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特開2023-39646通信方法、通信システム、及び通信装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039646
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】通信方法、通信システム、及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 72/0453 20230101AFI20230314BHJP
   H04W 84/20 20090101ALI20230314BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20230314BHJP
   H04W 40/12 20090101ALI20230314BHJP
   H04W 72/54 20230101ALI20230314BHJP
【FI】
H04W72/04 132
H04W84/20
H04W84/06
H04W40/12
H04W72/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146874
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 行史
(72)【発明者】
【氏名】井奈波 拓也
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067DD34
5K067EE25
5K067HH22
5K067JJ12
(57)【要約】
【課題】通信ネットワークにおいて安定したデータ通信となるようなルーティング構築を可能にする技術を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る、第1の識別子を有する第1の通信装置により実行される通信方法は、第2の識別子を有する第2の通信装置により送信され、前記第2の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で受信することと、前記第1の識別子と前記第2の識別子との比較に基づいて、前記第1の通信装置が前記第2の通信装置のデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断することと、前記第1の通信装置が前記管理者であると判断された場合に、前記第1の周波数とは異なる前記データ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で送信することと、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の識別子を有する第1の通信装置により実行される通信方法であって、
第2の識別子を有する第2の通信装置により送信され、前記第2の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で受信することと、
前記第1の識別子と前記第2の識別子との比較に基づいて、前記第1の通信装置が前記第2の通信装置のデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断することと、
前記第1の通信装置が前記管理者であると判断された場合に、前記第1の周波数とは異なる前記データ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で送信することと、
を備える通信方法。
【請求項2】
前記第1の周波数とは異なる複数の第2の周波数の中から、使用頻度が最も小さい又は閾値を下回る第2の周波数を前記データ送信に使用する前記第2の周波数として選択することと、
をさらに備える請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1の通信装置が前記管理者であると判断された場合に、前記第2の通信装置を含む無線ネットワークに属するデータ送信可能な通信装置の数に応じて、データ送信を行う通信装置を切り替える送信周期を決定することと、
前記決定された送信周期と、前記データ送信可能な通信装置の識別子と、を含むスケジューリング信号を前記第2の周波数で送信することと、
をさらに備える請求項1又は2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記接続応答信号を送信することは、
前記第1の識別子と前記第2の識別子との差に基づいてウェイト時間を算出することと、
前記第2の通信装置による前記接続要求信号の送信が完了してから前記ウェイト時間だけ経過したときに前記接続応答信号を送信することと、
を備える、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項5】
前記第1の識別子は前記第1の通信装置のバッテリ残量を前記第1の識別子として使用し、前記第2の通信装置のバッテリ残量を前記第2の識別子として使用する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の通信方法。
【請求項6】
第1の識別子を有する第1の通信装置により実行される通信方法であって、
前記第1の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で送信することと、
前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を有する第2の通信装置により前記接続要求信号に応答して送信され、前記第1の周波数とは異なるデータ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で受信することと、
前記接続応答信号に応答して、前記第2の通信装置が前記第1の通信装置のデータ送信を管理する管理者であることを認識することと、
を備える通信方法。
【請求項7】
前記第2の通信装置により送信され、データ送信を行う通信装置を切り替える送信周期と、データ送信可能な通信装置の識別子と、を含むスケジューリング信号を前記第2の周波数で受信することと、
前記受信されたスケジューリング信号に含まれる前記送信周期及び前記識別子と前記第1の識別子とに基づいて送信タイミングを決定することと、
前記決定された送信タイミングでデータ信号を前記第2の周波数で送信することと、
をさらに備える請求項6に記載の通信方法。
【請求項8】
前記送信タイミングを決定することは、
前記受信されたスケジューリング信号に含まれる前記識別子と前記第1の識別子とに基づいて送信順番を決定することと、
前記受信されたスケジューリング信号に含まれる前記送信周期と前記決定された送信順番とから前記送信タイミングを算出することと、
を備える、請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
第1の識別子を有する第1の通信装置と、
第2の識別子を有する第2の通信装置と、
を備え、
前記第1の通信装置は前記第1の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で送信し、
前記第2の通信装置は、
前記第1の通信装置により送信された前記接続要求信号を前記第1の周波数で受信し、
前記第1の識別子と前記第2の識別子との比較に基づいて、前記第2の通信装置が前記第1の通信装置のデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断し、
前記第1の通信装置が前記管理者であると判断した場合に、前記第1の周波数とは異なる前記データ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で送信し、
前記第1の通信装置は、
前記第2の通信装置により送信された前記接続応答信号を前記第1の周波数で受信し、
前記接続応答信号に応答して前記第2の通信装置が前記管理者であることを認識する、
通信システム。
【請求項10】
第1の識別子を有する通信装置であって、
第2の識別子を有する他の通信装置により送信され、前記第2の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で受信する受信部と、
前記第1の識別子と前記第2の識別子との比較に基づいて、前記通信装置が前記他の通信装置のデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断する判断部と、
前記通信装置が前記管理者であると判断された場合に、前記第1の周波数とは異なる前記データ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で送信する送信部と、
を備える通信装置。
【請求項11】
第1の識別子を有する通信装置であって、
前記第1の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で送信する送信部と、
前記第1の識別子とは異なる第2の識別子を有する他の通信装置により前記接続要求信号に応答して送信され、前記第1の周波数とは異なるデータ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で受信する受信部と、
前記接続応答信号に応答して、前記他の通信装置が前記通信装置のデータ送信を管理する管理者であることを認識する管理部と、
を備える通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信方法、通信システム、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自律分散型無線ネットワークなどの無線ネットワークにおいて、不要な電磁波の干渉により所望の無線通信などの通信媒体に影響を受け通信障害が発生することが懸念される。これに対して、通信障害が部分的に発生したとしてもネットワークを維持できるように、ネットワークの伝送路をマルチパス化することが提案されている。
【0003】
自律分散型無線ネットワークでは、一般に、すべての無線装置が送信電力、送信周波数、及び送信タイミングを決定するための同じアルゴリズムに基づいてデータ通信を行う。伝送路をマルチパス化した自律分散型無線ネットワークでは、多数の無線ホップが可能となるが、トラフィックが多くなりルーティングが困難になることが予測される。また、無線装置間における通信路の伝送状態としては不安定であり、誤り訂正ができなかったデータ通信は再送要求となるケースとなる場合があるが、データの再送要求が頻繁に生じるとネットワークが高負荷になる。
【0004】
無線ネットワークなどの通信ネットワークにおいては、安定したデータ通信となるようなルーティング構築を効率的に行えることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-153990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、通信ネットワークにおいて安定したデータ通信となるようなルーティング構築を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る、第1の識別子を有する第1の通信装置により実行される通信方法は、第2の識別子を有する第2の通信装置により送信され、前記第2の識別子を含む接続要求信号を第1の周波数で受信することと、前記第1の識別子と前記第2の識別子との比較に基づいて、前記第1の通信装置が前記第2の通信装置のデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断することと、前記第1の通信装置が前記管理者であると判断された場合に、前記第1の周波数とは異なる前記データ送信に使用する第2の周波数を示す周波数情報を含む接続応答信号を前記第1の周波数で送信することと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る無線システムを示す図。
図2】実施形態に係る無線装置のハードウェア構成を示す図。
図3図2に示した通信モジュールに含まれる送信回路の構成を示す図。
図4】実施形態に係る無線装置の機能構成を示すブロック図。
図5図4に示した通信制御部の構成を示すブロック図。
図6】実施形態に係る呼出処理を示すフローチャート。
図7】実施形態に係る呼出シーケンスを示す図。
図8】実施形態に係る呼出シーケンスを示す図。
図9】実施形態に係るデータ送信処理を示すフローチャート。
図10】実施形態に係るデータ送信処理を示すフローチャート。
図11】実施形態に係るデータ送信シーケンスを示す図。
図12】実施形態に係るデータ送信シーケンスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。なお、説明の重複を回避するために、全図を通して同様の構成要素に同様の符号を付している。また、いくつかの図では、個々の構成要素を区別するために参照符号に枝番を付している。
【0010】
図1は、一実施形態に係る無線システム10を概略的に示している。図1に示す無線システム10は、各ノード14が周囲のノード14と直接に無線通信する複数のノード14により構築される無線アドホックネットワークである。無線システム10では、データ通信はブロードキャストで行われる。ノード14は、例えば特定用途の無線機や移動通信端末(例えばスマートフォン)などの無線装置である。ここで説明する実施形態では、いわゆるドローンと称される移動体をノードの一例として説明する。
【0011】
無線システム10では、位置情報などの情報がノード14間で共有され、各ノード14は、ネットワークの伝送路がマルチパス化されるように、共有される情報に基づいて自律的に移動する。このようにして、伝送路がマルチパス化された分散型無線ネットワークが構築される。
【0012】
無線システム10のトポロジは時間変化する。例えば、いずれかのノード14が移動又は故障に起因して無線システム10から離脱することがある。また、新たなノード14が配備されて無線システム10に参加することがある。
【0013】
無線システム10は複数の無線ネットワーク12(図1の例では3つの無線ネットワーク12)を含み得る。ここに記載される用語「システム」及び「ネットワーク」は交換可能に使用される。無線システム10を無線ネットワークと称する場合、無線ネットワーク12は無線サブネットワークなどと称されてよい。
【0014】
各無線ネットワーク12は、その無線ネットワーク12におけるデータ送信を管理するマスタ(管理者)として動作する1つのノード14と、マスタの制御下でデータ送信を行うスレーブとして動作する1つ以上のノード14と、を含む。以下では、マスタとして動作するノードをマスタノード、スレーブとして動作するノードをスレーブノードと称することもある。
【0015】
ノード14には固有の識別子(以下、固有IDと記載する)がそれぞれ割り当てられている。例えば、固有IDは無線システム10のために用意された識別子であってよい。固有IDとして、ノードに含まれる無線モジュールのMAC(Media Access Control)アドレスなどを使用してもよい。ここで説明する実施形態では、固有IDがより小さいノード14が管理者になる権限を持つとする。この場合、各無線ネットワーク12では、マスタノード14はスレーブノード14のそれぞれの固有IDより小さい固有IDを有する。他の実施形態では、固有IDがより大きいノード14が管理者になる権限を持つとしてよい。なお、ノード14は、ある無線ネットワーク12のマスタであり、且つ、他の無線ネットワーク12のスレーブであることもある。
【0016】
第1ノード14がデータリンクを持たず、第1ノード14の近くに第2ノード14がいるとする。ここで、データリンクはノード間の主従関係を示す。第1ノード14は呼出(接続要求)を周期的に行う。具体的には、第1ノード14はデータリンクの確立を要求する接続要求パケットを周期的に送信(ブロードキャスト)する。接続要求パケットは第1ノード14の固有IDを含む。第2ノード14は、第1ノード14により送信された接続要求パケットを受信し、自身の固有IDを接続要求パケットに含まれる固有IDと比較する。第2ノード14は、自身の固有IDが接続要求パケットに含まれる固有IDより小さい場合に、第2ノード14が第1ノード14と第2ノード14とを含む無線ネットワーク12の管理者であること、すなわち、第2ノード14が第1ノード14のデータ送信を管理する管理者であること、を認識する。第2ノード14は、接続要求パケットに応答する接続応答パケットを送信する。接続応答パケットは、第2ノード14の固有IDと、第1ノード14の固有IDと、データ通信に使用する周波数を示す周波数情報と、を含む。第1ノード14は第2ノード14により送信された接続応答パケットを受信する。これにより、第2ノード14がマスタであり、第1ノード14がスレーブであるとして、第1ノード14と第2ノード14との間にデータリンクが確立される。
【0017】
ここで説明する実施形態では、マスタノード及びデータリンクを有しないノードのみが呼出を自発的に行い、スレーブノードは呼出を自発的に行わないこととする。
【0018】
無線システム10では、データ通信は呼出に使用される周波数とは異なる周波数で行われる。以下では、呼出に使用する周波数を呼出周波数と称し、データ通信に使用する周波数をデータ周波数と称する。
【0019】
マスタノード14は、無線ネットワーク12におけるデータ送信をスケジューリングし、スケジューリングパケットを送信する。無線ネットワーク12におけるデータ送信はTDMA(Time Division Multiple Access)方式に基づいている。各スレーブノード14は、マスタノード14により送信されるスケジューリングパケットに基づいて自身の送信タイミングを決定し、決定した送信タイミングでデータパケットを送信する。
【0020】
ノード14は、低い送信電力で送信を行う近距離通信と高い送信電力で送信を行う遠距離通信とを切り替えることができる。例えば、マスタノード14は、自身が管理する無線ネットワーク12のスレーブノード14に対して送信を行うために近距離通信を使用し、他の無線ネットワーク12のマスタノード14に対して送信を行うために遠距離通信を使用してよい。
【0021】
隣接する無線ネットワーク12が小規模である場合(例えば各無線ネットワーク12に属するノード数が所定の閾値を下回る場合)、これらの無線ネットワーク12のデータ周波数を同じにしてこれらの無線ネットワーク12に属するすべてのノードを対象としてスケジューリングを行うように、これらの無線ネットワーク12のマスタノード14が協調してスケジューリングを行ってよい。
【0022】
上述した構成を有する無線システム10によれば、ルーティングが容易になる。よって、ネットワーク管理の負荷が軽減される。さらに、全体のデータトラフィック量が抑制される。その結果、安定したデータ通信となるようなルーティング構築が可能となる。
【0023】
図2から図5を参照して、図1に示すノード14の1つに対応する無線装置について説明する。図1に示す他のノード14は図2から図5に関連して説明するものと同じ又は同様の構成を有することができる。
【0024】
図2は、実施形態に係る無線装置100のハードウェア構成例を概略的に示している。図2に示すように、無線装置100は、ハードウェア構成要素として、本体101、移動装置102、プロセッサ103、メモリ104、無線モジュール105、観測装置106、ジャイロセンサ107、及び衛星測位システムとして例えばGPS(Global Positioning System)装置108を備える。無線装置100は、移動装置102、プロセッサ103、メモリ104、無線モジュール105、観測装置106、ジャイロセンサ107、及びGPS装置108に電力を供給するバッテリ(図示せず)をさらに備える。
【0025】
本体101は、移動装置102、プロセッサ103、メモリ104、無線モジュール105、観測装置106、ジャイロセンサ107、GPS装置108、及びバッテリを収容する。
【0026】
移動装置102は、無線装置100の移動及び姿勢変更を可能にする装置である。一例として、移動装置102は、複数のプロペラと、複数のプロペラを回転させる複数のモータと、を備える。
【0027】
プロセッサ103は、移動装置102、メモリ104、無線モジュール105、観測装置106、ジャイロセンサ107、GPS装置108、及びバッテリに電気的に接続され、これらを制御する。プロセッサ103は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの汎用回路である。
【0028】
メモリ104は、制御プログラム及びデータを記憶する。制御プログラムは複数のコンピュータ実行可能命令を含む。制御プログラムは、プロセッサ103により実行されると、後述する一連の処理をプロセッサ103に行わせる。
【0029】
なお、プロセッサ103は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)など、後述する一連の処理を行うように構成された専用回路であってもよい。
【0030】
無線モジュール105は無線信号を送受信する回路を含む。観測装置106は、例えばカメラや電波レーダ、レーザレーダなどといった指向性を持つ観測機器であり、指向方向における観測対象を観測して観測情報(例えば画像データ)を得る。ジャイロセンサ107及びGPS装置108は無線装置100の位置及び姿勢を検出するために使用される。
【0031】
図3は、無線モジュール105に含まれる送信回路110の構成例を概略的に示している。図3において送信回路110の一部が示される。図3に示すように、送信回路110は、並列に設けられる4つのスロット111-1~111-4と、スロット111-1~111-4に接続される合成回路112と、を備える。
【0032】
スロット111-1~111-4の各々は、アナログデジタルコンバータ(ADC)に対応し、送信するパケット(デジタル信号)で搬送波を変調して変調波を生成する。スロット111-1~111-4の各々では、2以上の周波数(例えば16個の周波数F0~F15)間で搬送波の周波数を切り替えることが可能である。
【0033】
合成回路112は、スロット111-1~111-4から出力される変調波を合成して合成変調波を生成する。合成回路112から出力される合成変調波は、無線モジュール105に接続されるアンテナ(図示せず)から無線信号として放射される。
【0034】
ここで説明する実施形態では、スロット111-1、111-2を呼出に使用し、スロット111-3、111-4をデータ送信に使用するものとする。さらに、周波数F0、F1を呼出に使用し、周波数F2~F15をデータ通信に使用するものとする。
【0035】
送信回路110は、近距離通信を行うために1つのスロットを使用し、遠距離通信を行うために2つのスロットを使用してよい。例えば、同じ周波数(例えば周波数F0)がスロット111-1、111-2に設定され、同じパケットがスロット111-1、111-2に入力される。この場合、スロット111-1、111-2から出力される変調波は同じになる。スロット111-1、111-2から出力される変調波は合成回路112により合成され、その結果として、上記パケットを運ぶ無線信号は高電力で送信されることになる。
【0036】
図4は、実施形態に係る無線装置100の機能構成例を概略的に示している。図4に示すように、無線装置100は、送信部151、受信部152、通信制御部153、記憶部154、及びデータ処理部155を備える。送信部151及び受信部152は無線モジュール105により実施され得る。通信制御部153は、無線モジュール105、プロセッサ103、又は無線モジュール105とプロセッサ103の組み合わせにより実施され得る。データ処理部155はプロセッサ103により実施され得る。記憶部154はメモリ104により実施され得る。
【0037】
送信部151は、接続要求パケット、接続応答パケット、データパケットなどのパケットを無線で送信(ブロードキャスト)する。通信制御部153は送信部151によるパケット送信を制御する。通信制御部153については図5を参照して後述する。
【0038】
受信部152は他のノード(他の無線装置)により送信されたパケットを受信する。受信部152により受信されたデータパケットは、記憶部154に一時的に記憶されて、データ処理部155に送出される。データ処理部155は、受信部152により受信されたデータパケットからデータを抽出する。データは、例えば、他のノードの位置情報及び/又は他のノードで得られた観測情報を含む。
【0039】
データ処理部155は、送信対象のデータをペイロードとして含むデータパケットを生成する。送信対象のデータは、例えば、無線装置100の位置情報及び/又は観測装置106により得られた観測情報を含む。また、送信対象のデータは、受信部152により受信されたデータパケットから取得された他のノードに関連する情報を含んでよい。データ処理部155により生成されたデータパケットは、記憶部154に一時的に記憶され、通信制御部153により決定されるタイミングで送信部151により送信される。
【0040】
図5は、通信制御部153の構成例を概略的に示している。図5に示すように、通信制御部153は、送信制御部161、分類部162、判断部163、割当部164、管理部165、及びスケジューリング部166を備える。
【0041】
分類部162は、受信部152により受信されたパケットを分類する。パケットの種別としては、例えば、データパケット、接続要求パケット、接続応答パケット、スケジューリングパケット、解除パケットがある。パケットの種別を示す種別情報は例えばパケットのヘッダに格納される。分類部162はパケットのヘッダに含まれる種別情報に基づいてパケットを分類する。受信パケット(受信部152により受信されたパケット)がデータパケットである場合、分類部162は受信パケットを記憶部154に送出する。受信パケットが接続要求パケットである場合、分類部162は受信パケットを判断部163に送出する。受信パケットが接続応答パケット、スケジューリングパケット、又は解除パケットである場合、分類部162は受信パケットを管理部165に送出する。
【0042】
判断部163は、無線装置100の固有IDと接続要求パケットに含まれる固有IDとの比較に基づいて、無線装置100が接続要求パケットを送信したノードのデータ送信を管理する管理者であるか否かを判断し、判断結果を管理部165に送出する。判断部163は、無線装置100の固有IDが接続要求パケットに含まれる固有IDより小さい場合に、無線装置100が管理者であると判断する。判断部163は、無線装置100が管理者であると判断したことを割当部164に通知する。判断部163は、無線装置100の固有IDが接続要求パケットに含まれる固有IDより大きい場合に、無線装置100が管理者でなく、接続要求パケットを送信したノードが無線装置100のデータ送信を管理する管理者であると判断する。
【0043】
割当部164は、判断部163からの通知を受け取ったときに、接続要求パケットを送信したノードに対してデータ周波数を割り当て、割当結果を管理部165に送出する。割当部164は、接続要求パケットを送信したノードに対してデータ周波数F2~F15のいずれかを割り当てる。一例として、割当部164は、比較的空いているデータ周波数を、接続要求パケットを送信したノードに割り当てるデータ周波数として選択してよい。例えば、割当部164は、他の無線ネットワーク12によるデータ周波数F2~F15の使用状況を観測し、データ周波数F2~F15ごとに使用頻度を求める。割当部164は、データ周波数F2~F15の中から使用頻度が最も小さい又は所定の閾値を下回るデータ周波数を選択してよい。閾値は、固定値であってもよく、データ周波数F2~F15の使用頻度の平均値などの可変値であってもよい。代替として、割当部164は、無線装置100が使用しているデータ周波数の中から使用頻度が最も小さいデータ周波数を選択してよい。例えば、スロット111-3にデータ周波数F2が設定され、スロット111-4にデータ周波数F3が設定されていて、他の無線ネットワーク12によるデータ周波数F2の使用頻度がMであり、他の無線ネットワーク12によるデータ周波数F3にN(M<N)である場合、割当部164は、接続要求パケットを送信したノードにデータ周波数F2を割り当てる。比較的空いているデータ周波数を割り当てることにより、オーバーリーチ干渉が起きる可能性を低くすることができる。
【0044】
管理部165はデータリンクを管理する。管理部165は、データリンクが確立しているノードの固有IDをマスタかスレーブかを示す情報及びデータ周波数を示す情報に関連付けたデータテーブルを保持する。
【0045】
受信部152が接続要求パケットを受信し、無線装置100が管理者であると判断部163が判断した場合、管理部165は、接続要求パケットに含まれる固有IDと、スレーブであることを示す情報と、割当部164により割り当てられたデータ周波数を示す情報と、を含むエントリをデータテーブルに追加する。接続要求パケットを送信したノードが、無線装置100がマスタとして動作する無線ネットワーク12に追加される。
【0046】
受信部152が接続応答パケットを受信した場合には、管理部165は、接続応答パケットを送信したノードの固有IDと、マスタであることを示す情報と、接続応答パケットに含まれる周波数情報により示されるデータ周波数を示す情報と、を含むエントリをデータテーブルに追加する。
【0047】
受信部152がスケジューリングパケットを受信した場合には、管理部165は、無線装置100の固有IDがスケジューリングパケットに含まれるスレーブ情報(後述する)に含まれるか否かを判断する。管理部165は、無線装置100の固有IDがスケジューリングパケットに含まれるスレーブ情報に含まれる場合にスケジューリングパケットを送信制御部161に転送する。
【0048】
受信部152が解除パケットを受信した場合には、管理部165は、解除パケットに含まれる固有IDが無線装置100の固有IDと同じであるか否かを判断する。解除パケットに含まれる固有IDが無線装置100の固有IDと同じである場合、管理部165は、解除パケットを送信したマスタノードに対応するエントリをデータテーブルから削除する。無線装置100が解除パケットを送信したマスタノードの無線ネットワーク12から離脱する。
【0049】
さらに、管理部165は、受信部152が所定の期間にわたってマスタノードからスケジューリングパケットを受信しない場合にデータリンクが切れたと判断し、マスタノードに対応するエントリをデータテーブルから削除する。
【0050】
スケジューリング部166は、無線ネットワーク12におけるデータ送信をスケジューリングする。無線ネットワーク12におけるデータ送信はTDMA方式に基づいている。スケジューリング部166は、無線装置100がマスタとして動作する無線ネットワーク12に属するノードの数に応じて、データ送信を行うノードを切り替える送信周期を決定する。例えば、スケジューリング部166は、ノード数が多いほど送信周期が短くなるように、送信周期を決定する。
【0051】
データ周波数が複数ある場合、スケジューリング部166は、データ周波数ごとにデータ送信をスケジューリングする。例えば、スケジューリング部166は、無線ネットワーク12におけるデータ周波数F2を使用したデータ送信をスケジューリングする場合、無線ネットワーク12に含まれ、データ周波数F2が割り当てられたノードの数に応じて、送信周期を決定する。
【0052】
送信制御部161は、送信部151を通じてデータパケットなどのパケットを送信する。スケジューリング部166が送信周期を決定した場合、送信制御部161は、無線装置100の固有IDと、スケジューリング部166により決定された送信周期と、データ送信可能なノードを示すスレーブ情報と、を含むスケジューリングパケットを生成し、送信する。スレーブ情報はデータ送信可能なノードの固有IDを含む。スレーブ情報はデータ送信可能なノードの数である割当数を示す情報をさらに含んでよい。
【0053】
受信部152がスケジューリングパケットを受信した場合、送信制御部161は、スケジューリングパケットに基づいて無線装置100の送信タイミングを決定し、決定した送信タイミングでデータパケットを送信する。例えば、送信制御部161は、スケジューリングパケットに含まれるデータ送信可能なノードの固有IDから無線装置100が送信を行う順番を決定する。具体的には、送信制御部161は、スケジューリングパケットに含まれる固有IDの中で無線装置100の固有IDが何番目に大きいかに応じて送信順番を決定する。ここで説明する実施形態では、固有IDが小さいほど送信順番が早いとする。例えばスケジューリングパケットに含まれる固有IDの中で無線装置100の固有IDが最も小さい場合、送信制御部161は無線装置100の送信順番が1番目であると認識する。送信制御部161は、スケジューリングパケットに含まれる送信周期と無線装置100の送信順番とから送信タイミングを算出する。
【0054】
無線装置100がデータリンクを有しない場合、送信制御部161は、接続要求パケットを周期的に送信する。無線装置100が所定の期間にわたってデータリンクを有しない場合、送信制御部161は、遠距離通信を使用して接続要求パケットを送信する。
【0055】
送信制御部161は、データ送信が異常になったノードに対してデータリンクの解除を指示する解除パケットを送信する。解除パケットはデータ送信が異常になったノードの固有IDを含む。
【0056】
近距離に多数の無線装置がいると、ネットワークが飽和してしまう。そこで、呼出周波数F0でデータリンクが確立できない且つ他の無線装置の送信電力が大きいと判断したときは、送信制御部161は呼出周波数F1を通常モードから送信電力がより弱い微弱モードに変更し、所定期間中は呼出周波数F1のみで呼出を行う。ただし、管理者間の通信は呼出周波数F0を使用する。
【0057】
次に、無線システム10の動作について説明する。
【0058】
図6は、図5に示される無線装置100により実行される呼出処理の手順例を概略的に示している。ここでは、無線装置100が他の無線装置から接続要求を受ける場合について説明する。データリンクを持たず、接続要求を行う無線装置を対象無線装置と呼ぶ。
【0059】
図6のステップS11において、受信部152は、対象無線装置により送信された接続要求パケットを呼出周波数で受信する。接続要求パケットは対象無線装置の固有IDを含む。
【0060】
ステップS12において、判断部163は、無線装置100の固有IDを受信された接続要求パケットに含まれる対象無線装置の固有IDと比較する。
【0061】
無線装置100の固有IDが対象無線装置の固有IDより小さい場合(ステップS12;Yes)、処理はステップS13に進む。ステップS13において、判断部163は、無線装置100が対象無線装置のデータ送信を管理する管理者であると判断する。具体的には、判断部163は、無線装置100が無線装置100と対象無線装置とを含む無線ネットワークにおけるデータ送信を管理する管理者であると判断する。
【0062】
ステップS14において、割当部164は、対象無線装置にデータ周波数を割り当てる。例えば、割当部164は、比較的空いているデータ周波数を対象無線装置に割り当てる。
【0063】
ステップS15において、送信部151は、接続要求パケットに応答する接続応答パケットを呼出周波数で送信する。接続応答パケットは、無線装置100の固有IDと、対象無線装置の固有IDと、対象無線装置に割り当てたデータ周波数を示す周波数情報と、を含む。これにより、無線装置100がマスタであり、対象無線装置がスレーブであるとして、無線装置100と対象無線装置との間にデータリンクが確立される。
【0064】
無線装置100の固有IDが対象無線装置の固有IDより大きい場合(ステップS12:No)、処理はステップS16に進む。ステップS16において、判断部163は、対象無線装置が無線装置100のデータ送信を管理する管理者であると判断する。具体的には、判断部163は、対象無線装置が無線装置100と対象無線装置とを含む無線ネットワークにおけるデータ送信を管理する管理者であると判断する。
【0065】
ステップS17において、送信部151は、無線装置100の固有IDを含む接続要求パケットを呼出周波数で送信する。対象無線装置は、無線装置100により送信された接続要求パケットを受信し、対象無線装置が無線装置100のデータ送信を管理する管理者であると判断する。対象無線装置は、無線装置100にデータ周波数を割り当て、割り当てたデータ周波数を示す周波数情報を含む接続応答パケットを呼出周波数で送信する。ステップS18において、受信部152は、対象無線装置により送信された接続応答パケットを呼出周波数で受信する。これにより、無線装置100がスレーブであり、対象無線装置がマスタであるとして、無線装置100と対象無線装置との間にデータリンクが確立される。
【0066】
なお、ステップS15又はステップS17では、送信部151は、無線装置100の固有IDと対象無線装置の固有IDとの差に基づいて算出される時間だけ待機した後に接続応答パケット又は接続要求パケットを送信してよい。例えばステップS15において、送信制御部161は、無線装置100の固有IDから対象無線装置の固有IDを引いた差分に基づいてウェイト時間を算出し、対象無線装置による接続要求パケットの送信が完了してからウェイト時間だけ経過したときに接続応答パケットを送信する。例えば、差分が小さいほど、ウェイト時間を短くする。対象無線装置の周囲に複数の無線装置がある場合、複数の無線装置が対象無線装置の接続要求に応答してパケット(接続応答パケット又は接続要求パケット)を一斉に送信するとパケットの衝突が生じる。無線装置100の固有IDと対象無線装置の固有IDとの差に基づいて算出される時間だけ待機した後にパケットを送信することで、このようなパケット衝突の発生を回避又は抑制することができる。
【0067】
対象無線装置は複数の無線装置から接続応答パケットを受け取ることがある。一実施形態では、対象無線装置は、接続応答パケットを送信した無線装置の中から固有IDが最も小さい無線装置を選択し、選択した無線装置が管理者になることを示す確認パケットを呼出周波数で送信してよい。確認パケットは、対象無線装置の固有ID及び選択した無線装置の固有IDを含む。これにより、対象無線装置と対象無線装置が管理者として選択した無線装置との間にデータリンクが確立される。この実施形態では、無線装置は、対象無線装置により管理者として選択された後に(すなわち、確認パケットを受信した後に)周波数割当を行うようにしてもよい。
【0068】
図7は、無線装置Aの固有IDが無線装置Bの固有IDより大きいときの呼出シーケンスを概略的に示している。図7に示すように、無線装置Aは当該無線装置Aの固有IDを含む接続要求パケットを送信する。
【0069】
無線装置Bは、無線装置Aにより送信された接続要求パケットを受信する。無線装置Bは、受信した接続要求パケットからその送信元である無線装置Aの固有IDを取得し、当該無線装置Bの固有IDを無線装置Aの固有IDと比較する。無線装置Bは、当該無線装置Bの固有IDが無線装置Aの固有IDより小さいことを認識し、当該無線装置Bが無線装置Aと無線装置Bとを含む無線ネットワークの管理者であると判断する。無線装置Bは、無線装置Aに割り当てるデータ周波数を決定する。無線装置Bは、当該無線装置Bの固有IDと、無線装置Aの固有IDと、決定したデータ周波数を示す周波数情報と、を含む接続応答パケットを送信する。無線装置Bは自身で決定したデータ周波数へ移行する。例えば、無線装置Bは、送信回路に含まれるデータ送信に使用するスロット(例えば図3に示すスロット111-3)を自身で決定したデータ周波数に設定する。
【0070】
無線装置Aは、無線装置Bにより送信された接続応答パケットを受信する。無線装置Aは、受信した接続応答パケットに含まれる周波数情報により示されるデータ周波数へ移行する。
【0071】
図8は、無線装置Aの固有IDが無線装置Bの固有IDより小さいときの呼出シーケンスを概略的に示している。図8に示すように、無線装置Aは当該無線装置Aの固有IDを含む接続要求パケットを送信する。
【0072】
無線装置Bは、無線装置Aにより送信された接続要求パケットを受信する。無線装置Bは、受信した接続要求パケットからその送信元である無線装置Aの固有IDを取得し、当該無線装置Bの固有IDを無線装置Aの固有IDと比較する。無線装置Bは、当該無線装置Bの固有IDが無線装置Aの固有IDより大きいことを認識し、無線装置Aが当該無線装置Bのデータ送信を管理する管理者であると判断する。無線装置Bは、当該無線装置Bの固有IDを含む接続要求パケットを送信する。
【0073】
無線装置Aは、無線装置Bにより送信された接続要求パケットを受信する。無線装置Aは、当該無線装置Aが無線装置Bのデータ送信を管理する管理者であると判断し、無線装置Bに割り当てるデータ周波数を決定する。無線装置Aは、当該無線装置Aの固有IDと、無線装置Bの固有IDと、決定したデータ周波数を示す周波数情報と、を含む接続応答パケットを送信する。無線装置Aは自身で決定したデータ周波数へ移行する。無線装置Bは、無線装置Aにより送信された接続応答パケットを受信する。無線装置Bは、受信した接続応答パケットに含まれる周波数情報により示されるデータ周波数へ移行する。
【0074】
図9は、図5に示される無線装置100により実行される、無線ネットワークにおけるデータ送信を行う例示の方法を概略的に示している。図9に示すフローは、無線装置100がマスタノードとして動作するときに実行される。
【0075】
図9のステップS21において、スケジューリング部166は、無線ネットワークにおけるデータ送信をスケジューリングする。例えば、スケジューリング部166は、無線装置100がマスタとして動作する無線ネットワークに属するノードをデータ送信可能なノードとして特定し、データ送信可能なノードの数に応じて送信周期を決定する。送信制御部161は、スケジューリング部166により決定された送信周期と、スケジューリング部166により特定されたデータ送信可能なノードの固有IDと、を含むスケジューリングパケットを生成する。
【0076】
ステップS22において、送信部151は、送信制御部161により生成されたスケジューリングパケットをデータ周波数で送信する。データ送信可能なノードとして特定されたノードの各々はスケジューリングパケットに従ってデータ送信を行う。
【0077】
ステップS23において、管理部165は、データ送信が正常に行われたか否かを判断する。例えば、管理部165は、受信部152がデータ送信可能なノードすべてからのデータパケットを受信できたか否かを判断する。管理部165は、受信部152がすべてのノードからのデータパケットを受信できた場合にデータ送信が正常に行われたと判断し、受信部152がいずれかのノードからのデータパケットを受信できなかった場合にデータ送信が異常であったと判断する。データ送信が正常に行われた場合(ステップS23;No)、処理は終了となる。
【0078】
データ送信が異常だったノードがある場合(ステップS23;Yes)、処理はステップS24に進む。ステップS24において、送信制御部161は、データ送信が異常だったノードの固有IDを含む解除パケットを生成してデータ周波数で送信する。
【0079】
図10は、図5に示される無線装置100により実行される、無線ネットワークにおけるデータ送信を行う例示の方法を概略的に示している。図10に示されるフローは、無線装置100がスレーブノードとして動作するときに実行される。
【0080】
図10のステップS31において、受信部152はマスタノードにより送信されたスケジューリングパケットをデータ周波数で受信する。スケジューリングパケットは送信周期及びデータ送信可能なノードの固有IDを含む。
【0081】
ステップS32において、送信制御部161は、受信されたスケジューリングパケットに基づいて無線装置100の送信タイミングを決定する。例えば、送信制御部161は、受信されたスケジューリングパケットに含まれるデータ送信可能なノードの固有IDから無線装置100の送信順番を決定する。具体的には、送信制御部161は、データ送信可能なノードの固有IDの中で無線装置100の固有IDが何番目に大きいかに応じて無線装置100の送信順番を決定する。続いて、送信制御部161は、受信されたスケジューリングパケットに含まれる送信周期と決定した送信順番とから送信タイミングを算出する。
【0082】
ステップS33において、送信部151は、送信制御部161により決定された送信タイミングでデータパケットをデータ周波数でブロードキャストする。
【0083】
ステップS34において、管理部165は受信部152が解除パケットを受信したか否かを判断する。受信部152が解除パケットを受信しなかった場合(ステップS34;No)、処理は終了となる。
【0084】
受信部152が解除パケットを受信した場合(ステップS34;Yes)、処理はステップS35に進む。ステップS35において、管理部165は、データリンクの解除を認識し、呼出に移行する。例えば、管理部165は、解除パケットに含まれる固有IDが無線装置100の固有IDと一致するか否かを判断する。管理部165は、解除パケットに含まれる固有IDが無線装置100の固有IDと一致する場合に、データリンクの解除を認識して呼出に移行する。
【0085】
図11は、実施形態に係るデータ送信シーケンスの一例を概略的に示している。図11に示す例では、無線装置Aがマスタノードであり、無線装置B、C、Dがスレーブノードであり、無線装置B、C、Dには同じデータ周波数が割り当てられている。また、無線装置Bの固有IDは無線装置Cの固有IDより小さく、無線装置Cの固有IDは無線装置Dの固有IDより小さい。
【0086】
無線装置Aは、当該無線装置Aの固有IDと、無線装置Aが決定した送信周期と、スレーブ情報と、当該無線装置Aのデータと、を含むスケジューリングパケットを送信する。マスタノードはスケジューリングパケットで送信対象のデータを送信してよい。無線装置B、C、Dがデータ送信可能なノードとして特定され、スレーブ情報は無線装置B、C、Dの固有IDを含む。無線装置Aによるスケジューリングパケットの送信が完了した時刻をTとし、時刻Tから送信周期に対応する時間が経過した時刻をTとし、時刻Tから送信周期に対応する時間が経過した時刻をTとし、時刻Tから送信周期に対応する時間が経過した時刻をTとする。
【0087】
無線装置B、C、Dの各々は、スケジューリングパケットに基づいて自身の送信タイミングを決定する。スレーブ情報に含まれる固有IDのうち無線装置Bの固有IDが最も小さく、よって、無線装置Bは送信順番が1番目であることを認識する。無線装置Bは、時刻Tから時刻Tまでの期間中にデータパケットをブロードキャストする。例えば、無線装置Bは、時刻Tから所定の時間が経過した後にデータパケットの送信を開始する。
【0088】
スレーブ情報に含まれる固有IDのうち無線装置Cの固有IDが2番目に小さく、よって、無線装置Cは送信順番が2番目であることを認識する。無線装置Cは、時刻Tから時刻Tまでの期間にデータパケットをブロードキャストする。例えば、無線装置Cは、時刻Tから所定の時間が経過した後にデータパケットの送信を開始する。
【0089】
スレーブ情報に含まれる固有IDのうち無線装置Dの固有IDが3番目に小さく、よって、無線装置Dは送信順番が3番目であることを認識する。無線装置Cは、時刻Tから時刻Tまでの期間にデータパケットをブロードキャストする。例えば、無線装置Cは、時刻Tから所定の時間が経過した後にデータパケットの送信を開始する。
【0090】
図12は、実施形態に係るデータ送信シーケンスの他の例を概略的に示している。図12に示すデータ送信シーケンスは、図11に示すデータ送信シーケンスにおいて無線装置Cが異常であったときに実行されるものである。
【0091】
無線装置Aは、前回のデータ送信シーケンスにおいて無線装置Cからのデータパケットの受信に失敗したことから、無線装置Cとのデータリンクが解除されたと判断する。無線装置Aは、当該無線装置Aの固有IDと、当該無線装置Aが決定した送信周期と、スレーブ情報と、当該無線装置Aのデータと、を含むスケジューリングパケットをブロードキャストする。無線装置B、Dがデータ送信可能なノードとして特定され、スレーブ情報は無線装置B、Dの固有IDを含む。無線装置Aによるスケジューリングパケットの送信が完了した時刻をTとし、時刻Tから送信周期に対応する時間が経過した時刻をTとし、時刻Tから送信周期に対応する時間が経過した時刻をTとする。
【0092】
無線装置B、Dの各々は、スケジューリングパケットに基づいて自身の送信タイミングを決定する。スレーブ情報に含まれる固有IDのうち無線装置Bの固有IDが最も小さく、よって、無線装置Bは送信順番が1番目であることを認識する。無線装置Bは、時刻Tから時刻Tまでの期間中にデータパケットをブロードキャストする。スレーブ情報に含まれる固有IDのうち無線装置Dの固有IDが2番目に小さく、よって、無線装置Dは送信順番が2番目であることを認識する。無線装置Dは、時刻Tから時刻Tまでの期間にデータパケットをブロードキャストする。
【0093】
無線装置B、C、Dの各々は、スケジューリングパケットに含まれるスレーブ情報から無線装置Cが無線ネットワークから離脱したことを認識する。無線装置Cは呼出処理に戻る。
【0094】
以上のように、無線システム10では、無線ネットワーク12ごとにデータ送信を管理する管理者(マスタ)が定められ、管理者を定める呼出処理にはデータ通信に使用される周波数とは異なる周波数が使用される。これにより、ルーティングが容易になる、ネットワーク管理の負荷を軽減できる、データトラフィック量を抑制できるなど、効率的なデータ送信が可能になる。その結果、安定したデータ通信となるようなルーティング構築が可能となる。
【0095】
上述した実施形態では、識別子として、無線装置(ノード)に割り当てられた固有IDを使用する。他の実施形態では、識別子として、無線装置のバッテリ残量を使用してよい。マスタノードは遠距離通信と近距離通信の両方を行うため、消費電力が大きい。無線装置のバッテリ残量を識別子として使用する場合、時間経過でマスタの交代が生じる。その結果、無線装置間で消費電力が平準化される。このほか、ネットワークの最短経路によるルーティングで節となるノードが優先的に管理者になるルールや、その通信範囲内に存在するノードの数の多いノードが管理者になるルールを使用してもよい。
【0096】
上述した実施形態では、通信媒体が電波である例を扱っている。通信媒体は、電波に限らず、銅線(例えば電話線)、光ファイバケーブル、同軸ケーブルなどであってもよい。言い換えると、実施形態に係るルーティングは、無線通信システムに限らず、有線通信システム又は無線通信システムと有線通信システムを組み合わせた通信システムにも適用可能である。無線装置は通信装置の一例である。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
10…無線システム、12…無線ネットワーク、14…ノード、100…無線装置、101…本体、102…移動装置、103…プロセッサ、104…メモリ、105…無線モジュール、106…観測装置、107…ジャイロセンサ、108…GPS装置、110…送信回路、111…スロット、112…合成回路、151…送信部、152…受信部、153…通信制御部、154…記憶部、155…データ処理部、161…送信制御部、162…分類部、163…判断部、164…割当部、165…管理部、166…スケジューリング部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12