処理を行うことができる範囲に調整できるように構成されていてもよい。
【0080】
本実施形態の燃料電池システム205を用いて前記親水化処理方法を実施するに当たっては、ギ酸タンク3内に予め濃度が前記特定の範囲内であるギ酸を入れておく。この状態で制御装置405を作動させ、ギ酸タンク3内のギ酸をギ酸ポンプ32によって燃料タンク5に送出し、次いで燃料タンク5内のギ酸を燃料ポンプ52によって燃料電池1に送出する。このようにして燃料電池1に供給されたギ酸がアノード拡散層と接触することにより、アノード拡散層に親水化処理を施すことができる。ギ酸タンク3から燃料電池1にギ酸が供給された後、予め設定された時間が経過すると制御装置405がギ酸ポンプ32及び燃料ポンプ52を停止させる。これにより、アノード拡散層の親水化処理が完了する。
【0081】
アノード拡散層の親水化処理が完了した後、燃料タンク5から燃料電池1に燃料を供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給することにより、MEAにおいて発電を行うことができる。発電を行うに当たっては、例えば、燃料タンク5内に水や希釈されたギ酸等を入れ、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整する。その後、燃料ポンプ52を動作させて燃料タンク5内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給すればよい。また、親水化処理を施した後、ギ酸回収配管164を介して回収されたギ酸をそのまま発電に用い、発電に伴って生じる生成水により燃料タンク5内のギ酸を希釈することも可能である。
【0082】
燃料電池システム205の運転中に燃料タンク5内のギ酸の濃度が低下した場合には、ギ酸ポンプ32を動作させて燃料タンク5へ高濃度のギ酸を送出し、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整すればよい。
【0083】
(実施形態6)
本実施形態においては、実施形態5の燃料電池システム205に、さらに水タンク6を設けた燃料電池システム206の例を説明する。本実施形態の燃料電池システム206は、
図8に示すように、燃料電池1、ギ酸タンク3、ギ酸ポンプ32、燃料タンク5、燃料ポンプ52、制御装置406、ブロア22、水タンク6及び水ポンプ62を有している。
【0084】
水タンク6及び水ポンプ62は、燃料タンク5に水を供給可能に構成されている。水タンク6及び水ポンプ62は、例えば
図8に示すように、燃料電池1から燃料タンク5に至る生成水の経路上、つまり、水回収配管165上に配置されていてもよい。このように接続された水タンク6は、燃料電池1から排出された生成水を貯留することができる。また、水ポンプ62は、水タンク6内の生成水を燃料タンク5に送出することができるように構成されている。水タンク6内の生成水を燃料タンク5に送出し、燃料タンク5内のギ酸と混合することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を調節することができる。
【0085】
本実施形態における制御装置406は、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52、濃度計53及び水ポンプ62にそれぞれ接続されており、ギ酸ポンプ32、燃料ポンプ52及び水ポンプ62の動作を制御することができるように構成されている。制御装置406は、例えば、実施形態5の制御装置405と同様に、燃料タンク5内のギ酸の濃度が前記特定の範囲内である場合にギ酸ポンプ32及び燃料ポンプ52を予め設定した時間動作させ、ギ酸タンク3から燃料タンク5を介して燃料電池1にギ酸を供給し、アノード拡散層(図示略)の親水化処理を行うことができるように構成されていてもよい。
【0086】
また、制御装置406は、例えば、濃度計53から取得した燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいて、ギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量、燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量及び水ポンプ62から燃料タンク5への水の送出量を設定することができるように構成されていてもよい。このように、燃料タンク5内のギ酸の濃度に基づいてギ酸ポンプ32から燃料タンク5へのギ酸の送出量、燃料ポンプ52から燃料電池1へのギ酸の送出量及び水タンク6から燃料タンク5への水の送出量を制御することにより、燃料タンク5内のギ酸の濃度を所望の範囲に調整し、アノード拡散層に親水化処理を施したり、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整したりすることができる。本実施形態の燃料電池システム206のその他の部分の構成は実施形態5の燃料電池システム205と同様である。
【0087】
本実施形態の燃料電池システム206を用いて前記親水化処理方法を実施する方法は、実施形態5の燃料電池システム206を用いる場合と同様である。
【0088】
アノード拡散層の親水化処理が完了した後、燃料タンク5から燃料電池1に燃料を供給するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤を供給することにより、MEA(図示略)において発電を行うことができる。発電を行うに当たっては、例えば、燃料タンク5内に水や希釈されたギ酸等を入れ、燃料タンク5内のギ酸の濃度を燃料として好適な範囲に調整する。その後、燃料ポンプ52を動作させて燃料タンク5内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給すればよい。
【0089】
また、例えば、予め水タンク6に水を入れておき、ギ酸タンク3内のギ酸と水タンク6内の水とを燃料タンク5において混合する方法や、発電に伴って水タンク6内に回収される生成水とギ酸タンク3内のギ酸とを燃料タンク5において混合する方法等により、燃料タンク5内において燃料を調製することもできる。燃料タンク5内において燃料を調製するに当たっては、例えば、水タンク6から燃料タンク5に水を供給して燃料タンク5内においてギ酸を希釈すればよい。燃料タンク5内のギ酸の濃度が燃料として好適な範囲に調整された後、燃料ポンプ52を動作させて燃料タンク5内の燃料を燃料電池1に送出するとともに、ブロア22から燃料電池1に酸化剤としての空気を供給することにより、MEAにおいて発電を行うことができる。
【0090】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 燃料電池
11 膜電極接合体
111 電解質膜
112 アノード
113 カソード
114 アノード拡散層