(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039638
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】建設構造体の交換・補強方法
(51)【国際特許分類】
E04G 23/02 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
E04G23/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146862
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】上田 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 護
(72)【発明者】
【氏名】飯島 秀章
(72)【発明者】
【氏名】今野 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 祐
(72)【発明者】
【氏名】大畑 勝人
(72)【発明者】
【氏名】岡 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】牟田 恵美
【テーマコード(参考)】
2E176
【Fターム(参考)】
2E176AA01
2E176AA07
2E176BB28
2E176BB36
(57)【要約】
【課題】建設構造体の機能を確保しながら、建設構造体の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる、建設構造体の交換・補強方法を提供すること。
【解決手段】建設構造体の交換・補強方法は、構造物1に設置され、且つ少なくとも構造物1の水平荷重を受けることが可能な複数の免震装置10を交換又は補強するための方法であって、複数の免震装置10のうち略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組である第1点対称組PG1から第6点対称組PG6のいずれかを同時に交換する第1工程を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に設置され、且つ少なくとも前記構造物の水平荷重を受けることが可能な複数の建設構造体を交換又は補強するための交換・補強方法であって、
前記複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第1工程を含む、
建設構造体の交換・補強方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、前記構造物の重心から最も遠い位置にある組を優先的に交換又は補強する、
請求項1に記載の建設構造体の交換・補強方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、前記構造物の重心を中心軸とする軸回りに順次交換又は補強する、
請求項1又は2に記載の建設構造体の交換・補強方法。
【請求項4】
前記第1工程の後に、前記複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第2工程をさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法。
【請求項5】
前記建設構造体は、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法。
【請求項6】
前記免震装置は、滑り支承を含み、
前記滑り支承を、他の前記免震装置との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含む、
請求項5に記載の建設構造体の交換・補強方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設構造体の交換・補強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建物に設置された複数の免震装置を交換するための技術の一つとして、各免震装置周辺に位置する上部構造と下部構造との間にジャッキ装置を設置して、ジャッキ装置の高さを変更しながら、各免震装置を交換する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の技術において、例えば、複数の免震装置のうち、2つ以上の免震装置を同時に交換する際に、当該2つ以上の免震装置の位置関係を無視して当該2つ以上の免震装置を交換しようとすると、建物全体の免震装置の免震機能に偏りが生じるため、当該交換中に地震や台風などで外力が建物に作用した際に、建物において構造設計で見込んでいないねじれ応答が生じることにより、複数の免震装置の免震機能を確保することが難しくなるおそれがあった。したがって、複数の免震装置の免震機能の如き複数の建設構造体の機能を確保しながら、建設構造体の交換又は補強を迅速に行う観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、建設構造体の機能を確保しながら、建設構造体の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる、建設構造体の交換・補強方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の建設構造体の交換・補強方法は、構造物に設置され、且つ少なくとも前記構造物の水平荷重を受けることが可能な複数の建設構造体を交換又は補強するための交換・補強方法であって、前記複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第1工程を含む。
【0007】
請求項2に記載の建設構造体の交換・補強方法は、請求項1に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、前記構造物の重心から最も遠い位置にある組を優先的に交換又は補強する。
【0008】
請求項3に記載の建設構造体の交換・補強方法は、請求項1又は2に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、前記構造物の重心を中心軸とする軸回りに順次交換又は補強する。
【0009】
請求項4に記載の建設構造体の交換・補強方法は、請求項1から3のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程の後に、前記複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第2工程をさらに含む。
【0010】
請求項5に記載の建設構造体の交換・補強方法は、請求項1から4のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記建設構造体は、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含む。
【0011】
請求項6に記載の建設構造体の交換・補強方法は、請求項5に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記免震装置は、滑り支承を含み、前記滑り支承を、他の前記免震装置との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第1工程を含むので、一対の建設構造体を同時交換又は補強する際に、複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、構造物の重心から最も遠い位置にある組を優先的に交換又は補強するので、構造物の重心から近い位置にある組を優先的に交換又は補強する場合に比べて、建設構造体の交換又は補強時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を確保しやすくなる。
【0014】
請求項3に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、構造物の重心を中心軸とする軸回りに順次交換又は補強するので、建設構造体の交換作業又は補強作業を効率的に行うことができ、当該交換作業又は補強作業の作業性を高めることが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程の後に、複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第2工程をさらに含むので、第1工程後に一対の建設構造体を位置関係に左右されずに交換又は補強する場合に比べて、建設構造体の交換又は補強時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換又は補強を一層迅速に行うことが可能となる。
【0016】
請求項5に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、建設構造体が、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含むので、一対の免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を同時交換又は補強する際に、複数の免震装置等の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置等の機能を維持しながら、複数の免震装置等の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、滑り支承を、他の免震装置との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含むので、滑り支承を他の免震装置との位置関係に左右されずに交換でき、状況に応じた滑り支承の交換を行いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る構造物の階層のうち、免震装置が設置される階層の平面図である(一部断面図で示す)。
【
図2】
図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
【
図3】建設構造体の交換・補強方法を示す図であって、
図1に対応する領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る建設構造体の交換・補強方法の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、構造物に設置され、且つ少なくとも構造物の水平荷重を受けることが可能な複数の建設構造体を交換又は補強するための交換・補強方法に関する。
【0021】
ここで、「構造物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、オフィスビル、商業施設、公共施設、及びアパートやマンションの如き集合住宅等の建築構造物や、橋やトンネル等の土木構造物等を含む概念であるが、実施の形態では、複数階を有する施工中のオフィスビルとして説明する。
【0022】
また、「建設構造体」とは、構造物に設けられる構造体を意味し、例えば、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含む概念であるが、実施の形態では、構造物の水平荷重及び鉛直荷重を受けることが可能な免震装置(具体的には、積層ゴム支承)として説明する。
【0023】
また、「交換」とは、既設の建設構造体を新たな建設構造体に置き換えることを意味する。
【0024】
また、「補強」とは、建設構造体の欠陥を修繕又は補修すること、建設構造体の将来予測される欠陥を防止又は軽減すること、あるいは、建設構造体の強度を改善することを意味し、例えば、既設の建設構造体に新たな部材(一例として、補強部材等)を付加すること、既設の建設構造体の一部の部材(例えば、欠陥部材等)を他の部材に置き換えること等が該当する。
【0025】
以下、実施の形態では、交換・補強方法が、構造物に設けられた既設の免震装置に代えて新たな免震装置を交換することに適用される場合について説明する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
(構成)
最初に、実施の形態に係る交換・補強方法が適用される構造物の構成について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る構造物の階層のうち、免震装置が設置される階層の平面図である(一部断面図で示す)。
図2は、
図1のA-A矢視断面図である(一部図示省略)。
【0029】
以下の説明では、
図1のX方向を構造物の左右方向又は幅方向(-X方向を構造物の左方向、+X方向を構造物の右方向)、
図1のY方向を構造物の前後方向(+Y方向を構造物の前方向、-Y方向を構造物の後方向)、
図2のZ方向を構造物の上下方向(+Z方向を構造物の上方向、-Z方向を構造物の下方向)と称する。
【0030】
構造物1は、例えば鉄骨造(又は鉄筋コンクリート造)の建築構造物(具体的には、建設中の複数の階層を有するオフィスビル)であり、
図1、
図2に示すように、床材2、柱材(図示省略)、梁材4、壁材5、及び免震装置10を備えている。
【0031】
(構成-床材)
床材2は、構造物1の階層を構成するものであり、相互に間隔を隔てて上下方向に向けて複数並設される。
【0032】
なお、以下では、複数の床材2のうち、免震装置10の直下に位置する
図2の床材2aを「基礎床材2a」と称する。
【0033】
また、
図2に示すように、基礎床材2aには、第1躯体6が設けられている。第1躯体6は、免震装置10を設置するための下部基礎材である。この第1躯体6は、例えば公知の基礎材(一例として、コンクリート製の基礎材)を用いて構成され、基礎床材2aと一体に形成されており、基礎床材2aにおける各免震装置10に対応する部分にそれぞれ設けられている(すなわち、基礎床材2aに複数設けられている)。
【0034】
(構成-柱材)
柱材は、床材2を支持するものであり、床材2同士の相互間(すなわち、構造物1の各階層の空間)に複数設けられる。
【0035】
(構成-梁材)
梁材4は、床材2を支持するものであり、各床材2の下面と当接可能な位置に複数設けられたり、又は同一階の床材2同士の相互間に設けられる。
【0036】
なお、以下では、必要に応じて、複数の梁材4のうち、免震装置10の直上に位置する
図2の梁材4aを「上側基礎梁材4a」と称し、免震装置10の直下に位置する
図2の梁材4bであって、基礎床材2aと連結されている梁材4bを「下側基礎梁材4b」と称する。
【0037】
また、
図2に示すように、上側基礎梁材4aには、第2躯体7が設けられている。第2躯体7は、免震装置10を設置するための上部基礎材である。この第2躯体7は、例えば公知の基礎材(一例として、コンクリート製の基礎材)を用いて構成され、上側基礎梁材4a及び柱材と一体に形成されており、上側基礎梁材4aにおける各免震装置10に対応する部分にそれぞれ設けられている(すなわち、上側基礎梁材4aに複数設けられている)。
【0038】
(構成-壁材)
壁材5は、床材2同士の相互間を仕切るためのものであり、床材2同士の相互間等に複数設けられる。
【0039】
(構成-免震装置)
図1に戻り、免震装置10は、構造物1に設置され、且つ構造物1の水平荷重及び鉛直荷重を受けることが可能な建設構造体であると共に、地震の揺れが構造物1に直接伝わらないようにするための装置である。この免震装置10は、各第1躯体6と各第2躯体7との間にそれぞれ設けられている(すなわち、複数設けられている)。
【0040】
具体的には、
図1に示すように、左右方向及び前後方向に相互に間隔を隔てて複数列設けられている(
図1では、左右方向に7列設けられると共に、前後方向に2列から4列設けられている)。
【0041】
また、各免震装置10は、
図2に示すように、免震装置本体20、上フランジプレート21a、下フランジプレート21b、上ベースプレート22a、下ベースプレート22b、及び基壇部23を備えている。
【0042】
なお、以下では、必要に応じて、複数の免震装置10のうち、
図1の左から1列目の免震装置11aから11d(
図1では、前方から後方に至る順に設けられた免震装置11aから11d。なお、他の列の免震装置についても同様とする)を「第1免震装置11a」、「第2免震装置11b」、「第3免震装置11c」、「第4免震装置11d」と称する。また、
図1の左から2列目の免震装置12aから12cを「第5免震装置12a」、「第6免震装置12b」、「第7免震装置12c」と称する。また、
図1の左から3列目の免震装置13aから13cを「第8免震装置13a」、「第9免震装置13b」、「第10免震装置13c」と称する。また、
図1の左から4列目の免震装置14aから14bを「第11免震装置14a」、「第12免震装置14b」と称する。また、
図1の左から5列目の免震装置15aから15bを「第13免震装置15a」、「第14免震装置15b」と称する。また、
図1の左から6列目の免震装置16aから16cを「第15免震装置16a」、「第16免震装置16b」、「第17免震装置16c」と称する。また、
図1の左から7列目の免震装置17aから17cを「第18免震装置17a」、「第19免震装置17b」、「第20免震装置17c」と称する。
【0043】
(構成-免震装置-免震装置本体)
免震装置本体20は、免震装置10の基本構造体であり、例えば公知の免震積層ゴム支承(一例として、直径が650mm程度である円柱状の免震積層支承)を用いて構成されている。
【0044】
(構成-免震装置-上フランジプレート、下フランジプレート)
上フランジプレート21a及び下フランジプレート21bは、免震装置本体20に取り付けられるプレートである。これら上フランジプレート21a及び下フランジプレート21bは、例えば平面寸法が免震装置本体20よりも大きい鋼製の矩形状の板状体(一例として、直径が1000mm程度である略円形状の板状体等)にて形成されている。また、
図2に示すように、上フランジプレート21aは、免震装置本体20の上端部に対して図示しない固定具等によって取り付けられており、下フランジプレート21bは、免震装置本体20の下端部に対して図示しない固定具等によって取り付けられている。
【0045】
(構成-免震装置-上ベースプレート、下ベースプレート)
上ベースプレート22aは、上フランジプレート21aを第2躯体7に取り付けるためのプレートであり、例えば平面寸法が上フランジプレート21aの平面寸法と略同一である鋼製の矩形状の板状体(一例として、直径が1000mm程度である略円形状の板状体等)にて形成され、
図2に示すように、第2躯体7の下端部に対して図示しない固定具等によって取り付けられている。
【0046】
また、下ベースプレート22bは、下フランジプレート21bを第1躯体6に取り付けるためのプレートであり、例えば平面寸法が下フランジプレート21bの平面寸法よりも大きい鋼製の矩形状の板状体(一例として、直径が1200mm程度である略円形状の板状体等)にて形成され、
図2に示すように、第1躯体6の上端部に対して図示しない固定具等によって取り付けられている。
【0047】
(構成-免震装置-基壇部)
基壇部23は、下フランジプレート21bと下ベースプレート22bとの間の隙間を埋めるためのものである。この基壇部23は、例えば平面寸法が下フランジプレート21bの平面寸法と略同一であるコンクリート製の矩形状の板状体(一例として、一辺が1000mm程度である略正方形状の板状体等)にて形成され、
図2に示すように、下フランジプレート21bと下ベースプレート22bとの相互間に設けられている。
【0048】
(構成-免震装置-その他の構成)
また、免震装置10の固定方法については任意であるが、実施の形態では、
図2に示すように、上フランジプレート21a及び上ベースプレート22aに形成された挿通孔(図示省略)を介して第2躯体7に形成される取付穴(図示省略)に上側固定具24a(例えば、二重偏心リング付きのボルト等)によって固定していると共に、下フランジプレート21b、下ベースプレート22b、及び基壇部23に形成された挿通孔(図示省略)を介して第1躯体6に形成される取付穴(図示省略)に下側固定具24b(例えば、ボルト等)によって固定している。
【0049】
(建設構造体の交換・補強方法)
次に、建設構造体(具体的には、免震装置)の交換・補強方法について説明する。
【0050】
図3は、建設構造体の交換・補強方法を示す図であって、
図1に対応する領域を示す図である。実施の形態に係る交換・補強方法は、第1工程及び第2工程を含んでいる。
【0051】
(建設構造体の交換・補強方法-第1工程)
まず、第1工程について説明する。
【0052】
第1工程は、複数の免震装置10のうち、略点対称の位置関係にある一対の免震装置10を同時に交換又は補強する工程である。
【0053】
ここで、「略点対称の位置関係」とは、実施の形態では、一対の免震装置10の一方を構造物1の重心CG(又はその近傍位置)を回転中心として180度程度回転させた際の当該一方の位置が、一対の免震装置10の他方の位置と略一致する位置関係を意味する。
【0054】
具体的には、
図3に示すように、上記略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組のうち、第4免震装置11dと第18免震装置17aとの組PG1(以下、「第1点対称組PG1」と称する)、第1免震装置11aと第20免震装置17cとの組PG2(以下、「第2点対称組PG2」と称する)、第3免震装置11cと第15免震装置16aとの組PG3(以下、「第3点対称組PG3」と称する)、第7免震装置12cと第13免震装置15aとの組PG4(以下、「第4点対称組PG4」と称する)、第2免震装置11bと第19免震装置17bとの組PG5(以下、「第5点対称組PG5」と称する)、及び、第5免震装置12aと第17免震装置16cとの組PG6(以下、「第6点対称組PG6」と称する)を交換する。
【0055】
また、第1点対称組PG1から第6点対称組PG6の交換方法については任意であるが、実施の形態では、上記略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組のうち、構造物1の重心CGから最も遠い位置にある組を優先的に交換する。
【0056】
具体的には、第1点対称組PG1、第2点対称組PG2、第3点対称組PG3、第4点対称組PG4、第5点対称組PG5、及び第6点対称組PG6の順に、これらの組を交換する。
【0057】
これにより、構造物1の重心CGから近い位置にある組を優先的に交換する場合に比べて、免震装置10の交換時における複数の免震装置10の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置10の機能を確保しやすくなる。
【0058】
ただし、これに限らず、例えば、上記略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組を、構造物1の重心CGを中心軸とする軸回りに順次交換してもよい。一例として、第3点対称組PG3、第1点対称組PG1、第4点対称組PG4、第6点対称組PG6、第2点対称組PG2、及び第5点対称組PG5の順に、これらの組を交換してもよい。
【0059】
あるいは、上記略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組を、構造物1の重心CGから最も遠い位置にある組を優先的に交換しながら、構造物1の重心CGを中心軸とする軸回りに順次交換してもよい。一例として、第1点対称組PG1、第4点対称組PG4、第6点対称組PG6、第2点対称組PG2、第5点対称組PG5、及び第3点対称組PG3の順に、これらの組を交換してもよい。
【0060】
これにより、免震装置10の交換作業を効率的に行うことができ、当該交換作業の作業性を高めることが可能となる。
【0061】
また、各免震装置10の交換方法については任意であるが、例えば以下の通りに交換してもよい(なお、第2工程における各免震装置10の交換方法についても同様とする)。
【0062】
すなわち、まず、既設の免震装置10を固定する上側固定具24a及び下側固定具24bを取り外す。次に、既設の免震装置10の周辺に図示しない荷重受け部(例えば、油圧ジャッキ等)を複数設置して、第2躯体7から免震装置10が受ける支圧力(すなわち、免震装置10の軸力)がゼロになるように、荷重受け部をジャッキアップすることにより、上側基礎梁材4aの荷重(具体的には、上側基礎梁材4aの自重)を荷重受け部で受ける。この場合には、上側基礎梁材4aの高さ位置が所定量(例えば、1mm程度)上がるので、上側基礎梁材4aに直接又は間接に連結されている部材(例えば、柱材や床材2等)の高さ位置も上記所定量だけ上がることになる。次いで、図示しない冷却部(例えば、液体窒素を射出可能な冷却器)を用いて、既設の免震装置10のゴム部を冷却することにより、既設の免震装置10の上下方向の長さを低くする。その後、図示しない移動部(例えば、チェーンブロック等)を用いて、既設の免震装置10(具体的には、免震装置本体20、上フランジプレート21a、及び下フランジプレート21b)を第1躯体6と第2躯体7との間から所定位置まで移動させることにより、当該既設の免震装置10を取り外す。次に、移動部を用いて、新設の免震装置10(具体的には、免震装置本体20、上フランジプレート21a、及び下フランジプレート21b)を第1躯体6と第2躯体7との間に配置した後、新設の免震装置10を上側固定具24a及び下側固定具24bによって第1躯体6及び第2躯体7に対して固定する。次いで、荷重受け部の除荷を行うことで、新設の免震装置10が第2躯体7から支圧力が受けられるようにする。この場合には、上側基礎梁材4aの高さ位置が所定量(例えば、1mm程度)下がるので、上側基礎梁材4aに直接又は間接に連結されている部材(例えば、柱材や床材2等)の高さ位置も上記所定量だけ下がることになる。よって、上側基礎梁材4a、及び上記連結されている部材の高さ位置を、既設の免震装置10が取り外される前の位置にほぼ戻すことができる。その後、荷重受け部を所定位置に撤去する。
【0063】
このような第1工程により、一対の免震装置10を同時交換する際に、複数の免震装置10の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置10の機能を維持しながら、複数の免震装置10の交換を迅速に行うことが可能となる。
【0064】
(建設構造体の交換・補強方法-第2工程)
次に、第2工程について説明する。
【0065】
第2工程は、第1工程の後に、複数の免震装置10のうち、略線対称の位置関係にある一対の免震装置10を同時に交換又は補強する工程である。
【0066】
ここで、「略線対称の位置関係」とは、実施の形態では、一対の免震装置10の一方を
図3の第1対称軸AS1又は第2対称軸AS2を回転軸として反転させた際の当該一方の位置が、一対の免震装置10の他方の位置と略一致する位置関係を意味する。
【0067】
また、「第1対称軸AS1」は、構造物1の重心CG(又はその近傍位置)と重なる水平軸であり、
図3では、左右方向に沿った水平軸として説明する。また、「第2対称軸AS2」は、構造物1の重心CG(又はその近傍位置)と重なり、且つ第1対称軸AS1と略直交する水平軸であり、
図3では、前後方向に沿った水平軸として説明する。
【0068】
具体的には、
図3に示すように、上記略線対称の位置関係にある一対の免震装置10の組のうち、第6免震装置12bと第16免震装置16bとの組LG1(以下、「第1線対称組LG1」と称する)、第10免震装置13cと第11免震装置14aとの組LG2(以下、「第2線対称組LG2」と称する)、第9免震装置13bと第14免震装置15bとの組LG3(以下、「第3線対称組LG3」と称する)、及び、第8免震装置13aと第12免震装置14bとの組LG4(以下、「第4線対称組LG4」と称する)を交換する。
【0069】
また、第1線対称組LG1から第4線対称組LG4の交換方法については任意であるが、実施の形態では、上記略線対称の位置関係にある一対の免震装置10の組のうち、構造物1の重心CGから最も遠い位置にある組を優先的に交換する。
【0070】
具体的には、第1線対称組LG1、第2線対称組LG2、第3線対称組LG3、及び第4線対称組LG4の順に、これらの組を交換する。
【0071】
これにより、構造物1の重心CGから近い位置にある組を優先的に交換する場合に比べて、免震装置10の交換時における複数の免震装置10の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置10の機能を確保しやすくなる。
【0072】
このような第2工程により、第1工程後に一対の免震装置10を位置関係に左右されずに交換する場合に比べて、免震装置10の交換時における複数の免震装置10の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置10の機能を維持しながら、複数の免震装置10の交換を一層迅速に行うことが可能となる。
【0073】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換する第1工程を含むので、一対の建設構造体を同時交換する際に、複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換を迅速に行うことが可能となる。
【0074】
また、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、構造物1の重心CGから最も遠い位置にある組を優先的に交換するので、構造物1の重心CGから近い位置にある組を優先的に交換する場合に比べて、建設構造体の交換時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を確保しやすくなる。
【0075】
また、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、構造物1の重心CGを中心軸とする軸回りに順次交換するので、建設構造体の交換作業を効率的に行うことができ、当該交換作業の作業性を高めることが可能となる。
【0076】
また、第1工程の後に、複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換する第2工程をさらに含むので、第1工程後に一対の建設構造体を位置関係に左右されずに交換する場合に比べて、建設構造体の交換時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換を一層迅速に行うことが可能となる。
【0077】
また、建設構造体が、免震装置10を含むので、一対の免震装置10を同時交換する際に、複数の免震装置10の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置10の機能を維持しながら、複数の免震装置10の交換を迅速に行うことが可能となる。
【0078】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0079】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0080】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0081】
(建設構造体について)
上記実施の形態では、建設構造体が、構造物1の水平荷重及び鉛直荷重を受けることが可能な免震装置10であると説明したが、これに限らない。例えば、構造物1の水平荷重のみを受けることが可能な制震装置(一例として、オイルダンパー)であってもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、建設構造体が、交換対象となる免震装置10であると説明したが、これに限らない。例えば、補強対象となる構造体(一例として、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材4、又は/及び杭材)であってもよい。
【0083】
この場合において、例えば、建設構造体が柱材である場合には、建設構造体の交換・補強方法の第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の柱材を同時に補強してもよい(一例として、既設の柱材に補強部材を取り付けたり、又は/及び、既設の柱材の一部の部材を他の部材に置き換えてもよい)。また、建設構造体の交換・補強方法の第2工程において、略線対称の位置関係にある一対の柱材を同時に補強してもよい。このような交換・補強方法により、一対の柱材を同時補強する際に、複数の柱材の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の柱材の機能を維持しながら、柱材の補強を迅速に行うことが可能となる。
【0084】
(免震装置について)
上記実施の形態では、免震装置10が、上フランジプレート21a、下フランジプレート21b、上ベースプレート22a、下ベースプレート22b、及び基壇部23を備えていると説明したが、これに限らない。例えば、上フランジプレート21a又は上ベースプレート22aのいずれか一方を省略してもよい。あるいは、下フランジプレート21b、下ベースプレート22b、又は基壇部23のいずれか1つ又は2つを省略してもよい。
【0085】
(建設構造体の交換・補強方法について)
上記実施の形態では、建設構造体の交換・補強方法が、第1工程及び第2工程を含むと説明したが、これに限らない。例えば、第1工程によって交換対象となる免震装置10をすべて交換できる場合には、第2工程を省略してもよい。
【0086】
また、複数の免震装置10の中に、少なくとも1つ以上の滑り支承が含まれる場合には、第1工程及び第2工程に加えて、滑り支承を、他の免震装置10との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含んでもよい。一例として、
図1に示す免震装置10のうち、第2免震装置11b及び第19免震装置17bが滑り支承である場合には、第1工程の前、第1工程の後、又は第2工程の後に、第2免震装置11b及び第19免震装置17bを同時又は異なるタイミングでそれぞれ個別に交換してもよい。このような第3工程により、滑り支承を他の免震装置10との位置関係に左右されずに交換でき、状況に応じた滑り支承の交換を行いやすくなる。
【0087】
また、第1工程及び第2工程が行われた後も、交換されていない免震装置10が存在する場合には、当該免震装置10のうち構造物1の重心CGから最も遠い位置にある免震装置10を優先的に交換し、又は当該免震装置10をランダムに交換する第4工程を含んでもよい。
【0088】
また、上記実施の形態では、建設構造体の交換・補強方法において、複数の免震装置10のすべてを交換すると説明したが、これに限らず、例えば、複数の免震装置10のうち一部の免震装置10(一例として、第1線対称組LG1、第2線対称組LG2、及び第3線対称組LG3の免震装置10)のみを交換してもよい。
【0089】
(第1工程について)
上記実施の形態では、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組のうち、構造物1の重心CGから最も遠い位置にある組を優先的に交換すると説明したが、これに限らない。例えば、構造物1の重心CGから最も近い位置にある組を優先的に交換してもよく、あるいは、略点対称の位置関係にある一対の免震装置10の組をランダムに交換してもよい(なお、第2工程についても略同様とする)。
【0090】
また、上記実施の形態では、第1工程において、新設の免震装置10が、免震装置本体20、上フランジプレート21a、及び下フランジプレート21bを備えていると説明したが、これに限らない。例えば、新設の免震装置10の設置性を高める観点から、第1躯体6又は第2躯体7と新設の免震装置10との隙間を埋めるための充填体(具体的には、グラウト材が充填された充填体等)と、充填体を保持するための目止め部とをさらに備えてもよい。
【0091】
(付記)
付記1の建設構造体の交換・補強方法は、構造物に設置され、且つ少なくとも前記構造物の水平荷重を受けることが可能な複数の建設構造体を交換又は補強するための交換・補強方法であって、前記複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第1工程を含む。
【0092】
付記2の建設構造体の交換・補強方法は、付記1に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、前記構造物の重心から最も遠い位置にある組を優先的に交換又は補強する。
【0093】
付記3の建設構造体の交換・補強方法は、付記1又は2に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程において、前記略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、前記構造物の重心を中心軸とする軸回りに順次交換又は補強する。
【0094】
付記4の建設構造体の交換・補強方法は、付記1から3のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記第1工程の後に、前記複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第2工程をさらに含む。
【0095】
付記5の建設構造体の交換・補強方法は、付記1から4のいずれか一項に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記建設構造体は、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含む。
【0096】
付記6の建設構造体の交換・補強方法は、付記5に記載の建設構造体の交換・補強方法において、前記免震装置は、滑り支承を含み、前記滑り支承を、他の前記免震装置との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含む。
【0097】
(付記の効果)
付記1に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、複数の建設構造体のうち、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第1工程を含むので、一対の建設構造体を同時交換又は補強する際に、複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる。
【0098】
付記2に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組のうち、構造物の重心から最も遠い位置にある組を優先的に交換又は補強するので、構造物の重心から近い位置にある組を優先的に交換又は補強する場合に比べて、建設構造体の交換又は補強時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を確保しやすくなる。
【0099】
付記3に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程において、略点対称の位置関係にある一対の建設構造体の組を、構造物の重心を中心軸とする軸回りに順次交換又は補強するので、建設構造体の交換作業又は補強作業を効率的に行うことができ、当該交換作業又は補強作業の作業性を高めることが可能となる。
【0100】
付記4に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、第1工程の後に、複数の建設構造体のうち、略線対称の位置関係にある一対の建設構造体を同時に交換又は補強する第2工程をさらに含むので、第1工程後に一対の建設構造体を位置関係に左右されずに交換又は補強する場合に比べて、建設構造体の交換又は補強時における複数の建設構造体の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の建設構造体の機能を維持しながら、複数の建設構造体の交換又は補強を一層迅速に行うことが可能となる。
【0101】
付記5に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、建設構造体が、免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を含むので、一対の免震装置、制震装置、柱材、ブレース材、スラブ材、梁材、又は/及び杭材を同時交換又は補強する際に、複数の免震装置等の機能に偏りが生じることを抑制でき、複数の免震装置等の機能を維持しながら、複数の免震装置等の交換又は補強を迅速に行うことが可能となる。
【0102】
付記6に記載の建設構造体の交換・補強方法によれば、滑り支承を、他の免震装置との略点対称又は略線対称の位置関係のいずれにも左右されずに、個別に交換する第3工程を含むので、滑り支承を他の免震装置との位置関係に左右されずに交換でき、状況に応じた滑り支承の交換を行いやすくなる。
【符号の説明】
【0103】
1 構造物
2 床材
2a 基礎床材
4 梁材
4a 上側基礎梁材
4b 下側基礎梁材
5 壁材
6 第1躯体
7 第2躯体
10 免震装置
11a 第1免震装置
11b 第2免震装置
11c 第3免震装置
11d 第4免震装置
12a 第5免震装置
12b 第6免震装置
12c 第7免震装置
13a 第8免震装置
13b 第9免震装置
13c 第10免震装置
14a 第11免震装置
14b 第12免震装置
15a 第13免震装置
15b 第14免震装置
16a 第15免震装置
16b 第16免震装置
16c 第17免震装置
17a 第18免震装置
17b 第19免震装置
17c 第20免震装置
20 免震装置本体
21a 上フランジプレート
21b 下フランジプレート
22a 上ベースプレート
22b 下ベースプレート
23 基壇部
24a 上側固定具
24b 下側固定具
CG 重心
LG1 第1線対称組
LG2 第2線対称組
LG3 第3線対称組
LG4 第4線対称組
PG1 第1点対称組
PG2 第2点対称組
PG3 第3点対称組
PG4 第4点対称組
PG5 第5点対称組
PG6 第6点対称組