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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039668
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】自動炊飯設備
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/14 20060101AFI20230314BHJP
【FI】
A47J27/14 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021146904
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】植野 貴也
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AB01
4B054AC02
4B054CC02
4B054CC03
4B054CE13
4B054CG08
(57)【要約】
【課題】米飯の生産性を向上させることが可能な自動炊飯設備を提供すること。
【解決手段】
炊飯釜13に米粒を供給することが可能な配米装置と、米粒を洗米することが可能な洗米装置9と、炊飯釜に供給された米粒の炊飯を行うことが可能な炊飯装置6と、炊飯後の炊飯釜を反転させて米飯を取り出すことが可能な釜反転装置7と、を少なくとも備えた自動炊飯設備1であって、前記炊飯釜に供給する米粒の重量を計測可能な第1計量部と、空の炊飯釜の重量及び当該空の炊飯釜に投入する炊き水の重量を計測可能な第2計量部と、前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量を計測可能な第3計量部71と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯釜に米粒を供給することが可能な配米装置と、
米粒を洗米することが可能な洗米装置と、
炊飯釜に供給された米粒の炊飯を行うことが可能な炊飯装置と、
炊飯後の炊飯釜を反転させて米飯を取り出すことが可能な釜反転装置と、を少なくとも備えた自動炊飯設備であって、
前記炊飯釜に供給する米粒の重量を計測可能な第1計量部と、
空の炊飯釜の重量及び当該空の炊飯釜に投入する炊き水の重量を計測可能な第2計量部と、
前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量を計測可能な第3計量部と、を備える
ことを特徴とした自動炊飯設備。
【請求項2】
前記第3計量部は、前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量に加えて反転前の炊飯釜の重量を計測可能である
請求項1に記載の自動炊飯設備。
【請求項3】
前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量と、前記第2計量部によって計測された前記空の炊飯釜の重量との重量差が、所定の閾値を超えた場合に前記釜反転装置によって再度炊飯釜を反転させることが可能である
請求項1に記載の自動炊飯設備。
【請求項4】
前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量と、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量との重量差が、所定の閾値を超えた場合に前記釜反転装置によって再度炊飯釜を反転させることが可能である
請求項2に記載の自動炊飯設備。
【請求項5】
前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量と、前記第2計量部によって計測された前記空の炊飯釜の重量との重量差から、米飯の出来高を算出することが可能である
請求項2に記載の自動炊飯設備。
【請求項6】
前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量と、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量との重量差から、米飯の出来高を算出することが可能である
請求項2に記載の自動炊飯設備。
【請求項7】
前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果に基づいて、炊飯釜の劣化状態及び損傷状態を判定可能な炊飯釜状態判定手段を備える
請求項1乃至6のいずれかに記載の自動炊飯設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯釜を移動しつつ連続して炊飯することが可能な自動炊飯設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動炊飯設備として、特許文献1に開示されているような、炊飯釜を一方向に連続して搬送・移動させながら炊飯を行う連続炊飯装置がある。さらに、特許文献2に開示されているように、枠体内に釜搬送部、配米・加水部、浸漬部、炊飯・蒸らし部、釜ストック棚を有し、炊飯釜保持アームにより、炊飯工程に応じて炊飯釜を移動させる小型自動炊飯装置がある。
【0003】
このような従来の自動炊飯装置では、炊飯された米飯は、炊飯釜を反転させることで排出され、反転後の炊飯釜は洗浄されて再び炊飯に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-083815号公報
【特許文献2】特開2020-000357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の自動炊飯設備においては、米飯の炊飯品質を目視判断によって行ったり、米飯の生産量については作業者が出来高を予想して決定するなど、炊飯品質の判断や炊飯計画は作業者の経験に委ねられていた。
【0006】
また、炊飯の状態によっては、炊飯釜を反転して米飯を排出する際、米飯の一部が排出されずに炊飯釜の内部に残る場合がある。このような場合、炊飯釜の内部に残った米飯は釜洗浄部等で廃棄処分されるため、自動炊飯設備における生産性が低下してしまう。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、米飯の生産性を向上させることが可能な自動炊飯設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)に係る発明は、炊飯釜に米粒を供給することが可能な配米装置と、米粒を洗米することが可能な洗米装置と、炊飯釜に供給された米粒の炊飯を行うことが可能な炊飯装置と、炊飯後の炊飯釜を反転させて米飯を取り出すことが可能な釜反転装置と、を少なくとも備えた自動炊飯設備であって、前記炊飯釜に供給する米粒の重量を計測可能な第1計量部と、空の炊飯釜の重量及び当該空の炊飯釜に投入する炊き水の重量を計測可能な第2計量部と、前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量を計測可能な第3計量部と、を備えることを特徴とした自動炊飯設備である。
【0009】
(2)に係る発明は、前記第3計量部は、前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量に加えて反転前の炊飯釜の重量を計測可能である上記(1)に記載の自動炊飯設備である。
【0010】
(3)に係る発明は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量と、前記第2計量部によって計測された前記空の炊飯釜の重量との重量差が、所定の閾値を超えた場合に前記釜反転装置によって再度炊飯釜を反転させることが可能である上記(1)に記載の自動炊飯設備である。
【0011】
(4)に係る発明は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量と、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量との重量差が、所定の閾値を超えた場合に前記釜反転装置によって再度炊飯釜を反転させることが可能である上記(2)に記載の自動炊飯設備である。
【0012】
(5)に係る発明は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量と、前記第2計量部によって計測された前記空の炊飯釜の重量との重量差から、米飯の出来高を算出することが可能である上記(2)に記載の自動炊飯設備である。
【0013】
(6)に係る発明は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転前の炊飯釜の重量と、前記第3計量部によって計測された前記釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量との重量差から、米飯の出来高を算出することが可能である上記(2)に記載の自動炊飯設備である。
【0014】
(7)に係る発明は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果が入力されるとともに、前記自動炊飯設備を制御することが可能な制御部を備え、前記制御部は、前記第1計量部、前記第2計量部及び前記第3計量部による計測結果に基づいて、炊飯釜の劣化状態及び損傷状態を判定可能な炊飯釜状態判定手段を備える上記(1)乃至(6)のいずれかに記載の自動炊飯設備である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、炊飯釜に供給する米粒の重量を計測可能な第1計量部と、空の炊飯釜の重量及び当該空の炊飯釜に投入する炊き水の重量を計測可能な第2計量部と、釜反転装置による反転後の炊飯釜の重量を計測可能な第3計量部とを自動炊飯設備に備えることによって、反転後の炊飯釜に残留する米飯を検出することができる他、自動炊飯設備における米飯の出来高を管理して制御することが可能となる。これにより、自動炊飯設備における炊飯歩留りの向上を図ることができる。さらに、自動炊飯設備で使用される全ての炊飯釜を目視等で監視せずとも、常に正確な根拠(データ)に基づいて適切に炊飯釜の状態を管理することができるので、適切なメンテナンスが可能となって、米飯の生産性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の自動炊飯設備の実施例において、前方左上方から見た斜視図である。
図2】本発明の自動炊飯設備の実施例において、前方右上方から見た斜視図である。
図3】本発明の自動炊飯設備の実施例における、正面図である。
図4】本発明の自動炊飯設備の実施例における、左側面図である。
図5】本発明の自動炊飯設備の実施例における、前方左上方から見た斜視図である。
図6】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜反転装置の動作態様を説明する図である。
図7】本発明の自動炊飯設備の実施例における、右側面図である。
図8】本発明の自動炊飯設備の実施例における、上面図である。
図9】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜洗浄部の内側斜視図である。
図10】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜洗浄部の外側斜視図である。
図11】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜洗浄部の内側面透視図である。
図12】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜搬送装置の概略を示す斜視図であり、〔イ〕はアーム縮時、〔ロ〕はアーム伸時、〔ハ〕はアーム回転時である。
図13】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜搬送装置の正面図である。
図14】本発明の自動炊飯設備の実施例における、自動炊飯設備を上面から見たときの機能エリアを示した説明図である。
図15】本発明の自動炊飯設備の実施例における、主フローである。
図16】本発明の自動炊飯設備の実施例における、貯米工程のフローである。
図17】本発明の自動炊飯設備の実施例における、洗米工程のフローである。
図18】本発明の自動炊飯設備の実施例における、米飯取出し工程のフローである。
図19】本発明の自動炊飯設備の実施例における、釜洗浄工程のフローである。
図20】本発明の自動炊飯設備の実施例における、炊飯釜状態判定手段の判定態様を説明する図である。
図21】本発明の自動炊飯設備の別実施例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(自動炊飯設備の設備構成)
図1及び図2には、本実施例における自動炊飯設備1の全体斜視図が示されており、枠体2と、その内部領域に釜搬送装置3、配米装置・加水装置4、釜浸漬棚5(5a~5c)、炊飯装置6(6a~6c)、釜反転装置7、米タンク8、洗米装置9、蓋取り・被せ装置11(11a(不図示)、11b)、釜ストック棚38(38a、38b)、洗浄ポンプ30、洗浄槽31、洗浄釜反転装置32、排気管33、シリンダ34及び制御部12などを少なくとも備えている。
【0018】
そして、制御部12は、自動炊飯設備1全体の稼動状況を把握するとともに、釜搬送装置3を含む各装置の制御を担っている。なお、図1等に示される符号13は炊飯釜であり、符号14はその蓋である。炊飯釜13は開口縁にフランジ15を備え(図11(b)等参照)、蓋14は当該フランジ15に嵌合されている。
【0019】
枠体2は汎用のアルミ形材をフレーム構造に組み立てた直方体となっており、図1、2に加えて図14に示されるように、その内部領域が平面視で前・後に、正面視で左・中央・右に区画されている。そして、内部領域の後面側空間の中央に釜搬送部として釜搬送装置3が配置され、その右側上部の空間と前面側中央上部の空間に炊飯・蒸らし部として炊飯装置6(6a~6c)を、後面側の左側上部空間には米飯取出し部として釜反転装置7、釜反転用開口部26及び蓋取り・被せ装置11bが設けられている。
【0020】
さらに、前面側中央下部の空間には浸漬部として釜浸漬棚5(5a~5c)が配置され、前面側の左側空間には配米・加水部として配米装置・加水装置4、及び蓋取り・被せ装置11a、洗米装置9及び米タンク8が配置されている。
【0021】
また、右側下部空間には釜洗浄部として洗浄槽31等が設けられ、後面側の左側下部空間には釜ストック部として釜ストック棚38(38a、38b)が設けられている。
【0022】
また、前面側の右側の空間には制御部12を構成する制御盤が設けられ、当該制御盤にはタッチパネルによる入力表示装置が設けられている。当該入力表示装置では、炊飯時間や浸漬時間のほか、炊飯工程で同時に炊飯する炊飯釜13の数を設定することも可能である。
【0023】
図12、13等に示されるように、釜搬送装置3は、上下移動部16、回動部17、水平移動部18及び釜保持アーム19を備えており、上記上下移動部16は、枠体2へ垂直方向に固定された垂直電動リニア装置20と、当該垂直電動リニア装置20に取付けられたスライドテーブル21とで主に構成されている。上記回動部17は、上記スライドテーブル21に固定された基板22の下面側に水平回動可能に取り付けられた回動板23を有しており、当該回動板23は基板22に取付けた回転位置決め用のモータ24によって回動制御される。
【0024】
また、上記水平移動部18は、回動板23の下面側に水平に取付けられた水平電動リニア装置25によって構成され、その先端に上記釜保持アーム19が取付けられている。上記した垂直電動リニア装置20、回転位置決め用のモータ24及び水平電動リニア装置25は、制御部12に入力される各種センサからの状態検知信号などに応じてプログラム制御され、釜搬送装置3が動作するように構成されている。
【0025】
すなわち、釜保持アーム19は、枠体2の内部領域において上下移動や水平回転移動することによって、その水平回転位置における釜保持アーム19の進退移動が可能となっており、図14に示される各機能領域へ炊飯釜13を搬送することが可能となっている。
【0026】
また、配米装置・加水装置4には、米タンク8で計量されて洗米装置9で洗米された米が供給され、配米装置は炊飯釜13一釜分の米を、加水装置は炊飯釜13一釜分の炊き水を、当該配米装置・加水装置4の下方領域に搬送された炊飯釜13へと供給する。
【0027】
より詳細に説明すると、米タンク8には炊飯釜13一釜毎の米の重量を計測可能な不図示の第1計量部が設けられており、炊飯釜13一釜分の米を計量して洗米装置9へ投入し、当該洗米装置9によって洗米されるように構成されている。洗米装置9によって洗米された炊飯釜13一釜分の米は、配米装置・加水装置4の配米装置によって炊飯釜13に投入され、さらに、配米装置・加水装置4の加水装置によって炊飯釜13に炊き水が投入される。なお、炊飯釜13一釜分の米の重量は、制御部12において任意に設定された重量となり、実際に第1計量部によって計測された「一釜分の米の重量a」は、制御部12に送信されように構成されている。
【0028】
また、配米装置・加水装置4の下方には、空の炊飯釜13が載置されるとともに、「空の炊飯釜13の重量b」や炊飯釜13に投入される「炊き水の重量c」を計測可能な不図示の第2計量部が設けられており、制御部12において任意に設定された炊飯釜13一釜分の炊き水を計測し、当該計測データは制御部12に送信されように構成されている。
【0029】
釜浸漬棚5(5a~5c)は、炊飯釜13の底部を安定的に受け入れる頑丈な載置台であり、配米装置・加水装置4によって配米・加水された炊飯釜13を支持して炊飯前の浸漬(30~60分)を行う箇所である。
【0030】
本実施例では、炊飯装置6(6a~6c)が3機配置されていることに対応して常時3つの釜浸漬棚5(5a~5c)が使用される。また、図1及び図4に示される2つの釜ストック棚38(38a、38b)は、配米装置・加水装置4の下方領域に搬送される前の空釜を載置しておくために用いられ、さらに、釜反転装置7によって反転されて米飯の取り出しが行われた空釜を一時的に載置するためにも使用される。
【0031】
すなわち、米飯の取り出しが行われ、釜ストック棚38(38a、38b)に一時的に載置された空釜は、後述する釜洗浄部へと釜搬送装置3によって搬送されて洗浄される。そして、上記釜洗浄部で洗浄された空釜は、再び釜ストック棚38(38a、38b)に載置されて、炊飯時に再び利用されるように構成されている。
【0032】
炊飯装置6(6a~6c)では、浸漬後の炊飯釜13が所定時間(15~20分)、所定温度で炊飯され、続けて所定時間(15~30分程度)の蒸らしが行われる。また、本実施例の炊飯装置6(6a~6c)には、炊飯釜13の釜底にあたる部分に不図示の温度センサが設けられており、当該温度センサによる釜底の表面温度の計測データが制御部12に送信されように構成されている。
【0033】
釜反転装置7は、炊飯後の炊飯釜13を反転させて中から米飯を取り出すための装置であり、枠体2の左側後方の側面には、米飯を取り出すための釜反転用開口部26(図1等参照)が形成されている。なお、釜反転用開口部26の外部には、図5に示されているように、米飯収容・計量分配装置27が設けられ、釜反転装置7から受けた米飯を、例えば1食当たりに計量して定量供給することが可能である。
【0034】
より詳細に説明すると、図6に示されるように、釜反転装置7には炊飯釜13の下方に第3計量部71が設けられており、炊飯後の米飯は炊飯釜13とともに第3計量部71に載置され、「炊飯釜13及び炊飯後の米飯の重量d」が計測される(図6(a)参照)。その後、図6(b)に示されるように、炊飯釜13が反転させられて、炊き上がった米飯が炊飯釜13から米飯収容・計量分配装置27へと取り出される。そして米飯が取り出された後の炊飯釜13は再び第3計量部71に載置され、「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」が計測されるように構成されている。また、上記第3計量部71で計測された計測データは、制御部12に送信されるように構成されている。
【0035】
反転された炊飯釜13は空釜として元の姿勢に戻され、前述したように、釜搬送装置3によって一旦釜ストック棚38(38a、38b)に蓋14と共に載置される。そして載置された空釜は釜搬送装置3によって右側下方空間にある釜洗浄部に搬送されて洗浄される。
【0036】
上記釜洗浄部における動作を詳細に説明すると、蓋14によって施蓋された炊飯釜13は、釜ストック棚38(38a、38b)において釜搬送装置3の釜保持アーム19に保持され、その後、釜洗浄部へと搬送される。釜洗浄部にある洗浄槽カバー36の下面には、蓋14の取手に係合する蓋アーム37が設けられており、釜保持アーム19の動作によって、図7に示されるように、蓋14の取手が蓋アーム37に係合されて吊り下げられる。
【0037】
その後、炊飯釜13のみを保持した釜保持アーム19は、図9及び図11(b)に示されるようにして、洗浄槽カバー36に備えられた洗浄釜反転装置32に炊飯釜13を保持させる。そして、洗浄釜反転装置32によって図11(a)に示されるように炊飯釜13は逆さまに反転させられ、シリンダ34の下降動作によって、炊飯釜13及び蓋14は洗浄槽カバー36とともに下降して洗浄槽31内に密閉される。(図9から図10への態様を参照)
【0038】
洗浄槽31には、図11(a)に示されるように、洗浄ポンプ30によって送水された高圧の洗浄水を噴射する洗浄ノズル35が設けられており、炊飯釜13及び蓋14を洗浄するように構成されている。また、本実施例の洗浄槽31には、不図示のブロア装置も設けられており、洗浄槽31内のブロアノズル(不図示)から圧縮空気を炊飯釜13及び蓋14に吹き付けて乾燥させることが可能となっている。
【0039】
また、洗浄槽31には排気管33が設けられており、当該排気管33を介して洗浄槽31内の蒸気をブロアノズルからの圧縮空気とともに、機外に排気できるよう構成されている。なお、本実施例では温水を用いた洗浄工程、すすぎ工程、乾燥工程によって炊飯釜13及び蓋14の洗浄を行っている。
【0040】
上記したような空釜の洗浄が終了すると、シリンダ34の上昇動作によって洗浄槽カバー36が上昇し、洗浄釜反転装置32によって炊飯釜13は元の向きに戻される。そして、釜搬送装置3の釜保持アーム19の動作によって炊飯釜13の保持、蓋14の施蓋が行われ、洗浄後の炊飯釜13及び蓋14は再び釜ストック棚38(38a、38b)へ搬送されて載置される。
【0041】
(自動炊飯設備の制御構成)
次に、自動炊飯設備1の制御部12による制御態様について説明する。
【0042】
自動炊飯設備1の基本動作は、図15の主フローに示されている。まず、S1において貯米工程が実行される。当該貯米工程(S1)では、図16に示されるように、S11において米タンク8の在庫計量が行われる。本実施例では、米タンク8に設けられた第1計量部によって炊飯に必要な米の貯留状況が確認され、米の貯留量が不足する場合はS12において米タンク8への米の供給を指示する制御が実行される。
【0043】
続いて、S2において洗米工程が実行される。当該洗米工程(S2)では、図17に示されるように、S21において炊飯釜13に投入される「一釜分の米の重量a」が第1計量部によって計量される。続いて、S22において計量された米が洗米装置9へ供給されて、洗米装置9による洗米が実行される。
【0044】
S23では、釜ストック棚38(38a、38b)から搬送された炊飯釜13が配米装置・加水装置4の下方領域に配置され、当該配米装置・加水装置4の下方領域に設けられた第2計量部によって、「空の炊飯釜13の重量b」が計測される。その後、洗米装置9で洗米された米が配米装置によって炊飯釜13に供給される。続いてS24では、炊飯釜13に炊き水が加水されるとともに、「炊き水の重量c」が第2計量部によって計測される。
【0045】
なお、上記した「一釜分の米の重量a」や「炊き水の重量c」は、制御部12の入力表示装置によって設定することが可能であるとともに、都度、その計測結果を炊飯釜13ごとに制御部12へ送信されて記録される。また、「空の炊飯釜13の重量b」についても、都度、炊飯釜13ごとに制御部12へ送信されて記録される。
【0046】
続いて、図15の主フローにしたがって、配米・加水された炊飯釜13が釜浸漬棚5(5a~5c)へ搬送されて所定時間(30~60分)供給された米を浸漬する浸漬工程(S3)が実行される。そして、S4の炊飯工程では、浸漬完了後の炊飯釜13が炊飯装置6(6a~6c)へ搬送され、炊飯及び蒸らしが実行される。なお、炊飯装置6(6a~6c)による加熱時間や、蒸らしのための時間は、生米の品種や水分値などに応じて制御部12の入力表示装置から設定することが可能である。
【0047】
S5の米飯取出し工程では、図18に示されるように、S51において蓋14の蓋取りが行われる。すなわち、釜保持アーム19を炊飯装置6(6a~6c)に移動させ、炊飯・蒸らし済みの炊飯釜13を保持して蓋取り・被せ装置11bがある位置(図8のB位置)へと搬送する。搬送後、蓋取り・被せ装置11bに蓋14の摘み部を引っ掛けて蓋14が取り外され、蓋14を外された炊飯釜13は、釜保持アーム19によって釜反転装置7のある位置へと搬送される(図8のA位置)。
【0048】
続いて、釜反転装置7へ搬送された炊飯釜13は、S52において釜反転装置7に設けられた第3計量部71に載置されて、「炊飯釜13及び炊飯後の米飯の重量d」が計測される(図6(a)参照)。その後、S53において図6(b)に示されるように、炊飯釜13が反転させられて、炊き上がった米飯が炊飯釜13から取り出される。米飯が取り出された後の炊飯釜13は再び第3計量部71に載置され(図6(a)参照)、S54において「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」が計測される。
【0049】
またS54では、「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」と、S23において配米装置・加水装置4の下方の第2計量部で計測された「空の炊飯釜13の重量b」とが比較分析される。そして、計測された「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」と「空の炊飯釜13の重量b」との重量差から、反転後の炊飯釜13にこびり付くなどして残存する米飯の量を算出し、米飯の残存量が許容範囲を超えた場合は、S53にリターンして再び炊飯釜13を反転する処理を自動的に実行する。このような処理を実行することで、炊飯釜13に残存する米飯を確実に排出し、炊飯歩留りの向上を図ることができる。また、自動化することで自動炊飯性能が向上するとともに、作業員を常駐させる必要がなくなり、作業員の効率的な配置及び省人化を図ることが可能となる。
【0050】
なお、本発明は必ずしも炊飯釜13を自動的に再反転させることに限定するものではなく、例えば、米飯の残存量が許容範囲を超えた場合に、警報手段等によって報知させるとともに、釜反転装置7を自動停止させ、オペレータによって手動で炊飯釜13の反転操作を行うようにしてもよい。このような構成によっても、炊飯釜13に残存する米飯を確実に排出し、炊飯歩留りの向上を図ることができる。
【0051】
また、反転後の炊飯釜13に残存する米飯量を算出する方法として、反転前に第3計量部71によって計測された「炊飯釜13及び炊飯後の米飯の重量d」と、「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」との重量差から取り出した米飯の重量を算出し、当該算出結果を計画されている炊き上がりの米飯の重量と比較分析することによって、反転後の炊飯釜13に残存する米飯量を算出することも可能である。
【0052】
次に、米飯が取り出されて空となった炊飯釜13(蓋なし)は、S55において、蓋取り・被せ装置11bのある場所(図8のB位置)へ搬送され、取り外されていた蓋14によって施蓋される。
【0053】
続いて、S6では釜洗浄工程が実行される。図16に示されるように、米飯が取り出されて施蓋された空の炊飯釜13は、一旦釜ストック棚38(38a、38b)に載置されており、S61において、これを順次、釜保持アーム19によって保持して釜洗浄部へと搬送する(図8のE位置)。そしてS62では、釜洗浄部の洗浄槽カバー36に設けられた蓋アーム37と洗浄釜反転装置32に、それぞれ蓋14と炊飯釜13を保持させる。
【0054】
その後、S63では、洗浄槽カバー36がシリンダ34の動作によって下降し、炊飯釜13と蓋14は洗浄槽31に密閉されて洗浄ノズル35から噴射される洗浄水によって洗浄される。なお、洗浄水には洗浄剤を混ぜた溶液を使用することが可能である。
【0055】
次にS64では、炊飯釜13と蓋14に付着した洗浄剤を洗い流すためのすすぎ作業が行われる。そしてS65では、不図示のブロア装置を稼働させて、洗浄槽31内に設けられた不図示のブロアノズルから圧縮空気を炊飯釜13及び蓋14に吹き付けて乾燥作業が行われる。
【0056】
続いてS66では、上記の乾燥作業を終えた後、洗浄槽カバー36がシリンダ34の操作によって上昇させられる。そして釜保持アーム19によって炊飯釜13の保持、及び蓋14による施蓋が行われて再び釜ストック棚38(38a、38b)に搬送されて載置される。
【0057】
S7では、自動炊飯設備1による米飯の製造が終了したか否かが判定され、例えば、必要な米飯の生産量に達した場合は、自動炊飯設備1の稼動を終了する。
【0058】
以上、本実施例における自動炊飯設備1の制御構成を説明したが、前述した第1計量部及び第2計量部、第3計量部71における計測データは、全て自動炊飯設備1の制御部12へ送信されて複数の炊飯釜13ごとに記録・管理される。したがって、各炊飯釜13による米飯の出来高、さらにはそれらを累積することによって米飯の全体生産量を管理することが可能となる。
【0059】
すなわち、第3計量部71で計測された「炊飯釜13及び炊飯後の米飯の重量d」から「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」を引くことによって、炊飯釜13が反転させられて、炊き上がった米飯が炊飯釜13から取り出され米飯の重量を算出することが可能となる。また、第3計量部71で計測された「炊飯釜13及び炊飯後の米飯の重量d」から、第2計量部によって計測された「空の炊飯釜13の重量b」を引くことで、炊き上がった米飯の重量を算出することが可能となる。
【0060】
さらに、上記した「炊飯釜13から取り出され米飯の重量」又は「炊き上がった米飯の重量」から、第1計量部で計測された「一釜分の米の重量a」を差し引いて計算することで、米飯の炊き増え量や炊き増え率を算出し、米飯の生産量をより正確にコントロールすることも可能となる。なお、米飯の炊き増え量や炊き増え率の算出においては、一釜ごとに算出することも可能であるが、米飯の総重量から使用した米の総重量を差し引いて計算し、炊き増え量や炊き増え率を算出することも可能である。
【0061】
また、上記した各計測データや算出結果は、タッチパネルによる入力表示装置に表示出力することが可能であり、炊き増え量や炊き増え率に応じて、炊き水の量や炊飯釜13に投入される一釜分の米の重量を入力設定することも可能である。これにより、自動炊飯設備1における米飯の全体生産量を精密に管理して、炊飯歩留りの向上を図ることができる。
【0062】
(炊飯釜の状態判定手段)
次に、本実施例における炊飯釜状態判定手段の構成について説明する。
【0063】
従来、自動炊飯設備を使用する外食チェーンや炊飯工場においては、炊飯釜の劣化・割れ診断を自動的に行っておらず、オペレータが任意のタイミングで、目視検査や検食などにより、炊飯釜の劣化(損耗など)の程度や、割れ(損傷など)等の有無を判断していた。しかし、オペレータが人的に行っていると言っても、自動炊飯設備で使用される炊飯釜の数が多く、管理に多くの工数を要する。また、オペレータによる力量のバラツキによる見逃しリスクや、オペレータの入れ替わり時に引継ぎ不足で放置されてしまうリスクもある。したがって、内釜のフッ素樹脂等の劣化によって、釜反転装置7で炊飯釜13を反転しても、釜底に米飯が残って洗浄処分されることによる歩留まりの低下や、焦げなどによる炊飯品質への悪影響を自動的に予測・検出することができなかった。
【0064】
本実施例では、前述した第1計量部、第2計量部、第3計量部71における重量の計測データに加え、炊飯釜13が最初に自動炊飯設備1に投入された際の「炊飯釜初期重量f」が制御部12に入力され、管理されるように構成されている。例えば、図20に示されるように、炊飯釜13にそれぞれ「釜A01」、「釜A02」、「釜A03」などの個別の識別記号を付与し、炊飯釜13の「初期重量」が記録され、さらに、「再コーティング回数」や「炊飯回数」、「米飯残量過多回数」、「釜損耗検知回数」、「釜高温異常回数」が、制御部12によって記録・管理されている。
【0065】
より詳細に説明すると、「再コーティング回数」は、炊飯釜13の劣化診断の結果に基づいて、フッ素樹脂等を炊飯釜13に再コーティングした回数であり、本実施例では再コーティングの実施日も記録・管理している。例えば、図20に示されるように、「釜A02」で再コーティングが行われた場合は、その回数がカウントアップされて記録・管理される。また、「炊飯回数」は、文字通り各炊飯釜13における炊飯の累積回数である。
【0066】
「米飯残量過多回数」は、第3計量部71によって計測された「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」から「炊飯釜初期重量f」を引いて、反転後の炊飯釜13における残存米飯量を算出し、当該残存米飯量が所定の閾値(本実施例では+50g)以上となった場合にカウントされる回数となる。この回数は炊飯釜13のフッ素樹脂等の劣化診断の指標となるものである。なお、反転後の炊飯釜13における残存米飯量は、前述したように、第3計量部71によって計測された「反転後の空となった炊飯釜13の重量e」から第2計量部によって計測された「空の炊飯釜13の重量b」を引いて算出することも可能である。
【0067】
「釜損耗検知回数」は、炊飯釜13の洗浄後、第2計量部によって計測された「空の炊飯釜13の重量b」から「炊飯釜初期重量f」を引いて釜重量差を算出し、当該釜重量差が所定の閾値(本実施例では-5g)以上マイナスとなった場合にカウントされる回数となり、炊飯釜13が損耗していると判断された回数となる。上記した釜重量差が±0gであれば、損耗はないと判断され、釜重量差がマイナスになることで炊飯釜13が損耗していることが判る。逆に釜重量差がプラスとなった場合も、釜重量差が所定の閾値(本実施例では+10g)以上プラスとなった場合、釜の損耗による米飯の焦げ付きの可能性があることから、「釜損耗検知回数」としてカウントしてもよい。そして、「米飯残量過多回数」を併せて確認することで、炊飯釜13の損耗状況を把握することが可能となる。加えて、釜重量差がプラスとなっていることを把握することで、炊飯釜13の洗浄処理が不十分であることの判断指標にもなる。
【0068】
「釜高温異常回数」は、米や水量の異常等で炊飯釜13が高温となった場合や、空焚きをした場合など、温度センサによる釜底の表面温度が異常に高温となった回数を示すものである。本実施例では、図20のメンテナンス画面に示されるように、各回の異常データを含む温度履歴を蓄積して、表示出力することが可能となっている。このような異常時の状況を制御部12で保存・表示出力することで、炊飯釜13の早期劣化の詳細分析や、劣化問題の早期発見が可能となる。
【0069】
本実施例の炊飯釜13の状態診断手段は、図20に示されるように、制御部12が備えるタッチパネルにおいて、報知表示画面やメンテナンス画面を表示することが可能となっている。報知表示画面は、自動炊飯設備1を運転するオペレータに対してわかりやすく表示するものであり、必要な報知情報を自動的に通知するものである。一方、メンテナンス画面は、炊飯釜13ごとに詳細な履歴データを表示するものであり、特にメンテナンスを行うサービスマンに対して表示することで、メンテナンスの提案や問題点の早期発見に貢献することができる。もちろん、ネット回線を利用して遠隔地から報知情報や履歴データを確認することも可能であり、米飯の品質トラブルなどの相談に対し、メーカーのサービスマンが早期に対応して解決することが可能となる。したがって、全ての炊飯釜13を目視等で監視せずとも、常に正確な根拠(データ)に基づいて適切に炊飯釜13の状態を管理することができる。
【0070】
例えば、図20に示されるように、「米飯残量過多回数」が所定回数(例えば、1回や連続した所定回数など)を超えた場合は、その回数に応じて、「再コーティングしてください。」や「再コーティング間近。」などの報知情報を、報知表示画面を介してオペレータやサービスマンに報知することが可能である。同様に、「釜損耗検知回数」が所定回数(例えば、1回や連続した所定回数など)を超えた場合も、その回数に応じて、「再コーティングしてください。」や「再コーティング間近。」などの報知情報を、報知表示画面を介してオペレータやサービスマンに報知することが可能である。
【0071】
また、本実施例の炊飯釜13の状態診断手段では、前述したように、自動炊飯設備1で使用される複数の炊飯釜13を個々に識別して管理する必要がある。これに対応するため、例えば、個々の炊飯釜13に二次元コードを印字し、各工程における炊飯釜13の停止位置に不図示の読み取り装置を配置することで、個々の炊飯釜13を自動的に識別させて、取得した各計測データやメンテナンス履歴などと紐付けして正確に管理することができる。これにより、自動炊飯設備1の異常停止からの再起動時や、イレギュラーな操作によって炊飯釜13の流れが途切れ、炊飯釜13が入れ替わったような場合でも、個々の炊飯釜13に対応する管理データを有効に活用することができる。
【0072】
(別実施例)
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は必ずしも前述の実施例に限定されるものではない。例えば、図21に示されるような炊飯釜を一方向に連続して搬送・移動させながら炊飯を行う連続炊飯装置にいても本発明を適用することも可能である。すなわち、図示される米タンクに第1計量部を、配米装置・加水装置に第2計量部を、釜反転装置に第3計量部を、炊飯装置に温度センサを設けることにより、前述した実施例のような米飯の管理や炊飯釜の状態診断が可能となる。
【0073】
また、本実施例では制御部12に設けられたタッチパネルによって、炊飯時間や浸漬時間などを設定することが可能であるが、これらに加えて、実行時間(時刻)や、各炊飯釜13の炊き上がり時間(時刻)、炊き上がりの時間間隔などを設定可能にしてもよい。このように構成することで、来店客の来店時間帯に対応して適切な量の米飯を提供することが可能となる。
【0074】
以上、本発明の実施例及び別実施例について説明してきたが、これらの説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 自動炊飯設備
2 枠体
3 釜搬送装置
4 配米装置・加水装置
5(5a~5c) 釜浸漬棚
6(6a~6c) 炊飯装置
7 釜反転装置
8 米タンク
9 洗米装置
11(11a、11b) 蓋取り・被せ装置
12 制御部
13 炊飯釜
14 蓋
15 フランジ
16 上下移動部
17 回動部
18 水平移動部
19 釜保持アーム
20 垂直電動リニア装置
21 スライドテーブル
22 基板
23 回動板
24 回転位置決め用のモータ
25 水平電動リニア装置
26 釜反転用開口部
27 米飯収容・計量分配装置
30 洗浄ポンプ
31 洗浄槽
32 洗浄釜反転装置
33 排気管
34 シリンダ
35 洗浄ノズル
36 洗浄槽カバー
37 蓋アーム
38(38a、38b) 釜ストック棚
71 第3計量部
図1
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