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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023039778
(43)【公開日】2023-03-22
(54)【発明の名称】車両挙動表示システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20230314BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230314BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021147060
(22)【出願日】2021-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】内山 勇司
(72)【発明者】
【氏名】鹿子田 嵩大
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF03
5H181FF14
5H181FF24
5H181FF32
5H181KK07
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】自動運転車両の近傍に存在する他の車両や歩行者等に対して、当該自動運転車両の今後の挙動すなわち動作態様を、的確に報知できる車両挙動表示システムを提供すること。
【解決手段】車両挙動表示システム100は、自動運転車両VEに搭載されて運転制御をする自動運転制御部10と、所定領域内の一例としての駐車場PAに存在する自動運転車両VEについて、自動運転制御部10での制御に基づく挙動に対応した表示指令をする挙動表示指令部50と、駐車場PAに存在して、挙動表示指令部50からの表示指令に基づく表示を行う表示装置70とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両に搭載されて運転制御をする自動運転制御部と、
所定領域内に存在する前記自動運転車両について、前記自動運転制御部での制御に基づく挙動に対応した表示指令をする挙動表示指令部と、
前記所定領域内に存在して、前記挙動表示指令部からの前記表示指令に基づく表示を行う表示装置と
を備える、車両挙動表示システム。
【請求項2】
前記挙動表示指令部は、前記表示指令により、前記自動運転車両の進行方向を、前記表示装置に表示させる、請求項1に記載の車両挙動表示システム。
【請求項3】
前記挙動表示指令部は、前記自動運転制御部での制御に基づく挙動を管理するコントロールセンターである、請求項1及び2のいずれか一項に記載の車両挙動表示システム。
【請求項4】
前記挙動表示指令部は、前記所定領域としてのオートバレーパーキングの駐車領域における駐車管理を行うとともに、当該駐車領域に存在する前記自動運転車両の予定走行経路を決定する走行経路決定部である、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両挙動表示システム。
【請求項5】
前記挙動表示指令部は、前記走行経路決定部として、前記予定走行経路について経路変更の必要性を判定する判定部を有し、前記判定部において、経路変更を要すると判定された場合、前記予定走行経路を変更するとともに、変更後の走行経路に対応する前記表示指令を前記表示装置に対して出力する、請求項4に記載の車両挙動表示システム。
【請求項6】
前記挙動表示指令部は、前記判定部において、経路変更を要すると判定された場合、変更後の走行経路が確定するまで、前記表示指令により、迂回経路を検索中である旨を、前記表示装置に表示させる、請求項5に記載の車両挙動表示システム。
【請求項7】
前記挙動表示指令部は、前記所定領域としての交差点において、前記自動運転車両としての公共交通機関の走行経路を管理する、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両挙動表示システム。
【請求項8】
前記表示装置は、前記所定領域内に存在する携帯端末または前記所定領域内に設置されるデジタルサイネージを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の車両挙動表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動運転車両の挙動を周囲に対して表示する車両挙動表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動運転車両として、自らの判断に基づいて自己の挙動についての表示を自ら行うものが知られている(特許文献1参照)。また、オートバレーパーキングの制御動作に関して、管理側と車両側との間において通信障害が発生した場合に、車両側において退避位置を決定し、当該退避位置へ走行するものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1では、例えば、自動運転車両の挙動を管理する側で判断を行ったり、車両自身以外のものを利用した表示をしたりするものとはなっておらず、周囲に存在する他の車両や歩行者等に対して、当該自動運転車両の挙動を認識させるという観点において、的確な報知とはならない可能性がある。また、上記特許文献2では、オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作に関して開示されているが、自動運転車両の挙動表示については記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-59387号公報
【特許文献2】特開2019-164698号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、自動運転車両の近傍に存在する他の車両や歩行者等に対して、当該自動運転車両の今後の挙動すなわち動作態様を、的確に報知できる車両挙動表示システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための車両挙動表示システムは、自動運転車両に搭載されて運転制御をする自動運転制御部と、所定領域内に存在する自動運転車両について、自動運転制御部での制御に基づく挙動に対応した表示指令をする挙動表示指令部と、所定領域内に存在して、挙動表示指令部からの表示指令に基づく表示を行う表示装置とを備える。
【0007】
上記車両挙動表示システムでは、例えば、自動運転車両の挙動を管理する側からの表示指令に基づいて、対象となる所定領域に存在する表示装置において当該自動運転車両の挙動を表示させることが可能となり、当該自動運転車両の周辺に存在する他の車両や歩行者等に、当該自動運転車両の今後の挙動(動作態様)について的確に報知できる。このように、自動運転車両の今後の挙動について、周囲に存在する他の車両や歩行者等にも認識させることが可能となることで、衝突事故、渋滞及びデッドロック等を回避又は抑制することが可能になる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、挙動表示指令部は、表示指令により、自動運転車両の進行方向を、表示装置に表示させる。この場合、自動運転車両の進行方向を、自動運転車両の周辺に報知できる。
【0009】
本発明の別の側面では、挙動表示指令部は、自動運転制御部での制御に基づく挙動を管理するコントロールセンターである。この場合、コントロールセンターにおける自動運転制御部の挙動管理に対応した内容を、表示装置において表示できる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、挙動表示指令部は、所定領域としてのオートバレーパーキングの駐車領域における駐車管理を行うとともに、当該駐車領域に存在する自動運転車両の予定走行経路を決定する走行経路決定部である。この場合、オートバレーパーキング内を走行する自動運転車両の予定走行経路について、表示装置において表示できる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、挙動表示指令部は、走行経路決定部として、予定走行経路について経路変更の必要性を判定する判定部を有し、判定部において、経路変更を要すると判定された場合、予定走行経路を変更するとともに、変更後の走行経路に対応する表示指令を表示装置に対して出力する。この場合、経路変更に対応した走行経路の表示ができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、挙動表示指令部は、判定部において、経路変更を要すると判定された場合、変更後の走行経路が確定するまで、表示指令により、迂回経路を検索中である旨を、表示装置に表示させる。この場合、検索中である旨を表示することで、例えば自動運転車両が停止したままの状態となっていても、その理由を周囲に対して報知できる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、挙動表示指令部は、所定領域としての交差点において、自動運転車両としての公共交通機関の走行経路を管理する。この場合、例えば交差点を通過する公共交通機関の先の進路方向を、交差点の周辺に存在する他の車両や歩行者等に報知できる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、表示装置は、所定領域内に存在する携帯端末または所定領域内に設置されるデジタルサイネージを含む。この場合、表示装置によって、所定領域内に存在する他の車両や歩行者等に対して、確実に自動運転車両の今後の挙動を認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る車両挙動表示システムを導入した駐車場(オートバレーパーキング)について概要説明をするための概念図である。
図2】車両挙動表示システムの一構成例について示すブロック図である。
図3】車両挙動表示システムにおける動作概要について一例を示す概念図である。
図4】表示装置の一例について示す概念図である。
図5】表示装置の他の一例について示す概念図である。
図6】(A)及び(B)は、オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作について一例を説明するための概念図である。
図7】(A)及び(B)は、オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作について一例を説明するための概念図である。
図8】(A)及び(B)は、オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作における車両挙動表示システムの動作の一例を説明するための概念図である。
図9】オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作における車両挙動表示システムの動作の一例を説明するための概念図である。
図10】車両挙動表示システムによる表示動作について一例を示す概念図である。
図11】表示装置において表示される一連の画像態様について一例を示す概念図である。
図12】車両挙動表示システムにおける動作の流れを説明するためのブロック図である。
図13】(A)~(D)は、車両挙動表示システムにおける一連の動作を説明するためのフローチャートである。
図14】オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作における車両挙動表示システムの動作の他の一例を説明するための概念図である。
図15】(A)~(D)は、表示装置において表示される一連の画像態様について一例を示す概念図である。
図16】第2実施形態に係る車両挙動表示システムを導入した交差点について概要説明をするための概念図である。
図17】(A)及び(B)は、公共交通機関による自己の挙動表示の態様について一例を示す概念的な正面図及び側面図であり、(C)及び(D)は、自動運転車両による自己の挙動表示の態様について一例を示す概念的な正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図1等を参照して、第1実施形態に係る車両挙動表示システムについて、一例を説明する。図1は、本実施形態に係る車両挙動表示システム100を導入した駐車場PAについて概要説明をするための概念図である。
【0017】
本実施形態では、駐車場PAは、いわゆるオートバレーパーキングによる駐車を行う態様となっている。すなわち、駐車場PAを管理するコントロールセンターCCと、自動運転車両VEとの間で通信が行われ、コントロールセンターCCからの指令に従って、自動運転車両VEが自律走行をすることによって駐車範囲MAのうちから指定された駐車位置(車室CR)へ自動的に入庫し、また、当該駐車位置(車室CR)から出庫する。図示の一例では、乗降エリアARのうち、降車用の車寄せAR1で停車した自動運転車両VEから乗員が降車すると、無人になった自動運転車両VEは、各種データを取り扱うサーバ等で構成されるコントロールセンターCCとの通信を開始して、コントロールセンターCCからの指令に従って、駐車範囲MAのうち、指定された車室CR(例えば車室CRa)に向かう。例えば、自動運転車両VEの所有者(降車した乗員)が所持するスマホ(スマートフォン)等から該当する自動運転車両VEのID等の情報がコントロールセンターCCに対して送信されることを契機として、上記のようなオートバレーパーキングによる駐車のための無人による自動運転の動作が開始される。また、出庫に際しては、自動運転車両VEの所有者が所持するスマホ等から呼び出しに関する情報がコントロールセンターCCに対して送信されることを契機として、乗車用の車寄せAR2へ該当する自動運転車両VEを移動させるための無人による自動運転の動作が開始される。
【0018】
以上について、図示の一例では、説明を簡易にするため、駐車場PAでのオートバレーパーキングにおいて、自動運転車両VEの入庫に際しては、自動運転車両VEは、降車用の車寄せAR1から通路PT1を経て駐車範囲MAへ到達し、指定された車室CRに駐車されるものとしている。さらに、自動運転車両VEの出庫に際しては、自動運転車両VEは、駐車していた車室CRから通路PT2を経て乗車用の車寄せAR2へ向かうものとなっている。すなわち、駐車範囲MAへの走行経路は一方通行となっており、かつ、駐車範囲MAは、オートバレーパーキング専用となっているものとする。ただし、この態様に限らず、例えば一方通行でない駐車場において、車両挙動表示システム100を適用することも可能である。
【0019】
なお、以上のような動作を可能とすべく、コントロールセンターCCと自動運転車両VEとにおける通信可能範囲DD1は、破線で囲って示すように、乗降エリアARや駐車範囲MA、さらには、乗降エリアARから駐車範囲MAまでの通路PT1,PT2を含むようになっている。
【0020】
上記のような態様において、駐車範囲MAは、既述のように、オートバレーパーキング専用となっている、すなわち、オートバレーパーキングの対象とならない一般車両や歩行者等は、原則、駐車範囲MAへは、立ち入り禁止になっている。しかしながら、駐車場PAの設置態様等によっては、駐車範囲MAへの一般車両や歩行者を完全に排除できるとは限らず、一般車両や歩行者等が、誤って駐車範囲MAに進入してしまう可能性がある。このような場合、駐車場PAの駐車対象である自動運転車両VEと、駐車対象でない一般車両(自動運転車両VE以外の他の車両)や歩行者との間での衝突事故、渋滞及びデッドロック等が発生する可能性があり、これらを回避、あるいは抑制することは、非常に重要となる。
【0021】
これに対して、本実施形態では、オートバレーパーキングを行う駐車場PAにおいて、自動運転車両VEの挙動を表示する車両挙動表示システム100を導入して、一般車両や歩行者に対して、自動運転車両VEの挙動を認識させることで、かかる事態の回避、あるいは抑制を可能としている。
【0022】
本実施形態に係る車両挙動表示システム100は、自動運転制御部10と、撮像装置20と、判定装置30と、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)と、表示装置70とを備える。
【0023】
自動運転制御部10は、自動運転車両VEに搭載されて運転制御(走行制御)をするための装置であり、ここでは、特に、自動運転制御部10は、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)と通信可能となっていることで、オートバレーパーキングに対応可能となっている。
【0024】
撮像装置20は、駐車場PAについて監視すべく、撮像を行うカメラ(インフラカメラ)で構成される。なお、図中では、1つの撮像装置20のみ示しているが、駐車場PA(特に駐車範囲MA)について隈なく監視を行うべく、複数のカメラを場内に設置する構成にできる。
【0025】
判定装置30は、撮像装置20において撮像された画像データを解析して、駐車場PAの場内において、自動運転車両VEの経路上における障害物の有無といった異常等が発生していないかについて判定を行う。具体的一例としては、駐車場PA(特に駐車範囲MA内)に一般車両や歩行者等が存在しているかいないか、さらには、これらのものを含めた自動運転車両VEにとっての障害物が自動運転車両VEと衝突するおそれがないか、といったことについて、判定を行う。判定装置30について、典型的一構成例としては、撮像装置20を構成する1台のカメラごとに設けられる電子回路等とすることが考えられる。また、判定装置30は、挙動表示指令部50や自動運転制御部10と通信可能となっており、画像データを解析した結果、異常が確認された場合や、衝突のおそれ等がある場合には、確認結果や解析結果に基づく障害物情報や停止指令等を、直ちに送信する態様となっている。
【0026】
挙動表示指令部50は、所定領域内としての通信可能範囲DD1に存在する自動運転車両VEについて、自動運転制御部10での制御に基づく挙動に対応した表示指令を表示装置70に対して行う。既述のように、ここでの一例では、コントロールセンターCCが挙動表示指令部50として機能するものとする。見方を変えると、挙動表示指令部50は、挙動表示についての指令を行うべく、コントロールセンターCCとして、自動運転制御部10での制御に基づく自動運転車両VEの自律走行の挙動を管理するものともなっている。このため、まず、挙動表示指令部50は、所定位置(例えば車室CRa)へ自動運転制御部10を移動させるべく、自動運転制御部10と通信し、自動運転車両VEの位置を把握すべく、自動運転制御部10から自動運転車両VEの位置情報を取得するとともに、自動運転制御部10に対して誘導のための指令信号を送信する。また、本実施形態では、挙動表示指令部50は、判定装置30からの障害物情報に応じて、自動運転車両VEの誘導先を変更すべきか否かについての判定を行う。以上のように、挙動表示指令部50は、所定領域としてのオートバレーパーキングの駐車領域である駐車範囲MAにおける駐車管理を行うとともに、駐車範囲MAに存在する自動運転車両VEの予定走行経路を決定する走行経路決定部(図2を参照して後述する走行経路決定部RD)として機能する。
【0027】
さらに、本実施形態では、挙動表示指令部50は、自動運転車両VEの進路について、表示装置70に表示させるべく、誘導案内経路等に関する情報を含む表示指令を表示装置70に対して送信する。特に、挙動表示指令部50は、自動運転車両VEの進路変更が必要であると判断した場合には、その旨に関する通信を自動運転制御部10との間で行うとともに、自動運転車両VEの挙動の変更態様に関する情報を表示指令として、表示装置70に対して送信する。つまり、挙動表示指令部50は、駐車範囲MAに存在する自動運転車両VEについての自動運転制御部10での制御に基づく挙動に対応した表示指令を、表示装置70に対して行って、表示装置70に自動運転車両VEの挙動を示す表示動作を行わせている。例えば、挙動表示指令部50は、表示指令により、自動運転車両VEの進行方向を、表示装置70に表示させるものとなっている。
【0028】
表示装置70は、所定領域(通信可能範囲DD1)のうち、特に、駐車範囲MA内に存在し、既述のように、挙動表示指令部50からの表示指令に基づく表示動作を行う。これにより、誤って駐車範囲MA内に進入してしまった駐車対象以外の他の車両や歩行者等は、自動運転車両VEの挙動を認知できる。表示装置70は、液晶パネルや有機ELパネル等で構成されるディスプレイ部材(以下、デジタルサイネージという。)であり、駐車場PAの場内において、自動運転車両VEの進行の妨げにならない箇所に設置固定されている。なお、表示装置70の一構成例については、図4図5等を参照して後述する。また、図1に示す一例では、表示装置70を駐車範囲MA内のうち2か所に示しているが、これに限らず、交通の妨げにならない範囲において駐車場PA(特に駐車範囲MA)の種々の箇所に設置可能である。なお、表示装置70は、上記自動運転車両VEの挙動に関する表示のほか、例えば、当該他の車両や歩行者に対して、出場を促す表示を併せて行う態様とすることも可能である。
【0029】
以下、図2として示すブロック図を参照して、上述した車両挙動表示システム100の一構成例についてさらに詳細に説明する。特に、ここでは、コントロールセンターCCが挙動表示指令部50として機能するための一構成例について説明する。
【0030】
図示のように、挙動表示指令部50は、自動運転制御部10での制御に基づく挙動に対応した表示指令を表示装置70に対して行うべく、外部入力部51と、判定部52と、経路生成部53と、外部出力部54とを備える。
【0031】
外部入力部51は、自動運転制御部10や判定装置30から各種情報を取得するためのインターフェース部である。すなわち、挙動表示指令部50は、外部入力部51を介して撮像装置20において撮像された画像データや、これを判定装置30において解析した結果としての障害物情報等の各種情報を取得する。
【0032】
判定部52は、外部入力部より取得した各種データに基づき、各種判定を行う。例えば、判定部52は、自動運転制御部10から送信された自動運転車両VEに関する位置情報と、駐車範囲MA内における駐車状況とに基づき、自動運転車両VEを駐車させるべき位置(車室CRa)について判定する。すなわち、複数の車室CRのうちから自動運転車両VEを駐車に最適な一の車室CRaを決定する。なお、判定部52は、必要に応じて、経路生成部53に自動運転車両VEの経路を作成させる。また、判定部52は、判定装置30からの障害物情報に基づき、自動運転車両VEの経路変更の必要性について判定する。すなわち、一度決定した自動運転車両VEの経路や車室CRaについて、判定部52は、判定装置30から送信された各種情報により把握した状況の変化に基づき、変更すべきか否かを決定する。
【0033】
経路生成部53は、自動運転車両VEの駐車位置(車室CRa)の経路を作成する。例えば、判定部52において新たに自動運転制御部10との通信が開始されて認識された自動運転車両VEについて、判定部52により決定された駐車位置(車室CRa)について、当該車室CRaまでの経路データ(走行ルート)を生成する。
【0034】
さらに、本実施形態では、判定部52において、判定装置30からの障害物情報等に基づいて経路変更が必要と判定された場合、経路生成部53は、判定部52からの要請に応じて、リルートすなわち経路データ(走行ルート)の再生成を行う。
【0035】
以上のように、挙動表示指令部50において、判定部52は、経路生成部53と協働することにより、予定走行経路について経路変更の必要性を判定し、経路変更を要すると判定された場合、予定走行経路を変更するとともに、変更後の走行経路に対応する表示指令を、後述する外部出力部54を介して表示装置70に対して出力する走行経路決定部RDとして機能する。
【0036】
外部出力部54は、上記のように、判定部52における判定結果に基づく各種指示指令を外部に対して出力するためのインターフェース部である。挙動表示指令部50から出力される情報に関して、出力を行う。具体的には、挙動表示指令部50の外部出力部54から自動運転制御部10に対しては、自動運転車両VEの経路データ(走行ルート)が送信され、さらに、経路変更が必要となった場合には、新たな経路データ(走行ルート)が送信される。さらに、本実施形態では、外部出力部54から表示装置70に対して送信する表示指令として、上記自動運転車両VEの走行ルートに関する情報を含むものとしている。特に、経路変更が必要となって、新たな経路データ(走行ルート)が送信される場合、表示装置70において、ルート変更のために自動運転車両VEが停止中である旨や変更後のルート(リルート)に関する表示が行われるようにしている。
【0037】
ここで、図3として示す概念図を参照して、上述した車両挙動表示システム100における動作概要についての一例をまとめる。まず、前提として、自動運転制御部10と挙動表示指令部50との間で通信がなされて、オートバレーパーキングのための処理がなされる。すなわち、自動運転制御部10は、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50から受けた指令信号にしたがって、自動運転車両VEの制御を行う。この上で、車両挙動表示システム100の構成要素としての挙動表示指令部50は、必要に応じて、表示装置70に対して表示指令を送信し、自動運転車両VEの挙動について、表示装置70において表示させるものとなっている。これにより、車両挙動表示システム100では、自動運転車両VEの挙動を管理する側であるコントロールセンターCC(挙動表示指令部50)からの表示指令に基づいて、対象となる駐車範囲MAに存在する表示装置70に対して自動運転車両VEの挙動を表示することが可能となる。したがって、例えば、駐車範囲MAに誤って進入してしまって自動運転車両VEの周辺に存在した状態となっている他の車両や歩行者等に対して、自動運転車両VEの今後の挙動(動作態様)について的確に報知できる。これにより、自動運転車両VEと他の車両や歩行者等との間での衝突事故、渋滞及びデッドロック等を回避又は抑制できる。
【0038】
ここで、表示装置70の一構成例については、設置環境に応じた種々の態様が考えられるが、例えば、図4として概念的に示す一例のように、駐車場PA(駐車範囲MA内)において、自動運転車両VEの通行を妨げないように、上方から吊り下げた状態で、表示装置70を設置することが考えられる。あるいは、図5として概念的に示す一例のように、駐車場PA(駐車範囲MA内)のうち、自動運転車両VEの通行範囲外の領域MAeの地面上に、デジタルサイネージ等で構成される表示器を設置固定することで、表示装置70を構成するようにしてもよい。以上のような態様とすることで、例えば駐車場PA(駐車範囲MA内)に誤って進入してしまった一般車両や歩行者に対して、自動運転車両VEの挙動を示すことができるので、衝突事故、渋滞及びデッドロック等を回避又は抑制できる。また、判定装置30と撮像装置20とを、駐車場PAの場内全域を監視できるように設置することで、車両挙動表示システム100が、自動運転車両VEの経路上における障害物の有無といった異常等が発生していないかについての判定を行えるものとなっているようにしてもよい。このような態様とした場合、例えば自動運転車両VEと一般車両が混在する駐車場についても、本システムは、成立する。
【0039】
以下、図6等を参照して、オートバレーパーキングにおける自動運転車両VEの制御動作の一例について説明する。ここでは、図6(A)及び図6(B)等に示すように、駐車場PAの駐車範囲MA内に誤って一般車両VExが進入した場合に、一の自動運転車両VEである自動運転車両VEaに関してなされる挙動表示について一例を説明する。
【0040】
まず、図6(A)に例示するように、自動運転車両VEaは、挙動表示指令部50でもあるコントロールセンターCCからの指示に従って、複数の車室CRのうち予め設定された一の車室CRaを駐車位置(目的地)として、矢印AA1を走行予定ルートとして自動運転制御部10による制御化で自律走行により進んでいるものとする。より具体的に、図示の一例では、自動運転車両VEaは、通路PT1を走行中であり、矢印AA1に示すように、駐車場PAの駐車範囲MAのうち、駐車範囲MAのうち中央通路MS1を通って目的の車室CRaに向かうようにルートが設定されている。
【0041】
これに対して、図6(B)に示すように、中央通路MS1を監視対象範囲とする判定装置30によって、自動運転車両VEaがまだ通路PT1を走行中で中央通路MS1に到達するよりも前の時点で、中央通路MS1に一般車両VExが存在することが検出された場合、その旨がコントロールセンターCCに通知されたとする。この場合、コントロールセンターCCは、自動運転車両VEaの走行予定ルート(矢印AA1)が使用不能であると判断し、まず、自動運転制御部10に対して、停止指令を通知する。さらに、コントロールセンターCCは、図7(A)に示すように、別の新たなルートの候補を検索する。すなわち、駐車場PAの駐車状況を勘案して、複数の車室CRのうちから、再度、目的地とすべきものの候補CRp及び候補CRpへの走行ルート(矢印CP1,CP2)を検索する。コントロールセンターCCは、図7(B)に示すように、上記検索の結果、候補CRpのうちの一の車室CRを新たな駐車位置(目的地)として決定すると、新たに定めた目的の車室CRaに向かう走行予定ルート(矢印AA2)を、自動運転車両VEaに搭載された自動運転制御部10に対して通知する。これにより、自動運転車両VEaは、新たに設定された矢印AA2で示す走行予定ルートに沿って自律走行を再開する。
【0042】
なお、上記態様において、コントロールセンターCCは、挙動表示指令部50として、例えば図6(B)に示す状況下においては、表示装置70に対して、一般車両VExに中央通路MS1をそのまま直進して駐車範囲MAから速やかに退出させための通知を表示させるべく、表示指令を出すようにしてもよい。さらに、挙動表示指令部50としてのコントロールセンターCCは、例えば図7(A)や図7(B)に示す状況下においては、表示装置70に対して、自動運転車両VEaの走行ルート(変更後の走行ルートである矢印AA2)を併せて示すことで、一般車両VExに対して、自動運転車両VEaが一般車両VExの走行継続(直進)を妨げないものである旨を明示するようにしてもよい。
【0043】
次に、図8等を参照して、オートバレーパーキングにおける自動運転車両VEの制御動作の他の一例について説明する。ここでは、特に、自動運転車両VEの制御動作を行うコントロールセンターCCが挙動表示指令部50として動作する場合を考慮した一例について、説明する。
【0044】
図8(A)に示す場合は、先ほどの一例と異なり、判定装置30によって、自動運転車両VEaが中央通路MS1に到達した後に、中央通路MS1に一般車両VExが存在することが検出された場合について示している。すなわち、図8(A)では、自動運転車両VEaが、最初に予定された矢印AA1で示す走行ルートに沿って自律走行し、既に中央通路MS1を走行している状態において、一般車両VExの検知があった場合を示している。この場合、判定装置30における解析結果として、衝突発生の可能性が示されるものとなり、その旨が挙動表示指令部50としてのコントロールセンターCCに通知されるとともに、自動運転車両VEa(自動運転制御部10)に対してもその解析結果に関する通知がなされる。具体的には、一般車両VExとの衝突を回避すべく、判定装置30から自動運転車両VEaに対して、停止指令がなされる。
【0045】
以上に対して、コントロールセンターCCは、図8(B)に示すように、自動運転車両VEaの停止を確認しつつ、別の新たなルートの候補の検索、すなわち、駐車場PAの駐車状況を勘案して、複数の車室CRのうちから、再度、目的地とすべきものの候補CRp及び候補CRpへのルート(矢印CP1,CP2)の検索をする。さらに、この際に、コントロールセンターCCは、車両挙動表示システム50として、自動運転車両VEaとの衝突回避のために新たな走行ルートについて検索中であることを表示装置70において表示させるため、表示装置70に対して対応する表示指令を出力する。なお、挙動表示指令部50は、判定部52(図2参照)において、経路変更を要すると判定された場合、変更後の走行経路が確定するまで、上記表示指令により、迂回経路を検索中である旨を、表示装置70に表示させ、これを維持した状態とすることができる。
【0046】
さらに、車両挙動表示システム50(コントロールセンターCC)は、上記検索の結果、候補CRpのうちの一の車室CRを新たな駐車位置(目的地)として決定すると、図9に示すように、新たに定めた目的の車室CRaに向かう走行予定ルート(矢印AA2)を、自動運転車両VEaに搭載された自動運転制御部10に対して通知するとともに、新たに設定された走行予定ルートについて表示装置70において表示させるため、表示装置70に対して対応する表示指令を出力する。これにより、例えば図10に例示するように、一般車両VExの運転手は、対峙する自動運転車両VEaの挙動について、表示装置70から理解することが可能になる。
【0047】
なお、上記態様の場合、図11に例示するように、表示装置70においては、衝突回避のために自動運転車両VEaを停止することを示す表示(状態α1)から、リルートのための検索すなわち車両停止を継続することを示す表示(状態α2)、さらには、リルート後の走行方向を示す表示(状態α3)について、一連で示されることとなる。すなわち、一般車両VExに対しての自動運転車両VEaの挙動明示ができる。
【0048】
以下、図12として示すブロック図を参照して、上述した構成の車両挙動表示システム100における動作の流れについて一例を説明する。なお、既述のように、また、図示のように、車両挙動表示システム100は、自動運転制御部10と、撮像装置20と、判定装置30と、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)と、表示装置70とで構成されている。
【0049】
まず、インフラ側の設備である撮像装置20と判定装置30とに関して、インフラカメラで構成される撮像装置20は、監視対象範囲について常時撮像を行い、撮像により取得した画像データから一般車両VEx等の障害物の抽出、さらには、それらの位置や速度の抽出を行い、抽出結果を判定装置30に対して出力する。判定装置30は、I2V(Infrastructure to Vehicle)すなわちインフラ側から車両側へ情報を提供するものである。判定装置30は、I2Vとして、撮像装置20等から取得した情報に基づいて行った判定結果を、自動運転車両VEaに対して、すなわち自動運転制御部10に対して、送信する。なお、判定装置30は、近距離無線通信により、自動運転制御部10から自動運転車両VEaの位置や速度の情報提供を予め受けるものとなっていることで、撮像装置20からの情報と自動運転制御部10からの情報とに基づいて、一般車両VEx等の障害物と自動運転車両VEaとの衝突予測を行う態様とすることが可能である。また、判定装置30は、衝突予測についての判定結果として衝突の可能性ありと判定した場合には、自動運転車両VEaに対して、衝突を回避すべく停止指令を行う。
【0050】
また、判定装置30は、撮像装置20から取得した各種情報や、判定装置30において行った判定結果を、障害物情報等として、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)に対して出力する。
【0051】
一方、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50は、自動運転制御部10に対して、自動運転車両VEaを所定位置に駐車させる(誘導を行う)ための情報提供すなわち走行ルートの通知をする。この際、挙動表示指令部50は、上記した判定装置30から送信される障害物情報等の各種情報に基づき、必要に応じて、誘導内容を変更し、変更した結果に基づく新たな誘導についての情報(新たに設定された走行ルート)を、自動運転制御部10に対して提供する。さらに、挙動表示指令部50は、上記のような自動運転車両VEaの誘導すなわち自動運転車両VEaの挙動についての内容について、必要に応じて表示装置70に表示させるべく、表示指令を表示装置70に対して出力する。なお、このほか、表示装置70による表示に加えて、一般車両VExに対する自動運転車両VEaによる挙動表示として、自動運転車両VEa側から一般車両VExに対して挙動を直接的に示すものとしてもよい。例えば、左右方向についてのウインカー表示が一般的であるが、これに限らず、自動運転車両VEaに表示部等を設ける構成とすることが考えられる(図17を参照して、一例を後述する。)。
【0052】
以下、図13(A)~図13(D)のフローチャートを参照して、車両挙動表示システム100における各部とそれらの一連の動作について、一例を説明する。図中のうち、図13(A)は、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)についての動作の一例を示すフローチャートであり、図13(B)は、表示装置70についての動作の一例を示すフローチャートであり、図13(C)は、自動運転制御部10(自動運転車両VE,VEa)についての動作の一例を示すフローチャートであり、図13(D)は、判定装置30についての動作の一例を示すフローチャートである。
【0053】
最初に、図13(A)に示すように、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)は、動作を開始すると、まず、駐車位置への誘導を行う対象となる車両の検出を行う(ステップS101)。すなわち、挙動表示指令部50は、駐車管理を行うコントロールセンターCCとして、駐車の誘導を受けようとする自動運転車両VEa(VE)の自動運転制御部10との間での通信を行い、該当車両の存在を確認する。ステップS101において、対象となる自動運転制御部10の自動運転車両VEaを検出すると(ステップS101:Yes)、挙動表示指令部50は、自動運転車両VEaの駐車位置(車室CRa)の決定とともに当該駐車位置までの走行ルートの設定を行い(ステップS102)、設定した走行ルートに沿った自律走行を行わせるべく自動運転制御部10に対して指示をする(ステップS103)。
【0054】
ステップS103による指示の後、挙動表示指令部50は、自動運転車両VEaが目的位置である駐車位置(車室CRa)に到達したか否かを確認する(ステップS104)。すなわち、挙動表示指令部50は、自動運転制御部10から駐車完了等の目的位置到達を示す信号を受信したか否かを確認する。ステップS104において、目的位置到達が確認された場合(ステップS104:Yes)、挙動表示指令部50は、一連の処理を終了して、新たな自動運転車両VEに対する案内を行うべく、再度、ステップS101からの動作を繰り返す。
【0055】
一方、ステップS104において、目的位置到達が確認されない場合(ステップS104:No)、挙動表示指令部50は、自動運転車両VEaを停止(一旦停止)させる必要があるか否かを確認する(ステップS105)。
【0056】
ステップS105において、停止させる必要があると判定された場合(ステップS105:Yes)、挙動表示指令部50は、さらに、走行ルートの変更が必要であるか否かを判定する(ステップS106)。
【0057】
ステップS106において、走行ルートの変更が必要であると判定された場合(ステップS106:Yes)、挙動表示指令部50は、走行ルートの再設定を行う(ステップS107)。
【0058】
ここで、ステップS105において自動運転車両VEaを停止させる必要がある場合や、ステップS106において走行ルートの変更が必要となる場合についての典型例としては、上述したように、一般車両VExが検知され、これが自動運転車両VEaの走行ルートに影響を及ぼす状況となる場合等があげられる。
【0059】
ステップS107における走行ルートの再設定がなされると、挙動表示指令部50は、新たに設定された走行ルートの情報を自動運転車両VEaの自動運転制御部10に対して通知する。すなわち、挙動表示指令部50は、新たに設定した走行ルートに沿った自律走行を行わせるべく自動運転制御部10に対して指示をする(ステップS108)。
【0060】
ステップS108における指示の後や、ステップS105において、停止させる必要がないと判定された場合(ステップS105:No)には、挙動表示指令部50は、ステップS104に戻って、自動運転車両VEaが目的位置である駐車位置(車室CRa)に到達したか否かを確認する。また、ステップS106において、走行ルートの変更が必要ないと判定された場合(ステップS106:No)には、停止が解除されるのを待って(ステップS109)、ステップS104に戻る。
【0061】
以上のような挙動表示指令部50における一連の動作のうち、例えばステップS105において、自動運転車両VEaを停止させる必要があると判定された場合(ステップS105:Yes)、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50から自動運転制御部10に対して停止指令が通知されることになる。この際、挙動表示指令部50は、必要に応じて、併せてその旨を表示装置70に対して通知する。すなわち、自動運転車両VEaが停止する旨を表示装置70において表示させるための表示指令をする。
【0062】
また、例えばステップS107において、走行ルートの再設定が開始されると、挙動表示指令部50は、表示装置70に対して、新たなルートを検索中である旨を表示させるための表示指令を通知する。さらに、ステップS108において、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50から自動運転制御部10に対して新たに設定した走行ルートに沿った自律走行を行わせるための指示がなされると、この際、挙動表示指令部50は、併せて新たな走行ルートに関する情報とともにこれを表示させるための表示指令を表示装置70に対して通知する。
【0063】
次に、図13(B)に示すように、表示装置70は、動作を開始すると、まず、挙動表示指令部50から表示指令があったか否かの確認を継続し(ステップS201)、表示指令が確認されると(ステップS201:Yes)、指令に応じた表示動作を行い(ステップS202)、ステップS201に戻って、新たな表示指令の有無の確認をする。表示装置70は、以上の動作を繰り返す。なお、ステップS201において受信する表示指令の具体的内容については、図13(A)を参照して説明した通りである。
【0064】
次に、図13(C)に示すように、自動運転制御部10は、バレーパーキングによる駐車の対象となるために、まず、駐車のための誘導(走行ルートの情報)を得るべく、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)に対して、送信を行うこと等により、通信開始されたか否かについて確認されるまでこれを継続して行う(ステップS301)。
【0065】
ステップS301において、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)との通信の成立が確認されると(ステップS301:Yes)、自動運転制御部10は、自己の搭載された自動運転車両VEaについての駐車位置(車室CRa)までの走行ルートの情報を挙動表示指令部50から受信したか否かについて確認されるまでこれを継続して行う(ステップS302)。
【0066】
ステップS302において、走行ルートを受け取ると(ステップS302:Yes)、自動運転制御部10は、当該走行ルートに沿った自律走行(自動走行)をする(ステップS303)。なお、ここで、自動運転制御部10は、近距離通信可能な範囲に判定装置30が存在する場合には、これに対して、自己の位置等とともに当該走行ルートの情報を提供する。
【0067】
次に、自動運転制御部10は、ステップS303での走行の結果、目的位置である駐車位置(車室CRa)に自動運転車両VEaが到達したか否かを確認する(ステップS304)。ステップS304において、目的位置に到達したことが確認された場合(ステップS304:Yes)、自動運転制御部10は、一連の処理を終了する。なお、この際、自動運転制御部10は、挙動表示指令部50に対して、駐車完了等の目的位置到達を示す信号(完了信号)を送信する。
【0068】
一方、ステップS304において、目的位置に到達したことが確認されない場合(ステップS304:No)、すなわち未到達の状態である場合、自動運転制御部10は、駐車場側から停止指令が来ているか否かを確認する(ステップS305)。
【0069】
ここで、停止指令については、例えば挙動表示指令部50についてのステップS105において、停止させる必要があると判定された場合や、後述する判定装置30から衝突の可能性に基づいてなされる場合(典型的には、図8等を参照して示した場合)、が想定される。
【0070】
ステップS305において、停止指令があることを確認した場合(ステップS305:Yes)、自動運転制御部10は、自動運転車両VEaを停止(一旦停止)させる(ステップS306)。さらに、自動運転制御部10は、走行ルートの変更があるか否かを確認する(ステップS307)。走行ルートの変更がなされる場合としては、例えば既述のように、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50についてのステップS108において、自動運転制御部10に対して新たに設定した走行ルートに沿った自律走行を行わせるための指示がなされた場合が想定される。
【0071】
ステップS307において、走行ルートの変更があることが確認された場合(ステップS307:Yes)、自動運転制御部10は、走行ルートを変更して、変更後のルートで自律走行(自動走行)を再開し(ステップS308)、ステップS303からの処理に戻る。
【0072】
一方、ステップS305において、停止指令がないことを確認した場合(ステップS305:No)、自動運転制御部10は、特段の処理を行うことなく、ステップS303からの処理に戻る。すなわち、自動運転制御部10は、そのままのルートで自律走行(自動走行)を継続する。
【0073】
次に、図13(D)に示すように、判定装置30は、動作を開始すると、まず、連動する撮像装置20における監視対象範囲(あるいは単に監視範囲ともする)において、車両等の物体が存在するか否かを確認する(ステップS401)。なお、ここでは、既述のように、画像データを解析することで、一般車両VExや自動運転車両VE(VEa)等の車両の存在が捉えられるものとなっている。
【0074】
判定装置30は、ステップS401における物体の存在確認を継続し、物体の存在が確認されると(ステップS401:Yes)、確認した内容を、障害物情報として、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50に送信する(ステップS402)。また、これとともに、判定装置30は、自動運転制御部10から走行ルートの情報提供があるか否かを確認する(ステップS403)。すなわち、既述のように、例えば近距離通信可能な範囲に自動運転車両VEaが存在する場合、これに搭載された自動運転制御部10から、自動運転車両VEaの位置に関する情報等とともに、その走行ルートの情報が提供される。
【0075】
ステップS403において、走行ルートの情報提供がないことを確認した場合(ステップS403:No)、判定装置30は、ステップS401に戻って、新たな物体の存在確認を開始する。
【0076】
一方、ステップS403において、走行ルートの情報提供があることを確認した場合(ステップS403:Yes)、判定装置30は、衝突予測を行い(ステップS404)、衝突の可能性があるか否かを判定する(ステップS405)。すなわち、判定装置30は、走行ルートの情報提供があった車両(例えば自動運転車両VEa)について、他の物体(一般車両VEx等)との衝突が発生する可能性があるか否かについて判定を行う。
【0077】
ステップS405において、衝突発生の可能性があると判定された場合(ステップS405:Yes)、判定装置30は、自動運転制御部10に対して停止指令を通知する(ステップS406)。
【0078】
また、これとともに、判定装置30は、停止指令を通知した旨を、障害物情報として、コントロールセンターCCとしての挙動表示指令部50に送信し(ステップS407)、ステップS401に戻る。この場合、当該障害物情報の通知を受けた挙動表示指令部50は、自動運転車両VEaが停止を要する状態になっていることを把握するとともに、状況によって走行ルートを変更するための処理等を行うものとなる。
【0079】
一方、ステップS405において、衝突発生の可能性がないと判定された場合(ステップS405:No)、判定装置30は、特段の処理を行うことなく、ステップS401に戻る。
【0080】
判定装置30では、以上のような一連の動作が、駐車場PAにおいて監視を要する間、繰り返される。
【0081】
以上のようにして、車両挙動表示システム100の各部は、独自に動作しつつ、互いに連携することで、駐車場内における管理を行いつつ、目的とする車両挙動の表示を可能としている。
【0082】
以下、図14として示す概念図を参照して、オートバレーパーキングにおける自動運転車両の制御動作における車両挙動表示システム100の動作の他の一例について説明する。なお、図14は、例えば図8(A)等と対応する図である。
【0083】
上記のうち、図8(A)等を参照して説明した一例では、撮像装置20を利用した監視の対象を、主として車両としていたが、既述のように、歩行者等も検知すべき対象となり得る。図14に示す一例では、本来駐車場PA(駐車範囲MA)にいるべきでない歩行者PEが誤って駐車場PA(駐車範囲MA)に存在した状態となっている場合について示している。
【0084】
図示の場合も、図8(A)において示した一例と同様に、自動運転車両VEaが中央通路MS1に到達した後に、中央通路MS1に歩行者PEが存在することが検出された場合について示している。この場合も、判定装置30により衝突発生の可能性が示されることにより、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)における制御下で、自動運転車両VEaは、最初に予定された矢印AA1で示す走行ルートからの他のルートへ変更することになる。
【0085】
また、この場合も、上記ルートの変更に際して、車両挙動表示システム50により、表示装置70において自動運転車両VEaの挙動に関する一連の表示がなされる。この際、表示装置70として、予め場内に設置固定されているもののほか、場内に存在する歩行者PEが所持する携帯端末TIを、表示装置70として利用することが考えられる。すなわち、図15(A)~図15(D)のうち、図15(A)に示すように、携帯端末TIの表示部DS上における画像GGとして自動運転車両VEaの挙動を示す、より具体的には、画像GGとして図15(B)~図15(D)に示すような一連の動きを示すこと等により、歩行者PEに自動運転車両VEaの挙動を認識させ、衝突等を回避させるものとしてもよい。
【0086】
なお、携帯端末TIへの通知については、種々の態様とすることができるが、例えば駐車場PAや駐車場PAが付随する各種設備等についてのアプリがインストールされているスマホ等の携帯端末TIに対して、挙動表示指令部50(コントロールセンターCC)から、無線通信により、上記のような通知がなされるようにすることが想定される。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る車両挙動表示システム100は、自動運転車両VEに搭載されて運転制御をする自動運転制御部10と、所定領域内の一例としての駐車場PAに存在する自動運転車両VEについて、自動運転制御部10での制御に基づく挙動に対応した表示指令をする挙動表示指令部50と、駐車場PAに存在して、挙動表示指令部50からの表示指令に基づく表示を行う表示装置70とを備える。上記車両挙動表示システム100では、例えば、自動運転車両VEの挙動を管理する側からの表示指令に基づいて、対象となる駐車場PAに存在する表示装置70において自動運転車両VEの挙動を表示させることが可能となり、自動運転車両VEの周辺に存在する他の車両(一般車両VEx)や歩行者PE等に、自動運転車両VEの今後の挙動(動作態様)について的確に報知できる。このように、自動運転車両VEの今後の挙動について、周囲に存在する他の車両や歩行者等にも認識させることが可能となることで、衝突事故、渋滞及びデッドロック等を回避又は抑制することが可能になる。
【0088】
〔第2実施形態〕
以下、図16を参照して、第2実施形態に係る車両挙動表示システムについて一例を説明する。なお、本実施形態に係る車両挙動表示システム100は、交差点CSに導入されている点において、駐車場PA(図1等参照)に導入されている第1実施形態の場合と異なっている。なお、第1実施形態の場合と同様の構成については、同じ符号を付し、詳しい説明等を省略している。
【0089】
図16は、本実施形態に係る車両挙動表示システム100について一構成例を示す概念図であり、図1等に対応する図である。本実施形態では、交差点CSを通行する自動運転車両VEについての挙動を、所定領域内の一例としての交差点CSに設置された表示装置70等において表示する態様となっている。この場合、挙動表示指令部50は、所定領域としての交差点CSにおける自動運転車両VEの挙動表示として、自動運転車両VEの走行経路(進行方向)についての表示を行う態様となる。
【0090】
また、ここでは、より具体的な一例として、自動運転車両VEを、公共交通機関の1つであるバス(路線バス)としている。なお、この場合、自動運転車両VEについては、有人の場合と無人(運転手無しの意味での無人)の場合とが想定される。ただし、これに限らず、バス以外の他の自動運転車両VEに対して適用することも可能である。
【0091】
なお、図示の一例では、表示装置70は、交差点CSの各コーナー部分すなわち横断歩道に近接した箇所に設けられており、交差点CSやその周辺に存在する歩行者等にとって視認しやすいものとなっている。表示装置70のより具体的な一構成例としては、例えば図5を参照して説明したデジタルサイネージ等で構成される表示器を設置固定する態様とすることが考えられる。また、この場合においても、交差点CSに存在する歩行者PEが所持する携帯端末TIを、表示装置70として利用することが考えられる。なお、表示態様としては、図示において表示装置70あるいは携帯端末TIの表示部DSとして一部拡大して示すように、現状の状況を示す画像に、自動運転車両VEの今後の挙動を、矢印や文字等を付したものとすることが考えられる。
【0092】
また、上記態様の場合、自動運転車両VEの右左折直進に加え、例えば交差点CSの付近に存在する停留所への停車に関する情報(例えば当該停留所に泊まるのか否か等)を併せて通知する態様とすることも可能である。
【0093】
また、携帯端末TIについては、例えばバス(路線バス)を運営する会社のアプリがインストールされているスマホ等に対して、上記通知を行うようにすることが考えられる。この場合における動作態様の一例としては、自動運転車両(バス)VEが交差点CSに接近していることを検知した挙動表示指令部50からの指令に従って、例えば交差点CSに予め設けてある近距離無線通信を介して、交差点CS及びその付近に存在する上記態様の携帯端末TIに対して一斉送信が行われるようにすることが考えられる。このような態様とすることで、迅速かつ確実な報知ができる。
【0094】
本実施形態においても、自動運転車両VEの今後の挙動(動作態様)について的確に報知することで、周囲に存在する歩行者等との衝突事故等を回避又は抑制することが可能になる。特に、本実施形態では、交差点等の交通の要所における衝突事故等を回避又は抑制できる。
【0095】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0096】
まず、上記に加え、さらに、自動運転車両VE自身において、今後の挙動(動作態様)を表示するものとしてもよい。具体的には、図17に示すように、自動運転車両VEの正面や側面に表示部DSaを設ける態様とすることができる。より具体的には、図17(A)及び図17(B)は、公共交通機関の一例としてのバスによる自己の挙動表示の態様について一例を示す概念的な正面図及び側面図であり、この場合、バスである自動運転車両VEにおいて、行先表示板を利用したり、側面部分にパネル部材を設けたりすることで、自動運転車両VE自身が挙動を示すための表示部DSaを有した状態となっている。例えば、第2実施形態として一例を示した場合において、交差点CSの各コーナー部分に設置された表示装置70や、歩行者PEが所持する携帯端末TIにおける表示に加え、交差点CSを通過する自動運転車両VE自体においても、図示のように、挙動を示す表示を表示部DSaにより併せて行うものとしてもよい。さらに、図17(C)及び図17(D)は、公共交通機関等ではない通常の自動運転車両VEによる自己の挙動表示の態様について一例を示す概念的な正面図及び側面図である。この場合、例えば、表示部DSaを、自動運転車両VEの各部のうち、人による運転の場合にも支障のない範囲に設ける態様とすることが考えられる。さらに、上記のほか、例えば第1実施形態として一例を示した場合のように、無人運転が想定されること等を考慮して、液晶パネルやプロジェクション投影等により、自動運転車両VEの窓部分を表示部DSbとして利用する態様とすることも考えられる。
【0097】
また、上記のうち、例えば第1実施形態の駐車場PAの形状等については、一例であり、これに限らず、種々の形状や構造となっている駐車場において適用可能である。また、第2実施形態における交差点についても、種々の態様が想定できる。また、踏切やその周辺等、交差点以外の箇所において適用することも考えられる。
【0098】
また、上記において、第1実施形態では、自動運転車両VE(VEa)を一旦停止させてから、必要に応じてルートの変更を行う、という態様としているが、これに限らず、例えば、一旦停止することなく走行しながらルートの変更を行うような態様まで含まれるものとしてもよい。
【0099】
また、上記では、表示による通知について説明しているが、これに加えて、音声による通知(報知)を併せて行う態様とすることも考えられる。
【符号の説明】
【0100】
10…自動運転制御部、20…撮像装置、30…判定装置、50…挙動表示指令部、51…外部入力部、52…判定部、53…経路生成部、54…外部出力部、70…表示装置、100…車両挙動表示システム、AA1,AA2…矢印、AR…乗降エリア、CC…コントロールセンター、CP1,CP2…矢印、CR,CRa…車室(駐車位置)、CRp…候補、CS…交差点、DD1…通信可能範囲、DS…表示部、DSa,DSb…表示部、GG…画像、MA…駐車範囲、MAe…領域、MS1…中央通路、PA…駐車場、PE…歩行者、PT1,PT2…通路、RD…走行経路決定部、TI…携帯端末、VE,VEa…自動運転車両、VEx…一般車両、α1-α3…状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17