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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039753
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】校正方法、及び電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20230314BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
H01L21/78 R
H01L21/66 D
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147029
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】樋口 優太
(72)【発明者】
【氏名】川原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】昔 根鎬
(72)【発明者】
【氏名】礒野 早織
【テーマコード(参考)】
4M106
5F063
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AB09
4M106CA38
4M106DB04
4M106DB20
4M106DH08
4M106DJ32
5F063AA48
5F063BA33
5F063DD01
5F063DE12
5F063DE16
5F063DE33
(57)【要約】
【課題】切断装置に含まれるカメラの校正を比較的高精度に行なうための校正方法、及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のある局面に従う校正方法は、切断装置に含まれるカメラの校正方法である。切断装置は、パッケージ基板を切断することによって電子部品を製造し、第1画像データに基づいて電子部品の外観検査を行なうように構成されている。第1画像データは、テーブルに配置された電子部品をカメラで撮像することによって生成される。校正方法は、テーブルに配置された校正用プレートをカメラで撮像し、第2画像データを生成するステップと、カメラの校正を行なう前に、校正用プレート及びカメラ間における相対的な傾きを第2画像データに基づいて算出するステップと、相対的な傾きの算出後に上記校正を行なうステップとを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断装置に含まれるカメラの校正方法であって、
前記切断装置は、パッケージ基板を切断することによって電子部品を製造し、第1画像データに基づいて前記電子部品の外観検査を行なうように構成されており、
前記第1画像データは、テーブルに配置された前記電子部品を前記カメラで撮像することによって生成され、
前記校正方法は、
前記テーブルに配置された校正用プレートを前記カメラで撮像し、第2画像データを生成するステップと、
前記カメラの校正を行なう前に、前記校正用プレート及び前記カメラ間における相対的な傾きを前記第2画像データに基づいて算出するステップと、
前記相対的な傾きの算出後に前記校正を行なうステップとを含む、校正方法。
【請求項2】
前記相対的な傾きが所定範囲内に収まっていない場合に、前記校正用プレート及び前記カメラの少なくとも一方の傾きを調整するステップをさらに含む、請求項1に記載の校正方法。
【請求項3】
前記校正を行なうステップにおいては、
前記相対的な傾きが前記所定範囲内に収まっている場合に、前記校正用プレートを前記カメラで撮像することによって、第3画像データが生成され、
前記第3画像データに基づいて前記校正が行なわれる、請求項2に記載の校正方法。
【請求項4】
前記校正は、前記カメラのピクセルサイズを算出することを含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の校正方法。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の校正方法を使用する、電子部品の製造方法であって、
前記校正の結果が所定条件を満たす場合に、前記パッケージ基板を切断することによって前記電子部品を製造するステップを含む、電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記校正の結果が前記所定条件を満たさない場合に、前記切断装置を組み付けなおすステップをさらに含む、請求項5に記載の電子部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、校正方法、及び電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-201143号公報(特許文献1)は、加工装置に含まれる撮像手段のピクセルサイズを測定するための検査方法を開示する。この検査方法においては、ピクセルサイズを測定するために、検査治具が用いられる。この検査治具の表面には、パターンと、該パターンの幅を記録した二次元バーコードとが形成されている。この検査方法においては、検査治具の表面に形成されたパターンの撮像が行なわれ、該パターンの幅に対応するピクセル数が測定される。そして、二次元バーコードから読み取られた該パターンの幅を該パターンの幅に対応するピクセル数で割ることによって、ピクセルサイズが算出される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-201143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パッケージ基板を切断することによって電子部品を製造する切断装置において、電子部品の外観検査が行なわれることがある。電子部品の外観検査は、例えば、検査テーブルに配置された電子部品をカメラで撮像することによって行なわれる。外観検査の品質を向上させるためには、カメラの校正の精度を向上させる必要がある。カメラの校正の一例は、カメラのピクセルサイズを算出することである。しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術によってカメラの校正の精度が十分に向上するとはいえない。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、切断装置に含まれるカメラの校正を比較的高精度に行なうための校正方法、及び電子部品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う校正方法は、切断装置に含まれるカメラの校正方法である。切断装置は、パッケージ基板を切断することによって電子部品を製造し、第1画像データに基づいて電子部品の外観検査を行なうように構成されている。第1画像データは、テーブルに配置された電子部品をカメラで撮像することによって生成される。校正方法は、テーブルに配置された校正用プレートをカメラで撮像し、第2画像データを生成するステップと、カメラの校正を行なう前に、校正用プレート及びカメラ間における相対的な傾きを第2画像データに基づいて算出するステップと、相対的な傾きの算出後に上記校正を行なうステップとを含む。
【0007】
本発明の他の局面に従う電子部品の製造方法は、上記校正方法を使用する、電子部品の製造方法である。電子部品の製造方法は、カメラの校正の結果が所定条件を満たす場合に、パッケージ基板を切断することによって電子部品を製造するステップを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切断装置に含まれるカメラの校正を比較的高精度に行なうための校正方法、及び電子部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】切断装置を模式的に示す平面図である。
図2】スピンドル部を模式的に示す側面図である。
図3】第2光学検査カメラによる検査の様子を模式的に示す図である。
図4】コンピュータのハードウェア構成を模式的に示す図である。
図5】校正用プレートの撮像時における第2光学検査カメラを模式的に示す図である。
図6】校正用の治具の一例を模式的に示す斜視図である。
図7】校正用プレートの平面を模式的に示す図である。
図8】標準試験片の撮像時における第2光学検査カメラを模式的に示す図である。
図9】メンテナンス用の治具の一例を模式的に示す斜視図である。
図10】パターン部の一例を模式的に示す図である。
図11】QFNパッケージのリード面の模様の一例を模式的に示す図である。
図12】BGAパッケージのボール面の模様の一例を模式的に示す図である。
図13】パッケージのモールド面の模様の一例を模式的に示す図である。
図14】切断装置の組み付け後に行なわれる動作手順を示すフローチャートである。
図15】切断装置のメンテナンスのタイミングで行なわれる動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.構成]
<1-1.切断装置の全体構成>
図1は、本実施の形態に従う校正方法に用いられる切断装置1を模式的に示す平面図である。切断装置1は、パッケージ基板(切断対象物)を切断することによって、該パッケージ基板を複数の電子部品(パッケージ部品)に個片化するように構成されている。パッケージ基板においては、半導体チップが装着された基板又はリードフレームが樹脂封止されている。
【0012】
パッケージ基板の一例としては、BGA(Ball Grid Array)パッケージ基板、LGA(Land Grid Array)パッケージ基板、CSP(Chip Size Package)パッケージ基板、LED(Light Emitting Diode)パッケージ基板、QFN(Quad Flat No-leaded)パッケージ基板が挙げられる。
【0013】
また、切断装置1は、個片化された複数の電子部品の各々を検査するように構成されている。切断装置1においては、各電子部品の画像が撮像され、該画像に基づいて各電子部品の検査が行なわれる。該検査を通じて検査データが生成され、各電子部品は「良品」又は「不良品」に分類される。
【0014】
この例においては、切断対象物としてパッケージ基板P1が用いられ、切断装置1によってパッケージ基板P1が複数の電子部品S1に個片化される。以下では、パッケージ基板P1の両面のうち、樹脂封止された面をモールド面と称し、モールド面と反対の面をボール/リード面と称する。
【0015】
図1に示されるように、切断装置1は、構成要素として、切断モジュールA1と、検査・収納モジュールB1とを含んでいる。切断モジュールA1は、パッケージ基板P1を切断することによって複数の電子部品S1を製造するように構成されている。検査・収納モジュールB1は、製造された複数の電子部品S1の各々を検査し、その後、電子部品S1をトレイに収納するように構成されている。切断装置1において、各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0016】
切断モジュールA1は、主として、基板供給部3と、位置決め部4と、切断テーブル5と、スピンドル部6と、搬送部7とを含んでいる。
【0017】
基板供給部3は、複数のパッケージ基板P1を収容するマガジンM1からパッケージ基板P1を1つずつ押し出すことによって、パッケージ基板P1を1つずつ位置決め部4へ供給する。このとき、パッケージ基板P1は、ボール/リード面を上に向けて配置されている。
【0018】
位置決め部4は、基板供給部3から押し出されたパッケージ基板P1をレール部4a上に配置することによって、パッケージ基板P1の位置決めを行う。その後、位置決め部4は、位置決めされたパッケージ基板P1を切断テーブル5へ搬送する。
【0019】
切断テーブル5は、切断されるパッケージ基板Pを保持する。この例においては、2個の切断テーブル5を有するツインカットテーブル構成の切断装置1が例示されている。切断テーブル5は、保持部材5aと、回転機構5bと、移動機構5cとを含んでいる。保持部材5aは、位置決め部4によって搬送されたパッケージ基板P1を下方から吸着することによって、パッケージ基板P1を保持する。回転機構5bは、保持部材5aを図のθ1方向に回転させることが可能である。移動機構5cは、保持部材5aを図のY軸に沿って移動させることが可能である。
【0020】
スピンドル部6は、パッケージ基板P1を切断することによって、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。この例においては、2個のスピンドル部6を有するツインスピンドル構成の切断装置1が例示されている。スピンドル部6は、図のX軸及びZ軸に沿って移動可能である。なお、切断装置1は、一個のスピンドル部6を有するシングルスピンドル構成としてもよい。
【0021】
図2は、スピンドル部6を模式的に示す側面図である。図2に示されるように、スピンドル部6は、ブレード6aと、回転軸6cと、第1フランジ6dと、第2フランジ6eと、締結部材6fとを含んでいる。
【0022】
ブレード6aは、高速回転することによって、パッケージ基板P1を切断し、パッケージ基板P1を複数の電子部品S1に個片化する。ブレード6aは、一方のフランジ(第1フランジ)6d及び他方のフランジ(第2フランジ)6eにより挟持された状態で、回転軸6cに装着される。第1フランジ6d及び第2フランジ6eは、ナット等の締結部材6fによって回転軸6cに固定される。第1フランジ6dは奥フランジとも称され、第2フランジ6eは外フランジとも称される。
【0023】
スピンドル部6には、高速回転するブレード6aに向かって切削水を噴射する切削水用ノズル、冷却水を噴射する冷却水用ノズル、及び、切断屑等を洗浄する洗浄水を噴射する洗浄水用ノズル(いずれも不図示)等が設けられる。
【0024】
再び図1を参照して、切断テーブル5がパッケージ基板P1を吸着した後、第1位置確認カメラ5dによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置が確認される。第1位置確認カメラ5dを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1上に設けられたマークの位置の確認である。該マークは、例えば、パッケージ基板P1の切断位置を示す。
【0025】
その後、切断テーブル5は、図のY軸に沿いスピンドル部6に向かって移動する。切断テーブル5がスピンドル部6の下方に移動した後、切断テーブル5とスピンドル部6とを相対的に移動させることによって、パッケージ基板P1が切断される。その後、必要に応じて第2位置確認カメラ6bによってパッケージ基板P1が撮像され、パッケージ基板P1の位置等が確認される。第2位置確認カメラ6bを用いた確認は、例えば、パッケージ基板P1の切断位置及び切断幅の確認である。
【0026】
切断テーブル5は、パッケージ基板P1の切断が完了した後、個片化された複数の電子部品S1を吸着した状態で、図のY軸に沿ってスピンドル部6から離れる方向に移動する。この移動過程において、第1クリーナ5eによって、電子部品S1の上面(ボール/リード面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。
【0027】
搬送部7は、切断テーブル5に保持された電子部品S1を上方から吸着し、電子部品S1を検査・収納モジュールB1の検査テーブル11へ搬送する。この搬送過程において、第2クリーナ7aによって、電子部品S1の下面(モールド面)の洗浄及び乾燥が行なわれる。
【0028】
検査・収納モジュールB1は、主として、検査テーブル11と、第1光学検査カメラ12と、第2光学検査カメラ13と、配置部14と、抽出部15とを含んでいる。なお、第1光学検査カメラ12は、切断モジュールA1に設けられていてもよい。
【0029】
検査テーブル11は、電子部品S1の光学的な検査のために、電子部品S1を保持する。検査テーブル11は、図のX軸に沿って移動可能である。また、検査テーブル11は、上下反転することができる。検査テーブル11には、電子部品S1を吸着することによって電子部品S1を保持する保持部材が設けられている。
【0030】
第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13は、電子部品S1の両面(ボール/リード面及びモールド面)を撮像する。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査が行なわれる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、検査テーブル11の近傍において、上方を撮像するように配置されている。
【0031】
第1光学検査カメラ12には照明装置12aが設けられ、第2光学検査カメラ13には照明装置13aが設けられている。照明装置12aは、第1光学検査カメラ12による検査時に、検査テーブル11に光を照射するように構成されている。照明装置13aは、第2光学検査カメラ13による検査時に、検査テーブル11に光を照射するように構成されている。
【0032】
第1光学検査カメラ12は、搬送部7によって検査テーブル11へ搬送される電子部品S1のモールド面を撮像する。その後、搬送部7は、検査テーブル11の保持部材上に電子部品S1を載置する。保持部材が電子部品S1を吸着した後、検査テーブル11は上下反転する。検査テーブル11は第2光学検査カメラ13の上方へ移動し、電子部品S1のボール/リード面が第2光学検査カメラ13によって撮像される。一例として、第2光学検査カメラ13による検査について次に説明する。
【0033】
図3は、第2光学検査カメラ13による検査の様子を模式的に示す図である。図3に示されるように、第2光学検査カメラ13による検査は、電子部品S1を下面に保持する検査テーブル11が第2光学検査カメラ13の上方に位置する状態で行なわれる。具体的には、検査テーブル11に保持された電子部品S1が第2光学検査カメラ13により撮像されることによって画像データが生成され、生成された画像データに基づいて電子部品S1のボール/リード面の外観検査が行なわれる。上述のように、電子部品S1のモールド面の外観検査は、第1光学検査カメラ12によって行なわれる。
【0034】
再び図1を参照して、配置部14には、検査済みの電子部品S1が配置される。配置部14は、図のY軸に沿って移動可能である。検査テーブル11は、検査済みの電子部品S1を配置部14に配置する。
【0035】
抽出部15は、配置部14に配置された電子部品S1をトレイに移送する。電子部品S1は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査の結果に基づいて、「良品」又は「不良品」に分別される。抽出部15は、分別の結果に基づいて、各電子部品S1を良品用トレイ15a又は不良品用トレイ15bに移送する。すなわち、良品は良品用トレイ15aに収納され、不良品は不良品用トレイ15bに収納される。良品用トレイ15a及び不良品用トレイ15bの各々は、電子部品S1で満たされると、新たなトレイに取り換えられる。
【0036】
切断装置1は、さらにコンピュータ50とモニタ20とを含んでいる。モニタ20は、画像を表示するように構成されている。モニタ20は、例えば、液晶モニタ又は有機EL(Electro Luminescence)モニタ等の表示デバイスで構成される。
【0037】
コンピュータ50は、例えば、切断モジュールA1及び検査・収納モジュールB1の各部の動作を制御する。コンピュータ50によって、例えば、基板供給部3、位置決め部4、切断テーブル5、スピンドル部6、搬送部7、検査テーブル11、第1光学検査カメラ12、第2光学検査カメラ13、配置部14、抽出部15及びモニタ20の動作が制御される。
【0038】
また、コンピュータ50は、例えば、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、電子部品S1の各種検査を行なう。次に、コンピュータ50について詳細に説明する。
【0039】
<1-2.コンピュータのハードウェア構成>
図4は、コンピュータ50のハードウェア構成を模式的に示す図である。図4に示されるように、コンピュータ50は、演算部70と、入出力I/F(interface)90と、記憶部80とを含み、各構成は、バスを介して電気的に接続されている。
【0040】
演算部70は、CPU(Central Processing Unit)72、RAM(Random Access Memory)74及びROM(Read Only Memory)76等を含んでいる。演算部70は、情報処理に応じて、コンピュータ50内の各構成要素及び切断装置1内の各構成要素を制御するように構成されている。
【0041】
入出力I/F90は、信号線を介して、切断装置1に含まれる各構成要素と通信するように構成されている。入出力I/F90は、コンピュータ50から切断装置1内の各構成要素へのデータの送信、切断装置1内の各構成要素からコンピュータ50へ送信されるデータの受信に用いられる。
【0042】
記憶部80は、例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の補助記憶装置である。記憶部80は、例えば、制御プログラム81を記憶するように構成されている。記憶部80は、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13を用いた検査を通じて生成された検査データを記憶してもよい。
【0043】
[2.外観検査の品質担保]
上述のように、切断装置1においては、第1光学検査カメラ12の撮像画像に基づいて電子部品S1のモールド面の外観検査(以下、「第1外観検査」とも称する。)が行なわれ、第2光学検査カメラ13の撮像画像に基づいて電子部品S1のボール/リード面の外観検査(以下、「第2外観検査」とも称する。)が行なわれる。各外観検査においては、例えば、各カメラのピクセルサイズの情報(以下、「ピクセルサイズ情報」とも称する。)が用いられる。ピクセルサイズ(画像分解能)とは、カメラの各画素の一辺に対応する撮像対象の実際の長さのことをいう。例えば、カメラの1画素によって撮像される撮像対象の一辺の長さが1mmである場合には、ピクセルサイズが1mmとなる。
【0044】
各カメラのピクセルサイズは、各カメラの校正(キャリブレーション)時に算出される。各カメラの校正は、例えば、切断装置1の設置後に行なわれる。第1光学検査カメラ12の校正は、搬送部7に保持された校正用プレート130(後述)を第1光学検査カメラ12で撮像することによって行なわれる。また、第2光学検査カメラ13の校正は、検査テーブル11に保持された校正用プレート130を第2光学検査カメラ13で撮像することによって行なわれる。カメラの校正については、後程詳しく説明する。
【0045】
第1外観検査の品質は、第1光学検査カメラ12のピクセルサイズ情報の精度の影響を受ける。第1光学検査カメラ12のピクセルサイズ情報の精度が高い程、第1外観検査の品質は高くなる。また、第2外観検査の品質は、第2光学検査カメラ13のピクセルサイズ情報の精度の影響を受ける。第2光学検査カメラ13のピクセルサイズ情報の精度が高い程、第2外観検査の品質は高くなる。
【0046】
第1光学検査カメラ12のピクセルサイズ情報の精度は、第1光学検査カメラ12の校正時における第1光学検査カメラ12と校正用プレート130(搬送部7)との間の相対的な傾きの影響を受ける。第1光学検査カメラ12の校正時に、第1光学検査カメラ12の光軸が校正用プレート130に対して垂直に近い程、第1光学検査カメラ12のピクセルサイズ情報の精度は高くなる。
【0047】
また、第2光学検査カメラ13のピクセルサイズ情報の精度は、第2光学検査カメラ13の校正時における第2光学検査カメラ13と校正用プレート130(検査テーブル11)との間の相対的な傾きの影響を受ける。第2光学検査カメラ13の校正時に、第2光学検査カメラ13の光軸が校正用プレート130に対して垂直に近い程、第2光学検査カメラ13のピクセルサイズ情報の精度は高くなる。
【0048】
さらに、第1外観検査の品質は、例えば、電子部品S1の第1外観検査時における第1光学検査カメラ12と電子部品S1(搬送部7)との間の相対的な傾きの影響を受ける。第1外観検査時に、第1光学検査カメラ12の光軸が電子部品S1に対して垂直に近い程、第1外観検査の品質は高くなる。また、第2外観検査の品質は、例えば、電子部品S1の第2外観検査時における第2光学検査カメラ13と電子部品S1(検査テーブル11)との間の相対的な傾きの影響を受ける。第2外観検査時に、第2光学検査カメラ13の光軸が電子部品S1に対して垂直に近い程、第2外観検査の品質は高くなる。
【0049】
このように、第1外観検査の品質を担保するためには、第1光学検査カメラ12と搬送部7との間の相対的な傾きを管理する必要がある。また、第2外観検査の品質を担保するためには、第2光学検査カメラ13と検査テーブル11との間の相対的な傾きを管理する必要がある。
【0050】
切断装置1においては、第1光学検査カメラ12の校正を行なう前に、第1光学検査カメラ12及び校正用プレート130(搬送部7)間における相対的な傾きが算出される。また、第2光学検査カメラ13の校正を行なう前に、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130(検査テーブル11)間における相対的な傾きが算出される。第1光学検査カメラ12及び校正用プレート130間における相対的な傾きの算出と、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きの算出とは、実質的に同一の方法で行なわれる。ここでは代表的に、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きの算出方法について説明する。
【0051】
図5は、校正用プレート130の撮像時における第2光学検査カメラ13を模式的に示す図である。図5に示されるように、第2光学検査カメラ13による校正用プレート130の撮像時に、検査テーブル11は、第2光学検査カメラ13の上方に位置している。検査テーブル11の下面には治具100が配置されている。治具100は、ネジ等の固定部材によって、検査テーブル11の下面の所定位置に固定されている。固定部材によって治具100が検査テーブル11に固定されるため、検査テーブル11における治具100の位置は予め決められた所定位置となる。例えば、所定位置において、治具100の中心位置と検査テーブル11の中心位置とは一致している。
【0052】
図6は、校正用の治具100の一例を模式的に示す斜視図である。図6に示されるように、治具100は、ベース110と、保持プレート120と、校正用プレート130とを含んでいる。ベース110、保持プレート120及び校正用プレート130の各々は、平面視矩形状の板状部材である。校正用プレート130は、保持プレート120に形成された凹部124内に配置され、校正用プレート130の四隅の各々の近傍がネジ122の頭部座面で押圧されることによって保持プレート120に固定されている。
【0053】
図7は、校正用プレート130の平面を模式的に示す図である。図7に示されるように、校正用プレート130には所定のパターンが形成されている。所定のパターンは、例えば、印刷又は切削によって校正用プレート130に形成される。この例においては、校正用プレート130に複数のドットD1が印刷されている。所定パターンに関する情報は、例えば、記憶部80(図4)に予め記憶されている。所定パターンに関する情報の一例としては、ドットD1の直径及びドットD1間の長さが挙げられる。
【0054】
再び図6を参照して、保持プレート120は、保持プレート120の四隅の各々の近傍が押さえ部材114で押圧されることによって、ベース110に固定されている。各押さえ部材114は、第1面部114aと、屈曲部114bと、第2面部114cとを含んでいる。屈曲部114bは、第1面部114a及び第2面部114cの各々に対して屈曲している。押さえ部材114の平面視において、第1面部114a及び第2面部114cは、屈曲部114bから互いに反対方向に延びている。第2面部114cはネジ116によってベース110に固定されており、第1面部114aは保持プレート120をベース110方向に押圧している。これにより、保持プレート120がベース110に固定されている。ベース110には、複数のネジ穴112が形成されている。ネジ穴112にネジを通すことによって、治具100が検査テーブル11の所定位置に固定される。治具100が検査テーブル11の所定位置に固定された状態において、校正用プレート130の中心位置は、例えば、第2外観検査時における電子部品S1の中心位置と同一である。
【0055】
再び図5を参照して、第2光学検査カメラ13は、治具100に含まれる校正用プレート130を撮像し、画像データを生成する。切断装置1においては、生成された画像データに基づいて、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きが算出される。切断装置1においては、例えば、図のθ1方向、θ2方向及びθ3方向の各々における相対的な傾きが算出される。第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きは、例えば、撮像画像における校正用プレート130のパターン(例えば、複数のドットD1)の歪具合に基づいて算出される。
【0056】
このように、切断装置1においては、第1光学検査カメラ12の校正を行なう前に、第1光学検査カメラ12及び校正用プレート130(搬送部7)間における相対的な傾きが算出される。また、第2光学検査カメラ13の校正を行なう前に、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130(検査テーブル11)間における相対的な傾きが算出される。切断装置1によれば、各カメラと校正用プレート130との間における相対的な傾きに問題がないことが確認された上で各カメラの校正が行なわれるため、各カメラの校正の精度を担保することができる。その結果、切断装置1によれば、各外観検査の品質を担保することができる。
【0057】
切断装置1の使用を開始して長期間が経過すると、例えば、各カメラと搬送部7又は検査テーブル11との間の相対的な傾きが変化する場合がある。このような場合には、外観検査の品質が低下する。この他にも様々な要因によって、外観検査の品質が低下する場合がある。切断装置1においては、外観検査の品質低下を抑制するためのメンテナンスが行なわれる。メンテナンスを通じて外観検査のための各種調整が必要であると判定されると、必要な調整が行なわれる。メンテナンスは、各カメラで標準試験片210(後述)を撮像することによって行なわれる。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々を用いたメンテナンスの方法は実質的に同一であるため、ここでは代表的に第2光学検査カメラ13を用いたメンテナンスの方法について説明する。
【0058】
図8は、標準試験片210の撮像時における第2光学検査カメラ13を模式的に示す図である。図8に示されるように、第2光学検査カメラ13による標準試験片210の撮像時に、検査テーブル11は、第2光学検査カメラ13の上方に位置している。検査テーブル11の下面には治具200が配置されている。治具200は、ネジ等の固定部材によって、検査テーブル11の下面の所定位置に固定されている。固定部材によって治具200が検査テーブル11に固定されるため、検査テーブル11における治具200の位置は予め決められた所定位置となる。例えば、所定位置において、治具200の中心位置と検査テーブル11の中心位置とは一致している。
【0059】
図9は、メンテナンス用の治具200の一例を模式的に示す斜視図である。図9に示されるように、治具200は、ベース110と、標準試験片210とを含んでいる。標準試験片210は、平面視矩形状の板状部材である。標準試験片210には、パターン部220が形成されている。パターン部220は、例えば、印刷又は切削によって標準試験片210に形成される。
【0060】
標準試験片210は、各長辺付近において2か所ずつ(計4か所)が押さえ部材114で押圧され、かつ、各長辺付近において3か所ずつ(計6か所)がネジ212によってネジ止めされることによってベース110に固定されている。上述のように、ベース110には、複数のネジ穴112が形成されている。ネジ穴112にネジを通すことによって、治具200が検査テーブル11の所定位置に固定される。
【0061】
図10は、パターン部220の一例を模式的に示す図である。図10に示されるように、パターン部220は、QFNパターン221-225と、BGAパターン231-235と、マークパターン241-244とを含んでいる。QFNパターン221-225、BGAパターン231-235及びマークパターン241-244の各々には、複数の同種類のパッケージの模様が含まれている。各パッケージの模様は、例えば、外観不良のないパッケージを示す。また、QFNパターン221-225、BGAパターン231-235及びマークパターン241-244の各々の大きさは、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々の撮像範囲の大きさ以上である。
【0062】
QFNパターン221-225の各々には、複数のQFNパッケージの模様が含まれている。QFNパターン221-225の各々に含まれているQFNパッケージの模様は、QFNパッケージのリード面を示す。
【0063】
図11は、QFNパッケージのリード面の模様の一例を模式的に示す図である。図11に示されるように、模様229は、QFNパッケージのリード面を示す。
【0064】
再び図10を参照して、QFNパターン221-225の各々には、複数の同じサイズのQFNパッケージの模様が含まれている。QFNパターン221,222,223,224,225には、例えば、2mm角、3mm角、5mm角、7mm角、9mm角のQFNパッケージの模様がそれぞれ含まれている。各模様の各辺の長さに関する情報は、例えば、記憶部80(図4)に予め記憶されている。
【0065】
BGAパターン231-235の各々には、複数のBGAパッケージの模様が含まれている。BGAパターン231-235の各々に含まれているBGAパッケージの模様は、BGAパッケージのボール面を示す。
【0066】
図12は、BGAパッケージのボール面の模様の一例を模式的に示す図である。図12に示されるように、模様239は、BGAパッケージのボール面を示す。
【0067】
再び図10を参照して、BGAパターン231-235の各々には、複数の同じサイズのBGAパッケージの模様が含まれている。BGAパターン231,232,233,234,235には、例えば、2mm角、4mm角、8mm角、10mm角、12mm角のBGAパッケージの模様がそれぞれ含まれている。各模様の各辺の長さに関する情報は、例えば、記憶部80に予め記憶されている。
【0068】
マークパターン241-244の各々には、複数のパッケージの模様が含まれている。マークパターン241-244の各々に含まれているパッケージの模様は、パッケージのモールド面を示す。各パッケージの模様には、文字等を含むマークが含まれている。
【0069】
図13は、パッケージのモールド面の模様の一例を模式的に示す図である。図13に示されるように、模様249は、パッケージのモールド面を示す。モールド面には、例えば、「ABC」という文字を含むマークが形成されている。
【0070】
再び図10を参照して、マークパターン241-244の各々には、複数の同じサイズのパッケージの模様が含まれている。マークパターン241,242,243,244には、例えば、3mm角、4mm角、7mm角、12mm角のパッケージの模様がそれぞれ含まれている。各模様の各辺の長さに関する情報は、例えば、記憶部80に予め記憶されている。
【0071】
再び図8を参照して、第2光学検査カメラ13は、標準試験片210に含まれる複数のパターンのうち撮像対象のパターンの下方に位置する。例えば、切断装置1によって製造される電子部品が2mm角のQFNパッケージである場合に、第2光学検査カメラ13は、標準試験片210のうちQFNパターン221の下方に位置する。この状態で、第2光学検査カメラ13は、標準試験片210を撮像し、画像データを生成する。
【0072】
切断装置1においては、生成された画像データに基づいて、例えば、撮像されたQFNパッケージの模様の一辺の長さが算出される。具体的には、撮像画像におけるQFNパッケージの模様の一辺に対応するピクセル数と、第2光学検査カメラ13の校正時に算出されたピクセルサイズとを積算することによって、QFNパッケージの模様の一辺の長さが算出される。算出された一辺の長さと記憶部80に記憶されている一辺の長さ(基準値)との差に基づいて、外観検査のための各種調整が必要であるか否かが判定される。
【0073】
このように、切断装置1においては、メンテナンス時にピクセルサイズ情報の精度が確認される。切断装置1によれば、メンテナンス時にピクセルサイズ情報の精度に問題がないことが確認された上で電子部品S1の外観検査が行なわれるため、電子部品S1の外観検査の品質を継続的に担保することができる。以下、切断装置1の動作について詳細に説明する。
【0074】
[3.電子部品の製造動作]
<3-1.切断装置の組み付け後における動作>
図14は、切断装置1の組み付け後に行なわれる動作手順を示すフローチャートである。図14を参照して、作業者は、検査テーブル11の所定位置に校正用プレート130(治具100)を組み付ける(ステップS100)。コンピュータ50は、検査テーブル11に固定された校正用プレート130を撮像するように第2光学検査カメラ13を制御する(ステップS105)。コンピュータ50は、第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きを算出する(ステップS110)。
【0075】
コンピュータ50は、算出された傾き情報を表示するようにモニタ20を制御する(ステップS115)。その後、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130間における相対的な傾きが所定範囲に収まっているか否かが判断される。この判断は、例えば、作業者によって行なわれる。
【0076】
相対的な傾きが所定範囲に収まっていないと判断されると(ステップS120においてNO)、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130(検査テーブル11)の少なくとも一方の傾きが調整される(ステップS125)。この傾きの調整は、例えば、作業者によって手動で行なわれる。
【0077】
一方、相対的な傾きが所定範囲に収まっていると判断されると(ステップS120においてYES)、コンピュータ50は、検査テーブル11に固定された校正用プレート130を撮像するように第2光学検査カメラ13を制御する(ステップS130)。コンピュータ50は、第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、第2光学検査カメラ13の校正処理を行なう(ステップS135)。例えば、コンピュータ50は、第2光学検査カメラ13によって生成された画像データ、及び、記憶部80に記憶された校正用プレート130の所定パターンに関する情報に基づいて、第2光学検査カメラ13のピクセルサイズを算出する。これにより、第2光学検査カメラ13の校正が行なわれる。
【0078】
コンピュータ50は、校正結果(例えば、第2光学検査カメラ13のピクセルサイズ)を表示するようにモニタ20を制御する(ステップS140)。その後、第2光学検査カメラ13の再校正の必要性が判断される(ステップS145)。例えば、算出されたピクセルサイズが規格を満たしていない場合に再校正が必要であると判断され、算出されたピクセルサイズが規格を満たしている場合に再校正が不要であると判断される。この判断は、例えば、作業者によって行なわれる。
【0079】
第2光学検査カメラ13の再校正が必要であると判断されると(ステップS145においてYES)、切断装置1の組み付けに原因がある可能性があるため、切断装置1が組付けなおされる(ステップS150)。切断装置1の組付けなおしは、例えば、作業者によって行なわれる。
【0080】
第2光学検査カメラ13の再校正が不要であると判断された場合に(ステップS145においてNO)、第1光学検査カメラ12の校正も完了しているときは、切断装置1における電子部品S1の製造が開始される(ステップS155)。なお、第1光学検査カメラ12についても、第2光学検査カメラ13と同様、ステップS100-S150に対応する動作が行なわれる。
【0081】
このように、切断装置1においては、第1光学検査カメラ12の校正を行なう前に、第1光学検査カメラ12及び校正用プレート130(搬送部7)間における相対的な傾きが算出される。また、第2光学検査カメラ13の校正を行なう前に、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130(検査テーブル11)間における相対的な傾きが算出される。切断装置1によれば、各カメラと校正用プレート130との間における相対的な傾きに問題がないことが確認された上で各カメラの校正が行なわれるため、各カメラの校正の精度を担保することができる。その結果、切断装置1によれば、各外観検査の品質を担保することができる。
【0082】
<3-2.メンテナンスのタイミングにおける動作>
図15は、切断装置1のメンテナンスのタイミングで行なわれる動作手順を示すフローチャートである。図15を参照して、作業者は、検査テーブル11の所定位置に標準試験片210(治具200)を組み付ける(ステップS200)。コンピュータ50は、検査テーブル11に固定された標準試験片210を撮像するように第2光学検査カメラ13を制御する(ステップS205)。
【0083】
コンピュータ50は、第2光学検査カメラ13によって生成された画像データに基づいて、標準試験片210の対象領域の長さを算出する(ステップS210)。コンピュータ50は、例えば、撮像対象である模様(パッケージの模様)の一辺の長さを算出する。コンピュータ50は、算出された一辺の長さと、記憶部80に予め記憶されている撮像対象の模様の一辺の長さ(基準値)とを比較する(ステップS215)。
【0084】
コンピュータ50は、比較結果に基づいて外観検査のための調整の要否を判定する(ステップS220)。例えば、算出された一辺の長さと基準値との差が第1所定値以上である場合には外観検査のための調整が必要であると判定され、算出された一辺の長さと基準値との差が第1所定値未満である場合には外観検査のための調整が不要であると判定される。
【0085】
外観検査のための調整が不要であると判定された場合に(ステップS220においてNO)、第1光学検査カメラ12に関する調整等も完了しているときは、切断装置1における電子部品S1の製造が開始される(ステップS250)。なお、第1光学検査カメラ12についても、第2光学検査カメラ13と同様、ステップS200-S240に対応する動作が行なわれる。
【0086】
一方、外観検査のための調整が必要であると判定されると(ステップS220においてYES)、コンピュータ50は、第2光学検査カメラ13の校正の要否を判定する(ステップS225)。例えば、算出された一辺の長さと基準値との差が第2所定値(第2所定値>第1所定値)以上である場合には第2光学検査カメラ13の校正が必要であると判定され、算出された一辺の長さと基準値との差が第2所定値未満である場合には第2光学検査カメラ13の校正が不要であると判定される。
【0087】
第2光学検査カメラ13の校正が必要であると判定されると(ステップS225においてYES)、例えば、図14のフローチャートに示される動作(校正フロー)が行なわれる(ステップS230)。一方、第2光学検査カメラ13の校正が不要であると判定されると(ステップS225においてNO)、外観検査に影響を与える各種パラメータの調整が行なわれる。各種パラメータの一例としては、照明装置13aの照度に関するパラメータが挙げられる。各種パラメータの調整は、例えば、作業者によって行なわれる。
【0088】
その後、外観検査のための調整が再度必要か否かの判断が行なわれる(ステップS240)。この判断は、例えば、作業者によって行なわれる。再度の調整が必要であると判断されると(ステップS240においてYES)、再びステップS200の動作が行なわれる。一方、再度の調整が不要であると判断された場合に(ステップS240においてNO)、第1光学検査カメラ12に関する調整等も完了しているときは、切断装置1における電子部品S1の製造が開始される(ステップS250)。
【0089】
このように、切断装置1においては、メンテナンス時にピクセルサイズ情報の精度が確認され、各カメラの再校正の必要性等が判断される。切断装置1によれば、メンテナンス時にピクセルサイズ情報の精度に問題がないことが確認された上で電子部品S1の外観検査が行なわれるため、電子部品S1の外観検査の品質を継続的に担保することができる。
[4.特徴]
【0090】
以上のように、切断装置1においては、第1光学検査カメラ12の校正を行なう前に、第1光学検査カメラ12及び校正用プレート130(搬送部7)間における相対的な傾きが算出される。また、第2光学検査カメラ13の校正を行なう前に、第2光学検査カメラ13及び校正用プレート130(検査テーブル11)間における相対的な傾きが算出される。切断装置1によれば、各カメラと校正用プレート130との間における相対的な傾きに問題がないことが確認された上で各カメラの校正が行なわれるため、各カメラの校正の精度を担保することができる。その結果、切断装置1によれば、各外観検査の品質を担保することができる。
【0091】
なお、切断装置1は、本発明における「切断装置」の一例である。第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々は、本発明における「カメラ」の一例である。パッケージ基板P1は、本発明における「パッケージ基板」の一例である。電子部品S1は、本発明における「電子部品」の一例である。搬送部7及び検査テーブル11の各々は、本発明における「テーブル」の一例である。校正用プレート130は、本発明のおける「校正用プレート」の一例である。
【0092】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0093】
<5-1>
上記実施の形態においては、切断装置1のメンテナンス時に外観検査のための調整の要否が判断された。しかしながら、このような判断は必ずしも行なわれる必要はない。少なくとも、切断装置1の設置後において、各カメラの校正前に、校正用プレート130及び各カメラ間における相対的な傾きが撮像画像に基づいて算出されていればよい。
【0094】
<5-2>
また、上記実施の形態においては、第1光学検査カメラ12の校正前に校正用プレート130及び第1光学検査カメラ12間における相対的な傾きが算出され、第2光学検査カメラ13の校正前に校正用プレート130及び第2光学検査カメラ13間における相対的な傾きが算出された。しかしながら、必ずしも各カメラの校正前にカメラ及び校正用プレート130間における相対的な傾きが算出されなくてもよい。少なくとも一方のカメラに関して、カメラの校正前にカメラ及び校正用プレート130間における相対的な傾きが算出されていればよい。
【0095】
<5-3>
また、上記実施の形態においては、切断装置1のメンテナンス時に、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の各々におけるピクセルサイズ情報の精度が確認された。しかしながら、必ずしも第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13の両方についてピクセルサイズ情報の精度が確認される必要はない。例えば、第1光学検査カメラ12及び第2光学検査カメラ13のいずれか一方についてピクセルサイズ情報の精度が確認されるような構成であってもよい。
【0096】
<5-4>
また、各カメラの校正には、各カメラの撮像範囲の大きさ(視野サイズ)を算出することが含まれていてもよい。
【0097】
<5-5>
また、電子部品S1の外観検査においては、電子部品S1のカド部が検出されてもよい。この場合に、電子部品S1のカド部の検出が、撮像画像における輝度の変化量に基づいて検出されてもよい。図15のステップS235において調整されるパラメータには、電子部品S1のカド部を検出するための輝度の変化量の閾値が含まれてもよい。
【0098】
<5-6>
また、図14及び図15のフローチャートにおける一部の動作は作業者(人)によって行なわれた。しかしながら、各動作が切断装置1によって自動的に行なわれてもよい。例えば、各判断が作業者ではなくコンピュータ50によって行なわれてもよい。
【0099】
<5-7>
また、標準試験片210には、矩形状のパッケージの模様が形成されていた。しかしながら、標準試験片210に形成される模様の形状は矩形に限られない。標準試験片210には、例えば、micro SD(登録商標)のような特殊な形状の模様が形成されてもよい。また、標準試験片210には、QFNパッケージ及びBGAパッケージ以外のパッケージ(LGAパッケージ、CSPパッケージ等)の模様が形成されてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0101】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 切断装置、3 基板供給部、4 位置決め部、4a レール部、5 切断テーブル、5a 保持部材、5b 回転機構、5c 移動機構、5d 第1位置確認カメラ、5e 第1クリーナ、6 スピンドル部、6a ブレード、6b 第2位置確認カメラ、6c 回転軸、6d 第1フランジ、6e 第2フランジ、6f 締結部材、7 搬送部、7a 第2クリーナ、11 検査テーブル、12 第1光学検査カメラ、12a,13a 照明装置、13 第2光学検査カメラ、14 配置部、15 抽出部、15a 良品用トレイ、15b 不良品用トレイ、20 モニタ、50 コンピュータ、70 演算部、72 CPU、74 RAM、76 ROM、80 記憶部、81 制御プログラム、90 入出力I/F、100,200 治具、110 ベース、120 保持プレート、124 凹部、130 校正用プレート、112 ネジ穴、114 押さえ部材、114a 第1面部、114b 屈曲部、114c 第2面部、116,122,212 ネジ、210 標準試験片、220 パターン部、221,222,223,224,225 QFNパターン、231,232,233,234,235 BGAパターン、241,242,243,244 マークパターン、229,239,249 模様、A1 切断モジュール、B1 検査・収納モジュール、D1 ドット、M1 マガジン、P1 パッケージ基板、S1 電子部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15